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2017年4月 3日 (月)

25年の歩み

Title:SMAP 25 YEARS
Musician:SMAP

Smap25years

2016年、もっとも日本を騒がせた芸能ニュースといえば間違いなくSMAP解散のニュースでしょう。年初におきた彼らのマネージャーのジャニーズ退社、それに伴う解散騒動、さらには「公開いじめ」とも言われた謝罪劇。結果、8月に正式に解散を発表し、2016年いっぱいをもって25年間続いたSMAPというアイドルグループはその活動に幕を下ろしました。

このアルバムは解散にあわせてリリースされたオールタイムベスト。ファン投票による上位50曲が、3枚組となるCDにそのまま収録されているアルバム。ファン投票の結果そのままというあたりに若干やっつけ感を覚える部分もあるのですが・・・彼らの25年に及ぶ活動を統括した今回のベスト盤。普段はSMAPとかほとんど聴かない私もこのベスト盤は聴いてみることにしました。

そんな訳で興味半分で聴いてみたこのベスト盤。いかにもなアイドルポップ「Can't Stop!!-LOVING-」からスタートした序盤はある種のほほえましさと苦笑いを同居させながら聴いていたのですが、1枚目の中盤あたりからその認識が変わっていきました。SMAPの曲って、こんなによかったんだ、と。

あきらかな転機が「$10」。アイドルポップっぽさが抜けてファンキーに仕上げたこの曲。リアルタイムでも聴いていたのですが、楽曲の雰囲気がグッと大人っぽくなりますし、またいままで似たような声色のユニゾンだったボーカルにメンバー個々の個性が加わってきて、聴いていてどのパートを誰が歌っているのか、ファンでない私でもわかるような構成になっていました。

ここからスタートするDisc1の後半は名曲揃い。リアルタイムでも聴いていた曲ばかりなのですが、あらためて聴くと勢いのあるポップスばかり。ファンクだったりブラックミュージックだったりの要素を隠し味のように入れてきているのもなかなかおもしろく感じます。ご存じ「夜空ノムコウ」は彼ら初のミニオンヒットですが、オールタイムで彼らの楽曲を聴くと音楽的にもこの頃がピークだったんだな、ということを実感できます。

ところがDisc2以降、楽曲が一気につまらなくなります。アイドル冬の時代であまり売れなかった故に挑戦が出来たDisc1と比べると、「国民的アイドル」となったこの頃の曲はあきらかにDisc1に比べると守りに入っているように感じます。Disc1で魅力的だったブラックミュージック的な要素はなくなり、無難なポップ路線の連続。解散にあたりリバイバルヒットをした彼ら最大のヒット曲「世界に一つだけの花」にしても正直個人的には悪い曲ではないと思うけど、SMAPの曲として見ても槇原敬之の曲として見ても傑作とはいいがたいと思うのですが。

実際、彼らのシングルセールスを見ても「$10」あたりから右肩上がりにあがっていき「世界に一つだけの花」でピークを迎え、その後急落していきます。もちろんCDセールス全般の影響を受けている点もあるのですが、彼らの楽曲の出来も、悪くはないものの無難という印象が否めません。

そんな彼らの音楽的な歴史をたどるとひとつ気が付いたことがあります。それはSMAPの歩みがJ-POPというジャンルの歩みにピッタリと重なっているのではないかということ。彼らのデビューした1991年はCHAGE&ASKAの「SAY YES」や小田和正の「ラブ・ストーリーは突然に」が大ヒットした年。ミリオンセールスが連発し、その後のJ-POP全盛期がスタートした年と言えるかもしれません。

そして言うまでもなく、彼らの楽曲に最も勢いのあった1990年代後半はJ-POPの全盛期。ミリオンセールスあたりまえ。200万枚300万枚という売上も続々出てきたのがこの時期でした。しかし「世界に一つだけの花」が大ヒットした翌年の2004年には15年ぶりにシングルでのミリオンセラーがなくなり、その後のJ-POPの凋落ぶりはご存じの通り。もちろんダウンロードセールスなどへの移行も考慮すべきとは思いますが、それを差し引いてもJ-POPというジャンルがSMAPと歩調をあわせるように人気を得て、歩調をあわせるように売上を落としていったことがわかります。

そういう意味では2016年のSMAP解散という出来事、何年後かしたら2016年という年はJ-POPが終わった年、と捉えられるかもしれません。少なくともCDという媒体での音楽のヒットは、SMAP解散と共に終焉を迎えたと言えるかもしれません。

最初、全50曲3枚組というボリューム、お世辞にもうまいとはいえない彼らのボーカルで聴くのは辛いかな、と思っていたのですが、意外とサラッと聴けてしまい十分楽しむことが出来ました。25年の歩みはJ-POPと歩調をあわえていると書いたのですが、彼らの楽曲はその時代時代の流行を積極的に取り入れるというよりは普遍的なポップソングが多いという印象。それだけに普段はジャニーズ系とか聴かない方でも私のように意外と楽しめるアルバムになっているかもしれません。

