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2017年2月

2017年2月28日 (火)

北関東のヤンキーの日常

Title:EverydayIsFlyday
Musician:Ryugo Ishida

前回に引き続き、今回のアルバムも2016年に評判が良かったアルバムのうち、聴き逃していたアルバム。今回もミュージックマガジン誌の2016年ベストアルバム、日本のラップ/ヒップホップ部門で2位を獲得したアルバムで、リアルタイムでは聴き逃していたためいまさらながら聴いてみました。

今回紹介するミュージシャン、Ryugo Ishidaは茨城県土浦市出身の男性ラッパー。親からの虐待や両親の離婚、身内や身近な仲間の死などといった強烈なバックグラウンドの中で育ち、自身もいわゆる「不良」として荒れていたとか。実際の彼女であるSophieeとのユニットでは「ゆるふわギャング」と自称するなど、彼もまた日本のギャングスタ的な位置づけにあるラッパーの一人だそうです。

先日紹介したBAD HOPもいわばアンダーグラウンド的な位置に生きる人の日常を描いた歌詞でしたが、彼もまた彼自身の日常をそのままリアルに綴っているリリックが大きな特徴となっています。

ただ彼が描いているのはいままであまりスポットがあてられなかった日本の底辺のリアルを描いた、というよりも地方の、それも東京近郊のヤンキーの日常。どちらかというと80年代あたりからよくスポットを当てられていたテーマでもあり、例えば氣志團がパロディーとして取り上げた舞台設定もまさにこれだったりします。

実際彼自身、まさにこの80年代的な不良にスポットをあてた尾崎豊にも影響を受けているようで、今回のアルバムでも尾崎豊の曲のいわばキラーワードである「盗んだバイク」という言葉をつかった「Fifteen」なんて曲が登場したりもします。

そういう意味では彼が取り上げているテーマは日本の音楽シーンでもよく取り上げていたテーマを2010年代の今、HIP HOPというスタイルでアップデートした作品と言えるのかもしれません。この手のテーマはちょっと前までは(それこそ氣志團がパロディーとして取り上げたのが特徴的なのですが)手垢のついたテーマとして忌避すらされていたのですが、一回りして再び新鮮さを感じるテーマとしてよみがえったと言えるのかもしれません。また、それだけ昔も今も普遍的なテーマと言えるのでしょう。

そんなテーマのリリックをエレクトロベースのダークでちょっとけだるさを感じるトラックをバックにラップしていきます。比較的シンプルな音のトラックで、ちょっと退廃的な雰囲気も漂うのは、今の北関東地域の郊外の状況を描写するかのよう・・・といったら偏見でしょうか。彼の綴るリリックのテーマにもピッタリくるようなトラックでした。

そのリリックのリアリティーも印象的ですし、トラックとの相性も抜群。リリックに重い部分はありつつもポップな印象にまとめあげており、いい意味で聴きやすさもあるアルバムでした。年間2位はそれほどなのかなぁ・・・という印象もなきにしもあらずですが、これからの活躍も楽しいになる1枚です。

評価:★★★★★

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2017年2月27日 (月)

ある1日

Title:BAD HOP 1DAY
Musician:BAD HOP

Badhop1day

もう2月もそろそろ終わりなのですが・・・今回紹介するのも2016年で評価が高かったアルバムについて遅ればせながら聴いてみた作品。本作はMUSIC MAGAZINE誌の日本のラップ/HIP HOP部門で1位を獲得したBAD HOPというグループのアルバムです。

BAD HOPは川崎市出身のHIP HOPユニット。それも彼らの出身地は川崎市の中でもさらに治安が悪いと言われる川崎市南部の池上町というところ。ヤクザや暴力、貧困が支配するような地域だそうで、そんな中での日常を綴るのが彼らのラップの大きな特徴だそうです。

今回のアルバム、「BAD HOP 1DAY」というタイトルですが、そのタイトルのとおり、彼らの1日を綴ったコンセプチュアルな内容になっています。冒頭の「3pm」「White T-shirt」は寝起きを描いた楽曲からスタート。途中「Black Hair Yellow Gold Skin」では彼らの街の状況を描写したり、「Hot Ice」では仲間との食事をテーマとしつつ、最後の「Deep End」は夢の中、と終わりとなっています。ちなみに「3pm」からスタートし、最後の1曲前が「6am」ということですから、昼過ぎに起きて夜通し遊んで朝方に寝るというスタイルということなのでしょう。

そのリリックでは彼らの日常がリアリティーを持って描かれています。ただ、正直言えば聴かせるリリックではあるものの予想していたほどじゃなかったかな、と思いました。彼らについての紹介では、その出自とあわせてリアルなギャングスタ的な紹介はされるのですが、彼らのリリックについてはそこまでのヤバさみたいなものは感じません。この「日本の底辺のリアルを描く」「日本のギャングスタ」という売り文句、NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDからはじまり、MSC、Anarchy、SHINGO☆西成、SIM LABなどなど、良いことか悪いことかは微妙ですがシーンでもさほど珍しくなくなってしまいました。そんな中、彼らが描いた世界について、リアルな描写は耳を惹くものの思ったほどではなかったかな、と思ってしまいました。

ただ一方、トラック自体は非常にカッコよく、ラップのスタイルとあわせて耳を惹きます。彼らのトラックはダークなエレクトロビート。またラップにはボーカルにエフェクトがかけられ、どこかけだるさを感じます。このけだるいエフェクトのかけられたラップとダークながらもドリーミーな印象をいだくエレクトロトラックにより、リアリティーある日常を綴りながらも、どこかその現状を否定するようなイメージを彼らの楽曲から受けました。

そんな訳で当初の予想ほどではなかったものの、彼らのリアリティーが伝わってくる良作だと思います。ちなみに本作、ミックステープというスタイルで無料ダウンロードにてリリース。現在でもダウンロードで聴くことが可能ですので、興味ある方は是非。ちなみに下のブログパーツからダウンロード可能です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

BIMBOROLL/ザ・クロマニヨンズ

ザ・クロマニヨンズとして10枚目となるオリジナルアルバム。ある意味、いつも通り彼ららしい全くかわらないロックンロールアルバム。あえていえばいつもよりもよりパンキッシュになったような印象を受けます。もっとも変わらないといいつつその中に「マキシマム」のようなオイパンク調の曲や「焼芋」のようなレゲエの要素を入れた曲なども入ってきており、それなりにバリエーションを持たせているのもユニーク。いい意味でのベテランらしい安定感を覚える1枚です。

評価:★★★★★

ザ・クロマニヨンズ 過去の作品
CAVE PARTY
ファイヤーエイジ
MONDO ROCCIA
Oi! Um bobo
ACE ROCKER
YETI vs CROMAGNON
ザ・クロマニヨンズ ツアー2013 イエティ対クロマニヨン
13 PEBBLES~Single Collection~
20 FLAKES~Coupling Collection~
GUMBO INFERNO
JUNGLE9

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2017年2月26日 (日)

戦前のエンタテイメント

今回紹介するのは 歌謡曲や舞台・映画音楽などの様々な音源を収録し、戦前の日本エンタテインメント史の様々な側面を紹介する「ザッツ・ニッポン・エンタテインメント・シリーズ」という企画から発売された2組のCD。企画自体なかなか魅力的なのですが、監修として、ここのサイトでも何度か紹介している戦前のSP盤を紹介するレーベル「ぐらもくらぶ」の主宰、保利透氏がつとめており、とてもおもしろそうな企画でしたので、さっそく聴いてみることにしました。

Title:ハリキリ・ボーイ ロッパ歌の都へ行く!
Musician:古川ロッパ

まず1組目は戦前から戦後直後にかけて一世を風靡したコメディアン、古川ロッパのアルバム。同じく戦前から戦後にかけて絶大な人気を得たコメディアン、榎本健一と「エノケンロッパ」として並び称されており、おそらくその名前をご存じの方は少なくないのではないかと思います。

今回のアルバムでは2枚組としてリリースされ、1枚目は「ロッパ・ア・ラ・モード」としてバラエティーソング中心の収録、2枚目は「ロッパ一座特別興行」としてロッパ一座の舞台や時局ソングを収録した内容になっています。

「ロッパ・ア・ラ・モード」は軽快なジャズ風の楽曲が目立ちます。明るくコミカルに戦前の庶民の生活を描写した楽曲がメイン。1940年に開催が決定されながら戦争のため中止となった幻の東京オリンピックの開催を祝って歌った「東京オリムピック」など、オリンピックに期待する当時の雰囲気が伝わってきます。

一方「ロッパ一座特別興行」はタイトル通りの寸劇が多いのと同時に、時局柄、戦争にからんだ曲が多く見受けられます。ただ、戦争にからんだ曲に関しても勇ましさというよりもどこかコミカルでチラッと庶民の本音的な部分も垣間見れる曲が多いのも印象的。ここらへんもDisc1と同様、庶民の声をそのまま拾い上げているという作品が多く収録されていました。

評価:★★★★

Title:ニッポン・エロ・グロ・ナンセンス

こちらは戦前に流行した「エロ・グロ・ナンセンス」というムーブメントに沿った楽曲を集めたコンピレーション。以前、当サイトでも戦前のエロソングを集めた「ねえ興奮しちゃいやよ 昭和エロ歌謡全集 1928~32」思ひ直して頂戴な 昭和エロ歌謡外伝 あゝ哀歌」という2組のアルバムを紹介しましたが、本作もこれらのアルバムを監修した毛利眞人氏監修によるオムニバスアルバムとなっています。

「エロ」をテーマとして全面的に押し出した先の2作と比べると、本作は「エロ・グロ・ナンセンス」という戦前のサブカルチャー全体に焦点を当てているため、露骨なエロソングというのは少な目。特にDisc1については当時、モダンガール略して「モガ」と言われた、戦前のサブカルチャー的な風俗により焦点をあてた楽曲が並んでいます。

今回、このアルバムリリースと同時に、毛利眞人氏による評論「ニッポン エロ・グロ・ナンセンス 昭和モダン歌謡の光と影」が発売されており、今回、このCDを聴くのと同時に、同書も拝読させていただきました。

評論本に紹介されている曲がCDにも取り上げられているなど、同時並行で読むと、評論本もCDもより理解が深まるような仕組みになっています。評論本の方は比較的淡々と事実を丁寧に記述しつつ、当時の風俗を浮き彫りにしています。今の感覚でもかなりフランクリーな文化が展開されていたり、かなり際どい歌詞が登場してきたりとユニーク。また当時の音楽業界の状況や、はたまた海外のヒット曲とのつながりなども記述されており、作者の戦前文化に対する深い造詣を感じられます。

特に後半、徐々に戦時色が強くなる中、「エロ・グロ・ナンセンス」が当局に徐々に規制されていく状況でのレコード会社と当局との攻防戦がなかなか興味深さを感じます。特に当局の規制をあの手この手でのがれようとするレコード会社のたくましさも印象に残りました。

このCDと評論本で「エロ・グロ・ナンセンス」を主軸とした戦前のサブカルチャー文化がとてもよく理解でき、またある意味今の時代とかわらないような庶民文化のユーモラス、たくましさを感じることが出来ました。ともすれば遠い昔、異文化のようにも感じられる戦前の日本なのですが、やはりそこは同じ人間。興味を持つもの、楽しいと思うことなどは今の時代と大差はないんだなぁ・・・あらためてそう感じました。

評価:★★★★★

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2017年2月25日 (土)

70年代ソウルをそのまま解凍

Title:Special Night
Musician:LEE FIELDS&THE EXPRESSIONS

30年以上のキャリアを持ち、今のファンクバンドからもリスペクトを集め、そのスタイルから「リトル・ジェイムス・ブラウン」という異名を持つアメリカのファンクミュージシャン、LEE FIELDS。今回紹介するのはそんな彼のニューアルバムです。

ジャケット写真からしていかにも昔ながらもレコードジャケットを彷彿とさせるのですが、楽曲自体もまさに70年代をそのままパッケージしたような古き良きファンクがつまったようなアルバム。まず1曲目、いきなりタイトルナンバーの「Special Night」からスタートするのですが、ムードたっぷりのホーンの音色に彼の力強い歌声が重なるバラードナンバー。そのスタイルからまるっきり古き良き時代のソウルそのものです。

