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2017年3月10日 (金)

待望の新作!

Title:I See You
Musician:The xx

前作「Coexist」が大ヒットを記録。また各種メディアにおいても非常に高い評価を得て、一躍注目のミュージシャンとなったイギリスの3人組バンドThe xx。その後はメンバーのジェイミー・スミスがJamie XX名義でソロアルバム「In Colour」をリリース。こちらも大きな評判を呼びました。

しかしThe xxとしてのアルバムはその後久しくリリースされず約4年半。ようやくのリリースとなる待望のニューアルバムがリリースされました。久々のアルバムとなったのですが全英チャートでは前作に引き続き1位を獲得。さらにアメリカビルボードチャートでは前作の最高位5位を上回る2位を記録するなどその期待値の高さをうかがわせます。

そんな彼らのニューアルバム、まず印象的だったのは男女のツインボーカル、ロミー・マドリー・クロフトとオリヴァー・シムによるデゥオでしょう。優しい雰囲気のポップなメロディーラインが印象的なのですが、メンバー全員幼馴染という間柄だそうで、それだけに息の合ったデゥエットを聴かせてくれます。2人とも包容力あるボーカルが魅力的なのですが、お互いのことをよく知っている2人のデゥエットだけにお互いを気遣うようなやさしさをそのボーカルから感じることが出来ます。

この2人のデゥオが印象的なポップなメロディーラインというのは前作「Coexist」から共通点。一方、前作から大きく変わった部分があります。それはサウンド。前作は音をそぎ落としたシンプルで空間を生かしたようなサウンドが特徴的でした。今回のアルバム、1曲目「Dangerous」はリズムを強調したダンスチューンとなっており、Jamie XXでの活動からの影響を感じさせます。こちらは比較的音の作りはシンプルとなっているのですが、続く2曲目「Say Something Loving」は重いベースの音やパーカッション、さらにはギターやピアノの音まで加わる分厚いサウンドが特徴的。その後もスペーシーでスケール感を感じる「A Violent Noise」や反響する音を生かしたダイナミックなサウンドが神秘的な「Brave For You」など、音数は前作より圧倒的に増え、分厚いサウンドが特徴的な楽曲が並びました。

個人的には音を絞ったシンプルな曲が好み、ということもあり前作の方がよかったかな、というのが正直な感想。ただ単純に前作のコピーを作るのではなくバンドとして新たなサウンドを模索しているということは強く感じることが出来ました。またサウンドにしてもただ単に音を詰め込んで分厚くしたりスケール感を出したりしている、という感じではなく本作に関してもまたその音には緊迫した空気を感じられました。

特にアルバムの中で印象に残ったのが終盤。荘厳さを感じる出だしからリズミカルなポップソングへと展開していく「On Hold」から、アップテンポでポップでキュートメロディーが印象的な「I Dare You」へとインパクトある楽曲が並んだかと思うと、ラストはピアノの音をバックに2人のボーカルをしっかり聴かせる「Test Me」で終了。彼らの魅力を存分に感じ、このアルバムは幕を下ろします。

上にも書いた通り、正直なところ前作の方が好みでしたが、The xxの久々のアルバムとして次の一歩を感じさせる作品でした。前作のイメージもそのままでしたから、久々の新作としてファンにとっては期待どおりの作品と言えるかもしれません。2017年1月早々にリリースされたアルバムですが、これもまた2017年を代表する作品としていろいろと話題になりそうです。

評価:★★★★★

The xx 過去の作品
Coexist

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