パームワイン・ミュージック界若手のホープ
Title:Higher Life on Palmwine
Musician:Kyekyeku
ここ最近、ワールドミュージックのアルバムの紹介が続いていますが今回のワールドミュージックのアルバムのご紹介。アフリカはガーナのミュージシャン、Keykyekuのニューアルバム。日本人には非常に読みにくい名前ですが、これでチェチェクと読むらしいです。本作はミュージックマガジン誌のワールドミュージック部門、2016年ベストアルバムの第1位に選ばれた作品。それをきっかけに本作を聴いてみました。
彼が奏でる音楽は「パームワイン・ミュージック」という音楽。パームワインというのはヤシの実で作られたお酒のこと。アフリカ西海岸の安酒場で出されていたお酒で、このパームワイン・ミュージックというのはそんな安酒場で流れていた音楽ということでこの名前がついたそうです。
なんでもアフリカ最古のポピュラーミュージックらしいこのパームワイン・ミュージック。アコースティックギターをベースに奏でられる非常に爽やかさを感じるサウンドは、くすんだ酒場というよりも、むしろ真夏の夕方のビーチで流れていると似合いそうな、爽やかさと同時にどこかけだるさも感じられる音楽。イメージとしてはむしろボサノヴァあたりのイメージに近い音楽かもしれません。
このパームワイン・ミュージックの若手のホープと称されるのが彼、Kyekyekuだとか。アルバム全編にわたって流れてくるのは、アルベジオをベースとしたアコースティックギターの爽やかな音色。ところどころにホーンセッションも入り、非常に心地よい音色を奏でています。
都会的な雰囲気の強い垢ぬけたサウンドはアフリカ的な雰囲気は薄い感じもするのですが、「Onye Nyame Nipa」や「Fine Fine Woman」のようなパッショナブルなリズムを聴かせてくれる曲も少なくなく、このリズム感覚にもユニークなものを感じました。
最初聴いた時はちょっと地味な印象も受けたのですが、その爽やかで垢ぬけたサウンドに何度か聴くうちに徐々にはまっていく魅力があります。なにより心地よくメロディアスなその楽曲は、ワールドミュージックやアフリカ音楽にあまりなじみがなくてもおそらく楽しめる音楽だと思います。聴いていると心地よい海辺の風が通り抜けていくようなアルバムでした。
評価:★★★★★
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