基本的にその後もそのボーカルで歌い上げるスタイルのバラードナンバーがメイン。「Lover Man」みたいにちょっとセクシーさを感じさせるボーカル曲もあったり、「Let Him In」のようなギターサウンドを絡ませつつ、ソウルフルに歌い上げるナンバーもあったり、昔ならのソウルナンバーの中で微妙にそのボーカルスタイルを変えてくるのも魅力的ですし、彼の実力を感じさせます。

そんなミディアムチューンの中に挟まれているアップテンポでファンキーな楽曲も魅力的で大きなインパクトに。「Make The World」はぶっといホーンやバンドサウンドで非常に黒さを感じるファンクナンバー。「How I Like It」もへヴィーなギターリフが印象的なリズミカルなファンクチューンに。アップテンポなナンバーについても、これでもかというほど黒く、分厚いサウンドがとても魅力的に仕上がっています。

言ってみれば冷凍パッケージされた70年代ソウルをそのまま解凍されたようなアルバム。それだけに黒さを感じさせるそのサウンドは素直に気持ちよかったのですが、その反面、あまりにも70年代そのまま過ぎないか?というのを感じたのも事実。もちろん、70年代ソウルをそのまま再現しているという点で、その時代のソウルが大好きなら間違いなくはまる1枚だと思います。ぶっといサウンドがとにかく気持ちよいアルバムでした。

評価:★★★★

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2017年2月24日 (金)

21分の短さにNINの魅力が凝縮

Title:Not The Actual Events
Musician:NINE INCH NAILS

突如リリースされたNINE INCH NAILSの新作は5曲入り21分のEP。今回もまたなかなかユニークなのがそのリリース形態で、ダウンロードもしくはLP盤のみでのリリース。ちょうど先日、OKAMOTO'Sが同じような形態でEPをリリースしました。NINE INCH NAILSがそんなOKAMOTO'Sを知っていて・・・という訳ではないと思いますが、基本、ダウンロードでのリリース、フィジカル版はCDではなくレコードというスタイル、今後増えていくかもしれません。

さてそんな彼らの新作ですが、前作「Hesitation Marks」から約3年4ヶ月ぶりのリリースとなります。前作「Hesitation Marks」はインダストリアルでへヴィネスという彼らのイメージからするとかなり軽いエレクトロサウンドという印象の作品でした。今回の作品も比較的軽く、聴きやすいという印象を受けたのですが、前作よりはへヴィネスさがグッと上がった作品になっています。

1曲目「Branches/Bones」はノイジーで強いビートのリズムからスタートするアップテンポなナンバー。途中、ワンテンポおいてボリュームがあがり、いきなりシャウトが始まる激しい展開がカッコいいナンバー。2分弱の短いナンバーなのですが、非常に耳を惹きつけられます。

続く「Dear World,」は軽いエレクトロサウンドがミニマルテイストで続く作品。1曲目2曲目は勢いのある作品が並び、ポップで聴きやすいという印象を受けます。それがグッと変わるのが3曲目。「She's Gone Away」は非常にダークでへヴィーなサウンドがゆっくりと襲いかかるようなナンバー。6曲に及ぶアルバム最長のナンバーで、このアルバムがへヴィネスであるという印象を形作るひとつの核となっています。

「The Idea of You」は出だしのギターがとにかくカッコいいナンバー。重々しい雰囲気で楽曲は展開していくのですが、サビでは一気にシャウトでカタルシスを爆発させるような楽曲。ワンコードで引くまくるノイジーなギターサウンドもインパクト大の楽曲になっています。そして最後「Burning Bright(Field on Fire)」は音の洪水が耳に襲う、へヴィーでサイケなナンバー。歪みまくりのサウンドで不気味な印象を残したまま、アルバムは終了します。

そんな訳で5曲5様のサウンドで構成されるアルバムなのですが、比較的エレクトロ色が強く軽い作風の楽曲から歪みまくりのサウンドでへヴィネスさが炸裂した楽曲まで短い時間でNINE INCH NAILSの様々な魅力が凝縮されたようなアルバムになっていたと思います。今回のアルバムでNINとしての新しい展開、みたいなものはあまり感じませんでしたが、きちんとNINを堪能できる良作に仕上がっていました。次のフルアルバムも楽しみです。

評価:★★★★★

NINE INCH NAILS 過去の作品
GhostI-IV
THE SLIP
Hesitation Marks

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2017年2月23日 (木)

2週連続韓流が1位

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

先週に続き今週も韓流の男性アイドルが1位獲得です。

今週1位を獲得したのは韓国の男性アイドルグループBIGBANG「MADE」。もともと昨年、フルアルバムをリリースする予定だったのがスケジュール上の都合によりアルバム発売が間に合わず、「MADE SERIES」という暫定版のアルバムをリリース。その後1年たち、同作に新曲3曲を加えたアルバムが改めてリリースされたのが本作だそうです。

しかしそれにしてもアコギな商売をするなぁ(苦笑)。たった新曲3曲のためにファンに買い直させる訳ですか。そもそも前作から1年も経っていて新曲がたった3曲というのも・・・。まあ、この手の旧譜に新曲数曲を加えただけで「完全版」としてリリースするケース、最近少なくないので彼らだけが特別という訳ではないんですけどね。

初動売上は10万1千枚。その暫定版「MADE SERIES」の12万8千枚(1位)からダウンしています。

2位初登場は4人組ガールズバンドSCANDAL「SCANDAL」。バンド結成10周年を記念してリリースされたベストアルバム。もっとも5年前にもベストアルバムをリリースしているので、早くも2作目のベスト盤となるのですが。初動売上3万1千枚は直近のオリジナルアルバム「YELLOW」の2万9千枚(2位)より若干アップ。ただし、5年前にリリースしたベスト盤「SCANDAL SHOW」の4万2千枚(3位)よりはダウンしています。

3位には家入レオ「5th Anniversary Best」。タイトルそのままですね、こちらはデビュー5周年のベストアルバム。最近では珍しくはないのですが、デビューからたった5年でベスト盤というのはやはりちと早い気がするのですが。初動売上は2万6千枚。直近のオリジナルアルバム「WE」の1万8千枚(6位)よりアップしています。

続いて4位以下の初登場盤です。4位には倉木麻衣「Smile」がランクイン。かなり久しぶりに聞く名前ですが・・・オリジナルアルバムとしては4年11ヵ月ぶりとなる新作。初動売上は2万1千枚。直近作はベストアルバム「MAI KURAKI BEST 151A -LOVE & HOPE-」で、こちらの4万枚(2位)よりはダウン。直近のオリジナルアルバム「OVER THE RAINBOW」の初動2万9千枚(2位)からもダウンしています。

5位初登場はA3ders!「MANKAI☆開花宣言」。イケメン役者育成ゲーム「A3!」からのキャラクターソング。同ゲームからははじめてのCD作品だそうです。初動売上は1万4千枚。ちなみに本作、タイトル曲含めてわずか3トラック。うち1作が表題曲のインスト版なのですが、なぜかシングルではなくオリコンではアルバム扱いとなっています。2トラック目がボイスドラマになっていて、作品全体で17分という長さだからでしょうか?ただわずか17分という長さだけをもってアルバム扱いというのは不自然な感じが・・・。ちなみにシングルだとしたらオリコンチャート上、今週は初登場9位相当となります。

8位にはスキマスイッチ「re:Action」がランクインです。こちら彼らの代表曲を様々なミュージシャンによってリアレンジ、リプロデュースされたアルバム。奥田民生からTRICERATOPS、GRAPEVINEに小田和正やRHYMESTER、さらにはKAN(!)といった豪華な面子が参加しています。初動売上は1万枚。直近作はライブ盤「スキマスイッチ TOUR 2016 “POPMAN’S CARNIVAL”」の3千枚(27位)よりはさすがに大幅アップ。その前作、カップリング曲集「POPMAN'S ANOTHER WORLD」の1万枚(7位)からは横バイとなっています。

最後、9位には東京フィルハーモニー交響楽団「ゼルダの伝説 30周年記念コンサート」。ご存じゲーム「ゼルダの伝説」30周年を記念して行われたフルオーケストラでのコンサートの模様を収録したライブアルバムです。初動売上は1万枚。「ゼルダの伝説」がらみでは昨年「30周年記念盤 ゼルダの伝説 ゲーム音楽集」がリリースされていますが、同作の9千枚(10位)よりなんと初動売上がアップ。その根強い人気を感じます。

また今週はベスト10返り咲きが1枚。7位に韓国の男性アイドルグループBTS(防弾少年団)の「Wings:BTS Vol.2」がランクアップでベスト10返り咲きとなります。本作、韓国でリリースされたアルバムの輸入盤ですが、「WINGS外伝:You Never Walk Alone」として昨年の10月に韓国でリリースされた「WINGS」に新曲を追加して再リリースされた影響のよう。これ、今週1位のBIGBANGと同じパターンということ?こちらもちょっとひどいなぁ。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2017年2月22日 (水)

女性アイドル対決?

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週、ついに1位から陥落となった星野源「恋」ですが、今週は4位にランクダウン。PCによるCD読取数2位、You Tube再生回数1位とまだ好調さは保っているのですが、さすがにここからの巻き返しは難しそう。ただまだベスト10圏内のロングヒットは続きそうです。

そんな中、今週は1位2位に女性アイドルグループが並ぶ順位に。まず1位はAKB48系。福岡を中心に活動するHKT48「バグっていいじゃん」が初登場でランクイン。TBSテレビ系アニメ「カミワザ・ワンダ」主題歌。PCによるCD読取数12位、Twitterつぶやき数7位、ラジオオンエア数は圏外ながらも、CD販売・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)の1位の影響が大きかったのでしょうか、1位獲得となりました。ちなみにオリコンでは初動21万枚で1位初登場。ただし前作「最高かよ」の26万9千枚(1位)よりダウンしています。

そしてそれに続いて2位にランクインしたのがPerfume「TOKYO GIRL」。先週の6位からCDリリースにあわせてランクアップし、ベスト3入りとなりました。実売数、ラジオオンエア数いずれも2位、PCによるCD読取数1位、Twitterつぶやき数3位とこれだけならこちらが1位でもよさそうですが、それだけ実売数の差が大きかったということでしょうか。ちなみにオリコンでも初動売上4万9千枚で2位初登場。前作「STAR TRAIN」の6万5千枚(4位)からダウンしています。

3位にはシンガーソングライター米津玄師「orion」が先週の32位からCD発売にあわせてランクアップ。NHKアニメ「3月のライオン」エンディングテーマ。彼らしいちょっとファンタジックな雰囲気のある爽快なポップチューン。実売数、ラジオオンエア数3位、Twitterつぶやき数2位、PCによるCD読取数及びYou Tube再生回数7位と万遍なく上位にランクインしています。オリコンでも3位初登場。初動売上3万9千枚は前作「LOSER」の4万7千枚(3位)よりダウンしています。

続いて4位以下の初登場曲です。5位にアニソンを中心に歌う女性シンガーLiSA「Catch the Moment」がランクインです。アニメ映画「ソードアート・オンライン-オーディナル・スケール-」挿入歌。勢いのあるガールズロックで、良くも悪くも90年代あたりのJ-POPからそのまま抜け出してきたような楽曲。実売数、PCによる読取数4位、Twitterつぶやき数1位という結果の一方、ラジオオンエア数37位という結果が足を引っ張った形に。オリコンでは初動2万7千枚で4位初登場。前作「Brave Freak Out」の1万8千枚(9位)よりアップしています。

初登場はもう1曲。Austin Mahone「Dirty Work」が先週の98位から一気にランクアップし8位にランクイン。もともとYou Tubeへの動画投稿で話題となりデビューしたアメリカのシンガー。軽快なエレクトロポップチューンなのですが、芸人のブルゾンちえみがネタでつかったことから日本でも一気に人気が高まったようです。ダウンロードでの販売オンリーながらも実売数10位、You Tube再生回数2位という結果、見事ベスト10入りとなりました。

今週のHot100は以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2017年2月21日 (火)

こちらも若々しく

昨日ははじめて足を運んだJeff Beckのライブレポをアップしましたが、ライブへ足を運ぶにあたって遅ればせながら彼の最新アルバムを聴いてみました。

Title:Loud Hailer
Musician:Jeff Beck

Jeff Beckといえばエリック・クラプトン、ジミー・ペイジと並び、ヤードバーズの三大ギタリストと呼ばれ日本でも高い評価と絶大な人気を得ています。ただ、ロック史において輝かしい活躍を続けてきたお三方も既に70代。ジミー・ペイジはここ最近、レッド・ツェッペリンのアルバムリマスターの際によくその名前が登場してきますが自身のソロ作はここ最近リリースさいていませんし、クラプトンは積極的なアルバムリリースを続けていますが、落ち着いたブルージーな作品が続いています。

