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2017年1月

2017年1月31日 (火)

黒人女性のやるせなさと自立を歌う

Title:A Seat at the Table
Musician:Solange

2016年、非常に大きな話題となったアルバム、それがBeyonceの「Lemonade」でした。夫であるJay-Zの浮気というパーソナルな問題からアフリカン・アメリカンの女性がかかえる社会問題にまで昇華した傑作アルバムはリリース直後から大絶賛を浴び、年末恒例の「2016年ベストアルバム」では軒並み上位にランクインしてきました。

今回紹介するSolangeはご存じの方も多いかと思いますがBeyonceの実の妹。本作はそんな彼女の8年ぶりとなる新作なのですが、これが大絶賛を集め、ビルボードチャートでは自身初となる1位を記録。さらに年末の「2016年ベストアルバム」では姉のアルバムと共に数多くのランキングで上位を記録。全体的にはむしろ「Lemonade」以上に絶賛を集める結果となっています。

この新作、偶然なのかもしれませんし、ある意味必然なのかもしれませんがBeyoneのアルバムと同様、黒人女性としての自立、社会の中で差別され続けるやるせなさがテーマとしています。楽曲の中でもこのテーマ性を強く歌われているのですが、特徴的なのが全21曲中9曲をも占めるインターリュードのトラック。うち2トラックでは彼女の両親が人種的経験を語っているそうですし、また残りのトラックについてはラッパーのマスター・Pによるモノローグにより人生訓と言えるものが語られています。

一方でBeyonceの作品と対照的だったのがBeyonceの作品が力強い、ある意味「怒り」をもって楽曲が綴られているのに対してSolangeのアルバムは、美しい歌声でメロウに歌い上げる曲が続いているという点でした。ある意味「淡々と」という表現もピッタリくるような作風で、その黒人女性としての怒りのパワーがわかりやすく表現されていたBeyonceと比べると、若干の「わかりにくさ」すら感じます。実際、私も最初聴いた時は、この作品、さほどピンと来ませんでした。

ただ、そのやさしさを秘めた歌声がとても美しくて実に見事。必要以上に感情的にならずメロウに歌い上げているがゆえに聴けば聴くほど心に響いてきます。また決して派手さはないのですが、彼の歌声のバックに流れるアレンジも非常に印象に残ります。いわば今時のエレクトロサウンドを主体としたアレンジなのですが、アンビエントテイストのサウンドが静かに流れてくるスタイル。音数を絞りつつも、ベースラインやリズムトラックが力強く響いてくるサウンドは、彼女の歌声と同じく、やさしさを感じつつも一方で力強い芯の強さを感じました。

メッセージ性という観点では日本人としてストレートに響いてこないのが残念なのですが、一方でそういった点を差し引いても彼女のメロウな歌声に徐々にはまっていくような傑作アルバムだったと思います。大絶賛も納得の2016年を間違いなく代表するアルバムと言えるでしょう。

2016年といえば、ご存じの通り、人種差別的な発言も目立ったトランプがまさかの大統領就任ということで大きな話題となりました。ある意味アメリカが秘めている病巣が奇しくもこういう形で表に出てきてしまったわけですが、一方でそんな年にBeyonceに、さらにSolangeが、黒人女性という二重の意味で差別される存在の自立を高く歌い上げた傑作をリリースしてきたというのは実に印象的な出来事と言えるでしょうし、逆にアメリカという国のいい意味での包容力の大きさも感じました。彼女たちのメッセージが今年はより大きな形で実を結べばいいのですが。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Blackstar/David Bowie

2016年になって早々、いきなり音楽ファンに大きなショックを与えたデヴィット・ボウイ急逝のニュース。そんな彼がその死の直前にリリースし結果的に遺作となったのが本作。ジャズミュージシャンを起用して話題となったアルバムは全体的にメロウな雰囲気はあるものの、必要以上にジャズ寄りになることなく、全7曲入りなのですがメロウなメロディーラインを聴かせるような曲からピアノやサックスで賑やかに仕上げたポップ、ドラムのリズムが前に出てくるようなナンバーなど7曲7様。多彩な彼の才能を感じることが出来る作品になっています。

最後の作品がこれだけの充実作というのは実に驚き。逆にだからこそ、このアルバムのリリース直後に届けられたデヴィット・ボウイ死去のニュースが大きな驚きをもって迎え入れられたのですが・・・。最後を飾る「I Can't Give Everything Away」は明るい作風ながらもどこかメロから切なさを感じてしまうあたり、彼自身おそらくこれが最後とわかっていた覚悟の作品だったんだろうなぁ、ということを感じさせてしまいます。多くのメディアに2016年のベストアルバムとして選ばれている本作。正直、香典代わりの評価的な部分もあるとは思うのですが、それを差し引いても2016年を代表する作品という意見には納得が出来る傑作でした。

評価:★★★★★

David Bowie 過去の作品
The Next Day

K2.0/Kula Shaker

1995年にメジャーデビュー。デビューアルバム「K」がいきなり全英第1位となる大ヒットを記録。その当時のブリットポップの流行にのり一躍人気バンドとなったイギリスのロックバンドKula Shaker。その後1999年には解散してしまうものの2005年に再結成。その後数枚のアルバムをリリースしていますが本作は前作「Pilgrim's Progress」から6年ぶりとなる新作となりました。

タイトル通り、デビュー作であり大ヒット作である「K」の続編をイメージさせるような内容。冒頭、いきなりシタールの音色からスタート。もともとインド音楽からの影響が強かった彼ららしい楽曲からスタートします。その後も比較的王道路線のギターロックが多い中、エスニックな雰囲気を醸し出しているのが彼ららしいところ。フォーキーな要素も強く、メロディアスなポップが楽しめる内容になっていました。

彼らのアルバムは一通り聴いているのですが再結成後では一番の出来だったように感じます。良くも悪くも昔の名前で出ています、的な部分は否定できないのですが、昔からのファンにとっては納得が出来る内容だったのではないでしょうか。彼ららしい傑作アルバムだったと思います。

評価:★★★★★

Kula Shaker 過去の作品
Revenge of the king
STRANGE FOLK
Pilgrim's Progress

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2017年1月30日 (月)

「もやもや感」は残るものの

Title:Believer
Musician:槇原敬之

槇原敬之のニューアルバムに関して良かったかどうか、と問われると正直なところかなり難しいという返答になってしまいます。まずここ数年来の最高傑作だった前作「Lovable People」に比べると、そこは超えられなかったな、というのがまずは率直な感想。サウンドがかなり充実しておりバリエーションが多かった前作に比べると本作は良くも悪くもいつも通りのマッキーといった感じで目新しさはなく無難にまとめた感じでしたし、メロディーに関しても全体的には前作には及ばなかったかなぁ、という印象を受けてしまいます。

今回のアルバムでもやもや感を覚えたのは歌詞。えっとねぇ、以前から微妙に感じていたことなんですが、マッキーは社会派な歌詞はやめた方がいいと思うんですよ、本当に。

本作で言えば「Souvenir~思い出~」の中で

「保育所に入れない子供が
溢れているとも言ってる」

という歌詞から続いて

「でもこの年になって思う
生まれてから今日まで
一体何度くらい
父や母と触れ合ったのだろうかと」

(「Souvenir~思い出~」より 作詞 槇原敬之)

うーん、ストレートに言っているわけじゃないんで誤解した解釈かもしれないんですが、この歌詞、「子供を保育所なんかに入れないで手元で育てろよ」という歌詞にもとれるんですよね。それってあんまりにも育児の現場を知らない保育所に関して完全に的外れな意見に思えてもやもやしてしまいました。

どうも彼の考え方って、「右寄り」ではないものの「昔ながらもおやじ保守」的な感じで、古臭くて悪い意味で理想の押し付けみたいな部分を感じてしまいます。視点的に全然物珍しくもないし、この方向性はやめた方がいいと思うの、ファンとしては。

ただ一方で今回のアルバムで断然良かったのはメロディーライン。ここに関してはここ最近、かなり充実している印象を受けます。本作に収録されている「超えろ。」なんかは桑田佳祐が「桑田佳祐が選ぶ2015年邦楽シングルBEST20」で1位にするなど大絶賛していますが、それも納得の、名曲が多い彼の作品の中でも上位に入ってきそうな傑作。特に本作に関してはラスト3曲「理由」「超えろ。」「もしも」の流れは鳥肌もの。かなり充実した内容になっています。

歌詞に関しても相変わらずの「キレイゴト」ソングは多いものの、「運命の人」はまさにマッキーのファンなら「キュン」としそうなラブソングになっていますし、逆に「テレビでも見ようよ」は、もうアラフィフになってしまったマッキーだからこそ歌えるような大人のラブソングに仕上がっています。

まあ上で歌詞に関しての「もやもや」を書きましたがアルバム全体としては「もやもや」は残るものの「Heart to Heart」の時の原発ネタみたいに明確に不快感を覚えるようなことはなく、アルバムの中では「ノイズ」程度。そういう意味では若干気にかかる部分はあるものの、アルバム全体としてはマッキーの魅力を楽しめるアルバムになっていました。

個人的にはここ数年のアルバムの中では「Lovable People」や「不安の中に手を突っ込んで」よりは下、「Dawn Over the Clover Field」よりは上といった感じでしょうか。もろ手あげて絶賛できる傑作まではいきませんでしたが、十分に楽しめる良作に仕上がっていました。特にメロディーの充実度はここ最近続いており、今後が楽しみ。そろそろまた大きいヒットソングが生まれそうな予感も。

評価:★★★★★

槇原敬之 過去の作品
悲しみなんて何の役に立たないと思っていた
Personal Soundtracks
Best LOVE
Best LIFE

不安の中に手を突っ込んで
NORIYUKI MAKIHARA SYMPHONY ORCHESTRA CONCERT CELEBRATION 2010~SING OUT GLEEFULLY!~
Heart to Heart
秋うた、冬うた。
Dawn Over the Clover Field

春うた、夏うた。
Lovable People


ほかに聴いたアルバム

Feast The Beast/THE STARBEMS

ヒダカトオル率いるハードコアバンドの2年ぶりとなる新作。ハードコア、パンク色強いサウンドにヒダカトオルらしいポップなメロというスタイルは以前から変わらず。ただいまひとつメロディーラインの良さが生きていないように感じ、インパクトは薄め。メロディーにもうちょっとインパクトというか、もう一癖ほしいように感じてしまうのですが。

評価:★★★★

THE STARBEMS 過去の作品
SAD MARATHON WITH VOMITING BLOOD
VANISHING CITY

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2017年1月29日 (日)

バンドらしさが前面に

Title:darc
Musician:Syrup16g

ミニアルバムとなった前作「Kranke」以来、約1年半ぶりのSyrup16gのニューアルバム。全8曲入り36分という長さなのですが、一応フルアルバムという扱いらしいです。前作から1年半たってリリースされたアルバムがこの長さというのがちょっと気にかかりますが。

さて、そんな彼らのニューアルバムですが、まずはロック色が強い、というよりもバンドサウンドを前に押し出したような曲が目立ちます。重いドラムスのリズムからスタートする「Cassis soda&Honeymoon」は終始ノイジーなギターとドラムスのリズムが鳴り響く楽曲になっていますし、続く「Deathparade」も鳴り響くギターサウンドがかなりダイナミック。どこか歪んでいるギターの音像もユニークなものがあります。

