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2017年3月

2017年3月31日 (金)

海外志向が強く

Title:Ambitions
Musician:ONE OK ROCK

間違いなく、今もっとも勢いのあるロックバンドが彼らでしょう。本作ではオリコンアルバムチャートで23万枚を記録し1位を獲得した他、海外でリリースされた輸入盤も同時にベスト10入り。海外でも積極的に活動しているようで最近のロックバンドではちょっと珍しいワールドワイドな活動を志向しています。

前作「35xxxv」はその人気を裏付けするように勢いのあるアルバムに仕上がっていました。続く本作で感じられるのはまずバンドとしての自信に裏付けされたようなスケール感。「We are」などまさにスタジアムで演奏するのが最もピッタリきそうなスケール感を感じますし、「Bedroom Warfare」もギターサウンドがダイナミックに鳴り響きますし、ラストを飾る「Take what you want」も最初は少々静かな雰囲気にスタートしつつ、サビに向けて一気に徐々にスケール感を増してくる作品になっています。

また洋楽テイストがより強くなっているのも本作の特徴。特に「Listen」ではあのアヴィリル・ラヴィーンをフューチャー。まんまアヴィリルといった感じの曲になっていますし、続く「One Way Ticket」も爽やかなメロディーラインに英語詞で洋楽テイストが強い楽曲に。正直なところ、One Directionあたりが歌っていても不思議じゃないかんじか?

海外をターゲットに、よりビックなバンドになることを志向した作品、今回のアルバムの方向性について一言で言ってしまうとそんなところでしょうか。より外へ、上へと向いている彼らの視点は内輪向けにおさまっていまう傾向もある最近のロックバンドの中では珍しいと言えるかもしれません。

そんなバンドのスタンスはたのもしくも感じられる一方、ただアルバムを通じて聴くと物足りなさも強く感じてしまう作品にもなってしまっていました。まず前作でも感じたのですが、楽曲のバリエーションがちょっと乏しく感じます。ダイナミックなサウンドでマイナーで哀愁感漂うメロディーラインという展開の曲が並んでおり、お得意のパターンなのですが、そのパターンがあまりにも目立ちすぎているように感じました。

また肝心のメロディーラインに関していまひとつフックが足らないように感じます。洋楽テイストを志向してあえてわかりやすいサビをつくることを避けたのかもしれませんが、その結果、メロディーに関して印象に残るような曲が少なかったように思います。

ここらへんのマイナス点はいままでの彼らのアルバムでも感じていた点でした。今回のアルバムは海外でも挑戦できる洋楽志向の作品を目指したのですが、その方向性がある程度結実した一方で、彼らがいままでも持っていた問題点が残念ながら強く前に出てしまったようなアルバムになっていたと思います。決して悪い作品ではないと思うのですが、彼らの実力や今の勢いを感じるといささか物足りなさを感じるアルバムでした。なんかこれまでの作品に共通するのですが、あと一歩、大傑作がリリースされそうでそこへ届かない、もどかしさを感じるんだよなぁ。

評価:★★★

ONE OK ROCK 過去の作品
Nicheシンドローム
残響リファレンス
人生×僕=

35xxxv


ほかに聴いたアルバム

LAST FOREVER BEST~未来へとつなぐFAMILY SELECTION~/HOME MADE家族

2016年いっぱいで活動休止したHIP HOPユニットが活動休止前最後にリリースしたベスト盤。いままでの彼らの活動を総括するベスト盤・・・なのですが、彼らのベスト盤は2014年にリリースしたばかり。その後リリースされたオリジナルアルバムもわずか1枚。まあ活動休止前に活動を総括する意味でのベスト盤リリースというのはよくわかるのですが・・・。

そのため感想としてはほぼ前のベスト盤「家宝~THE BEST OF HOME MADE 家族~」と一緒。ただあらためて聴くと前向き応援歌が悪い意味でのいかにもJ-POPらしさを感じる反面、意外とメロディーラインはセンス良く、またサウンドに関してもほどよくファンキーなリズムも入った爽やかなサウンドが耳を惹きます。ここらへんのセンスの良さが、悪い意味でベタさを感じる歌詞と相殺されて、他の前向き応援歌ばかり歌うミュージシャンと比べて嫌味なイメージなく楽しく聴くことが出来るように思いました。

活動休止は残念ですが、「解散」という表現は使いませんでしたし、なによりHOME MADE家族を一生続けていくための、と言っているだけに再活動の時期は意外と近いかもしれません。それまでメンバー個々の活躍に期待したいです。

評価:★★★★

HOME MADE 家族 過去の作品
HOME
Heartful Best Song "Thank You!"

CIRCLE
FAMILY TREE~Side Works Collection Vol.1~
seven emotions
AKATSUKI
3RISE
家宝~THE BEST OF HOME MADE 家族~
Laughin' Road

Suolo/HUSKING BEE

オリジナルメンバー工藤哲也再加入後初となるHUSKING BEE再結成後3枚目のアルバム。軽快なメロコアのギターロックがアルバム全編に展開。磯部正文のボーカルもあり、非常にHUSKING BEEらしい作品となっています。良くも悪くもHUSKING BEEらしさを感じて安心して聴けるアルバムでした。

評価:★★★★

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2017年3月30日 (木)

こちらはジャニーズ系が1位

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週1位はジャニーズ系アイドルグループNEWS「NEVERLAND」が獲得。これでアルバム1位獲得はベスト盤含めてデビュー以来9作連続。初動売上12万4千枚は前作「QUARTETTO」の10万8千枚(1位)からアップしています。

2位初登場は和楽器バンド「四季彩-shikisai-」。和楽器を用いてポップソングを奏でるということで注目を集めている8人組バンドによる約1年半ぶりの新作。初動売上4万1千枚は前作「八奏絵巻」の3万6千枚(1位)からアップしています。

3位にはエレファントカシマシ「All Time Best Album THE FIGHTING MAN」が入ってきました。デビュー30周年を迎えた彼らによるオールタイムベストアルバム。彼らのオールタイムベストは2009年に「自選作品集」としてリリースしているのですが、こちらは所属レコード会社毎のリリースとなり、CD全5枚となるボリューム。それに対して本作はCD2枚組とまとまった選曲となっています。初動売上2万5千枚。直近作はオリジナルアルバム「RAINBOW」でこちらの初動1万3千枚(12位)よりも大きくアップ。アルバムでのベスト3入りは2009年の「昇れる太陽」以来のヒットとなりました。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位に男性シンガー三浦大知「HIT」がランクイン。自身初のチャート1位ヒットとなった「EXCITE」を含む1年半ぶりの新作です。初動売上2万1千枚は前作「FEVER」の1万8千枚(3位)よりアップ。

5位にはゴスペラーズ「Soul Renaissance」がランクイン。途中、ベスト盤のリリースはあったものの、メンバー北山陽一の病気療養の影響もあり、2年半ぶりというちょっと久々のリリースとなりました。初動売上は1万5千枚。直近のベスト盤「G20」の1万8千枚(2位)よりダウン。また直近のオリジナルアルバム「The Gospellers Now」の初動1万6千枚(6位)よりも若干のダウンとなっています。

6位初登場は「劇場版 名探偵コナン主題歌集~"20"All Songs~」が入ってきました。こちら映画名探偵コナンの20作の主題歌をすべて収録したオムニバス盤。主題歌集の直近作「名探偵コナン テーマ曲集5~THE BEST OF DETECTIVE CONAN5~」はビーイング系以外の曲は収録されず、ファンにとっても賛否両論となりました。本作も発売元はビーイングですが、今回は斉藤和義の「ワンモアタイム」やいきものがかり「ハルウタ」など非ビーイング系もきちんと収録。全20作すべて収録されています。初動売上は1万3千枚。「テーマ曲集5」の初動1万1千枚(2位)よりアップしています。

7位は「ソードアート・オンライン ソングコレクションII 」。アニメ「ソードアート・オンライン」のキャラクターソング集。初動売上1万枚。同シリーズの前作「ソードアート・オンライン ソングくレクション」の1万5千枚(6位)からダウン。

8位には中島美嘉「TOUGH」がランクイン。昨年10月、CDと本を組み合わせた「SONGBOOK『あまのじゃく』」という形態で、ベスト盤的なアルバムをリリースしていますが、純然たるオリジナルとしては「REAL」以来約4年2カ月ぶりと久々となる新作。初動売上は9千枚。「SONGBOOK『あまのじゃく』」の3千枚(21位)よりは大きくアップしましたが、前作「REAL」の4万9千枚(1位)から大きくダウンしています。

最後10位にはCocco「20周年リクエストベスト+レアトラックス」がランクイン。相変わらず彼女らしいそっけないタイトルのベスト盤。初動売上8千枚は直近のオリジナルアルバム「アダンバレエ」(6位)から横バイ。ちなみにベスト盤としての前作「ザ・ベスト盤」の2万2千枚(4位)からは大きくダウンしてしまっています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2017年3月29日 (水)

2週連続AKB系

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週も先週に続きAKB系が1位獲得。

今週1位は乃木坂46「インフルエンサー」。先週5位からランクアップし、CDリリースにあわせて1位獲得となりました。CD販売・ダウンロード・ストリーミング数及びPCによるCD読取数で1位、Twitterつぶやき数2位、ラジオオンエア数(以下「実売数」)4位、You Tube再生回数9位といずれも上位にランクインしています。ちなみにオリコンでも初動87万4千枚で初登場1位を獲得。前作「サヨナラの意味」の82万7千枚(1位)よりアップしています。

2位は韓流男性アイドルグループSNUPER「Oh yeah!!」が初登場でランクイン。実売数で2位を獲得した以外は、Twitterつぶやき数65位、その他は圏外と典型的な一部の固定ファンのみにクローズアップしたヒットとなっています。オリコンでは3位初登場。初動売上3万枚は前作「YOU=HEAVEN(JPN ver.)」の1万7千枚(12位)よりアップし、初のベスト10ヒットとなっています。

そして3位には・・・相変わらず強いなぁ、星野源「恋」が先週から変わらず3位をキープ。You Tube再生回数1位が影響されているようですが、実売数でも12位。ラジオオンエア数8位、PCによるCD読取数5位と上位を記録しており、まだまだロングヒットが続きそうです。

続いて4位以下の初登場曲です。4位に俳優菅田将暉「見たこともない景色」がランクイン。auのCMソングとして話題のこの曲。CDリリースは6月の予定ですが先行配信がスタートし、それに伴いベスト10にランクインです。ちなみに菅田将暉はソロ名義ではこれがデビュー作ですが、グリーンボーイズのメンバーとしてシングルをリリースしたことがあります。ちなみにこの曲はまんまBUMP OF CHIKENを彷彿とさせるようなベタなギターロック。RADWIMPSの「前前前世」っぽい感じもしますし、流行っているという見解なんでしょうか?

7位はDream Ami「はやく逢いたい」が初登場。ミュージシャン名義通り、DreamのメンバーAmiのソロシングル。映画「ひるなかの流星」主題歌。実売数7位、ラジオオンエア数15位、Twitterつぶやき数11位など上位にランクインし、ベスト10入り。オリコンも7位初登場。初動1万3千枚は前作「Lovefool -好きだって言って-」の1万4千枚(9位)から若干のダウン。

初登場最後は9位。女性アイドルグループBiSH「プロミスザスター」が入ってきました。彼女たちにしては珍しく(?)普通のJ-POP風のアイドルポップ。先週の79位からCDリリースにあわせてのベスト10入り。実売数9位、ラジオオンエア数6位、Twitterつぶやき数9位の一方、PCによるCD読取数45位が足を引っ張る形に。オリコンでは初動2万4千枚で4位初登場。前作「DEADMAN」の初動1万9千枚(5位)からアップ。

さて初登場は以上なのですが、今週はベスト10返り咲き組も。それがDoughnuts Hole「おとなの掟」。以前にも紹介しましたがTBS系ドラマ「カルテット」主題歌で松たか子、満島ひかり、高橋一生、松田龍平からなる企画ユニット。そのドラマが最終回を迎えた影響か、先週の16位から5位にランクアップ。2月27日付チャート以来、5週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。

また今週のチャート、オリコンでは上位に入っていないもののビルボードではロングヒットを続ける楽曲も目立ちます。まずはAnly+スキマスイッチ=「この闇を照らす光のむこうに」日テレ系ドラマ「視覚探偵 日暮旅人」エンディングテーマのこの曲。3月13日付チャートで6位を獲得し翌週12位にランクダウンしたものの、その後8位にランクアップ。さらに今週は6位にランクをあげています。

もう1曲はPerfume「TOKYO GIRL」。2月20日付で6位にランクインしベスト10に初登場した後、2位→4位→4位→5位→6位と推移して今週も10位にランクイン。どちらもオリコンでは50位圏外になっていますが、Hot100ではベスト10圏内でロングヒットを続けています。

どちらの曲もダウンロードで根強い人気を誇っているのが共通点。そういう意味では星野源の「恋」もCD売上よりもダウンロードでヒットを記録しています。こういう傾向を見ると、CD売上だけでヒットチャートをはかる手法はどんどん時代遅れになってくるんでしょうね。

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート。

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2017年3月28日 (火)

フェス仕様?

電気グルーヴ「TROPICAL LOVE TOUR」

会場 Zepp Nagoya 日時 2017年3月17日(金)19:30~

先日、アルバム「TROPICAL LOVE」をリリースした電気グルーヴ。そのアルバムが非常に評判も高いのですが、そのアルバムリリースからすぐにライブツアーがスタート。その名古屋でのステージに足を運んできました。彼らのライブは非常に楽しいだけにとても楽しみにしていたステージです。

Denki_live_2

まず今回のステージ、特徴的だったのがMCやコミカルなお遊び的な要素が少な目だったという点。「TROPICAL LOVE」の初回版DVDについてきた、昨年3月のライブではMCがほとんど入らない、徹底的に躍らせるライブになっていました。このDVDの副音声でも話していたのですが、彼らのロックフェスでのステージはこのMCがほとんど入らないダンスフロア仕様の構成となっているそうですが、昨年3月のワンマンではこのフェス仕様でのワンマンライブとなったそうです。

今回のライブツアーについてもどうもその「モード」が続いているようでMCはかなり少な目。最初のMCは本編がはじまって1時間後にようやく入り、かつ本編では1度切り。MCはもう1回、アンコール直後のMCのみでした。

ライブはほぼ予定通りの19時半ジャストにスタート。1曲目は最新アルバムの1曲目でもある「人間大統領」からスタートしたのですが余裕こいて夕食食べていたら冒頭に間に合わなかった・・・(^^;;会場に入った時はちょうど2曲目「東京チンギスハーン」がスタートしたところでした。

会場はほぼ満員・・・かと思ったら一番後ろのブロックが立ち入り禁止の柵で仕切られて思いっきり空いていた・・・「TROPICAL LOVE」のDVDの副音声でもいじられていたんだけど名古屋はなぜかチケットが売り切れないんだよなぁ・・・まあ平日ってこともあるけどなんでだろう?

