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2017年4月

2017年4月30日 (日)

小室哲哉らしさ満載

Title:Tetsuya Komuro JOBS#1
Musician:TETSUYA KOMURO

小室哲哉の楽曲というと、かつては時代の一歩先を走る楽曲をポップにまとめあげている点が大きな特徴でした。最近、この曲だけが収録されたアルバムがリリースされた「Get Wild」は今から聴くとJ-POPの原点的な楽曲になっていますし、なによりTM NETWORK自体、当時ではまだ珍しかったデジタルサウンドをバリバリと取り入れて、非常に近未来テイストあふれる楽曲に聴いていてワクワクしたものです。

その後の小室系ブームの時も、いまから振り返るとブラックミュージックの要素を強く取り入れ、小室系の後にやってくるR&Bブームを先取りしたような楽曲が多かったことに後から聴くと気が付かされます。このように時代の先端を行っていた小室哲哉ですが、ただ小室系ブームが終わった後は残念ながら完全に迷走してしまった感がありました。

トランスやアンビエントなどを取り入れてそれなりに最先端の音楽をつくろうとする意欲は感じたものの、いまひとつ方向性はチグハグ。正直なところ、最先端の音楽をキャッチアップしようとして無理をして空回りしている、そんな印象すら受けました。その結果、小室系人気は一気に収束。例の詐欺事件にまで落ちぶれてしまいます。

しかしその後の小室哲哉の楽曲はむしろかなり吹っ切れたような印象を受けます。詐欺事件での逮捕後に彼が提供した楽曲はそれなりに今風の音にキャッチアップしつつ、小室哲哉の彼らしい耳なじみやすいキャッチーなメロディーがしっかりと流れるポップな曲がメインとなり、無理に時代の一歩先を進もう、とするような姿勢がなくなり自然体の姿が目立つようになりました。

今回のアルバムは彼がここ最近発表したタイアップ曲や他のミュージシャンとのコラボ曲を集めた、タイトル通り彼の「お仕事」をまとめたアルバム。そもそも逮捕後にリリースされた彼のソロアルバム「Digitalism is eating breakfast 2」や「DEBF3」も彼らしい人なつっこいポップな曲が集まっていましたが、今回のアルバムに関してもファンなら顔がゆるむような、これぞ小室節といった楽曲が並んでいます。

たとえばかのtofubeatsが参加した「#RUN」など90年代小室系全盛期を彷彿とさせるようなガールズポップナンバー。ボーカルとして神田沙也加が参加しているのですが、彼女のボーカルもいかにも小室系のボーカリストっぽいハイトーンボイスとなっており、時代が時代なら彼女、小室系の一員としてデビューしていたかも?大森靖子をボーカルとして迎えた「rever」も均等な四分音符で展開するAメロ部分といい、そこからちょっと雰囲気をかえてくるサビへの展開といい、実に小室哲哉らしい楽曲展開になっています。

タイトルからしてタイアップ曲の「Song for ALPINE SKI WORLD CUP 2016」など最初の一音から小室哲哉だ!とわかるほど癖が強い出だしが特徴的。ワンフレーズ披露した後に転調して同じフレーズを繰り返す構成も彼らしい感じ。楽曲は今風のEDMで、良くも悪くも流行にのっかかったサウンドなのですが、ほどよく今の音を取り入れている点も心地よさを感じます。

楽曲的には良くも悪くもベタな感じで、サウンド的にも時代に寄り添っているというイメージでかつての彼のような一歩先に出ているという印象は受けません(むしろEDMに関してはちょっといまさら感も否定できません)。ただ、ファンならにやりとしてしまう小室哲哉らしさ満載の楽曲が続いており、聴いていて素直にうれしくなってしまいます。小室哲哉がきちんと彼の良さに向き合って、素直に楽曲にその良さを取り入れたといった印象を受ける楽曲ばかり。楽曲的には目新しさがないので4つといった感じでしょうが、聴いていて素直に楽しめたという意味で以下の評価に。ちなみに新進気鋭のトラックメイカーのtofubeatsや、ヒャダインとのコラボもありますが、楽曲的には小室哲哉カラーになっているあたり、まだまだだなぁ、なんてことも感じてしまいました(笑)

評価:★★★★★

Title:Tetsuya Komuro JOBS#1(INSTRUMENTAL)
Musician:TETSUYA KOMURO

で、こちらは同時リリースされた上記アルバムのインスト盤。といっても、元のアルバムもインスト曲が多数収録されていますし、それ以外の曲に関してもしっかりとサウンドが目立つようになっているだけに、このアルバムで新たに気が付いたような点はあまりなし。サウンド的にはベタな今風のエレクトロサウンドがメインなので、聴き入ってどうこうといった感じでもありまえんし、熱心なファン向けアイテムといった感じでしょうか。だからこそ配信オンリーでのリリースなんでしょうが・・・。ファンが余力があれば、といった感じのアルバムでした。

評価:★★★

小室哲哉 過去の作品
Digitalian is eating breakfast 2
Far Eastern Wind-Complete
DEBF3
TETSUYA KOMURO EDM TOKYO


ほかに聴いたアルバム

脈拍/ムック

ミニアルバムだった前作「T.R.E.N.D.Y. -Paradise from 1997-」から約1年半ぶりとなるニューアルバム。ベタな曲も少なくありませんが、歌謡曲テイストの哀愁感あるメロディーを聴かせつつ、ガレージやへヴィーロック、またアシッドジャズ風な曲があったりトライバルな曲があったりとバラエティー豊か。メジャーデビューから14年が経過したベテランの域に入って来たバンドながらもここ最近、アルバムをリリースする毎に良くなっているように感じるだけに、今後が楽しみです。

評価:★★★★

ムック 過去の作品
志恩
球体
カルマ
シャングリラ
THE END OF THE WORLD
T.R.E.N.D.Y.-Paradise from 1997-

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2017年4月29日 (土)

映画を見たけどDVDも購入!

今年はじめ、映画も見てきたのですがDVDも買ってしまいました!

今年はじめに公開されて話題となったoasisのドキュメンタリー映画「oasis:supersonic」。oasisの結成前夜から、それこそギャラガー兄弟の幼少期の話にまで遡り、最後は1996年のネブワースでのライブまでを描いたドキュメンタリー。よくこんな映像が残っていたな、という貴重な映像の連続に思わず目をみはる内容になっていました。また構成としてもインタビューや当時の貴重な映像などをつなぎつつ、足らない部分にはアニメーションを積極的に用いるなど見ていて飽きさせない映像になっており、非常におもしろい映画となっていました。

今回、DVDを購入しあらためて映画を見なおしたのですが・・・まあ、見直した感想としても基本的に以前、映画のレビューとして書いていた内容と大きくは変わりません。

映画を見た直後のレビューはこちら

ただ映画であらためて感じてしまったのは初期に解雇されたオリジナルドラマーのトニー・マッキャロルがかわいそう・・・ということ。デビュー時にすでに妻子がいて、子供を食わせていくために活動しなければいけなかった点、他のメンバーと違っていたという証言もおなじ妻子持ちには身につまされる発言だし、その後のメンバーからのある種のいじめもかわいそうに感じてしまいます。もっともドラムに対する向上心がないなど、彼自身も問題が大きかったようですが・・・。

映画の方はもちろん2度見ても十分すぎるほど楽しめる内容。特にノエル加入前の楽曲が流れてくるのですが、この曲はフルで聴きたいなぁ・・・と改めて思ってしまいます。ただ、DVDであらためて聴くと、短いフレーズでしたがやはりoasisの曲と比べるとかなり拙さを感じてしまうのですが。

ちなみに特典映像としてはこの映画に関して、リアム・ギャラガーと監督のマット・ホワイトクロスをまじえてのQ&Aセッション。20分以上に及ぶ長さになっていて、この映画に関しての裏話もいろいろと飛び出してなかなか興味深い内容になっています。途中、なんと観客席にいたボーンヘッドも飛び入り参加!リアムとボーンヘッドが並んでいるというのはやはりなんかうれしいものがあります。

このQ&Aセッションではリアムがノエルのことについて聴かれて「あの野郎、いまごろ豆腐食っている」なんて発言が飛び出したりしています。なんかの雑誌で見かけたんですが、イギリスでは「豆腐」というと「セレブが食べている気取った食べ物」みたいなイメージらしいんですよね(このQ&Aセッションに関しての紹介記事で書いてあったような記憶が)。日本人にとっては庶民の食べ物の代表のような「豆腐」の使われ方に違和感を覚えたりします。

特典セッションのもう1つはリアム・ギャラガーの日本独占インタビュー。こちらはたった2分程度の内容で、中身的にもあまり実のある内容ではなく期待はずれな感じが。ちょっと残念です。

全体的にはQ&Aセッションに関しては興味深かったものの、DVD特典についてはもうちょっと充実させてほしかったかな、といった印象もあります。Q&Aセッションの中で使われなかった映像もいろいろあるような話をしていたのですが、そういう未収録映像などをまとめたディレクターズカット版を見たかったな。

そんな訳で、映画を見ていないoasisのファンの方にとってはこのDVD、必見の1枚だと思います。映画を見た方ももちろん何度見ても楽しめること受けあい。ただ、特典だけはちょっと残念。Q&Aセッションはなかなか興味深かったのですが。

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2017年4月28日 (金)

しっかりと「外」も意識

Title:DANCE TO YOU
Musician:サニーデイ・サービス

再結成後は比較的マイペースな活動を続けているサニーデイ・サービス。本作はそんな彼らの約1年10カ月ぶりとなるニューアルバム。製作途中にドラムスの丸山晴茂が体調不良によりサニーデイの活動から離れるといった出来事があり、制作期間もバンド史上最も長い期間が費やされて完成されたアルバムに。ただ、その苦労が報われた傑作アルバムに仕上がっていました。

ここ最近、R&Bやブラックミュージックの要素を取り入れてポップにまとめあげたシティポップのバンドが多く評判を得ていますが、今回のサニーデイはその音楽的要素をシティポップ寄りに大きくシフトしています。いかにも都会的でちょっとエロチシズムを感じるジャケットのイラストもそんなサウンドを象徴するようなものとなっています。

軽快な打ち込みのリズムにちょっと物憂げなボーカルがのる「冒険」などはまさにシティポップへのシフトチェンジを大きく感じる作品でしょう。メロウなメロディーが特徴的ながらもサビの歌詞が妙にインパクトがある「血を流そう」なんかもシティポップ風な楽曲に仕上がっています。このアルバムの中でもっともシングル向けで(実際にリカットされていますし)、良い意味で売れそうなメロディーラインがインパクトある「桜 super love」も爽やかなメロディーが心地よいシティポップな楽曲になっています。

もっとも「シティポップにシフト」という表現を使いましたが、もともとからサニーデイ・サービスは大きな括りではシティポップと評されていたことも多かったバンド。今回の作品では活動再開後の2作品にみられたアコースティック色が薄れ、なおかつ打ち込みを取り入れたことにより、よりシフトチェンジというイメージが強くなった側面もあります。実際、メロディーはなんだかんだいっても曽我部恵一の色は濃く残っていますし、アコギからスタートし哀愁感ある歌謡曲色の強い「セツナ」は初期からのサニーデイの雰囲気をそのまま残しています。

ただ今回の作品、再結成後の2作品とは大きく異なる部分がありました。それはここ最近の作品で強く感じた内向きな雰囲気が全く消えてしまったという点でした。シティポップという最近の流行を追っているという点からまず外向きな姿勢を感じるのですが、楽曲自体がきちんとリスナーを意識してインパクトある作品を聴かせようという姿勢を強く感じます。この作品に関するインタビュー記事で、サラッとつくってしまった前作に比べて「作品作りって、これぐらい大変なんだな」ということを感じたという話をしていましたが、そんな苦労があったからこそなあなあな雰囲気で内向きな作風とならずきちんと広いリスナー層を意識したような作品に仕上がったのではないでしょうか。

ジャケットはどこか暑苦しい雰囲気なのですが、アルバム全体としても「夏」をイメージできるような内容に。爽やかそうなメロディーラインの中に、どこかネチッとした熱を感じるアルバムになっています。この熱量がここ最近のサニーデイ、もっと言ってしまえばサニーデイ解散後の曽我部恵一作品には欠けていた要素。作風的にはちょっと変わったかもしれませんが、内容的には昔のサニーデイが戻って来た、そうとも感じられる傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

Title:桜 super love
Musician:サニーデイ・サービス

で、こちらは「DANCE TO YOU」のメイントラック、「桜 super love」を1曲目にもってきたEP盤。ただし純然たる新曲は2曲のみ。残りは「桜 super love」のリミックスとインスト版、さらには「DANCE TO YOU」収録曲のライブ版に、ちょっとうれしいのはシングル「苺畑でつかまえて」のカップリングでアルバム未収録だった「コバルト」がライブ版ですが収録されています。

新曲2曲に関しては「DANCE TO YOU」の延長線上にあるような作品なのですが、より爽やかな雰囲気の気持ちよいポップチューンに。「DANCE TO YOU」が「夏」がイメージされるようなアルバムだったのに対して、こちらのアルバムは「桜 super love」をはじめ、「春」をイメージされる作品となっていました。

全5曲収録されているライブ音源も魅力的。こちらはオリジナルアルバムに比べてさらにバンド色が強くなり力強い演奏を楽しめる、ある意味サニーデイ・サービスのロックバンドとしての側面を感じられる音源となっています。ちなみに「セツナ」はライブ音源が2バージョン収録。どちらもアレンジ面では大きな差はないものの、2曲目の方がよりアグレッシブな演奏が聴ける内容になっており聴き比べも楽しそうです。

サニーデイのリスナー層のハートに直撃しそうな岡崎京子のジャケット写真も実に魅力的で印象的。「DANCE TO YOU」に引き続き、しっかりと広いリスナー層をきちんと意識した外向きを感じられるアルバムになっていました。「DANCE TO YOU」だけではなくこちらもきちんとチェックしておきたい1枚です。

評価:★★★★★

サニーディ・サービス 過去の作品
本日は晴天なり
サニーディ・サービス BEST 1995-2000
Sunny


ほかに聴いたアルバム

LEGENDオブP-VINE日本語ラップMIX/LEGENDオブ伝説 a.k.a. サイプレス上野

サイプレス上野とロベルト吉野としても活動しているサイプレス上野がDJを行う時の名称、LEGENDオブ伝説。その名前の通り、HIP HOPの「レジェンド」の曲を流しているのですが、本作はレコード会社P-VINEの設立40周年を記念してリリースされたDJ Mix盤。P-VINEからリリースされたHIP HOPの楽曲をミックスした作品となっています。

基本的にはハードコア寄りの作品が多く、アルバム全体としての流れはズッシリと重い感じ。前半はコミカルな作品やアップテンポな作品も並ぶのですが、後半はどんどんとへヴィーになっていきます。ただ最後は再びリズミカルな作品で締めくくり、選曲された楽曲は決してキャッチーな作品ではないものの選曲には惹かれるものがありますし楽曲の流れも非常に上手いものを感じます。日本のHIP HOPの歴史を垣間見れるミックス盤です。

評価:★★★★

LEGENDオブ伝説 a.k.a. サイプレス上野 過去の作品
LEGEND オブ 特選MIX

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2017年4月27日 (木)

サントラ盤が目立つチャート

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

最近は比較的珍しくないのですがサントラ盤が目立つチャートとなっています。

まず1位はKinki Kidsの堂本光一「KOICHI DOMOTO 『Endless SHOCK』Original Sound Track 2」。彼が主演をつとめるミュージカルのサントラ盤でこれが第2弾。2006年にリリースされた第1弾は、ミュージカルのサントラとしては史上初の1位獲得として話題となったそうです。初動売上は7万6千枚。ソロ前作「Spiral」の7万枚(2位)より若干アップ。2006年にリリースされた第1弾は初動9万1千枚(1位)。ここ10年のCDアルバム売上の変化から考えると大健闘の結果でしょう。

このアルバムからはじまり今週は4位に「ハイキュー!! COMPLETE BEST」がランクイン。こちらはTBS系アニメ「ハイキュー!!」の主題歌を集めたサントラ盤。NICO Touches the WallsやSPYAIRなど今時のオルタナ系ロックバンドが数多く参加しています。さらに7位には先週6位に初登場でランクインした「ワイルド・スピード アイスブレイク」がワンランクダウンでベスト10をキープ。こちらは映画のサントラ盤ですね。今週はこのようにサントラ盤が目立つチャートとなりました。

さて上位に戻ります。2位初登場は韓流。WOOYOUNG(From 2PM)「Party Shots」が入ってきています。こちらはK-POPの男性アイドルグループ2PMメンバーによるソロアルバム。以前、ソロシングルをリリースしたことはありますがアルバムはこれがはじめてとなります。初動売上2万4千枚を売り上げてこの位置。

3位はタレント上地雄輔のミュージシャン名義遊助による「あの・・いま脂のってるんですケド。」がランクイン。今、もっとも癇に障るタイトルですね、彼のアルバムタイトルは。初動売上は1万枚。前作「あの・・こっからが楽しんですケド。」の1万4千枚(8位)からダウンしています。

