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2017年4月16日 (日)

本作でもまた故郷を離れて

Title:ELWAN
Musician:TINARIWEN

「砂漠のブルース」と呼ばれ、ワールドミュージックリスナーに留まらない範疇で注目を集めているマリ出身のバンドTINARIWEN。途中、ライブ盤のリリースもありましたがオリジナルアルバムとしては3年ぶりとなるニューアルバムです。前作「EMMAAR」では政治的な理由から故国マリを離れアメリカでのレコーディングとなりましたが(やはり「残念ながら」という言い方になるのでしょうか)前作に続いてアメリカでレコーディングされたアルバムとなりました。

ただアメリカ録音によるためか多くのゲスト陣が参加しているのが本作の特徴。以前、当サイトでもアルバムを紹介したことがあるKurt Vileがギターで参加しているほか、QUEENS OF THE STONE AGEのMark Kaneganのボーカルで参加。その他、Matt SweeneyやAlan Johannesといったゲストミュージシャンが名前を連ねています。

Kurt Vileが参加した「TIWAYYEN」では彼らしいオルタナ色の強いノイジーなギターが目立ちます。それに引っ張られてか、2曲目「SASTANAQQAM」も同じくオルタナ色の強いギターが耳を惹く楽曲になっています。ただ、このゲスト勢がアルバムに対して強い影響を与えているかというとそういった感じではなく、逆にKurt Vileがギターで、さらにMark Laneganがボーカルで参加した「NANNUFLAY」はTINARIWENらしい荘厳な雰囲気とスケール感を覚えるコール&レスポンスのナンバー。確かにMark Laneganのボーカルも目立ちますが、TINARIWENの楽曲の中に参加させてもらっているという印象を強く受けます。

そのためアルバム全体としてはいつものTINARIWENといった印象を受ける本作。もっともそれはマンネリという意味ではなく、相変わらず彼ららしいブルージーなギターサウンドと独特なリズムとコール&レスポンスが織りなすグルーヴ感が実に魅力的な楽曲が並んでいます。特に「IMIDIWAN N-AKALL-IN」などは彼らの魅力ともいえるギターサウンドがうねるように楽曲全体を展開していき、それにパーカッションの音が重なり、彼ららしいグルーヴ感が実に魅力的なナンバー。軽快なパーカッションとアコギでラテン風味たっぷりの「ASSAWT」も哀愁感あふれるメロディーが耳に残ります。

そんな中、前作に引き続きマリを離れてのレコーディングとなった本作。その影響か前作に引き続き強いメッセージ性を持った歌詞が目立ちます。特に「ITTUS」は静かなギターとボーカルだけでメッセージを力強く聴かせるナンバー。歌詞の内容は「我が国の団結と高い生活水準」を求めるメッセージのようで、ストレートながら切実な思いが胸をうちます。

また「テネレの成れの果て」という邦題がついた「TENERE TAQQAL」も故郷の惨状を嘆いた歌詞が続かれており強いメッセージ性を感じます。ちなみに「テネレ」とはタマシェク語で「何もない地」もしくは「砂漠」を意味するそうで、この複数形が彼らのバンド名であるTINARIWENだそうです。

これらの歌詞は残念ながら私たちにダイレクトに伝わってはきませんが、それでもその力強いボーカルと演奏からは彼らの伝えようとする想いは伝わってくるよう。彼らの強いメッセージが込められた1枚でした。

評価:★★★★★

TINARIWEN 過去の作品
IMIDIWAN:COMPANIONS
TASSILI
EMMAAR
Live in Paris(不屈の魂~ライヴ・イン・パリ)


ほかに聴いたアルバム

night thoughts/Suede

90年代初頭に絶大な人気を得て、かのブリットポップムーブメントの先駆け的な存在となったイギリスのロックバンドSuede。2003年に解散したものの2010年に再結成。本作は再結成後2作目となるアルバムとなります。

基本的にはミディアムテンポのギターロックがメイン。幻想的で耽美的な雰囲気を堪能できるアルバムで、良くも悪くもSuedeらしさは今も健在となっています。イギリスのアルバムチャートでは最高位6位を記録。アメリカビルボードではなんと自身初となるベスト10ヒットを記録するなど、なにげに再結成後もその人気の健在ぶりを見せている彼ら。確かにその魅力は十分感じられるアルバムで、1度目の解散前の彼らが好きなら十分に楽しめる作品だと思います。

評価:★★★★

Let Me Get By/Tedeschi Trucks Band

ルーツ志向のブルースロックが魅力的な彼らの3年ぶりとなる新作。楽曲はいつも通りブルースやソウルなどを取り入れつつダイナミックなロックサウンドに仕上げている彼ららしい楽曲に。目新しさはないもののバンドのグルーヴ感を十分すぎるほど楽しめる作品で、良い意味で安心して聴けるアルバムになっています。

評価:★★★★

TEDESCHI TRUCKS BAND 過去の作品
Revelator
MADE UP MIND

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