最後に。いろいろと言われているSMAP解散自体についてですが、個人的には40歳を過ぎたいい大人がいろいろ考えて出した結論なんだから、外野がとやかく言う話ではないと思うんですけどね。そりゃあ、結成数年でまだまだこれからというグループなら残念にも感じますが、25年も活動してきてやるべきことはやったグループなだけに、解散は新たな一歩という意味で決してネガティブにばかり捉えられる話ではないと思います。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

A_B/BOMI

以前見たライブがとてもポップで楽しく、それ以来アルバムをチェックしている女性ソロシンガーBOMI。ただどうもそのライブの楽しさを再現したアルバムがなくいまひとつな作品が続いています。今回のアルバムに関してもエレクトロポップがメインの作品ながら、このジャケット写真を含めて少々「大人」な雰囲気を志向しているようで、楽曲のノリは抑えめ。じゃあそれならそれできちんと聴かせるメロディーがあるのかといわれると微妙で・・・。インパクトが薄く聴いていて印象に残りません。前作「BORN IN THE U.S.A.」は途中に入っている微妙なコントがひどかったものの楽曲自体はキュートなポップが楽しめただけに次のアルバムに期待していたのですが・・・。

評価:★★★

BOMI 過去の作品
キーゼルバッファ
メニー・ア・マール
ビューティフォーEP
BORN IN THE U.S.A.

ETERNALBEAT/ねごと

完全にエレクトロ路線にシフトしたねごとのニューアルバム。この手のエレクトロサウンド自体、若干ありふれているという感もあるものの、最近、続々とデビューしているガールズバンドの中で、ねごとが歩むひとつの方向性としては悪くないのかもしれません。ただ、サウンドはともかくメロディーにいまひとつフックがなく、印象に残らない部分も、もう一癖、彼女たちなりの個性が欲しいところなのですが。

評価:★★★★

ねごと 過去の作品
Hello!"Z"
ex Negoto

"Z"OOM
VISION
アシンメトリe.p

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アルバムレビュー(邦楽)2017年」カテゴリの記事

コメント

SMAPは90年代前半から00年くらいまでジャズやフュージョン系のミュージシャンが楽曲を手掛けていたこともあって、海外での当時のクラブシーンやブラックミュージックの流行を上手くJ-POPに落としこんでましたよね。
「Hey Hey おおきに毎度あり」みたいな謎めいたコンセプトでもサウンド自体はしっかりファンキーだったり、その頃のアルバムもコンセプチュアルでとてもアイドルらしからぬものでした。正直、その辺りのシングルで半分は埋まると思ったので結構ランクイン逃してるものが多くて勿体無いなと思いました。
世界に~の大ヒットで国民的アイドル像が出来上がってしまったのか、以降の楽曲はアイドルとして無難なものだったり、メッセージ性が強くなりすぎてどうかなと思うものもあったり…。ファンからしたら音楽的に凝った曲よりも如何にもアイドルみたいなものを求めた結果のこの内容なのかなぁと考えると、ちょっと残念に思いました。

投稿: 亮 | 2017年4月 4日 (火) 02時59分

>亮さん
そうなんですよね。90年代の楽曲はブラック色が強いみたいで今聴くととても魅力的。なにげにこの時代のSMAPの曲はもっと聴いてみたくなりました。
ただ確かに今回人気投票で1位になった曲とかも、楽曲的にはそこまでいい曲かなぁといった感じですし、ファンが求める音楽性はそういう凝った方向性とは違うのかもしれません。国民的アイドルグループとしては仕方ないのかもしれませんが、ちょっともったいない感じもします。

投稿: ゆういち | 2017年4月 4日 (火) 23時59分

確かにブラックミュージックのエッセンスを保ったままで音楽活動していたら何か違っていたかも

投稿: ひかりびっと | 2017年4月 5日 (水) 17時50分

ゆういちさん、こんばんは。

これはあくまでも個人的な持論ですが、SMAPが男女問わずアイドル界隈にもたらした最大の功績(功罪?)は、

“アイドルがアーティスティックな楽曲をやってもいいんだ”

っていう制作サイドの意識の改革だと僕は思います。

Perfumeやももクロなどといった音楽ファンに受けるアイドルが生まれたのも、直接的ではないにせよSMAPという先人の影響があったのではと僕は思っています。

あと、世界~の大ヒット以降もアルバムでは、THE BAWDIESのROYや凛として時雨のTKなどのミュージシャンを作家として起用するなどチャレンジは続けてきたんですけどね…新たなSMAP像を見せるとまではいかず残念です。

長文失礼いたしました。

投稿: 通りすがりの読者 | 2017年4月 6日 (木) 01時03分

>ひかりびっとさん
そう、90年代後半の方向性を維持してくれればもっとおもしろい曲がリリースできたと思うんですけどね。

>通りすがりの読者さん
ここ数年の曲に関してはなにげに新しい作家陣の曲も多くちょっと盛り返してきたように感じたんですけどね。ジャニーズ人気No.1の座を事実上嵐に譲って、音楽的に自由に活動できるようになったからかもしれません。それでも90年代後半の勢いを取り戻すまでにはいきませんでしたが・・・。

投稿: ゆういち | 2017年4月 8日 (土) 23時23分

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