続いて4位以下の初登場盤です。9位初登場我らがミッチー!(笑)及川光博「FUNK A LA MODE」がランクイン。ちょっと意外な感じもするのですが、彼のアルバムがベスト10入りするのは1999年の「欲望図鑑」以来17年9カ月ぶり(!)という結果になっています。彼の場合、俳優としてもコンスタントに活動しており、アルバムもベスト10入りはしないものの20位~30位圏内には入ってくるだけにこれだけ久々というのは意外な感じもします。もっとも初動売上は4千枚とかなり低水準なチャートに助けられてのベスト10入り。前作「パンチドランク・ラヴ」の6千枚(12位)からもダウンしています。

最後10位には「ドラマCD『抱かれたい男1位に脅されています。0章』高人さん誕生日おめでとうセット」がランクイン。いわゆるボーイズラブのコミックを元にしたドラマCDで初動4千枚でベスト10入り。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2017年4月26日 (水)

今週はジャニーズ系

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

ここ最近、AKB系の1位が続いていましたが今週はジャニーズ系が1位を獲得です。

今週1位は嵐「I'll be there」が獲得。フジテレビ系ドラマ「貴族探偵」主題歌。CD販売・ダウンロード・スクリーミング数(以下「実売数」)、PCによるCD読取数、Twitterつぶやき数1位と強さを感じる反面、ラジオオンエア数は28位にとどまっています。先週の61位からCDリリースにあわせてのランクアップ。オリコンではもちろんこの曲が1位獲得。初動39万3千枚は前作「Power of the Paradise」の42万2千枚(1位)からダウンしています。

2位は倉木麻衣「渡月橋~君、想ふ~」が先週の9位からランクアップ。ベスト10入り2週目にしてベスト3入りをしています。ラジオオンエア数37位、Twitterつぶやき数32位にとどまり、PCによるCD読取数は9位ですが実売数で2位を獲得。ダウンロード販売が好調なようでロングヒットの可能性も。

3位は先週2位の欅坂46「不協和音」がワンランクダウンでこの位置です。

続いて4位以下の初登場曲です。4位にTHE RAMPAGE from EXILE TRIBE「FRONTIERS」が初登場でランクイン。ミュージシャン名義通り、EXILE系の男性ボーカルグループ。本作が2作目のシングルとなります。ただメンバーの雰囲気やダイナミックなエレクトロチューンという楽曲の雰囲気といい事実上、アイドルグループといった感じか。ラジオオンエア数24位、Twitterつぶやき数30位、You Tube再生回数99位と奮わず、PCによるCD読取数も10位にとどまりましたが、実売数では3位を獲得しこの位置に。ちなみにオリコンでは初動2万9千枚で3位初登場。前作「Lightning」の7万2千枚(2位)より大きくダウン。

5位には多田李衣菜(青木瑠璃子),木村夏樹(安野希世乃)「Jet to the Future」が初登場でランクイン。ゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」からのキャラソン。実売数5位、PCによるCD読取数3位以外はすべてランク圏外というのがこの手のキャラソンらしい傾向。オリコンでは同作収録の「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS STARLIGHT MASTER 10 Jet to the Future」が初動3万9千枚で2位初登場。同シリーズの前作島村卯月(大橋彩香),小日向美穂(津田美波),五十嵐響子(種崎敦美)「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS STARLIGHT MASTER 09 ラブレター」の5万2千枚(2位)よりアップ。

8位には椎名林檎とトータス松本「目抜き通り」がこちらも初登場でランクイン。配信限定でのリリースで実売数6位、ラジオオンエア数15位、Twitterつぶやき数13位。銀座に完成した商業施設「GINZA SIX」のテーマソングだそうです。楽曲は完全に椎名林檎の世界観の明るいレビュー風のナンバー。正直、トータス松本は単なる「コーラス」に近い感じで、音楽性が異なる2人の融合を期待していたのですが、ちょっと残念な感じでした。

初登場最後は10位。Ariana Grande,John Legend「Beauty and the Beast(邦題 美女と野獣)」。日本でも話題の映画「美女と野獣」のテーマソング。この映画は1991年公開のアニメ映画の実写版で、本作もアニメ映画の主題歌のカバー。ちなみに女性シンガーと男性のソウルシンガーのデゥオという組み合わせは奇しくも椎名林檎とトータス松本のデゥオと同じ組み合わせですね。2月20日付の初登場以来、徐々にランクをあげ、9週目にしてついにベスト10入りしてきました。

今週の初登場は以上ですが、続いてはロングヒット曲の動向。まず星野源「恋」。今週は5位にランクインし、先週から同順位をキープ。実売数は14位までランクダウンしましたが、You Tube再生回数では1位をキープしており、まだまだ根強い人気が続いています。Austin Mahone「Dirty Work」も先週と同順位の7位。実売数7位、You Tube再生回数4位とこちらも根強い人気をキープしています。

今週のHot100は以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2017年4月25日 (火)

「50祭」のテーマ曲をまとめた企画盤

Title:半世紀No.5
Musician:UNICORN

2009年の川西幸一からはじまり、昨年のABEDONまで続いたメンバーが50歳になった記念で行われた「50祭」。毎回、それぞれの「50祭」のテーマ曲が2曲ずつ披露されてきましたが、全メンバーの「50祭」が終わり、テーマソングをすべて集めたアルバムがリリースされました。

基本的にテーマ曲2曲。メインボーカルを主役がつとめ、1曲はその本人が基本的に作詞作曲。あと1曲はそれ以外のメンバーによる作詞作曲という形なっています。そのテーマ曲はメンバーそれぞれが本人のやりたいジャンルで好きなように楽曲を制作。もう1曲もおそらくメンバーのイメージに合ったような楽曲。かなりユニークなお遊び曲が多いのですが、多種多様なジャンルに挑戦したUNICORNというバンドの懐の深さを感じさせるアルバムになっています。

例えば川西幸一のテーマ曲「半世紀少年」はなんとラップに挑戦。エレクトロトラックが気持ちいい楽曲なのですが、途中、いきなり合唱曲になったりするのが非常にユニーク。続く「川西五〇数え唄」は民謡の数え歌風。あえてフィールドレコーディングという形をとっているところがユニーク。民謡って、この手のフィールドレコーディングによる録音が多いんですよね。完全に遊びの曲なのですが、その中でも彼らのこだわりを感じます。

キングクリムゾンの空耳風カバー「新甘えん坊将軍~21st Century Schizoid Man」もユニークですし、EBIのテーマ曲「TAIRYO」はオイパンクと演歌を融合させたユニークなナンバー。かと思えば「RAINBO N°5」はラテン風マンボと統一感は全くありません。

そんな中でもやはり耳を惹くのが奥田民生の「私はオジさんになった」。彼らしい脱力感をおぼえるユーモアセンス満載の歌詞ながら楽曲は渋いブルースロック。ある意味、もっとも「50歳らしさ」を感じる曲かもしれません。ラストのABEDON「50/50」も聴かせるピアノバラードで、アルバムの最後を締めくくり。こちらもその実力を感じさせます。

今年リリースされたアルバムの中で、純粋に「楽しさ」という要素だけで順位付けしたとしたら間違いなくダントツ1位はこのアルバムだと思います。もちろん遊び曲が多いといってもそれらの曲を含めても十分なクオリティーや独創性はあり、そういう点を含めても本年指折りの傑作だと思います。再結成後はメンバーそれぞれやりたいことを自由に演ったようなアルバムや曲が多いのですが、この「50祭」のテーマ曲はその極みともいえるかもしれません。UNICORNにしかつくれない大人の遊びのアルバムでした。

評価:★★★★★

ユニコーン 過去の作品
シャンブル
I LOVE UNICORN~FAN BEST
URMX
Z
ZII
Quarter Century Single Best
Quarter Century Live Best

イーガジャケジョロ
ゅ13-14


ほかに聴いたアルバム

俺でいいのかい~港カヲル、歌いすぎる~/港カヲル

グループ魂の司会者、ボーカルの港カヲル(=皆川猿時)のソロデビューアルバム。はっきりいって「ネタ」アルバムで、全12曲中6曲がカバーで他6曲はコント的なコミックソング。カバーに関してはGLAYの「HOWEVER」やゴスペラーズの「ひとり」などをカバーしていますが、中年おやじがカラオケで(無理して)歌っている感じ。まあ、この中年おやじのカラオケ風のカバーを含めて「ネタ」なわけで、グループ魂が好きなら「ネタ」を含めて楽しめる感じ。ただ一方、グループ魂を全く知らずにこのアルバムから入るような方にとってはかなり厳しい作品かも。またさすがにネタとはいえ中年おやじのカラオケを2回3回繰り返し聴くのはちと厳しい面も(^^;;「ネタ」として楽しめたという意味では★★★★★の内容ですが、純粋にアルバムの内容としては以下のような感じで・・・。

評価:★★★

We Are X Soundtrack/X JAPAN

3月より公開されたX JAPANのドキュメンタリー映画「We Are X」のサントラ盤。基本的に映画のサントラ盤のため新曲は「La Venus-Acoustic Version-」「Without You-Unplugged」のみ。どちらもバラードナンバーで良くも悪くもX JAPANらしい楽曲。ライブ音源含めファンには満足できそうな内容ですが、ファン以外ならちょっと物足りなさを感じるかも。楽曲もベスト的な内容ながらも映画収録曲を集めたためか若干バラード寄りの内容になっています。

評価:★★★★

X JAPAN 過去の作品
THE WORLD~X JAPAN 初の全世界ベスト~

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2017年4月24日 (月)

ポップな3バンドが集結

東京再起動ツアー~TALTO ナイト編~

東京カランコロン/SAKANAMON/マカロニえんぴつ

会場 池下CLUB UPSET 日時 2017年4月14日(金) 19:00~

今日は池下CLUB UPSETで行われたライブイベントに行ってきました。お目当ては東京カランコロン。以前から彼らのライブには一度足を運んでみたかったのですが、ちょうどよいタイミングでこのライブイベントが開催されたのでさっそく出かけてきました。

池下CLUB UPSETは今回はじめて足を運んだライブハウス。池下駅からすぐ近くなのですが雑居ビルの5階に位置しており、大きな看板もないためはじめて行くと非常にわかりづらい場所でした。

今回、19時をちょっと過ぎた頃に会場に到着。既に一番手、マカロニえんぴつのライブがスタートしていました。5人組のロックバンドなのですが音を聴くのはもちろん名前も今回のライブではじめて聴いたミュージシャンでした。

楽曲は比較的分厚いギターサウンドをベースとしつつもポップで聴きやすいメロディーを奏でるポップスロックバンド。会場は結構盛り上がっておりファンも少なくない感じでした。ポップなメロディーラインはそれなりに印象に残り純粋に楽しめるバンドだったと思いますが、バンドとしてこれといった個性が薄かったような印象も。良くも悪くもこれからのバンドかな、という印象を受けました。

彼らのステージは約30分程度で終了。セットチェンジの後に登場してきたのが2番手、SAKANAMONでした。彼らは何枚かアルバムも聴いており今回も楽しみにしてきたバンド。SUPER BUTTER DOGの曲にのって登場。ステージ上では魚の頭を持った人形がたっており(マスコットキャラクターだそうです)いきなりユーモラスな雰囲気を醸し出していました。

楽曲はストレートなギターロックだったのですが、少しひねくれたメロディーラインが魅力的。新曲「クダラナインサイド」を披露した後、「Utage」ではアップテンポなディスコチューンとなり会場が盛り上がります。続く「TUMANNE」もアップテンポなギターロックナンバーで会場のテンションはさらにあがります。とにかくハイテンポな曲の連続でメロディーラインのちょっとひねくれたポップさ加減も気持ちよい感じ。CDで聴くよりもよりライブ映えしていることを感じました。

最後は5月にリリース予定のアルバム「cue」より「テヲフル」で締めくくり。いままでのダンサナブルなナンバーから一転、聴かせるミディアムチューンで彼らの違う魅力をみせつつ40分程度のステージは幕を下ろしました。

そしてラストは待望の東京カランコロンが登場!今回はじめてステージを見たのですが、まずはせんせいがかわいい(笑)。「せんせい」というニックネームから由来しているのか、ピアノの「起立礼着席」の合図でライブがスタートです。

ライブは序盤からいきなり「16のbeat」「恋のマシンガン」「シンクロする」とおなじみの代表曲の連続で一気に盛り上がります。CD音源と同様、ワクワクするようなポップチューンが魅力的。微妙に複雑さのあるリズムとツインギターにキーボードも加えるという分厚いサウンドがライブではより魅力的に楽曲とマッチしていました。

途中MCを挟み、5月にリリース予定のシングル「ビビディバビディ」を披露。最初はいちろうとせんせいのツインボーカルでのハーモニーからスタート。マイナーコードのムーディーで怪しげな雰囲気からスタートするのですが、サビでは転調し、明るいアップテンポな曲調に変わるという展開もおもしろい、彼ららしいワクワク感のあるポップチューン。一度で聴いて十分楽しめる楽曲になっていました。

続く「少女ジャンプ」ではSAKANAMONのボーカル藤森元生とマカロニえんぴつのボーカルはっとりが登場。せんせいのパートをこの2人が裏声で歌うというユニークなコラボで盛り上がります。そして本編ラストは「東京ダイブ」で締めくくり。最後の最後までアップテンポな曲が続く大盛り上がりのステージとなりました。

その後はアンコールへ。アンコールではこちらも新曲「イーアールサンスー」。こちらもアップテンポでポップなナンバー。一度聴いただけで一気に気に入りました。そして最後はこの日のメンバー全員がステージ上に登場し、観客を含めてみんなで写真撮影。全編約2時半半のイベントが幕を下ろしました。

この日は東京カランコロンのライブツアーであると同時に、東京カランコロンが所属するTALTOというレーベルのミュージシャンが集結したイベントだったようです。そのため東京カランコロンのライブとその前座・・・という立ち位置ではなかったため、東京カランコロンのステージは予想していたよりも短め。それはちょっと残念でした。

しかし、この東京カランコロンのライブが予想以上に楽しいライブでした。時間が短いこともあってか持ち曲の中でも代表曲ばかりが並んだということも大きいのでしょう。ただ、聴いていてワクワクするようなポップスの魅力をライブ会場ではより強く感じました。特に上にも書いた通り、5人組で奏でる分厚いサウンドが実に心地よい。このサウンドの分厚さがライブ会場では大きなプラスになっているように感じます。予想していた以上に東京カランコロンがライブバンドとしての魅力を持っていることに気が付かされました。

SAKANAMONもよかったし、本当に楽しめた2時間半でした。次は是非、彼女たちのワンマンライブに行きたいなぁ。

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2017年4月23日 (日)

若々しさすら感じらせる最新作

Title:NOOK IN THE BRAIN
Musician:the pillows

相変わらず精力的な活動を続けるthe pillows。前作はキングレコードへの移籍ということもあり1年半というインターバルがありましたがその反動か本作は前作からわずか11ヵ月という短いスパンでのリリースとなりました。

前作では長年サポートベーシストとして参加していた鈴木淳が離れ、数人のベーシストがゲストとして参加していましたが本作はサポートベーシストをVOLA&THE ORIENTAL MACHINEの有江嘉典が全面的に参加しています。今後は彼に固定されていくのでしょうか。

さてそんな短いスパンとなったニューアルバム。非常に軽やかでポップ。the pillowsらしいともいえる王道のオルタナ系ギターロックに仕上がっています。前作「STROLL AND ROLL」ではギターのへヴィネスさが増したような作品を聴かせてくれていましたが今回のギターはとても軽やか。疾走感あるギターロックは勢いすら感じられます。

彼ららしいということでうれしくなるのは2曲目の「王様になれ」。ギターリフがthe pillowsっぽい・・・というよりも彼らが大きな影響を受けたPIXIESそのまんまなギターリフがうれしくなってきちゃいます。

ただそんな彼ららしいといえるアルバムなのですが歌詞については前作に引き続きちょっと変化を感じられます。例えば「王様になれ」では

「脳細胞の支配下で世界を創れ
王様になれ」

(「王様になれ」より 作詞 山中さわお)

と彼らしい独特な表現での「応援歌的」な歌詞になっています。4曲目「パーフェクトアイディア」も同じく軽快なギターのオルタナ系ロックなのですが

「眠れる森のキミを連れ出したい
魔法使いも科学者も丸め込んで
暴れてみようぜ」

(「パーフェクト・アイディア」より 作詞 山中さわお)

と非常に前向きを感じさせるような歌詞になっていました。

そんな歌詞にひっぱられてかアルバム全体に明るさを感じさせる本作。中盤「She looks like new-born baby」「pulse」でちょっと雰囲気は変わるものの終始一貫、ポップで勢いのあるギターロックが続きます。ある意味、いつも通りの彼らで大いなるマンネリと言えなくもないのですが、ただアルバム全体としてはマンネリどころか新鮮さ、ある種の若々しさすら感じさせます。後半の「BE WILD」などCMソングに起用されるだけありポップな作風が耳に残る作品なのですが、若手バンドのような初々しさすら感じる疾走感ある楽曲に仕上がっていました。