そんな中、目立つのは相変わらずアグレッシブなJeff Beckの活動。先日のライブでもバリバリ現役感、往年の活躍を彷彿とさせるようなロックなギタープレイを披露し、70歳過ぎという年齢を全く感じさせなかったのは先日のライブレポの通り。そして久々となる本作でも非常にアグレッシブなギタープレイを聴かせてくれています。

今回のアルバムはシンガーとしてロージー・ボーンズという女性ボーカリストを起用。またカーメン・ヴァンデンバーグという女性ギタリストも起用しており、2人の女性の起用が話題となりました。このうちロージーのボーカルはロックボーカリストらしいちょっとドスのきいたようなボーカルがダイナミックなバンドサウンドにもピッタリマッチ。女性ボーカリストらしい耳触りのよさもあいまって、アルバムにいい意味での聴きやすさを与えています。

特に「Live In The Dark」はダイナミックなギターサウンドにロージーのパワフルなボーカルがピッタリとマッチしたゾクゾクっとするほどカッコイイ、ハードロックなナンバー。「Right Now」もミディアムテンポのへヴィーなギターリフを主導として、これぞロック!といった感じの楽曲になっています。

一方では「Scared For The Children」では哀愁感たっぷりの泣きのギターが印象的な楽曲。優しさを感じさせるロージーのボーカルはここでもマッチしています。そして最後はミディアムテンポでスケール感のある「Shrine」でこれまた伸びやかなギタープレイをしっかりと聴かせて終了しました。

正直言ってしまうと、いい意味でも悪い意味でも昔ながらもギターロックといった感じ。目新しいものはほとんどありません。リスナーがJeff Beckに期待するものをしっかりと体現化したアルバムだったと思います。聴いていてJeff Beckを聴いたなぁ!という高い満足感を得られるアルバムでした。

評価:★★★★

Live+/Jeff Beck

で、こちらはライブの事前予習の意味を込めて聴いてみた最新のライブアルバム。2014年のUSライブツアーの模様を収録したアルバムだそうです。先日のライブツアーにも参加していたジミー・ホールもボーカルとして参加しています。

そのため基本的には先日のライブツアーと同様、彼のギタープレイがさく裂するロッキンなアルバム。ある意味、その後にリリースされたオリジナルアルバム「Loud Hailer」につながるようなハードなロック色の高いライブになっており、その迫力は音源を通じても伝わってきます。先日のライブでも感じたJeff Beckのステージの魅力がしっかり伝わるライブ盤でした。

評価:★★★★

Jeff Beck 過去の作品
EMOTION&COMMOTION

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2017年2月20日 (月)

若さあふれるギタープレイ

JEFF BECK

会場 名古屋市公会堂 日時 2017年2月6日(月)19:00~

Jeffbeck1_2

2017年はじめてのライブはJEFF BECKの来日公演。個人的にJEFF BECKの熱烈な大ファン・・・という訳ではないのですが、あのレジェンドをナマで見れる機会、ということで足を運びました。こんなこと言ってしまうとファンの方には怒られそうですが、やはりお元気なうちにレジェンドのステージは見れるのなら見ておかないと・・・という気持ちから今回、彼のライブに足を運ぶことにしました。

会場は名古屋市公会堂。やはり往年からのファンの方が多いみたいで観客は圧倒的に私よりも年上の方ばかり。ただ、どの方も彼の来日を待ちわびた熱心なファンばかりのようでした。

私の席はA席で確保したこともあり3階席の一番後ろ。この日はスマホでの写真撮影は許可されていたので、写真も掲載しております。ただ、なにぶん会場の一番後ろからの撮影なので完全なピンボケ写真になっている点、ご了承ください(^^;;ステージの雰囲気だけでも伝わればいいのですが。

さて今回のライブ会場、ステージはほとんどベアのステージに、ドラムセットとアンプが並んでいるだけという非常にシンプルなステージ。ステージを彩るような装飾は全くありません。客入れの音楽がブルースの名曲ばかりというのがJEFF BECKらしい感じ。そして予定時刻から10分程度するとおもむろにメンバーが登場し、ライブがスタートしました。

まずかなり意外だったのがJEFF BECKご本人の雰囲気。何の変哲もない普通のシャツにスラックスというスタイルで・・・正直、そこらへんにいる休日のおやじ的なスタイル(苦笑)。あまりの普段着っぷりにビックリしました。

ただライブがスタートするとこれでもかというほどカッコよくギターをひきまくります。さらりハードなプレイを披露しつつ、ベアなステージ上で自由に歩きながらのプレイ。決して派手なプレイが飛び出すわけではないのですが、ところどころで激しいギタープレイをしっかりと見せてくれます。非常に軽い感覚で自由に楽しみながらギターを弾いているようなプレイが印象に残りました。

Jeffbeck2

最初はインストのステージだったのですが、4曲目「Live In The Dark」より昨年発売されたアルバム「Loud Hailer」に参加した女性ボーカル、ロージー・ボーンズが登場。その力強い歌声を聴かせてくれました。

Jeffbeck3

ロージー・ボーンズが2曲程度披露した後、一度ステージから去ります。続いて「Morning Dew」より、もう一人、今回の来日公演にボーカルで参加しているジミー・ホールが登場。こちらもパワフルなボーカルを聴かせてくれ、JEFF BECKのギタープレイに負けていません。

その後もロージー・ボーンズとジミー・ホールが交互に登場。楽曲は最新アルバム「Loud Hailer」からの曲を披露しつつ、JEFF BECKの代表曲も披露し会場を盛り上げます。基本的にMCはほとんどなし(途中、ジミー・ホールが「ナゴヤ~!」といっていたような記憶が)。後半、一言挨拶程度のJEFF BECKによるMCがあったのですが、その時、会場から「I Love You~!」の掛け声が次々と飛び、JEFF BECKが照れていたのが印象に残りました。

終盤は「Superstition」で会場の盛り上がりは最高潮に。ラストは「Right Now」で締めくくりとなります。もちろん盛大なアンコールが起きたのですが、ここは予想以上あっという間に再度JEFF BECKが登場。アンコールではThe Beatlesのカバー「A Day In The Life」を披露。こちら、事前に予習で聴いていたライブアルバムにも収録されており、最近のライブの定番のようですが、このライブアルバムで聴いたバージョンより数段ダイナミックなアレンジとなっており、正直ちょっと驚きました。

さらにダブルアンコール。ラストはロージー・ボーンズとジミー・ホールが2人とも登場し「Going Down」で締めくくり。ライブは約2時間。最高潮の盛り上がるでライブは幕を下ろしました。

はじめて見たJEFF BECKのステージ。御年72歳となる彼ですが、そのギタープレイも、またたたずまいもそんな年齢を全く感じさせない若々しさあふれるライブでした。なによりもいい意味で枯れない、往年のスタイルそのままのハードなロックチューンの数々に、(これは彼の直近のアルバムを聴いても感じたのですが)ロックを聴いたな、という満足感があふれるステージでした。2017年最初のステージはこれでもかというほどのギターロックを堪能した2時間でした。

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2017年2月19日 (日)

パームワイン・ミュージック界若手のホープ

Title:Higher Life on Palmwine
Musician:Kyekyeku

ここ最近、ワールドミュージックのアルバムの紹介が続いていますが今回のワールドミュージックのアルバムのご紹介。アフリカはガーナのミュージシャン、Keykyekuのニューアルバム。日本人には非常に読みにくい名前ですが、これでチェチェクと読むらしいです。本作はミュージックマガジン誌のワールドミュージック部門、2016年ベストアルバムの第1位に選ばれた作品。それをきっかけに本作を聴いてみました。

彼が奏でる音楽は「パームワイン・ミュージック」という音楽。パームワインというのはヤシの実で作られたお酒のこと。アフリカ西海岸の安酒場で出されていたお酒で、このパームワイン・ミュージックというのはそんな安酒場で流れていた音楽ということでこの名前がついたそうです。

なんでもアフリカ最古のポピュラーミュージックらしいこのパームワイン・ミュージック。アコースティックギターをベースに奏でられる非常に爽やかさを感じるサウンドは、くすんだ酒場というよりも、むしろ真夏の夕方のビーチで流れていると似合いそうな、爽やかさと同時にどこかけだるさも感じられる音楽。イメージとしてはむしろボサノヴァあたりのイメージに近い音楽かもしれません。

このパームワイン・ミュージックの若手のホープと称されるのが彼、Kyekyekuだとか。アルバム全編にわたって流れてくるのは、アルベジオをベースとしたアコースティックギターの爽やかな音色。ところどころにホーンセッションも入り、非常に心地よい音色を奏でています。

都会的な雰囲気の強い垢ぬけたサウンドはアフリカ的な雰囲気は薄い感じもするのですが、「Onye Nyame Nipa」「Fine Fine Woman」のようなパッショナブルなリズムを聴かせてくれる曲も少なくなく、このリズム感覚にもユニークなものを感じました。

最初聴いた時はちょっと地味な印象も受けたのですが、その爽やかで垢ぬけたサウンドに何度か聴くうちに徐々にはまっていく魅力があります。なにより心地よくメロディアスなその楽曲は、ワールドミュージックやアフリカ音楽にあまりなじみがなくてもおそらく楽しめる音楽だと思います。聴いていると心地よい海辺の風が通り抜けていくようなアルバムでした。

評価:★★★★★

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2017年2月18日 (土)

突然のラストアルバム

Title:Forever De Generation En Gener(邦題 パパ・ウェンバよ、永遠に)
Musician:Papa Wemba

ここでも何度かおなじことを言及していますが・・・2016年は洋楽邦楽問わず数多くの有名ミュージシャンの逝去というニュースが飛びこみ、音楽ファンにとっては辛い1年になりました。そんな中でワールドミュージックのリスナーにとって大きなニュースとなったのはPapa Wembaの突然の訃報。ルンバ・ロックの第一人者としても知られ、アフリカミュージックで絶大な支持を得ていたコンゴのミュージシャンの突然の逝去のニュースは大きなショックをもって迎え入れられました。さらに彼の最期はコートジボワールでのライブの最中、ステージで突然倒れるという衝撃的だったというのも大きな話題となりました。

本作はそんな彼が死の直前まで作成を続けていたオリジナルアルバム。本人が意図しない形で奇しくもラストアルバムとなってしまった本作ですが、内容的には現役感バリバリの勢いすら感じさせる内容になっており、あまりにも突然の死をあらためて残念に感じます。

・・・とまあいろいろ書いておきながらこんなこと言うのは何なのですが、私、Papa Wembaの名前は知っていたのですがアルバムを聴くのはこれがはじめてだったりします(^^;;彼が奏でる音楽のジャンルは「ルンバ・ロック」「リンガラ」などと称されているようですが、非常にラテンの要素も強い、哀愁感漂う楽曲。そのメロディーは歌謡曲にも通じるものも感じられ、日本人の琴線にも触れる楽曲も少なくないのではないでしょうか。

なによりも楽曲的に非常に洗練されているのが特徴的。特に「Ingratitude」は女性ボーカルのセクシーでメロウなコーラスラインからスタートしており、R&B的な雰囲気すら感じられる楽曲。この曲、はじめに聴いた時は正直、間違って違うミュージシャンの曲を選曲してしまったか?と思ったくらいです。

事実上、ラストナンバーとなっている「Union」もおごそかなストリングスの音色からスタートするスケール感あるナンバー。コーラスラインも重厚感あるオペラ風に仕上げており、アフリカの音楽というイメージからするとかなり意外性ある作風となっています。

ただ一方、これらの曲のバックにしっかり鳴り響いているのがパーカッションのリズム。いかにもアフリカなポリリズムといった感じではないのですが、独特のリズム感が楽曲に独自性を与えており、洗練されたメロディーラインとのバランスの良さがPapa Wembaの大きな魅力のように感じました。

これが意図しないラストアルバムとなった訳ですが、最後まで完成されない状態でのリリースということを感じさせない魅力的なアルバムになっていたと思います。あらためて突然の逝去を残念に感じる作品でした。

評価:★★★★★

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2017年2月17日 (金)

