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2017年5月 9日 (火)

伝説のライブ映像も収録

Title:20周年リクエストベスト+レアトラックス
Musician:Cocco

相変わらず非常にシンプルなタイトルが印象的なCoccoのベスト盤。タイトル通りファンからのリクエストを中心に選曲した30曲を2枚のCDに収録。また3枚目にはタイトル通りのレア曲を収録。くるりの岸田繁らと組んだバンドSINGER SONGERの曲や尾崎豊、松田聖子のカバー、さらに2001年にリリースされた最初のベストアルバム「ベスト+裏ベスト+未発表曲集」の初回版にのみ収録された「ひよこぶたのテーマ PART2。」も収録されています。

タイトル通り、メジャーデビューから20年を迎える彼女。彼女のデビューシングルで本作も収録されている「カウントダウン」はその力強くも狂ったようなボーカルとサウンドが非常に衝撃的ではじめてこの曲を聴いた時の印象は今でも覚えています。それだけにあれからもう20年かぁ・・・と思うと感慨深いものもあります。

ただベスト盤という話となると6年前にベスト盤「ザ・ベスト盤」がリリースされてこれが早くも3作目。特に近年はコンスタントに活動をしているもののアルバムのリリースペースは寡作気味でこの間リリースされたアルバムはわずか2枚。さすがにちょっとベスト盤をリリースするのは早くないか・・・と思うのですが(まあ、そう思うベスト盤が最近はあまりにも多いのですが)。

その、先のベスト盤でも強く感じたのが2001年の活動休止前と後との作品の違い。「ザ・ベスト盤」のレビューでも書いたのですが、人との関係を絶望視するようなところがあった活動休止前の作品と比べると活動休止後の作品は人に対して非常に優しい視点を感じるところが大きな特徴に感じます。また活動休止後では「カウントダウン」のように静と動の視点からインパクトある構成となっている曲はありません。

また活動休止後の作品に強くみられる傾向としては沖縄を意識したような曲がグッと増えたという点があげられると思います。このベスト盤に収録されている曲でも「ジュゴンの見える丘」「ニライカナイ」「三村エレジー」など沖縄をテーマとした曲が並んでいます。いずれも2001年の活動休止が彼女の音楽活動にとって大きな分岐点となったことはこのベスト盤からも強く感じられました。

さて、今回のベスト盤の一番の目玉はやはり初回版についてくるDVDでしょう。活動中止前最後のライブ、2000年10月6日に行われたの日本武道館でのライブ映像を収録したDVDがついてきます。このライブ、実は私も見に行ったライブ(ちょっとした自慢(笑))なのですが、彼女がその思いをストレートにぶつけたステージは非常に迫力があり、個人的には私のいままで行った中のベストライブのひとつに挙げられる素晴らしいステージでした。

このDVD、さらにうれしいのはライブのMCがほぼそのまま収録されている点。活動休止前最後ということで自らの言葉で思いを語ったMCは正直今でも覚えていますし、このライブ映像を見て、あらためて胸が熱くなってくるようでした。ステージ上にマイクを置いて逃げるように走り去っていったCoccoの最後の姿もそのまま収録。もう17年も前のライブになってしまったのですが、あの日見たステージの思い出がそのまま蘇ってくるライブ映像でした。

そんな訳で是非ともDVDがついた初回版で入手してほしい本作。もちろんベスト盤に収録された30曲やレアトラックスも魅力的な名曲揃い。あらためてCoccoの魅力を強く感じることが出来たベスト盤でした。

評価:★★★★★

Cocco 過去の作品
エメラルド
ザ・ベスト盤
パ・ド・プレ
プランC
アダンバレエ


ほかに聴いたアルバム

TOSS/トクマルシューゴ

日本のみならず海外でも高い評価を受ける宅録系シンガーソングライタートクマルシューゴの最新作。今回もアコギやピアノ、ストリングスなどをベースにおもちゃ箱のようなワクワクする非常に楽しい音でポップな世界を作り上げている一方、いきなりフリーキーなサウンドが飛び出したり、へヴィーなギターが展開されたりとポップで明るい世界の中で絶妙に繰り出される「歪み」の部分が非常にユニーク。いい意味で彼らしさが出た安定感ある傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

トクマルシューゴ 過去の作品
Port Entropy
In Focus

not not me/Charisma.com

「毒舌現役OLエレクトロラップユニット」というスタンスで活動を続けていたCharisma.com。しかし昨年11月、OLをやめミュージシャン一本で新たな一歩を踏み出しました。そして最新アルバムはさらに「エレクトロ」という枠組みも取り払い、ファンク、スウィングジャズ、ロックなどの要素も入れたアルバムに。西寺郷太や蔦谷好位置など1曲毎にプロデューサーを変え、かなり挑戦的な作品に仕上がっています。

ただ・・・正直言ってちょっと期待していたほどじゃなかったなぁ。「毒舌」的な要素も薄くなり全体的にはちょっと中途半端。脱エレクトロといっても今回のアルバムも基本的には打ち込みのサウンドがベースとなっておりエレクトロ色は強め。ただその結果、エレクトロとして吹っ切れていない、「脱エレクトロ」というほど生音も多くない、ちょっと中途半端な出来に仕上がってしまったような感じもします。もちろん彼女たちらしいインパクト満点なご機嫌なナンバーも少なくなく、全体的な出来栄えは悪くはないと思うのですが・・・ちょっと残念な惜しい1枚でした。

評価:★★★★

Charisma.com 過去の作品
DIStopping
OLest
愛泥C

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