序盤は「顔変わっちゃってる。」「プエルトリコのひとりっ子」とアルバムの曲順にスタート。その後は「The Big Shirts」「Missing Beatz」「SHAMEFUL」など比較的最近の曲が並んだかと思えば「新幹線」にさらに「愛のクライネミュージック」と懐かしいナンバーが並びます。ただどの曲もとことん踊らせる構成になっておりVJも比較的まじめな映像。瀧のユーモラスなパフォーマンスもなくとことんフロア志向のステージとなりました。

で、ここでようやくMC。ここではたっぷりと2人のトークが繰り広げられます。ただこのMCも以前のワンマンライブに比べるとちょっとアッサリ気味だったような気も・・・。

そしてライブ後半。「モノノケダンス」からスタートし会場は盛り上がります。次の最新アルバムからの「柿の木坂」でちょっとクールダウンした後、同じく「Fallin' Down」でまた盛り上がっていきます。ここらからはどんどんテンションがあがっていきます。「Upside Down」「FLASHBACK DISCO」「Baby's on Fire」などライブではおなじみのダンスナンバーが続き、彼らの代表曲ともいってもいい「N.O.」へ。ここでは卓球が前に立って歌い、瀧がDJブースで踊ります。そしてラストはまた最新アルバムから「ユーフォリック」「トロピカル・ラヴ」で締めくくりとなりました。

もちろん会場からは盛大なアンコールが。メンバーが登場した後はMCタイムとなります。ここでは軽く客いじりがあった後、卓球から「今回でツアーはラストです。」「これからはフェスとかだけで来ます」という衝撃な発言が(笑)。まあもちろんネタでしょうが、ここらへんの際どいジョークネタは相変わらずですね。

アンコールではこれまた最新アルバム「ヴィーナスの丘」から。そしてラストはなんと人生時代の曲「恐怖カメレオン人間」で締めくくり。ダンスフロアモードで突き進んだ中、唯一、昔の電気グルーヴらしいコミカルさを前面に出した楽曲でライブは締めくくり。全2時間強。MCがほとんどなくダンサナブルな曲で一気に攻めまくったステージだったからでしょうか、彼らにしてはちょっと短めのステージでした。

今回のステージ、冒頭でも書いた通りMCがあまりなく、ダンスフロアモード全開のステージとなっており、フェス仕様ともいえるライブになっていました。彼らのコミカルな掛け合いも少な目で瀧のユニークなパフォーマンスもあまりなくそういう意味ではちょっと寂しさも感じたのですが、一方、最初から最後まで観客の壺をつきまくって踊らせ続けるとてもテンションの高いステージになっていました。それだけに今回のライブも文句なしに大満足!これが最後のツアーなんて言わずに、また是非名古屋に来てほしいなぁ(笑)。毎度のことながら、非常に楽しいライブでした。

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2017年3月27日 (月)

今、最も注目のバンド

Title:THE KIDS
Musician:Suchmos

おそらく今、彼らはもっとも注目を集めているミュージシャンの一組でしょう。神奈川県出身の6人組ロックバンドSuchmos。そのバンド名はジャズミュージシャンのルイ・アームストロングの愛称から取られているそうで、その由来からもわかるようにジャズや、あるいはソウル、ファンク、HIP HOPなどブラックミュージックの影響を色濃く受けたロックバンドです。

そんなわかりやすいJ-POPから距離を置いている彼らにも関わらず大きな注目を集めている彼ら。2枚目となる本作はなんとオリコンチャートで2位を記録。大ブレイクを果たしています。

冒頭でも書いた通り、様々なブラックミュージックの要素を取り入れのが特徴的な彼らの楽曲。「A.G.I.T.」はハイトーン気味のボイスで軽快なソウル風のナンバー。ところどころスクラッチ音が入りHIP HOPの要素も感じます。非常に熱量も少なくクールにまとめあげている作風は、いわゆるネオソウル的な要素も。続く「STAY TUNE」はホンダのCMソングにも起用され彼らのブレイクポイントともなった曲。ファンキーなリズムでメロディアスなナンバー。シティーポップという形容詞がピッタリと似合いそうな楽曲になっています。

今回彼らのアルバムを聴いて、大きな2つの特徴を感じました。まず1つ目がブラックミュージックの要素をふんだんに取り入れながらも、実はロック的な要素も強いバンドであるという点。例えば先行配信されビルボードのHot100で最高位6位を獲得するなど大ヒットを記録した「MINT」は黒いベースラインとファンキーなリズムが特徴的である一方、終始、ハードロックなギターサウンドが流れていますし、「ARE WE ALONE」では途中、ハードロックテイストなギターリフが登場してきます。ブラックミュージックのグルーヴ感を取り入れつつも、一方ではロック的なダイナミズムも楽曲の中で上手く取り込んでおり、ロックリスナー層にとっても受け入れられやすい楽曲になっています。

もうひとつはそんな様々な音楽的要素を取り入れつつも、実はポップで非常に耳なじみやすいという点でした。どの曲に関しても基本的にメロディーラインを前に押し出していますし、わかりやすいサビを入れてくる楽曲構成になっています。上に「わかりやすいJ-POPから距離を置いている」とは書いたのですが、実はJ-POP的な部分も楽曲から感じられます。ブラックミュージック的な要素も入れ方もわかりやすく、いい意味での聴きやすさ、ベタさも持っているバンドだと思います。またそれが彼らが大ブレイクした大きな要因でしょう。

ここ最近、シティーポップのミュージシャンが注目を集めることが多く、ひとつの流れになっていますが彼らはそんな流れの中で登場した決定的なバンドと言えるかもしれません。ブラックミュージックとロックのバランス、わかりやすさとマニアックなバランスが実にほどよく取られており、天性の才も感じられます。まだまだこれから人気が伸びていきそう。間違いなくここ最近のバンドでは頭ひとつもふたつも出ているバンドだと思います。これからの活躍にも大いに期待したいところです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

SUPERFINE/冨田ラボ

毎回、豪華なゲスト陣が目をひく冨田ラボのニューアルバム。本作も水曜日のカンパネラのコムアイや(作詞は同じく水カンのケンモチヒデフミ!)、坂本真綾、今話題のSuchmosのYONCEなどが参加。今話題の新進気鋭のミュージシャンが多く参加しており、そのアンテナの感度の良さに驚かされます。

楽曲はシンプルなシティポップといったイメージ。参加ミュージシャン個々のボーカルの個性が際立っている一方、楽曲自体はシンプルで目新しさはあまりありません。良質なポップソングを楽しめる1枚といった感じでしょうか。大人が安心して楽しめるポップスアルバムです。

評価:★★★★

冨田ラボ 過去の作品
Shipahead
Joyus

きれいなひとりぼっちたち

2003年の活動開始以来、散発的な活動でファンをやきもきさせながらも熱狂的な支持を得ており、現在では事実上、峯田和伸のソロプロジェクトとなっている銀杏BOYZ。本作はその銀杏BOYZの曲を数々のミュージシャンがカバーしたトリビュートアルバム。YUKIや曽我部恵一、THE COLLECORSなどといったベテラン勢からクリープハイプ、ミツメといった若手勢まで豪華なミュージシャンたちが参加しています。

銀杏BOYZといえば峯田和伸の癖が非常に強く出ており、それがひとつの魅力となっています。今回のカバーに関してはそんな「癖」の部分を取っ払った、歌詞とメロディーラインの良さに主眼を置いたような比較的シンプルなカバーがメイン。そのため、銀杏BOYZの歌詞やメロディーラインの良さがあらためて認識できるアルバムになっていました。良くも悪くも斬新だったりカバーしたミュージシャンの個性がバリバリと出てしまったようなカバーはないものの、どのミュージシャンも素直に銀杏BOYZへの愛情が感じられるトリビュートアルバムになっていました。

評価:★★★★

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2017年3月26日 (日)

1日1曲

今回紹介するのは、今年1年かけてリリースされる興味深いコンピレーションアルバムです。「大人のJ-POPカレンダー 365 Radio Songs」と名付けられたこのコンピシリーズは音楽評論家の田家秀樹が企画・構成・パーソナリティをつとめたTOKYO FM/JFN系ラジオ番組「JAPANESE POPS REFRAIN 1945-2015」に由来する企画。日本のポピュラーミュージックの歴史を紐解きながら700曲を選ぼうという番組。そしてその企画で紹介された曲のうち366曲を、1日1曲というコンセプトのもとに12枚のアルバムに収録。その月々の時節にあったテーマを決めて選曲し収録したコンピレーションとなっています。

Title:大人のJ-POPカレンダー~365 Radio Songs~「1月 新年」

まずスタートを切るのがこの作品。Disc1は「新年ハジマリの歌」、Disc2は「受験生応援ソング」となっています。どちらもポップスのテーマとしてはあまり題材にならなさそうなテーマで、ちょっと無理矢理感のある選曲も(笑)。どちらかというとDisc1は新年というよりも「始まり」をテーマとした曲、Disc2は前向き応援歌が並んでいます。

さてこのコンピレーションシリーズのもっともユニークな部分は「J-POP」と名乗っていますがここに収録されているのは戦後のポピュラーミュージック全般。それこそ60年代や70年代の歌謡曲から80年代、90年代のニューミュージックやいわゆるJ-POPといった曲が同列に並んでいるのが大きな特徴です。

例えばこのアルバムでもユニコーンの「お年玉」の次に藤山一郎・奈良光枝の「青い山脈」が続いていたり、吉田拓郎と岡村孝子、高石友也にクレージーキャッツ、さらにはウルフルズが同列に並んでいたりします。

それにも関わらず意外とサラッと聴けてしまうのがおもしろいところ。昔と今の曲にも共通項を感じたり、例えばクレイジーキャッツの「ホンダラ行進曲」みたいに今聴いても十分楽しめるようなモダンさを感じたり、ジャンル問わず戦後の日本のポップスを並列に聴けるとても楽しい企画になっていました。

評価:★★★★★

Title:大人のJ-POPカレンダー~365 Radio Songs~「2月 告白」

同列に並ぶというと非常におもしろいのがこのアルバムの中のDisc1。スノウソングをテーマとしているのですが、都はるみの「北の宿から」からいきなりGLAYの「Winter,again」へとつながります。さすがにド演歌からJ-POPへのつなぎは少々無理があるのを感じつつ、ただ「Winter,again」の歌謡曲的要素の強さを演歌と並べると再認識させられます。

Disc2は「告白バレンタインソング」として告白をテーマとした曲が並んでいるのですが、おもしろかったのは中盤。レベッカの「ラブ・イズ・Cash」から松田聖子、三木聖子、ピンキーとキラーズそして小川知子へと続く流れはガールズポップの歴史を遡っている流れとなっています。軽快なポップスから徐々に哀愁感ただよいムーディーになっていく流れに、日本のガールズポップの流れを感じました。

またなかなか渋い選曲なのがChageの「告白」。チャゲアスの大ヒット曲「SAY YES」のカップリング曲なので、実は知っている方も多いかも?なんとなくチャゲアスの曲が使えないからという事情も感じてしまうのですが、それを差し引いてもChageの実力を知れる名曲で、これはなかなか興味深い選曲です。同様にKANちゃんの「プロポーズ」が入っているのもとてもうれしかったりするのですが。

評価:★★★★★

Title:大人のJ-POPカレンダー~365 Radio Songs~「3月 卒業」

今回のこの企画、アルバムのCD1枚毎にコンセプトが設定されているのですが、そのコンセプトと選曲がもっともマッチしていたのが本作。Disc1は「出会いと初恋」ということでテーマには事欠きませんし、特にDisc2の「卒業」はポピュラーミュージックのテーマの定番中の定番。「卒業」というタイトルの曲だけで3曲も並んでいますし、基本的に「卒業」というテーマ性だけでほぼ全曲埋まっている選曲となっています。

Disc2なども川嶋あいの次の舟木一夫「高校三年生」を持ってくるなど時代やジャンルを超えた並びになっているのですが、楽曲のテーマが一緒である影響でしょうか、違和感はほとんどありません。テーマ的に時代を超えて似た曲が並んでいるだけに今回の3作の中ではもっともアルバム通じて最初から最後まで違和感なく楽しめたアルバムでした。

評価:★★★★★

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2017年3月25日 (土)

90年代に一世を風靡

Title:Greatest Hits 1991-2016~All Singles+~
Musician:大黒摩季

アラフォー世代なら説明するまでもない話かもしれませんが90年代に大ブームとなった「ビーイング系」。音楽事務所のビーイングに所属したミュージシャンたちが90年代中盤に次々とブレイクし、ヒットチャート上位を占めるなど文字通り一世を風靡しました。

ある意味画一的なビートロックにサビの先頭に決まって曲のタイトルをもってくるわかりやすい歌詞、良くも悪くも「90年代らしいJ-POP」を象徴するような楽曲を次々と発表し、CMやドラマとの積極的なタイアップや深夜番組帯での大量の楽曲CMの放送など、売り方を含めて後のJ-POPシーンに大きな影響を与える一方で、露骨ともいえる商業主義的なやり方や万人受けを追及するあまり一般的になり薄っぺらくなった歌詞、ワンパターンなメロディーラインやアレンジなど音楽的な評価はリアルタイムも現在もあまり高くありません。

個人的にはリアルタイムでも今でもビーイング系はB'zなど一部を除いて基本的に全くいいとは思わないのですが、ふとしたきっかけてちょっと見方が変わったミュージシャンがいました。それが彼女、大黒摩季。彼女もビーイング系全盛期、「DA・KA・RA」「ら・ら・ら」など大ヒット曲を連発。当時人気だったZARD、WANDS、T-BOLANなどと並んでビーイング系の代表的なミュージシャンとして一世を風靡しました。

彼女のイメージがちょっと変わったのが約4年前にリリースされたビーイング系とavex系のヒット曲を集めたオムニバスアルバム。懐かしさもあり聴いてみた一方、内容にはあまり期待はしていませんでした。実際、良くも悪くも期待どおりの内容だったのですが、その中で「あれ、意外といいな」と思ったのが大黒摩季。ビーイング系の曲の歌詞は万人受けを意識した一方、無難な内容に仕上がっていて薄っぺらさを感じるのですが、その中で彼女の曲は女性の本音をきちんと綴った歌詞が強い印象を受けました。

そんな彼女は2001年に一度ビーイングを離れたものの2016年にはビーイングに復帰。そしてリリースされたのが彼女初となるキャリア通じてのベストアルバム。ビーイング時代のみのベスト盤は何度もリリースしていますが、ビーイングを離れていた時代を含めてのオールキャリアでのベスト盤はこれが初。せっかくの機会という訳で、今回はじめて、まとめて彼女の楽曲を聴いてみました。

彼女のベストアルバムを聴いてまず純粋に感じたのは、1枚目、ビーイング系全盛期に彼女が次々と飛ばしたヒット曲に関しては懐かしいなぁと感じます。正直当時は「またビーイング系かぁ」と苦々しく思いながら聴いていた部分もあるのですが、それでもヒット曲をかたっぱしから聴いていた20年以上前のあの頃を懐かしく思い出してしまいます。

そして大黒摩季の曲をあらためて聴いてみると、女性の本音的な恋愛観をしっかりと描いているな、ということを再認識しました。例えば「あなただけ見つめてる」なんかは好きな人にはまっていって自分をなくしてしまっている女性を一途さと怖さの両面からしっかり描いています。一方では彼女の歌詞のセレクトに関してはちょっと癖があって悪い意味での引っかかりが生じてしまっています。例えば大ヒットした「ら・ら・ら」の2番で「TVやマスコミはいったい誰のもの?」という歌詞からスタートします。彼がいなくて寂しいからテレビをつけている女性の心境を歌っているのですが、その中で「マスコミ」という言葉がかなり違和感。ムダなひっかかりがある割には曲や歌詞の流れにもあっていませんし、言語感覚的に違和感があります。

大黒摩季のWikipediaによると彼女の歌詞には一時期「ビーイング・スタッフ」という表記がされていたことがあるようですが、おそらくいまひとつと思われる彼女の言葉の選び方について周りのスタッフが大きく修正していたのではないでしょうか。ただ逆にこの歌詞のセンスの垢抜けなさが、万人受けする表現を意識しすぎてともすれば非人間らしさを感じるビーイング系の歌詞の中で妙な人間味を感じられ、ひとつの魅力になっているように感じました。

逆に今回の曲から感じるマイナス面としては音楽的にいまひとつルースレスな部分。音楽的にルーツ性が薄いのはビーイング系に共通する特徴なのですが、他のミュージシャンたちは第三者による作曲が多いからか、楽曲に統一感があります。

彼女にしても「DA・KA・RA」「熱くなれ」などロックテイストの曲が多く、いかにも90年代的なハードロックテイストのポップスロックは聴いていて素直に楽しくなれるのですが、ポップ色が強い曲だったり、ベタな歌謡曲調の曲もあったり、特にここ最近の曲に関しては方向性がはっきりしません。全体的にサウンド面ではこれが大黒摩季といったスタイルはあまり感じられず、この点に関しては大きなマイナス要素に思います。

