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2017年2月27日 (月)

ある1日

Title:BAD HOP 1DAY
Musician:BAD HOP

Badhop1day

もう2月もそろそろ終わりなのですが・・・今回紹介するのも2016年で評価が高かったアルバムについて遅ればせながら聴いてみた作品。本作はMUSIC MAGAZINE誌の日本のラップ/HIP HOP部門で1位を獲得したBAD HOPというグループのアルバムです。

BAD HOPは川崎市出身のHIP HOPユニット。それも彼らの出身地は川崎市の中でもさらに治安が悪いと言われる川崎市南部の池上町というところ。ヤクザや暴力、貧困が支配するような地域だそうで、そんな中での日常を綴るのが彼らのラップの大きな特徴だそうです。

今回のアルバム、「BAD HOP 1DAY」というタイトルですが、そのタイトルのとおり、彼らの1日を綴ったコンセプチュアルな内容になっています。冒頭の「3pm」「White T-shirt」は寝起きを描いた楽曲からスタート。途中「Black Hair Yellow Gold Skin」では彼らの街の状況を描写したり、「Hot Ice」では仲間との食事をテーマとしつつ、最後の「Deep End」は夢の中、と終わりとなっています。ちなみに「3pm」からスタートし、最後の1曲前が「6am」ということですから、昼過ぎに起きて夜通し遊んで朝方に寝るというスタイルということなのでしょう。

そのリリックでは彼らの日常がリアリティーを持って描かれています。ただ、正直言えば聴かせるリリックではあるものの予想していたほどじゃなかったかな、と思いました。彼らについての紹介では、その出自とあわせてリアルなギャングスタ的な紹介はされるのですが、彼らのリリックについてはそこまでのヤバさみたいなものは感じません。この「日本の底辺のリアルを描く」「日本のギャングスタ」という売り文句、NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDからはじまり、MSC、Anarchy、SHINGO☆西成、SIM LABなどなど、良いことか悪いことかは微妙ですがシーンでもさほど珍しくなくなってしまいました。そんな中、彼らが描いた世界について、リアルな描写は耳を惹くものの思ったほどではなかったかな、と思ってしまいました。

ただ一方、トラック自体は非常にカッコよく、ラップのスタイルとあわせて耳を惹きます。彼らのトラックはダークなエレクトロビート。またラップにはボーカルにエフェクトがかけられ、どこかけだるさを感じます。このけだるいエフェクトのかけられたラップとダークながらもドリーミーな印象をいだくエレクトロトラックにより、リアリティーある日常を綴りながらも、どこかその現状を否定するようなイメージを彼らの楽曲から受けました。

そんな訳で当初の予想ほどではなかったものの、彼らのリアリティーが伝わってくる良作だと思います。ちなみに本作、ミックステープというスタイルで無料ダウンロードにてリリース。現在でもダウンロードで聴くことが可能ですので、興味ある方は是非。ちなみに下のブログパーツからダウンロード可能です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

BIMBOROLL/ザ・クロマニヨンズ

ザ・クロマニヨンズとして10枚目となるオリジナルアルバム。ある意味、いつも通り彼ららしい全くかわらないロックンロールアルバム。あえていえばいつもよりもよりパンキッシュになったような印象を受けます。もっとも変わらないといいつつその中に「マキシマム」のようなオイパンク調の曲や「焼芋」のようなレゲエの要素を入れた曲なども入ってきており、それなりにバリエーションを持たせているのもユニーク。いい意味でのベテランらしい安定感を覚える1枚です。

評価:★★★★★

ザ・クロマニヨンズ 過去の作品
CAVE PARTY
ファイヤーエイジ
MONDO ROCCIA
Oi! Um bobo
ACE ROCKER
YETI vs CROMAGNON
ザ・クロマニヨンズ ツアー2013 イエティ対クロマニヨン
13 PEBBLES~Single Collection~
20 FLAKES~Coupling Collection~
GUMBO INFERNO
JUNGLE9

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