これはひょっとしたらサポートベーシストがかわりバンドとして雰囲気がちょっと変わった影響なのかもしれません。それによりバンドに新しい空気が入って来たのかも。以前からベテランとしては信じられないほどの若々しさを保っていた彼らですが今回のアルバムではよりバンドとしての新鮮さを感じます。ポップなギターロックで勢いを感じさせた作品でした。

評価:★★★★★

the pillows 過去の作品
LOSTMAN GO TO YESTERDAY
PIED PIPER
Once upon a time in the pillows
Rock stock&too smoking the pillows

OOPARTS
HORN AGAIN
トライアル
ムーンダスト
Across the metropolis
STROLL AND ROLL


ほかに聴いたアルバム

CHANCE/HY

途中、BIGMAMAとのコラボアルバムもあったものの単独名義のオリジナルとしては1年8カ月ぶりとなる作品。爽快で明るい彼ららしいいつも通りのJ-POPチューン。良くも悪くもベタなメロディーラインでそれなりにインパクトはあるものの平凡。ただ、本作では「ロックスター」「三月の陽炎」などおもしろさを感じる曲がところどころ入っていたりするのでついつい毎作聴いてしまうのですが。

評価:★★★

HY 過去の作品
Whistle
PARADE
Route29
HY SUPER BEST
GLOCAL

LOVER
Synchronicity(HY+BIGMAMA)

FREEDOMOSH/KEMURI

2012年の再結成後はコンスタントにアルバムをリリースしてきた彼らでしたがここに来てちょっとスパンがあり約1年8ヶ月ぶりとなるニューアルバム。ただ基本的にはいつも通りの彼ら。ギターサウンドにアップテンポで軽快なリズム。ある意味「大いなるマンネリ」的なワンパターンな楽曲ですが、ライブで盛り上がりそうな楽しめる楽曲が並んでいます。

評価:★★★★

KEMURI 過去の作品
ALIVE Live Tracks from The Last Tour "our PMA 1995-2007"
RAMPANT
SKA BRAVO
F

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2017年4月22日 (土)

今だからこそ思うことも

Title:19972016
Musician:BOOM BOOM SATELLITES

1997年、テクノの名門レーベルR&Sレコーズからデビュー。ヨーロッパのメロディーメイカー誌に「ケミカル・ブラザーズ、プロディジー以来の衝撃」と称されて日本でも大きな話題となった2人組ロックデゥオ。その後、日本でも絶大な人気を得るに至りました。

しかしボーカル川島道行はデビュー直後に脳腫瘍を発症。その後、何度かの再発に悩まされながらその都度乗り越えてきたのですが、2015年の再発以降、体調が悪化。昨年リリースされた「LAY YOUR HANDS ON ME」が彼らにとって最後の作品となってしまいました。そして昨年10月、わずか47歳という若さで逝去。その人生に幕を下ろしました。

本作は19年に及びBOOM BOOM SATELLITESの活動を総括するベストアルバム。2010年にリリースされた「19972007」のリマスター盤に、その後の楽曲を集めた「20082016」の2枚組を加え、さらに彼らのライブをドキュメンタリー的に総括的に収録したライブDVDがついた全5枚組という内容となっています。

さて、今回のベスト盤にあたって「別冊カドカワ」から発刊された「BOOM BOOM SATELLITES」の総力特集号を読みながら聴いてみました。

彼らから影響を受けたミュージシャンや関係者、そして最後はメンバー中野雅之によるインタビューからBOOM BOOM SATELLITESとはどんなバンドだったか、ということに迫った一冊。バンド活動が終わった今だからこそ語れる話なども多く、非常に読み応えのある内容に仕上がっていました。

この本の中でもあらためて語られているのですが川島道行が脳腫瘍を最初に発症したのがR&Sからデビューが決まった直後。BOOM BOOM SATELLITESの活動の軌跡は川島の病気との争いの軌跡でもあり、彼の病気もまたバンドの音楽性に大きく影響を与えていたことを、よくよく考えれば当たり前の話なのですが、この本でも述べられています。

そういう観点からベスト盤を聴いてみると、いろいろと感じる部分があります。デビュー当初のビックビート的なテクノとロックを融合させたダイナミックな作風から徐々にジャズなどの要素を加えた内省的な楽曲へとシフトしていくのですが、「別冊カドカワ」でも語られているようにこれもまた川島の病気が影響していることもわかります。

特に「19972007」と「20082016」での差は大きく、ロックサウンドのダイナミックにサウンドをベースに様々な挑戦心を感じさせる「19972007」に対して、「20082016」はエレクトロサウンドを中心としてもっと落ち着いた内省的な色合いが強い作風になっています。

また今回のベスト盤を聴いてひとつ感じたことがありました。これは特に「別冊カドカワ」の中でも語られていませんし、私の印象論に過ぎない部分があるのですが・・・「19972007」がアルバム全体としてひとつの流れになっているように感じたのに対して「20082016」は1曲1曲がひとつのドラマのように完結している、そんな印象を受けました。それは1つ1つの曲に関して完成度があがり、1曲で彼らがやりたいことがすべて詰め込まれるようになった結果かもしれません。そのためアルバムとしてもひとつの流れにようなものはあまり感じず、1曲1曲がそれぞれ強い個性を放ち展開していっているという印象を受けました。

これはあくまでも私の印象ですが、バンド活動後期の彼らは、川島の病気もあり、より一層、1曲1曲に悔いのないよう全力で取り組んできたためかもしれないなぁ・・・ということを漠然と感じました。もちろん、この推測は全く誤りかもしれません。また川島の病気よりも、音に対して完全主義的な強いこだわりを持っている中野雅之の曲に対するこだわりが後期になってより強くなった影響もあるのかもしれません。ただ今回、バンド活動を総括して振り返ることにより、BOOM BOOM SATELLITESがどのような軌跡をたどって来たか、バンドが今だからこそ感じることが少なくない、そんなベスト盤になっていました。

DVDの方はドキュメンタリー色が強い内容で、ライブをじっくり見せるというよりもライブを通じたバンドの歩みを紹介するような内容になっています。映像には最後の告知の前日に行われたフジロックの最後のステージの模様や(こちらも「別冊カドカワ」を読んでから見ると、胸に来るものがあります)、最後のライブとなってしまった「WILD BUNCH FEST. 2015」の映像も収録されており、心うたれる展開になっています。

また最後に「別冊カドカワ」の方の感想も追加で。様々な方のインタビューがのっていて非常にボリュームある内容だったのですが、ひとつ不満があるとすれば、影響を受けたミュージシャンのインタビューよりももっと関係者のインタビューにページを割いてほしかったかな、という点。ミュージシャンへのインタビューでは、「そんなに関係しているの?」という人もいたりして、それならもっと関係者へのインタビューを厚く聴きたかったな、と思ってしまいました。

ただ最後の中野雅之のインタビューはファンなら必読。最後の中野にとってのBBSでの「最高の瞬間」という質問に対する答えは感涙モノです。これに限らずベスト盤を聴く上でぜひとも読んでおきたい内容の連続で、ファンなら絶対に読んでおきたい満足度の高い一冊でした。ムック本なので書店にはもう並んでいないかもしれませんが・・・Kindle版はネットで簡単に読むことが出来ますので、今からでも是非!

評価:★★★★★

BOOM BOOM SATELLITES 過去の作品
EXPOSED
19972007
TO THE LOVELESS
EXPERIENCED
REMIXED
EMBRACE
EXPERIENCEDII
SHINE LIKE A BILLION SUNS
LAY YOUR HANDS ON ME


ほかに聴いたアルバム

UNOFFICIAL/THE ORAL CIGARETTES

本作で初のオリコンアルバムチャートベスト3入りを記録するなど人気上昇中のロックバンド。ただ楽曲的にはよくありがちなポップなメロのJ-POP路線でボーカルの歌い方もどこか耽美的でヴィジュアル系の典型例といった雰囲気もあるバンドになっています。それでも前作はインパクトあるメロディーラインにおもしろさを感じたのですが本作はこれといって引っかかりを覚えるようなメロディーもなく厳しい展開に。平凡なポップバンドといった印象でおもしろみは感じられませんでした。

評価:★★★

THE ORAL CIGARETTES 過去の作品
FIXION

もうすぐ着くから待っててね/クリープハイプ

クリープハイプの新作は5曲入りの、事実上のEP盤。ただ彼ら曰く「作品集」らしく、シングルとアルバムの中間に位置する作品ということでしょうか。基本的にギターロックメインの中、「ただ」は情熱的だけどちょっと理屈っぽいラブソングが彼ららしい作品。「陽」は女性視点の心象的で文学的な歌詞が魅力的な楽曲でホーンやギターがちょっとソウル風なのも耳に残ります。ラストは「陽」のKANA-BOON谷口鮪とのデゥオバージョンなので事実上楽曲は4曲。クリープハイプらしいちょっと理屈っぽい感じの歌詞は気になるのですが、ただ短い中に彼らの魅力がしっかりと入った作品になっていました。

評価:★★★★★

クリープハイプ 過去の作品
吹き零れる程のI、哀、愛
クリープハイプ名作選
一つになれないなら、せめて二つだけでいよう
世界観

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2017年4月21日 (金)

ソロ2作品の共通項と相違点

本日はほぼ同時期にリリースされたB'zの2人によるソロアルバム2作品を紹介。どちらも海外のミュージシャンとのコラボ作となっており、対比的な作品となっています。

Title:CHUBBY GROOVE
Musician:INABA/SALAS

Title:Electric Island,Acoustic Sea
Musician:Tak Matsumoto&Daniel Ho

このB'zメンバーによるソロアルバム2作。共通項としてはどちらも海外のミュージシャンとのコラボ作となっているという点。稲葉浩志はアメリカのギタリストでミックジャガーやロッドスチュワートとのセッションも経験しているスティーヴィー・サラスとのコラボ。松本孝弘はハワイ音楽部門でのグラミー賞獲得も経験しているダニエル・ホーとのコラボとなっています。

楽曲的にもハードロック色の強いB'zの楽曲からするとポップな作風となっているという点でも共通項と言えるでしょう。ただB'zの楽曲からの距離感としてはかなり異なる対照的な2作になっていました。

稲葉浩志ソロの方はいわばB'zの延長線上のような音楽。ただし松本孝弘のギターをスティーヴィー・サラスに置き換えたアルバム・・・ではありません。ちょっとビックリしたのが全体的にエレクトロサウンドを前面に出した打ち込み主導の作品となっていること。ファンキーなリズムをところどころで聴かせてくれるのですが、エレクトロサウンドが軽快でポップ色が強いアルバムになっています。

このシンセサウンドが前に出ているポップなロックナンバーというスタイル、イメージとしてはかなり初期B'zのスタイルに近いものを感じます。例えば「AISHI-AISARE」などまさにデビュー当初のB'zというイメージ。へヴィーなギターサウンド主導のハードロックというイメージがすっかり構築されてしまったため忘れられてしまったB'zの原点。原点回帰を意図したかはわかりませんが、B'zらしいロッキンなリズムのメロディーとB'zのイメージを色濃く残す稲葉浩志のボーカルを入れつつ、ここ最近のB'zではできなくなってしまったシンセ主導のポップチューンを出したアルバムになっています。B'zの延長でありつつB'zではできないことをやる・・・ある意味、ソロアルバムらしいソロアルバムといった感じがします。

初期からのB'zリスナーとしてはちょっと懐かしさを感じつつ、軽快なシンセサウンドが素直に楽しめるポップスロックのアルバムに仕上がっていました。若干チープさもあるのですが、45分というちょうど良い長さのためだれずに最後まで楽しめるアルバムでした。

一方、松本孝弘のソロはB'zで聴かせるハードロックな作風からガラリとイメージを変えたアルバム。B'zの延長線上だった稲葉浩志の作品と比べるとあきらかにB'zとは全く異なる方向性を意図したアルバムだったと思います。まあコラボしたギタリストもハワイアンというB'zとは全く違う土俵のミュージシャンですしね。

ただ・・・正直言ってつまらない・・・松本孝弘のソロ前作「New Horizon」も大型ショッピングセンターでBGMとして流れていそうな全くひっかかりのないフュージョンだったのですが今回のアルバムもまさしくそんなイメージ。フュージョン的な色合いは薄くなったのですが、ハワイ音楽のギタリストとのコラボといってもハワイアン的なイメージも少なく、かといってハードロック色も薄く、特にひっかかりもないギターアルバムになっていました。

特に和風のアイコン的にところどころ三味線の音が入ったりするのですが、和風のイメージとしていかにもな使われ方があまりにも陳腐・・・アルバム全体としてもこれといったおもしろいアイディアも感じられる、さらっと流して聴けてしまうような、まさしくショッピングセンターあたりのBGMで流れていそうなアルバムになっていました。

うーん、松本孝弘は基本的にハードロックのギタリストなのかなぁ。Larry Carltonとのコラボ作が傑作だっただけに今回も海外のギタリストとのコラボということで期待はしていたのですが残念ながら期待はずれの作品でした。残念です。

評価:
CHUBBY GROOVE ★★★★★
Electric Island,Acoustic Sea ★★★

稲葉浩志 過去の作品
Hadou
Singing Bird

TAK MATSUMOTO 過去の作品
TAKE YOUR PICK(Larry Carlton&Tak Matsumoto)
Strings Of My Soul
New Horizon


ほかに聴いたアルバム

Free Will/PLAGUES

ベテランロックバンドの約4年3カ月ぶりとなる新作。長いキャリアの持ち主なだけに、非常に安定感あるオルタナ系ギターロックを聴かせてくれます。決して目新しさはないのですが、メロディアスなメロディーラインが魅力的。分厚さもある骨太のギターサウンドも安定感がありカッコいいです。楽曲によってはロックンロールナンバーやブルース色の強いナンバーなどバリエーションも備え、ベテランバンドとしての底力を感じさせてくれました。

評価:★★★★★

PLAGUES 過去の作品
CLOUD CUTTER

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2017年4月20日 (木)

今週はK-POPが上位に

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

K-POP勢が上位に揃ってランクインです。

まず1位にD-LITE(from BIGBANG)「D-DAY」がランクインです。ミュージシャン名義通り、韓国のアイドルグループBIGBANGのメンバーによるソロミニアルバム。今回は作曲に絢香、秦基博、いきものがかりの水野良樹を起用。サウンドプロデュースも亀田誠治を起用するなど、あきらかに日本向けの「J-POP」なアルバムに仕上がっているようです。初動売上は3万8千枚。前作「でぃらいと」の6万8千枚(1位)から大幅ダウン。

そして3位にもK-POPのバンドFTISLAND「UNITED SHADOWS」がランクインしています。初動売上1万8千枚は前作「N.W.U.」の2万3千枚(3位)よりダウンしています。

その2枚の韓流勢に挟まれて2位にランクインしたのが三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE「THE JSB WORLD」。これで2週連続の2位となりました。

続いて4位以下の初登場盤です。まず5位に加藤ミリヤ「Utopia」がランクイン。初動売上9千枚は前作「LIBERTY」の1万4千枚(4位)から大幅ダウン。ここ最近、オリジナルアルバムは2万9千枚→1万4千枚→9千枚と推移しており凋落傾向が続いています。

6位には「ワイルド・スピード アイスブレイク」がランクイン。4月に公開予定の映画「ワイルド・スピード アイスブレイク」のサントラ盤。「ワイドル・スピード」シリーズの前作「スカイミッション」のサントラ盤は数多くの著名HIP HOPミュージシャンの参加が話題となりヒットを記録しましたが本作も2 CHAINZ、WIZ KHALIFAなど数多くの人気HIP HOPミュージシャンたちが参加。金曜日リリースにも関わらず、初動6千枚でベスト10入りしてきました。前作「スカイミッション」のサントラ盤は海外の先行リリース。国内盤リリース段階での初動売上3千枚で18位初登場。2週目に1万2千枚に売上を伸ばし9位にランクインしています。本作は初動6千枚で海外と同時リリースで初週にベスト10入り。今後、前作のようにロングヒットを記録するのでしょうか。

7位初登場はロックバンドBase Ball Bear「光源」。ギターの湯浅将平が突然脱退し3人組となってから初となるアルバムです。初動売上は6千枚。直近作はベスト盤「増補改訂完全版『バンドBのベスト』」で、こちらの初動売上2千枚(28位)よりアップ。オリジナルアルバムとしては前作「C2」の6千枚(14位)からは横バイ。オリジナルとしては前々作「二十九歳」以来のベスト10入りとなりました。

初登場最後は10位。GLIM SPANKY「I STAND ALONE」がランクイン。男女2人組ロックデゥオによるミニアルバム。初動売上5千枚は前作「Next One」の6千枚(9位)から若干のダウンとなりました。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2017年4月19日 (水)

今週もAKB系が1位

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週もAKB系が1位獲得。

1位は新潟を拠点に活動するAKB48の姉妹ユニットNGT48のデビューシングル「青春時計」が獲得。オリコンでは初動16万枚で1位。

2位は同じAKB48関連。欅坂46「不協和音」がワンランクダウンで2位。

3位はGERERATIONS from EXILE TRIBE「太陽も月も」が獲得。オリコンは初動2万3千枚で6位。前作「PIERROT」の6万2千枚(2位)よりダウン。

4位と6位には「ニコニコ動画」で人気を博したシンガー2人からなるユニットAfter the Rain「アンチクロックワイズ」「解読不能」がそれぞれランクイン。前者がTBSテレビ系アニメ「クロックワーク・プラネット」エンディング・テーマ、後者がNHK「アトム ザ・ビギニング」オープニングテーマとそれぞれアニソン。オリコンでは前者が3位、後者が4位にランクイン。売上はいずれも3万4千枚。

9位に倉木麻衣「渡月橋~君、想ふ~」がランクイン。映画「劇場版 名探偵コナン から紅の恋歌」主題歌。オリコンでは初動売上2万9千枚で5位初登場。前作「無敵なハート」の2万6千枚(5位)よりアップ。

10位には高橋優「ロードムービー」がランクイン。映画「映画クレヨンしんちゃん 襲来!! 宇宙人シリリ」主題歌。オリコンでも初動1万4千枚で9位にランクイン。前作「光の破片」(13位)から横ばい。

今週のHot100は以上。アルバムチャートはまた明日に。

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2017年4月18日 (火)

失恋を乗り越えて(?)

