復帰後初!
Title:砂の塔
Musician:THE YELLOW MONKEY
今回のレビューはちょっと毛色が違います。THE YELLOW MONKEY復帰後初のシングル盤。初回限定版でライブ音源がついており、全14曲70分というアルバム並のボリュームになっています。当サイトへよく遊びに来て下さる「通りすがりの読者」さんのリクエストもあり、かなり遅くなってしまったのですがレビューで取り上げさせていただきました。
まずはやはり肝心の新曲2曲から。「砂の塔」はギターのアルペジオで妖艶な雰囲気にスタート。さらに重なるストリングスがその雰囲気をさらに強調しています。このストリングスのアレンジは沢田研二の「勝手にしやがれ」など数々のヒット曲のアレンジャーとして知られる船山基紀が手掛けており、要所要所でインパクトある音色を上手くいれてきているのが印象的。THE YELLOW MONKEYはもともと歌謡曲からの影響を公言しており、特に吉井和哉はソロ活動で歌謡曲のカバーアルバムもリリースしていましたが、まさに彼らだからこそ出来る歌謡曲の要素をふんだんに取り入れた歌謡ロックに仕上がっています。「砂の塔」というはかなさを感じるいかにもなタイトルもそうですが、歌詞も昭和歌謡の匂いがプンプンただよってきます。
一方2曲目「ALRIGHT」も歌謡ロックらしい哀愁感あるメロが特徴的なのですが、こちらはよりバンドサウンドを前に押し出したサウンドに。どちらかというと「歌謡」の部分を前に出した「砂の塔」に比べてロックバンドな部分を前に出した楽曲に仕上がっています。復帰後初となる挨拶がわりの2曲は、それぞれTHE YELLOW MONKEYの魅力を違う側面からスポットをあてた作品と言えるかもしれません。
そしてそれに続く12曲は昨年5月からスタートした復帰後初のアリーナツアーから、各会場1曲ずつピックアップして収録したライブアルバムとなっています。
いうまでもなくこのメンバーでライブを実施するのは約15年ぶり。しかし、それだけ長いブランクがあったにも関わらずビックリするくらいバンドとしてまとまりがあり、かつむしろここにきてバンドとして脂がのりまくっているのではないか、と思うほどのライブとなっていました。
まずライブ盤の冒頭は「プライマル。」。復帰後ライブ一発目の一曲目。解散前のラストシングルを最初に持ってくるのがユニークですが、スタート直後の歓声はファンの歓喜の叫び。会場を覆う雰囲気がライブ音源を通じて伝わってくるようです。
その後の収録曲はまさにTHE YELLOW MONKEYのベスト盤ともいえるような選曲になっているのがうれしいのですが、間違いなくどの曲もその勢いは増しています。「SPARK」はより疾走感が増していますし、「BURN」は演奏がより分厚く、グルーヴさを増しています。さらに途中、長いギターソロが入ってよりサイケさを増した「球根」は10分にも及ぶ演奏ながらも、そのテンションを全く切らすことなく最後まで聴かせる演奏となっています。
復帰後初のライブツアーとは信じられないくらいバンドとしてのまとまりがあり、また迫力を感じさせるライブになっていました。また観客の歓声からはイエモン復活の喜びを感じさせ、幸福感あふれるライブ会場の空気感も伝わってきます。そんな会場の空気だったからこそ、イエモンの演奏がよりエッジの利いたものとなったのかもしれませんね。
そんな訳で新曲2曲はもちろんライブ音源も間違いなく要チェックの1枚。これが初回限定版というのは残念な限り・・・とはいえ、現時点でも幸か不幸かまたAmazonでは購入できるようですし、また中古なら普通に購入できそう(あと、レンタルという手法も)。しかし、これだけバンドとして勢いがあるのならこれからの活動にも期待が出来そうですね。最近、バンドの復活というニュースは多いのですが、残念ながら復活直後は積極的に活動していても徐々に尻すぼみになり、いつのまにか活動しているのかどうかわからないようなバンドがほとんど(コンスタントに活動を続けているのはユニコーンくらいか?)なだけに、彼らには是非、積極的な活動を期待したいのですが・・・。
評価:★★★★★
THE YELLOW MONKEY 過去の作品
COMPLETE SICKS
イエモン-FAN'S BEST SELECTION-
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コメント
ゆういちさん、こんばんは。そして、ありがとうございます!まさか本当にレビューに取り上げていただけるとは思ってなかったので、めちゃくちゃ嬉しいです!そして、内容も気に入ってくれたみたいで何よりです(って僕はただの一ファンですが)。
確かにイエモンには、これからもコンスタントに活動してほしいですね。
投稿: 通りすがりの読者 | 2017年3月 6日 (月) 02時31分
>通りすがりの読者さん
すっかり遅くなってしまいすいません。しかしこのシングル、かなりの傑作ですね!これだけのライブを聴かせてくれる以上、これからもコンスタントな活動を期待したいのですが、さてさて。
投稿: ゆういち | 2017年3月10日 (金) 00時06分