ジンバブエが産んだスーパースター

Title:Eheka Nhai Yahwe
Musician:Oliver 'Tuku' Mtukudzi

ジンバブエ出身のアメリカ音楽界のスーパースター、Oliver 'Tuku' Mtukudzi。2013年のワールドミュージックフェスティバル、スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドに初来日。私もそのステージを目撃しました。本作はそんな彼の65枚目(!)となるニューアルバム。ただ、スタジオ録音としては、その2013年にリリースされ、来日公演の影響か国内盤もリリースされた「SARAWOGA」以来のアルバムとなるそうです。

そんなスタジオ録音のアルバムとしては約3年ぶりとなる本作ですが、基本的な方向性としては前作から大きな違いはありません。ギターを中心とした爽やかでコンテンポラリー色も強いサウンドが印象に残ります。特に聴かせるのは「Haasi Masanga」。女性とのデゥオとなる本作。アコギやピアノの美しい調べも印象に残るのですが、この作品でデゥオをとるDaisy Mtukudziはその苗字からもわかるように彼の奥様だそうです。夫婦ならではの息の合ったデゥオが魅力的な曲となっています。

ただ、そんな聴かせる曲もある一方、アルバム全体としてはリズミカルでトランシーな作品が目立ちます。1曲目「Chori Novamwe」からミニマルなリズムが延々と続くトランシーな作品となっていますし、「Dzikama Wakura」も爽快にはじまるバンドサウンドが後半に行くほどグルーヴ感を増す作品になっています。ほかにも「Tamba Tamba Chidembo」も軽快なリズムが中毒性の高いナンバーに仕上がっていました。

前作ももちろん、アフリカ音楽らしいパーカッションのリズムとコール&レスポンス、そしてオリヴァーの伸びやかなボーカルが魅力的な作品になっていましたが一方ではアルバム全体としては垢抜けたという印象も強いアルバムになっていました。今回もまた垢抜けたサウンドをきちんと聴かせてくれる一方、よりアフリカらしい部分を前面に押し出したような作品になっているように感じました。

もっとも上に書いたようにアルバムとしての大きな方向性は前作から本作に大きく変化したわけではありません。いい意味でオリヴァーらしさというのはきちんと確立されており、その中でのシフトチェンジにすぎません。ベテランミュージシャンらしくしっかりと軸足を地面につけた活動と言えるでしょうし、またベテランらしい安定感と余裕も感じられました。

しかし本作は前作以上にライブ映えしそうな楽曲が並んでいます。日本での知名度は決して高いわけではないので難しいかもしれないけど、また来日してライブを見せてくれないかなぁ。このアルバムの曲をライブで聴いたらとても気持ち良いと思うのですが。

評価:★★★★★

Oliver 'Tuku' Mtukudzi 過去の作品
SARAWOGA(OLIVER 'TUKU' MTUKUDZI&THE BLACK SPIRITS)

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2017年2月16日 (木)

今週は韓流が1位

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週1位は韓流アイドルです。

SUPER JUNIOR-KYUHYUN「One Voice」が1位獲得。ミュージシャン名義通り、韓国の男性アイドルグループSUPER JUNIORのメンバーによる日本では初となるソロアルバムです。初動売上は2万1千枚。昨年5月にリリースしたソロデビューシングル「Celebration~君に架ける橋~」は初動2万6千枚(5位)でしたので、そちらよりダウンしています。

2位は先週1位GReeeeNのベストアルバム「ALL SINGLeeeeS~&New Beginning~」がワンランクダウンでこの位置。3位には人気男性声優谷山紀章率いるユニットGRANRODEO「Pierrot Dancin'」が初登場。初動売上は1万3千枚。直近作はベスト盤「DECADE OF GR」で、こちらの1万4千枚(5位)から若干のダウン。ただしオリジナルアルバムとしての前作「カルマとラビリンス」の2万1千枚(2位)からは大幅ダウンという厳しい結果となっています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位にM.S.S.Project「M.S.S.Phantasia」がランクイン。人気動画サイトニコニコ動画で活動するゲーム実況、音楽制作ユニットだそうです。初動売上1万2千枚は前作「M.S.S.Party」の1万3千枚(7位)から微減。

7位にはTak Matsumoto&Daniel Ho「Electric Island, Acoustic Sea」が入ってきました。ご存じB'zのギタリスト松本孝弘とハワイで活躍するギタリスト、ダニエル・ホウが組んでリリースしたアルバム。この間、相方の稲葉浩志がスティーヴィー・サラスと組んでアルバムをリリースしていましたので今回のソロ活動のコンセプトは外国人とのコラボということなのでしょうか。ちなみに松本孝弘と海外のミュージシャンとのコラボといえばグラミー賞も受賞したかの
Larry Carlton&Tak Matsumoto「TAKE YOUR PICK」以来。ちなみにダニエル・ホウもハワイアン・ミュージック・アルバム部門でグラミー賞を取っており、このアルバムもグラミーを狙えるか?なお初動売上1万枚は前作「enigma」の2万枚(4位)からダウンしています。

9位には・・・来ました!当サイトでも大プッシュ中の水曜日のカンパネラ「SUPERMAN」がランクイン。シングルアルバム通じて初となるベスト10ヒットとなりました。ただ初動売上8千枚は前作「UMA」の1万枚(12位)よりダウンしており、人気急上昇中!!・・・といった感じではないのが辛いところ。

ここ最近、水曜日のカンパネラのボーカル、コムアイがなぜかバラエティー番組「ワイドナショー」に出演したり、妙に露出過多なのが気にかかります。おそらく事務所側としても彼女のルックスに乗じて売っていきたいという意欲があると思うのですが・・・正直、水曜日のカンパネラは音楽的に決してお茶の間レベルで大ブレイクというタイプの曲ではないと思うだけに、最近のコムアイの売り出し方にはかなり疑問が・・・アピールすべき層が違うような気がするんですが・・・。

そして10位にはTHE BAWDIES「NEW」が入ってきました。一時期に比べて少々人気が落ち着いてきた彼ら。ベスト10入りは2013年の「1-2-3」以来。ただし初動売上6千枚は前作「Boys!」の1万枚(13位)よりダウンという結果となっています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2017年2月15日 (水)

1位陥落

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週、1位に返り咲いた星野源「恋」ですが、残念ながら1週で1位陥落。You Tube再生回数1位、PCによるCD読取数及びTwitterつぶやき数2位と相変わらず高順位ながら、CD販売・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)で8位、ラジオオンエア数47位という順位が足を引っ張り、2位にランクダウンしてしまいました。

一方1位を獲得したのはジャニーズ系。NEWSのニューシングル「EMMA」が先週の35位からCD販売にともないランクアップし1位獲得となりました。フジテレビ系ドラマ「嫌われる勇気」オープニングテーマ。実売数及びPCによるCD読取数で1位、Twitterつぶやき数で3位を獲得。ラジオオンエア数はアイドル系らしく8位と奮いませんでしたが、見事1位獲得となりました。ちなみにオリコンでも本作が1位獲得。初動売上14万9千枚は前作「恋を知らない君へ」の15万3千枚(1位)からダウンしています。

3位はAAA「MAGIC」が先週の21位からCD発売にあわせてランクアップ。先々週の10位以来、2週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。Twitterつぶやき数では見事1位を獲得。実売数3位、PCによるCD読取数で5位と上位にランクインし、ベスト3入りとなりました。ちなみにオリコンでは3位初登場。初動売上4万3千枚は前作「涙のない世界」の4万7千枚(5位)から若干のダウンとなっています。

続いて4位以下の初登場です。4位にDoughnuts Hole「おとなの掟」が初登場でランクインです。こちらはTBS系ドラマ「カルテット」の主題歌で、同作に出演している松たか子、満島ひかり、高橋一生、松田龍平による番組限定ユニット。作詞作曲を椎名林檎が手掛けており、楽曲は彼女の王道ともいえるムードたっぷりのレトロポップ調。ダウンロードオンリーのリリースなのですが、実売数で2位を獲得。ラジオオンエア数で35位、Twitterつぶやき数75位と奮いませんでしたが、見事ベスト10入りとなりました。

5位にはE-girlsとしても活動しているEXILEの所属事務所LDHの女性アイドルグループHapiness「REWIND」がランクインです。へヴィーなサウンドのロッキンなEDMチューン。実売数4位、Twitterつぶやき数9位を記録。一方、ラジオオンエア数23位、PCによるCD読取数は17位にとどまっています。オリコンでは初動3万4千枚で4位を獲得。前作「Sexy Young Beautiful」の1万3千枚(5位)よりアップしています。

続く6位はPerfume「TOKYO GIRL」が先週の42位からランクアップしてベスト10入り。日テレ系ドラマ「東京タラレバ娘」主題歌。あいかわらず中田ヤスタカ節ともいえる軽快でビートの強いエレクトロナンバー。CDは2月15日にリリースされましたが先行配信によりベスト10入りとなっています。

7位初登場はハロプロ系女性アイドルグループカントリー・ガールズ「Good Boy Bad Birl」。一昔前のロック調歌謡曲といった雰囲気の良くも悪くもアイドルらしいポップス。実売数5位の一方、PCによるCD読取数46位、Twitterつぶやき数59位、ラジオオンエア数圏外という結果によりこの位置。特に6種同時発売となっているため、PCによるCD読取数の順位から考えると複数枚買いの影響も大きそう。オリコンでは初動2万9千枚で5位ランクイン。前作「どーだっていいの」の2万5千枚(4位)からアップしています。

8位にはゲーム「アイドルマスターシンデレラガールズ」からのキャラソン、城ヶ崎美嘉(佳村はるか),神崎蘭子(内田真礼),前川みく(高森奈津美),二宮飛鳥(青木志貴),一ノ瀬志希(藍原ことみ)「EVERMORE」が初登場でランクインです。実売数7位、PCによるCD読取数3位以外はランクイン圏外というあたり、極端に一部の層にかたまった人気という傾向が読み取れます。オリコンでは初動5万1千枚で2位初登場。「アイドルマスターシンデレラガールズ」シリーズでは先週の城ヶ崎莉嘉(山本希望),緒方智絵里(大空直美),北条加蓮(渕上舞),川島瑞樹(東山奈央),大槻唯(山下七海)「BEYOND THE STARLIGHT」に続くランクインで、同作の4万4千枚(3位)からアップしています。

今週のHot100は以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2017年2月14日 (火)

レトロと今が同居

Title:Yes Lawd!
Musician:NxWorries

2016年にリリースされてベストアルバムとして紹介されているアルバムのうち、聴きのがしたアルバムをここ最近、あらためて聴いているのですが本作はその流れで聴いたアルバム。ミュージック・マガジン誌R&B/ソウル/ブルース編で1位と紹介されている作品です。

NxWorriesはKendrick Lamarの「To Pimp a Butterfly」にも参加したプロデューサーKnxwledgeとニュージャージー出身の期待のシンガーソングライターAnderson Paakによるユニット。2015年にリリースしたEP盤も話題になったようですが、昨年リリースした彼ら初のフルアルバムも大きな話題となりました。

楽曲的にはヒップホップソウルという言い方が一番ピッタリ来るでしょうか。60年代あたりの昔ながらもソウルと、今時のHIP HOPテイストのサウンドが見事に同居してるという楽曲が強く印象に残ります。例えば「What More Can I Say」などはまさにビンテージなソウル風のストリングスやホーンのサウンドが胸をうちますし、「Kutless」なんかはレコードのノイズを模していると思われるサウンドが入っており、ある意味レトロ感を前に押し出した楽曲になっています。

一方でリズムには今時を感じさせます。上にも書いた「What More Can I Say」なんかもベースラインを前に押し出したリズムトラックは2010年代ならではでしょうし、「Can't Stop」など今のHIP HOPの潮流も捉えたサウンドに感じました。そんなレトロと今時を両方とも捉えたうえで上手くバランスさせたサウンドが見事でした。

またそれに乗るメロディーラインも非常に心を捉えます。メロディーラインはとてもメロウで心の奥に入り込みじーんとさせるような美しさを感じます。Anderson Paakの歌声は飛びぬけて美声、といった感じではありませんが、伸びやかな歌声が魅力的。トラックとあわせて60年代あたりの王道ソウルの雰囲気を感じさせてくれます。

楽曲は60年代だけではなく全体的にどこか懐かしさを感じさせるのも特徴的。例えば「Scared Money」などはシンセの音の使い方などもろ80年代風。「H.A.N.」はフィリーソウルの雰囲気も感じられ、40代以上にとっては非常に懐かしさを感じるのではないでしょうか。