後半の「Find the answer」「Murder you know」もギターの音が前面に押し出された構成になっておりバンドらしさがまず前に出ている楽曲になっています。前作「Kranke」は全体的にインパクトの薄さを感じるアルバムだったのですが今回のアルバムに関しては、まずこのサウンドが大きなインパクトになっていました。

メロディーラインに関しても「Missing」のような哀愁感あるメロを前に押し出したナンバーやメロディアスな「Murder you know」のような、比較的フックの効いたメロディーの楽曲も多く、そういう意味でも少々薄味だった前作に比べるとしっかりとしたインパクトを感じさせるアルバムになっていました。

ただ一方、若干「薄味」だったのが肝心な歌詞の方。上にも書いた通り、楽曲構成上、五十嵐隆のボーカルがちょっと後ろに下がった影響でしょうか、歌詞についてはいままでの彼らの曲と比べると若干響いてくるものは少な目だったように思います。

若干薄味に感じた最大の理由はインパクトあるフレーズの無さ。毎回、Syrup16gの曲は流して聴いていても思わず耳に飛び込んでくるような、グサっと来る思い歌詞が紛れ込んできます。そんなフレーズをサビの部分で上手く使っていることで楽曲のインパクトが強くなるのですが、今回のアルバムに関しては残念ながらそんなグサっと来るようなフレーズがあまりありませんでした。

もっとも今回のアルバムでもSyrup16gらしい世界観は健在。そういう意味では確かに歌詞のインパクトは薄めかもしれませんが、きちんと聴けばしっかりSyrup16gらしさは歌詞の面でも感じられるアルバムと言えるかもしれません。

そんな訳で、Syrup16gに対して期待するものがすべて詰め込まれた傑作・・・といった感じではないのですが、彼らの魅力はきちんと伝わってくる良作に仕上がっていたと思います。ただ解散前のリリースペースに比べると、ちょっとリリースペースは落ち気味。そういう点は気にかかるのですが・・・次はもっと早いタイミングで新譜を聴けるでしょうか?

評価:★★★★★

Syrup16g 過去の作品
Syrup16g
Hurt
Kranke

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2017年1月28日 (土)

美しくも悲しい世界

Title:LAST WALTZ
Musician:world's end girlfriend

約6年ぶりとなるworld's end girlfriendのニューアルバム。毎回、エレクトロサウンドを軸とした美しくもどこか狂気を秘めたような独特のサウンドとメロディーラインが耳を惹くWEGの世界。そんな中でも久々となる本作はWEGのサウンドがより強烈な独自性を放っていたように感じました。

まずアルバムの中でひとつの軸として流れているのは悲しみを帯びたメロディーライン。美しくも非常に悲しみを感じるメロディーはアルバムの中で統一感を持って流れています。もともと哀愁感あるメロディーラインがWEGの大きな魅力だったのですが今回のアルバムではそのメロディーの美しさと悲しさがより強調されたような内容に仕上がっています。また今回、「in Silence/in Siren」ではゲストボーカルとして湯川潮音を迎えての歌モノとして仕上げており、このメロディーラインがより強調された構成になっていました。

この美しいメロディーラインの中で流れている中、ストリングスやギターサウンド、さらにはエレクトロのサウンドが重ねられて行きます。基本的にはストリングスで美しいメロを奏でつつ、そこにエレクトロサウンドが交錯するようなスタイル。そこにノイジーなギターサウンドが加わりダイナミックに展開するというのが基本的なスタイルとなっています。

このサウンドに関してもいままでのWEGの楽曲と同様のスタイル。ただここに強い実験性を用いてきてひねくれたサウンドを聴かせるいままでのWEGと比べると、比較的「素直」という印象を受けます。様々なアイディアを取り入れつつもアルバムの中で統一感もって流れるメロディーラインをしっかりと支えるようなサウンドになっています。本作ではギターもゲストにdownyの青木裕が参加。ダイナミックなサウンドによりロック色も強く感じられます。最後を締める「LAST BLINK」「NEW KIDS」にはいままでのWEGらしい実験的でフリーキーなエレクトロサウンドも垣間見れるものの、全体的にそのような方向性は抑えめになっていました。

結果として全体的に美しくも悲しい世界観で統一されたアルバムになっていた本作。なんでも今回のアルバム、自身の名前である「world's end girlfriend」がテーマとなっていて公式サイトの紹介文によると「18年間、作家自身が想い描き続けたその名が持つ根源のイメージ。 3.11後の世界、テロの時代における抵抗と祝福。 これまででもっともパーソナルな哲学と領域に深く踏み込んだ作品となっている。」そうです。そのイメージが具体的にどう表現されていたのかはさておき、アルバム全体として間違いなく統一感のある作品になっていたと思います。

いままでworld's end girlfriendの作品は別名義の作品も含めて様々な作品を聴いてきましたが、個人的には本作はその中でもベストの出来だったように感じます。特にWEGの持つメロディーセンスの魅力がよりよく発揮された傑作になっていたように感じました。次から次へと展開される音の世界に魅了された作品。2016年を代表するアルバムの1枚と言える作品です。

評価:★★★★★

world's end girlfriend(world's end boyfriend)過去の作品
空気人形オリジナルサウンドトラック
Xmas Song(2009年)

SEVEN IDIOTS
Xmas Song(2010年)
Xmas Song(2011年)
LIVE​/​10​/​10​/​2015

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2017年1月27日 (金)

時代を超えて

Title:THE TIMERS スペシャル・エディション
Musician:THE TIMERS

今回紹介するアルバムは、忌野清志郎によく似たZERRYというミュージシャン率いる覆面バンド、THE TIMERSが1988年にリリースしたアルバムの再発盤。まあいうまでもなく当時RCサクセションとして活動していた忌野清志郎の別働バンドなわけですが、もともときっかけはいまでもロック史に残る出来事としてよく語られることの多いRCサクセションのアルバム「COVERS」の発売中止事件。これに抗議する意味でゲリラ・ライブを計画したもののRCのメンバーの賛同を得られなかったため、別のメンバーを集めて結成したのがきっかけだそうです。

THE TIMERSという名前、ザ・タイガーズのもじりということになっているそうですが今回のアルバムにも収録されている「タイマーズのテーマ」などを聴く限り、あきらかに大麻とかけているバンド名。今回の再発、発売から28年目という特に区切りのいい年でなく、また昨今、例の高樹沙耶の事件などで大麻がネガティブな意味で注目される中、あえてこのアルバムを再発したユニバーサルに拍手(笑)。

今回のTHE TIMERSの再発盤、オリジナルの17曲に2006年の再発の時にボーナストラックとして加わった2曲の計19曲が収録されたDisc1に、レア音源などが収録されたDisc2の2枚のCD、さらには彼らが最初に登場した1988年8月の富士急ハイランドでのライブやその年の学園祭ライブの模様、さらにはPVを収録したDVDがセットになった3枚組となっています。

私は今回の再発盤ではじめて本作を聴きました。まず彼らの曲を聴いて感じた感想としては、楽曲にあまり作り込まれていないという意味での「粗さ」を感じました。それは彼らがゲリラバンドというスタイルをとっているからこそ、作り込むよりも本人たちの主張を前面に押し出し、勢いを重視したパンキッシュな曲作りにしているからなのでしょう。

歌詞もその時だからこそ歌えたような歌詞も目立ちます。例えば「偉人のうた」はあきらかに「COVERS」を中止に追い込んだ東芝EMIや親会社の東芝のお偉いさんを皮肉った曲ですし、「税」はちょうど1989年の消費税導入というニュースが背後にあります。また「牛肉・オレンジ」はちょうどその当時騒がれた牛肉・オレンジの輸入自由化が背景にあるだけに今聴くと、なんでこんな歌が歌われたのか不思議に思うかもしれません。

しかし一方で時代を超えて歌い継がれるような曲も収録されている点が忌野清志郎のすごさでしょう。その代表格が「デイ・ドリーム・ビリーバー」。いまでもセブン・イレブンのCMソングとしてテレビから流れ続けているこの曲は、もともとはアメリカのアイドルバンド、モンキーズの曲ですが、いまや清志郎のカバーが日本ではスタンダードナンバーになりつつあります。

また歌詞についても強烈に社会を皮肉った歌詞が今でも十分通用するものも少なくありません。この歌詞について非常にユニークなのは(タイマーズに限らず清志郎の曲に共通する特徴でもあるのですが)、社会問題について真正面から論じるのではなく、どちらかというと社会問題やその時の権力者を斜めから笑いと共に皮肉るような歌詞がほとんどという点でしょう。どちらかというと世間をおちょくったような歌詞が多く、明確な主義主張を唱えるような曲は多くありません。そのため反権力的、どちらかというと左寄りの彼の主張に賛同しなくてもおそらく思わず笑ってしまって楽しめるような曲になっています。

ただそんな中、明確な自己主張を感じるのが「LONG TIME AGO」。この曲の中では明確に原子力発電を否定しています。忌野清志郎は福島原発の事故の前にこの世を去ってしまいましたが、福島原発の事故があった今なら彼はどんな歌を歌っていたんだろうか・・・そんなことを考えてしまいます。

ちなみにDVDの方は、今から見るとかなり粗い映像に。ただその当時の空気感は伝わってくるような内容になっていますし、なによりTHE TIMERSに対する観客からのリアルタイムの反応を知ることが出来るという意味で非常に貴重なドキュメンタリーと言えるかもしれません。

時代性を感じる部分が多い反面、時代を通じて今でも通用する魅力を感じることの出来る作品だったと思います。なによりも忌野清志郎の魅力が存分に伝わってくるアルバムでした。

評価:★★★★★

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2017年1月26日 (木)

ベスト3入れ替わり

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

先週までSMAPとback numberのベスト盤がベスト3に並んでいましたが今週は両作ともベスト3落ち。ベスト3前作が入れ替わっています。

まず1位を獲得したのがEXILEの事務所、LDH所属の女性アイドルグループの合同グループ、E-girlsのオリジナルアルバム「E.G.Crazy」でした。初動売上は9万3千枚。直近作はベスト盤「E.G.SMILE-E-girls BEST-」の17万4千枚(2位)からはダウン。オリジナルとして前作「E.G.TIME」の6万4千枚(2位)よりアップしていますが、こちら2015年の1月1日木曜日リリースという特殊な形態で翌週の売上は7万5千枚(1位)に上昇しているため単純比較はできません。

2位初登場はINABA/SALAS「CHUBBY GROOVE」。こちらはB'zのボーカリスト、稲葉浩志とアメリカのセッションギタリスト、スティーヴィー・サラスとのコラボアルバム。稲葉浩志のソロとしては約2年半ぶりのアルバム。初動売上6万枚は、稲葉浩志のソロアルバムの前作「Singing Bird」の7万8千枚(1位)からダウン。ただ一般的に売上が大きく落ちがちなこの手のコラボ作としては健闘した感じでしょうか。

3位も初登場。TAECYEON (From 2PM)「TAECYEON SPECIAL ~Winter 一人~」。ミュージシャン名義どおり、韓国の男性アイドルグループ2PMのメンバーによる、日本で初となるソロアルバムです。初動売上は3万9千枚。

