突然のラストアルバム
Title:Forever De Generation En Gener(邦題 パパ・ウェンバよ、永遠に)
Musician:Papa Wemba
ここでも何度かおなじことを言及していますが・・・2016年は洋楽邦楽問わず数多くの有名ミュージシャンの逝去というニュースが飛びこみ、音楽ファンにとっては辛い1年になりました。そんな中でワールドミュージックのリスナーにとって大きなニュースとなったのはPapa Wembaの突然の訃報。ルンバ・ロックの第一人者としても知られ、アフリカミュージックで絶大な支持を得ていたコンゴのミュージシャンの突然の逝去のニュースは大きなショックをもって迎え入れられました。さらに彼の最期はコートジボワールでのライブの最中、ステージで突然倒れるという衝撃的だったというのも大きな話題となりました。
本作はそんな彼が死の直前まで作成を続けていたオリジナルアルバム。本人が意図しない形で奇しくもラストアルバムとなってしまった本作ですが、内容的には現役感バリバリの勢いすら感じさせる内容になっており、あまりにも突然の死をあらためて残念に感じます。
・・・とまあいろいろ書いておきながらこんなこと言うのは何なのですが、私、Papa Wembaの名前は知っていたのですがアルバムを聴くのはこれがはじめてだったりします(^^;;彼が奏でる音楽のジャンルは「ルンバ・ロック」「リンガラ」などと称されているようですが、非常にラテンの要素も強い、哀愁感漂う楽曲。そのメロディーは歌謡曲にも通じるものも感じられ、日本人の琴線にも触れる楽曲も少なくないのではないでしょうか。
なによりも楽曲的に非常に洗練されているのが特徴的。特に「Ingratitude」は女性ボーカルのセクシーでメロウなコーラスラインからスタートしており、R&B的な雰囲気すら感じられる楽曲。この曲、はじめに聴いた時は正直、間違って違うミュージシャンの曲を選曲してしまったか?と思ったくらいです。
事実上、ラストナンバーとなっている「Union」もおごそかなストリングスの音色からスタートするスケール感あるナンバー。コーラスラインも重厚感あるオペラ風に仕上げており、アフリカの音楽というイメージからするとかなり意外性ある作風となっています。
ただ一方、これらの曲のバックにしっかり鳴り響いているのがパーカッションのリズム。いかにもアフリカなポリリズムといった感じではないのですが、独特のリズム感が楽曲に独自性を与えており、洗練されたメロディーラインとのバランスの良さがPapa Wembaの大きな魅力のように感じました。
これが意図しないラストアルバムとなった訳ですが、最後まで完成されない状態でのリリースということを感じさせない魅力的なアルバムになっていたと思います。あらためて突然の逝去を残念に感じる作品でした。
評価:★★★★★
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