確かにこれは「ヤバイ」
Title:We love Tank-top
Musician:ヤバイTシャツ屋さん
今、もっともブレイク間近なバンドとして注目を集めている3人組ギターロックバンド、ヤバイTシャツ屋さん。インディーズ時代からそのユニークなバンド名とともに話題となっていましたがこのたびメジャーデビュー。そのデビュー作である本作はいきなりオリコンアルバムチャートで7位を記録しています。
その特徴的なバンド名は以前から知っていたのですがその高い注目度もあり今回のメジャーデビューアルバムをはじめて聴いてみました。で、はじめて聴いてみた感想ですが、これがなかなかおもしろい!楽曲のタイプとしては基本的にメロコア。比較的分厚いギターサウンドにインパクトあるポップなメロディーラインが特徴的。ただところどころハードコア風のデスボイスが入って来たり、かなりへヴィーなバンドサウンドが入ってくる点が大きなインパクト。メタルばりのへヴィーな部分とキュートとも感じるポップな部分のバランスが非常におもしろい印象を受けました。
この楽曲のインパクトやへヴィーとポップのバランスに一役買っているのが男女のツインボーカルというスタイル。女性ボーカルのしばたありぼぼはいまどきともいえる若干アニメ声風の甲高いボーカルスタイルなのですが、女性ボーカルを入れることにより楽曲のポップな側面で強いインパクトを与えています。
このデス声を入れたへヴィーなサウンドとポップなメロのほどよいバランス、さらにインパクトとしての女性ボーカルという点でマキシマム ザ ホルモンと近い部分を感じました。またその活動スタイルや楽曲自体にユーモアな部分が多い部分も共通項。ヤバイTシャツ屋さんというバンド名ながらも「We love Tank-Top」というアルバムタイトルをもってくるのもユニークなのですが、1曲目「We love Tank-top」はいきなりわざとらしさを感じるミュージカル風からスタート。リスナーをちょっとびっくりさせるはじまりとなっています。
ただしユーモアセンスな言動をしたり歌詞を書いたりしながらも、歌詞で意図される主張についてはとても熱いものを感じるマキシマム ザ ホルモンに対してヤバイTシャツ屋さんの歌詞はどこか醒めたような視点やメタ視点のような歌詞が多くみられます。「喜志駅周辺なんもない」や「天王寺に住んでる女の子」などは大阪芸大出身の彼ららしい、大阪芸大の学生あるあるネタという、内輪ネタに終始している歌詞ですし「流行りのバンドのボーカルの男みんな声高い」はその通りなのですが、まさにメタ視点の歌詞になっています。
まあここらへんの差が、メンバー全員アラフォーで私と同年代のマキシマム ザ ホルモンと、メンバーが(公表はされていないようですがおそらく)20代前半のヤバイTシャツ屋さんの世代の差のような感じもします。このメタ視点や世の中を斜めから見たようなシニカルな歌詞は個人的にはあまり好みではないのですが、今のところでは楽曲のおもしろさの方が先に来ており、彼らの個性として上手く機能しているように思います。若干、この歌詞の方向性が今後の展開次第では嫌味たらしい感じになってしまう可能性も否定はできないのですが・・・とりあえず現時点では非常におもしろくインパクトある歌詞に仕上がっていました。
各所で絶賛されている彼らへの評価に違いはなく、間違いなくここ最近のロックバンドの中で頭ひとつとびぬけた存在だと思います。良くも悪くも今時のバンドという感じも強く、それが今後、どういう方向に作用していくのか期待半分不安半分な部分もあるのですが・・・間違いなく2017年にその動向から目を離せないバンドだと思います。これからが楽しみです。
評価:★★★★★
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