« ブルースの歌詞の世界へようこそ | トップページ | メロディーもはっきりと流れるものの »

2017年3月18日 (土)

2016年最も話題になったミュージシャン

Title:人間開花
Musician:RADWIMPS

2016年は様々な楽曲が話題となりました。それこそ下半期に大きな話題となったピコ太郎やRADIOFISHのようなお笑い枠もあったのですが、なによりも2016年話題のミュージシャンといえば星野源と、そして彼らRADWIMPSでしょう。本作にも収録している「前前前世」などの彼らの楽曲が映画「君の名は。」に使用され、映画の大ヒットとあわせて楽曲も大ヒット。年末には紅白歌合戦へ出演もしています。

昨年はその映画のサントラも大ヒットしましたがそれに続く絶好のタイミングでリリースされたのが本作・・・なのですが、そのジャケ写が大きなインパクト(^^;;グロ画像一歩手前のようなジャケット写真に一部では非難も殺到。本来、もっとも「売れる」タイミングでリリースされたアルバムをこのようなジャケットにしてしまうあたり一筋縄ではいかない感じがします。ただ、その写真にも負けず(?)アルバムは前作の売上を大きく上回る大ヒットを記録したようです。

ただ、「君の名は。」のサントラ盤の時にも書いたのですが、私は大ヒットした「前前前世」についてはRADWIMPSにとって絶賛できる名曲とは思っていません。確かに「君の前前前世から僕は 君を探しはじめたよ」というストーカー一歩手前どころか言う相手を間違えると下手なストーカーより質の悪い(笑)情熱的でインパクトある歌詞は野田洋次郎らしいといった印象を受けるのですがメロディーラインやサウンドについては平凡なギターロック。彼らの大ブレイクしたころの楽曲のように、その展開が読めないようなインパクトあるメロディーラインではありません。

今回のアルバムに関しても目立ったのは「前前前世」をはじめとする少々平凡さを感じてしまうギターロック。序盤の「光」も比較的ストレートなギターロックですし、「トアルハルノヒ」もパッと聴いた感じだと歌い方を含めてBUMP OF CHICKEN?と思ってしまうような良くありがちなポップスロックの楽曲となっています。

一方、RADWIMPS野田洋次郎といえば自身のソロプロジェクトillionとしても活動しています。illionではエレクトロサウンドを取り入れた挑戦的な作風の曲も目立ちますが本作ではその活動がRADWIMPSに還元されているような曲も見受けられました。例えばパンキッシュな「AADAAKOODAA」やポストロック的なサウンドが目立つ「アメノヒニキク」のような作品がその例でしょうか。もちろんいままでのRADWIMPSの作品にも挑戦的な作風の曲は少なくありませんでしたが、本作ではその方向性がより強くなったような感じがします。

ただ本作に関してはこれらの作品がアルバムの中で完全に浮いてしまったようにも感じました。いままでのRADWIMPSの楽曲はメロディアスでポップなギターロックという要素と挑戦的で刺激的なサウンドという要素が上手く融合していて、そこに野田洋次郎の書く見方によってはストーカー的な歌詞がRADWIMPSらしさを作り上げていたのですが、今回のアルバムはRADWIMPSを構成する要素が分離を起こしてしまったようにも感じました。

もちろんそうはいってもアルバムの中にはRADWIMPSらしい魅力もきちんと残されています。映画「君の名は。」でRADWIMPSの良さに気が付いた方もおそらく十分気に入る内容だったのではないでしょうか。個人的には特に「週刊少年ジャンプ」が気に入りました。

小中学生の頃、週刊少年ジャンプの世界にはまったことのある方には間違いなく共感を呼びそうな歌詞で、

「週刊少年ジャンプ的な未来を 夢みていたよ
君のピンチも 僕のチャンスと 待ち構えていたよ」

という発想はいかにも「中2病」的ながらも昔、同じようなことを考えたことがあったなぁ、と恥ずかしくも思い出すような方も少なくないのではないでしょうか。その上のラストの

