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2017年6月26日 (月)

25年目の新作

Title:人生
Musician:ウルフルズ

今年、デビュー25周年を迎えたウルフルズ。25周年記念として2月にトリビュートアルバムがリリースされましたが、それに続いて約1年9ヶ月ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。

まず今回のアルバムで大きな特徴として感じたのが非常にルーツ志向の強いアルバムだったということ。「おれを夢中にさせないで」は本格的なブルースナンバー。「ヤラカシ男」はソウル色の強いナンバーですし、「迷ったらDo It」はへヴィーなギターサウンドがカッコいいブルースロックチューン。「しあわせ」もファンキーでダンサナブルなサウンドが楽しめるナンバーになっています。

いやこの「ルーツ志向」という表現、洋楽に限らないかもしれません。例えば「せやなせやせや人生は」はド演歌調のナンバーになっていますし、「もーあかんブギ」もタイトル通りのブギなナンバーですが、オールドスタイルの歌謡曲風なナンバー。ラストの「はげしくやさしく」も大瀧詠一っぽいポップの要素を入れつつ、泥臭いグルーヴを奏でるウルフルズらしいポップチューンに仕上げています。

ただ洋楽邦楽どちらをルーツとしていても共通する点があります。それはアルバム全体に関して泥臭さとどす黒さを感じさせるサウンドになっている点でした。このグルーヴ感がアルバムを通じて共通しており、洋楽にも邦楽にも共通するようなリズム感を上手く統一感を持って取り入れているあたり、ウルフルズの実力を感じます。単なる洋楽のルーツ志向でもない、歌謡曲の模倣でもない、ウルフルズ流のサウンドをしっかりと確立しています。

歌詞に関してもウルフルズらしい、ユーモアセンスあふれる歌詞や、ぶっきらぼうだけどとても暖かみを感じる応援歌的な歌詞が並んでいます。結婚式で夢を見た男をユーモラスに描く「もーあかんブギ」、サラリーマンの日常をユーモラスに描きつつエールをおくる「クラクラフラフラEveryday」などユーモラスな楽曲がある一方、「夢なんてくそくらえ」「人生のバカヤロー」と歌いつつ、ぶっきらぼうな言葉でも人生の喜びを歌う「バカヤロー」など、心に染み入るような歌詞がたくさん並びます。

特に今回の作品は「人生」というタイトル通り、人生について焦点をあてた曲が並んでいます。ウルフルズの書く人生の歌詞は一般人の生活を等身大に描きつつ、その中での辛さや喜びを歌い、そして最大限のエールをおくっています。この歌詞のスタイルは今回のアルバムではじめたような目新しいものではなく、むしろいままでのウルフルズのスタイルを引き継ぐもの。「人生」というのはまさにウルフルズらしいテーマと言えるかもしれません。

そんな訳で今回のアルバム、サウンド的にも洋楽邦楽のルーツを取り入れてウルフルズらしい集大成的な内容になっていますし、また歌詞的にもウルフルズらしいテーマ設定となっています。そういう意味では今回のアルバム、25周年の記念の年にリリースされたということもあって、今のウルフルズの集大成的なアルバムと言えるかもしれません。ウルフルズの魅力がしっかりとつまった実にウルフルズらしい作品。25年を迎えた彼らですが、まだまだその勢いは止まらなさそうです。

評価:★★★★★

ウルフルズ 過去の作品
KEEP ON,MOVING ON
ONE MIND
赤盤だぜ!
ボンツビワイワイ

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コメント

いつも以上にいつも通りのウルフルズの音を出していて好印象です。

投稿: ひかりびっと | 2017年12月 3日 (日) 17時33分

>ひかりびっとさん
ご感想ありがとうございました。

投稿: ゆういち | 2017年12月13日 (水) 23時40分

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