楽曲は全19曲入りというボリュームながらも1曲あたり3分程度でサクサクすすみ、アルバム全体でも50分程度というボリューム感も良い感じ。次々と楽曲が展開していき、まったくだれずにアルバム通して楽しむことが出来ます。

アルバムの内容としては文句なしの傑作アルバムだと思います。HIP HOPリスナーから60年代ソウル好きまで楽しめそうなアルバムです。まあただ、BeyonceやSolangeを差し置いて年間1位というほどの傑作かどうかは微妙な感じですが・・・。

評価:★★★★★

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2017年2月13日 (月)

最期を覚悟した傑作

Title:You Want It Darker
Musician:Leonard Cohen

2016年はミュージシャンの訃報が相次ぎ、多くの音楽ファンに衝撃を与えました。特に洋楽では年初いきなり飛び込んだデヴィット・ボウイの訃報からはじまり、プリンスに年末のジョージ・マイケルと日本でも高い知名度を誇るミュージシャンの訃報が相次ぎました。その中でも特にボウイは、直前に傑作アルバム「★」をリリースしており、まだミュージシャンとして脂がのっている中の突然の逝去というニュースに多くのファンにショックを与えました。

多くの音楽ファンにショックを与えた訃報という意味ではカナダのシンガーソングライター、レナード・コーエンの訃報もそうでしょう。彼の場合、享年82歳であり早世というイメージはありませんが、80歳を超えても積極的な音楽活動を続けており、特に遺作となった本作は各地メディアの2016年年間ベストアルバムでも上位に選ばれており、まだまだミュージシャンとして現役だっただけにその逝去のニュースは驚きをもって迎え入れられました。

今回のアルバム、ちょっとおくればせながら聴いてみたのですが、実はレナード・コーエンについては名前は知っていたのですがアルバム音源をきちんと聴くのはこれがはじめて。毎年年初に、各種メディア等にベストアルバムとして紹介されているアルバムのうち聴き逃したアルバムをチェックしているのですが、その一環として本作を聴いてみました。

そんな本作なのですが・・・まず彼の声がめちゃくちゃ渋くてカッコいい!1曲目はタイトルチューンの「You Want It Darker」からスタートするのですが、楽曲は重厚なコーラスラインのイントロからスタート。おごそかな雰囲気で楽曲がはじまる中、非常に渋いレナード・コーエンの語り口調のボーカルからスタートします。録音のバランスとしてもレナード・コーエンのボーカルをくっきり前面に押し出したようなバランス。また彼も一言一言言葉をかみしめるように、語るように歌っています。このボーカルが、よく映画の(それもファンタジー映画でよくありがちな、異常に重厚感ある)ナレーションのような雰囲気になっており、その声が非常に印象に残ります。

楽曲は、ソウルミュージックの影響を感じつつ、ブルージーな雰囲気の作品やともすればムード歌謡曲的な雰囲気をかもしだすような楽曲などが並んでいます。どの曲も陳腐な言い方をすれば「大人のポップス」という言い方もできそうな非常に雰囲気のある、かつ比較的聴きやすいポップミュージックという印象を受けました。レナード・コーエンの語り気味のボーカルも印象的。ある意味、御年82歳という年齢なりのボーカルなのですが、その年だからこそ出せる深みや渋みのあるボーカルが非常に印象に残りました。

また彼の曲に関してはその詩的な歌詞も非常に評価が高いのですが、今回の作品はまるで当初から遺作ということを覚悟していたかのような歌詞が目立ちます。タイトル曲「You Want It Darker」では「I'm ready, my lord」(主よ、覚悟はできている)という歌詞が登場してきますし、「Leaving the Table」なんていうタイトルの曲も登場したりしてきます。おそらくある程度自分の死期を悟って、その覚悟の上でのアルバムだったのでしょう。

そういう意味ではミュージシャンの意気込みとしてはボウイの「★」と似た意気込みの元、作成されたアルバムだったのかもしれません。そしてそれは、「★」と同様、傑作アルバムに仕上がっていました。こんな傑作をリリースしておきながらの訃報は残念・・・と思うと同時に、遺作とわかっていたからこそ生み出されたと思われる傑作アルバム。あらためて彼のご冥福をお祈りします。

評価:★★★★★

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2017年2月12日 (日)

怒れるMOBY

Title:These Systems Are Failing
Musician:Moby and The Void Pacific Choir

MOBYは怒っています。ドナルド・トランプがアメリカ大統領に就任するにあたり、かなりインパクトの強いMVを公開しています。

本作にも収録している「Erupt&Matter」のミュージックビデオ。ドナルド・トランプや金正恩、バッシャール・アル=アサドなどといった政治家の演説に対して一般庶民が怒りの声をあたえる構図。その政治家の演説をバックに「We don't trust you anymore」「Your power reign was sick and wrong」「Your time is gone」などといった強烈な歌詞が特大のフォントで登場します。

アメリカのテクノミュージシャン、MOBYの最新作はMoby and The Void Pacific Choir名義でのリリース。上で紹介したミュージックビデオでも明白なように彼は今、世界で台頭しつつある排外主義、極右勢力に対して激しい怒りを抱いています。今回のアルバムタイトル「These Systems Are Failing」はまさに彼の怒りを端的に表現していると言えるかもしれません。またその怒りを表現するかのように今回のアルバムに収録されている曲はいずれもパンキッシュでロックテイストが強いナンバー。MOBYといえばチルアウトな作品が多いだけに本作での方向性には驚かされます。

ノイジーなギターが鳴り響く中、強い四つ打ちのリズムのダイナミックなデジタルサウンドがのる構成。まさに怒りをストレートに表現しているサウンドが特徴的です。直感的に非常に心地よいサウンドで個人的にも聴いていてとても心地よさを感じました。MOBYといえば、その音源から想像される以上に盛り上がるライブが魅力的なのですが、このアルバムに収録されている曲はライブではさらに大盛り上がりが期待できそうです。

ただ一方で残念だったのは「怒り」を表現することが先に立ったのか、アルバム全体としては似たようなサウンドが並んでいてちょっと単調だったように思います。またサウンドにしても聴いてパッと思ったのが、一昔前に流行ったビックビート。正直言って、目新しさは全くありません。

そういう意味では聴いていて素直に心地よいアルバムではあったのですが、ちょっと物足りさも感じるアルバムでした。もっとも今回のアルバム、MOBY自体、あくまでも彼の怒りのメッセージを伝えるのが先で、サウンド自体は二の次、ということだったのかもしれませんが・・・。まあ、そうはいってもストレートに聴いていて心地よいアルバムだったと思います。ビックビートという言葉に懐かしさを感じる方、またロックリスナーも素直に楽しめるアルバムだと思います。

評価:★★★★

MOBY 過去の作品
Go:The Very Best Of Moby

Last Night
Wait for me
Destroyed
Innocents

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2017年2月11日 (土)

毎年恒例

Title:2017-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar

毎年恒例、アメリカのブルース・イメージ社という会社が毎年リリースしているブルースカレンダー。

Bluescalender2017

こんな感じで今年も我が家の壁を飾っています。広げるとLP盤のジャケット2枚分の大きさ。上にはブルースのレコードの広告が掲載されており、今の感覚でもちょっとスマートな感じがします。

さてこのカレンダーもなかなか魅力的なのですが、それ以上に魅力的なのが毎年このカレンダーについてくる付録のCD。戦前のブルース音源が23曲収録されており、毎年貴重な音源も収録されていることで話題となっています。ちなみにそのうち12曲の広告について左の写真のようにカレンダーを飾っており、その曲の説明についてカレンダーの下に記載されています。

ちなみに今年の新発見はBig Bill Johnson「I Can't Be Satisfied」。1930年に発売された音源が今回はじめて発見され、86年ぶりの復刻となったそうです。(ただし、Big Bill Johnsonが歌うこの曲自体は、いままでもふつうにCDでリリースされています)

今回もこの曲に限らず戦前のブルースの名曲が様々収録されていますが、バリエーション多い内容を楽しませてくれる構成になっています。軽快なピアノインストのBlind Leroy Garnett「Louisiana Glide」、ギターよりもしゃがれた渋い声が魅力的に押し出したBlind Guissie Nesbitt「I'll Just Wring My Hands And Cry」、渋い低音ボイスとハイトーンボイスが交互に登場しどこかコミカルなIshman Bracey「Woman Woman Blues」などなど。ブルースというと今では「渋い大人の音楽」みたいなイメージがついていますが、このCDに収録されている曲はそんなイメージにはまらない、コミカルで楽しい楽曲も多く収録され、戦前ブルースの幅広さを感じます。

さすがに戦前の録音ということもあって曲によってはノイズがひどい曲もあり、また収録されている曲はかなりマニアックな選曲ということもあり幅広くお勧めといった感じのものではないのですが・・・ただ戦前ブルースに興味があるのならカレンダー含めて文句なしに楽しめる内容だと思います。今年も1年、このカレンダーが我が家の壁を飾りそうです。

評価:★★★★

2013-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2014-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2015-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2016-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar


ほかに聴いたアルバム

I Still Do/Eric Clapton

Eric Claptonの新作は非常にブルース色の強いアルバム。アコースティックなナンバーが多く、しんみりと聴かせるブルースや、あるいはアメリカのルーツミュージックを志向するような作風の曲が目立ちます。70歳になる彼だからこそ奏でられる渋みのある作風に思わず聴きほれてしまいました。

評価:★★★★★

ERIC CLAPTON 過去の作品
Clapton
Old Sock

Peace Trail/Neil Young

前作「The Monsanto Years」では遺伝子組み換え種子販売企業の大手であるモンサント社への抗議をテーマとした作品になっていましたが今回の新作も社会派なメッセージがテーマ。今回はスタンディングロック保護地区付近を貫通する石油パイプライン、ダコタ・アクセス・パイプラインへの抗議がテーマ。さすがにローカルな話題なので日本人にとってはかなりピンと来ませんが、いまなおロックな姿勢を貫くNeil Youngのカッコよさはしっかりと伝わってきます。

楽曲的には序盤こそノイジーなギターサウンドを聴かせてくれるのですが、それ以降はアコースティックなサウンドを中心に、フォーキーだったりブルージーだったり。やはりメッセージ性が強い作品なだけに「歌」を前に押し出したのでしょうか。淡々としんみり聴かせる楽曲が多いのも特徴的。ちょっと地味さは感じるのですが、そのメッセージはしっかり伝わってくるような、そんなアルバムでした。

評価:★★★★

Niel Young 過去の作品
Fork In The Road
Psychedelic Pill(Neil Young&Crazy Horse)
Storytone
The Monsanto Years(Neil Young+Promise Of The Real)

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2017年2月10日 (金)

リリース形態はアナログとダウンロードのみ

Title:BL-EP
Musician:OKAMOTO'S

OKAMOTO'Sの新作は全6曲入りのミニアルバム。なかなかユニークなのがそのリリース形態。Tシャツ付のアナログ盤(5,000円也(!))とダウンロードでの販売のみ。アナログ盤かネットか、という販売方針が今の時代らしく、非常にユニークなものを感じます。

さてそんなミニアルバム。6曲入りといってもうち1曲はリミックス、さらにもう1曲は表題曲となっている「Burning Love」のインスト盤ということで純然たる新曲は4曲のみという内容。若干物足りないかな、と思えなくもないのですが、ただこれがどの曲もインパクト満点で、とても充実した内容になっていました。

1曲目「Burning Love」はちょっと80年代入ったチープさを感じるエレクトロアレンジのファンキーなダンスチューン。軽快なリズムが耳を惹くと思ったら、続く「Border Line」はいきなりへヴィーなギターリフがリスナーの耳にガツンと飛び込んできます。こちらもファンキーなギターロックチューンとなっています。

続く「NEKO」ではオカモトショウが初のラップに挑戦。こちらはHIP HOPテイストのナンバー。ファンキーなベースラインを主導としたトラックもとてもクールな楽曲に仕上がっています。さらに「Phantom」も全英語詞のリズミカルなナンバー。ブラックミュージックの要素の強いファンキーなトラックが印象的。爽快さも感じられるシティポップ色の強い楽曲に仕上がっていました。そして「NEKO」のリミックスはより黒さが増した感じでしょうか?ただ基本的には原曲に沿ったリミックス。

アルバム全体としてはアーバンソウルの色合いが強く、ファンキーでダンサナブルなリズムはフロア志向が強い楽曲が並んでいるといった印象を受けました。アナログ盤でリリースされていることからクラブなどで流されることを意識した作風なのでしょうか?

