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2017年5月 2日 (火)

SOUL'd OUTの延長

Title:BEWITCHED
Musician:Diggy-MO'

ご存じ元SOUL'd OUTのMC、Diggy-MO'によるソロとしては4作目、SOUL'd OUT解散後では2枚目となるアルバムがリリースされました。SOUL'd OUTとしては過剰気味ともいえるベタなサウンドと独特な歌い回しで非常に個性的なグループとして多くのファンを獲得しましたが、ソロとなってからのDiggy-MO'のアルバムに関しても基本的にはSOUL'd OUTの路線を引き継ぐ曲が並んでいます。

前作「the First Night」もSOUL'd OUTファンとしてはうれしくなってしまうような楽曲が並んでいましたが本作もそんな印象を強く受けるアルバムになっていました。特にSOUL'd OUTからの王道路線を感じるのが「SHOTTTTEQKILLA」。巻き舌を多用したラップに分厚いエレクトロのサウンド。ある種ステレオタイプに洋楽的な雰囲気をかもしつつ、メロはどこか歌謡曲的。サビに入って直後の「ハー」とファルセットボイスには、そうそう、これこれ(笑)と思ってしまいます。

他にも「ASTRONAUT」なんかもいかにもSOUL'd OUTっぽさを感じるメロディーラインとエレクトロサウンドが特徴的。エロ歌詞がインパクトとなっている歌詞にもインパクトある「先生、」も軽快なラップとエレクトロサウンドが楽しいナンバーとなっています。

ただ前作「the First Night」もSOUL'd OUTっぽい路線を保ちつつ、その中で新たな方向性を模索するようなアルバムになっていましたが本作も同様。たとえば中盤のキーとなる「PTOLEMY」などは高速ラップを聴かせるのはまさにSOUL'd OUTらしい路線なのですが、最初から最後まで高速ラップを聴かせるというかなりトリッキーなナンバーに。彼らしい挑戦心を感じます。

他にもストリングスを入れてスケール感を出した「YOYOY」や、女性コーラスを入れてメロウな雰囲気を出した「CLEOPATRA」、スウィングジャズ風にまとめた「SHE」などちょっと雰囲気の異なる曲を入れつつバリエーションある楽曲の展開が楽しめます。

もっともこれらの曲に関しても基本的には独特な巻き舌ラップやエレクトロサウンド、人なつっこいメロディーラインをしっかりと聴かせてくれており、ベースにはしっかりとDiggy-MO'らしさは健在。そういう意味ではSOUL'd OUTとは全く異なる路線というよりは、もしSOUL'd OUTが解散せず活動を続けていたら作ったであろうアルバムといった印象を受けました。

いい意味でのベタさももちろん健在。SOUL'd OUTのファンなら間違いなく満足するであろうアルバムだったと思います。あのベタベタなアレンジや巻き舌の高速ラップ、本当に癖になるんですよね~。聴いていて純粋に楽しくなってくるアルバムでした。

評価:★★★★★

Diggy-MO' 過去の作品
Diggyism
DiggyismII
the First Night


ほかに聴いたアルバム

シンドローム/鬼束ちひろ

オリジナルアルバムとしては2011年の「剣と楓」以来久々となる新作。ここ最近、その外見の変化やDV事件、Twitterでの暴言騒動など音楽以外の部分が話題になることが多く、音楽活動もあまり目立ちませんでしたが、今回の新作は鬼束ちひろ完全復活を印象づけるような作品。特に全編ピアノとストリングスで彼女の伸びやかな歌声で美しく聴かせる楽曲が並んでおり、「月光」や「眩暈」など全盛期を彷彿とさせるようなナンバーが並んでいます。ファンにとっては待ってましたといった感じの作品でしょうし、こういうタイプの曲がやはり彼女には合っているなぁ、と思ってしまいます。ただ良くも悪くも昔の彼女そのままな感じで、一種のセルフパロディー的にも感じてしまう部分も。まさに「大いなるマンネリ」的なアルバム。今後は結局この方向で進むのでしょうか?

評価:★★★★

鬼束ちひろ 過去の作品
LAS VEGAS
DOROTHY
ONE OF PILLARS~BEST OF CHIHIRO ONITSUKA 2000-2010
剣と楓
FAMOUS MICROPHONE
GOOD BYE TRAIN~ALL TIME BEST 2000-2013

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