バンドらしさが前面に
Title:darc
Musician:Syrup16g
ミニアルバムとなった前作「Kranke」以来、約1年半ぶりのSyrup16gのニューアルバム。全8曲入り36分という長さなのですが、一応フルアルバムという扱いらしいです。前作から1年半たってリリースされたアルバムがこの長さというのがちょっと気にかかりますが。
さて、そんな彼らのニューアルバムですが、まずはロック色が強い、というよりもバンドサウンドを前に押し出したような曲が目立ちます。重いドラムスのリズムからスタートする「Cassis soda&Honeymoon」は終始ノイジーなギターとドラムスのリズムが鳴り響く楽曲になっていますし、続く「Deathparade」も鳴り響くギターサウンドがかなりダイナミック。どこか歪んでいるギターの音像もユニークなものがあります。
後半の「Find the answer」や「Murder you know」もギターの音が前面に押し出された構成になっておりバンドらしさがまず前に出ている楽曲になっています。前作「Kranke」は全体的にインパクトの薄さを感じるアルバムだったのですが今回のアルバムに関しては、まずこのサウンドが大きなインパクトになっていました。
メロディーラインに関しても「Missing」のような哀愁感あるメロを前に押し出したナンバーやメロディアスな「Murder you know」のような、比較的フックの効いたメロディーの楽曲も多く、そういう意味でも少々薄味だった前作に比べるとしっかりとしたインパクトを感じさせるアルバムになっていました。
ただ一方、若干「薄味」だったのが肝心な歌詞の方。上にも書いた通り、楽曲構成上、五十嵐隆のボーカルがちょっと後ろに下がった影響でしょうか、歌詞についてはいままでの彼らの曲と比べると若干響いてくるものは少な目だったように思います。
若干薄味に感じた最大の理由はインパクトあるフレーズの無さ。毎回、Syrup16gの曲は流して聴いていても思わず耳に飛び込んでくるような、グサっと来る思い歌詞が紛れ込んできます。そんなフレーズをサビの部分で上手く使っていることで楽曲のインパクトが強くなるのですが、今回のアルバムに関しては残念ながらそんなグサっと来るようなフレーズがあまりありませんでした。
もっとも今回のアルバムでもSyrup16gらしい世界観は健在。そういう意味では確かに歌詞のインパクトは薄めかもしれませんが、きちんと聴けばしっかりSyrup16gらしさは歌詞の面でも感じられるアルバムと言えるかもしれません。
そんな訳で、Syrup16gに対して期待するものがすべて詰め込まれた傑作・・・といった感じではないのですが、彼らの魅力はきちんと伝わってくる良作に仕上がっていたと思います。ただ解散前のリリースペースに比べると、ちょっとリリースペースは落ち気味。そういう点は気にかかるのですが・・・次はもっと早いタイミングで新譜を聴けるでしょうか?
評価:★★★★★
| 固定リンク
「アルバムレビュー(邦楽)2017年」カテゴリの記事
- 20周年イヤーの最後を締めるアルバム(2017.12.26)
- 5曲中3曲がタイアップ(2017.12.25)
- チャメ~!(2017.12.23)
- 4枚組豪華オールタイムベスト(2017.12.17)
- 赤裸々な本音を強烈なガレージサウンドで(2017.12.16)
コメント