良くも悪くもビーイングらしい雰囲気は感じつつも、その中では他のミュージシャンとは異なる個性も感じられる彼女。ここ最近、その方向性にブレを感じる点、気になるところなのですが、このベスト盤を機に、本格的な再活動となった模様。今後、人気が再燃するのかどうかまだわからないのですが・・・いままでのキャリアを今後の楽曲にどう生かしていくのか、注目したいベテランミュージシャンの一人でしょう。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

来し方行く末/高橋優

途中、ベスト盤のリリースがあったものの、オリジナルアルバムとしては約2年3カ月ぶり、ちょっと久しぶりとなったシンガーソングライター高橋優のニューアルバム。先のベスト盤の感想でも書いたのですが、高橋優といえば熱っぽいボーカルにあわせたかのような力強いアレンジ、さらに歌詞も自己主張たっぷりで「押し」ばかりのスタンスが聴いていてちょっと引いてしまう部分のあるミュージシャン。今回のアルバムもまさにそんな「押し」一辺倒なのがいつもの彼らしい感じ。家族の絆的なものを歌った「産まれた理由」や自らの生き方をゴキブリに例えた「Cockroach」などインパクト満点の歌詞も多く、非常に薄っぺらい歌詞ばかりが目立つ最近のJ-POPシーンの中で頼もしさを感じるのですが、いかんせん聴いていてちょっと疲れてきてしまいます。まあ、その「押し一辺倒」なある種のうざったさが彼の持ち味なのかもしれませんが。

評価:★★★★

高橋優 過去の作品
リアルタイム・シンガーソングライター
この声
僕らの平成ロックンロール(2)
BREAK MY SILENCE
今、そこにある明滅と群生
高橋優 BEST 2009-2015 『笑う約束』

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2017年3月24日 (金)

HIP HOP史に残る名盤を2010年代に「再建設」

Title:再建設的
Musician:いとうせいこう&リビルダーズ

日本のHIP HOPの草分け的作品として知られるいとうせいこう&TINNIE PUNXのアルバム「建設的」。2016年はそのリリースから30年という記念すべき年で、「建設的」にボーナストラックを加えたCDが再リリースされました。このサイトでもそのアルバムを紹介しましたが、本作はそのリリース30周年記念の企画の一環。「いとうせいこう&リビルダーズ」名義となっていますが、リビルダーズはこの日本HIP HOPの草分け的な存在であるいとうせいこうを尊敬してやまないミュージシャンたちの総称。このアルバムは、そんなミュージシャンたちによる「建設的」のトリビュートアルバムです。

以前の「建設的」の感想でも書いたのですが、「建設的」というアルバムは純粋なHIP HOPのアルバムではありません。アルバムの中でHIP HOPは2曲のみ(昨年再発されたアルバムではボーナストラックとしてHIP HOPがもう数曲追加されています)。他の曲はパンクだったりムード歌謡だったり、ノベルティー的な要素が強く、また時代性も強く反映されているため、HIP HOPが主眼というよりも、「建設的」がリリースされた1980年代の世相をアイロニカルにかつコミカルに取り上げた作品という印象を受けました。

今回の「再建設的」でももちろんノベルティー的な要素は強く残されています。例えば大竹まこと、きたろう、斉木しげるというシティボーイズのメンバーによる「俺の背中に火をつけろ!!」はパンクのパロディーともとれる原曲そのままなコミカルな作風になっています。

ただ今回のアルバム、「建設的」のリリースから30年を経過しており、このアルバムがリリースされたバブル経済絶頂期のあの時代と今とでは時代の風潮としては大きな違いがあります。そのためこのアルバムでは、原曲をそのまま取り上げるというよりも、原曲が持っていた音楽的な要素によりクローズして2010年代の音にアップデートしたカバーに仕上がっていました。

そのため原曲が持っていたノベルティー的な要素が若干薄くなっています。例えば「水の子チェリー」は原曲ではあえて裏声で歌うことにより、子供のアニメソングを茶化したようなつくりになっていましたが、この作品ではジャズアレンジに大幅に作り替え、ノベルティー的な要素を消しています。「だいじょーぶ」も原曲では同じく裏声のボーカルがコミカルさを感じましたが、本作でも同じく裏声のボーカルは残っていたものの音楽的な部分によりクローズアップしたアレンジになっており、ノベルティーな雰囲気はかなり薄れています。

「HEALTHY MORNING」も原曲では虚構な家族をパロった、ある意味バブルらしい時代性感じさせる歌詞になっています。今回のアルバムでもその歌詞はそのまま残ったものの、岡村靖幸によりエレクトロニックなアレンジのサウンドが前に押し出され、歌詞の印象はかなり薄くなっています。

原曲と比較して聴くと、原曲をリスペクトして原曲に沿ったようなアレンジの曲も多いのですが、そのような曲にしてもサウンドは現代風にアップデート。「建設的」で感じたいかにも80年代的といった時代性がなくなり、今聴いても全く違和感なく聴けるアルバムに仕上がっています。

個人的には今の時代に聴くと「建設的」よりもむしろ本作の方が楽しめたようにすら感じてしまいます。もっとも「建設的」はあの時代にリリースされたからこそ意味があった訳で、「建設的」よりもこちらが優れている、という訳ではありません。むしろ「建設的」が本来持っており、ともすればノベルティー的な要素のため影にかくれてしまっていた音楽的な部分を抽出し、時代を超えた今のリスナーにもわかりやすく表現してくれたのが本作ではないでしょうか。タイトル通りまさに「建設的」を2010年代に「再建設」したのが本作。「建設的」も日本音楽史上に残る名盤として聴いておきたい作品ですが、その前にこのアルバムを聴けばより「建設的」も魅力的に聴こえるかもしれません。

評価:★★★★★

いとうせいこう 過去の作品
建設的(いとうせいこう&TINNIE PUNX)

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2017年3月23日 (木)

低水準なアルバムチャート

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

ここ最近、アルバムチャートはかなり低水準な週が多いのですが今週もかなりの低水準。10位はわずか4千枚という結果に・・・アルバムチャートもCDのみでのランク付けは厳しくなってきているのでしょうが。

ただ1位は先週よりも売上は増加しています。初動売上3万枚で1位を獲得したのはYUKI「まばたき」。前作「FLY」は2位にとどまりましたが前々作「megaphonic」以来2作ぶり、オリジナルでは5作目となる1位獲得です。ただし初動売上は前作の4万4千枚からダウン。ここ数作の初動売上22万→10万2千→7万6千→4万4千枚とい凋落傾向に歯止めはかかりませんでした。

2位はロックバンドKEYTALK「PARADISE」が獲得。シングルアルバム通じて初となるベスト3ヒットです。初動売上は1万4千枚。直近作はライブアルバム「KEYTALKの武道館で舞踏会~shall we dance?~」でこちらの2千枚(36位)からは大きくアップ。前作「HOT!」の1万3千枚(4位)からは微増。人気上昇中というイメージがありましたがちょっと伸び悩んだ結果となりました。

3位は映画「ラ・ラ・ランド」のサントラ盤「ラ・ラ・ランド(オリジナルサウンドトラック)」が先週と同順位をキープ。さらに売上を先週の1万2千枚から1万3千枚に伸ばしており、その人気のほどを伺えます。ロングヒットとなりそうです。

続いて4位以下初登場盤です。まず4位に男性アイドルグループw-inds.「INVISIBLE」がランクインです。ベスト10入りは前々作「Timeless」より2作ぶり。初動売上1万2千枚は前作「Blue Blood」の1万枚(11位)よりアップしています。

5位には人気声優同士のコンビ神谷浩史+小野大輔「Coin toss Drive」がランクインです。この2人がパーソナリティーをつとめるラジオ番組「神谷浩史・小野大輔のDearGirl~Stories~」からうまれたユニットで、同名義でのアルバムはこれで2枚目。初動売上は9千枚。同名義の前作「Stories」の1万3千枚(12位)からダウン。ちなみに神谷浩史名義の直近作「Theater」の2万枚(4位)からも小野大輔名義の直近作「Doors」の1万5千枚(4位)からもダウン。

7位9位には韓流男性アイドルグループが並びました。7位にはU-KISS「U-KISS solo&unit ALBUM」が、9位にはGOT7「FLIGHT LOG:ARRIVAL」がそれぞれランクイン。U-KISSはタイトル通り、メンバーのソロや別ユニットの曲を集めた企画盤。初動売上7千枚。直近はベストアルバム「U-KISS JAPAN BEST COLLECTION 2011-2016」で、こちらの1万4千枚(8位)よりダウン。GOT7は韓国でリリースされたアルバムの輸入盤。初動売上4千枚で、直近の国内盤「Hey Yah」の3万8千枚(3位)よりダウン。

最後10位には大森靖子「kitixxxgaia」がランクインです。エキセントリックな楽曲や言動が話題の女性シンガーソングライター。本作ももともと「キチガイア」というタイトルでしたが、そのままだと宣伝できないということからタイトル変更となったいわくつきのアルバム。本作がメジャー3作目にしてシングルアルバム通じて初のベスト10ヒットとなりました。ただし、初動売上4千枚は前作「TOKYO BLACK HOLE」(19位)から横バイという結果になっています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2017年3月22日 (水)

まずは予想通りの1位

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

まずは無難に1位獲得。

今週1位はAKB48「シュートサイン」。CD販売・ダウンロード・スクリーミング数(以下「実売数」)及びPCによるCD読取数で1位。Twitterつぶやき数は4位、ラジオオンエア数は8位にとどまりましたが、見事1位獲得。楽曲はかなりベタな80年代のアイドル歌謡曲風。卒業を発表している小嶋陽菜の最後のシングルになるそうです・・・って前作でも書いたんですが、最近毎作誰かの卒業シングルになっているような・・・もうそれしか「売り」がないんだろうなぁ。オリコンでは初動102万5千枚で1位。ただし前作「ハイテンション」の118万枚(1位)よりダウンしています。

2位初登場はV6「Can't Get Enough」。韓流も彷彿させるようなエレクトロなナンバー。実売数2位、PCによるCD読取数3位、Twitterつぶやき数12位を記録していますが、ラジオオンエア数33位なのはジャニーズ系アイドルらしい感じ。オリコンでも初動売上12万8千枚で2位を獲得。前作「Beautiful World」の11万6千枚(1位)からアップしています。

3位は、まだまだ強いですね星野源「恋」が先週の4位からランクアップし2週ぶりにベスト10返り咲き。You Tube再生回数ではいまだに1位を獲得しているほか、PCによるCD読取数5位、Twitterつぶやき数でも7位と上位をキープ。なにげに実売数も12位に位置しており、驚異的なロングヒットを続けています。

続いて4位以下の初登場曲です。5位に乃木坂46「インフルエンサー」が先週の26位からランクアップしてベスト10入り。3月22日発売予定のシングルからの先行配信。こちらも1位AKB48と同様に昔ながらのアイドル歌謡曲を彷彿とさせるマイナーコード主体のアップテンポなナンバーになっています。

7位には西内まりや「Motion」が初登場でランクインです。フジテレビ系ドラマ「突然ですが、明日結婚します」主題歌。いわゆるフジテレビの月9ドラマですが、月9史上最低視聴率という点が逆に話題となってしまっているドラマ。月9主題歌といえば過去において数多くのヒット曲を生み出してきましたが、本作は実売数6位、ラジオオンエア数9位、PCによるCD読取数12位とまずまずの成績。大ヒットとはいかないまでも、ドラマ主題歌としてそれなりの面目躍如とはなりました。ただしオリコンでは18位止まりなので、ダウンロードでの売上の影響が大きそう。また初動売上4千枚は前作「BELIEVE」の8千枚(11位)からダウンしています。

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート!

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2017年3月21日 (火)

アンビエントがテーマの2枚組

Title:Principe del Norte
Musician:Prins Thomas

今年に入ってから2016年に話題となったアルバムの中で聴き逃したアルバムをいまさらながらいろいろと聴いているわけですが、おそらくそんなアルバムもこれが最後。ノルウェーのDJ/プロデューサー、Prins Thomasがリリースした2枚組のニューアルバム。ミュージックマガジン誌の「ハウス/テクノ/ブレイクビーツ」部門で2016年度の1位を獲得したアルバムです。

Prins Thomasというプロデューサーの名前は今回初耳。いろいろと調べていく中で「コズミック・ディスコ・プロデューサー」という肩書に出会ったのですが、この「コズミック・ディスコ」というジャンル、調べてみてもどんな感じのジャンルなのかいまひとつわからない・・・。彼の楽曲は非常にスペーシーな曲が多いので、こんな雰囲気のディスコミュージックを「コズミック・ディスコ」というのでしょうか??

今回のアルバムのコンセプトはアンビエントということで全体的に淡々としたサウンドが延々と続いていきます。楽曲のタイトルもアルファベットをAから順番に並べただけという非常にシンプルなもの。楽曲の色などをほとんど感じさせない、ある意味サウンドが並んでいるだけ、とでもいうようなアルバムになっています。

ただ2枚組となる本作ですが、あきらかに1枚目と2枚目とではその方向性が異なります。1枚目はスペーシーなサウンドに淡々としたミニマルテイストのメロディーが続いていく感じ。アンビエントらしく抑えめのサウンドを延々と聴かせる構成になっておりメロディーラインが意外とポップで耳なじみやすいのが印象的でした。また楽曲は1曲あたり6分から長い曲で14分弱。その中でミニマル的に淡々とサウンドが続いていくわけですが、所々でサイケデリックなサウンドが加わったり、ドリーミーな雰囲気となったりと徐々に変わっていくサウンドがまたユニークにも感じました。

一方2枚目に関してはテンポのよいリズムが前面に出てきている構成に。こちらも抑えめなサウンドで高揚感はないとはいえ、例えば四つ打ちのリズムでトランシーなリズムを楽しめる「G」などはフロアで流れれば十分踊れるだけのダンサナブルな楽曲に。「E」などもファンキーなリズムを楽しめ、軽快でリズミカルなサウンドが楽しめる楽曲になっています。

アンビエントというテーマらしく淡々としているという印象はあるのですが、1曲の中で楽曲が徐々に変化して様々な構成を楽しむことが出来、そして意外とポップなメロディーが根底に流れていることもあり、2枚組95分程度というボリュームのアルバムながらも全く飽きることなく楽しむことが出来る内容でした。年間1位という感じなのかどうかはちょっとよくわからないのですが・・・テクノ/ハウス界隈が好きなら文句なしに要チェックのアルバムです。

評価:★★★★★

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2017年3月20日 (月)

彼女たちの魅力が8曲に凝縮

Title:トリトメモナシ
Musician:チャラン・ポ・ランタン

前作から1年ぶり。チャラン・ポ・ランタンのニューアルバムは全8曲入りの"ほぼ"フルアルバムという作品になっています。この1年間のチャラン・ポ・ランタンといえばまず「進め、たまに逃げても」が話題になったドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」のオープニングテーマに起用されました。シングルカットはされていないので星野源の「恋」のような大ヒットとはなってしませんが、おそらくドラマを見た方ならこの曲はみなさんご存じではないでしょうか?また、SKE48の松井玲奈と組んでリリースした「シャボン」がベスト10ヒットを記録。松井玲奈の人気に引っ張られてのヒットなのですが楽曲自体はチャラン・ポ・ランタンらしい曲になっており、このヒットで彼女たちの名前も間違いなく広まったものと思われます。

そんな徐々に知名度をあげてきた彼女たちがリリースしたニューアルバム。1曲目はいきなり「進め、たまに逃げても」からスタート。続く「Sweet as sugar」もアコーディオンサウンドが軽快なキュートで楽しいポップチューン。チャラン・ポ・ランタンらしい楽曲でまずはリスナーを楽しくさせるようなバルカン風のポップチューンが並びます。これがはじめてのチャラン・ポ・ランタンというリスナーにとっては、まずはウキウキワクワクするような楽曲でグッと惹きつけられるという訳です。

ユニークなのは続く「まゆげダンス」。こちら打ち込みを取り入れた4つ打ちのエレクトロダンスチューン。彼女たちにとっては異色作で、わずか8曲入りのアルバムの中での彼女たちの挑戦心を伺うことが出来ます。