Title:Dirty Projectors
Musician:Dirty Projectors

バンド名を冠したタイトルが否応なしに内容への期待が高まるDirty Projectorsの約5年ぶりとなるニューアルバム。前作「SWING LO MAGELLAN」は2012年を代表する傑作アルバムとして高い評価を得ましたが、バンドの中心メンバーであるDavid Longstrethがアルバム後のツアー直後に失恋を経験。そのショックから立ち直れず音楽活動を中断していましたが、その後徐々に様々なミュージシャンへのゲスト参加により活動を再開。ついに久々となるニューアルバムがリリースされました。

その間、バンドメンバーが脱退し、事実上、DavidのソロプロジェクトとなったDirty Projectors。そのため今回のアルバムに関してはバンド色はほとんどなく、エレクトロサウンドを前面に押し出されたアルバムとなっています。もともと前作からポストロック色の色合いが濃かった彼らですが、今回のアルバムに関しても1曲の中に様々な音、アイディアが詰め込まれた作品になっています。特に今回、その軸を担ったのが元BATTLESのTyondai Braxton。ノイジーなエレクトロビートがダイナミックに展開する中、ピアノとストリングスが絶妙に重なる「Death Spiral」などでは特に印象的な仕事ぶりを聴かせてくれます。

今回の作品では事実上のソロとなった影響か豪華なゲスト勢が大きな特徴となっています。「Cool Your Heart」では女性ボーカリストDawn Richardがゲストボーカルとして参加。伸びやかでちょっとトライバルな雰囲気を残しつつ伸びやかでメロウな歌声を聴かせてくれますし、この曲に関してはなんと作詞ではあのSolangeが参加していたります。

また今回のアルバムで一番印象的だったのがパーカッションのリズム。ブラジル出身のパーカッショニストMauro Refoscoがゲストとして参加していますが、「Keep Your Name」「Up In Hudson」では非常に印象的なパーカッションを聴かせてくれます。エレクトロサウンドで無機質なサウンドが多い中、楽曲に暖かみを加えています。

今回のアルバムに関しては、前作に比べてR&Bの色合いが強くなった点も特徴的。David Longstrethのボーカルに憂いを感じられるのも特徴的。特にDavid Longstrethのボーカルにはまだ失恋を引きずっているのか・・・という情けなさを感じると同時に同じ男性としてはその気持ちに同情できるものを感じてしまいます。

ただし、実験的なエレクトロサウンドを奏でつつも基本的にメロディーラインは非常にメロディアスで胸をうつものがあります。特に「Work Together」は様々なサウンドがコラージュ的に組み合わさったような作品でありつつ、メロディーにはとてもポップ。他の曲に関してもしっかりとしたメロディアスなメロディーラインが流れています。

このサウンドは複雑ながらもメロディーはポップというバランスは前作「SWING LO MAGELLAN」から同様。R&B風という方向性も前作からも感じることが出来、そういう意味では根本的な部分においては前作からしっかりと貫かれているものがある作品だったと思います。前作に続きまたもや今年を代表する傑作の1枚となりそうな作品。前作同様、その美しいメロディーラインに惹きつけられたアルバムでした。

評価:★★★★★

Dirty Projectors 過去の作品
SWING LO MAGELLAN


ほかに聴いたアルバム

2016 Grammy Nominees

毎年リリースされるアメリカ・グラミー賞のノミネート作品を収録したオムニバスアルバム。今のアメリカの、ひいては世界のミュージックシーンの動向を知るには最適なアルバム。2016年のノミネート作ではThe Weeknd、Alabama Shakes、Kendrick Lamar、D'Angelo&The Vanguardなどブラックミュージックで実に魅力的な作品が多くリリースされており、その層の厚さ、新たなシーンの予感も感じさせます。一方、個人的に非常に惹かれたのがCourtney Barnettの「Pedestrian At Best」。完全に初耳だったのですが、PIXIESやDINOSAUR JR.の、それも80年代あたりの荒々しさとポップスさを同居させたようなオルタナ系ギターロックが実に魅力的な女性ロックシンガーの楽曲。遅ればせながらはまりました。これはアルバムも聴いてみなくては・・・。全体的にも名曲が多く、シーン全体に勢いを感じさせる2016年のノミネートでした。

評価:★★★★★

Grammy Nominees 過去の作品
2011 GRAMMY NOMINEES
2012 GRAMMY NOMINEES
2013 GRAMMY NOMINEES
2014 GRAMMY NOMINEES
2015 GRAMMY NOMINEES

The Painters EP/Animal Collective

配信限定で急きょリリースされた4曲入りのEP盤。昨年リリースされた「Painting With」と同時期に録音された3曲とMartha & the Vandellasの「Jimmy Mack」のカバーの全4曲を収録したアルバム。前半2曲「Kinda Bonkers」「Peacemaker」はタブラやシタールっぽいサウンドを取り入れたエキゾチックなサウンドが非常にユニーク。一方後半の「Goalkeeper」「Jimmy Mack」はコミカルなサウンドが魅力的でした。

どこかコミカルなサウンドという意味では「Painting With」に通じる今回のアルバム。その「Painting With」はコミカルな楽しさはあったものの聴いていて疲れてしまったアルバムでしたが今回の作品はわずか4曲ということもあって疲れる前に終わってしまうアルバム。それだけに「Painting With」の良い部分のみを抽出したEPになっていました。わずか4曲ですが、彼らのアイディアのつまった個性的な楽曲が並んだ傑作です。

評価:★★★★★

Animal Collective 過去の作品
Merriweather Post Pavilion
CENTIPEDE HZ
Painting With

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2017年4月17日 (月)

ジャケット写真からは想像できない内容に

Title:Drunk
Musician:Thundercat

今回紹介するアルバムはThundercatことアメリカのベーシスト、Stephen Brunerのアルバム。今、最も話題のベーシストのひとりで、Flying LotusやKendrick Lamarといった今を輝くミュージシャンたちのアルバムにも参加。大きな評判となっています。

このアルバム、まず惹かれるのはこのジャケット。カッコいいかどうかと言われると微妙なのですが、60年代や70年代のレアグルーヴのアルバムを彷彿とさせるような「黒さ」を感じさせるジャケット。正直、今回本作を聴いたきっかけがこのジャケット。話題のベーシストのアルバムということで真っ黒いグルーヴ感あふれる作品を期待して聴いてみました。

しかし、これが全く予想外の方向性のアルバム。オープニングのナンバーに続いて聴こえてくるのは透き通るハイトーンボイスに80年代風のサウンドを感じるメロウなエレピが魅力的な「Captain Stupido」。続く「Uh Uh」もハイテンポでファンキーなベースがさく裂していますが、そこにのっかかるボーカルはハイトーンボイスでフィリーな雰囲気すら感じらせるもの。続く「Bus In These Streets」もおもちゃ箱のような楽しげなエレクトロサウンドがワクワクさせてくれるポップチューンになっています。

全体的には80年代あたりのAORやフィリーソウルあたりの影響を強く感じるメロディアスでポップな楽曲が魅力的なアルバム。「Show You The Way」に至ってはMichael McDonaldが参加。懐かしさを感じる思いっきり80年代のAORサウンドに仕上がっていますし、「Blackkk」も透き通るハイトーンボイスが魅力的。日本人にとっては「Tokyo」なんて曲があるのもうれしいところ。こちらもいかにも80年代あたりのFM局で流れていそうな雰囲気のAORナンバーに仕上がっています。またタイトルチューン「Drunk」のようなジャジーな要素を入れた楽曲も大きな魅力となっています。

そんな80年代なサウンドが魅力的なアルバムですが単純にノスタルジックなアルバムでもありません。もともと魅力的なプレイを聴かせるベーシストなだけにところどころにちゃんとベースの音でグルーヴ感を奏でていますし、なによりもリズムを前に押し出した楽曲の構成やエレクトロサウンドはちゃんと今風にアップデートされています。音を詰め込むよりも空間を聴かせるようなほどよいサウンドのバランスなども見事です。

また全24曲入りという内容ですが1曲あたり2、3分という長さの楽曲が次々と繰り出されるアルバムの構成もいい感じ。変に間延びしたアレンジもなく、次から次へとテンポよく楽曲が展開していくためまったく飽きがありません。ともすれば長くなりがちなブラックミュージックのアルバムの中で54分という長さも長すぎず短すぎずほどよい長さとなっています。

正直、最初ジャケット写真から予想していた内容からはかなりかけ離れたアルバムの内容でしたが、でも予想以上の傑作アルバムになっていました。とにかくメロディーやサウンドが聴いていて心地よさを感じさせる楽曲の連続。間違いなく今年のベスト盤候補の傑作アルバム。ジャケットに逆にひいてしまったような方も、是非ともチェックしてほしいアルバムです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

HYMS/Bloc Party

メンバー2人が入れ替わりあらたなメンバーとなった新生Bloc Partyの4年ぶりとなる新作。エレクトロサウンド主体なのですが、ロック寄りの曲だったり渋く聴かせる曲があったりバレエティー富んだというと響きがいいのですが、全体的にどうもチグハグさを感じる1枚。楽曲的にインパクトが強いキラーチューンがなかったのも大きなマイナス要素。前作も正直ちょっと微妙な出来でしたが、今回のアルバムもちょっと微妙な出来・・・。

評価:★★★

BLOC PARTY 過去の作品
Intimacy
FOUR

Live In Sweden 1987/Johnny Winter with Dr.John

2014年に惜しまれつつこの世を去ったJohnny Winter。本作はタイトル通り1987年に行われたスウェーデンでのライブの模様をおさめたライブ盤。いまだ若々しい彼の迫力あるギターサウンドが思う存分楽しめるアルバム。「with Dr.John」という名義通り、Dr.Johnがピアノで参加しているものの彼はバックに徹しており、Dr.John目当てだとちょっと期待はずれかも。ただ所々Dr.Johnの個性が光るピアノプレイが入って来たりするのがおもしろいところなのですが。

評価:★★★★

Johnny Winter 過去の作品
Step Back

Dr.John 過去の作品
Locked Down
Ska-Dat-De-Dat:Spirit of Satch

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2017年4月16日 (日)

本作でもまた故郷を離れて

Title:ELWAN
Musician:TINARIWEN

「砂漠のブルース」と呼ばれ、ワールドミュージックリスナーに留まらない範疇で注目を集めているマリ出身のバンドTINARIWEN。途中、ライブ盤のリリースもありましたがオリジナルアルバムとしては3年ぶりとなるニューアルバムです。前作「EMMAAR」では政治的な理由から故国マリを離れアメリカでのレコーディングとなりましたが(やはり「残念ながら」という言い方になるのでしょうか)前作に続いてアメリカでレコーディングされたアルバムとなりました。

ただアメリカ録音によるためか多くのゲスト陣が参加しているのが本作の特徴。以前、当サイトでもアルバムを紹介したことがあるKurt Vileがギターで参加しているほか、QUEENS OF THE STONE AGEのMark Kaneganのボーカルで参加。その他、Matt SweeneyやAlan Johannesといったゲストミュージシャンが名前を連ねています。

Kurt Vileが参加した「TIWAYYEN」では彼らしいオルタナ色の強いノイジーなギターが目立ちます。それに引っ張られてか、2曲目「SASTANAQQAM」も同じくオルタナ色の強いギターが耳を惹く楽曲になっています。ただ、このゲスト勢がアルバムに対して強い影響を与えているかというとそういった感じではなく、逆にKurt Vileがギターで、さらにMark Laneganがボーカルで参加した「NANNUFLAY」はTINARIWENらしい荘厳な雰囲気とスケール感を覚えるコール&レスポンスのナンバー。確かにMark Laneganのボーカルも目立ちますが、TINARIWENの楽曲の中に参加させてもらっているという印象を強く受けます。

そのためアルバム全体としてはいつものTINARIWENといった印象を受ける本作。もっともそれはマンネリという意味ではなく、相変わらず彼ららしいブルージーなギターサウンドと独特なリズムとコール&レスポンスが織りなすグルーヴ感が実に魅力的な楽曲が並んでいます。特に「IMIDIWAN N-AKALL-IN」などは彼らの魅力ともいえるギターサウンドがうねるように楽曲全体を展開していき、それにパーカッションの音が重なり、彼ららしいグルーヴ感が実に魅力的なナンバー。軽快なパーカッションとアコギでラテン風味たっぷりの「ASSAWT」も哀愁感あふれるメロディーが耳に残ります。

そんな中、前作に引き続きマリを離れてのレコーディングとなった本作。その影響か前作に引き続き強いメッセージ性を持った歌詞が目立ちます。特に「ITTUS」は静かなギターとボーカルだけでメッセージを力強く聴かせるナンバー。歌詞の内容は「我が国の団結と高い生活水準」を求めるメッセージのようで、ストレートながら切実な思いが胸をうちます。

また「テネレの成れの果て」という邦題がついた「TENERE TAQQAL」も故郷の惨状を嘆いた歌詞が続かれており強いメッセージ性を感じます。ちなみに「テネレ」とはタマシェク語で「何もない地」もしくは「砂漠」を意味するそうで、この複数形が彼らのバンド名であるTINARIWENだそうです。

これらの歌詞は残念ながら私たちにダイレクトに伝わってはきませんが、それでもその力強いボーカルと演奏からは彼らの伝えようとする想いは伝わってくるよう。彼らの強いメッセージが込められた1枚でした。

評価:★★★★★

TINARIWEN 過去の作品
IMIDIWAN:COMPANIONS
TASSILI
EMMAAR
Live in Paris(不屈の魂~ライヴ・イン・パリ)


ほかに聴いたアルバム

night thoughts/Suede

90年代初頭に絶大な人気を得て、かのブリットポップムーブメントの先駆け的な存在となったイギリスのロックバンドSuede。2003年に解散したものの2010年に再結成。本作は再結成後2作目となるアルバムとなります。

基本的にはミディアムテンポのギターロックがメイン。幻想的で耽美的な雰囲気を堪能できるアルバムで、良くも悪くもSuedeらしさは今も健在となっています。イギリスのアルバムチャートでは最高位6位を記録。アメリカビルボードではなんと自身初となるベスト10ヒットを記録するなど、なにげに再結成後もその人気の健在ぶりを見せている彼ら。確かにその魅力は十分感じられるアルバムで、1度目の解散前の彼らが好きなら十分に楽しめる作品だと思います。

評価:★★★★

Let Me Get By/Tedeschi Trucks Band

ルーツ志向のブルースロックが魅力的な彼らの3年ぶりとなる新作。楽曲はいつも通りブルースやソウルなどを取り入れつつダイナミックなロックサウンドに仕上げている彼ららしい楽曲に。目新しさはないもののバンドのグルーヴ感を十分すぎるほど楽しめる作品で、良い意味で安心して聴けるアルバムになっています。

評価:★★★★

TEDESCHI TRUCKS BAND 過去の作品
Revelator
MADE UP MIND

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2017年4月15日 (土)

今のPOLYSICS

Title:Replay!
Musician:POLYSICS

今年、結成20年を迎えたPOLYSICSの20周年記念の企画盤的アルバム。彼らの過去の代表曲のうち特にライブで盛り上がる曲を厳選しリテイクした上でライブ音源も収録した、特に「ライブバンドPOLYSICS」の魅力を前に押し出した企画盤になっています。

これは折に触れ言っているんですが・・・POLYSICS、20年ですか・・・インディーズ時代から破天荒なライブが話題となっていたバンドだったのですが、どちらかというと勢い重視の彼ら。率直に言って、これほど長く続くバンドとは思いませんでした。

さて今回の企画盤。彼らの代表曲をセレクトしておりまさにベスト盤といっていい内容になっています。ただうれしいのはその長さ。楽曲を厳選に厳選して12曲42分という長さにおさめています。この手のベスト盤、最近は特に3枚組4枚組と長くなる傾向にあります。まあ代表曲をまとめて聴けるという意味ではそれも悪くないのですが、はじめて聴くようなミュージシャンのアルバムとしては聴くだけで体力がいりますし、なにより「代表曲を何曲か聴きたいだけ」という程度だったとすると、逆にそんなボリュームいらないという印象すら受けてしまいます。

