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2017年5月13日 (土)

13曲13組13通り

Title:re:Action
Musician:スキマスイッチ

非常におもしろいスキマスイッチのニューアルバムが発売されました。「re:Action」と名付けられた今回のアルバムはスキマスイッチの過去の名曲を他のミュージシャンたちがプロデュースを行い再録音したアルバム。それも奥田民生や田島貴男、TRICERATOPSにGRAPEVINE、Rhymesterや澤野弘之など、様々なタイプの異なる総勢13組のプロデューサーがスキマスイッチの楽曲を手掛けています。

1枚のアルバムに様々なミュージシャンがプロデュースを手掛けた曲が並んでいるというケースは珍しくはありません。また、ある楽曲を他のミュージシャンのプロデュースにより再録音するというケースも珍しくありません。このアルバムでユニークなのは、そのプロデューサーたちが自分たちのミュージシャンカラーを出しまくっている点。そのためそれぞれの曲が非常に個性的なアレンジをほどこされて収録されていました。

例えば奥田民生がプロデュースを手掛けた「全力少年」は思いっきりロック色が強くなり、ギターやドラムスの音は完全に奥田民生。GRAPEVINEの「ユリーカ」はギターやドラムスが黒くグルーヴィーになり、いかにもバインといった感じ。RHYMESTERが手掛けた「ゴールデンタイムラバー」はホーンセッションも入ってファンキーなRHYMESTERの色がしっかりとついた楽曲にまとまっています。

スキマスイッチのアレンジは、比較的シンプルで歌を前に出して生かしたようなアレンジが多いのに対して今回のアルバムのプロデュースはサウンドを強調したアレンジが多く、原曲のイメージとはかなり異なる雰囲気の曲が多いのも特徴的。特にスキマスイッチというとシンプルなポップユニットというイメージなのですが、アレンジひとつでガラッとロックバンドやファンクユニットというイメージに早変わりするような曲も。彼らの曲は特にメロディーラインがしっかりとしている名曲が多いからこそ、様々なプロデューサーのほどこす多様なアレンジにも対応が出来るのでしょう。

初回限定盤にはDisc2として今回取り上げられた曲の原曲を並べたアルバムがついてくるのですがこれによって聴き比べが出来るのがおもしろいところ。ただ彼らの楽曲はアレンジが良くも悪くもシンプル。曲によってはスケール感を出すために安易なストリングスの使い方を感じてしまう部分も少なくなく、他のプロデューサーによるプロデュース作の方がよかったのでは?とすら感じてしまう曲も少なくありませんでした。

そんな中でも今回のアルバムでの聴きどころはラストを締めくくるKANプロデュースによる「回奏パズル」。あれ?こんな曲あったっけ?と思う方も多いかもしれませんがこの曲はスキマスイッチのすべての楽曲と歌詞を素材として作り出された「新曲」。こんな企画、考える方も考える方だし、人に頼む方も頼む方だし、それを受ける方も受ける方だし、そしてやってしまう方もやってしまう方です(笑)。いやもう、KANじゃないとこんな企画、とても完成できなかったでしょう。結果出来た作品は実にスキマスイッチっぽいし、どこかで聴いたことあるような、でも違うような、そんな不思議な新曲に仕上がっていました。

どの曲もミュージシャンそれぞれの個性があらわれており、聴きごたえのある13曲。スキマスイッチの曲の良さを再認識できましたが同時に参加したミュージシャンそれぞれの「個性」をあらためて感じることが出来、それぞれのミュージシャンの魅力にも触れることが出来ました。毎年恒例のベストアルバムに「企画賞」という部門を設けるとしたら間違いなく今年のNo.1でしょう。最初から最後まで楽しめた傑作でした。

評価:★★★★★

スキマスイッチ 過去の作品
ARENA TOUR'07 "W-ARENA"
ナユタとフカシギ
TOUR2010 "LAGRANGIAN POINT"
musium
DOUBLES BEST
TOUR 2012 "musium"

POP MAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~
スキマスイッチ TOUR 2012-2013"DOUBLES ALL JAPAN"
スキマスイッチ 10th Anniversary Arena Tour 2013“POPMAN'S WORLD"
スキマスイッチ 10th Anniversary“Symphonic Sound of SukimaSwitch"
スキマスイッチ
TOUR 2015 "SUKIMASWITCH" SPECIAL
POPMAN'S ANOTHER WORLD
スキマスイッチTOUR2016"POPMAN'S CARNIVAL"


ほかに聴いたアルバム

Soul Renaissance/ゴスペラーズ

メンバー北山陽一の病気療養というインターバルがあり若干久々となるゴスペラーズの新作。2000年にリリースしたアルバム「Soul Serenade」を彷彿とさせるタイトルなのですが、その「Soul Serenade」と同様、ソウル、R&Bという彼らの原点を意識した作品になっているそうです。確かにそのため今回のアルバム、ソウル色を強く感じるアルバム。80年代的な楽曲もあり、全体的にちょっと懐かしい雰囲気もあります。ただ一方でサビ先の「angel tree」やブリッジ→サビで転調という「Let it shine」などいかにもJ-POP調という楽曲も目立ちます。個人的にはJ-POPからはなれてもっとソウル寄りを目指してもよかったのでは、と思わないこともないのですが、このJ-POP調の曲がほどよいインパクトとなっており、アルバム全体としてとても耳なじみやすく聴きやすい作品となっていました。

評価:★★★★★

ゴスペラーズ 過去の作品
The Gospellers Works
Hurray!
Love Notes II
STEP FOR FIVE
ハモ騒動~The Gospellers Covers~
The Gospellers Now
G20

継ぐ/Ivy to Fraudulent Game

おそらく今、最も注目をあつめているバンドの一組。バンド名が非常にユニークでなんと読めばよいのかわからないのですが、これで「アイヴィー トゥー フロウジュレント ゲーム」と読むそうです。注目のバンドということで期待をもって聴き始めたのですが、前半はちょっと期待外れ。ボーカルの歌い方は良くも悪くもヴィジュアル系っぽい雰囲気ですし、楽曲的にもちょっとシューゲイザーが入っており悪くはないのですが、思ったよりも平凡なギターロック。正直なところ最初はちょっとがっかりしたのですが、断然おもしろくなったのは終盤。インターリュードの楽曲を経ての「徒労」「夢想家」が実におもしろい。幻想的でサイケな雰囲気の入った楽曲でメロディーもどこか哀愁感入ったポップなメロが印象的でした。この2曲のような曲をもっと聴きたいのですが・・・。今度に要注目なバンドです。

評価:★★★★

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コメント

「回奏パズル」すごいですね。あんまり、「~にしかできない」とかいうのは好きじゃないんですが、マッキーや浜省、中田ヤスタカの分解構築物を手掛けてきたKANにしかできない仕事です。
 ちなみにこの曲の7分9秒という長さはスキマスイッチのデビュー7月9日にかけてあるらしいです。その辺の遊び心がにくい。でも、ライブでは歌いにくそうな曲ですよね。

投稿: げどー | 2017年5月19日 (金) 00時51分

>げどーさん
「回奏パズル」は本当にKANちゃんにしかできない作品だと思います。7分9秒の遊び心もKANちゃんらしくてにくいですね。でも確かにライブではかなり歌いにくそう・・・是非とも挑戦してほしいのですが(笑)。

投稿: ゆういち | 2017年5月19日 (金) 23時34分

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