その後、しんみり聴かせる「夢ばっかり」にエキゾチックにムーディーな雰囲気を醸し出す「月」と聴かせる楽曲が並んだかと思えば、続く「恋はタイミング」は彼女たちの真骨頂といった感じの楽曲。アコーディオンメインの明るく軽快なポップチューンなのですが、恋人の出会いと別れまでを描いた物語性ある歌詞がコミカルだけどちょっと切なく、耳を惹きます。

「雄叫び」は力強いボーカルやホーンセッションが耳を惹くスウィングのナンバー。そしてラスト「かなしみ」はなんとMr.Childrenがアレンジ&演奏で参加(!)。バンド色も強く、チャラン・ポ・ランタンらしさはちょっと薄いポップチューンになっていますが、アルバムを締めくくるにはピッタリの切なくも爽やかに聴かせるミディアムナンバーに仕上がっていました。

そんな訳で8曲入りというミニアルバムながらもチャラン・ポ・ランタンの様々な側面がつまったアルバムになっていました。"ほぼ"フルアルバムという呼び名の通り、フルアルバム並にバリエーションの富んだレパートリーが楽しめるアルバムだったと思います。

タイアップの良さとか、ミスチルやSKEのメンバーとのコラボとか、レコード会社的にはかなり「売ってもらっている」感じのする彼女たち。そんな中、なかなか大ブレイクまで行かないのは気にかかるところなのですが・・・。今回のアルバムでは新たな挑戦を感じさせる部分もありますし、次回作にさらなる期待、といった感じなのでしょうか。とにかく聴いていてワクワク楽しくなれるポップソング。2017年も彼女たちの活躍に期待です。

評価:★★★★★

チャラン・ポ・ランタン 過去の作品
テアトル・テアトル
女の46分
女たちの残像
借り物協奏


ほかに聴いたアルバム

デも/demo /有村竜太朗

Plastic Treeの初のソロアルバム。「デモ」といってももちろんデモ音源ではなく完成された楽曲が収録されているのですが、楽曲的にはPlastic Treeに比べるとかなり趣味性の強い作品になっています。具体的には彼が大きく影響を受けたシューゲイザー系からの影響がより顕著にあらわれた作品。耽美的な雰囲気も保っておりPlastic Treeとの共通項も多いのですが、個人的にはPlastic Treeの曲よりも好きかも。ソロアルバムなだけに彼の好きなことを思いっきり歌った、ソロらしいアルバムでした。

評価:★★★★★

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2017年3月19日 (日)

メロディーもはっきりと流れるものの

Title:Oczy Mlody
Title:The Flaming Lips

ここ最近、ビートルズのカバーアルバム「With a Little Help From My Fwends」をリリースしたり、ピンクフロイドのカバーアルバムをリリースしたりと積極的な活動が目立ったためちょっと意外な感じもするのですがオリジナルアルバムとしては4年ぶりとなるThe Flaming Lipsのニューアルバム。「Oczy Mldoy」(=オクシィ・ムロディ)というタイトルは非常に奇妙な印象を与え、インパクトあるタイトルとなっているのですがこれはポーランド語で「eyes of the young」という意味だそうです。なんか語感から受ける印象とかなり異なる感じがしますね。

事前にこのアルバムのレビューなどを見ると、メロディーが際立ったアルバム、といった評価が多かったため、個人的には最初、かなりポップな作風を想像していました。そういうイメージを持ったうえでこのアルバムを聴くと、最初はかなり戸惑うかもしれません。イントロ的な役割を果たすタイトル曲「Oczy Mlody」は確かに美しいメロディーラインは流れているものの、かなりサイケなノイズが前に出たような作品。続く「How??」もとてもスペーシーなサウンドが前に出ている作品になっています。

確かにそのメロディーラインが比較的はっきりあらわれており、ポップなメロが確実に流れているアルバムだとは思います。特に終盤、「The Castle」から「Almost Home(Blisko Domu)」「We a Famly」と続く3曲は憂いを帯びたようなメロディーラインが印象に残る作品。そのメロディーセンスがはっきりとあらわれた作風になっています。

ただそれらの曲を含めてアルバム全体としてかなりへヴィーなノイズが流れたサイケデリックで、かつスペーシーな作品に仕上がっています。重厚感あるサウンドが特徴的な「Sunrise(Eyes of the Young)」やダークなエレクトロサウンドが楽曲の根底で流れつづける「One Night While Hunting for Faeries and Witches and Wizards to Kill」、哀愁感を帯びたダークでドリーミーなサウンドが流れる「Listening to the Frogs with Demon Eyes」など、楽曲毎にパターンを変えながらもノイジーなサウンドが流れ続ける作品が続きます。

アルバムとして「歌」としての美しさは楽しめるものの、やはり全体のバランスとしてはサイケ、ノイズの部分が強く出たアルバムのように思います。もちろんThe Flaming Lipsらしいキュートなポップが楽しめるアルバムではあるのですが・・・個人的にはそのサイケデリックな音の洪水に最後の方はちょっと疲れてしまったというのが正直な感想。良作だとは思うのですが、好き嫌いはわかれそうな作品といった感じでしょうか。

評価:★★★★

THE FLAMING LIPS 過去の作品
EMBRYONIC
The Dark Side Of The Moon
THE FLAMING LIPS AND HEADY FWENDS(ザ・フレーミング・リップスと愉快な仲間たち)
THE TERROR
With a Little Help From My Fwends

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2017年3月18日 (土)

2016年最も話題になったミュージシャン

Title:人間開花
Musician:RADWIMPS

2016年は様々な楽曲が話題となりました。それこそ下半期に大きな話題となったピコ太郎やRADIOFISHのようなお笑い枠もあったのですが、なによりも2016年話題のミュージシャンといえば星野源と、そして彼らRADWIMPSでしょう。本作にも収録している「前前前世」などの彼らの楽曲が映画「君の名は。」に使用され、映画の大ヒットとあわせて楽曲も大ヒット。年末には紅白歌合戦へ出演もしています。

昨年はその映画のサントラも大ヒットしましたがそれに続く絶好のタイミングでリリースされたのが本作・・・なのですが、そのジャケ写が大きなインパクト(^^;;グロ画像一歩手前のようなジャケット写真に一部では非難も殺到。本来、もっとも「売れる」タイミングでリリースされたアルバムをこのようなジャケットにしてしまうあたり一筋縄ではいかない感じがします。ただ、その写真にも負けず(?)アルバムは前作の売上を大きく上回る大ヒットを記録したようです。

ただ、「君の名は。」のサントラ盤の時にも書いたのですが、私は大ヒットした「前前前世」についてはRADWIMPSにとって絶賛できる名曲とは思っていません。確かに「君の前前前世から僕は 君を探しはじめたよ」というストーカー一歩手前どころか言う相手を間違えると下手なストーカーより質の悪い(笑)情熱的でインパクトある歌詞は野田洋次郎らしいといった印象を受けるのですがメロディーラインやサウンドについては平凡なギターロック。彼らの大ブレイクしたころの楽曲のように、その展開が読めないようなインパクトあるメロディーラインではありません。

今回のアルバムに関しても目立ったのは「前前前世」をはじめとする少々平凡さを感じてしまうギターロック。序盤の「光」も比較的ストレートなギターロックですし、「トアルハルノヒ」もパッと聴いた感じだと歌い方を含めてBUMP OF CHICKEN?と思ってしまうような良くありがちなポップスロックの楽曲となっています。

一方、RADWIMPS野田洋次郎といえば自身のソロプロジェクトillionとしても活動しています。illionではエレクトロサウンドを取り入れた挑戦的な作風の曲も目立ちますが本作ではその活動がRADWIMPSに還元されているような曲も見受けられました。例えばパンキッシュな「AADAAKOODAA」やポストロック的なサウンドが目立つ「アメノヒニキク」のような作品がその例でしょうか。もちろんいままでのRADWIMPSの作品にも挑戦的な作風の曲は少なくありませんでしたが、本作ではその方向性がより強くなったような感じがします。

ただ本作に関してはこれらの作品がアルバムの中で完全に浮いてしまったようにも感じました。いままでのRADWIMPSの楽曲はメロディアスでポップなギターロックという要素と挑戦的で刺激的なサウンドという要素が上手く融合していて、そこに野田洋次郎の書く見方によってはストーカー的な歌詞がRADWIMPSらしさを作り上げていたのですが、今回のアルバムはRADWIMPSを構成する要素が分離を起こしてしまったようにも感じました。

もちろんそうはいってもアルバムの中にはRADWIMPSらしい魅力もきちんと残されています。映画「君の名は。」でRADWIMPSの良さに気が付いた方もおそらく十分気に入る内容だったのではないでしょうか。個人的には特に「週刊少年ジャンプ」が気に入りました。

小中学生の頃、週刊少年ジャンプの世界にはまったことのある方には間違いなく共感を呼びそうな歌詞で、

「週刊少年ジャンプ的な未来を 夢みていたよ
君のピンチも 僕のチャンスと 待ち構えていたよ」

という発想はいかにも「中2病」的ながらも昔、同じようなことを考えたことがあったなぁ、と恥ずかしくも思い出すような方も少なくないのではないでしょうか。その上のラストの

「きっとどんでん返し的な未来が僕を待っている
血まみれからの方がさ 勝つ時にはかっこいいだろう
だから今はボロボロの心を隠さないで 泣けばいい」

(「週刊少年ジャンプ」より 作詞 野田洋次郎)

という締めくくりは週刊少年ジャンプの黄金期をリアルタイムで経験したアラフォー世代の心にもヒットしそうです。

そんな感じでRADWIMPSらしい名曲ももちろん少なくないですし、アルバム全体として決して悪い出来ではないのですが・・・いままでの彼らの作品と比べると少々見劣りがしてしまう内容だったように感じました。昨年、彼らが話題になったのもRADWIMPSとしてバンドが勢いにのっているというよりは楽曲のタイアップという外部的要因が大きかったからなぁ。今後、このチャンスを生かしてさらなる飛躍が出来るのか否か、これからが勝負でしょう。

評価:★★★★

RADWIMPS 過去の作品
アルトコロニーの定理
絶対絶命
×と○と罰と
ME SO SHE LOOSE(味噌汁's)
君の名は。

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2017年3月17日 (金)

ブルースの歌詞の世界へようこそ

今日紹介するのは最近読んだ音楽関連の本の紹介。今回は日本のブルース研究の第一人者である小出斉氏の書いたブルースの「歌詞」にスポットをあてた一冊です。

タイトルは「意味も知らずにブルースを歌うな!」。かなり刺激的なタイトルですが、そのタイトルの通りブルースの名曲についてその歌詞を掘り下げて紹介しています。内容は3章にわかれており、第1章ではロバート・ジョンソンの「クロスロード・ブルース」やTボーン・ウォーカーの「ストーミー・マンディ」なんていうブルースを聴き始めたら真っ先に出会うような超スタンダードナンバーを紹介。第2章ではB.B.キングの「ロック・ミー・ベイビー」やアルバート・キングの「悪い星の下に生まれて」のような、これまたブルースの有名曲のうち、いかにも「ブルース」らしい素材を取り上げた曲を紹介。そして第3章はちょっと異色で、ブルースの題材としてあまり取り上げられないようなテーマを歌った曲を紹介しています。

1曲につきさかれているページは6ページ程度。1ページ目は楽曲のイメージがイラストで描かれていて、2、3ページ目は楽曲の解説。3ページ目に英文の歌詞が記載されており、欄外では歌詞の中で使われている英単語の訳が数点記載されているほか、コード進行も記載されています。その後はシンガーの紹介、紹介された楽曲が収録されているアルバムの紹介、聴き比べてみたいカバー曲の紹介と続いています。

そんな構成になっているため歌詞についての解説は2、3ページ程度。歌詞の中の要点を絞って解説しているという印象。ただきちんと楽曲の肝は抑えられており、その曲の歌詞のおもしろさはきちんと伝わってきます。特にブルースの場合は歌詞にダブルミーニングが用いられていたり、リアルタイムのブラックコミュニティーの人たちにしか通じないような言い回しが用いられていたりして、英語に詳しくてもなかなか読み取れない部分が多いのですが、そういったポイントもしっかりと抑えられた解説になっています。

ただし、短い内容に要約されているため全訳はついておらず、また背後にある当時の黒人社会の状況への言及もあまりありません。この点に関しては若干物足りなさも感じるような解説もあったのですが・・・ただおそらく著者はブルースのマニア向けに深く掘り下げるというよりは、ブルースを聴き始めた初心者向けに、ブルースの歌詞のおもしろさを伝えることを最優先にしているように感じます。

実際、ブルースをこれから聴き始めようとする初心者にとっては最適な構成になっていると思います。まずブルースを聴くなら抑えておきたい曲が並び、その曲を歌うミュージシャンと曲が収録されているアルバムの簡単な紹介が続いており、ブルースといってなにを聞いたらいいかわからないという方にとっては最適な入門書ともいえる内容になっていました。

もちろん、ある程度ブルースを聴いているような方にとっても、ともすればあまり深く考えず聴いてしまう歌詞の世界をあらためて味わうことの出来る一冊になっていると思います。この本でブルースの歌詞の裏側に広がる世界をもっともっと知りたいというのならば、さらに他の本を読んでみてほしいといったところなのでしょうか。個人的にはそういうブルースの歌詞の世界にはまってしまった人が次に読むべき本をブックガイド的に載せておいてほしかったかも、とも思いました。

そんな訳で物足りなさを感じたような部分はありつつも、とても楽しむことできました。特に紹介されている曲を自分が持っているCDやYou Tubeなどで聴きながら読むと、より楽しめる本だと思います。ブルースの入門書的にも、あらためて歌詞の魅力に触れたい方にとっても要点がおさえられたわかりやすい1冊でした。

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2017年3月16日 (木)

1位2位独占

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週のアルバムチャート、1位2位が同一のミュージシャンによるアルバムが並びました。

1位初登場は倖田來未「W FACE ~outside~」、2位に「W FACE ~inside~」と2枚のオリジナルアルバムが並びました。オリコンではこれが約47年ぶりの快挙と紹介しています。

ただしこれは「女性」「ソロ」「オリジナル」と条件を絞った場合の記録。女性ソロに限ると(上位サイトでも紹介していますが)2013年に西野カナが達成。女性シンガーによるオリジナルとなると昨年、ももいろクローバーZが達成しています。また初動売上はそれぞれわずか2万枚。直近のバラードアルバム「WINTER of LOVE」の2万3千枚(2位)よりダウンしていますし、オリジナルとしての前作「WALK OF MY LIFE」の3万9千枚(1位)よりもダウン。オリジナルアルバムでは25万3千枚→13万8千枚→9万3千枚→4万6千枚→3万9千枚→2万枚という推移しており、凋落傾向が止まりません。

ちなみに「男性」「オリジナル」だと2013年にGLAYが達成。「男性」「ソロ」「オリジナル」だと1975年の小椋佳以来達成者がないみたいなので、次はここがねらい目では?(苦笑)

3位には話題の映画「ラ・ラ・ランド」のサントラ盤「ラ・ラ・ランド(オリジナルサウンドトラック)」が先週の4位からランクアップし見事ベスト10入りを果たしました。ただし売上1万2千枚は先週の売上1万6千枚からダウンしています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位にはバンドじゃないもん!「完ペキ主義なセカイにふかんぜんな音楽を♥」が初登場。神聖かまってちゃんのドラマー、みさこがスタートさせたグループ。当初はアイドルのパロディー風のバンドだったのですが、いつのまにか本格的アイドルグループになり、人気的には神聖かまってちゃんを上回る人気に。いろんな意味でなんだかなぁ・・・と思ってしまうグループですが・・・。初動売上1万枚は前作「Re:start」の3千枚(22位)からアップしアルバムでは初のベスト10入り。

6位には東京スカパラダイスオーケストラ「Paradise Has NO BORDER」が入ってきました。約3年ぶりとなるニューアルバム。クリープハイプの尾崎世界観、10-FEETのTAKUMA、Ken yokoyamaにさらにはさかなクン(!)と多彩なコラボが特徴の1枚に。初動売上9千枚。直近作のライブアルバム「The Last-Live-」の4千枚(16位)よりはアップ。直近のオリジナルアルバム「SKA ME FOREVER」の1万2千枚(5位)からはダウンしています。