それだけに20周年といってもベスト盤的な内容にわずか42分というのは非常に潔さを感じます。またほどよい長さで最初から最後まで全くだれずに聴くことが出来、若干の聴き足りなさを感じる長さで、他のアルバムも聴いてみたくなるというという意味ではちょうどよい長さだったと思います。

そして今回のアルバムに収録されている彼らの代表曲を聴いてみると、POLYSICSってこんなにポップなメロディーを書くバンドだったんだ、ということを強く感じました。おそらくライブで盛り上がるということでよりポップなメロディーが流れている曲を選んでいるということもあるのでしょう。またパンキッシュで勢い重視だった初期に比べるとここ最近はポップなメロディーを書いた曲が多く、バンドとしてポップなメロディー志向に向いているこということもあるのでしょう。サビのフックもしっかり聴いており、歌詞にもインパクトがあり思った以上に初期の作品からきちんとポップミュージシャンとしての実力を見せていたのだな、と再認識しました。

さらに今回の作品、2017年バージョンとしてリテイクされているのですが、楽曲の雰囲気としてかなり変わっているのも特徴的でした。特に多くの曲に共通するのが、ギターやドラムといった生音のバンドサウンドがより重みを増し、サウンドとして重厚感ある腰の落ち着いた音になったという点でした。以前の彼らの楽曲はピコピコサウンドを前に出したエレクトロポップミュージシャンとしての側面をより強く押し出していました。その路線ももちろん魅力的ですし、今回のリテイクに関してももちろんエレクトロポップの方向性は残されています。ただそれ以上にロックバンドとして実力をつけているというのが顕著にあらわれた今回のリテイク。ある意味ピコピコポップという飛び道具的なものに頼らなくても勝負できるんだという自信すら感じることが出来ました。

またこのリテイクにより、オリジナルに比べてよりメロディーラインが前に押し出されたようにも感じます。サウンドのユニークさに必要以上に頼らず、ギターやベース、ドラムスといったバンドサウンドやメロディーラインといった楽曲のコアな部分の魅力をより前に押し出してきたように感じました。今回のアルバムで彼らが意外なほどポップなメロディーを書くバンドだったんだと再認識したのは、そんなリテイクの方向性にもよったのではないでしょうか。

わずか42分という長さといい初心者にも最適なベスト盤ですし、またリテイクという内容上、ファンにとってもPOLYSICSの今の立ち位置を再確認できる企画盤だったと思います。むしろ今のPOLYSICSが奏でているという点において、初心者にとってはこれより過去にさかのぼる必要のない、最初の1枚として機能しているアルバムだと思います。POLYSICSというバンドの魅力がつまったアルバムでした。

評価:★★★★★

POLYSICS 過去の作品
We ate the machine
We ate the show!!
Absolute POLYSICS
BESTOISU!!!
eee-P!!!
Oh!No!It's Heavy Polysick!!!
15th P
Weeeeeeeeee!!!
MEGA OVER DRIVE
ACTION!!!
HEN 愛 LET'S GO!
HEN 愛 LET'S GO! 2~ウルトラ怪獣総進撃~
What's This???


ほかに聴いたアルバム

NEW TRIBE/a flood of circle

途中ベスト盤を挟んで、新作としては約1年半ぶりとなるa flood of circleのニューアルバム。アルバム毎に出来不出来の差が大きい彼ら。前作「ベストライド」はポップ寄りになっており結果、あまり良い出来ではありませんでした。今回のアルバムはガレージ色の強い曲からポップ寄りの曲まで比較的バランスよく配置されたようなアルバム。相変わらずポップ寄りの作品はボーカル佐々木亮介の端整な歌い方もあいまってベタな内容になってしまっています。ガレージ寄りの作品に関しては文句なしにカッコいいだけに、もうちょっとポップな曲はひとひねりが欲しいと思ってしまうのですが。

評価:★★★★

a flood of circle 過去の作品
泥水のメロディー
BUFFALO SOUL
PARADOX PARADE
ZOOMANITY
LOVE IS LIKE A ROCK'N'ROLL
FUCK FOREVER
I'M FREE
GOLDEN TIME
ベストライド
"THE BLUE"-AFOC 2006-2015-

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2017年4月14日 (金)

ミュージシャンとしてはもちろん現役

1990年代後半、「1/2」「桜」「DNA」の大ヒットで一躍時代の寵児となった女性シンガーソングライター川本真琴。しかし2000年代に一時期活動を休止。その後インディーズにその活動の中心を移しました。その後もインディーズではそれなりにコンスタントに活動をしていたものの、知る人ぞ知る的な活動が続き、すっかり「あの人は、今」的な過去の人になっていました。

しかし昨年、本当に久しぶりにお茶の間レベルに川本真琴の名前がクローズアップされることになりました。ただし、それは恋愛スキャンダルという形で。そのちょっとめんどくさい、ストーカー気質なTwitterが大きな話題となりました。正直なところ、めんどくさいストーカー気質というのは彼女のいままでの楽曲や言動からイメージ通りでもあったのですが・・・その相手が・・・狩野英孝とは・・・・・・。

ただそんな騒動とは裏腹に、2016年はむしろ彼女の音楽活動は活発化していました。

Title:川本真琴withゴロニャンず
Musician:川本真琴withゴロニャンず

こちらは川本真琴を中心に、元LABCRYの三沢洋紀、テニスコーツの植野隆司、池上加奈恵、スカートとしての活動で知られる澤部渡で結成された5人組バンドの1stアルバム。豪華なメンバー・・・というよりはむしろ知る人ぞ知るようなサブカル/アングラ勢を集めたようなバンドとなっています。

作詞作曲は川本真琴を中心にメンバー全員が手掛けた内容になっています。ただ楽曲的には意外とストレートなポップ。マニアックなメンバーに反して難解なポップソングになっていなかったのはひとえにやはり川本真琴の影響でしょうか?「music pink」という暖かい雰囲気のポップソングからスタートし、「summertimeblues」は、まあちょっとベタなタイトルですが、ストレートなオルタナ系ギターロックになっています。

ただこの豪華メンバーの個性が出てきて、サウンドに若干ひねりが入って来たのがその後。「私が思ってること知られたら死んじゃう」はタイトルからして例のSNSの騒動を反映されたタイトルでは?なんて思ってしまうのですが、ワウワウギターがちょっとソウルな雰囲気を醸し出すミディアムポップ。「エリエリ」もファンキーなサウンドやラップが入ってきたりとちょっとエキゾチックな雰囲気のあるユニークな作品に仕上がっています。

歌詞にしろメロディーにしろどこかコミカルさ、ユニークさを感じさせる9曲。それぞれポップなメロディーラインにメンバーの個性が入った楽曲に仕上がっていました。ただ全体的にメロディーのフックは抑えめ。そのためポップなメロが流れているといっても、万人向けにアピールするにはちょっと弱さも感じる部分があるのは残念でした。

評価:★★★★

Title:ふとしたことです
Musician:川本真琴

そしてもう1枚、2016年にリリースされたのが本作。デビュー20周年を記念してリリースされたセルフカバーアルバム。ご存じ「愛の才能」「1/2」という大ヒット曲や「タイムマシーン」「やきそばパン」のような懐かしい楽曲をピアノとストリングスという非常にシンプルなアレンジでカバーしています。

「愛の才能」や「1/2」がヒットしたころの彼女のイメージといえば若さあふれる彼女がギターをかき鳴らし爽やかに歌い上げるというイメージがありました。それだけにピアノでカバーというのはちょっとイメージから離れる部分もあるかもしれません。

しかし例えば「愛の才能」。ピアノ1本でジャジーに仕上げているのですが、これがジャズアレンジに驚くほどマッチ。大人の雰囲気となったこの曲は、大人になった川本真琴が歌うにはピッタリのカバーに仕上がっています。「1/2」も持ち味の爽やかさを生かした上でピアノやストリングスでしんみり大人なポップスへとアップデートしています。他の曲に関してもピアノを中心としたアレンジで上手く大人なポップスへと仕上げており、彼女のメロディーメイカーとしての才能を(「愛の才能」は岡村靖幸作曲ですが)再認識させる結果となっています。

そんな中に入っている新曲「ふとしたことです」もなかなか良い出来栄えに。素朴なアレンジのちょっとジャズ風のポップスなのですが、全盛期の彼女の曲と比べても遜色ない出来栄えに。いまだに彼女の才能が衰えていないことがわかります。

彼女自身、自らすすんでメジャーシーンから姿を消した部分があるため、今後再びメジャーシーンにカムバックする可能性は低いのですが、このアルバムを聴く限り、まだまだ多くのファンを獲得できるポテンシャルはあるミュージシャンだと思います。今回の騒動で久しぶりに彼女の名前を聞いた方、せっかくなので久しぶりに彼女のアルバムを聴いてみてはいかがですか?

評価:★★★★★

川本真琴 過去の作品
音楽の世界へようこそ(川本真琴feat.TIGAR FAKE FUR)
The Complete Single Collection 1996~2001
願いがかわるまでに


ほかに聴いたアルバム

Things Discovered/People In The Box

CDリリース10周年を記念してリリースされた2枚組のアルバム。1枚目は新曲に再録曲、さらにはメンバーそれぞれがプロデュースした作品が並ぶ「ニューアルバム」で、2枚目は過去の楽曲をメンバーがセレクトしてリマスタリングした「ベスト盤」という変則的ながらもPeople In The Boxというバンドがわかるような構成になっています。

ポストロックやシューゲイザー、ミニマルミュージックやソウル、ファンクなど様々な要素を取り込み、複雑なリズムやサウンドで組み立てたアレンジを構築しながらも楽曲全体としては爽やかでむしろポップという印象を受ける楽曲を作り上げているのが彼らの特徴。彼らの代表曲も収録された本作はPeople In The Boxの入門盤としても最適な作品。個人的にはもっともっと売れてもいいバンドだと思っているのですが・・・ただ一方、確かに「これは」といったパンチ力にちょっと欠ける点も否めないんだよなぁ・・・。

評価:★★★★★

People In The Box 過去の作品
Ghost Apple
Family Record
Citizen Soul
Ave Materia
Weather Report
Talky Organs

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2017年4月13日 (木)

話題作が上位に

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週はある意味「話題作」が目立つチャートとなりました。

まずなにより4位に初登場したTM NETWORK「GET WILD SONG MAFIA」。全4枚組のアルバムなのですが、収録曲すべてが「GET WILD」ということが大きな話題となりました。確かに「GET WILD」はいろいろなヴァージョンが次から次へとリリースされていたのですが、まさかこんな「ネタ」的なアルバムが本当にリリースされるとは・・・(^^;;初動売上1万1千枚は前作「QUIT30」の1万9千枚(8位)よりダウンしていますが、ご存じの通り、発売直後に同じバージョンの曲が重複して収録しているジョークとしか思えない事態が発覚。すぐに発売停止になっただけに、その事件がなければもっと売上を伸ばしていたかも・・・みなさん、どれだけ「GET WILD」が好きなんだ!と思わざるを得ない結果でいた。

5位初登場竹原ピストル「PEACE OUT」もある意味話題作でしょうか。もともと2003年にフォークデゥオ野狐禅としてデビュー。一部では高い評価を得るもののほとんど売れず。2009年解散後はソロで活動を行い、特にあの松本人志が絶賛。彼の映画の主題歌を担当したりしたもののあまり話題になりませんでした。ただ俳優も活動を行っており、昨年、出演した映画「永い言い訳」の演技によりキネマ旬報ベスト・テン助演男優賞、日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞し話題に。そしてそんな俳優としての活動を通じて知名度を上げてきたのでしょうか、本作で自身初のベスト10ヒットを記録し、ミュージシャンとしてもブレイクを果たしました。初動売上は9千枚。前作「youth」の3千枚(34位)より大幅アップしています。

そしてこちらも話題作でしょう。6位に初登場したThe Chainsmokers「Memories...Do Not Open」。アメリカのDJ兼プロデューサーによるEDMのユニット。昨年、シングル「Closer」が大ヒットを記録しています。本作はそんな彼らのデビューアルバム。それだけに世界的に大きな注目を集めていますが正直日本ではさほど知名度も高いとは言えないだけに、それほどヒットするかは微妙だったのですが・・・それがなんとまさかのベスト10入り。初動売上7千枚はベスト10としてはちょっと低水準とはいえ、日本でもしっかりとその人気は伝わってきたようです。

さて、そんな話題作が多くランクインする中、1位を獲得したのはSuperfly「LOVE,PEACE&FIRE」でした。デビュー10周年を記念してリリースされたベストアルバム。ただ彼女は2013年にもベスト盤をリリースしたばかりで、リリースのスパンとしては短すぎでは?

その影響もあってか初動売上は4万6千枚止まり。直近のオリジナルアルバム「WHITE」の7万8千枚(2位)から大きくダウン。前のベスト盤「SuperflyBEST」の7万枚(2位→2週目で1位獲得)よりもダウンしています。

2位は先週1位の三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE「THE JSB WORLD」がワンランクダウンで2位をキープ。3位には人気女性声優水瀬いのり「Innocent flower」が初登場でこの位置。本作がデビューアルバムで初動売上は1万7千枚を記録しています。

続いて4位以下の初登場盤ですが今週、ベスト10圏外からランクアップし、初のベスト10ヒットとなったアルバムがありました。それが7位にランクインした「シング(オリジナルサウンドトラック)」。先週の16位からランクアップし、チャートイン3週目にして初のベスト10入り。3月より公開しているアニメーション映画「SING/シング」のサントラ盤で豪華キャストが歌声を披露していることからも話題になっています。今週の売上は6,084枚で先週の6,755枚より若干ダウンしているのですが、低水準のチャートとなったことから見事ベスト10入りを果たしました。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2017年4月12日 (水)

AKBがらみが目立つ

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

ここ最近、アイドル系が目立つHot100ですが今週はAKB48が目立つチャートとなりました。

まず1位は欅坂46「不協和音」が獲得。CDリリースにあわせて先週の13位からランクアップしての1位獲得となりました。CD販売・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)、PCによるCD読取数、Twitterつぶやき数で1位、ラジオオンエア、You Tube再生回数で4位という高順位で1位獲得。オリコンでも初動売上63万2千枚で1位獲得。前作「二人セゾン」の44万2千枚(1位)より大幅アップとなりました。

また3位にも乃木坂46「インフルエンサー」が先週の3位から同順位をキープしています。オリコンでも5位にランクイン。しかし欅坂46や乃木坂46の人気を見ると結局女性アイドルってよく言えば清純派、悪く言うと男性に対して従順そうな女性像が受けるんですね。

ちなみにAKB48がらみはもう1枚。10位にHKT48「バグっていいじゃん」がベスト50圏外からランクアップ。2月27日付チャートより7週ぶりのベスト10入りとなりました。ちなみにオリコンでも4位に返り咲き。例のごとく握手券付きの劇場版の売上分が加味された結果のよう。Hot100でも実売数4位の他はすべてランク圏外となっています。正直、こういう「売上」はヒットとはとてもいえないんで、ランキングから除外してほしいなぁ。

ベスト10上位に戻ります。2位にはAqours「HAPPY PARTY TRAIN」が初登場でランクイン。アニメキャラによるアイドルプロジェクト「ラブライブ!サンシャイン!!」によるキャラソン。実売数、PCによるCD読取数で2位、Twitterつぶやき数3位ながら他は圏外というところがこの手のキャラソンらしい感じ。オリコンでも2位初登場。初動売上5万4千枚は「ジングルベルがとまらない」の4万3千枚(5位)よりアップ。

続いて4位以下の初登場曲です。まず5位に韓国の男性アイドルグループMYNAME「出会いあいして」がランクイン。実売数3位、Twitterつぶやき数7位以外はすべて圏外というあたりも韓流らしい固定ファン以外に波及いない状況を感じさせます。オリコンでは初動2万8千枚で3位初登場。前作「HELLO AGAIN」の4万4千枚(3位)より大幅減となりました。

6位にはどうぶつビスケッツ×PPP「ようこそジャパリパークへ」がランクイン。話題となったテレビ東京系アニメ「けものフレンズ」主題歌。ランクイン9週目にして初のベスト10ヒットとなりました。楽曲はいかにもなアニメ声で曲調があっちこっちに展開する良くも悪くもいまどきのアイドルポップ。実売数12位、PCによるCD読取数35位、You Tube再生回数25位でしたがTwitterつぶやき数2位に引っ張られてベスト10入り。ちなみにオリコンでは今週23位にランクインしています。

今週の初登場は以上。また1曲、ベスト10返り咲き組が。それが7位にランクインした日本でもアルバム「÷」が大ヒット中のイギリスのシンガーソングライターEd Sheeran「Shape of You」。こちらは3月27日付チャート以来3週ぶりのベスト10入り。7位は自己最高位となります。

また今週のロングヒット曲ですが、星野源「恋」は先週の4位からワンランクダウンの5位。You Tube再生回数は1位。実売数8位、PCによるCD読取数5位とまだまだがんばっていますがラジオオンエア数は82位となっており、徐々に下降気味。ただまだまだロングヒットは続きそう。

Austin Mahone「Dirty Work」も6位から9位にダウン。実売数7位、You Tube再生回数8位を記録していますが、ラジオオンエア数61位、Twitterつぶやき数は圏外となっており、ロングヒットとしては人気の広がりに欠けるような・・・。

今週のHot100は以上。アルバムチャートはまた明日!