続いて4位以下の初登場盤です。5位には「『ペルソナ5』オリジナル・サウンドトラック」が初登場でランクイン。人気RPGゲーム「ペルソナ5」のサントラ盤。初動売上で2万9千枚を記録してこの位置にランクインです。

初登場は今週はもう1枚のみ。6位にSKY-HI「OLIVE」が入ってきました。SKY-HIはavexのダンスグループAAAのメンバー、日高光啓のソロでの名義。これが3枚目となるオリジナルアルバムで、初動売上1万7千枚は前作「カタルシス」の1万3千枚(5位)からアップしています。

今週、初登場は以上ですが1枚、ベスト10圏外からの返り咲きがありました。それが先週の11位から10位にランクアップした宇多田ヒカル「Fantome」。売上枚数も先週の8千枚から1万枚にアップ。リリースは昨年の9月ですからかなりのロングヒットを続けており、その人気のほどを感じさせます。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に。

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2017年1月25日 (水)

なんと7週連続

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

ロングヒットを続けています。

今週1位は7週連続1位となる星野源「恋」が獲得。先週は2位に終わったMr.Children「ヒカリノアトリエ」との順位に疑問符がつく結果となりましたが、今週はCD販売・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)、PCによるCD読取数、You Tube再生回数で1位、ラジオオンエア数26位、Twitterつぶやき数10位と足を引っ張りましたが、一方CDリリースにあわせて先週の49位から2位にランクアップした三浦大知「EXCITE」は実売数2位、ラジオオンエア数22位、PCによるCD読取数4位、Twitterつぶやき数16位、You Tube再生回数22位ですから、今回は納得の1位獲得といった感じ。相変わらずの強さを感じます。ちなみにミスチル「ヒカリノアトリエ」は今週3位でした。

ちなみにオリコンでは「恋」は8位。1位は三浦大知「EXCITE」でした。本作はテレビ朝日系「仮面ライダーエグゼイド」主題歌。初動売上2万9千枚は前作「(RE)PLAY」の1万4千枚(10位)からアップ。1位としては若干寂しい数値なのですが、デビューから20年目にしてアルバムシングル通じて初の1位獲得となっています。ちなみ彼、デビュー20年目のベテランなのですが、まだ29歳、20代です(^^;;

続いて4位以下の初登場曲ですが、今週は同じ映画がらみの曲が3曲ランクインしています。まずグリーンボーイズ「キセキ」が7位、「声」が8位にランクイン。こちらGReeeeNの代表曲「キセキ」の誕生秘話を描いた映画「キセキ あの日のソビト」に出演し、GReeeeNのメンバーにあたる役柄を演じる俳優、菅田将暉、横浜流星、成田凌、杉野遥亮による劇中グループ。どちらもGReeeeNの曲のカバー。ただ、基本的に俳優がGReeeeNにふんして歌うというスタイルなだけに声色、歌い方含めてカバーというよりも「コピー」に近い出来となっています。シングルリリースは1月24日でオリコンでのランクインは来週になりそうですが、それに先駆けて「声」が先行配信にあわせ初登場でランクイン。「キセキ」も実売数は18位ながらもTwitterつぶやき数で1位を獲得した影響で、先週の43位からランクアップしベスト10入りとなりました。

そして今週、本家本元GReeeeN「キセキ」も9位にランクイン。実売数こそ42位でしたが、Twitterつぶやき数2位、You Tube再生回数で7位を獲得し(相変わらずTwitterつぶやき数の比重が高すぎるんではないかという疑念はありますが)、先週の25位からランクアップしています。

今週は他にもベスト10返り咲き組が。欅坂46「二人セゾン」が先週の12位から5位へアップ。2週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。また他にもRADWIMPS「前前前世」が9位から4位、ピコ太郎「ペンパイナッポーアッポーペン」が7位から6位にランクアップ。全体的に強力な新譜が少な目だった影響もあるのでしょうが、ロングヒット曲の活躍が目立ちました。

今週のHot100は以上。アルバムチャートはまた明日に。

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2017年1月24日 (火)

際立つ5人の個性

Title:METAHALF
Musician:METAFIVE

高橋幸宏、小山田圭吾、砂原良徳、TOWA TEI、ゴンドウトモヒコ、LEO今井という豪華メンバー5人組によるスーパーグループ、METAFIVE。昨年1月にはアルバムをリリースし大きな話題となりました。全員が売れっ子という豪華メンバーによるユニットだけに今後の行方が気になるところでしたが早くもミニアルバムをリリース。メンバーの積極的な活動がうれしいところです。

アルバム「META」ではメンバー全員が2曲ずつ持ち寄って、それぞれメンバーの個性が絶妙に曲に反映されているところがとてもおもしろさを感じました。今回のアルバムもわずか5曲入りながらもメンバーそれぞれの個性を感じられユニーク。アルバム全体としてはエレクトロポップというゆるいつながりを持ちながらも、5曲がそれぞれ個性を放っている曲になっています。

例えば1曲目「Musical Chairs」は軽快でファンキーなリズムが楽しいエレクトロポップにまりんらしさを感じますし、続く「Chemical」などイントロの音で「あ~これはコーネリアスだ」とわかるほど小山田圭吾の個性をバリバリ出した楽曲になっています。「Egochin」はゴンドウトモヒコと高橋幸宏がアイディアを出したポップチューンなのですが、ちょっとけだるい雰囲気のあるエレクトロポップは高橋幸宏らしさを強く感じました。

わずか5曲のミニアルバムながらもそれぞれの色が際立っており、アルバム全体のまとまりとしては「META」よりも薄かったように感じます。ただ一方逆に、わずか5曲入りのミニアルバムだからこそ、下手に統一感を出すことはせずに、それぞれ好き勝手に曲を作ったのかもしれません。

それだけにこのアルバムでもしっかりとメンバーそれぞれの個性が際立っていました。もちろんLEO今井のボーカルもその端正さから楽曲にいい意味でのポピュラリティーをつくっています。ミニアルバムながらもしっかりとMETAFIVEらしさを感じられる傑作だったと思います。次のアルバムにも期待したいところですが・・・これからもコンスタントに活動を続けてくれるのかなぁ?

評価:★★★★★

METAFIVE 過去の作品
META


ほかに聴いたアルバム

IKI/ヒトリエ

前作「DEEPER」からわずか10ヶ月のインターバルでリリースされたヒトリエのニューアルバム。ご存じの通り、ボカロPとしても活躍しているwawoka率いるロックバンドなのですが、ハイテンポなリズムに詰め込んだサウンドと歌詞という、ある意味いかにもボカロ系の曲をバンドでやりました的な曲が特徴的で本作も冒頭はそんな曲が続くのですが、後半に関してはテンポを落として比較的バリエーションあるギターロックが並びます。いままで彼らの曲はどれも似たり寄ったりという印象だったのですが、今回のアルバムでは一皮むけたように思います。次の活躍に期待できそうな1枚でした。

評価:★★★★

ヒトリエ 過去の作品
イマジナリー・モノフィクション
モノクロノ・エントランス
DEEPER

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2017年1月23日 (月)

邦洋問わず幅広くコラボ

Title:THE FEAT.BEST
Musician:AI

2015年にベスト盤をリリースしたばかりのAIですが、その第2弾がリリースされました。今度のアルバムは「THE FEAT.BEST」。彼女が他のミュージシャンとコラボした作品、彼女が他のミュージシャンの作品にゲストとして参加した作品を集めたベストアルバムとなります。

思えばAIというボーカリスト、その歌唱力については文句なしである一方、声質はしゃがれ声で失礼ながら「美声」といったイメージはありません。それにも関わらず数多くのミュージシャンたちの作品にゲストとして参加しているのはやはりその歌唱力があるからなのでしょう。また彼女の独特のしゃがれ声を曲の中で大きなインパクトとして使用しているから、という点もあげられるでしょう。

AIがコラボしているミュージシャンは日本のみならず海外のミュージシャンとのコラボも少なくありません。本作に収録している曲ではThe Jacksonsをフィーチャリングした「Letter In The Sky」は秀逸。それに続きBoyz II Menとのコラボ作「Incomplete」へと続くのですが、このメロウなボーカリストとのコラボの連続にはうっとり。それに続くのがEXILE ATSUSHIと組んだ「No more」となるのですが、申し訳ないのですがボーカリストとしての実力の落差にガクッときてしまいました。

彼女のボーカルにマッチしているというとインパクトが多かったのがK'naanの作品にゲストで参加した「Wavin'Flag」。彼女の声質的にはトライバルな作風や力強い作風の曲によりマッチしているように思います。他にも加藤ミリヤとVERBALと組んだ「RUN FREE」やCharの作品にゲストボーカルとして参加したロックナンバー「No Generation Gap」など、ダイナミックなナンバーの方がより彼女のボーカルが際立つように思いました。

そういう意味でも印象が強かったのが同じくパワフルな女性シンガーとしてその歌唱力に定評がある福原美穂とのコラボ「O2」。ある意味、似たようなベクトルを向いたシンガー同士のコラボなのですがパワフルなツインボーカルが実に迫力あり魅力的なナンバーになっていました。また同様、安室奈美恵との相性もいいですね。本作でも彼女とのコラボでは「Wonder Woman」「FAKE」が収録していますが、同じくパワフルなボーカリスト同士ながらも声質のベクトルが微妙に違うだけに、安室奈美恵とAI、両者のボーカリストとしての色がきちんと生きたコラボになっています。

また本作の1曲目に収録されている宇多田ヒカルとのデゥオ「FINAL DISTANCE」も印象に残ります。ボーカリストのタイプとしては両者、ちょっと異なる方向性を向いているので若干、「異種格闘技」的なチグハグさも感じなくはないのですが、このチグハグさもまた味として印象に残るデゥオに仕上がっていました。

R&B、ソウルを中心にロックからHIP HOP、ポップにレゲエと幅広い作品でのコラボが楽しめる作品。統一感は少ないのですが、この統一感のない曲を卒なくこなすAIに、そのボーカリストとしての実力を感じたベストアルバムでした。

評価:★★★★★

AI 過去の作品
DON'T STOP A.I.
VIVA A.I.
BEST A.I.
The Last A.I.
INDEPENDENT
MORIAGARO
THE BEST

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2017年1月22日 (日)

2016年を代表する重要盤(?)