OKAMOTO'Sというと楽曲毎に様々な作風に挑戦しています。まあそんなスタイルのためアルバム毎に出来不出来の差が大きいような印象を受けるのも事実ですが、今回のミニアルバムに関してもそんなOKAMOTO'Sの挑戦の一環のような印象を強く受けました。

今回のアルバムに関しては事実上4曲入りのミニアルバムというスタイルもあるからでしょうが、捨て曲もなく、また統一感も十分。またこの手のダンスチューン、ともすればボーカリストとして「弱さ」を感じるオカモトショウのひ弱さを感じるボーカルにもマッチ。そういう意味ではOKAMOTO'Sの良い部分のみを出せたアルバムのように感じました。

まあおそらくアナログとダウンロードのみのリリースだった今回のミニアルバムの収録曲は次のアルバムに収録されそうな感じもします。その時は今回の収録曲も違った感じの印象を受けるかもしれませんが・・・このアルバムの中の1曲としては文句なしの名曲揃いのミニアルバムでした。

評価:★★★★★

OKAMOTO'S 過去の作品
10'S
オカモトズに夢中
欲望
OKAMOTO'S
Let It V
VXV
OPERA


ほかに聴いたアルバム

Ken Hirai 20th Anniversary Special!! Live Tour 2016/平井堅

Hiraiken_live16

昨年5月8日に代々木第一体育館で行われたライブの模様を収録した、レンタル限定でのライブアルバム。楽曲はベスト盤的な選曲になっており、彼の代表曲をまとめて楽しめるような内容に。ライブの雰囲気も伝わってくるようなアルバムになっており、個人的にはMCとかも収録してほしかったなという感じもするのですが、非常に楽しめるアルバムになっていました。気軽に聴くことのできるレンタル限定なので、興味ある方はとりあえず要チェックの1枚です。

評価:★★★★★

平井堅 過去の作品
FAKIN' POP
Ken's Bar II
Ken Hirai 15th Anniversary c/w Collection '95-'10 ”裏 歌バカ”
JAPANESE SINGER
Ken's Bar III
THE STILL LIFE

EUQITANUL/石野卓球

先日リリースした石野卓球のソロアルバム「LUNATIQUE」を砂原良徳やテイ・トウワ、さらに海外からWESTBAM、Der Dritte Raumといったミュージシャンたちがリミックスを行ったリミックスアルバム。タイトルは「LUNATIQUE」をそのままさかさまにしていますし収録順も逆というユニークな構成に。基本的にはメンバーそれぞれの個性を上手く石野卓球の楽曲に反映させたテクノ、ハウスの楽曲が並んでいます。意外性みたいなのはありませんでしたが、石野卓球の楽曲をベースとして良質なテクノのオムニバスを聴いているような感覚に。

評価:★★★★

石野卓球 過去の作品
CRUISE
WIRE TRAX 1999-2012
LUNATIQUE

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2017年2月 9日 (木)

2週目にして1位獲得

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

2週目にして1位獲得となりました。

今週1位を獲得したのはGReeeeNのベストアルバム「ALL SINGLeeeeS~&New Beginning~」。先週の3位からランクアップし、見事ランクイン2週目にして1位獲得となりました。ここ最近、一時期に比べて人気が下降気味の彼らですが、1位獲得は2009年の「いままでのA面、B面ですと!?」以来7年2ヶ月ぶりとなります。ただし売上枚数2万1千枚は先週の4万8千枚からダウンしています。

2位は先週2位のSuchmos「THE KIDS」が同順位をキープ。こちらも根強い人気を感じさせます。

初登場組最高位は3位THE ORAL CIGARETTES「UNOFFICIAL」。これがメジャー3枚目となる4人組ロックバンド。3位はシングルアルバム通じて自己最高位となります。初動売上2万1千枚は前作「FIXION」の1万1千枚(6位)から大幅増となっています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず6位にHIP HOPミュージシャンKREVA「嘘と煩悩」がランクイン。約4年ぶりとなるオリジナルアルバムです。初動売上1万1千枚は前作「SPACE」の1万5千枚(7位)からダウン。

7位初登場はDANCE EARTH PARTY「I」。EXILEのUSA、TETSUYA、DreamやE-girlsとして活躍するShizukaの3人からなるダンスユニット。これがアルバムとしてはデビュー作となります。初動売上は1万1千枚。

初登場最後は10位。「THE IDOLM@STER SideM ORIGIN@L PIECES 03」がランクイン。ゲーム「アイドルマスター SideM」のキャラソン。初動売上9千枚。同シリーズの前作「THE IDOLM@STER SideM ORIGIN@L PIECES 02」は初動売上7千枚(17位)でしたので、前作よりはアップしています。

また今週はベスト10圏外からの返り咲きが1作。SMAPのベスト盤「SMAP 25 YEARS」が先週の12位から5位にランクアップしています。ただし売上枚数は1万5千枚から1万3千枚にダウン。根強い人気を見せていますが、今週のランクアップは他に強力な新譜が少なかった影響でしょう。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週に!

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2017年2月 8日 (水)

見事1位復帰

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

まさかの1位復帰です。

先々週まで7週連続1位を獲得していたものの8週目に1位陥落となった星野源「恋」。今週はなんと1位返り咲きです。ラジオオンエア数36位、Twitterつぶやき数9位とさすがに話題性という意味では落ち着いた感があるのですが、CD販売・ダウンロード・ストリーミング数2位、PCによるCD読取数及びYou Tube再生回数では1位を獲得。根強い人気を感じさせます。

初登場組最高位は2位UVERworld「一滴の影響」。先週の39位からCD発売にあわせてランクアップしベスト10入りです。TBS系アニメ「青の祓魔師 京都不浄王篇」オープニングテーマ。実売数はこちらが1位。PCによるCD読取数も2位でしたが、ラジオオンエア数19位、Twitterつぶやき数73位、You Tube再生回数28位という結果が足を引っ張る形となりました。オリコンでは初動売上4万7千枚で2位初登場。前作「WE ARE GO」の初動3万6千枚(4位)よりアップ。

3位はジャニーズ系。A.B.C-Z「Reboot!!!」が初登場で獲得。実売数3位、Twitterつぶやき数2位を獲得した一方、ラジオオンエア数14位、PCによるCD読取数8位という結果、この位置に。オリコンではこの曲が1位初登場。初動売上5万5千枚は前作「Take a "5"Train」の3万3千枚(3位)よりアップしています。

続いて4位以下の初登場曲です。まず4位にロックバンド[Alexandros]「SNOW SOUND」が先週の32位からCD販売にあわせてランクアップ。JR東日本 JR SKI SKI CMソング。数多くのヒット曲を生んできたCMのタイアップ。ここ最近はSEKAI NO OWARI、back number、MAN WITH A MISSIONとなぜかロケノン系バンドの起用が続いていましたが、今年もロケノン系の王道を行くようなバンドの起用となりました。いままでの彼らのイメージとはちょっと異なる、シンセ主導のアレンジでポップ色の強い作品となっています。ラジオオンエア数は本作が1位。ただ実売数7位、PCによるCD読取数5位、Twitterつぶやき数は37位にとどまり、この位置となりました。オリコンは8位初登場。初動売上1万5千枚は前作「Swan」の2万3千枚(5位)よりダウンしています。

5位には城ヶ崎莉嘉(山本希望),緒方智絵里(大空直美),北条加蓮(渕上舞),川島瑞樹(東山奈央),大槻唯(山下七海)「BEYOND THE STARLIGHT」が初登場でランクイン。ゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」のキャラソン。実売数5位、PCによるCD読取数で4位を記録していますが、それ以外はランク圏外というキャラソンらしい傾向に。ちなみにオリコンでは初動4万4千枚で3位(シングル名義は「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS STARLIGHT MASTER 08 BEYOND THE STARLIGHT」)。同シリーズの前作THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS STARLIGHT MASTER 07 サマカニ!!」の2万1千枚(6位)からアップしています。

7位はパンクバンド10-FEET「ヒトリセカイ」が初登場でランクイン。テレビ東京系ドラマ「バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~」主題歌。もろブルハ直系のメロディアスパンクナンバー。実売数6位、ラジオオンエア数4位、PCによるCD読取数7位と上位にランクインした一方、Twitterつぶやき数は27位にとどまりました。オリコンでは初動売上2万4千枚で4位初登場(シングル名義は「ヒトリセカイ×ヒトリズム」)。前作「アンテナラスト」の2万9千枚(5位)からダウン。

最後10位にはYUKI「さよならバイスタンダー」が初登場でランクインしてきました。NHKアニメ「3月のライオン」オープニングテーマ。ストリングスをふんだんに入れたYUKIらしい爽やかなポップチューン。実売数12位、PCによるCD読取数14位、Twitterつぶやき数50位という順位にとどまりましたが、ラジオオンエア数は2位と健闘し、ベスト10入りとなりました。オリコンでは初動売上8千枚で10位初登場。前作「ポストに声を投げ入れて」の9千枚(9位)から若干のダウンとなっています。

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート。

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2017年2月 7日 (火)

すいません、ちょっと時期は過ぎてしまいましたが・・・

Title:12 Nights Of Christmas
Musician:R.Kelly

R.Kellyの最新作はキャリア26年目にして初となるクリスマスアルバム。それもおなじみのクリスマスソングのカバー・・・ではなく、全編オリジナルソングのクリスマスアルバムとなっています。

よく知られているようにR.Kellyといえば昔ながらのソウルマナーに沿った王道スタイルの聴かせるソウルアルバムと、あまりのお下劣ぶりに賛否両論となるエロエロアルバムの2パターンのアルバムをリリースしており、良くも悪くもその振れ幅の大きいシンガーだったりします。

そんな彼のニューアルバムなだけに「聖夜」ならぬ「性夜」(わ、ベタな言い方(^^;;)になる可能性もあったクリスマスアルバムですが、若干その傾向のある曲もあるようですが、基本的には王道のソウルマナーに従って聴かせるアルバムになっています。ピアノをバックにアカペラ気味のメロウな歌声を聴かせる「My Wish For Christmas」から、まずその歌声に聴きほれる内容に。続く「Snowman」「Home For Christmas」もメロウに聴かせるフィリーソウルな楽曲に、メロディーメイカーとしてのR.Kellyの才能を感じさせるポップナンバーになっています。

基本的にオリジナル楽曲オンリーのためなじみのクリスマスソングが飛びだしてくる訳ではありませんが、クリスマスやサンタクロースといったわかりやすい英語が配されているだけに私たち日本人にとっても十分「クリスマスソング」として認識できる内容になっています。その中でもストリングスとピアノをバックに静かながらも美しいメロを聴かせる祝祭色豊かな「Once Upon A Time」や軽快で明るいポップソング「Santa Send My Baby Back Home」なんかは楽曲自体からクリスマスの雰囲気が伝わってくる、良い意味でいかにもなクリスマスソングといった感じになっています。

そんな全編明るさを感じさせるポップソングの連続で、広い層に楽しめる素敵なソウルアルバムになっています。目新しさみたいなものはありませんし、ある意味「王道」路線なのですが、それだけにメロディーメイカーやボーカリストとしてのR.Kellyの魅力がしっかりと伝わってくる傑作に仕上がっていました。

評価:★★★★★

で、こちらはそんな彼の「前作」。

The Buffet/R.Kelly

で、こちらは「12 Nights of Christmas」の真逆を行くお下劣エロエロ路線(笑)。良くも悪くも好き嫌いがわかれそうな内容になっています。楽曲的には前半が今時のエレクトロ路線を用いた作品が多い一方、後半は王道ソウルマナーに従った楽曲がメインに。後半の王道路線と比べて、今風のエレクトロ路線は特に目新しさはなく、これなら無理に今風の音に挑戦しなくても・・・と思ってしまう感じに。本作のエロ路線はあまりにお下劣すぎて少々顰蹙をかってしまったようですが、それを差し引いても悪くはないのですが、ちょっと平凡だったかも。