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2017年4月11日 (火)

なんでもない日常にマッチした暖かい音楽たち(映画の感想も)

Title:劇場アニメ「この世界の片隅に」オリジナルサウンドトラック
Musician:コトリンゴ

2016年は映画界、特に邦画において話題作の多い1年でした。まずは話題になったのが「シン・ゴジラ」に「君の名は。」。どちらも大ヒットを記録し、大いに話題となりました。そしてそれらの映画に増して大きな話題となったのがアニメ映画「この世界の片隅に」。大手映画配給会社によって配給され大々的な宣伝も行われた「シン・ゴジラ」「君の名は。」に対して「この世界の片隅に」はいわゆるミニ・シアター系の映画。しかし口コミから徐々に話題が広がり、様々な著名人も大絶賛。いまだに上映が続いており、ミニシアター系としては異例ともいえる大ヒットを記録しています。

実は私が、ここ最近で音楽系映画以外で唯一見た映画が本作。そして例にたがわず映画に感動し大泣きしてしまいました(^^;;そしてその感動の余波を味わおうと、遅ればせながら聴いてみたのがこのサントラ盤。音楽を担当しているのはコトリンゴ。KIRINJIの一員としても活躍している女性シンガーソングライターです。

全33曲入りのサントラで、そのうち4曲が歌入り。まずこのコトリンゴのボーカルが実に「この世界の片隅に」が描く世界にマッチしています。彼女のボーカルはほわっとした優しい雰囲気を持っており、力が抜けたボーカルが魅力的。ある意味「天然」ともいえるかもしれません。しかし一方でその根っこの部分には決して折れないような力強さも同時に感じます。この一見天然だけどその奥には芯の強さを感じるという女性像は、この映画の主人公のすずさんにも通じるところがあるのではないでしょうか。もともと同作の監督、片渕須直の手掛けた前作「マイマイ新子と千年の魔法」の主題歌を彼女が手掛けた縁で抜擢されたようですが、偶然にもこの映画にとって非常に最適な人選になっていたと思います。

このアルバムに収録されている歌モノ4曲はいずれも強い印象に残る作品ばかり。「悲しさ」と「やさしさ」を同時に内包した「悲しくてやりきれない」やすずのテーマ曲ともいえる歌詞が印象的な「みぎてのうた」。戦時歌謡の代表的な楽曲でもある「隣組」(「ドリフの大爆笑」のテーマとしてもおなじみですね)も戦時色を感じない軽快なカバーになっていますし、エンディングテーマ「たんぽぽ」も次へと進む明るさを感じさせるポップスをコトリンゴが優しく歌い上げています。

歌入りの4曲以外に関しては劇中に使われたBGMが収録されています。「この世界の片隅に」は戦時中を描いた映画ながら戦争そのものよりも戦時下を生きる人々の日常生活に焦点をあてた作品となっています。そのためか収録曲に関しても戦争映画のような悲劇性を感じさせるような悲しい曲はあまりありません。こちらの曲に関してもほっこりとした雰囲気の力の抜けた楽曲が多く収録されています。ピアノやストリングスをメインとしたいかにも映画音楽的な楽曲が多いのですが、ちょっとコミカルさも感じる楽曲の数々は、映画の中の様々なシーンを思い起こさせてくれます。

歌入りの4曲については文句なしでお勧めですし、他の曲に関しても映画の世界を上手く表現させた曲ばかりでコトリンゴの実力を感じます。ただ、1曲あたり1分に満たないような曲がメインのサントラ集なので映画を見ていない方にはそのままお勧めできる作品ではないかも。一方で映画ではまった方なら音楽の側面から映画の世界を再度楽しむにはうってつけのサントラだと思います。映画音楽も実に魅力的な作品でした。

評価:★★★★

(以下、当サイトは音楽レビューサイトですが、せっかく見た映画のため映画の感想も書いてみました。サイトの趣旨と関係ないのと、決定的なネタバレはないのですが、若干のネタバレを含むので別ページに。単なる一鑑賞者の感想の駄文ですが、ご興味あるかたは下のリンクをクリックしてください)

続きを読む "なんでもない日常にマッチした暖かい音楽たち(映画の感想も)"

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2017年4月10日 (月)

何度も聴きたくなる傑作

Title:TROPICAL LOVE
Musician:電気グルーヴ

ちょうど4年ぶりとなる電気グルーヴのニューアルバム。オリジナルアルバムとしてはちょっと久々となる新作ですが、その間、25周年記念のライブツアー「塗糞祭」が行われたり、電気グルーヴの軌跡を追ったドキュメンタリー映画が公開されたりと、話題には事欠かなかった彼ら。それだけに4年ぶりというのはちょっと意外な印象もありました。

今回のアルバム、おそらくここで紹介する前からいろいろなところから評判を伝え聞いた方も多いかと思います。今回のアルバムに関しては絶賛の評も多く、最高傑作の呼び声も高い作品。デビューから25年以上を経過してベテランの仲間入りをしてから久しい彼らが、いまだにこれだけ高い評価を得るアルバムをリリースするというだけでも驚くべき事実だと思います。

そんな彼らのアルバムですがまず印象として受けるのが非常に聴きやすいアルバムだったという点だと思います。もともと電気グルーヴの書く楽曲はテクノの作品でもとてもメロディアスなメロディーがしっかり流れていて聴きやすいのが特徴的。またそのサウンドの選び方も、ちょうどリスナーの欲しいと思うところに欲しいと思う音がドンピシャに入る気持ちよさがあるのが彼らの大きな魅力でした。

今回のアルバムに関してもそんな心地よいリズム、サウンド、そしてメロディーラインが繰り返されています。特に今回のアルバムは「TROPICAL LOVE」というタイトル通り、先行シングルになった「Fallin' Down」やタイトルそのまま「トロピカル・ラヴ」のように、ちょっと南国風というかトロピカルな雰囲気を感じる曲や「プエルトリコのひとりっ子」のようなちょっとラテンフレーバーのする楽曲が多いのが特徴的でした。

そして今回のアルバムに関して言えるのは全体に熱量は低めで「癖」のあるような曲は少な目という点でした。それだけに最初のひっかかりはちょっと薄味と感じる方もいるかもしれません。ただアルバム全体としてしっかりとひとつの流れを感じさせる楽曲構成となっており、とても気持ちよくアルバムを通して彼らの音の世界にひたれるようなアルバムになっています。

もちろん彼ららしいシニカルでコミカルな歌詞を前に出した楽曲もきちんとおさめられています。それが1曲目の「人間大統領」とラストの「いつもそばにいるよ」。ただこのアルバムの中で一番癖のあるこの曲を1曲目とラストに配置することによりアルバムの流れをスムーズにしているように感じました。

アルバムの中のどの曲ももちろん素晴らしかったのですが、どの曲が特にというよりもアルバムを通じて何度も聴きたくなるような心地よさを感じるアルバム。彼らの最高傑作か、と言われると若干微妙ですが、間違いなく「傑作」と言えるアルバムだったと思います。電気グルーヴの魅力をまざまざと見せつけてくれた1枚でした。

評価:★★★★★

電気グルーヴ 過去の作品
J-POP
YELLOW
20
ゴールデンヒッツ~Due To Contract
人間と動物
25
DENKI GROOVE THE MOVIE?-THE MUSIC SELECTION-


ほかに聴いたアルバム

Blue/大橋トリオ

デビュー10周年を迎える彼の、早くもという表現がピッタリな11枚目のニューアルバム。これだけハイペースにアルバムをリリースしつつ、一方カバーアルバムも3枚リリースしている訳で、デビュー以来勢いの衰えないコンスタントな活動が目立ちます。楽曲的にはいつもの大橋トリオ。ソウルやジャズをベースとしたシティーポップの様相が強いポップながらも決してマニアックな方向へと行きすぎず、いい意味で万人向けの安心できる大人のポップ路線が魅力的。かと思えば本作ではラストに「宇宙からやってきたにゃんぼー」というEテレのアニメ主題歌という子供向きソングが収録されていたりするアンバランスなおもしろさも。

評価:★★★★★

大橋トリオ 過去の作品
A BIRD
I Got Rhythm?
NEWOLD
FACEBOOKII
L
R

FAKE BOOK III
White
plugged
MAGIC
大橋トリオ
PARODY
10(TEN)

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2017年4月 9日 (日)

いまだに魅力的

今回は中島みゆき関連の3作品の紹介です。

Title:中島みゆき・21世紀ベストセレクション『前途』
Musician:中島みゆき

まずはこちらはベストアルバム。1996年の「大吟醸」以来20年ぶり、という建付けですが、ただ2002年と2013年にシングル曲集がリリースされているので久しぶりという印象はちょっと薄め。なお21世紀ベストと記載がありますが、実際はあの大ヒットした「地上の星」を含めるためか、2000年以降にリリースされた楽曲が収録されています(ただこの曲が1位を獲得したのは2002年であったため、ヒットした時期という意味ではタイトル通り21世紀ベストと言えるかもしれません)。

中島みゆきといえば言うまでもなく大ベテラン中の大ベテラン。デビューから40年以上が経過しており、2000年以降の曲についても決して全盛期とか勢いがあるという表現は出来ません。実際、このベスト盤に収録されている曲は、まさに中島みゆき節ともいえる彼女らしい定着したスタイルの曲ばかりで目新しさはありません。良くも悪くも大いなるマンネリという言い方は出来るかもしれません。

しかし、それにも関わらず凡百のミュージシャンには足元にも及ばないような凄みをこのベスト盤に収録された曲からは感じることが出来ます。インパクト十分すぎるメロディーラインや60歳を過ぎても衰えるどころかさらなる表現力が加わっているボーカルもその凄みの大きな要因と言えるでしょう。ただそれ以上に凄みの大きな要素であるのがデビュー40年を経て全く衰えることのない歌詞。その表現力、インパクトある言葉の選び方、そこから伝えようとするメッセージ性、どれをとっても日本のミュージシャンの中で指折りの実力の持ち主なのは言うまでもないでしょう。特にどの曲に関しても、世の中の弱い立場の人の心境にそっと寄り添うような曲が多く、多くのリスナーの胸をうつ曲はこのベスト盤にも多く収録されています。

特にTOKIOに提供した「宙船」のサビの歌詞

「その船を漕いでゆけ お前の手で漕いでゆけ
おまえが消えて喜ぶ者に おまえのオールをまかせるな」

(「宙船」より 作詞 中島みゆき)

という人生の応援歌的な歌詞ですが、この短い一文だけでも同じ人生の応援歌的な歌詞を歌う某J-POPシンガーが100年たってもたどり着けないような歌詞だと思います。

中島みゆきといえばオリコンチャートでは4つの年代(1970年代、80年代、90年代、2000年代)でシングルチャート1位を獲得した唯一のソロミュージシャンという記録を持っています。2010年代は残念ながらここまで1位獲得曲はありません。ただこのベスト盤を聴く限りでは彼女の実力、魅力に全く衰えはありません。2010年代はあと3年ですが、タイアップなどの条件がよければあっさり1位獲得曲が登場しそう。その変わらぬ凄みを感じるベスト盤でした。

評価:★★★★★

Title:中島みゆきConcert「一会」(いちえ)2015~2016-LIVE SELECTION-
Musician:中島みゆき

で、こちらはベスト盤と同時リリースのライブ盤。タイトル通り、2015年から2016年にかけて実施されたライブツアー「一会」の模様を収めたライブアルバムです。

こちらに関しても基本的にボーカルに安定感があるよな、ということを実感できます。多分、生で聴けばその迫力あるボーカルにゾクゾクくるんだろうなぁ、ということは音源を通じても感じます。ただ、全体的には原曲通りのアレンジ。若干演奏にダイナミックさが増したでしょうか?あまりに安定感ある上手いボーカルで、基本的に原曲を崩したような歌い方はしないので、ライブ盤ならではのおもしろさというのは比較的低めです。

もちろんライブ盤として出来は悪くありませんし、「旅人のうた」「浅い眠り」のようなヒット曲も収録されているためベスト盤とあわせて聴くには最適な選曲かも。ただ、どちらかというと同時発売のDVDの方が(こちらは見ていませんが)魅力的なような・・・。

評価:★★★★

中島みゆき 過去の作品
DRAMA!
真夜中の動物園
荒野より
常夜灯
十二単~Singles4~
問題集
組曲(Suite)

Title:「歌縁」(うたえにし)―中島みゆき RESPECT LIVE 2015―

そしてそんな中島みゆきのベスト盤&ライブ盤と同時にリリースされたのが本作。2015年11月に行われた「中島みゆきRESPECT LIVE『歌縁』(うたえにし)」を収録したのがこのアルバム。中島みゆきを尊敬する11名の歌手が彼女の曲をカバーしたライブイベント。ライブ自体も非常に反響があったようで、今回、ライブアルバムのリリースとなりました。

中島みゆきといえばボーカリストとしても非常に高い実力の持ち主。その彼女の曲をカバーするにはかなりの力量が必要。それだけに正直言えばあまり期待はしていなかったのですが・・・これがそんな予想をはるかに上回る素晴らしい出来のライブアルバムになっていました。

とにかく素晴らしかったのが1曲目満島ひかり「ファイト!」と2曲目中村中「『元気ですか』~怜子」。どちらも楽曲の中に朗読を取り入れて中島みゆきの歌詞の魅力を前に押し出しているカバーとなっていますが、どちらも感情込めて語る朗読の部分も歌の部分も実に魅力的でゾクゾクするような迫力があります。特に満島ひかりってもともとかの三浦大知が所属していたFolderの一員として歌手としてデビューしていたことは知っていましたが、彼女もこれだけ歌が上手かったんですね・・・Folder時代は三浦大知の歌の上手さばかりに焦点があたっていただけにちょっと意外でした。逆に中村中の朗読も天下一品。彼女、ある意味ポスト中島みゆき的な位置にいる歌手だけに、この組み合わせは非常に相性の良さを感じます。

他にも安藤裕子の「世情」も、彼女のイメージとはちょっと異なる太い声を聴かせる迫力ある歌唱が魅力的。華原朋美の「あのさよならにさよならを」も若干不安定さはあるものの伸びやかなボーカルを聴かせ、他の実力派たちに負けていません。なにげにこのくらい低い音の方が彼女の声に合っているかも?

安藤裕子と同じく「世情」をカバーしたクミコもそのビブラートを生かしたボーカルが魅力的。ここらへん、安藤裕子バージョンとの聴き比べもおもしろいかも。坂本冬美や研ナオコの力強いボーカルはまあ予想通りだったのですが、最後を飾る大竹しのぶの予想以上の歌の上手さにもビックリ。調べたら彼女、過去からコンスタントに歌手としても活躍していたんですね・・・。

おそらく熱烈な中島みゆきファンも納得のカバーアルバムだったのではないでしょうか。大きな反響があったこともうなずける実に魅力的なライブ盤でした。

評価:★★★★★

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2017年4月 8日 (土)

早くもベスト盤

Title:アンコール
Musician:back number

おそらく今、もっとも人気のあるバンドのひとつではないでしょうか。この曲で大ブレイク!といった感じはないのですが、2012年にリリースされた「わたがし」あたりから徐々に注目を集め、気が付けば押しも押されぬ人気バンドとなったback number。デビューからインディーズを含めて8年目、アルバムも5枚という段階ですが、早くも初となるベストアルバムがリリースされました。

今回、このベスト盤もオリコンチャートでは最高位2位にとどまったものの、1位はかのSMAPのベスト盤。また初動売上も27万枚という好セールスを記録しており、週が違えば余裕で1位を獲得できた数値。その後もロングヒットを続けており、根強い人気を見せています。

今回のベスト盤は2枚組全32曲が収録されています。曲順については特に発表順とかではなく、またCDによって特段のテーマ性を与えたものではない模様。アルバムとして全体の流れを重視したような選曲といったところでしょうか。あえて言えばDisc1の方はストレートな楽曲が多く、Disc2の方に若干癖のある曲が多かったように思います。

さて彼らの楽曲の最大の魅力はおそらくその歌詞にあるのではないかと思います。昨今のJ-POPは万人受けを狙うばかりに抽象的な歌詞が目立ちますが、その中でも彼らが歌うのはストレートなラブソング。それもきちんと登場人物の顔が見えるような具体的に描写されたラブソングがほとんど。このドラマ性ある歌詞が大きな魅力となっています。

そんな具体的で物語性ある歌詞が多いのですが、ただベスト盤で彼らの代表曲を聴くとちょっと気になる点がありました。それは嫌でも惹きつけらえるようなインパクトのある歌詞の一節が少ないということ。1曲1曲きちんと耳を傾ければ印象的な歌詞になっているのですが、ただハッと胸に突き刺さるような一節はあまりありません。ドラマのシチュエーションにしても比較的シンプル。もうちょっとひねりがほしいかな、とも思ってしまいます。

もっともそんな中でも「わたがし」なんかは名曲中の名曲。片想いの女の子と夏祭りの会場を歩く、近づきたくてもなかなか近づけないシチュエーションもグッときますし

「夏祭りの最後の日 わたがしを口で溶かす君は
わたがしになりたい僕に言う 楽しいねって」

(「わたがし」より 作詞 清水依与吏)

という歌詞も、まさにこの一文だけで胸にキュンと突き刺さるキラーフレーズとなっています。

またよくありがちな「君は僕のもの」と歌わずに「僕は君のもの」と歌う「僕の名前も」も、ある意味いまどきの恋人関係を描写しているようでインパクト大。ここらへんのレベルの曲をコンスタントに書けるようになればおもしろさがグッと増すと思うのですが・・・。

メロディーラインについても歌謡曲テイストが強く、ベタにストリングスで盛り上げるアレンジが多く見受けられます。ある意味歌詞が売りなバンドなだけにメロディーやアレンジはむしろ多少ベタな方がおもしろいと思うのでこれはこれでありかと思うのですが、こちらももうちょっとインパクトが欲しいなぁ、と感じてしまいます。

いいバンドだし1曲1曲は決して悪くないのですが、アルバムとか、こういったベストアルバムでまとめて聴くと、歌詞にしろメロにしろひとつずば抜けたものがない中途半端さを感じてしまいます。時々、ずば抜けた名曲が生まれてくるあたり実力は間違いなくあると思うのですが・・・。もう一皮むけるとおもしろいと思うんですけどね。これからに期待です。

評価:★★★★

back number 過去の作品
スーパースター
blues
ラブストーリー
シャンデリア

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2017年4月 7日 (金)

新機軸?

