ズクナシの魅力をより伝えるライブ盤
Title:サンキュー
Musician:ズクナシ
ボーカルの衣美の妊娠出産のため活動休止に入った3人組ガールズソウルバンド、ズクナシ。本作はその活動休止前最後に行った2016年6月の東京・吉祥寺STARPINE'S CAFEと京都磔磔のライブの模様を収録したライブアルバム。産休前のステージなので「サンキュー」という訳ですね(笑)。とりあえずの一区切りともいえるステージなだけにベスト的な選曲が特徴的となっており、ベスト盤的にも楽しめるアルバムになっています。
ズクナシはいままで一度だけライブを見たことあります。TOYOTA ROCK FESTIVALでの野外でのステージだったのですが、その迫力あり観客を盛り上げつつ、かつユーモアあふれるステージに非常に惹かれるものがありました。
このライブ盤は、そんな彼女たちのステージの魅力をそのままパッケージしたアルバムになっていました。録音はライブ会場の歓声も比較的大きな音で録音されています。そのため会場の盛り上がりもダイレクトに伝わってきます。なによりステージ上と観客とのやり取りが頻繁に行われるのが彼女たちのライブの大きな魅力。このライブ盤ではそんなステージと観客のやり取りもきちんとそのまま収録されています。
彼女たちの演奏や衣美のボーカルもライブ音源ではオリジナルに比べてその迫力がより増しています。冒頭のイントロ的にスタートする「kirakira」の出だしの一音からゾクゾクっとする力強い演奏が耳を襲いますが、ライブ音源では楽器ひとつひとつの音がよりはっきりと聴こえてくるように感じます。比較的狭いライブハウスでの演奏のため、ほどよく音が反響しているのも音の迫力が増した大きな要因でしょうか。またなによりこの後しばらくライブ活動が休止、ということもありライブにかける思いも強かった影響もあるのかもしれません。
おそらくそんな彼女たちのステージでの一つのクライマックスになったのが「左折右折」。私が見た彼女たちのステージでもひとつのクライマックスになったのですが、「左折右折」をファンキーなリズムにのって叫びまくるトリップ感あるこのナンバーは、観客をあおりつつどんどん盛り上げていきます。
正直言って、スタジオ録音のオリジナルアルバムよりもこのライブ盤の方が断然よかったように思います。なによりその演奏もあって彼女たちのブラックミュージックからの影響がより強く伝わってきますし、バンドとしての実力もスタジオ録音よりもはっきりした形で伝わってきます。スタジオ録音では若干伝わりにくかった彼女たちの魅力がはっきりと伝わってくるアルバムになっていました。
このライブアルバムを聴いて断然、彼女たちのライブにまた足を運びたくなった・・・と思って公式サイトを見てみると6月からライブ活動再開の告知が(!)。これは機会があれば是非とも足を運ばなければ!これからの彼女たちの活動も非常に楽しみです。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
1/the band apart(naked)
the band apartがアコースティック編成で活動する時の名義the band apart(naked)。本作は、そのthe band apart(naked)名義での初となるアルバム。基本的には彼らの代表曲をアコースティックにカバーした作品。もともと比較的シンプルかつタイトで、メロディーをしっかりと押し出した彼らの楽曲はアコースティックなサウンドとの相性もバッチリ。とても軽快なカバーに仕上がっています。ただその反面、原曲イメージから大きく逸脱する楽曲はなく、意外性がなかったのはちょっと残念な印象も。
評価:★★★★
the band apart 過去の作品
Adze of penguin
shit
the Surface ep
SCENT OF AUGUST
街の14景
謎のオープンワールド
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