「50祭」のテーマ曲をまとめた企画盤
Title:半世紀No.5
Musician:UNICORN
2009年の川西幸一からはじまり、昨年のABEDONまで続いたメンバーが50歳になった記念で行われた「50祭」。毎回、それぞれの「50祭」のテーマ曲が2曲ずつ披露されてきましたが、全メンバーの「50祭」が終わり、テーマソングをすべて集めたアルバムがリリースされました。
基本的にテーマ曲2曲。メインボーカルを主役がつとめ、1曲はその本人が基本的に作詞作曲。あと1曲はそれ以外のメンバーによる作詞作曲という形なっています。そのテーマ曲はメンバーそれぞれが本人のやりたいジャンルで好きなように楽曲を制作。もう1曲もおそらくメンバーのイメージに合ったような楽曲。かなりユニークなお遊び曲が多いのですが、多種多様なジャンルに挑戦したUNICORNというバンドの懐の深さを感じさせるアルバムになっています。
例えば川西幸一のテーマ曲「半世紀少年」はなんとラップに挑戦。エレクトロトラックが気持ちいい楽曲なのですが、途中、いきなり合唱曲になったりするのが非常にユニーク。続く「川西五〇数え唄」は民謡の数え歌風。あえてフィールドレコーディングという形をとっているところがユニーク。民謡って、この手のフィールドレコーディングによる録音が多いんですよね。完全に遊びの曲なのですが、その中でも彼らのこだわりを感じます。
キングクリムゾンの空耳風カバー「新甘えん坊将軍~21st Century Schizoid Man」もユニークですし、EBIのテーマ曲「TAIRYO」はオイパンクと演歌を融合させたユニークなナンバー。かと思えば「RAINBO N°5」はラテン風マンボと統一感は全くありません。
そんな中でもやはり耳を惹くのが奥田民生の「私はオジさんになった」。彼らしい脱力感をおぼえるユーモアセンス満載の歌詞ながら楽曲は渋いブルースロック。ある意味、もっとも「50歳らしさ」を感じる曲かもしれません。ラストのABEDON「50/50」も聴かせるピアノバラードで、アルバムの最後を締めくくり。こちらもその実力を感じさせます。
今年リリースされたアルバムの中で、純粋に「楽しさ」という要素だけで順位付けしたとしたら間違いなくダントツ1位はこのアルバムだと思います。もちろん遊び曲が多いといってもそれらの曲を含めても十分なクオリティーや独創性はあり、そういう点を含めても本年指折りの傑作だと思います。再結成後はメンバーそれぞれやりたいことを自由に演ったようなアルバムや曲が多いのですが、この「50祭」のテーマ曲はその極みともいえるかもしれません。UNICORNにしかつくれない大人の遊びのアルバムでした。
評価:★★★★★
ユニコーン 過去の作品
シャンブル
I LOVE UNICORN~FAN BEST
URMX
Z
ZII
Quarter Century Single Best
Quarter Century Live Best
イーガジャケジョロ
ゅ13-14
ほかに聴いたアルバム
俺でいいのかい~港カヲル、歌いすぎる~/港カヲル
グループ魂の司会者、ボーカルの港カヲル(=皆川猿時)のソロデビューアルバム。はっきりいって「ネタ」アルバムで、全12曲中6曲がカバーで他6曲はコント的なコミックソング。カバーに関してはGLAYの「HOWEVER」やゴスペラーズの「ひとり」などをカバーしていますが、中年おやじがカラオケで(無理して)歌っている感じ。まあ、この中年おやじのカラオケ風のカバーを含めて「ネタ」なわけで、グループ魂が好きなら「ネタ」を含めて楽しめる感じ。ただ一方、グループ魂を全く知らずにこのアルバムから入るような方にとってはかなり厳しい作品かも。またさすがにネタとはいえ中年おやじのカラオケを2回3回繰り返し聴くのはちと厳しい面も(^^;;「ネタ」として楽しめたという意味では★★★★★の内容ですが、純粋にアルバムの内容としては以下のような感じで・・・。
評価:★★★
We Are X Soundtrack/X JAPAN
3月より公開されたX JAPANのドキュメンタリー映画「We Are X」のサントラ盤。基本的に映画のサントラ盤のため新曲は「La Venus-Acoustic Version-」と「Without You-Unplugged」のみ。どちらもバラードナンバーで良くも悪くもX JAPANらしい楽曲。ライブ音源含めファンには満足できそうな内容ですが、ファン以外ならちょっと物足りなさを感じるかも。楽曲もベスト的な内容ながらも映画収録曲を集めたためか若干バラード寄りの内容になっています。
評価:★★★★
X JAPAN 過去の作品
THE WORLD~X JAPAN 初の全世界ベスト~
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