Title:NEW
Musician:THE BAWDIES

これまで比較的コンスタントにアルバムをリリースしてきた彼らとしてはちょっと間が空いてしまった約2年3カ月ぶりとなるニューアルバム。途中、ライブ盤のリリースなどもあったのですが・・・一時期に比べて人気面で若干勢いが落ち着いた彼らだけに、ここで一息といった感じもあったのでしょうか。

基本的に60年代70年代あたりのソウル、ブルースへのルーツ志向が強いバンドで、昔ながらのロックンロールバンドを目指している彼ら。それだけにいままでの楽曲に関してもシンプルなロックンロールサウンドを勢いで押している感じの楽曲が多く、良くも悪くも「大いなるマンネリ」気味だったのは否めません。そんな中での新機軸の模索、ただしあくまでも原点は忘れず、というのが彼らの課題。前々作「1-2-3」は原点回帰をはかりつつ、その次の「Boys!」は新たな一歩を模索したようなアルバムになっていました。

今回のアルバムに関してはタイプ的には新たな模索という要素が強かったでしょうか。本作、いままでのアルバムに増してポップという要素が強かったように感じました。

特に中盤、「RAINY DAY」以降、ポップな曲が並んでいます。「POPULAR GIRL」は60年代のレトロポップ風のキュートなポップナンバー。クラスの中で人気者の女の子に恋するかわいらしいテーマの作品で、初回版特典のDVDに入っているTHE BAWDIES主演の短編映画「NEW」の中でも効果的に用いられています。「MAKE IT SNOW」もモータウンビートが軽快なノーザンソウル風なナンバー。こちらも聴いていて楽しくなる彼ららしいポップチューンになっています。

またそんなポップなナンバーが並ぶ中、「HELLO」はかなりへヴィーなギターリフがさく裂するロックなナンバー。軽く金切り声のシャウトも聴かせ、THE BAWDIES流のメタルを志向したのかも?一方、同じくロッキンなナンバーながらも「HOT NIGHT,MOON LIGHT」はへヴィーなベースラインが流れる中、JBを意識したようなシャウトを聴かせるファンキーなナンバー。こちらはTHE BAWDIESらしいナンバーになっています。

そんな新機軸を模索しつつ、基本的にアルバム全体としてはいつものTHE BAWDIESらしいルーツ志向のご機嫌なロックンロールのアルバムに仕上がっていました。まあ新機軸を模索といっても完全に目新しいといった感じではなく、ルーツロック志向という特徴が強い彼らにとって完全に新たな方向性に踏み出すのは非常に難しいというジレンマを抱えているのかもしれませんが・・・。とりあえず本作は彼ららしい陽気で楽しいロックンロールナンバーが楽しめた作品でした。

評価:★★★★★

THE BAWDIES 過去の作品
THIS IS MY STORY
THERE'S NO TURNING BACK
LIVE THE LIFE I LOVE
1-2-3
GOING BACK HOME
Boys!
「Boys!」TOUR 2014-2015 –FINAL- at 日本武道館


ほかに聴いたアルバム

ぼなぺてぃっ!!!/The Mirraz

完全にEDM路線にシフトしたThe Mirrazの最新アルバム。ただある意味彼ららしい、典型的なロックバンドらしい反骨精神あるアイロニカルな歌詞は健在で、「世の中クソ!」なんかはタイトルからしてそのまんまといった感じの歌詞。またEDM路線も特に目新しさはないのですが、ある意味完全に振り切ってしまった感じが彼らの個性になっているようにも思います。ただちょっと残念だったのはエレクトロサウンドが前面に出てしまった結果、もともと情報量過多で聴き取りにくかった彼らの歌詞が余計聴き取りにくくなってしまった点。せっかく歌詞が売りのバンドなだけに、ここらへんの扱いはもうちょっと丁寧にしてほしかった感も。

評価:★★★★

The Mirraz 過去の作品
We are the fuck'n World
言いたいことはなくなった
選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ
夏を好きになるための6の法則
OPPOTUNITY
しるぶぷれっ!!!
BEST!BEST!BEST!
そして、愛してるE.P.

Newpoesy/TAMTAM

約2年ぶりとなるダブバンドTAMTAMのニューアルバム。前作「Strange Tomorrow」はダブとポップを見事に融合させた傑作でした。それに比べて本作は、打ち込みを多く取り入れた楽曲がメインとなりダブの要素は薄め。ポップなメロディーは相変わらずでそういう意味での聴きやすさはあったのですが、バンドとして一皮むけた感のあった前作と比べるといささか物足りなさが残ってしまうアルバム。悪いアルバムではないと思うのですが・・・。

評価:★★★★

TAMTAM 過去の作品
For Bored Dancers

Strange Tomorrow

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2017年4月 6日 (木)

上位はベスト盤

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週はまずベスト3の中に2枚のベスト盤が並びました。

まず1位は三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE「THE JSB WORLD」がランクイン。三代目J Soul Brothersのオールタイムベスト。オールタイムっていってもデビューから7年しかたっていないのですが・・・。3枚組のボリューム感あるベスト盤。初動売上は35万6千枚。直近のオリジナルアルバム「THE JSB LEGACY」の47万6千枚(1位)からダウン。「三代目」になってわずか7年なのですが、早くもベスト盤としては2枚目で、前作「THE BEST」の14万6千枚(1位)(ただし同作はオリジナルアルバム「BLUE IMPACT」とセットで販売)よりはアップしています。

ベスト盤もう1枚は3位初登場amazarashi「メッセージボトル」。彼ら初のベストアルバムです。3位はシングルアルバム通じて自己最高位で彼ら初のベスト3ヒットとなりました。初動売上は1万5千枚。前作「虚無病」の1万2千枚(6位)からアップしています。

そんなベスト盤2枚に挟まれたのが「NieR:Automata Original Soundtrack」。スクエニのアクションRPG「NieR:Automata」のサントラ盤です。初動売上3万4千枚で見事ベスト3入り。

続いて4位以下の初登場盤です。5位に松野おそ松&松野カラ松&松野チョロ松&松野一松&松野十四松&松野トド松(櫻井孝宏&中村悠一&神谷浩史&福山潤&小野大輔&入野自由)「おそ松さん かくれエピソードドラマCD『松野家のなんでもない感じ』第2巻」。人気アニメ「おそ松さん」のドラマCD。初動売上は1万3千枚で同作の「第1巻」(9位)から横バイ。

5位は韓国の男性アイドルグループPENTAGON「GORILLA」がランクイン。これが日本でのデビューアルバムとなります。初動売上は1万3千枚。

6位にはSEIKO MATSUDA「SEIKO JAZZ」が入ってきました。彼女初となる本格的なジャズアルバムだそうで、5月にはアメリカでのリリースを控えているということ。メディアではかなり高い評価をしているようです。もっとも彼女みたいな人気アイドル/タレントの音楽的評価はかなり眉唾ものでそのまま信頼できないところが大きいのですが。初動売上1万枚は前作「Shining Star」の1万2千枚(5位)からは若干のダウン。

8位初登場は清木場俊介「REBORN」。ご存じ元EXILEメンバーによるソロ10枚目。ちなみに今週1位は三代目J Soul Brothersでしたが、彼もJ Soul Brothersに一瞬だけですが所属していたことがあるようです(すぐ「EXILE」に改名しましたが)。初動売上は8千枚。前作「FACT」の7千枚(7位)から若干のアップ。

9位には90年代に日本でも絶大な人気を誇ったイギリスのバンドJamiroquai「automation」が入ってきました。約7年ぶりと久々のリリースですが日本での人気は相変わらず根強いものがあります。ただし初動売上8千枚は前作「Rock Dust Light Star」の1万8千枚(7位)からダウン。もっとも本作、全世界共通で金曜日リリースとなった影響も大きいのですが。

最後10位には東京フィルハーモニー交響楽団「『艦これ』クラシックスタイルオーケストラ with 東京フィルハーモニー交響楽団」。ゲーム「艦隊これくしょん」の楽曲をオーケストラアレンジで収録したアルバム。初動売上7千枚。ゲーム「艦隊これくしょん」関係では前作「艦隊これくしょん -艦これ- KanColle Original Sound Track vol.III 雲」の1万3千枚(7位)よりダウン。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2017年4月 5日 (水)

今週もアイドル系が上位

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週もまた上位にアイドル系が並びました。まず1位はジャニーズ系。Sexy Zone「ROCK THA TOWN」が獲得しました。「AOKI フレッシャーズ」CMソング。「THA」というスラングをつかっているあたり、ちょっとHIP HOP風かと思いきや、80年代風のファンキーダンスチューンになっています。ラジオオンエア数は37位にとどまり、CD販売・ダウンロード・スクリーミング数(以下「実売数」)も2位でしたが、PCによるCD読取数及びTwitterつぶやき数で1位を獲得し、見事初登場1位獲得となりました。オリコンでもこの曲が初登場1位。初動売上11万9千枚は前作「よびすて」の11万4千枚からアップ。

2位初登場もアイドル系。ハロプロ系女性アイドルグループ℃-ute「To Tomorrow」が初登場でランクイン。実売数は1位ながらもラジオオンエア数45位、PCによるCD読取数32位、Twitterつぶやき数35位と軒並みベスト10圏外。典型的な固定層以外に波及がないパターン。ただ楽曲は優しい感じの卒の無いポップスで悪くないなと思ったらやはり作曲はつんくでした。オリコンでも初動6万6千枚で2位初登場。前作「夢幻クライマックス」の5万8千枚(2位)からアップ。

そして先週1位の乃木坂46「インフルエンサー」が3位に。実売数3位、PCによるCD読取数2位、Twitterつぶやき数3位、You Tube再生回数9位、ラジオオンエア回数12位とアイドル系としては珍しく、比較的バランスのよいヒットとなっています。ちなみにオリコンでは今週4位にランクイン。

続いて4位以下の初登場曲です。パンクバンドWANIMA「やってみよう」が先週の13位からランクアップしベスト10初登場です。おなじみの童謡「ピクニック」にオリジナルの歌詞をつけてパンクロック風にカバーしたナンバー。auのCMソングとして話題となり配信オンリーでのリリースでヒットを記録しました。実売数6位、ラジオオンエア数25位、Twitterつぶやき数69位を記録しています。ただ・・・歌詞は典型的な前向きJ-POPといった感じで、正直ちょっと陳腐な印象・・・。ちなみに同じくauのCMソングとして話題となった菅田将暉「見たこともない景色」は先週の4位からワンランクダウンで今週5位にランクインしています。

また今週、ベスト10圏外からの返り咲きが1曲。Austin Mahone「Dirty Work」が先週の17位から6位にランクアップ。2週ぶりにベスト10返り咲きとなりました。芸人ブルゾンちえみのネタで使用されて話題になっているそうで、まだまだロングヒットが期待できそうです。

さて、この「Dirty Work」もロングヒットの予感がしますが、今週もロングヒット曲の動向を。まずは星野源「恋」。先週の3位からワンランクダウンの4位。You Tube再生回数では今週も1位を記録。実売数10位、PCによるCD読取数5位と上位にランクインしておりまだまだロングヒットは続きそう。

先週10位だったPerfume「TOKYO GIRL」は今週9位にランクアップ。実売数は23位と厳しい状況ですが、PCによるCD読取数4位、You Tube再生回数4位が上支えしています。逆に先週、ロングヒット曲として紹介したAnly+スキマスイッチ=「この闇を照らす光のむこうに」は今週15位にランクダウンしてしまいました。

今週のHot100は以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2017年4月 4日 (火)

さらに進化

Title:SUPERMAN
Musician:水曜日のカンパネラ

今、もっともはまっているミュージシャンは?と問われると、間違いなく彼女たちの名をあげると思います。水曜日のカンパネラ。最近、ボーカルのコムアイが様々なバラエティー番組に出演し、微妙にお茶の間へ浸透させようとしている方向性が気になるところなのですが、音楽的な勢いは全く止まっていません。1年に1枚のペースでアルバム(ミニアルバムを含む)をリリース。本作も前作「UMA」からわずか7ヶ月強でのリリースとなりました。

ここ最近のアルバム、特に「ジパング」以降はケンモチヒデフミの作るトラックを前面に押し出したクラブミュージック志向のエレクトロナンバーが続いていました。今回のアルバムに関しても基本的にその方向性は同じ。リズミカルなEDM調のナンバーが多い中、楽曲によってそのパターンを絶妙に変えてきており、ポップな曲調でありつつも挑戦的なサウンドを取り入れていたりするのが非常におもしろく感じました。

例えばディスコ調の踊りやすいサウンドの中、ファンキーなベースラインが耳を惹く「一休さん」、ピアノを入れたメロウなサウンドを奏でつつ、微妙にトライバルなパーカッションが実におもしろい「ジンギスカン」、その中でも特に耳を惹くのが「チャップリン」。複雑な変拍子ではじまったかと思いきや、サビになると一転メロウでドリーミーなサウンドが展開されるちょっと不思議な感覚のあるナンバー。複雑なリズムにピタリとあったコムアイのボーカルも聴かせます。

一方ではそんな楽曲と並列してある意味わかりやすくポップなダンスナンバーが続くのも彼女たちの大きな魅力だと思います。1曲目「アラジン」はちょっとエスニックな雰囲気をかもしつつ軽快なエレクトロダンスチューンになっていますし、トランシーなナンバー「オードリー」もサビに向けての盛り上げ方はベタベタながらもやはり気分的には高揚するものがあります。

そんな魅力的なエレクトロナンバーが並んだ今回のアルバムですが、もうひとつ大きな特徴がありました。それは以前の彼女たちの楽曲で特徴づけた歴史ネタをちりばめつつユーモラスな視点でコミカルにまとめた歌詞が戻って来たということ。前作「UMA」はサウンドが前に出ており歌詞が若干後ろに下がってしまいましたが、今回は独特の歌詞の世界も楽しめます。前述の「一休さん」や「坂本龍馬」などの歴史ネタにはトリビア的な内容もちりばめられつつ、特に「世阿弥」は(ちょっと地味な題材ながらも)世阿弥に関する知識が楽曲の中にちりばめられており歌詞を紐解くにもおもしろいかも。一方「カメハメハ大王」などはかなりユーモラスな歌詞でサビは思わず笑ってしまいます。

「ジパング」以降確立してきたサウンドの要素をさらに深化させつつ、「私を鬼ヶ島に連れてって」以前のユーモラスな歌詞の世界を両立させた、今の時点での水曜日のカンパネラの完成形ともいえる傑作だったと思います。パッと聴いた感じだと「UMA」から大きな変化がないだけに足踏みとも捉えてしまったのですが、よくよく聴くと確実に「UMA」からさらに一歩進化を遂げた彼女たちの姿が確かにここにはありました。

おととしの「ジパング」、昨年の「UMA」と私の個人的な年間ベストで2年連続彼女たちのアルバムを1位に選んでいますが、ひょっとしたら本作で3年連続1位になるかも・・・少なくとも現時点では2017年に入ってベストアルバムです。