評価:★★★★

R.Kelly 過去の作品
Double Up
Untitled
Love Letter

EPIC
WRITE ME BACK
Black Panties


ほかに聴いたアルバム

We're All Somebody From Somewhere/Steven Tyler

ご存じロックバンドエアロスミスのボーカリストによる(意外なことに)キャリア初となるソロアルバム。彼の歌い方自体はいつも通りですが、楽曲的にはエアロスミスに比べるとカントリー色が強い内容に。ハードロックな曲もあったのですが、そちらにしても演奏をシンプルにしてありエアロスミスのようなダイナミックな曲は皆無。いかにもソロアルバムらしいソロアルバムになっていました。

評価:★★★★

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2017年2月 6日 (月)

あなたの知らない世界

今回紹介する本は、70年代から80年代、日本にインディー系のロックバンドが萌芽してきた頃、そんなインディー勢のさらに地下でうごめいていた音楽シーンの状況を追った一冊、「地下音楽への招待」。1978年に吉祥寺で開店した伝説的なライブハウス「マイナー」を中心軸としてその周辺のフリージャズやサイケロック、パンクロック、アバンギャルド系のミュージシャンの活動について紹介しています。

著者は本人も70年代後半から80年代にかけて数多くのインディー系バンドで活動した剛田武(・・・ジャイアン?)。彼が当時の地下音楽近辺で活躍していたミュージシャンたちや、それにとどまらずイベントのオーガナイザー、この手の音楽を多く取り扱っていたレコード店の店主、音楽雑誌の編集長などにもインタビューを試み、音楽のみに留まらず、その当時のアンダーグラウンドなミュージックシーン全体を読み取ろうとした非常に丁寧かつ奥深い仕事ぶりが目立つ作品となっています。

はっきりいってしまうと私自身、本書で紹介されているアンダーグラウンドミュージックは全く詳しくありません。この本で頻繁に登場する灰野敬二はさすがに知っていますが、本書で「ある程度意識的に日本のロックを聴く者ならば必ずどこかで出会うはずの名前」と紹介されている工藤冬里については残念ながら完全に初耳でした。ただ、本書でもインタビューを受けている竹田賢一率いるA-Musikについては、ソウルフラワーユニオンと組んで曲をリリースしている影響で知っていたのですが・・・。(あと、ソウルフラワーがらみといえばモノノケ・サミットの一員である大熊ワタルが登場してきたのもちょっとビックリしましたが)

また正直言ってこの手のアンダーグラウンドミュージックが好きかどうかといわれると非常に微妙。例えばフリージャズとかオーネット・コールマンや阿部薫を聴いたことはあるのですが、正直全く楽しめませんでしたし、サイケやプログレもポップなメロが入ったわかりやすさがないとあまり好きになれないタイプ。個人的にはミーハーな耳を持っていると自認しているので、おそらくリアルタイムにこういうシーンのことを知っていたとしても興味は持ったかもしれないけどはまれなかっただろうなぁ、とは思います。

ただそんな私でもこの本は非常に楽しめる一冊となっていました。自分の全く知らない世界、あるいはほとんど縁のない世界について垣間見るようなワクワク感を覚えながら読み進めていきました。参考文献の欄などを除き全416ページというボリュームで本自体もとても分厚いのですが、一気に読み進めることが出来ました。次から次へと見ず知らずの固有名詞が飛び出すのですが、それに対して膨大な量の注釈がついているのも本書の特徴。この注釈もまた、当時のシーンを知るのに重要な情報となっています。

ここで紹介されているアンダーグラウンドシーン自体、政治的にもアンダーグラウンドなシーン、例えば新左翼とリンクするような部分が若干あります。暴力をもいとわない極左的な思想には全く共感しないのですが、それでも社会的に「やばい」部分を外からこっそり垣間見るような感覚というのもまた、この本を読むうえで感じたわくわく感の一因のように感じます。

そして音楽を紹介する一冊だけに読んでいく中でどうしても気になるのは彼らがどういう音を奏でていたか、ということなのでしょうが、それも特典CDとして70分以上の音源がついてくるというありがたい仕様となっています。本書で紹介されたミュージシャンやイベントでの貴重な音源が収録されており、現場でどのような音が鳴り響いていたかがわかります。

アンダーグラウンドなシーンの紹介ですが、本書自体はインタビューを中心として理路整然とした構成になっており読みやすさがあるのですが、それを一気に覆すのが第13章の山崎春美へのインタビュー。「私はこの本を認めない」と宣言した彼へのインタビューは、インタビュー記事自体、彼自身により大幅な加筆が行われています。「この本を認めない」とするのはこの本で主軸として取り上げられている園田佐登志に対する反感がメインにあるようですが、その肝心な園田佐登志へのインタビューの中で「この間、山崎(春美)と話して」という一文があり、両者の交流も垣間見れるため、山崎春美のこの檄文も一種の彼なりのパフォーマンスなのかもしれません。

本書で若干残念だったのは70年代80年代のアンダーグラウンドシーンにスポットをあてられて、そのシーンのその後への影響がほとんどわからなかったこと。唯一、第10章で紹介されているアンダーグラウンドなレコード店、モダーンミュージックとのかかわりにおいて坂本慎太郎や、ゆらゆら帝国やORGE YOU ASSHOLEのプロデュースでも知られる石原洋が登場する程度。またこのようなアンダーグラウンドシーンの現在の状況もわからない点も残念に感じました。

そんな気になる点もありつつも、70年代80年代のアンダーグラウンドシーンが手に取るようにわかる力作。おそらくアンダーグラウンドミュージックにほとんど興味がなかったとしても自分の知らない世界を垣間見る快感に楽しめる作品ではないでしょうか。かなり分厚い本書のボリュームや3,000円強というちょっとお高めの値段にたじろいでしまうかもしれませんが、それを差し引いてもお勧めできる一冊です。

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2017年2月 5日 (日)

2016年ベストアルバム(邦楽編) その2

昨日に続き邦楽の私的ベストアルバム。今日は5位から1位です。

5位 不良品/氣志團

聴いた当時の感想はこちら

2017年は結成20年を迎える彼ら。正直、出てきたころは一発ネタ的なミュージシャンで最初は面白くても・・・と思っていたのですが、まさかここに来て、こんな傑作アルバムをリリースしてくるとは思いませんでした。メンバー個々のキャラクターを生かした楽曲にEDM、ハードコアなどの要素を取り入れた幅広い音楽性。氣志團のミュージシャンとしての実力を再認識させられました。

4位 できれば愛を/坂本慎太郎

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ソロとして3作目となる新作。前作「ナマで踊ろう」はみんなで盛り上がることを一切拒絶することにより全体主義に対してアンチを唱えるアルバムとなっていましたが、今回のアルバムは基本的にその路線をさらに深化させたアルバムになっていました。歌詞にある意味わかりやすいテーマ性を持っていた前作に比べると本作はシニカルさと不気味さを感じつつ、様々に解釈できる自由度を持った歌詞も特徴的。独自の世界は本作でも炸裂しています。

3位 ハンドルを放す前に/OGRE YOU ASSHOLE

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2014年私的年間ベストで1位とした前作「ペーパークラフト」に続く新作。こちらも基本的には「ペーパークラフト」の世界をさらに推し進めた作品。ムダを徹底的になくした前作に続き本作もシンプルなサウンドメイキングが目立ちます。ただ本作では前作までプロデュースを手掛けていた石原洋の手を離れ、セルフプロデュースに挑戦。結果、前作に比べて若干「音」の増えた印象も。今後の彼らの行方も気になる作品でした。

2位 幸福/岡村靖幸

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一時はどうなることかと思った岡村ちゃんの、実に12年ぶりになる新作はそのブランクを全く感じさせない傑作となっていました。90年代の彼を彷彿させるような曲もある一方、2010年代の今だからこそ出せる音もあったりして、昔と今をしっかりとむすびつけるアルバムになっていました。

そして・・・

1位 UMA/水曜日のカンパネラ

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まさかの2年連続私的ベストアルバム1位獲得!上期に続いて年間ランキングでも文句なしの1位です。メジャーデビュー作となった本作ですが、メジャーになった結果、丸くなるどころかむしろさらにエッジを効かせた曲をつくってきた彼女たち。ケンモチヒデフミのつくるトラックがとにかくメチャクチャカッコいい作品になっていました。そんな彼女たち、今月早くも新作がリリース。まさかの3年連続1位獲得なるか???

そんな訳で、昨年の「ジパング」に続き、2年連続水曜日のカンパネラが当サイト私的ベストアルバム1位を獲得という結果となりました。ちなみにあらためてベスト10を振り返ると・・・

1位 UMA/水曜日のカンパネラ
2位 幸福/岡村靖幸
3位 ハンドルを放す前に/OGRE YOU ASSHOLE
4位 できれば愛を/坂本慎太郎
5位 不良品/氣志團
6位 はじめまして。17歳です。ハッピーエンド建設中。/にゃんぞぬデシ
7位 Valentine/ACO
8位 MANUAL/Takaryu
9位 THE LAST/スガシカオ
10位 LAY YOUR HANDS ON ME/BOOM BOOM SATELLITES

こちらに関しても今年は非常に豊作。10枚選ぶのを迷うような傑作アルバム揃いの1年となりました。他の候補作としては・・・

青の光景/秦基博
女の46分/チャラン・ポ・ランタン
BABEL,BABEL/GRAPEVINE
6×9=53/KAN
SPARK/上原ひろみ THE PROJECT
southview/MONKEY MAJIK
帰ってきた街のSOS! 二村定一コレクション1926-1934/二村定一
BLACKBERRY JAM/NONA REEVES
PROUD/清水翔太
Fantome/宇多田ヒカル
THE STILL LIFE/平井堅
虚無病/amazarashi
第六作品集「無題」/downy
LAST WALTZ/world's end girlfriend

とズラリ。いや、今、音楽シーンってCDが売れないということで景気が悪いような話をよく聞きますが、リリースされたアルバムから考えると、2016年はそんな不景気が嘘のような充実した1年だったと思います。今年はヒット曲という観点でもRADWIMPSや星野源、ピコ太郎などがお茶の間レベルまで浸透するようなヒット曲をリリースしており、近年まれな音楽的に充実した1年だったと言えるのではないでしょうか。この傾向が2017年も続けばうれしいのですが・・・さてさて。

ちなみに過去のベストアルバムは・・・

2007年 年間1 
2008年 年間1  上半期
2009年 年間1  上半期
2010年 年間1  上半期
2011年 年間1  上半期
2012年 年間1  上半期
2013年 年間1  上半期
2014年 年間1  上半期
2015年 年間1  上半期
2016年 上半期

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2017年2月 4日 (土)

2016年ベストアルバム(邦楽編) その1

昨日は洋楽の私的ベストアルバムを紹介しましたがこちらは邦楽編。

10位 LAY YOUR HANDS ON ME/BOOM BOOM SATELLITES

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今年は日本、海外共に多くのミュージシャンの訃報が飛び込み、音楽ファンにとってはとても辛い1年となりました。BOOM BOOM SATELLITES川島道行の訃報もその1つ。そして本作はその彼らの最後のアルバムとなりました。4曲22分という短い内容ながらも「祝福と終焉」という彼らのメッセージが強く感じる傑作アルバム。最後のアルバムにも関わらず明るさと希望を感じるそんな1枚でした。

9位 THE LAST/スガシカオ

聴いた当時の感想はこちら

メジャー復帰作となるスガシカオの新作。デビュー当初の彼を彷彿とさせるような「変態」ちっくな独特のファンクサウンドを展開しています。同じく彼が中心となって活動するバンドkokuaも2016年にアルバムをリリースしていますが、比較的素直なポップ路線のkokuaとはある意味対照的な作品に。彼がやりたいことを好き勝手にやったんだな、と感じることが出来たアルバムでした。

8位 MANUAL/Takaryu

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最近、エレクトロミュージックのジャンルで才能あるミュージシャンが次々とデビューしていますが、間違いなく彼らもそのうちの1人。若干16歳である彼のデビューアルバム。その年齢をいい意味で感じさせない落ち着いた熱量の低いメロウなサウンドが印象に残ります。なによりも歌とメロディー、サウンドのバランスが実に絶妙。今後が楽しみになってくるデビューアルバムです。

7位 Valentine/ACO

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デビュー20年目を迎えたベテランミュージシャンの彼女。しかしベテランという立場に甘えない、実に挑戦的な傑作をリリースしてきました。3部作にわかれた本作はへヴィーなロック、美しいサウンド、ポップなメロとACOの魅力をそれぞれ詰めた構成になっています。まだまだ若手には負けないという強い気概を感じさせるアルバムでした。

6位 はじめまして。17歳です。ハッピーエンド建設中。/にゃんぞぬデシ

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こちらもアルバムタイトルのとおり、リリース時点では若干17歳という女子高生シンガーのデビュー作。今時の女子高生らしい言語感覚を持った楽曲もある一方、ソウルの要素も強く、また昔ながらの歌謡曲的な雰囲気を感じる楽曲も。しっかしとこぶしを効かせて歌い上げる彼女の歌にも年齢離れしたものすら感じさせます。こちらもこれからの活躍が非常に楽しみな新たな才能の登場です。

そんな訳で、続きは明日!