8位初登場はヴィジュアル系バンドthe GazettEのベストアルバム「TRACES VOL.2」が入ってきました。初動売上8千枚は前作「DOGMA」の1万8千枚(3位)からダウン。ベスト盤としての前作「TRACES BEST OF 2005-2009」の9千枚(19位)よりもダウンしています。

初登場最後は9位にユニコーン「半世紀No.5」が入ってきています。メンバーが50歳になった記念に開催されたライブイベント「50祭」。各メンバーそれぞれが「50祭」を開催したのですが、その際披露されたイベントのテーマ曲をアルバムとしてまとめたアルバム。初動売上8千枚は前作「ゅ 13-14」の2万4千枚(1位)よりダウンとはいうものの企画盤的な内容であることを考えると、これでベスト10入りしてくるあたり根強い人気を感じます。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2017年3月15日 (水)

目立つ日韓アイドル

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

ビルボードチャートではCDセールス以外の指標を使用しているためCDセールス以外はチャート上位に食い込めないアイドル勢は相対的に苦戦する傾向にあります。しかしそんな中、今週は珍しく上位にアイドル勢が並ぶ結果になっています。

まず1位は三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE「HAPPY」が獲得。まあ彼らをアイドル系というのはちょっと違う感じもしますが。しかしジャケット写真はいかにもオラオラヤンキー系丸出しといった感じである意味感心してしまいます。CD販売・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)は3位にとどまりましたが、ラジオオンエア数5位、PCによるCD読取数1位、Twitterつぶやき数3位、You Tube再生回数9位と万遍なく上位にランクインし、見事1位獲得となりました。

本作は日テレ系アニメ「スーパーサラリーマン左江内氏」主題歌。このドラマ、藤子・F・不二雄先生の「中年スーパーマン左江内氏」をドラマ化したもの。ドラマとしては評判が良いみたいですが、ただ彼らのヤンキーイメージは藤子不二雄のイメージとは真逆にあるような気がするのですが。ちなみにオリコンでも初動売上10万枚で1位獲得。前作「Welcome to TOKYO」の15万8千枚(2位)から大幅ダウン。今月29日に同曲を含んだベストアルバムのリリースが予定されている影響でしょう。

2位はモーニング娘。'17「BRAND NEW MORNING」がランクイン。実売数はこちらが1位。ただ5種同時リリースの複数枚買いの影響かPCによるCD読取数は12位止まり。ラジオオンエア数44位という、CD売上以外が伸びないというアイドル系らしい結果に。最近、アイドル系ではよくありがちなEDMナンバー。つんく♂にしてはひっかかりのない曲だなと思ったら、やはりつんく♂の曲じゃないんですね。オリコンでも初動7万9千枚で2位。前作「セクシーキャットの演説」の9万7千枚(1位)よりダウン。

そして3位も韓国の男性アイドルグループUP10TION 「ID」がランクイン。実売数2位、Twitterつぶやき数2位以外圏外というのが韓流アイドルらしい感じ。オリコンでは初動3万8千枚で4位ランクイン。日本では初のシングルリリース。韓国でのアルバムがベスト10入りしたことはありますが、シングルでは初のベスト10入り。

続いて4位以下の初登場曲です。6位に女性シンガー大原櫻子「ひらり」が初登場で入ってきました。実売数6位の一方、PCによるCD読取数20位、Twitterつぶやき数35位と伸び悩みましたが、ラジオオンエア数は2位を獲得しこの位置に。ミディアムテンポのバラードナンバーで良く言えば安心して聴ける悪く言えば無難なポップス。映画「チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」主題歌。なんかカタカナ4文字で省略したタイトルに映画の内容をただ説明しただけのサブタイトルといい、頭の悪さがにじみでたタイトルですね・・・(苦笑)。オリコンでは7位初登場。初動1万6千枚は前作「大好き」の1万5千枚(5位)から若干のアップ。

さらに今週7位が・・・ある意味非常にビルボードらしい結果なのですが・・・レミオロメン「3月9日」がランクイン!卒業式の定番ソングとしてすっかり定着したこの曲。もちろん今回のチャート対象日に3月9日が含まれている影響。Twitterつぶやき数1位が目立つのですが、実売数で23位、ラジオオンエア数でも15位と上位に入ってきており、既にこの時期に歌われるスタンダードナンバーとして定着していることがわかります。ちなみにベスト10入りはちょうど1年前の昨年の3月21日付チャート以来。来年のこの時期にもまたベスト10入りしてきそうです。

9位には氷川きよし「男の絶唱」が入ってきました。実売数は4位でしたが、ラジオオンエア数36位、PCによるCD読取数39位、その他は圏外という結果に。確かに氷川きよしのファン層を考えるとビルボードの集計基準は厳しいでしょうね。オリコンでは初動4万9千枚で3位初登場。前作「みれん心」の4万4千枚(2位)よりアップ。

最後10位にはEd Sheeran「Shape Of You」が先週の19位からランクアップし、初のベスト10入りです。Ed Sheeranは今、もっとも世界で人気のある男性シンガーの一人であるイギリスのシンガーソングライター。先日リリースされたアルバム「÷」が世界的に大ヒット。日本でもアルバムチャートでベスト10入りしています。本作は1月に配信限定でリリースされた楽曲でアルバムリリースにあわせてチャートを浮上。実売数19位、ラジオオンエア数8位、You Tube再生回数10位など上位にランクインし、ベスト10入りしてました。

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート!

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2017年3月14日 (火)

こちらはデビュー40周年

Title:矢野山脈
Musician:矢野顕子

先日、デビュー25周年でオールタイムベストをリリースしたCHARAのベスト盤をリリースしましたが、こちらはそれを上回るソロデビュー40周年!間違いなく日本を代表する女性ソロシンガーの一人、矢野顕子のオールタイムベストがリリースされました。

以前から彼女の曲に関してはちょっと不思議に感じていたことがあります。それは彼女の曲に企業タイアップと密接にからみついたコマーシャルソングが目立ちながらも、それを含めてサブカル系の音楽ファンを中心に高い支持を得ているという点でした。例えば本作でも収録している「ISETAN-TAN-TAN」はタイトルそのままデパートの伊勢丹のオフィシャルソングですし、「あたしンち」もタイアップとなったアニメ映画「あたしンち」そのまんまのタイトル。今回のベスト盤には収録されていませんが、「リラックマのわたし」なんて曲もあったりします。

得てして商業主義的なミュージシャンは特にサブカル系の音楽ファンに忌避されそうなのですが矢野顕子の場合はそんな傾向は全くありません。まあ言うまでもないと思いますが、それは彼女の楽曲が「商業主義」なんて枠組みが全く無意味になるほど優れているからにほかなりません。かわいらしい歌声で歌いながらもあえて音階をはずして自由に歌うことによってジャジーな雰囲気を出しているスタイルや、ポップでかわいらしいメロディーを書きつつも一癖二癖あるメロディーラインは日本のポップスシーンの中で唯一無二のものを感じます。

それだけに彼女の楽曲は非常に個性的であり、その結果、シングルは本作にも収録されている彼女の代表曲「春咲小紅」が大ヒットを記録していますが、それ以降ほとんどヒットとは無縁という状況にあります。それにも関わらず彼女の楽曲が数多くのタイアップに恵まれているというのはシングルヒットには結びつかなくてもリスナーの心をつかむ何かがあるのでしょう。

事実、大ヒット曲がなくてもおそらくこのベスト盤に収録している曲の中には「どこかで聴いたことある」という曲が必ず数曲含まれているのではないでしょうか。例えば「ラーメンたべたい」なんてそのままストレートな歌詞に一度聴いたら忘れられないインパクトを持っていますし、「ふりむけばカエル」「夢のヒヨコ」なんかもそのかわいらしいサビはおそらく一度聴いたら忘れられなさそうです。

さて今回のベストアルバム、通常版は全3枚組の内容となっていますが、1976年から84年の作品がDisc1、85年から97年がDisc2、98年から2016年がDisc3と発表順に並ぶ構成になっています。ただこうやって並べてもデビュー当初からしっかり矢野顕子の色がついておりDisc1とDisc3の曲を比べてもほとんど遜色ない点に驚かされます。

またもうひとつ特徴的だったのがDisc3に他のミュージシャンとのコラボ曲が多く収録されている点でした。それも小田和正のような大ベテランから岸田繁のような(彼女から見れば)若手のミュージシャンまで。また本作には残念ながら収録されていませんがyanokamiと名乗る彼女、実力派のエレクトロニカミュージシャン、レイ・ハラカミとのコラボユニットを立ち上げたりもしています。デビューから40年を経て、なお他のミュージシャンと積極的にコラボして新たな挑戦を続ける彼女の姿勢には感心してしまいます。

ただそれだけ多くのミュージシャンとコラボしながらも本作では矢野顕子の別名義での活動の曲が収録されていないのはとても残念。yanokamiもそうですし、上原ひろみとのコラボとか宮沢和史とのコラボとか・・・オールタイムベストなんだからこういう曲も収録してほしかったなぁ。この点はちょっと残念に感じました。

先日のCHARAのベスト盤もそうでしたが本作も魅力的な作品たくさんで3枚組というフルボリュームながらもあっという間に聴けてしまったベスト盤でした。矢野顕子は上でも書いた通り、名前は知られていても大ヒット曲というのが少ないだけに名前は知っていてもちゃんと音源を聴いたことがない、という方も少なくないかもしれません。そういう方にこそ是非聴いてほしい、矢野顕子の魅力がたっぷりとわかるベスト盤でした。

評価:★★★★★

矢野顕子 過去の作品
akiko
音楽堂
荒野の呼び声-東京録音-
Get Together~LIVE IN TOKYO~(矢野顕子×上原ひろみ)
矢野顕子、忌野清志郎を歌う
飛ばしていくよ
JAPANESE GIRL - Piano Solo Live 2008 -
さとがえるコンサート(矢野顕子+ TIN PAN)
Welcome to Jupiter
矢野顕子+TIN PAN PARTⅡ さとがえるコンサート
(矢野顕子+ TIN PAN)

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2017年3月13日 (月)

デビュー25周年のオールタイムベスト

Title:Naked&Sweet
Musician:CHARA

2016年にデビュー25周年を迎えたCHARA。その独特なボーカルとメロディーラインによって圧倒的な個性を持つミュージシャンとして知られ、高い人気を誇る彼女。今回、レコード会社を超えて彼女の全キャリアから楽曲をピックアップしたオールタイムベストがリリースされました。CHARA名義の楽曲だけではなくYEN TOWN BANDの楽曲まで収録されているのが今回の目玉ともいえるでしょう(ただし、残念ながらMean MachineやCHARA+YUKIの楽曲は未収録です)。

3枚組となっている本作、完全な発売順ではありませんが、Disc1は「やさしい気持ち」でブレイクする前の楽曲、Disc2はその「やさしい気持ち」を含む90年代後半から2000年初頭にかけての人気的に一番脂ののっていた時期の楽曲、Disc3には2000年代以降、人気的に若干落ち着いた時期の楽曲から最近の楽曲まで収録しています。

CHARAについては以前から最初期の作品を除いて基本的にはアルバムをすべてチェックしているのですが今回ベスト盤によってあらためて彼女の楽曲をまとめて聴くことが出来ました。その結果あらためて気が付いたのが彼女の初期の作品のおもしろさ。特に今回、3枚のアルバムのうちブレイク以前の楽曲を収録したDisc1の出来の良さにあらためて驚かされました。

このブレイク前の作品に関してはブラックミュージックからの影響を特に顕著に感じます。「愛の自爆装置」はファンキーなリズムが印象に残りますし、「恋をした」はR&B風、「あたしなんで抱きしめたいんだろう?」はソウル風のベースラインが非常にカッコいい楽曲になっていますし、「罪深く愛してよ」はジャクソン5風の軽快なポップソングに仕上がっています。

CHARAの楽曲のブラックミュージックからの影響はもちろんその後も見られるのですが、Disc2以降の作品はもっと「CHARAらしさ」を強調した作品になっておりポップス寄りの楽曲が多いため、ここまで顕著なブラックミュージックからの影響は感じません。これらの作品は私もリアルタイムで聴いていたのですが、その当時は正直、ブラックミュージックに関してほとんど聴いたことがなかったため、その音楽的なルーツに気が付くことはありませんでした。今回、この時期の楽曲をあらためて聴いてみて、そのおもしろさを再認識することが出来ました。

一方、おそらく楽曲としてもっとも知られているのがDisc2。彼女のブレイク作となった「やさしい気持ち」や大ヒットしたYEN TOWN BAND名義の「Swallowtail Butterfly~あいのうた~」もここに収録されています。彼女の独特なボーカルを最も生かしてポップにまとめあげているのもこの時期の楽曲。メロディーラインにもインパクトある曲が並んでおり、人気の面でもそうですが、楽曲的な面でもミュージシャンとして最も脂ののった時期であることは間違いないと思います。

そしてDisc3については・・・この時期の作品についても間違いなく名曲は多く見受けられます。このDisc3のみをリリースしたとしても十分「傑作」として評価できそうな内容だと思います。ただDisc1、2に比べるとちょっと見劣りしてしまうのも事実かも。「ラブラドール」などよりロック寄りの作品をリリースしたり、挑戦的な曲もあるのですが、全体的にはCHARAらしさが前に出た結果、若干マンネリ気味な部分も否めません。ここ最近、人気の面ではかなり落ち着いてしまった感のある彼女ですが、正直なところその理由もはっきりとわかってしまうような内容でした。

そんな気になる部分もあるものの、アルバムとしては3枚組のフルボリュームながらも魅力的な楽曲の連続であっという間という感覚で聴いてしまえるアルバム。CHARAというミュージシャンの実力、魅力を再認識できた内容になっています。今も彼女のファンという方はもちろん、最盛期、「やさしい気持ち」の頃に彼女にはまっていた、という方にもお勧めできるベストアルバムです。

評価:★★★★★

CHARA 過去の作品
honey
kiss
CAROL
Very Special
Dark Candy
うたかた
Cocoon
JEWEL
Secret Garden


ほかに聴いたアルバム

THE END/BLUE ENCOUNT

BLUE ENCOUNTについては前作「≒」ではじめて音源を聴きました。その「≒」は正直いまひとつピンと来なくてここでも酷評しました。それだけに今回のアルバムに関してもあまり期待はしていなかったのですが・・・今回のアルバムは素直に良い作品でした。洋楽テイストの強い作品からJ-POP的な作品まで、パンキッシュなサウンドを軸にバラエティーある作品が並んでおり、なによりもバンドとしての勢いを感じさせます。今後に期待が持てる1枚でした。

評価:★★★★

BLUE ENCOUNT 過去の作品

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2017年3月12日 (日)

アットホームさを感じる

Title:MAHOROBA
Musician:井乃頭蓄音団

個人的に注目しているバンドのひとつ、井乃頭蓄音団。昨年はなんと2年連続でフジロックに出場。一部では注目を集めているようですが・・・ただ残念ながら現状ではまだまだその知名度は厳しいようです。

以前の井乃頭蓄音団といえばダメ人間を描く変態性ある歌詞が大きな特徴でした。それが前作「グッバイ東京」ではそんな変態性ある歌詞が薄れ、真面目な歌詞が並ぶ作品となりました。個人的にはそういう方向チェンジは少々残念だったのですが、一方で前作はそんな飛び道具のような歌詞に頼らなくても勝負できることを示したアルバムだったと思います。

今回のアルバムに関してもその方向性は同じでした。基本的には歌詞は真面目な内容になっており、以前の変態性はありません。ただ、なかなかむくわれないような毎日を生きる平凡な主人公を等身大で描くという意味では以前の彼らから共通しているかもしれません。例えば「ちっぽけな僕」などはタイトル通りの男の姿をストレートに本音ベースで描いています。

また本作、非常に暖かさを感じる歌詞が目立ちました。1曲目からして「ようこそ我が家へ」ですし、最後も「ここにいて」から「ただいま」で締めくくり。どの曲も等身大の日常を描く歌詞なのですが、そんな平凡なありのままの日常をそのまま受け止めるようなとても暖かいものを歌詞から強く感じます。まさに1曲目のタイトルに象徴されるような「我が家」が今回のアルバムのテーマになっているようにも感じました。

そして今回のアルバムでもうひとつ強く感じたのが音楽的な面での成長。特に今回のアルバムはフォークやカントリーといった音楽からの影響を強く感じます。「ようこそ我が家へ」はまさにカントリーなギターが全編に展開されており、アメリカのルーツ音楽志向を感じますし、「この道を」もフォーキーなサウンドが心に染み入ります。一方、ユーモラスあふれる歌詞が魅力的な「偶然金メダル」はブルースロックでへヴィーなバンドサウンドを聴かせてくれ、ロックバンドとしての魅力も感じることが出来ます。

前作に比べると音楽的にはもうちょっとカントリーやフォークに焦点をあててきた印象もあるのですが、それだけに暖かみのあるアメリカン・ルーツ・ミュージックからの影響がよりはっきりとあらわれた1枚だと言えるでしょう。

全体的には正直言って地味な印象のあるアルバムだけに最初はピンと来ない部分もあったのですが、何度も聴くうちにその暖かい楽曲が心の中に染みいってくるようなそんな作品でした。もっともっと注目を集めてもいいバンドだと思うのですが・・・これからの活躍にも期待です!