Title:PPAP
Musician:ピコ太郎

ある意味、2016年に最も話題となった曲「PPAP」。アメリカビルボードでもランクインするなど世界的な話題となりましたが、それに続いてまさかのアルバムまでリリースという運びになりました。

おそらくこのCDを買った方の多くは、5年後くらいに棚の奥にしまわれたこのCDを見て、「私、なんでこんなCD買ったんだろう?」と思いながらブックオフに売りに行くと、同じCDが1枚100円の棚に大量に並んでいる・・・・・・・そんな「未来」を想像してしまいます。

なんてこと言いつつ私もこのアルバムを聴いている訳ですが、まずこの作品で一番感心したのは全編ネタに終始しているということでした。この手のお笑いのアルバムも嫌いじゃないので気になるアルバムを聴いたことは何度もあるのですが、コメディアンのお笑いのアルバムでもどこか「ミュージシャンとして認められたい」的な意識があるのか、アルバムの中に1曲ほどお笑いネタ全くなしの真面目な曲が収録されたりするケースが少なくありません。

もちろんそのこと時代は否定しません。ただそういった「真面目な要素」を一切抜きとしてネタに徹している彼のスタイルはある種の潔さを感じます。まあ、そういう「PPAP」の「KOSAKA DAIMAOU REMIX」が2曲ほど収録されているので「ミュージシャンとして認められたい」的欲求はそちらで満たそうとしているのかもしれませんが。

ネタ的には中毒性は高いのですがおもしろいかと言われれば微妙・・・まあ、お笑いのセンスなど人それぞれなので、なんとも言えないのですが、「PPAP」同様、リズムのユニークさと勢いで押しているようなネタが多いので、そういう意味では好き嫌いは別れそうにも思います。

ただ、ここも本作で感心した要素の一つなのですが、音楽的要素と「ネタ」を上手くからませたような作品が目立ちました。サウンド的には今はやりのEDM調がメインなのですが、これがリズムネタには非常によい親和性を見せています。また個人的に数少ない笑えるネタだった「ヒヨコ選別」も「オス!メス!」というリズムを上手くメタルのサウンドにのせており、このメタルのサウンドをオチとの落差にもうまく利用していました。

ちょっと残念だったのはこれは薄々感じていたのですが、You Tubeにアップされること前提で映像とあわせて笑えるネタも少なくなく、「DVD付」バージョンもリリースされていますが、音源だけで聴くと物足りない部分も。特に「ネオ・サングラス」なんて映像がないとオチの意味が分からないし・・・。

まあ笑えるネタは少ないものの「PPAP」同様、妙に中毒性の高いネタが多く、また1曲あたり長くて1分程度(1曲だけ3分の曲がありましたが)という内容でサクサクと進むため、最後までダレずに楽しめることの出来たアルバムだったと思います。冒頭に「5年後くらいに・・・」とネガティブにスタートしましたが、確かに「時代を超えた名曲」というのも重要ですが、こういう一瞬だけ大ヒットして忘れ去られる典型的な時代の徒花的ヒットも、音楽シーンを彩る重要な要素だと思います。そういう意味でも「2016年を代表する重要盤」と言えるかもしれません。少なくとも2016年の今(レビューにアップしたのは2017年ですが)十分楽しめるアルバムだったと思います。

評価:★★★★

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2017年1月21日 (土)

構想50年、制作日数3日

Title:Blue&Lonesome
Musician:The Rolling Stones

おそらく2016年最大のニュースの1つでしょう。11年ぶりとなるTHE ROLLING STONESのニューアルバムがリリースされました。それもある種の驚きをもって迎え入れられたのがこの久々となる新作、純然たるオリジナルではなくブルースのカバーアルバムだったということ。彼らの音楽的ルーツはブルースであり、デビュー当初は基本的にブルースのカバーがメインだったというのはファンならだれもが知っていることかと思います。ただデビューから50年以上が経過した今、あらためてブルースのカバーアルバムをリリースするというのは非常に大きな驚きでした。

まず本作で一番気になった点はデビューから50年以上が経過した今、どのようなカバーになるのか、ということでした。それでまず本作を聴いた時の第一印象なのですが・・・予想以上に「ブルース」している、と感じました。彼らのブルースのカバー、特にデビュー当初のカバーはブルースをロックンロールにアレンジしており、今回のアルバムもブルースを基調にしながらも基本的にはロックのアルバムになるのでは、と予想していました。そのため思った以上にブルースそのままのカバーに少々驚きました。

今回彼らが選曲したのは主に50年代から60年代のブルースの名曲たち。HOWLIN' WOLFやMAGIC SAM、JIMMY REEDなどといった有名どころが並んでいます。取り上げている曲は、MAGIC SAMの「All Of Your Love」やOTIS RUSHの「I Can't Quit Your Baby」などのスタンダードナンバーも取り上げていますが、さほどメジャーでもない曲も取り上げており、彼らならではのこだわりも感じます。

そんな中で目立つのはLITTLE WATERの取り上げ方。タイトル曲「Blue And Lonesome」含め4曲もカバーしています。LITTLE WATERといえば、それまで脇役だったブルース・ハーモニカを主役の位置に押し上げたことで知られるブルース・ハーモニカの革命者とも呼ばれるミュージシャン。今回取り上げられた4曲ではいずれもそのブルース・ハーモニカの演奏を忠実に再現しており、ミック・ジャガーが実に楽し気に、ハーモニカを吹きまくっているのが印象に強く残るカバーに仕上がっています。

そんな訳で基本的にカバーは原曲に忠実なカバーがメイン。ハーモニカやギターフレーズもしっかりとカバーしています。そこにはブルースに対する強い敬愛を感じるのですが、同時に大ベテランとなった彼らが、ブルースをそのままカバーしたとしてもしっかりとローリング・ストーンズとしての色を出せるという自信も感じさせます。

一方で原曲を微妙に変えてきている曲もあったりするのもユニーク。例えばもっとも印象に残ったのがMAGIC SAMの「All Of Your Love」。原曲で印象的なMAGIC SAMの独特なギターの音色がストーンズのカバーではガラッと変えられています。原曲そのままだとあまりにMAGIC SAMの色が出すぎるという判断なのでしょうが、ただ原曲を変えてもストーンズ流のブルースをしっかりと奏でることが出来るという、こちらにも彼らならではの自信が垣間見れました。

本作のキャッチフレーズに構想50年、制作日数3日というものが用いられていました。確かに今回のアルバム、彼らの50年にも及ぶバンド活動があったから出来上がったアルバムでしょう。一方、わずか3日のレコーディングで制作されたというあたり、それだけ本作への熱の入れ方の強さを感じさせます。実際、それだけの熱を聴いていても感じられる傑作アルバムになっていました。今だからこそできた、ローリングストーンズの素晴らしいブルースアルバムだったと思います。

ちなみに・・・

今発売中の音専誌「BLUES&SOUL RECORDS」。本作を特集として取り上げているのですが、付属するCDでは本作でカバーした曲の原曲をすべて収録。著作権の関係をよくクリアできたな、と関係者の尽力に敬服します。雑誌なので、時間がたつと入手困難になるかもしれませんが・・・原曲を聴きたいという方には最適なので、本作を聴いてブルースも聴いてみようかな、と思った方は是非。

評価:★★★★★

The Rolling Stones 過去の作品
Shine a Light: Original Soundtrack
Some Girls LIVE IN TEXAS '78
CHECKERBOAD LOUNGE LIVE CHICAGO 1981(邦題 ライヴ・アット・ザ・チェッカーボード・ラウンジ・シカゴ1981)
(MUDDY WATERS&THE ROLLING STONES
GRRR!
HYDE PARK LIVE
Sweet Summer Sun-Hyde Park Live
Sticky Fingers Live

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2017年1月20日 (金)

歌詞の世界が印象的

Title:woman's
Musician:My Hair is Bad

これが2枚目のフルアルバムとなる新潟県出身の3ピースロックバンド、My Hair is Bad。最近、人気上昇中でメジャーでのはじめてのアルバムとなる本作はアルバムチャートで5位を記録。一気にブレイクを果たしています。

タイプ的にはどちらかというと悪い方の意味で最近、よくありがちなロックバンド。ハイトーン気味なボーカルにちょっとメロコア的な要素も入っているようなハードだけどシンプルなギターサウンド。なおかつメロディーラインは非常にポップでキャッチー。ジャンル的には「オルタナ系ギターロック」になるのでしょうが、洋楽からの直接的な影響はほとんど感じずルーツレスなサウンドになっています。

ここ最近、このタイプのバンドが雨後のたけのこのように出てきては簡単にブレイクしてしまう傾向が強くなっています。この手のバンドの最大のメリットは幅広いリスナー層が簡単に盛り上がれるという点。要するに完全に最近バブル気味の夏フェス対応のバンドといった感じ。正直言ってしまえば若干「飽き飽きしている」という印象すらこの手のバンドには抱いてしまっています。

彼らに関しても、アルバムを聴き始めたものの正直なところあまりネガティブな感想を抱きつつ聴きはじめました。サビ以外の部分が語りという構成の「戦争を知らない大人たち」やちょっとメタリックな「mendo_931」、韻を踏んだラップ気味なボーカルが印象的な「沈黙と陳列 幼少は永遠へ」などそれなりにバリエーションを出そうとしている部分は感じるものの、全体としては上にも書いた、いかにも夏フェス受けしそうな、という印象は否めませんでした。

ただメロディーとバンドサウンドに関してはさほどポジティブな印象を受けなかった彼らですが、聴いていて楽しめたのがその歌詞でした。歌詞はほぼ全編がラブソング。それもどちらかというと情けない感じの男性の純情的な恋心を描いたような歌詞。具体性があり、どこか四畳半フォーク的な郷愁感も帯びているのが非常に印象に残ります。

例えば同棲していた恋人との別れを描いた「グッバイ・マイマリー」など

「二人でよく行った五百円の飲み放題
薄めで頼んだレモンハイ
たった二杯でほっぺ赤った
酔っ払った君は特に可愛かった
デザートは酒肴になるんだって
得意げに二つ頼んでた」

(「グッバイ・マイマリー」より 作詞 椎木知仁)

なんてどこか2010年代の「神田川」的な雰囲気すら感じてしまいます。また今回のアルバムの中で特に印象的だったフレーズが「真赤」の冒頭。

「ブラジャーのホックを外す時だけ
心の中までわかった気がした」

(「真赤」より 作詞 椎木知仁)

という歌詞なんてなかなかうまい表現だなぁ、と思ったりします。

正直歌詞についても曲によってはありがちな陳腐な表現で、悪い意味でベタだなと感じてしまう曲もありませんでしたが、この歌詞の世界観がMy Hair is Badの最大の強みに感じました。

サウンドとメロディーラインだけならば正直★★★といった感じ。ただ歌詞が良かっただけに↓な結果に。歌詞を含めてまだまだ成長の途上のような印象も受けますが、とりえあずは凡百な夏フェス対応バンドの中では個性は出せているかな、といった印象を受けました。

評価:★★★★

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2017年1月19日 (木)

見事2作同時ランクイン!

