アンビエントがテーマの2枚組
Title:Principe del Norte
Musician:Prins Thomas
今年に入ってから2016年に話題となったアルバムの中で聴き逃したアルバムをいまさらながらいろいろと聴いているわけですが、おそらくそんなアルバムもこれが最後。ノルウェーのDJ/プロデューサー、Prins Thomasがリリースした2枚組のニューアルバム。ミュージックマガジン誌の「ハウス/テクノ/ブレイクビーツ」部門で2016年度の1位を獲得したアルバムです。
Prins Thomasというプロデューサーの名前は今回初耳。いろいろと調べていく中で「コズミック・ディスコ・プロデューサー」という肩書に出会ったのですが、この「コズミック・ディスコ」というジャンル、調べてみてもどんな感じのジャンルなのかいまひとつわからない・・・。彼の楽曲は非常にスペーシーな曲が多いので、こんな雰囲気のディスコミュージックを「コズミック・ディスコ」というのでしょうか??
今回のアルバムのコンセプトはアンビエントということで全体的に淡々としたサウンドが延々と続いていきます。楽曲のタイトルもアルファベットをAから順番に並べただけという非常にシンプルなもの。楽曲の色などをほとんど感じさせない、ある意味サウンドが並んでいるだけ、とでもいうようなアルバムになっています。
ただ2枚組となる本作ですが、あきらかに1枚目と2枚目とではその方向性が異なります。1枚目はスペーシーなサウンドに淡々としたミニマルテイストのメロディーが続いていく感じ。アンビエントらしく抑えめのサウンドを延々と聴かせる構成になっておりメロディーラインが意外とポップで耳なじみやすいのが印象的でした。また楽曲は1曲あたり6分から長い曲で14分弱。その中でミニマル的に淡々とサウンドが続いていくわけですが、所々でサイケデリックなサウンドが加わったり、ドリーミーな雰囲気となったりと徐々に変わっていくサウンドがまたユニークにも感じました。
一方2枚目に関してはテンポのよいリズムが前面に出てきている構成に。こちらも抑えめなサウンドで高揚感はないとはいえ、例えば四つ打ちのリズムでトランシーなリズムを楽しめる「G」などはフロアで流れれば十分踊れるだけのダンサナブルな楽曲に。「E」などもファンキーなリズムを楽しめ、軽快でリズミカルなサウンドが楽しめる楽曲になっています。
アンビエントというテーマらしく淡々としているという印象はあるのですが、1曲の中で楽曲が徐々に変化して様々な構成を楽しむことが出来、そして意外とポップなメロディーが根底に流れていることもあり、2枚組95分程度というボリュームのアルバムながらも全く飽きることなく楽しむことが出来る内容でした。年間1位という感じなのかどうかはちょっとよくわからないのですが・・・テクノ/ハウス界隈が好きなら文句なしに要チェックのアルバムです。
評価:★★★★★
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