評価:★★★★★

井乃頭蓄音団 過去の作品
親が泣くLIVE at 下北沢GARDEN 29 Feb.2012
おかえりロンサムジョージ
グッバイ東京


ほかに聴いたアルバム

宇宙図書館/松任谷由実

約3年ぶりとなるユーミンの新作。一時期、「バブルの女王」的なイメージから抜け出そうとしていた彼女が、ベスト盤リリースを挟み前作「POP CLASSICO」ではバブル期の楽曲を含めての松任谷由実だと受け入れるような作品になっていましたが本作に関してもその延長線上。むしろシンセのサウンドなどを取り入れスケール感も覚えるような楽曲が増え、80年代後半から90年代あたりのバブル全盛期の彼女を彷彿とすらさせるようなアルバムになっています。ただそれだけに逆にその吹っ切れ具合が心地よい感じのアルバムとも言える作品に。まさにユーミンらしい、といえるアルバムになっていました。

評価:★★★★

松任谷由実 過去の作品
そしてもう一度夢見るだろう
Road Show
日本の恋と、ユーミンと。
POP CLASSICO

Mrs.GREEN APPLE/Mrs.GREEN APPLE

本作が2枚目のアルバムにしてセルフタイトルのアルバムとなる5人組ロックバンドの新作。軽快で明るい陽性のポップスロックが特徴的でストリングスやピアノを入れつつ爽やかに聴かせる楽曲が並んでいます。難しいこと抜きで楽しめそうなバンドではあるのですが、前作から大きな変化はなく、良くも悪くも「軽さ」、悪い言い方をすると「軽薄さ」を感じてしまいます。もうひとひねりあった方がおもしろいと思うのですが。

評価:★★★

Mrs.GREEN APPLE 過去の作品
TWELVE

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2017年3月11日 (土)

約40年ぶり(!)にスタックスからリリース

Title:This Is Where I Live
Musician:William Bell

もう3月になりましたが・・・今回紹介するアルバムも2016年に評判の高かったアルバムでリアルタイムに聴き逃したアルバムをいまさらながら聴いてみた1枚。本作は「Blues&Soul Records」の2016年ベストアルバムの1枚に選ばれたWilliam Bellの新作です。

William Bellは主に70年代から80年代にかけてスタックス・レコードで人気を博したシンガーソングライター。1976年には「Tryin' To Love Two」がアメリカのR&Bチャートで1位を獲得するなど高い人気を誇りました。本作はそんな彼がスタックス・レコードから42年ぶり(!)にリリースしたということで話題となった1枚。もっともスタックス・レコード自体、1975年に倒産しており2006年に復活した、という経緯をたどっているのですが・・・。また彼自体、スタックスから離れて以降もコンスタントにアルバムはリリースしています。もっとも本作は約10年ぶりとなるオリジナルアルバムとなるようですが。

そんな話題の新作は、まさに70年代のソウルミュージックをそのまま解凍したような1枚。しんみりホーンとギターサウンドをバックに哀愁感たっぷりに歌い上げる「The Three Of Me」からスタートし、おなじく哀愁感たっぷりに歌う「The House Always Wins」もホーンやギターの音色が優しく響きます。

楽曲的にはそんなリスナーの琴線に触れるような物悲しさを感じさせるメロディーラインの曲を包容力ある力強い彼のボーカルで聴かせるナンバーが並んでいます。後半も「Walking On A Tightrope」「More Rooms」などそのメロディーや彼の歌に胸がキュッとなるような曲が続きます。タイトルチューン「This Is Where I Live」のようなアップテンポな曲もありますが、こちらもホーンセッションをバックに力強く聴かせる彼のボーカルが印象的。特に「All Your Stories」などはアコギ一本で優しく歌い上げるナンバー。その切ないメロディーラインと共に強い印象を残す楽曲になっています。

一方では「Poison In The Well」やアルバート・キングのカバー「Born Under A Bad Sign」のようなロック色の強いブルースロックナンバーも目立ち、全体的にはロックリスナーにとっても聴きやすいようなアルバムになっていたようにも感じました。

とにかくその哀愁感たっぷりのメロディーラインと、そんな楽曲を優しく歌い上げる彼のボーカルが心に響いてくるアルバム。ちなみに本作、今年のグラミー賞でベスト・アメリカーナ・アルバムを受賞しており、その評判の高さをうかがわせます。ソウルミュージック好きにはおそらくたまらない1枚だと思います。

評価:★★★★★

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2017年3月10日 (金)

待望の新作!

Title:I See You
Musician:The xx

前作「Coexist」が大ヒットを記録。また各種メディアにおいても非常に高い評価を得て、一躍注目のミュージシャンとなったイギリスの3人組バンドThe xx。その後はメンバーのジェイミー・スミスがJamie XX名義でソロアルバム「In Colour」をリリース。こちらも大きな評判を呼びました。

しかしThe xxとしてのアルバムはその後久しくリリースされず約4年半。ようやくのリリースとなる待望のニューアルバムがリリースされました。久々のアルバムとなったのですが全英チャートでは前作に引き続き1位を獲得。さらにアメリカビルボードチャートでは前作の最高位5位を上回る2位を記録するなどその期待値の高さをうかがわせます。

そんな彼らのニューアルバム、まず印象的だったのは男女のツインボーカル、ロミー・マドリー・クロフトとオリヴァー・シムによるデゥオでしょう。優しい雰囲気のポップなメロディーラインが印象的なのですが、メンバー全員幼馴染という間柄だそうで、それだけに息の合ったデゥエットを聴かせてくれます。2人とも包容力あるボーカルが魅力的なのですが、お互いのことをよく知っている2人のデゥエットだけにお互いを気遣うようなやさしさをそのボーカルから感じることが出来ます。

この2人のデゥオが印象的なポップなメロディーラインというのは前作「Coexist」から共通点。一方、前作から大きく変わった部分があります。それはサウンド。前作は音をそぎ落としたシンプルで空間を生かしたようなサウンドが特徴的でした。今回のアルバム、1曲目「Dangerous」はリズムを強調したダンスチューンとなっており、Jamie XXでの活動からの影響を感じさせます。こちらは比較的音の作りはシンプルとなっているのですが、続く2曲目「Say Something Loving」は重いベースの音やパーカッション、さらにはギターやピアノの音まで加わる分厚いサウンドが特徴的。その後もスペーシーでスケール感を感じる「A Violent Noise」や反響する音を生かしたダイナミックなサウンドが神秘的な「Brave For You」など、音数は前作より圧倒的に増え、分厚いサウンドが特徴的な楽曲が並びました。

個人的には音を絞ったシンプルな曲が好み、ということもあり前作の方がよかったかな、というのが正直な感想。ただ単純に前作のコピーを作るのではなくバンドとして新たなサウンドを模索しているということは強く感じることが出来ました。またサウンドにしてもただ単に音を詰め込んで分厚くしたりスケール感を出したりしている、という感じではなく本作に関してもまたその音には緊迫した空気を感じられました。

特にアルバムの中で印象に残ったのが終盤。荘厳さを感じる出だしからリズミカルなポップソングへと展開していく「On Hold」から、アップテンポでポップでキュートメロディーが印象的な「I Dare You」へとインパクトある楽曲が並んだかと思うと、ラストはピアノの音をバックに2人のボーカルをしっかり聴かせる「Test Me」で終了。彼らの魅力を存分に感じ、このアルバムは幕を下ろします。

上にも書いた通り、正直なところ前作の方が好みでしたが、The xxの久々のアルバムとして次の一歩を感じさせる作品でした。前作のイメージもそのままでしたから、久々の新作としてファンにとっては期待どおりの作品と言えるかもしれません。2017年1月早々にリリースされたアルバムですが、これもまた2017年を代表する作品としていろいろと話題になりそうです。

評価:★★★★★

The xx 過去の作品
Coexist

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2017年3月 9日 (木)

なぜかサントラ盤が目立つ

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週のアルバムチャート、なぜかベスト10圏内目立ったのはサントラ盤。映画ゲーム含めて4枚のサントラ盤がベスト10にランクインしています。

まず2位初登場に「Fate/Grand Order Original Soundtrack I」が初動売上5万4千枚でランクイン。人気のアプリゲーム「Fate/Grand Order」で使用された楽曲を集めた3枚組のサントラ盤となります。

ゲームサントラはもう1枚。こちらもアプリゲーム「バンドやろうぜ!」のサントラ盤「デュエル・ギグ! vol.1」が初動8千枚で8位にランクイン。「バンドやろうぜ!」というとアラフォー世代にとっては昔流行った音楽雑誌のことを思い出すのですが・・・まあおそらくこのゲームのタイトルはそれを意識してつけられたとは思うのですが・・・。

一方映画のサントラ盤は3位にX JAPAN「『WE ARE X』オリジナル・サウンドトラック」がランクインしています。X JAPANを追ったドキュメンタリー映画「WE ARE X」に使用された楽曲を集めたアルバム。監督には「ストーンズ・イン・エグザイル~『メイン・ストリートのならず者』」を手掛けたスティーヴン・キジャックを起用。日本のみならずアメリカ、イギリスなど全世界で公開という大きく風呂敷を広げた映画。X JAPANが日本やアジア圏以外でどのくらい人気があるのか、かな~り疑問。この大風呂敷を広げるプロモーション手法はいまだにバブル期の日本を彷彿させるものがあります。ちなみに「全世界リリース」のため発売日は3月3日の金曜日に設定。そのため初動売上は2万枚にとどまっています。直近作はベスト盤「THE WORLD~X JAPAN 初の全世界ベスト~」でこちらの3万9千枚(2位)からダウン。ただし映画のサントラ盤という形でかつ金曜日リリースということから考えるとかなり健闘した結果と言えるでしょう。

そしてもう1枚。映画のサントラが「ラ・ラ・ランド(オリジナルサウンドトラック)」。全世界で話題沸騰の映画で先日、ようやく日本でも公開しましたが、その公開にあわせる形で先週の16位から4位に一気にランクアップし、初のベスト10入りとなっています。

さてようやく今週の1位に戻ります。今週1位を獲得したのはEXILE THE SECOND「BORN TO BE WILD」。ミュージシャン名をTHE SECOND from EXILEから今の名前に変更して初のアルバムとなります。正直、いまさらこの名前をつけるか?的なタイトルなのですが・・・。初動売上6万2千枚はTHE SECOND from EXILE時代の「THE II AGE」初動5万枚(1位)からアップしています。

4位初登場はおそらく今、世界で最も人気のある男性シンガーソングライターの一人と思われるイギリスのシンガーソングライターEd Sheeran「÷」がランクインしています。これが3枚目のアルバムなのですが、1枚目が「+」で2枚目が「×」でしたので、次回作は間違いなく「-」なんだろうなぁ。海外では絶大な人気を誇っていたものの日本での人気はいまひとつだったものの、本作ではようやく初のベスト10入りを果たしています。金曜日発売ながらも初動売上1万2千枚は前作「×」の3千枚(32位)から大きくアップしています。

7位初登場は電気グルーヴ「TROPICAL LOVE」。約4年ぶりのオリジナルアルバムで、オリジナルとしては前々作「20」以来2作ぶりのベスト10入り。初動売上は1万枚。直近作は映画「DENKI GROOVE THE MOVIE?」公開にあわせてリリースされたセレクションアルバム「DENKI GROOVE THE MOVIE? -THE MUSIC SELECTION」で、こちらの初動3千枚(33位)よりは大幅にアップ。オリジナルアルバムとしての前作「人間と動物」の1万2千枚(12位)よりはダウンという結果となりました。

9位には読者モデルを中心に結成されたガールズバンドSilent Siren初のベストアルバム「Silent Siren Selection」がランクイン。初動売上は7千枚。直近のオリジナルアルバム「S」の2万1千枚(3位)より大きくダウン。

そして最後10位にはBoom Boom Satellite「19972016」が入ってきました。昨年10月にボーカルの川島道行が急逝。その活動に幕を下ろした彼らのベスト盤。同作は2010年にリリースしたベスト盤「19972007」のリマスター盤と、その後にリリースされた曲を集めた「20082016」の4枚のCDに、彼らのライブ映像をまとめたBlu-rayがついた5枚組となるベストアルバム。定価7,200円という高額ながらも見事ベスト10入りとなりました。ちなみに「19972007」のリマスター盤と「20082016」は別々にも販売されているのですが、オリコン上の集計はどうなっているんでしょうか?さすがに「19972016」とまとめて集計、ではないと思うのですが。なお初動売上は7千枚。直近作「SHINE LIKE A BILLION SUNS」の4千枚(15位)からアップ。またオリコン上はシングル扱いですが、事実上10枚目のオリジナルとして語られる最終作「LAY YOUR HANDS ON ME」の1万1千枚(10位)よりはダウンしています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

 

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2017年3月 8日 (水)

今週はジャニーズ系

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週1位を獲得したのはジャニーズ系。Kis-My-Ft2「Tonight」が獲得しました。ラジオオンエア数は圏外だったもののCD販売・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)及びTwitterつぶやき数で1位、PCによるCD読取数で2位を獲得し、初登場で1位獲得。オリコンチャートでは同曲を含むシングル「INTER」が初登場で1位獲得。初動売上20万5千枚は前作「Sha la la☆Summer Time」の26万6千枚(1位)から大きくダウンしています。

2位は星野源「恋」が先週から引き続き2位をキープ。ラジオオンエア数は48位とかなり下位まで下がってしまいましたが、実売数、PCによるCD読取回数では5位、Twitterつぶやき数では8位といまだに上位をキープ。さらにYou Tube再生回数では1位とまだまだヒットが続いています。

3位初登場は島村卯月(大橋彩香),小日向美穂(津田美波),五十嵐響子(種崎敦美)「ラブレター」。ゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」の中で歌われるキャラソン。実売数2位、PCによるCD読取数3位以外すべて圏外という、この手のキャラソンらしいCDを買う層以外に一切波及していないという状況がよくわかる結果となっています。オリコンチャートでは同曲を含む「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS STARLIGHT MASTER 09 ラブレター」が初動5万2千枚で2位初登場。同シリーズの前作「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS STARLIGHT MASTER 08 BEYOND THE STARLIGHT」の4万4千枚(3位)からアップしています。

続いて4位以下の初登場です。まず6位にAnly+スキマスイッチ=「この闇を照らす光のむこうに」がランクインしています。日テレ系ドラマ「視覚探偵 日暮旅人」エンディングテーマ。ご存じ男性2人組ポップスユニット、スキマスイッチと沖縄出身の女性シンガーソングライターによるコラボシングル。ちょっと中2病っぽいタイトルですが、楽曲はスキマスイッチの曲に比べてよりダイナミックな楽曲になっています。ただよくよく聴くとメロディーには確かにスキマスイッチっぽさが。