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週、なんと同一のアルバムが2枚同時にランクインしています。

今週1位を獲得したのは、今、おそらくもっとも勢いのあるロックバンド、ONE OK ROCK「Ambitions」が獲得しています。初動売上23万2千枚は前作「35xxxv」の初動16万4千枚(1位)を上回り圧倒的な人気で1位獲得。その強さを見せつけました。

さらに今回、彼らが海外でリリースした「Ambitions(Int'l Ver.)」の輸入盤が初動売上3万7千枚で4位を獲得。本作、国内盤収録曲を英語ヴァージョンで収録しているほか、輸入盤のみで収録している曲もあり、おそらく国内盤を買ったファンが輸入盤も買った結果と思われます。そのため、同一のアルバムが今週のオリコンチャートでは同時にランクインした結果となったのですが、オリコンによると「同一アルバム作品の国内盤と輸入盤が同時にTOP5入りしたのは史上初」だそうです。ちなみに記事では「TOP5入りしたのは史上初」と書いてあるのですが、どういうことはベスト10に同時ランクインという記録だったらあったんでしょうか?ちょっと調べてみたのですが、よくわからなかったので・・・。

2位は先週3位だったSMAP「SMAP 25 YEARS」がワンランクアップ。3位にはback number「アンコール」が2位から3位にダウン。先週からこの2枚の順位が入れ替わる結果となりました。

さて、4位以下初登場ですが、今週はロックバンドが目立つチャートとなっています。既に紹介したONE OK ROCKの2作にback number、さらにはBLUE ENCOUNT「THE END」が7位、Mrs.GREEN APPLE「Mrs.GREEN APPLE」が9位とそれぞれ初登場でランクインしています。

BLUE ENCOUNTはこれがメジャー2作目となるロックバンド。前作「≒」で初のベスト10入りを記録しましたが、続く本作もベスト10入りとなりました。初動売上1万3千枚は前作の初動1万枚(10位)からアップしています。Mrs.GREEN APPLEはポップ色の強い5人組ロックバンド。こちらも前作「TWELVE」で初のベスト10ヒットを記録しています。初動売上1万2千枚はその前作の初動9千枚(10位)からアップ。

他の初登場は・・・6位には人気声優内田真礼のミニアルバム「Drive-in Theater」がランクインしています。初動売上1万5千枚は前作「PINKI」の1万4千枚(6位)から微増。しかし「ドライブインシアター」って久しぶりに聞いた名前だな・・・バブル期に一時期はやったよなぁ。彼女、27歳のようなのですが、「ドライブインシアター」って名前、知っていたんでしょうか?

8位にはMAG!C☆PRINCE「111」がランクイン。東海地方を中心に活動を続ける男性アイドルグループでこれがデビューアルバム。初動売上1万2千枚でベスト10入りを記録しています。

最後10位には「THE IDOLM@STER LIVE THE@TER FORWARD 02 BlueMoon Harmony」がランクイン。ゲーム「アイドルマスター ミリオンライブ!」のキャラクターソングシリーズの第2弾。初動売上9千枚は同シリーズの前作「THE IDOLM@STER LIVE THE@TER FORWARD 01 Sunshine Rhythm」の8千枚(8位)から若干のアップとなりました。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に。

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2017年1月18日 (水)

6週連続1位だが・・・。

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

これで6周連続1位ですが・・・

今週1位は星野源「恋」。これで6週連続1位獲得となりました。ただ今週、CD売上・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)は2位、ラジオオンエア数は6位、PCによるCD読取数2位という結果。一方、今週初登場で2位を獲得したのがMr.Children「ヒカリノアトリエ」。こちらは実売数、ラジオオンエア数、PCによるCD読取数いずれも1位獲得。一方、Twitterつぶやき数は「恋」が2位に対して「ヒカリノアトリエ」が11位、You Tube再生回数は「恋」が1位で「ヒカリノアトリエ」は圏外という結果になっています。

結果、Twitterつぶやき数とYou Tube再生回数が物を言って「恋」が1位獲得となったのですが・・・これ、いくらなんでもおかしくないか??以前からTwitterつぶやき数の異常なまでの偏重が気になっていたのですが、それが如実に出た結果に。ここらへん、各チャートについてどんな配分になっているのか情報を公開しないとチャートの信頼性が薄れる結果になると思うんですが。

ちなみにオリコンでは「ヒカリノアトリエ」が1位獲得。初動売上10万枚は前作「足音~Be Strong」の11万4千枚(2位)から若干のダウンとなりました。

3位はEXILEの事務所LDH所属の女性アイドルグループFlower「モノクロ」がCDリリースにあわせて圏外からベスト10入り。実売数3位、PCによるCD読取数6位、Twitterつぶやき数4位と上位にランクインした一方、ラジオオンエア数34位、You Tube再生回数86位と奮いませんでした。ちなみにオリコンではこちらが2位初登場。初動売上4万枚は前作「やさしさで溢れるように」の4万9千枚からダウンとなりました。

続いて4位以下の初登場曲です。まず4位にONE OK ROCK「We are」がランクイン。今週のアルバムチャートで上位にランクインしているアルバム「Ambitions」の収録曲。実売数は18位でしたが、ラジオオンエア数で2位、Twitterつぶやき数で1位、You Tube再生回数で5位を記録し、見事初登場でこの位置にランクインしました。

5位初登場は宇多田ヒカル「光-Ray Of Hope MIX-」。こちら彼女が2002年にリリースしたシングル「光」を、トラックメイカーのPUNPEEがリミックスしたもの。配信限定のシングルでゲームソフト「キングダムハーツ HD2.8 ファイナルチャプタープロローグ」テーマソングとして使用されています。実売数5位、ラジオオンエア数12位、Twitterつぶやき数9位を記録しています。

6位にはスターダストプロモーション所属の男性アイドルグループM!LK「疾走ペンデュラム」が初登場でランクイン。実売数4位ながらもPCによるCD読取数24位、Twitterつぶやき数25位、さらにラジオオンエア数は圏外と足を引っ張る結果になっています。オリコンでは初動売上3万5千枚で3位初登場。前作「夏味ランデブー」の3万1千枚(4位)からアップ。

今週のHot100は以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2017年1月17日 (火)

偉大なるバンドのドキュメンタリー

久しぶりに音楽ドキュメンタリーの映画を見てきました。それがこれ!

Oasis_supersonic

ご存じ90年代後半から2000年代にかけて一世を風靡したイギリスのロックバンドoasis。その彼らを追った初となるドキュメンタリー映画「oasis:supersonic」。昨年末から全国で公開されていたのですが、ちょっと遅ればせながら見に行きました。

で、その感想なのですが・・・

めちゃくちゃおもしろかった!!

まあ単純に私がoasisの大ファンであるということも理由のひとつなんですけどね。その点を差し引いても音楽ドキュメンタリー映画として非常によく出来た、oasisの熱心なファンでなくても楽しめる映画となっていました。

映画はoasisの歴史について、1996年8月に、2日間で25万人を集めたというネブワースでの野外ライブまでを描いた内容。いわばoasisが急激に世界的なビックバンドになっていく過程を追ったドキュメンタリーとなっています。

今回、この映画がおもしろかったのはその作り方。この手のドキュメンタリー映画は(特に海外のは)得てして関係者をウエストアップかバストアップで撮りつつその証言を流すという手法を良くとられます。それはそれで興味深い発言が聴けますしおもしろいのですが、絵としてはちょっと退屈に感じられるケースが少なくありません。

今回の映画も関係者の証言を中心とした構成となっているのですが、「絵」としては貴重な映像、写真をつなぎあわせるスタイル。途中、映像や写真のない部分はアニメーション的な手法を用いており、映画として見ていて飽きません。また証言を行うのもなによりメインとなるのはノエル・ギャラガー、リアム・ギャラガーという張本人たち。その2人がそれぞれoasisの活動を振り返っているわけですから、ファンとしてワクワクせざるを得ません。

以下ネタバレの感想

続きを読む "偉大なるバンドのドキュメンタリー"

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2017年1月16日 (月)

昔と今がバランスよく同居

Title:DARKNESS AND LIGHT
Musician:JOHN LEGEND

昨年のグラミー賞で映画「グローリー/明日への行進」の主題歌「グローリー」がアカデミー賞主題歌賞を獲得するなど、相変わらずの活躍と高い評価を受けているJOHN LEGEND。毎回、ソウルフルな歌声と往年のソウルミュージックから強い影響を感じる楽曲で魅了してくれる彼ですが、今回もその期待にそぐわない傑作を聴かせてくれました。

まず1曲目「I Know Better」からまず耳を惹きます。ピアノとオルガンの音色をバックに歌い上げるゴスペルナンバー。力強い彼の歌声に非常に心奪われる作品になっています。「Right By You」などもジャジーなサウンドをバックに聴かせる彼のソウルフルな歌声がたまりません!

そんな「古き良き」サウンドを引き継ぎつつも、きちんと今にアップデートしているのが彼の大きな魅力と言えるでしょう。先行シングルともなった「Love Me Now」では今、注目を集めている新進気鋭のプロデューサーBlake Millsを起用。JOHNのボーカルを生かしたような空間的広がりを感じるリズミカルなトラックが印象に残ります。そのBlake Millsがプロデュースを手掛けたことでも知られるAlabama ShakesのBrittany Howardもタイトル曲「Darkness and Light」に参加。Alabama Shakesを彷彿とさせるようなファンキーでグルーヴィーなリズムが耳を惹くナンバーとなっています。

ゲストで言えば、今、もっとも注目を集めているラッパーともいえるChance The Rapperが「Penthouse Floor」に参加しそのラップを聴かせてくれますし、音的には「Same Old Story」のような音数を絞りつつピアノを美しく聴かせるアレンジに、今風なものを感じます。ちなみにこの曲、途中のボーカルにエフェクトをかけてくるあたりも最近の流行を取り入れているようにも感じました。

アルバム全体としては彼のソウルフルな歌声で60年代ソウルのテイストを色濃く残しつつも、新進気鋭のミュージシャンたちを起用し、2010年代の音にアップデートした作品に仕上げてきています。昔の良さを残しつつ、今の良さもきちんと取り入れるバランス感覚の良さ、前作「LOVE IN THE FUTURE」でもその方向性を強く感じましたが、今回のアルバムではその方向をより強く感じさせてくれました。

前作では、このバランス感覚の良さゆえのある種の無難さも感じたのですが、今回は「今風」の音がより前に押し出されたゆえに、より挑戦心も感じさせるアルバムだったと思います。2016年の最後に登場した2016年を代表しそうな傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

John Legend 過去の作品
once again
WAKE UP!(John Legend&The Roots)
LOVE IN THE FUTURE


ほかに聴いたアルバム

Nina Revisited:A Tribute to Nina Simone

1950年代から活躍し、アメリカを代表するジャズシンガーとして知られるニーナ・シモン。黒人公民権運動にも積極的に参加してきた彼女。そんな彼女の業績をたたえたドキュメンタリー映画「What Happened, Miss Simone」が制作されましたが、その映画と連動する形で彼女へのトリビュートアルバムがリリースされました。

アッシャー、コモン、メアリー・J.ブライジなど豪華なメンバーが参加した本作ですが、このアルバムがなにより話題となったのはあのローリン・ヒルが本作で復帰したということ。非常に力強い歌声を聴かせてくれ、その健在ぶりをアピールしています。ただ彼女の曲に限らず、メロウでソウルフルな歌声が素晴らしいカバーが並んでいます。ニーナの歌声と比べると・・・という部分はないことはないのでしょうが、それを差し引いても素晴らしいソウルアルバムであることは間違いないかと。その歌声に聴きほれるカバーアルバムでした。

評価:★★★★★

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2017年1月15日 (日)

前作から方向性を大きくチェンジ

Title:Thank you
Musician:Meghan Trainor

2014年にリリースした「All About That Bass」が大ヒットを記録して一躍話題となったアメリカの女性シンガーソングライター。今年のグラミー賞では新人賞を受賞したことから遅ればせながら日本でも話題となりました。その後リリースされたアルバム「Title」もアメリカ、イギリスをはじめ世界各地でチャート1位を記録するなど大ヒットしたのですが、そこから約1年4ヶ月。早くも次のアルバムがリリースされました。

