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2017年5月23日 (火)

3人組となった新たな一歩

Title:光源
Musician:Base Ball Bear

昨年、ギターの湯浅将平が脱退。それも突然、レコーディングの現場にあらわれなくなり「失踪」という形での脱退という非常に衝撃的な脱退劇となりました。その結果、制作活動が一時ストップしたのかベスト盤を挟み、1年5ヶ月ぶりにリリースされたのが本作。メンバーが3人となって初のオリジナルアルバムとなりました。

そんな突然の脱退劇という予期せぬ事態で3人組となったBase Ball Bearですが今回のアルバムを聴くと、その脱退劇がむしろプラスに働いたのではないか、と思うほどの出来になっていました。今回のアルバムの大きな特徴は楽曲的にブラックミュージック寄りになったという点。前作「THE CUT」でもファンクやソウル的な要素を強く感じましたし、いままでのBase Ball Bearの楽曲にもそのような要素は感じることが出来たのですが、今回のアルバムではファンクやソウルの要素をより明確に感じることが出来ます。

「すべては君のせいで」はファンキーなサウンドでリズミカルに聴かせるディスコチューンでいきなり黒っぽいギターとベースの音が楽しめますし、「(LIKE A)TRANSFER GIRL」も同じくファンキーなサウンドが楽しいディスコチューンになっています。さらにアルバムの中で耳をひくのが「Low way」「寛解」で、メロウな雰囲気あふれる楽曲になっておりサウンドにもグルーヴ感を感じとても心地よいシティポップ風な楽曲に仕上がっています。

いままではギターロックバンドというイメージが強く、実際にあくまでもバンドサウンドを重視した曲作りをしていた彼ら。ただ今回、メンバーのうちギタリストが抜けることによりバンドサウンドという枠組みにとらわれない曲づくりが出来、その結果、より黒さが増したサウンドになったように思います。特にサウンドのバランスとしてベースラインを前に出したような曲が多く、この点もギタリストがサポートとなった結果、遠慮なく本人たちのやりたい音づくりが出来た結果かもしれません。

最後2曲に関しては以前の彼らと同様のギターロックになっていましたがこちらに関しては悪くはないのですが平凡という印象でちょっと残念な締めくくり。ただアルバム全体としては間違いなく傑作アルバムだったと思います。特にいままでのBase Ball Bearらしさをきちんと残した上で新機軸をきちんと押し出したという意味では非常にバランスのよい作品だったと思います。

ちなみに今回の歌詞は「青春」をテーマとしているそうで、この点もBase Ball Bearらしい感じ。特に1曲目「すべては君のせいで」は学生時代の恋愛を描写しており、甘酸っぱい気持ちになれます。ここらへんもBase Ball Bearらしさをきちんと保ったアルバムになっており、歌詞の側面でも楽しむことが出来るアルバムになっていました

ギタリストが失踪、脱退という衝撃的な展開となっていまったBase Ball Bearでしたが、むしろこれからの活動が楽しみになってくるようなアルバムをリリースしてきました。3人組となって新たな一歩を踏み出した彼ら。その第1弾としてこれからの彼らの方向性をしっかりと示すことができたアルバムでした。

評価:★★★★★

Base Ball Bear 過去の作品
十七歳
完全版「バンドBについて」
(WHAT IS THE)LOVE&POP?
1235
CYPRESS GIRLS
DETECTIVE BOYS

新呼吸
初恋
バンドBのベスト
THE CUT
二十九歳
C2
増補改訂完全版「バンドBのベスト」


ほかに聴いたアルバム

Q/女王蜂

フルアルバムとしては復帰後2作目となるアルバム。前作に比べるとダンサナブルなエレクトロサウンドがメイン。妖艶さとダンサナブルでポップな楽曲のバランスが中途半端に感じた前作に比べると、ダンサナブルなポップという方向性に舵を切った印象が。全体的にはグッとポップで聴きやすいアルバムに仕上がっています。一方、妖艶さという観点ではかなり薄味になってしまった印象が。ポップスさ妖艶さどちらも中途半端だった前作から比べるとグッとよくなっている感じはするのですが、彼らの個性という意味では妖艶さという要素ももうちょっとほしいような。

評価:★★★★

女王蜂 過去の作品
孔雀
蛇姫様
奇麗
失神

SPLASH☆WORLD/miwa

途中、バラードベストのリリースを挟み、1年10ヶ月ぶりとなるmiwaのニューアルバム。もともと典型的なJ-POPというイメージが強い彼女でしたが、本作では悪い方向にそれが顕著にあらわれてしまっています。楽曲にはインパクトはあるものの単調でおもしろみがありません。安易にストリングスを入れてスケール感を出そうとしているのも悪い意味でJ-POP的。いままで聴いた彼女のアルバムの中で、一番厳しい出来だったかも・・・。

評価:★★★

miwa 過去の作品
guitarium
Delight

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アルバムレビュー(邦楽)2017年」カテゴリの記事

コメント

Base Ball Bearの新しい時代が始まりましたね。

投稿: ひかりびっと | 2017年12月28日 (木) 11時06分

>ひかりぴっとさん
いいアルバムでした。

投稿: ゆういち | 2018年1月 4日 (木) 14時51分

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