評価:★★★★★

水曜日のカンパネラ 過去の作品
私を鬼ヶ島へ連れてって
ジパング
UMA


ほかに聴いたアルバム

Cemetery Gates-B SIDES BEST-/ART-SCHOOL

ART-SCHOOLのシングルのカップリング曲を集めたB面ベスト。前半はガレージロックな曲やシューゲイザー直系の曲など迫力あるバンドサウンドにインパクトあるメロと歌詞が載った曲が並んでおり、強く耳を惹きます。ただ後半になると似たようなサウンドの曲が並び、メロも歌詞もマンネリ化。あきらかにバンドとしての失速を感じてしまいました。ラスト2曲は新機軸といった感じで興味深いものがありましたが・・・。

評価:★★★★

ART-SCHOOL 過去の作品
Ghosts&Angels
ILLMATIC BABY

14 SOULS
Anesthesia
BABY ACID BABY
The Alchemist
YOU
Hello darkness,my dear friend

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2017年4月 3日 (月)

25年の歩み

Title:SMAP 25 YEARS
Musician:SMAP

Smap25years

2016年、もっとも日本を騒がせた芸能ニュースといえば間違いなくSMAP解散のニュースでしょう。年初におきた彼らのマネージャーのジャニーズ退社、それに伴う解散騒動、さらには「公開いじめ」とも言われた謝罪劇。結果、8月に正式に解散を発表し、2016年いっぱいをもって25年間続いたSMAPというアイドルグループはその活動に幕を下ろしました。

このアルバムは解散にあわせてリリースされたオールタイムベスト。ファン投票による上位50曲が、3枚組となるCDにそのまま収録されているアルバム。ファン投票の結果そのままというあたりに若干やっつけ感を覚える部分もあるのですが・・・彼らの25年に及ぶ活動を統括した今回のベスト盤。普段はSMAPとかほとんど聴かない私もこのベスト盤は聴いてみることにしました。

そんな訳で興味半分で聴いてみたこのベスト盤。いかにもなアイドルポップ「Can't Stop!!-LOVING-」からスタートした序盤はある種のほほえましさと苦笑いを同居させながら聴いていたのですが、1枚目の中盤あたりからその認識が変わっていきました。SMAPの曲って、こんなによかったんだ、と。

あきらかな転機が「$10」。アイドルポップっぽさが抜けてファンキーに仕上げたこの曲。リアルタイムでも聴いていたのですが、楽曲の雰囲気がグッと大人っぽくなりますし、またいままで似たような声色のユニゾンだったボーカルにメンバー個々の個性が加わってきて、聴いていてどのパートを誰が歌っているのか、ファンでない私でもわかるような構成になっていました。

ここからスタートするDisc1の後半は名曲揃い。リアルタイムでも聴いていた曲ばかりなのですが、あらためて聴くと勢いのあるポップスばかり。ファンクだったりブラックミュージックだったりの要素を隠し味のように入れてきているのもなかなかおもしろく感じます。ご存じ「夜空ノムコウ」は彼ら初のミニオンヒットですが、オールタイムで彼らの楽曲を聴くと音楽的にもこの頃がピークだったんだな、ということを実感できます。

ところがDisc2以降、楽曲が一気につまらなくなります。アイドル冬の時代であまり売れなかった故に挑戦が出来たDisc1と比べると、「国民的アイドル」となったこの頃の曲はあきらかにDisc1に比べると守りに入っているように感じます。Disc1で魅力的だったブラックミュージック的な要素はなくなり、無難なポップ路線の連続。解散にあたりリバイバルヒットをした彼ら最大のヒット曲「世界に一つだけの花」にしても正直個人的には悪い曲ではないと思うけど、SMAPの曲として見ても槇原敬之の曲として見ても傑作とはいいがたいと思うのですが。

実際、彼らのシングルセールスを見ても「$10」あたりから右肩上がりにあがっていき「世界に一つだけの花」でピークを迎え、その後急落していきます。もちろんCDセールス全般の影響を受けている点もあるのですが、彼らの楽曲の出来も、悪くはないものの無難という印象が否めません。

そんな彼らの音楽的な歴史をたどるとひとつ気が付いたことがあります。それはSMAPの歩みがJ-POPというジャンルの歩みにピッタリと重なっているのではないかということ。彼らのデビューした1991年はCHAGE&ASKAの「SAY YES」や小田和正の「ラブ・ストーリーは突然に」が大ヒットした年。ミリオンセールスが連発し、その後のJ-POP全盛期がスタートした年と言えるかもしれません。

そして言うまでもなく、彼らの楽曲に最も勢いのあった1990年代後半はJ-POPの全盛期。ミリオンセールスあたりまえ。200万枚300万枚という売上も続々出てきたのがこの時期でした。しかし「世界に一つだけの花」が大ヒットした翌年の2004年には15年ぶりにシングルでのミリオンセラーがなくなり、その後のJ-POPの凋落ぶりはご存じの通り。もちろんダウンロードセールスなどへの移行も考慮すべきとは思いますが、それを差し引いてもJ-POPというジャンルがSMAPと歩調をあわせるように人気を得て、歩調をあわせるように売上を落としていったことがわかります。

そういう意味では2016年のSMAP解散という出来事、何年後かしたら2016年という年はJ-POPが終わった年、と捉えられるかもしれません。少なくともCDという媒体での音楽のヒットは、SMAP解散と共に終焉を迎えたと言えるかもしれません。

最初、全50曲3枚組というボリューム、お世辞にもうまいとはいえない彼らのボーカルで聴くのは辛いかな、と思っていたのですが、意外とサラッと聴けてしまい十分楽しむことが出来ました。25年の歩みはJ-POPと歩調をあわえていると書いたのですが、彼らの楽曲はその時代時代の流行を積極的に取り入れるというよりは普遍的なポップソングが多いという印象。それだけに普段はジャニーズ系とか聴かない方でも私のように意外と楽しめるアルバムになっているかもしれません。

最後に。いろいろと言われているSMAP解散自体についてですが、個人的には40歳を過ぎたいい大人がいろいろ考えて出した結論なんだから、外野がとやかく言う話ではないと思うんですけどね。そりゃあ、結成数年でまだまだこれからというグループなら残念にも感じますが、25年も活動してきてやるべきことはやったグループなだけに、解散は新たな一歩という意味で決してネガティブにばかり捉えられる話ではないと思います。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

A_B/BOMI

以前見たライブがとてもポップで楽しく、それ以来アルバムをチェックしている女性ソロシンガーBOMI。ただどうもそのライブの楽しさを再現したアルバムがなくいまひとつな作品が続いています。今回のアルバムに関してもエレクトロポップがメインの作品ながら、このジャケット写真を含めて少々「大人」な雰囲気を志向しているようで、楽曲のノリは抑えめ。じゃあそれならそれできちんと聴かせるメロディーがあるのかといわれると微妙で・・・。インパクトが薄く聴いていて印象に残りません。前作「BORN IN THE U.S.A.」は途中に入っている微妙なコントがひどかったものの楽曲自体はキュートなポップが楽しめただけに次のアルバムに期待していたのですが・・・。

評価:★★★

BOMI 過去の作品
キーゼルバッファ
メニー・ア・マール
ビューティフォーEP
BORN IN THE U.S.A.

ETERNALBEAT/ねごと

完全にエレクトロ路線にシフトしたねごとのニューアルバム。この手のエレクトロサウンド自体、若干ありふれているという感もあるものの、最近、続々とデビューしているガールズバンドの中で、ねごとが歩むひとつの方向性としては悪くないのかもしれません。ただ、サウンドはともかくメロディーにいまひとつフックがなく、印象に残らない部分も、もう一癖、彼女たちなりの個性が欲しいところなのですが。

評価:★★★★

ねごと 過去の作品
Hello!"Z"
ex Negoto

"Z"OOM
VISION
アシンメトリe.p

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2017年4月 2日 (日)

新生bonobos

Title:23区
Musician:bonobos

bonobos2年半ぶりとなる新作。その間、2015年にはドラムの辻凡人が脱退。バンドとして解散の危機を迎えたのですが、キーボードの田中佑司(元くるりのドラマー(!))、ギターの小池龍平、ドラムスの梅本浩亘の3名が加入して新生bonobosとして生まれ変わった彼ら。本作はそんな新生bonobosの第1弾となるアルバムです。

そんなbonobosですが、今回のアルバムではその雰囲気がグッと変わった印象を受けます。前作までの彼らはレゲエやダブなどの要素を取り込み、多幸感あふれるポップソングが大きな魅力的でした。一方、今回のアルバムではジャズやソウルなどブラックミュージックの要素が強く前面にあらわれていました。

例えば「Crusin' Crusin'」は(このタイトルからのイメージできるように)フィリーな雰囲気のあるシティーポップ。「グッドナイト」もムーディーな魅力を醸し出しているジャジーなナンバー。こちらもタイトル通り爽快なサマーチューン「Late Summer Dawn」も軽快なシティーポップのナンバーになっていましたし、最後のタイトルチューン「23区」もしんみりジャジーに聴かせる楽曲に仕上がっています。

様々なジャンルの音を取り入れて幸せな雰囲気を醸し出していた前作「HYPER FOLK」と比べるとアルバム全体、ジャズ、シティーポップ、ソウルなどの要素で統一されていた感のあった本作。そのためいままでのbonobosのイメージとはちょっと異なったタイプとなっており、レゲエ、ダブなど横ノリのリズムを求めていたりすると、期待はずれに感じてしまうかもしれません。

それではいままでのbonobosと全く異なったバンドになっていたか、と言われるとそれもまた否でしょう。前作までのbonobosの大きな魅力、特に聴いていて楽しくなるような幸せあふれる楽曲になっているという点は本作でもきちんと引き継がれています。

1曲目の「東京気象組曲」などはバンドサウンドにピアノを入れて分厚いサウンドのポップソングになっていますが、この様々な音を取り入れたサウンドがとにかくワクワク楽しさを醸し出していますし、続く「葡萄の森」も軽快なポップチューン。ちょっと小沢健二や最近の星野源を彷彿とさせる楽しいナンバーに仕上がっていました。

そんな訳で新生bonobosとして新たな方向性を示した一方、いままでのbonobosらしさもきちんと残した、ある意味理想的な変化形ともいえるアルバムになっていました。今後はやはりこの方向性を進んでいくのでしょうか。まだまだ彼らの活躍からは目が離せなさそうです。

評価:★★★★★

bonobos 過去の作品
Pastrama-best of bonobos-
オリハルコン日和
ULTRA
HYPER FOLK


ほかに聴いたアルバム

PINK/土岐麻子

全編エレクトロサウンドを導入した土岐麻子の新作。エレクトロサウンドを前面に押し出しつつ、「Valentine」のようにストリングスで重厚感を出したり「Rain Dancer」のようにEDMナンバーとしたりバリエーションを持たせているのが楽しいところ。またエレクトロ風味となっていてもメロディーはいつもの土岐麻子。彼女の声を加えることにより、いつも通りのシティポップ路線にまとまっていました。

評価:★★★★

土岐麻子 過去のアルバム
TALKIN'
Summerin'
TOUCH
VOICE~WORKS BEST~
乱反射ガール
BEST! 2004-2011
CASSETTEFUL DAYS~Japanese Pops Covers~
HEARTBREAKIN'
STANDARDS in a sentimental mood ~土岐麻子ジャズを歌う~
Bittersweet

&DNA/パスピエ

前作「娑婆ラバ」は非常にポップス色の強いアルバムになっていましたが今回のアルバムはその路線を踏襲した形になっています。前作はそのベタなJ-POPぶりが気になったのですが今回の作品もそのベタさがかなり気になる作品に。アップテンポな楽曲はまるでアニソンみたい。それもある種の突き抜け感が逆におもしろいアニソンと比べると、昔ながらのベタなJ-POPという悪い部分だけが残ってしまったような感のする楽曲に。ちょっと厳しいなぁ。

評価:★★★

パスピエ 過去の作品
ONOMIMONO
演出家出演
幕の内ISM
娑婆ラバ

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2017年4月 1日 (土)

コラボから久保田利伸を知る

Title:THE BADDEST~Collaboration~
Musician:久保田利伸

2016年にメジャーデビュー30周年を迎えた久保田利伸。日本においてブラックミュージックをポピュラーミュージックにむすびつけた第一人者において高い人気を誇り、多くのミュージシャンたちのリスペクトも集める彼。そんな彼だからこそ様々なミュージシャンとのコラボレーションも実現している訳ですが、そんなコラボレーション楽曲を集めた企画盤が本作。デビュー30周年記念企画の第2弾だそうです。

久保田利伸のコラボ作といえばよくよく考えると彼最大のヒット曲である「LA・LA・LA LOVE SONG」からしてナオミ・キャンベルとのコラボ作。他にも邦楽勢ではMISIAやAI、EXILE ATSUSHIといった面々からちょっと異色なところでは小泉今日子とのコラボ作があったり、洋楽勢ではTHE ROOTSやMusiq Soulchild、George Clintonなど層々たる面々とのコラボも並んでいます。

そんな彼のコラボ作を通して聴いてまず感じたのは、思ったより久保田利伸という独特のカラーが薄いのではないかという点でした。確かにこれが久保田利伸の曲だ、というのは彼の声を聴けばわかります。彼のよく通るその歌声は、その声色も含めて強い個性を持っています。

ただ一方、楽曲自体のスタイルとしては、これが久保田利伸だ、という色はあまり強いようには感じませんでした。むしろコラボレーションに関してはコラボしている相手の色に寄り添っているようなイメージさえ受けました。例えばGeorge ClintonやWilliam "Bootsy" CollinsらのP-Funk勢が参加した「MIXED NUTS」はまさにロッキンでファンキーなナンバーに仕上がっていますし、JUJUとコラボした「Is it over?」では哀愁感あるメロでむしろJUJUっぽいナンバーになっています。

もっともこの「相手の色に寄り添う」というスタイルだからこそ数多くのミュージシャンとのコラボを実現できたのでしょう。またギターを中心としたバンドサウンドというスタイルが50年近く続いている、ある意味「保守的」な部分があるロックに比べるとブラックミュージックというジャンルは時代時代によってそのスタイルを柔軟に変えてきた分野。久保田利伸がひとつのスタイルを貫きすぎず時代時代に応じて柔軟にそのスタイルを変えてきたからこそ、30年という長きにわたりトップミュージシャンの座を維持できたのでしょう。

コラボというスタイルを通じて久保田利伸というミュージシャンの特徴を強く感じられた今回のアルバム。企画盤という位置づけですが、彼のベスト盤のタイトルとしておなじみの「BADDEST」という名前を冠しているだけに間違いなく本作もまた「ベスト盤」のひとつだと思います。ファンならずとも久保田利伸というミュージシャンに興味を持っている方、必聴の作品です。

評価:★★★★★

久保田利伸 過去の作品
Timeless Fly
Gold Skool
THE BADDEST~Hit Parade~
L.O.K.


ほかに聴いたアルバム

STAND!!/フジファブリック

フジファブリックの新作は1曲目「FREEDOM」いきなりエレクトロサウンドでスペーシーにスタートしてリスナーを驚かせます。続く「SUPER!!」もギターロックの楽曲ながらもスペーシーな雰囲気で1曲から続く感じ。そのほか幻想的な雰囲気のサビが印象的な「have a good time」、サイケな「the light」など挑戦的な楽曲も多かった今回のアルバム。ただ一方アルバムでメインとなるのはやはり彼ららしいシンプルなギターロック。そういう意味ではファンにとっても安心して聴けるアルバムだったと思います。

そういう挑戦的な楽曲が実を結んでいたかといわれる微妙な部分もあってアルバム全体のインパクトは薄めなのですが・・・次の作品へのあらたなる成長を期待できると言えるかもしれません。今回のアルバムが次回作へどう結びついていくのか楽しみにも感じます。

評価:★★★★

フジファブリック 過去の作品
TEENAGER
CHRONICLE
MUSIC
SINGLES 2004-2009

STAR
VOYAGER
LIFE
BOYS
GIRLS

LIFE/山崎まさよし

一時期に比べると少々人気が停滞気味な最近の山崎まさよし。最新アルバムは良くも悪くもいつもの彼らしい作品といった感じ。暖かみのあるアコースティックなサウンドに優しいメロディーラインという彼の魅力を存分に感じつつ、楽曲によってはダイナミックにバンドサウンドを取り入れる楽曲もあったりと、バリエーションもあり彼の魅力をしっかり伝えているアルバムに。ただ一方、歌詞にしろメロディーにしろ流し聴きしていても昔のようにハッとさせられるようなインパクトは不足しているように感じます。そこらへんが一時期のように大ヒットが出てこない要因かも。

評価:★★★★

山崎まさよし 過去の作品
COVER ALL-YO!
COVER ALL-HO!

IN MY HOUSE
HOBO'S MUSIC
Concert at SUNTORY HALL
The Road to YAMAZAKI~the BEST for beginners~[STANDARDS]
The Road to YAMAZAKI~the BEST for beginners~[SOLO ACOUSTICS]

FLOWERS
HARVEST ~LIVE SEED FOLKS Special in 葛飾 2014~
ROSE PERIOD ~the BEST 2005-2015~
UNDER THE ROSE ~B-sides & Rarities 2005-2015~
FM802 LIVE CLASSICS

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