ソロ2作品の共通項と相違点
本日はほぼ同時期にリリースされたB'zの2人によるソロアルバム2作品を紹介。どちらも海外のミュージシャンとのコラボ作となっており、対比的な作品となっています。
Title:CHUBBY GROOVE
Musician:INABA/SALAS
Title:Electric Island,Acoustic Sea
Musician:Tak Matsumoto&Daniel Ho
このB'zメンバーによるソロアルバム2作。共通項としてはどちらも海外のミュージシャンとのコラボ作となっているという点。稲葉浩志はアメリカのギタリストでミックジャガーやロッドスチュワートとのセッションも経験しているスティーヴィー・サラスとのコラボ。松本孝弘はハワイ音楽部門でのグラミー賞獲得も経験しているダニエル・ホーとのコラボとなっています。
楽曲的にもハードロック色の強いB'zの楽曲からするとポップな作風となっているという点でも共通項と言えるでしょう。ただB'zの楽曲からの距離感としてはかなり異なる対照的な2作になっていました。
稲葉浩志ソロの方はいわばB'zの延長線上のような音楽。ただし松本孝弘のギターをスティーヴィー・サラスに置き換えたアルバム・・・ではありません。ちょっとビックリしたのが全体的にエレクトロサウンドを前面に出した打ち込み主導の作品となっていること。ファンキーなリズムをところどころで聴かせてくれるのですが、エレクトロサウンドが軽快でポップ色が強いアルバムになっています。
このシンセサウンドが前に出ているポップなロックナンバーというスタイル、イメージとしてはかなり初期B'zのスタイルに近いものを感じます。例えば「AISHI-AISARE」などまさにデビュー当初のB'zというイメージ。へヴィーなギターサウンド主導のハードロックというイメージがすっかり構築されてしまったため忘れられてしまったB'zの原点。原点回帰を意図したかはわかりませんが、B'zらしいロッキンなリズムのメロディーとB'zのイメージを色濃く残す稲葉浩志のボーカルを入れつつ、ここ最近のB'zではできなくなってしまったシンセ主導のポップチューンを出したアルバムになっています。B'zの延長でありつつB'zではできないことをやる・・・ある意味、ソロアルバムらしいソロアルバムといった感じがします。
初期からのB'zリスナーとしてはちょっと懐かしさを感じつつ、軽快なシンセサウンドが素直に楽しめるポップスロックのアルバムに仕上がっていました。若干チープさもあるのですが、45分というちょうど良い長さのためだれずに最後まで楽しめるアルバムでした。
一方、松本孝弘のソロはB'zで聴かせるハードロックな作風からガラリとイメージを変えたアルバム。B'zの延長線上だった稲葉浩志の作品と比べるとあきらかにB'zとは全く異なる方向性を意図したアルバムだったと思います。まあコラボしたギタリストもハワイアンというB'zとは全く違う土俵のミュージシャンですしね。
ただ・・・正直言ってつまらない・・・松本孝弘のソロ前作「enigma」も大型ショッピングセンターでBGMとして流れていそうな全くひっかかりのないフュージョンだったのですが今回のアルバムもまさしくそんなイメージ。フュージョン的な色合いは薄くなったのですが、ハワイ音楽のギタリストとのコラボといってもハワイアン的なイメージも少なく、かといってハードロック色も薄く、特にひっかかりもないギターアルバムになっていました。
特に和風のアイコン的にところどころ三味線の音が入ったりするのですが、和風のイメージとしていかにもな使われ方があまりにも陳腐・・・アルバム全体としてもこれといったおもしろいアイディアも感じられる、さらっと流して聴けてしまうような、まさしくショッピングセンターあたりのBGMで流れていそうなアルバムになっていました。
うーん、松本孝弘は基本的にハードロックのギタリストなのかなぁ。Larry Carltonとのコラボ作が傑作だっただけに今回も海外のギタリストとのコラボということで期待はしていたのですが残念ながら期待はずれの作品でした。残念です。
評価:
CHUBBY GROOVE ★★★★★
Electric Island,Acoustic Sea ★★★
稲葉浩志 過去の作品
Hadou
Singing Bird
TAK MATSUMOTO 過去の作品
TAKE YOUR PICK(Larry Carlton&Tak Matsumoto)
Strings Of My Soul
New Horizon
ほかに聴いたアルバム
Free Will/PLAGUES
ベテランロックバンドの約4年3カ月ぶりとなる新作。長いキャリアの持ち主なだけに、非常に安定感あるオルタナ系ギターロックを聴かせてくれます。決して目新しさはないのですが、メロディアスなメロディーラインが魅力的。分厚さもある骨太のギターサウンドも安定感がありカッコいいです。楽曲によってはロックンロールナンバーやブルース色の強いナンバーなどバリエーションも備え、ベテランバンドとしての底力を感じさせてくれました。
評価:★★★★★
PLAGUES 過去の作品
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