« こちらはジャニーズ系が1位 | トップページ | コラボから久保田利伸を知る »

2017年3月31日 (金)

海外志向が強く

Title:Ambitions
Musician:ONE OK ROCK

間違いなく、今もっとも勢いのあるロックバンドが彼らでしょう。本作ではオリコンアルバムチャートで23万枚を記録し1位を獲得した他、海外でリリースされた輸入盤も同時にベスト10入り。海外でも積極的に活動しているようで最近のロックバンドではちょっと珍しいワールドワイドな活動を志向しています。

前作「35xxxv」はその人気を裏付けするように勢いのあるアルバムに仕上がっていました。続く本作で感じられるのはまずバンドとしての自信に裏付けされたようなスケール感。「We are」などまさにスタジアムで演奏するのが最もピッタリきそうなスケール感を感じますし、「Bedroom Warfare」もギターサウンドがダイナミックに鳴り響きますし、ラストを飾る「Take what you want」も最初は少々静かな雰囲気にスタートしつつ、サビに向けて一気に徐々にスケール感を増してくる作品になっています。

また洋楽テイストがより強くなっているのも本作の特徴。特に「Listen」ではあのアヴィリル・ラヴィーンをフューチャー。まんまアヴィリルといった感じの曲になっていますし、続く「One Way Ticket」も爽やかなメロディーラインに英語詞で洋楽テイストが強い楽曲に。正直なところ、One Directionあたりが歌っていても不思議じゃないかんじか?

海外をターゲットに、よりビックなバンドになることを志向した作品、今回のアルバムの方向性について一言で言ってしまうとそんなところでしょうか。より外へ、上へと向いている彼らの視点は内輪向けにおさまっていまう傾向もある最近のロックバンドの中では珍しいと言えるかもしれません。

そんなバンドのスタンスはたのもしくも感じられる一方、ただアルバムを通じて聴くと物足りなさも強く感じてしまう作品にもなってしまっていました。まず前作でも感じたのですが、楽曲のバリエーションがちょっと乏しく感じます。ダイナミックなサウンドでマイナーで哀愁感漂うメロディーラインという展開の曲が並んでおり、お得意のパターンなのですが、そのパターンがあまりにも目立ちすぎているように感じました。

また肝心のメロディーラインに関していまひとつフックが足らないように感じます。洋楽テイストを志向してあえてわかりやすいサビをつくることを避けたのかもしれませんが、その結果、メロディーに関して印象に残るような曲が少なかったように思います。

ここらへんのマイナス点はいままでの彼らのアルバムでも感じていた点でした。今回のアルバムは海外でも挑戦できる洋楽志向の作品を目指したのですが、その方向性がある程度結実した一方で、彼らがいままでも持っていた問題点が残念ながら強く前に出てしまったようなアルバムになっていたと思います。決して悪い作品ではないと思うのですが、彼らの実力や今の勢いを感じるといささか物足りなさを感じるアルバムでした。なんかこれまでの作品に共通するのですが、あと一歩、大傑作がリリースされそうでそこへ届かない、もどかしさを感じるんだよなぁ。

評価:★★★

ONE OK ROCK 過去の作品
Nicheシンドローム
残響リファレンス
人生×僕=

35xxxv


ほかに聴いたアルバム

LAST FOREVER BEST~未来へとつなぐFAMILY SELECTION~/HOME MADE家族

2016年いっぱいで活動休止したHIP HOPユニットが活動休止前最後にリリースしたベスト盤。いままでの彼らの活動を総括するベスト盤・・・なのですが、彼らのベスト盤は2014年にリリースしたばかり。その後リリースされたオリジナルアルバムもわずか1枚。まあ活動休止前に活動を総括する意味でのベスト盤リリースというのはよくわかるのですが・・・。

そのため感想としてはほぼ前のベスト盤「家宝~THE BEST OF HOME MADE 家族~」と一緒。ただあらためて聴くと前向き応援歌が悪い意味でのいかにもJ-POPらしさを感じる反面、意外とメロディーラインはセンス良く、またサウンドに関してもほどよくファンキーなリズムも入った爽やかなサウンドが耳を惹きます。ここらへんのセンスの良さが、悪い意味でベタさを感じる歌詞と相殺されて、他の前向き応援歌ばかり歌うミュージシャンと比べて嫌味なイメージなく楽しく聴くことが出来るように思いました。

活動休止は残念ですが、「解散」という表現は使いませんでしたし、なによりHOME MADE家族を一生続けていくための、と言っているだけに再活動の時期は意外と近いかもしれません。それまでメンバー個々の活躍に期待したいです。

評価:★★★★

HOME MADE 家族 過去の作品
HOME
Heartful Best Song "Thank You!"

CIRCLE
FAMILY TREE~Side Works Collection Vol.1~
seven emotions
AKATSUKI
3RISE
家宝~THE BEST OF HOME MADE 家族~
Laughin' Road

Suolo/HUSKING BEE

オリジナルメンバー工藤哲也再加入後初となるHUSKING BEE再結成後3枚目のアルバム。軽快なメロコアのギターロックがアルバム全編に展開。磯部正文のボーカルもあり、非常にHUSKING BEEらしい作品となっています。良くも悪くもHUSKING BEEらしさを感じて安心して聴けるアルバムでした。

評価:★★★★

|

« こちらはジャニーズ系が1位 | トップページ | コラボから久保田利伸を知る »

アルバムレビュー(邦楽)2017年」カテゴリの記事

コメント

今まで培ってきたものをすべて投げ捨て、新しい「何か」を作り出そうと決心した姿がサウンドに歌に表れているなとは思いましたがそれでいいのかなとは僕は思いました。

投稿: ひかりびっと | 2017年4月 1日 (土) 08時04分

>ひかりびっとさん
ご感想ありがとうございます。ONE OK ROCKはこれからに期待ですね。

投稿: ゆういち | 2017年4月 4日 (火) 23時57分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 海外志向が強く:

« こちらはジャニーズ系が1位 | トップページ | コラボから久保田利伸を知る »