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2017年2月 3日 (金)

2016年ベストアルバム(洋楽編)

また恒例の私的年間ベストアルバム。まずは洋楽編です。

5位 A Seat at the Table/Solange

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ちょうど先日感想をアップしたばかりですね。2016年、シーンで大絶賛を集めたアルバム。黒人女性の社会の中で差別されるやるせなさとそんな黒人女性の自立を歌った内容も話題となりましたが、そんな社会派な内容でありつつも非常に美しさとやさしさを感じるボーカルとメロディーラインが心に残ります。

4位 A MOON SHAPED POOL/RADIOHEAD

聴いた当時の感想はこちら

ダウンロードでの突然の発売というのも(まあ最近ではさほど珍しい話ではないものの)話題となったRADIOHEADの新作。ナイジェル・ゴドリッチによるプロデュースワークも大きな話題に。ただ彼ららしい意外性ある奇抜さはあまりなく、それ以上に美しいメロディーラインとストリングスの音色が印象に残る傑作アルバムでした。

3位 DARKNESS AND LIGHT/JOHN LEGEND

聴いた当時の感想はこちら

毎回、ある意味「古き良き」時代のソウルフレーバーを残した傑作アルバムをリリースしてくるJOHN LEGENDの新作。今回もソウルやゴスペル、ジャズにファンクなどの要素を入れたある意味「王道」ともいえる古き良きブラックミュージックを聴かせつつも一方では新進気鋭のラッパーChance The Rappeが参加していたり、きちんと現在の音にアップデートしているのが印象的。古さと新しさを見事に同居させた傑作でした。

2位 24K Magic/Bruno Mars

聴いた当時の感想はこちら

日本でも大ヒットを記録した新作。今回のアルバムも彼らしい良質なポップソングが並んだ作品。決して目新しさはないものの、80年代、90年代の雰囲気を感じるようなちょっと懐かしさを感じる楽曲の数々はアラフォー世代の壺にはまりそう。「映画のようなアルバムをつくりたい」と語っていた彼ですがアルバム全体としての流れも感じさせる作品です。

そして・・・

1位 Lemonade/Beyonce

聴いた当時の感想はこちら

今年の各種メディアのベストアルバムでも軒並み上位にランクインした大傑作。夫Jay-Zの浮気ネタというパーソナルなネタからアメリカ社会の中で最もマイノリティーであるアフリカン・アメリカンの女性問題という社会派ネタまで昇華させています。昨年は人種差別的な言動が目立つトランプ氏がまさかの大統領就任というショッキングなニュースがありましたが、そんな2016年にこのようなアルバムがリリースされる(それは5位のSolangeにも言えることですが)という事実がアメリカ社会の問題点を浮き彫りにしているように感じました。

とにかく今年は傑作アルバムが多く、5枚にまとめるのが非常に困難な年になりました。ただ一方、各種メディアのベストアルバムを見ると、上位作品がほぼ決まっているという年に。そういう意味ではだれもが納得する傑作が多くリリースされたということでしょう。

一方、ロック勢の苦境も目立ちます。私が選んだ5枚もそうですが、2016年を代表するアルバムのほとんどがR&Bやポップスという事態に。特にBeyonceやSolangeのように時代を反映させた昔ならロックが担いそうな役目を果たした傑作がリリースされる中、ロックミュージックの苦戦ぶりが際立ちます。

他にベスト5候補だったのは・・・

I like it when you sleep, for you are so beautiful yet so unaware of it/The 1975
Chaosmosis/primal scream
Weezer/Weezer
The Life Of Pablo/Kanye West
We Are King/KING
Coloring Book/Chance The Rapper
Here/TEENAGE FANCLUB
Blonde/Frank Ocean
★/David Bowie
HERE/Alicia Keys
Blue&Lonesome/The Rolling Stones

うーん、どのアルバムもベストアルバムを獲得しても不思議ではない傑作揃い・・・。

あらためてベスト5を振り返ると・・・

1位 Lemonade/Beyonce
2位 24K Magic/Bruno Mars
3位 DARKNESS AND LIGHT/JOHN LEGEND
4位 A MOON SHAPED POOL/RADIOHEAD
5位 A Seat at the Table/Solange

来年もまた多くの傑作アルバムがリリースされるとうれしいのですが・・・もうちょっとがんばれ、ロック勢!

ちなみに過去の洋楽ベストアルバムは・・・

2007年 年間
2008年 年間 上半期
2009年 年間 上半期
2010年 年間 上半期
2011年 年間 上半期
2012年 年間 上半期
2013年 年間 上半期
2014年 年間 上半期
2015年 年間 上半期
2016年 上半期

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2017年2月 2日 (木)

新譜ラッシュ

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週はベスト10のうち7枚が新譜という新譜ラッシュとなっています。

まず今週1位はAKB48「サムネイル」が獲得。稲垣潤一とのコラボやメンバーの指原莉乃がモーニング娘。'17と組んだ曲などが収録されて話題となっています。初動売上は60万9千枚。直近はベスト盤「0と1の間」で、こちらの初動62万5千枚(1位)からダウン。またオリジナルとしての前作「ここがロドスだ、ここで跳べ!」の74万6千枚(1位)からも大幅ダウンという結果となっています。

2位初登場は6人組ロックバンドSuchmos「THE KIDS」。ソウルやジャズの要素を取り入れたロックサウンドが話題となっている人気急上昇中のバンド。「STAY TUNE」がビルボードHot100でベスト10入りしたことはありますが、オリコンでのベスト10入りはこれが初。初動売上は7万4千枚を記録しています。

3位はGReeeeN「ALL SINGLeeeeS~&New Beginning~」がランクイン。タイトル通り、デビュー10周年を迎えた彼らのシングルベスト。デビューからちょうど10年目の1月24日(火曜日)のリリースとなっています。初動売上は4万8千枚。直近のオリジナル「縁」の2万8千枚(4位)からアップ。またベスト盤としての前作「C、Dですと!?」の3万8千枚(2位)からもアップ。最近、苦戦気味の彼らですが、このベスト盤は善戦した結果に。

続いて4位以下の初登場曲です。4位はavexの男性アイドルグループDa-iCE「NEXT PHASE」がランクイン。初動売上4万6千枚は前作「EVERY SEASON」の4万9千枚(2位)からダウン。

5位にはJanne Da ArcのボーカリストyasuによるソロプロジェクトAcid Black Cherryによるカバーアルバム「Recreation 4」がランクイン。プリンセスプリンセスの「M」やミスチルの「Tomorrow Never Knows」などちょっと懐かしいJ-POPのカバーが収録されています。初動売上は4万1千枚。直近作はライブ盤「2015 arena tour L-エル- LIVE CD」で、こちらの初動2万8千枚(2位)よりアップ。直近のオリジナルアルバム「L-エル-」の初動11万3千枚(2位)からは大幅にダウンしています。ちなみにカバーアルバムとしての前作「Recreation3」の5万1千枚(3位)からもダウンしています。

6位はアニメ「マクロスΔ」に登場する音楽グループ、ワルキューレのミニアルバム「ワルキューレがとまらない」がランクイン。初動2万3千枚は前作「Walkure Trap!」の5万5千枚(3位)から大幅ダウン。

7位には韓国の男性アイドルグループ超新星のメンバー、ユナク&ソンジェfrom超新星「Yours forever」がランクイン。現在、メンバー4人が兵役期間中で活動休止の超新星ですが、既に兵役を終えた2人によるソロアルバムだそうです。初動売上2万1千枚はユナクの直近のソロ作「REAL」の1万6千枚(6位)及びソンジュの直近のソロ作「It's Time」の1万8千枚(3位)のいずれからもアップという好セールスとなりました。

最後10位には顔出ししないアイドルグループClariS「Fairy Castle」が入ってきています。メンバーのアリスが脱退。新メンバーカレン加入後、初のアルバムとなりました。初動売上1万6千枚は前作「SPRING TRACKS -春のうた-」の7千枚(8位)からランクアップ。ただし前作はカバー曲を中心としたミニアルバムという企画盤。オリジナルとしての前作「PARTY TIME」の4万3千枚(2位)からは大幅ダウンという結果となっています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2017年2月 1日 (水)

ついに1位陥落

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週まで7週連続1位とロングヒットを続けていた星野源「恋」。今週はついに3位にランクダウン。You Tube再生回数1位、PCによるCD読取数2位と相変わらず上位をキープしているものの、CD販売・ダウンロード・スクリーミング数(以下「実売数」)4位、ラジオオンエア回数15位、Twitterつぶやき数6位と徐々に順位を落としており、ついに1位陥落となりました。

かわって1位を獲得したのが関ジャニ∞「なぐりガキBEAT」。映画「破門 ふたりのヤクビョーガミ」主題歌。ラジオオンエア数は27位、Twitterつぶやき数10位と奮いませんでしたが、実売数及びPCによるCD読取数で1位を獲得し、先週の100位からCD販売にあわせて一気にランクアップし1位獲得となりました。関ジャニ∞は前々作「パノラマ」、前作「NOROSHI」では1位を星野源「恋」に阻まれ1位獲得はなりませんでしたが、三度目の正直でようやく雪辱を果たせました。なおオリコンでも1位獲得。初動売上27万3千枚は前作「NOROSHI」の23万2千枚(1位)からアップ。

2位はTHE RAMPAGE from EXILE TRIBE 「Lightning」。先週の22位からCD販売にあわせてランクアップ。名前通り、EXILE系の新グループのデビューシングル。今時のエレクトロトラックでHIP HOPテイストは強いものの、いつものEXILEっぽいメロウでポップなメロディーラインが流れているナンバー。既存のグループよりもHIP HOP色を強くした感じです。実売数2位、ラジオオンエア数3位、PCによるCD読取数8位、Twitterつぶやき数2位とまんべんなく上位にランクインしています。オリコンでも初動7万2千枚で2位初登場となっています。

続いて4位以下の初登場曲です。まず5位にMAN WITH A MISSION「Dead End in Tokyo」がランクイン。こちらもCD発売にあわせて先週の96位からランクアップしています。実売数5位、ラジオオンエア数7位、PCによるCD読取数5位と上位にランクイン。一方、Twitterつぶやき数36位、You Tube再生回数88位とネット系はちょっと不振気味。オリコンでも初動売上3万4千枚で5位初登場。前作「Memories」は完全生産限定盤でしたので初動8千枚(17位)止まり。通常リリースの前々作「Raise your flag」の3万6千枚(2位)から若干の減少となっています。

7位初登場は島村卯月(大橋彩香),渋谷凛(福原綾香),本田未央(原紗友里),赤城みりあ(黒沢ともよ),安部菜々(三宅麻理恵)「Yes! Party Time!!」。ゲーム「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS VIEWING REVOLUTION」のキャラソン。実売数6位、PCによるCD読取数3位の他、全チャートランクイン圏外という一部の層以外に全く波及していないのが顕著に出た結果となっています。ちなみにオリコンでは初動4万5千枚で3位初登場。

最後10位にはAAA「MAGIC」が先週の14位からランクアップしてベスト10入り。2月8日リリース予定のシングルの先行配信となります。テレビ朝日系ドラマ「奪い愛、冬」主題歌。ただ実売数は29位。Twitterつぶやき数1位、You Tube再生回数6位に引き上げられてのベスト10入り。うーん、あいかわらずTwitterつぶやき数が異常に重視されている違和感が・・・。ベスト10以下を見ると、12位の欅坂46「二人セゾン」が実売数12位、PCによるCD読取数7位、Twitterつぶやき数24位、You Tube再生回数13位となっており、こちらの方が事実上、ヒットしていないか???

そんな訳で相変わらずもやもやした部分をかかえつつ、アルバムチャートはまた明日に!

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