「きっとどんでん返し的な未来が僕を待っている
血まみれからの方がさ 勝つ時にはかっこいいだろう
だから今はボロボロの心を隠さないで 泣けばいい」

(「週刊少年ジャンプ」より 作詞 野田洋次郎)

という締めくくりは週刊少年ジャンプの黄金期をリアルタイムで経験したアラフォー世代の心にもヒットしそうです。

そんな感じでRADWIMPSらしい名曲ももちろん少なくないですし、アルバム全体として決して悪い出来ではないのですが・・・いままでの彼らの作品と比べると少々見劣りがしてしまう内容だったように感じました。昨年、彼らが話題になったのもRADWIMPSとしてバンドが勢いにのっているというよりは楽曲のタイアップという外部的要因が大きかったからなぁ。今後、このチャンスを生かしてさらなる飛躍が出来るのか否か、これからが勝負でしょう。

評価:★★★★

RADWIMPS 過去の作品
アルトコロニーの定理
絶対絶命
×と○と罰と
ME SO SHE LOOSE(味噌汁's)
君の名は。

|

« ブルースの歌詞の世界へようこそ | トップページ | メロディーもはっきりと流れるものの »

アルバムレビュー(邦楽)2017年」カテゴリの記事

コメント

元々メロディラインやサウンドなど癖のあるグループなんで前前前世を聴いたときは「ラッドってこんなんだったっけ?」って思っちゃいました。
君の名は。に収録された楽曲は新海監督の意向で大分楽曲の選別や修正もされたみたいなんで、いっそのことそれらはサントラと割りきって収録しない方がRADのオリジナルアルバムとしては多少なりまとまったんじゃないかと思います。今回、君の名は。で入った人をふるいに掛けるようなインパクトのあるジャケットだったんで中身もひねくれて良かったんじゃないかなあと。
個人的にも内容は楽しめたのですが、野田さんドラマ出演するそうで、前前前世のヒットもあったしバンドが変な方向へ向かわないか心配です…。

投稿: 亮 | 2017年3月20日 (月) 10時56分

>亮さん
そうなんですよね。「前前前世」が話題になったんですが、あれがラッドらしいかと言われると微妙な感じで。悪い意味で万人受けを狙うようなバンドになってしまわないか心配なところ。逆にillionは少々暴走気味だしなぁ・・・。

投稿: ゆういち | 2017年3月20日 (月) 23時51分

自分はRADをちゃんと聞いたことがないので
あまり曲がどうこう言えないのですが
「前前前世」を気に入ってRADの過去アルバムを買って
「前前前世」とは歌詞等雰囲気が違うことを
twitter等で苦情を言っていた人が結構いるっていうのを
ネット上ですが見たことがあります。
亮さんのおっしゃる通り「前前前世」含め
「君の名は」の曲は新海誠監督にダメ出し食らいまくったと
対談でRADのメンバーが言ってたので
やはりそこの影響が大きいんでしょうね。
でもならなぜRADを起用したのか個人的に未だに不思議です。

投稿: | 2017年3月25日 (土) 13時56分

上記書き込み無記名になってるのに気づきませんでした。
すみません。

投稿: Toshi | 2017年3月26日 (日) 07時14分

>Toshiさん
>twitter等で苦情を言っていた人が結構いる
そうなんですか。確かに「前前前世」のイメージだと過去のRADWIMPSはちょっと違和感があるかもしれないですね。RADは独自の世界観を持ったバンドなだけにそれだけ方向性をかえたうえでRADを起用した意図は確かにちょっと不思議ですよね・・・。

投稿: ゆういち | 2017年4月 4日 (火) 23時56分

前々前世以降、RADWIMPSはどうなってしまうのか

投稿: ひかりびっと | 2017年4月 5日 (水) 17時49分

>ひかりびっとさん
これからのラッドの方向性はいろいろと心配です・・・。

投稿: ゆういち | 2017年4月 8日 (土) 23時19分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/505136/69833142

この記事へのトラックバック一覧です: 2016年最も話題になったミュージシャン:

« ブルースの歌詞の世界へようこそ | トップページ | メロディーもはっきりと流れるものの »