個人的に「All About That Bass」が非常に気に入り、その後リリースされた「Title」もはまったのですが、当初、このアルバムについてはちょっと聴くのを躊躇していました。というのもドゥーワップ、ソウル、60年代ポップスなどを取り入れたレトロポップが基調となっていた「Title」と比べて今回のアルバムは、某所のレビューで「ブリトニースピアーズみたいな路線を狙ったのか?」なんて感想が書かれていたから。実際、いかにも「All About That Bass」を地で行くようなちょっとぽっちゃり目な女の子風のジャケット写真が印象的だった「Title」に比べると、今回のジャケット写真はいかにも今時のセクシーな雰囲気になっており、その差が際立ちます。

実際、今回のアルバムは前作とは異なり、いかにも今風なメインストリームのR&Bポップスに仕上がっていました。1曲目を飾る「Watch Me Do」もラップが入るリズミカルな作風は今風な感じですし、先行シングルともなった「NO」もちょっとトライバルなリズムを前に押し出したアレンジはいかにも今風。ある種の懐かしさを感じられたレトロポップ路線の前作とは大きくその方向性を変えていました。

うーん、正直言ってこの方向転換にはかなり疑問。彼女自身が意図したのか周りがそうさせたのかはわかりませんが、「Title」のレトロポップという方向性は非常に独自性がありユニークだったのに、それをなぜこんな良くありがちなポップスという路線に変えたのでしょうか。せっかく「Title」で確立された彼女らしさがこのアルバムではかなり失われてしまっていました。とても残念でなりません。

ただ、じゃあ全部が失われてしまったのか、と言われるとそうではありません。前作で聴かせてくれた、無条件で楽しくなるようなポップスセンスは本作も健在。例えば「I Love Me」などは前作につながるような軽快なポップチューンを聴かせてくれるのですが、他の曲でも基本的には聴いていて楽しくなってくるようなポップスが主軸。そういう意味では聴く前に予想していたよりは満足度が高く、十分楽しめたアルバムにはなっていました。

そういう意味では「Title」のようなレトロポップ路線を期待するとちょっと残念に感じるアルバムなのですが・・・ただ純粋に楽しめるポップスアルバムとしては十分期待通りの作品と言えるかもしれません。それでもやはり「良くありがちなR&Bポップ」という印象は否めず、この方向性だと今後は先細りように危惧せざるを得ないのですが・・・。

評価:★★★★

Meghan Trainor 過去の作品
Title

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2017年1月14日 (土)

日本HIP HOPはじめの一歩

Title:建設的
Musician:いとうせいこう&TINNIE PUNX

最近ではすっかり日本にも定着したHIP HOPというジャンル。ただ以前はラップという特異なスタイルからかなかなか日本にも定着せず、また「日本語ラップ」というといまでもネガティブな文脈で語られることもあり、日本においてHIP HOPが定着するまで数多くの先人たちの努力がありました。

今回紹介するアルバムはそんな日本におけるHIP HOPの先駆け的存在として知られるアルバム。タレント的イメージが強いものの、今でも□□□に参加して活動を続けるなどミュージシャンとしての活躍も知られるいとうせいこうが、藤原ヒロシ、高木完が組んだユニットTINNIE PUNXと共にリリースしたアルバムで、日本においてアメリカのHIP HOPを意識してリリースした最初のHIP HOPのアルバムと言われています。

2016年9月21日はこのアルバムがリリースしてからちょうど30年となる節目の年だったそうで、オリジナルに収録された9曲にボーナストラック4曲を含めた全13曲で再発売ということになりました。

このアルバムを聴く前は最初期のHIP HOPということもあり、今聴くと「これがHIP HOP??」なんて感覚になるノベルティー色の強い作品になっているんじゃないかな、と思って聴いてみたのですが・・・1曲目「MONEY」はまさにそんなHIP HOPの作品だったのですが、これが今聴いても予想以上に本場アメリカのHIP HOPマナーにきちんと沿っている、紛うことなきHIP HOPとして仕上がっていました。タイプ的にはBeastie BoysやらRUN D.M.C.やら同世代のHIP HOPとそのままリンクするような音。ギターの音が前に出されていてタイプ的にはロック色も強く、Beastie Boysに近い印象を受けます(ただ彼らのデビューアルバム「Licensed to Ill」は1986年11月リリースで本作より2ヶ月ほど後なんだよなぁ・・・)。

もう1曲「東京ブロンクス」にしてもトラックにちょっとジャジーな雰囲気を感じさせる部分もあり、トラックは今聴いても十分すぎるほどカッコよさを感じさせます。どちらの曲も日本語のリリックもきちんとリズムに載せており、ほとんど違和感がありません。最初期からここまでのレベルに達していたというのは正直ちょっと驚きでもありました。

ただアルバムとしては本編でHIP HOPはこの2曲のみ。他の曲に関しては例えば「俺の背中に火をつけろ!!」はパンク風、「恋のマラカニアン」はムード歌謡曲と、むしろその時代の流行の曲のパロディーのようにも感じました。そういう意味ではアルバム全体としてはノベルティー色も強く、今聴くと時代を感じるような部分もありました。

そういう意味ではHIP HOPのアルバムとしてかまえて聴くとちょっと期待はずれと感じるかもしれません。ただ日本のHIP HOP史において必ず語られる1枚であり、「お勉強」的要素を含めて聴くべき1枚だとは思います。なによりHIP HOPの2曲は今聴いても十分カッコイイ作品。その出来のよさにちょっと驚いてしまいました。

評価:★★★★

Title:業界くん物語

で、同じくいとうせいこうの楽曲で、日本における初のHIP HOPの曲として語られることも多い「業界こんなもんだラップ」。この作品を収録したオムニバスアルバムが「建設的」より1年前、1985年にリリースされていますが、本作がはじめてCD化されリリースされました。

「業界くん物語」はいとうせいこうが講談社に勤務していたころに雑誌「Hot-Dog PRESS」で担当していた漫画。これに派生してビデオやCDがリリースされたそうですが、本作はその企画の1枚ということになります。

さて、本作の1曲目に収録されている「業界こんなもんだラップ」。こちらは「建設的」以上にノベルティー色が強いのですが、楽曲としてはこちらもまたきちんとHIP HOPマナーに沿った本格的なHIP HOP作品。「日本で初のHIP HOP作品」でありながら、そのクオリティーの高さには驚かされます。

ただこのアルバム、曲は事実上4曲のみ。他のトラックはすべてコントになっています。「Hot-Dog PRESS」という名前も、また「業界」という言葉も、あまりにバブルのイメージそのままなのですが、コントの内容もまさにバブル期そのもの。今でも笑いのツボとしては有効で十分笑えるものもありますが、その一方、今となってはかな~り時代を感じるものが少なくありません。今回、31年ぶりに初のCD化ということですが、確かにこれ、わざわざいまさら聴きなおしたいと思わないよなぁ・・・。

もっとも本作に参加したメンバーが非常に豪華なのも特徴的。おそらくリアルタイムでは知る人ぞ知る的な若手だったんでしょうが、今となってはこれだけのメンバーをそろえるのは難しいだろうなぁ。ちなみに「パパ・ママ・アキラ」はエロコントなのですが、聴いた後に参加している演者の名前を知ったら、間違いなく萎えると思います(笑)。

そんな訳で積極的にお勧めしがたい1枚ではあるのですが・・・ある意味、あの時代を知るためには貴重な資料ともいえる作品。少なくとも、音楽トラックに関しては聴きごたえあるかと思います。

評価:★★★

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2017年1月13日 (金)

3年の活動のラストアルバム

Title:夢見心地
Musician:サ上と中江

以前、ミニアルバムもリリースしたサイプレス上野とロベルト吉野でMCとして活躍しているサイプレス上野と、アイドルグループ東京女子流の中江友梨によるユニット、サ上と中江。もともとMTV JAPANの番組「サイプレス上野と中江友梨の青春日記」から産まれた企画モノのユニットだったのですが、活動開始から3年を迎え活動を一区切り。ラストアルバムとして初のフルアルバムのリリースとなりました。

現在35歳のサイプレス上野と、18歳の中江友梨。親子ほど・・・というほどではないものの、おじさんとティーンエイジャーという明確な年の差のある2人。以前リリースしたミニアルバム「ビールとジュース」ではその年の差を逆に楽曲の中で活用させ、ジェネレーションギャップをテーマとするというユニークな構成の作品を作り上げていました。

今回のアルバムに関してもジェネレーションギャップをメインに据えた作品に仕上がっています。それに加えて「さいごの宿題」では卒業をテーマとした作品になっており、こちらは18歳の中江友梨らしい作品に。またラストアルバムにもふさわしいテーマともいえるでしょう。また「マイホームタウン 大阪~熊本~横浜」では元LinQの深瀬智聖を迎え、それぞれの故郷について歌ったラップ。ある意味非常にHIP HOPらしいテーマ設定の作品となっています。

今回の作品もサイプレス上野と中江友梨の年齢差、キャラクターを上手く用いたアルバムになっているのですが、ただ非常に残念だったのがミニアルバム「ビールとジュース」に収録された作品がすべて本作にも再録されていた点でした。結果、同作でも全12曲入りなのですがうち7曲は「ビールとジュース」に収録された曲で構成。残りのうち1曲はリミックスでしたので事実上新曲は4曲のみという内容でした。

うーん、さすがにこれはちょっと辛いなぁ。「ビールとジュース」を買った人にとっては、わざわざ4曲のためにフルアルバムの値段で買わなきゃいけないですし、また買ったところでほとんど以前聴いた曲ばかりが並んでいる構成に。さすがに企画モノのユニットとはいえ、こういうアルバムの作りは「なし」なんじゃないかなぁ。

純粋にこのアルバムがサ上と中江を聴いたはじめての作品というのなら、ジェネレーションギャップをネタとした楽しいリリックとポップなサウンドを十分楽しめる作品になっていたと思います。そういう意味では、これがはじめてという方にとっては★★★★★な内容だったと思います。ただ、前作の作品がすべて再録されているという点が大きなマイナス。そういう意味で有終の美を飾るはずの作品だったのですが、ちょっと残念なアルバムでした。

評価:★★★

サ上と中江 過去の作品
ビールとジュース

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2017年1月12日 (木)

12年の年月を経て再レコーディング

Title:ソルファ(2016)
Musician:ASIAN KUNG-FU GENERATION

メジャーデビューから13年が経過し、今やすっかり中堅バンドとしてある種の「貫録」すら感じられるロックバンドASIAN KUNG-FU GENERATION。そんな彼らを代表するアルバムの1枚が2004年にリリースされた「ソルファ」でしょう。フルアルバムとしては2枚目となるこの作品。オリコンチャートで初となる1位を獲得しており、彼らの人気を確固たるものとした代表作です。

2016年はそんな彼らにとって結成20年目を迎える記念すべき年。その年に彼らの代表作「ソルファ」が再レコーディングされてリリースされました。過去の作品をセルフカバーとして再度録音するというケースは少なくありませんが、アルバムまるごとを再レコーディングというのは他にそれほど例はありません。(マキシマム ザ ホルモンが「耳噛じる」を再レコーディングしたケースくらいでしょうか?)

