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2017年6月18日 (日)

清竜人と5人のワイフたち

Title:WIFE
Musician:清竜人25

天才シンガーソングライターとしてデビューしつつも、ここ最近は奇抜なパフォーマンスや楽曲が話題にのぼることが多い清竜人。その奇抜さの最たるものがこれでしょう。アイドルグループ結成。それも建付けとして清竜人とその妻たちというアイドルとしては禁じ手とも言える設定ながらも昨今のアイドルブームにのって、幸か不幸か清竜人ソロよりも売れるという結果となりました。

正直、彼のこの行動に関してはかなり訝しげに見ていました。単なるアイドルブームにのっかかった売らんかな的な行動と。しかし今年、まだ人気が上り調子の中、突然の解散発表。さらには「TOWN」なるライブの参加者全員がメンバーという、これまた奇抜なプロジェクトがスタートし大きな話題になりました。ここに至って私も彼が清竜人25が「売れる」ためのプロジェクトではなく、純粋に彼がこういうことをやりたいだけだったんだな、と気づき、遅ればせながら彼らのラストアルバムを聴いてみました。

聴く前は典型的なアイドルポップスというイメージであまり期待はしていなかったのですが・・・これが予想外におもしろいアルバムでした。まず最初持っていた印象と最も異なるのが、清竜人が歌いまくるという点。てっきり彼はAKB48の秋元康みたいなプロデューサーとして君臨しているのかと思いきや、むしろメインボーカル。5人の清夫人が前に出て歌う曲も少なくありませんが、曲によっては女の子たちがバックボーカルになっているような曲も少なくありませんでした。

そして楽曲が清竜人の天才シンガーソングライターとしての才を十分に発揮したポップソングが並んでいた点も大きなプラス。基本的にファンキーなリズムを取り入れたポップソングやアルバム「MUSIC」で聴かせたようなミュージカル風な楽曲がメイン。いわゆる典型的なアイドルポップ然としたような曲はあまりなく、そういう意味でも非常に聴きやすい楽曲になっていたと思います。

もっともマイナスに感じた点も何点か。まず女の子の声が流行のアニメ声の子がいるのが大きなマイナス。なんかこの手のアニメ声って、完全に様式化されているうえに単純に男に媚びているだけって感じがして全く「かわいい」とは感じません。個人的にはアイドルシーン全体の中での大きな問題点と思っています。

もうひとつはこちらも最近の傾向か、音が詰め込みすぎなきらいがあるという点。メロディーや楽曲構成に関しては無理な奇抜さはなかったのですが、音としてはすべてプラスに積み重ねていくスタイルで最後の方はちょっとお腹いっぱいになってしまいました。

そんなマイナス点も目立ったのですが、このグループ、音楽的な側面とは別におもしろさを感じたのはアイドルの本来持っているはずの魅力であるフィクション性を強調しているという点です。なぜか日本の音楽シーンではフィクション性よりノンフィクション性を妙に有難がる傾向にあって、AKB48で以前「ガチ」がよく用いられていました。ただアイドルってある種のフィクション性が重要であって、それがロックやHIP HOPとは異なるアイドルの大きな魅力のはず。そんなアイドルのノンフィクション性が重視される中、清竜人とその5人の妻たちというフィクション性を前に押し出してくる彼らの活動は非常にユニークに感じました。

もっともなによりもこれだけ人気を確保していながらあっさりと解散してしまう潔さも大きなプラス。このアイドル活動と次のTOWNの活動は180度音楽性が異なりそうですし、彼は本当にやりたいことをやりたいようにやっているんでしょうね。これからも清竜人の活動からは目が離せなさそうです。

評価:★★★★

清竜人 過去の作品
WORLD
MUSIC
WORK
BEST


ほかに聴いたアルバム

fantasia/LAMP IN TERREN

これがメジャーでは3枚目となる1年9ヶ月ぶりの新譜。典型的な下北系のギターロックバンド。ポップなメロディーラインにはそれなりにインパクトもあるし楽曲としては決して悪くはありません。決して悪くはないのですが・・・これは以前の作品から共通するのですが・・・まるっきりバンプ・・・。正直言って、LAMP IN TERRENの個性がかなり薄いのはキツイし、「涙星群の夜」みたいに出だしのギターがまるっきりバンプで歌詞もバンプっぽい世界観というのはもうちょっとどうにかした方がいいと思うのですが。

評価:★★★

LAMP IN TERREN 過去の作品
silver lining
LIFE PROBE

HEROES/NAMBA69

最近はHi-STANDARDとしても活動している難波章浩率いるパンクバンドの約1年半ぶりとなる新作は前作に続きミニアルバム。ストレートなパンクチューンの連続。楽曲的にはちょっとへヴィネスさが強いかな?ハイスタとしても活動しつつ、NAMBA69でも積極的に活動を続けるあたりに勢いを感じます。ただ次はハイスタの新譜が聴きたいかも(?)。

評価:★★★★

NAMBA69 過去の作品
21st CENTURY DREAMS
LET IT ROCK

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