ちなみにこの曲、オリコンチャートとの差が大きく、オリコンでは初動2千枚で23位初登場。一方、iTunesチャートでは1位を獲得しているなどダウンロードでの売上が大半を占めているようです。実際、Hot100でも実売数4位、ラジオオンエア数5位なのに対してPCによるCD読取数97位となっており、通常版とそれにDVDが付いた初回版のみのため複数枚買いは考えられず、ダウンロードが実売数のうちの大きな比率を占めることがわかります。なおAnlyの前作「EMERGENCY」はチャート圏外。スキマスイッチの前作「全力少年 produced by 奥田民生」の2千枚(32位)から横バイ。要するに今、スキマスイッチのアイテムなら何でも買うという熱狂的なファン層はこのくらいということでしょうか。

7位は平井堅「僕の心をつくってよ」がCDリリースにあわせ先週の74位からランクアップしベスト10入り。「映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険」主題歌で平井堅らしいバラードナンバーとなっています。Twitterつぶやき数68位、You Tube再生回数79位と奮いませんでしたが、実売数9位、ラジオオンエア数3位、PCによるCD読取数13位の影響で上位にランクインしています。ちなみにオリコンチャートでは初動1万枚で7位初登場。前作「魔法って言っていいかな?」の9千枚(15位)から若干のアップ。ベスト10入りは2014年にリリースした「グロテスク feat. 安室奈美恵」以来、5作・2年11ヵ月ぶりとなります。

8位にはスダンナユズユリー「OH BOY」がランクイン。アイドルグループE-girlsからのHIP HOPユニットによるデビューシングル。ただHIP HOPの部分は序盤だけでサビは普通のポップソングになっているのがこの手のアイドルグループらしい感じ。実売数は3位でしたが、PCによるCD読取数23位、Twitterつぶやき数25位、さらにラジオオンエア数は圏外という結果が足を引っ張りこの位置に。オリコンでは初動売上3万枚で3位初登場。

最後10位には女性シンガーソングライターさユり「平行線」が初登場でランクイン。フジテレビ系アニメ「クズの本懐」エンディング・テーマ。実売数6位、PCによるCD読取数15位、Twitterつぶやき数11位と上位にランクインした一方、ラジオオンエア数が圏外と足を引っ張る結果に。名前の「ユ」だけカタカナにしているあたりちょっと痛い感じですが、「酸欠少女さユり」をキャッチコピーにしたり2.5次元パラレルシンガーソングライターにしたり、正直、かなり中2病的なキャラ。ただ楽曲の方はよくありがちなギター少女のアップテンポなギターロックといった感じで平凡な印象が・・・。オリコンでは10位初登場。初動売上9千枚は前作「フラレガイガール」の7千枚(17位)からアップしています。

今週のHot100は以上。アルバムチャートはまた明日に。

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2017年3月 7日 (火)

歌の上手さを売りに

Title:Joyful Monster
Musician:Little Glee Monster

ここにも以前書いたことがあるかもしれませんが・・・私は以前から邦楽シーンに対して非常に不満かつ疑問に思っていることがあります。それはボーカルに対する異常なまでの軽視。特にアイドルシーンなどにおいては「顔が良くて歌まで上手いとリスナーに嫉妬されるからわざと歌が下手な人を選んでいるのか?」と思うほど、素人レベルの歌唱力と平坦な表現力をユニゾンで歌うアイドルばかり。にも関わらず有名ミュージシャンが楽曲を提供して楽曲自体がいいと音楽メディアは大絶賛。個人的にはボーカルも曲を構成する重要な要素だと思っているので、ボーカルがいまふたつのような曲を無条件で絶賛するメディアのスタンスに強い疑問を持っています。個人的には「ボーカルグループ」といって通用するような「歌が上手い」ということが売りのアイドルグループが出てきてもいいと思うのですが・・・。

そんな中、10代の女の子6人で構成されたボーカルグループLittle Glee Monsterに関しては「歌が上手い」ということを売りにしており、今のJ-POPシーンの中では珍しい売り方に興味を持ちました。もっとも「歌が上手い」といってもとかく日本では例えばバラエティー番組で「歌の上手さ」を競う場合、単なるカラオケで音程があっている、ということだけを競っていたり、声量が大きい人を「歌が上手い」と持ち上げたりするので、本来ボーカリストとして表現力があることが歌が上手い必須条件であるべきなので、「歌が上手い」と売り文句を額面通りに受け取るこは出来ないのですが。

彼女たちに関しても確かに歌は上手いと思います。ただやはり彼女たちの上手さの要素はその声量や音程の安定感といった部分。一定以上の安定感と声量があるだけに安心して聴いていられるのですが表現力という部分ではまだまだといった印象受けました。そういう意味では彼女たちに関してもテクニック的には「上手い」のかもしれませんが、本当にボーカリストとして実力があるのか、といわれるとまだまだ発展途上だな、と思います。

楽曲自体に関しては先行シングルについてはいかにもJ-POP的。場合によってはアイドル的な売り方を意図しているのか?と感じるような楽曲もあり、歌の上手さを強調するためのわざとらしいコーラスラインやアカペラなどを用いているような曲が多く、ちょっとわざとらしさも気にかかりました。

ただアルバム収録曲に関しては「Hot Step Jump!」のようなソウル風のボーカルを入れてくるような曲があったり、「Catch me if you can」みたいな英語詞でファンキーな洋楽テイストの強い楽曲を聴かせてくれたり、シングル曲の印象よりもブラックミュージック色が強いのも印象的。よくありがちな売れ線J-POPよりも、よりボーカルの上手さが楽曲に反映させられるような意欲的な作品が目立ったようにも感じました。

ボーカルグループを売っていくというレコード会社や事務所側の意欲はおもしろいですし、またアルバム曲に関してもそういった意欲を感じます。表現力に関してはかなり不足しているようにも感じるのですが、これはまだ10代の彼女たち。これから人生経験を踏めば、より表現力あるボーカルを聴かせてくれるようになるのではないでしょうか。そういう意味ではこれから次第でもっともっと大化けしそうなグループと言えるかもしれません。これからの彼女たちの成長に期待したいところです。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

鉛空のスターゲイザー/グッドモーニングアメリカ

セルフタイトルだった前作「グッドモーニングアメリカ」ではバンドとしての勢いを感じさせるポップでインパクトあるメロディーを聴かせてくれた彼ら。それだけに続く新作にも期待したのですが・・・正直言えば完全な期待はずれ。ハイトーンボイスにアップテンポなリズム、ほどほどハードなギターロックという典型的な「フェス向け」なバンド。ライブで盛り上がることだけを主眼においたような薄っぺらさを感じてしまいます。同じようなテンポの曲が並んでおりメロディーのインパクトもいまひとつ。ここ最近、一時期に比べて人気に勢いがないようですが、その理由もわかる作品でした。

評価:★★★

グッドモーニングアメリカ 過去の作品
inトーキョーシティ
グッドモーニングアメリカ

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2017年3月 6日 (月)

奇跡(?)の傑作

Title:EXIST!
Musician:[Alexandros]

ミュージシャンがもっとも脂ののった時にだけリリースできる「奇跡の1枚」といえるアルバムがあります。いままでのアルバムでは「悪くはないんだけど・・・」的な印象しか受けなかったミュージシャンが絶頂期にリリースする勢いにのりまくったようなアルバム。音楽を聴いていてそんなアルバムにはとても強い喜びを感じます。

[Alexandros]の最新作はそんな「奇跡の1枚」ともいうべき傑作アルバムでした。いままで[Alexandros」というとアルバムはコンスタントに聴いていたのですが、悪くはないのですがあと一歩、という印象を受けていました。そんな彼らがバンド名を[Alexandros]と変えて2枚目となるアルバム。もともと前作からバンドとしての活動に脂がのってきた印象もあったので予感はあったのですが、まさに彼らにとって最高傑作ともいえる傑作をリリースしてきました。

まずアルバムは爽やかなピアノの音色からスタート。続くメロディーラインやバンドサウンドにも爽やかさと同時に切なさを感じさせるポップス志向の強い楽曲からスタートします。しかし続く「Kaiju」は一転、強いドラムスのリズムとへヴィーなギターサウンドがインパクトのハードロック色強いナンバー。英語詞の歌詞は洋楽テイストの強い楽曲となっています。

他にもバラエティー豊かな楽曲が並んでいるのが今回のアルバムの特徴。3曲目「Girl A」は最初は打ち込みのデジロック的にはじまりつつ、サビはハイトーンボイスで哀愁感たっぷりのメロを歌い上げる歌謡曲色の強いナンバー。洋楽的な部分と邦楽的な部分が混在しており、強いインパクトを感じます。かと思えば「Aoyama」は爽快でメロディアスなナンバー。しゃれたメロディーラインにはシティポップの空気感がありますし、「Buzz Off!」はハイテンポでファンキーなギターロック。こちらも洋楽テイストが強いナンバーなのですが、大サビの部分のみ妙に歌謡曲的なメロディーラインになっているのが特徴的です。

前半はそんな様々なパターンの楽曲を聴かせつつ、英語詞がメインで洋楽色が強い楽曲が並びました。一方後半は日本語詞が中心となり典型的なJ-POPナンバーが並んでいます。「Swan」は日本語詞のギターロックなのですが、わかりやすいメロディーラインの良くも悪くもベタなJ-POP。「今まで君が泣いた分取り戻そう」もタイトルからしてJ-POP的なのですが、サビからスタートもJ-POP的。ストリングスを入れて妙にスケール感を出しているのもまたJ-POP的という、こちらも良くも悪くも典型的なJ-POPナンバーとなっています。

ただこの典型的なJ-POPナンバーも、前半の洋楽色が強いナンバーから続けて聴くと[Alexandros]のもうひとつの側面として前半とのほどよいバランスを感じさせます。なによりわかりやすくキャッチーなメロディーラインはアルバムの中で大きなインパクトを与えていました。

前作までJ-POP色が強かったのがグッと洋楽志向が強くなり、その中で上手くJ-POP的な色合いを入れてきていて、そのバランスの良さが楽しめる傑作アルバムだったと思います。前作から脂がのっているように感じた彼らでしたが、そんな勢いのある彼らを象徴するような作品だったと思います。これが彼らにとって「奇跡の1枚」となるか、今後もコンスタントにこのレベルの傑作をリリースできるのか・・・勝負の分かれ目は次回作になりそうですが、このアルバムの関しては間違いなく[Alexandros]の最高傑作でしょう。彼らの印象もグッと良くなった1枚でした。

評価:★★★★★

[Alexandros] 過去の作品
Schwarzenegger([Champagne])
ALXD

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2017年3月 5日 (日)

復帰後初!

Title:砂の塔
Musician:THE YELLOW MONKEY

今回のレビューはちょっと毛色が違います。THE YELLOW MONKEY復帰後初のシングル盤。初回限定版でライブ音源がついており、全14曲70分というアルバム並のボリュームになっています。当サイトへよく遊びに来て下さる「通りすがりの読者」さんのリクエストもあり、かなり遅くなってしまったのですがレビューで取り上げさせていただきました。

まずはやはり肝心の新曲2曲から。「砂の塔」はギターのアルペジオで妖艶な雰囲気にスタート。さらに重なるストリングスがその雰囲気をさらに強調しています。このストリングスのアレンジは沢田研二の「勝手にしやがれ」など数々のヒット曲のアレンジャーとして知られる船山基紀が手掛けており、要所要所でインパクトある音色を上手くいれてきているのが印象的。THE YELLOW MONKEYはもともと歌謡曲からの影響を公言しており、特に吉井和哉はソロ活動で歌謡曲のカバーアルバムもリリースしていましたが、まさに彼らだからこそ出来る歌謡曲の要素をふんだんに取り入れた歌謡ロックに仕上がっています。「砂の塔」というはかなさを感じるいかにもなタイトルもそうですが、歌詞も昭和歌謡の匂いがプンプンただよってきます。

一方2曲目「ALRIGHT」も歌謡ロックらしい哀愁感あるメロが特徴的なのですが、こちらはよりバンドサウンドを前に押し出したサウンドに。どちらかというと「歌謡」の部分を前に出した「砂の塔」に比べてロックバンドな部分を前に出した楽曲に仕上がっています。復帰後初となる挨拶がわりの2曲は、それぞれTHE YELLOW MONKEYの魅力を違う側面からスポットをあてた作品と言えるかもしれません。

そしてそれに続く12曲は昨年5月からスタートした復帰後初のアリーナツアーから、各会場1曲ずつピックアップして収録したライブアルバムとなっています。

いうまでもなくこのメンバーでライブを実施するのは約15年ぶり。しかし、それだけ長いブランクがあったにも関わらずビックリするくらいバンドとしてまとまりがあり、かつむしろここにきてバンドとして脂がのりまくっているのではないか、と思うほどのライブとなっていました。

まずライブ盤の冒頭は「プライマル。」。復帰後ライブ一発目の一曲目。解散前のラストシングルを最初に持ってくるのがユニークですが、スタート直後の歓声はファンの歓喜の叫び。会場を覆う雰囲気がライブ音源を通じて伝わってくるようです。

その後の収録曲はまさにTHE YELLOW MONKEYのベスト盤ともいえるような選曲になっているのがうれしいのですが、間違いなくどの曲もその勢いは増しています。「SPARK」はより疾走感が増していますし、「BURN」は演奏がより分厚く、グルーヴさを増しています。さらに途中、長いギターソロが入ってよりサイケさを増した「球根」は10分にも及ぶ演奏ながらも、そのテンションを全く切らすことなく最後まで聴かせる演奏となっています。

復帰後初のライブツアーとは信じられないくらいバンドとしてのまとまりがあり、また迫力を感じさせるライブになっていました。また観客の歓声からはイエモン復活の喜びを感じさせ、幸福感あふれるライブ会場の空気感も伝わってきます。そんな会場の空気だったからこそ、イエモンの演奏がよりエッジの利いたものとなったのかもしれませんね。

そんな訳で新曲2曲はもちろんライブ音源も間違いなく要チェックの1枚。これが初回限定版というのは残念な限り・・・とはいえ、現時点でも幸か不幸かまたAmazonでは購入できるようですし、また中古なら普通に購入できそう(あと、レンタルという手法も)。しかし、これだけバンドとして勢いがあるのならこれからの活動にも期待が出来そうですね。最近、バンドの復活というニュースは多いのですが、残念ながら復活直後は積極的に活動していても徐々に尻すぼみになり、いつのまにか活動しているのかどうかわからないようなバンドがほとんど(コンスタントに活動を続けているのはユニコーンくらいか?)なだけに、彼らには是非、積極的な活動を期待したいのですが・・・。

評価:★★★★★

THE YELLOW MONKEY 過去の作品
COMPLETE SICKS
イエモン-FAN'S BEST SELECTION-

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2017年3月 4日 (土)

美しい声が大きな魅力

Title:The Best of Cornerstones 1 to 5 ~The 20th Anniversary~
Musician:佐藤竹善

佐藤竹善といえばご存じSING LIKE TALKINGのボーカリストですが、そのデビューした頃にコカ・コーラのCMソングを歌っていたことがありました。顔は完全に隠して匿名で歌っていたのですが、その美声が大きな話題となりました。SING LIKE TALKINGといえば、その心地よいAORのメロディーが多くのファンを虜にしましたが、佐藤竹善に関してはコカ・コーラのCMで話題になったように、その「声」だけで勝負できるボーカリストとして高い評価を得ています。

そんな彼がライフワーク的に続けているのが「CORNERSTONE」と題されたカバーアルバムのシリーズ。1995年に第1弾がリリースされた後、数年に1枚というゆっくりのペースですが断続的にアルバムをリリースしてきました。今回リリースされたのは、その第1弾「CORNERSTONE」から2012年にHMV/ローソン限定でリリースされた「Free as a Bird - CORNERSTONES 5 -」の5枚のアルバムに加えて2005年にリリースされた「CORNERSTONE」のリマスター盤「CORNERSTONES+ EXTRA TRACK」、ライブアルバム「LIVE WITH the CORNERSTONES'07」から楽曲をセレクトした「CORNERSTONE」シリーズの集大成的なベスト盤となっています。