この「ソルファ」についてですが、2004年にリアルタイムに聴いており、当サイトのレビューでも取り上げております。あらためてその時期のレビューを読み返してみたのですが、今読むと結構的外れなことを書いているのでここでは再掲しません(笑)。ただ、リアルタイムで聴いた印象としては正直、あまり良いものではありませんでした。本作の前の作品「君繋ファイブエム」はそのエッジの効いたバンドサウンドにゾクゾクっと来るような傑作だったため、それに続く「ソルファ」は「悪くないけど前作ほどでは・・・・」というのがリアルタイムで感じた印象でした。

ただ今あらためて本作を聴くと彼らにとって代表作と言うにふさわしい傑作であったことを再認識しました。アジカンらしい分厚いバンドサウンドにポップなメロディーが非常に心地よい。もともと彼らの作品はバンドサウンドがストレートに気持ちよく、「ロックを聴いた」という満足感を覚える作品が多いのですが、本作も間違いなくそんなロックの王道を行くようなサウンドに心地よさを覚えた作品になっていたと思います。

さてそんな彼らの再レコーディング作。2004年のオリジナルと比べると微妙にアレンジを変えている部分が散見されるものの原曲を大幅に変えたような曲はありません。基本的には原曲のアレンジに忠実な再レコーディングとなっています。

とはいえ2004年のオリジナル作と比べると音数がより増えサウンドの分厚さが増したように感じます。またギターサウンドはエッジの効いたサウンドよる丸みを帯びたようなサウンドに感じられました。12年という歳月を得て、より尖っていた2004年当時よりもバンドとして丸くなった、ということでしょうか(??)。ただバンドとしては2004年版よりもよりベテランとしての安定感は感じられました。

一方でオリジナルとひとつ大きく変わったのは曲順。2004年版ではラストに収録されていた「ループ&ループ」が3曲目に変更されました。「ループ&ループ」はアルバムの中でもよりポップさが強い曲で、そのためアルバムの流れの中にはめ込みにくく、オリジナルではあえてラストに持ってきたと思われます。ただ2016年版では3曲目に組み込めたというのは、バックに流れるバンドサウンドがよりインパクトを増したことによりアルバムの流れの中の不自然さが弱まったということなのでしょうか。それだけバンドとしての実力に自信を得てきたということが言えるのかもしれません。

またその結果、アルバムのラストが「海岸通り」となったのですがアルバムの中ではミディアムテンポの本作はアルバムの最後としてピッタリ。アルバムとして非常に締まったエンディングとなっています。アルバム全体の流れとしては間違いなくオリジナルよりも良かったように思います。

ある種の若さを感じるオリジナルにバンドとしての円熟味を感じる2016年版。どちらが好みかはファンによるかもしれませんが、個人的には2016年版の方がより彼らのバンドとしての実力を発揮できたかな、ということを感じました。どちらにしろあらためて聴くとやはり本作は傑作ですね。2016年という今聴いても全く衰えることのない名盤でした。

評価:★★★★★

ASIAN KUNG-FU GENERATION 過去の作品
ワールドワールドワールド
未だ見ぬ明日に
サーフ ブンガク カマクラ
マジックディスク
BEST HIT AKG
ランドマーク
THE RECORDING at NHK CR-509 STUDIO
フィードバックファイル2
Wonder Future

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2017年1月11日 (水)

今週も初登場は少なめ

先週に引き続き今週も初登場は少なめ。そのためシングルアルバム同時更新です。

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週も1位はやはりあの曲!

今週1位は星野源「恋」。これで5週連続の1位獲得です。ただ、PCによるCD読取数及びYou Tube再生回数は引き続き1位を獲得しているもののCD販売・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」は3位、ラジオオンエア回数及びTwitterつぶやき回数は2位とまだまだ強いものの先週に比べると若干下落気味。来週はおそらくミスチルのニューシングルという強力譜が入ってきますが、さて彼の連続1位記録は続くでしょうか?

2位にはKis-My-Ft2の横尾渉・宮田俊哉・二階堂高嗣・千賀健永が結成した舞祭組「道しるべ」が入ってきました。実売数、Twitterつぶやき数で1位を獲得したものの、PCによるCD読取数は9位止まり、ラジオオンエア数は55位と足をひっぱり、結果2位にとどまりました。一方、オリコンではこちらが1位初登場。4枚目にして初の1位獲得だそうです。初動売上15万6千枚は前作「やっちゃった!!」の5万7千枚(3位)より大幅アップ。ただし本作の水曜日発売に対して前作は日曜日発売とチャート上、非常に不利な発売日設定でしたのでその影響が大きいと思われます。

3位は女性アイドルグループ仮面女子「仮面大陸~ペルソニア~」がランクイン。実売数で2位、Twitterつぶやき数は8位ながらもそれ以外はすべて圏外という結果に。ラップも入れたミクスチャーロック風の曲はいかにもサブカル系狙いの今時のアイドルソングといった感じ。ちなみにオリコンでは初動5万3千枚で2位初登場。前作「元気種☆」の13万1千枚(1位)より大幅ダウンしていますが、これは前作で最高30枚同時購入までの複数枚購入特典を大幅に導入して露骨に1位を狙いにいった結果、初動売上が大幅に増加していた影響と思われます。

続いて4位以下の初登場ですが、今週は初登場が1曲のみ。ジャズやファンクの要素を取り入れたロックバンドSuchmos「STAY TUNE」が先週の30位からランクアップし10位にランクイン。こちら、昨年の1月にリリースされたシングルなのですが、テレビ朝日系バラエティー「関ジャム 完全燃SHOW」で紹介されて、主にダウンロードでの売上が増えた影響のよう。昨年の2月8日付チャートで最高位18位を記録しましたが、チャートイン22週目にして初のベスト10ヒットとなりました。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

先週までSMAPのベストアルバム「SMAP 25 YEARS」が1位を獲得していたのですが、今週は3位にランクダウン(ちなみに今週のチャートではついに実売ミリオンを達成しています)。変わって1位を獲得したのはやはりジャニーズ系。Kinki Kidsのバラードベスト「Ballad Selection」が1位を獲得しています。

初動売上は12万2千枚。直近のオリジナルアルバム「N album」は初動13万枚(1位)でしたので、ファン向けタイトルであるバラードベストとしては健闘の結果。逆に、それほど熱心な固定ファンばかりということになるのかもしれませんが。

そんなジャニーズ系にかこまれて2位獲得となったのはback number「アンコール」。先週の2位から順位変わらずキープしています。

続いて4位以下の初登場です。4位には「歌が上手い」ということが売りの女性シンガーを集めたLittle Glee Monster「Joyful Monster」が獲得しました。初動売上は4万枚。直近作はインディーズ時代のアルバムの再発盤「Little Glee Monster」で、こちらの9千枚(7位)からアップ。純粋なオリジナルアルバムとしては前作「Colorful Monster」の2万4千枚(4位)からアップしています。

5位6位には韓国の男性アイドルグループ防弾少年団のベストアルバムが2枚同時にランクイン。韓国語曲を集めた「THE BEST OF 防弾少年団−KOREA EDITION−」が5位、日本語曲を集めた「THE BEST OF 防弾少年団−JAPAN EDITION−」が6位。初動売上はそれぞれ2万5千枚と2万枚。直近のランクインは韓国盤の輸入盤「WINGS」の初動1万2千枚(7位)でこちらよりはアップ。日本でのオリジナルアルバムとしては前作「YOUTH」の7万6千枚(1位)よりは大幅ダウン。なにげに韓国語曲の方がある程度差をつけて上位に来るあたりが興味深いところです。

今週のチャートは以上。また来週の水曜日に!

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2017年1月10日 (火)

若さゆえの勢いあふれる代表作

Title:Lovin'you -30th Anniversary Edition-
Musician:渡辺美里

1986年にリリースされた渡辺美里の2ndアルバム「Lovin'you」。大ヒットして渡辺美里の名前を一躍有名にした「My Revolution」リリース後に発売されたアルバムで自身初のチャート1位を獲得した作品となりました。当時若干19歳だった彼女ですが、アルバムは2枚組というボリューム。10代の邦楽ミュージシャンで2枚組アルバムをリリースしたケースはこれが初だったそうで、そのボリューム感も大きな話題となった作品です。

昨年、彼女のデビューアルバム「eyes」が30周年記念盤としてリリースされましたがそれに続き今年は本作が30周年記念盤としてリリースされました。リマスタリングの上、Blu-spec CDとしてリリースされ、さらに初回盤には第1回の西武スタジアムでのライブを収録したDVDがついてくる内容になっています。

さて、渡辺美里の最高傑作、と言われた時、おそらくファンの人気は本作か1988年にリリースされた「ribbon」あたりに集中するのではないでしょうか。正直言ってしまうと純粋に楽曲の出来だけで言ってしまうと「ribbon」の方が上。「Lovin'you」は決して「最高傑作」と言えるほどの出来ではありません。

本作は全20曲中16曲を岡村靖幸と小室哲哉が手掛けています。今となっては押しも押されぬ大物ミュージシャンの2人ですが、岡村靖幸はまだデビュー前。小室哲哉にしてもTM NETWORKが「Get Wild」でブレイクする前という、両者とも無名のライター。正直、小室哲哉楽曲にしても大ヒットした「My Revolution」「Teenage Walk」のようなのちの小室メロディーにつながる傑作は多いものの「This Moment」「雨よ降らないで」のような単調なメロディーも目立ちまだまだその才能をフルに発揮されていません。岡村靖幸にしても「Lovin'you」のような名バラードを生み出しているものの、彼の「売り」となる黒さ、ファンキーさはまだ鳴りを潜めています。

しかし、渡辺美里というミュージシャンが80年代後半から90年代にかけて一時代を築いた理由は間違いなくこのアルバムがリリースされたからであり、なおかつ、それゆえにこのアルバムが多くのファンに「最高傑作」と称されているのです。

彼女が80年代から90年代にかけて一時代を築いたのはこのアルバムで歌われた彼女の叫び。彼女がこのアルバムにおいてテーマとしているのは10代ティーンエイジャーという大人と子供の境にいる微妙な世代の人たちの本音。この世代ならではの複雑な心境が前向きなメッセージと共に歌われています。そんなメッセージを当時19歳の彼女が歌う訳ですから非常にリアリティーを持って響いてきます。そしてそんな彼女のメッセージが同世代の若者に絶大な支持を得て、一躍、時代の寵児となったわけです。

このティーンエイジャーの複雑な心境は前作「eyes」でも歌われていますが、残念ながらこのアルバムが最後。その後も若者の本音を前向きなメッセージと共に歌う曲は少なくありませんが、彼女自身が20代30代となっていき、徐々に「普通のラブソング」へとシフトしていってしまいます。そういう意味でも彼女が若者世代の絶大な支持を得た「コア」な部分がつまったアルバムは本作まで、ということになってしまいます。

またメロディーに関しても、上で岡村靖幸、小室哲哉ともにまだまだその才能をフルに発揮していない、と書いたものの、一方でこのデビュー直後のこの時期にしか発揮されないような勢いを感じさせます。小室哲哉自身、この時期の渡辺美里への楽曲提供について、採用されるか相当緊張した旨のコメントを述べていますが、無名のライターだからこその一生懸命さが楽曲からも伝わってきます。だからこそ、楽曲としては後の作品に比べて拙さを感じる部分があっても、それ以上に胸をうつような魅力があふれているのでしょう。

