70年代を代表するレーベル
Title:The Best Songs of Bellwood
1972年、キングレコードの社内レーベル的な形で設立。70年代のロックやフォークの代表的なミュージシャンたちを数多く擁し、70年代の日本のロック、フォーク、ニューミュージックの代表的なレーベルとなったベルウッド・レコード。今年は設立45周年をいう年であり、それを記念したコンピレーションアルバムがリリースされました。
全3枚組47曲入りというかなりのボリュームとなるこのコンピレーションアルバム。まず1枚目ははっぴいえんどがメイン。15曲中8曲がはっぴいえんど。さらには大瀧詠一が4曲、細野晴臣が1曲とほとんどがはっぴいえんど関連の楽曲となっています。日本語ロックの創始者の一組と言われるはっぴいえんどですが、今から聴いてもそのサウンドはかなりへヴィー。そこに和風なメロディーラインがしっかりのっており、間違いなく、日本語ロックとしてのひとつの完成形を作り出しています。日本語ロックはその後、サザンやBOOWY、ブルーハーツなど様々なバンドが様々なスタンスから日本語、邦楽とロックの融合を目指していましたが、既にはっぴいえんどの段階でひとつの結論が示されていたように感じます。
2枚目は冒頭、高田渡の曲が5曲続くように、基本的には高田渡をメインにフォークの楽曲が並んだ構成に。特にユニークだったのはその高田渡の5曲で、「しらみの旅」はロック風、続く「生活の柄」はフォーク、「私の青空(MY BLUE HEAVEN)」は軽快なニューオリンズ調と、フォークというジャンルに留まらない高田渡の幅広い音楽性を感じることが出来ます。
3枚目はロック、フォークというジャンルに留まらないような曲が並んでおり、全体的にはニューミュージック色が強い楽曲が並んでいました。小室等や彼が所属していた六文銭の楽曲が多く、彼の楽曲に関しては比較的歌謡曲色が強かったように感じます。さらにコンピレーションの最後には矢野顕子と細野晴臣による「ろっかばいまいべいびい」が収録。これは2016年の矢野顕子「さとがえる」コンサートでの音源。70年代の楽曲が並ぶ中、最後の最後で「今」とつながっている構成となっていました。
そんな訳で3枚組大ボリュームの構成で70年代の日本のロック、フォークシーンがよくわかるような構成になっています。この時代の曲は今のJ-POPともつながっているため、今の耳で聴いても違和感なく楽しめるのですが、ただひとつ強く感じることがあります。それは今の楽曲に比べて歌詞の力が強いな、ということでした。
特にフォークソングなんかはその社会性を帯びた音楽のテーマ性からもやはり歌詞に焦点があてた曲が多くなります。特に国のためなんかに命をはるな、とユニークに歌う「教訓Ⅰ」などはかなり強いインパクトを持っています。もっともベルウッド・レコードの時代は既に学生運動もピークを超えており、あさま山荘事件も起こった後だったため、政治色の強い曲はほとんどありません。ただそれでもしっかりと「歌詞」を届けようとするインパクトの強い曲が並んでおり、このコンピ盤の大きな特徴にもなっていました。
ボリュームたっぷりの内容でしたが個性的な曲の連続で一気に聴き切れてしまった3枚組。70年代の日本のロック、フォークシーンを知るにはうってつけのコンピレーションアルバムだと思います。強い歌の力を感じたアルバムでした。
評価:★★★★★
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