カバーに関して選曲、アレンジともに正直言えばさほど目新しさはありません。基本的にはAORをメロウに歌い上げておりアレンジも比較的シンプル。Disc1、2は洋楽、Disc3は邦楽という構成ですが、どちらも一度は聴いたことあるような有名曲も多く、聴きやすいカバーに仕上がっています。

ただそれだけシンプルなカバーなだけに佐藤竹善のボーカリストとしての実力が目立ちます。冒頭にも書いた通り、やはりその透き通る美しい声が大きな武器となっているのは間違いありません。彼のボーカルに関してもいつも通りで楽曲によって歌い方を大きく変えている訳ではないのですが、選曲にしろアレンジにしろボーカルにしろ、変にいじくらないシンプルなカバーだからこそ、より原曲の良さ、ボーカルの良さが際立つカバーになっていたと思います。

評価:★★★★★

で、このベスト盤と同時リリースされたCORNERSTONEシリーズの最新作がこちら。

Title:My Symphonic Visions~CORNERSTONES 6~feat.新日本フィルハーモニー交響楽団
Musician:佐藤竹善

第6弾となる本作は、全編交響楽団とのコラボレーションとなるアルバム。オーケストラアレンジのアルバムとなっています。

選曲した楽曲は基本的に洋楽がメイン。Phil Collins「Against All Odds」やChicago「Will You Still Love Me」という「らしい」選曲が並ぶ一方、意外な路線ではEDMミュージシャンAviciiの「Hey Brother」なんかもカバーしています。

ただ基本的にはオーケストラアレンジにダイナミックに仕上げている感じ。原曲に比べてグッとスケール感の増したカバーに仕上げています。そんなオーケストラバックにしっかりと歌い上げており、その「歌」の力をきちんと発揮しているあたりはさすが佐藤竹善といった感じでしょうか。

もっともこの手のカバーアルバムでオーケストラアレンジというのはよくありがちな選択肢。おそらくボーカリストなら一度はオーケストラをバックに歌ってみたいと思うんでしょうね・・・。そういう意味では彼がやりたいことをやれたカバーアルバムなのでしょうが、アレンジについてはよくありがちで少々大味だったかな、とも思うカバーアルバムでした。

評価:★★★★

佐藤竹善 過去の作品
ウタジカラ~CORNER STONE 4~
静夜~オムニバス・ラブソングス~
3 STEPS&MORE~THE SELECTION OF SOLO ORIGINAL&COLLABORATION~
Your Christmas Day III

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2017年3月 3日 (金)

確かにこれは「ヤバイ」

Title:We love Tank-top
Musician:ヤバイTシャツ屋さん

今、もっともブレイク間近なバンドとして注目を集めている3人組ギターロックバンド、ヤバイTシャツ屋さん。インディーズ時代からそのユニークなバンド名とともに話題となっていましたがこのたびメジャーデビュー。そのデビュー作である本作はいきなりオリコンアルバムチャートで7位を記録しています。

その特徴的なバンド名は以前から知っていたのですがその高い注目度もあり今回のメジャーデビューアルバムをはじめて聴いてみました。で、はじめて聴いてみた感想ですが、これがなかなかおもしろい!楽曲のタイプとしては基本的にメロコア。比較的分厚いギターサウンドにインパクトあるポップなメロディーラインが特徴的。ただところどころハードコア風のデスボイスが入って来たり、かなりへヴィーなバンドサウンドが入ってくる点が大きなインパクト。メタルばりのへヴィーな部分とキュートとも感じるポップな部分のバランスが非常におもしろい印象を受けました。

この楽曲のインパクトやへヴィーとポップのバランスに一役買っているのが男女のツインボーカルというスタイル。女性ボーカルのしばたありぼぼはいまどきともいえる若干アニメ声風の甲高いボーカルスタイルなのですが、女性ボーカルを入れることにより楽曲のポップな側面で強いインパクトを与えています。

このデス声を入れたへヴィーなサウンドとポップなメロのほどよいバランス、さらにインパクトとしての女性ボーカルという点でマキシマム ザ ホルモンと近い部分を感じました。またその活動スタイルや楽曲自体にユーモアな部分が多い部分も共通項。ヤバイTシャツ屋さんというバンド名ながらも「We love Tank-Top」というアルバムタイトルをもってくるのもユニークなのですが、1曲目「We love Tank-top」はいきなりわざとらしさを感じるミュージカル風からスタート。リスナーをちょっとびっくりさせるはじまりとなっています。

ただしユーモアセンスな言動をしたり歌詞を書いたりしながらも、歌詞で意図される主張についてはとても熱いものを感じるマキシマム ザ ホルモンに対してヤバイTシャツ屋さんの歌詞はどこか醒めたような視点やメタ視点のような歌詞が多くみられます。「喜志駅周辺なんもない」「天王寺に住んでる女の子」などは大阪芸大出身の彼ららしい、大阪芸大の学生あるあるネタという、内輪ネタに終始している歌詞ですし「流行りのバンドのボーカルの男みんな声高い」はその通りなのですが、まさにメタ視点の歌詞になっています。

まあここらへんの差が、メンバー全員アラフォーで私と同年代のマキシマム ザ ホルモンと、メンバーが(公表はされていないようですがおそらく)20代前半のヤバイTシャツ屋さんの世代の差のような感じもします。このメタ視点や世の中を斜めから見たようなシニカルな歌詞は個人的にはあまり好みではないのですが、今のところでは楽曲のおもしろさの方が先に来ており、彼らの個性として上手く機能しているように思います。若干、この歌詞の方向性が今後の展開次第では嫌味たらしい感じになってしまう可能性も否定はできないのですが・・・とりあえず現時点では非常におもしろくインパクトある歌詞に仕上がっていました。

各所で絶賛されている彼らへの評価に違いはなく、間違いなくここ最近のロックバンドの中で頭ひとつとびぬけた存在だと思います。良くも悪くも今時のバンドという感じも強く、それが今後、どういう方向に作用していくのか期待半分不安半分な部分もあるのですが・・・間違いなく2017年にその動向から目を離せないバンドだと思います。これからが楽しみです。

評価:★★★★★

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2017年3月 2日 (木)

良くも悪くも話題のあのアルバムが

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

まず今週は話題のあのアルバムから。今週7位にASKA「Too many people」がランクインです。2015年に覚せい剤所持で逮捕。さらに昨年11月にも再度覚せい剤所持で逮捕されるも嫌疑不十分で釈放となった彼。ただ、逮捕に至る状況からおそらく誰もが「やってるだろう」という疑惑を抱き、さらにその前後からブログなどでの奇抜な言動が目立ち、客観的に見れば彼は大丈夫なんだろうか?という疑惑をもたれ続けています。そんな中でのソロアルバムリリース。もちろん、犯罪と音楽は直接関係ありませんし、たとえ逮捕されたとしても獄中からでのアルバムリリースも可能は可能です。ただ、現状、CHAGE&ASKAとしてのCDを含めていまだ販売中止という状況が続いている中でのソロアルバムリリースは異例といえば異例。個人的には覚せい剤の犯罪などによりCDが回収されるという今の音楽業界のやり方には疑問を持っているのですが、今回の復活劇は早すぎるのではないかという印象を抱いてしまいます。

初動売上は2万1千枚。ちなみに直近作はカバーアルバム「『僕にできること』いま歌うシリーズ」で初動3千枚(33位)なのでこちらからは大きくアップ。さらにオリジナルアルバムとしての前作「SCRAMBLE」の1万8千枚(4位)よりもアップという結果に。うーん、確かに注目度の高いアルバムなのですが、ファンの方はこれでいいの???

さて今週1位を獲得したのはAAA「WAY OF GLORY」。メンバーの伊藤千晃の妊娠に伴う脱退のため、現メンバーでは最後となるアルバムで見事1位を獲得です。初動売上10万7千枚。直近作はベスト盤+オリジナルアルバムの3枚組という変形的なリリースだった「AAA 10th ANNIVERSARY BEST」でこちらの8万5千枚(1位)からアップしています。

2位は名古屋栄を中心に活動しているAKB48の姉妹グループSKE48「革命の丘」がランクイン。これが2枚目となるオリジナルアルバム。前作もSuperflyに阻まれて1位獲得はなりませんでしたが、2作連続2位という結果に。初動売上9万9千枚は前作「この日のチャイムを忘れない」の初動11万枚(2位)からダウンしています。

ちないに今週、同じ名古屋を中心に活動する女性アイドルグループチームしゃちほこもアルバム「おわりとはじまり」をランクインさせており、奇しくも(というか狙って?)名古屋のアイドルグループ対決となっています。ただこちらは初動1万2千枚で初登場10位とかなり差をつけられる結果に。また前作「いいじゃないか」の1万3千枚(6位)からも微減という結果になっています。

3位は韓流の男性アイドルグループ、SHINee「FIVE」が入ってきました。初動売上は6万8千枚。これが日本では5作目となるアルバムで直近2作は1位獲得を続けていましたが本作では残念ながらこの位置に。ただし初動売上は前作「DxDxD」の4万4千枚(1位)よりアップしています。

続いて4位以下の初登場盤です。

4位初登場はHoneyWorks「何度だって、好き。~告白実行委員会~」。主にニコニコ動画にアップしているVOCALOID作品が話題となっている音楽グループ。初動売上3万3千枚は前作「好きになるその瞬間を。」の2万1千枚(4位)からアップしています。

5位はシンガーソングライターmiwa「SPLASH☆WORLD」。彼女5枚目となるオリジナルアルバムです。初動売上3万1千枚。直近作はバラードベストの「miwa ballad collection ~graduation~」の3万2千枚(1位)から微減。オリジナルの前作「ONENESS」の5万枚(3位)からもダウンと少々厳しい結果となっています。

8位には女性3人組ロックバンドSHISHAMO「SHISHAMO4」が入ってきました。タイトル通り4枚目となるオリジナルアルバムでベスト10入りは前作から引き続き2作目。初動売上1万3千枚は前作「SHISHAMO3」の8千枚(7位)から大きくアップしています。

9位には松野おそ松&松野カラ松&松野チョロ松&松野一松&松野十四松&松野トド松(櫻井孝宏&中村悠一&神谷浩史&福山潤&小野大輔&入野自由)「おそ松さん かくれエピソードドラマCD『松野家のなんでもない感じ』 第1巻 」。昨年放送され話題となったアニメ「おそ松さん」のキャラクターによるドラマCDの新シリーズ。初動売上は1万3千枚。同じ「おそ松さん」のドラマCDとしては直近作、松野おそ松&松野カラ松&松野チョロ松&松野一松&松野十四松&松野トド松(櫻井孝宏&中村悠一&神谷浩史&福山潤&小野大輔&入野自由)「おそ松さん 6つ子のお仕事体験ドラ松CDシリーズ おそ松&カラ松&チョロ松&一松&十四松&トド松『お仕事アラカルト』 」が初動2万4千枚(3位)でしたのでそちらよりはダウンという結果となっています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2017年3月 1日 (水)

王子の帰還

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

まず今週はやはりこの曲でしょう。今週5位初登場小沢健二「流動体について」。シングルとしては1998年の「春にして君を想う」以来19年ぶりとなるリリース。このシングルリリース以来、事実上活動休止となり、途中、散発的な活動はあったものの本格的な活動再開には至っていませんでした。

それがこのたび突然のシングルリリース。さらにこれにあわせて「ミュージックステーション」をはじめ数々のテレビ番組にも出演。本格的な音楽活動再開が大きなニュースになりました。そして本作はチャートでも上位にランクイン。CD販売・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)では7位、ラジオオンエア回数6位、PCによるCD読取数では5位という結果に。オリコンでは初動売上3万7千枚で初登場2位を記録。シングルチャートで2位というのは1995年にリリースして大ヒットを記録した「カローラIIにのって」と並ぶ自己最高位タイの記録に。さらにその19年前のシングル「春にして君を想う」の初動1万4千枚(34位)から大幅増という結果になっています。1998年といえばまだシングルのヒットとしてはミリオンが当たり前というJ-POP全盛期。そこと比べて売上を伸ばしたというのは、いかに多くのファンが待ちわびていたかを示した結果となりました。

その待望のシングルですが、楽曲的には全盛期の「痛快ウキウキ通り」や「ラブリー」あたりを彷彿とさせる明るくワクワク感を覚えるポップチューン。活動休止前のシングルはちょっとムーディーでジャジーな楽曲が続いていただけにその方向性かと思いきや、まさかのポップ路線にちょっと驚かされました。また歌詞にしても「東京」を舞台にちょっとスノッブ的な雰囲気を感じられるのも実にオザケンらしい感じ。ただ抽象的な表現が多いのは全盛期の頃と大きく変わった感じがしますし、また「もしも間違いに気がつくことができなかったのなら平行する世界の毎日 子供たちも違う子たちか」と並行世界についての妄想に子供たちという発想が出てくるあたり、子持ちパパとなった今だからこその歌詞だということを感じます。

ちなみにかつて「王子様」と呼ばれてアイドル的人気を博していた彼ですが、「Mステ」出演の際には完全におじさん化していてかつてのファンが悲鳴をあげました(まあ、年齢なりといえば年齢なりなのですが)。そこで思い出したのが音楽界で他に「王子様」といえば及川光博。調べてみてビックリしたのですが、オザケンとミッチー、年齢的に1歳しか離れていないんですよね・・・。いまだに「王子様」キャラを維持しているミッチーとの差に愕然。シーンの中心にいるかそうでないかで差がついてしまうんですね。なお、「Mステ」について「歌が下手」という評価も多いみたいですが、あれは20年前からあんなもんです。

オザケンの狩り場はいまや星野源のものとなっているだけに今後の動向も気にかかるのですが・・・でも、また再びコンスタントに新曲リリースしてほしいなぁ。楽曲的には全盛期からほとんど衰えを感じさせない名曲で、あらためて彼の才能を実感させられました。

ちなみに現在のオザケン(?)こと星野源「恋」がなんと今週2位に再浮上。実売数では9位、ラジオオンエア数では24位という結果となったものの、PCによるCD読取数、Twitterつぶやき数で3位、You Tube再生回数では1位を獲得。まだまだ根強い人気を感じさせます。

そんな訳でついついオザケンについて長語りをしてしまいましたが(^^;;まず1位。Hey!Say!JUMP「OVER THE TOP」が獲得。日テレ系アニメ「タイムボカン24」オープニングテーマ。ラジオオンエア数12位、Twitterつぶやき数は9位にとどまりましたが実売数及びPCによるCD読取数で見事1位を獲得しています。オリコンでも初動27万1千枚で1位初登場。前作「Give Me Love」の24万7千枚(1位)よりアップ。

3位はLiSA「Catch the Moment」が先週の5位からランクアップしベスト10入り2週目にしてベスト3入り。ラジオオンエア数74位、You Tube再生回数53位は奮いませんが、実売数3位、PCによるCD読取回数6位、Twitterつぶやき数2位と上位にランクインしています。

続いて4位以下の初登場曲です。まず6位にハロプロ系女性アイドルグループつばきファクトリー「初恋サンライズ」が初登場でランクイン。これがメジャーデビューシングル。実売数は2位を記録しましたが、ラジオオンエア数49位、Twitterつぶやき数40位と軒並み苦戦。特にPCによるCD読取数は46位にとどまっており、7種同時発売という形態から複数枚買いの影響が大きそう。ちなみにオリコンでは初動3万5千枚で3位初登場。

7位にはEXILE THE SECOND「SUPER FLY」が初登場。こちらも実売数4位ながらもラジオオンエア数22位、PCによるCD読取数17位、Twitterつぶやき数18位と軒並み苦戦しています。オリコンでは4位初登場。初動売上3万4千枚は前作「WILD WILD WILD」の3万3千枚(1位)から若干のアップ。

最後10位には女性3人組バンドSHISHAMO「明日も」が先週の13位からランクアップしベスト10入り。NTT Docomo CMソング。2月22日にリリースされたアルバム「SHISHAMO4」からの先行配信された楽曲です。実売数16位、Twitterつぶやき数16位、You Tube再生回数25位にとどまりましたがラジオオンエア数では1位を獲得し、見事ベスト10入りをはたしました。

今週のHot100は以上。アルバムチャートはまた明日に!

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