それは渡辺美里のボーカルについても同様。この時期のボーカルは声量はあるものの、後の作品のような表現力はあまりありません。しかし、このアルバムで聴かれる初々しさを感じるボーカルは歌詞の世界にもマッチし、非常にリアリティーがあって響いてきます。

まさに彼女が19歳という年齢で、岡村靖幸、小室哲哉をはじめとした初々しい才能と出逢えたからこそ生み出すことが出来た奇跡の傑作と言える本作。その内容はアラフォーの私が今聴いても、非常に胸をうつものがありますし、当時彼女と同年代だった方はおそらくすでにアファフィフになっていますが、その方にとっても間違いなく胸をうつでしょう。またひょっとしたら、今19歳という方にとっても心に響いてくるものがあるかと思います。

間違いなく渡辺美里の代表作であると同時に80年代の邦楽シーンを代表する傑作アルバム。ちょっと残念なのは30周年記念盤といっても未発表音源などが含まれていないのと、あと西武スタジアムの映像は出し惜しみしないでフルで見たかったな・・・。そこらへん、残念に感じる部分はあるのですが、久しぶりにこの傑作を聴いて、懐かしさを感じると同時に、非常に満ち足りた気持ちとなりました。リアルタイムでファンだった方はもちろん、今のティーンエイジャーにもぜひとも聴いてほしい傑作です。

評価:★★★★★

渡辺美里 過去の作品
Dear My Songs
Song is Beautiful
Serendipity
My Favorite Songs~うたの木シネマ~
美里うたGolden BEST
Live Love Life 2013 at 日比谷野音~美里祭り 春のハッピーアワー~

オーディナリー・ライフ
eyes-30th Anniversary Edition-

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2017年1月 9日 (月)

再結成後も勢いは衰えず

Title:再結成10周年パーフェストベスト+2
Musician:筋肉少女帯

1999年、ボーカルでメインライターでもある大槻ケンジが脱退し、事実上活動休止となった筋肉少女帯。メンバー同士の軋轢も脱退の原因だったため再結成は難しいのではないか・・・と思われたのですが、その後のメンバー同士の和解もあり2006年にまさかの再結成を果たしました。

その再結成から早くも10年。再結成後にリリースされた楽曲に新曲2曲を追加したベストアルバムがリリースされました。というか再結成から10年も経っているというのが驚き。そもそも筋肉少女帯がナゴムレコードからインディーデビューをしたのが1984年で活動休止までの期間が15年。メジャーデビューから活動休止までは11年。そう考えると10年という期間の長さに驚かされます。今回収録された新曲「めでてえな?(バンド再結成10周年の歌)」はまさにそんな気持ちをストレートに歌った歌。

「予想と違った こんなはずじゃ
もう10年だと 再結成から
このままだと 死ぬときまで
やり続けそうで とってもコワいの」

(「めでてえな?(バンド再結成10周年の歌)」より 作詞 大槻ケンジ)

と、心境をそのまま綴った歌詞がオーケンらしくてとてもユニーク。こんな曲からスタートするあたり、非常に筋少らしいのですが、続く2曲目「仲直りのテーマ」もまさにバンド再結成について歌われた歌で、筋少らしいメタ視点による歌詞が続きます。

さて説明するまでもないかと思いますが筋肉少女帯といえば80年代後半から90年代にかけて「元祖高木ブー伝説」などでヒットを飛ばしたバンド。その後活動休止期間を経て再結成した訳ですが、彼らに限らず80年代から90年代にかけて人気を博したバンドの再結成がここ最近、相次いでいます。

ただ正直なところ、その「再結成組」のほとんどが再結成といいながらも事実上は開店休業状態。ほとんどたまのライブだけの活動だったり、思いついたかのように新曲をリリースしたりするくらいの状態のバンドがほとんどで、積極的にアルバムもリリースし活動を続けているのはユニコーンくらいでしょうか。良く言えばマイペースなのですが、正直、ソロだとお金を稼げないので昔の名前でお小遣い稼ぎをしているだけでは?とイジワルな見方すらできてしまいます。

筋肉少女帯にしてもメジャーデビューから11年でアルバムを12枚リリースしていた活動休止前に比べると再結成後は10年でアルバム5枚と活動休止前に比べるとマイペースな活動状態。ただコンスタントに新曲はリリースしていますし、少なくとも再結成組では数少ない、活動休止前同様、フルに活動を行っているグループと言えるでしょう。

実際、今回のベスト盤を聴いて感じるのは、活動休止前に比べてその楽曲の内容がほとんど遜色ない出来栄えであるということでした。確かに「元祖高木ブー伝説」や「日本印度化計画」のようなインパクトのかたまりのようなユニークな曲はあまりありませんが、前述のような再結成もネタにするようなメタ視点のユニークな歌詞の曲や、「ムツオさん」のようなディスコ調でアップテンポなナンバーながらも元ネタが津山事件の大量殺人者というダークなネタ、「中2病の神ドロシー」のような自意識が肥大した若者の心境を歌った活動休止前の彼らの楽曲でもよく見られたテーマを取り上げた曲など、大槻ケンジの描く世界観は全く衰えていません。

楽曲にしてもメタルやハードコアをメインにしつつ、歌謡曲っぽさも感じる耳なじみあるメロディーラインでポップに仕上げてくるスタイルは相変わらず。メロディーラインのインパクトも十分にありますし、「混ぜるな危険」みたいにダイナミックでアニソンっぽさも感じさせるナンバーがあったりするのも彼らならではと言えるでしょう。

ともすれば活動休止前に比べると再結成後の作品というのは勢いが大きく衰えがちなのですが、今回のベスト盤を聴く限り、彼らに関してはその衰えをほとんど感じさせません。再結成後もコンスタントな活動を続けるのは、バンドとしての勢いが持続しているからなのでしょうし、また2014年にリリースしたアルバム「THE SHOW MUST GO ON」では20年ぶりとなるチャートベスト10入りを果たしていますが、それもやはり再結成後も楽曲に一定以上のクオリティーを保ち続けた結果と言えるのでしょう。

そんな訳で、再結成後の作品しか収録していませんが(「孤島の鬼」「釈迦」はセルフカバーを収録していますが)、十分な聴きごたえあるベストアルバムでした。活動休止前は聴いていたけど最近は・・・という方にも最適な1枚。「このまま死ぬときまでやり続けそう」と歌う彼らですが、再結成10年でこの結果なら、この予感は的中しそうな気が(笑)。

評価:★★★★★

筋肉少女帯 過去の作品
新人
大公式2
シーズン2
蔦からまるQの惑星
公式セルフカバー4半世紀
THE SHOW MUST GO ON
おまけのいちにち(闘いの日々)

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2017年1月 8日 (日)

一回りして新たな一歩

Title:XI
Musician:ROVO

オリジナルアルバムとしては2012年の「PHASE」以来約4年ぶりとなるトランスバンドROVOの新作。今回もわずか5曲入りながらも1曲あたり10分程度の長尺曲が並んでおり、アルバム全体としては1時間を超える「大作」に仕上がっています。

今回のアルバムタイトルは「XI」(eleven)。もちろん11枚目のオリジナルアルバムだから、という単純な意味もあるようですが、勝井祐二曰く「0まで行って一回りして、また1から新しいことが始まる、みたいなニュアンスが込められている」とか。今回、その「新しいこと」の象徴的だったのがゲストの参加だったとか。本作、「R.o.N」で元スーパーカーのナカコーが楽曲制作に参加しているほか、U-zhaanがゲストプレイヤーとして参加。ナカコーが加わったことによりROVOのメンバーだけがつくる作品とはちょっと異なるフレーズが加わったようですし、またU-zhaanの奏でるタブラの音色が楽曲の中で大きなインパクトとなっています。

また初期の代表作「Kmara」のライブアレンジバージョンが本作では登場。初期の作品がライブを通じてうまれかわり、その今の姿を収録しているという点も、「また1から新しいことが始まる」というこのアルバムのコンセプトに沿った選曲なのでしょう。

そんな新たな要素が加わりつつも基本的な路線はいつものROVOと同様。例えば冒頭を飾るタイトルチューン「XI」はスペーシーで近未来的なシンセのリフからスタート。そこにトランシーなシンバルのリズムが加わります。やがてその中から登場するバイオリンの音色。このバイオリンのフレーズを中心に据えながら、シンセのリフとダイナミックなドラムス、バンドサウンドが展開するという構成はROVOならではのトリップ感あふれる楽曲になっています。

ただ今回のアルバムに関してはトランシーなリズムが迫りトリップするような楽曲、というよりはバイオリンの音色を軸にメロディアスなフレーズが展開するという作品が多かったような印象を受けます。「Palma」などもテンポは比較的ゆっくりめ。軽快なリズムは心地よいものの、どちらかというとチルアウト気味なナンバーになっています。最後を締めくくる「Liege」も20分に及ぶ長い楽曲ながらもバイオリンの音色がとても優しいフレーズを奏で、そのメロディーを聴かせるようなナンバーに仕上がっています。

「Kmara」あたりはライブアレンジということもありトリップできそうな楽曲になっているのですが、アルバム全体としては比較的ポップなメロディーラインが印象に残るようなアルバムになっていました。とはいえ、長尺の楽曲でミニマル的なフレーズが連続するリズムに気持ちよくなるような部分も多く、もちろんROVOの魅力は本作も健在。おそらく、「ポップ」と評した曲もライブでは別の顔を見せてくれそう。今回もとても心地よい傑作でした。

評価:★★★★★

ROVO 過去の作品
NUOU
ROVO Selected 2001-2004
RAVO
PHOENIX RISING
(ROVO×SYSTEM7)
PHOENIX RISING LIVE in KYOTO(ROVO×SYSTEM7)
PHASE
Phoenix Rising LP(ROVO and System7)
LIVE at MDT Festival 2015

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2017年1月 7日 (土)

新たな一歩

Title:One
Musician:堀込泰行

2013年、突如キリンジを脱退して驚かされた堀込泰行。ご存じの通り、キリンジの名前は兄堀込高樹が引き継ぎ、新メンバー加入後、KIRINJIとして活動を続け、「EXTRA11」含め3枚のアルバムをリリースしています。しかし脱退した堀込泰行の方はその後あまり目立った活動がなく、今年になってようやく洋楽のカバーアルバム「"CHOICE" BY 堀込泰行」がリリースされました。

このカバーアルバムのリリースがひとつの契機となったのでしょうか、ようやくソロアルバムがリリースとなりました。オリジナルアルバムとしてはキリンジ脱退後初、また自身のソロプロジェクト馬の骨としてリリースされた前作「RIVER」からも7年ぶりとなるニューアルバムとなりました。

そんな彼の新作ですが、とにかく明るいポップソングが並んだ陽気なアルバムになっていました。1曲目からホーンにピアノが加わった明るいポップチューン。「New Day」というタイトル自体、彼の新しい一歩を象徴するようなタイトルになっていますが、

「New day 何かが起こりそう
なんだか 誰かにめぐり会えそう」

(「New Day」より 作詞 堀込泰行)

という歌われる歌詞も実に前向きな明るさを感じます。続く「Shiny」もピアノとストリングスで爽やかに構成されたポップチューン。こちらも非常に爽やかな歌詞が印象的なナンバーとなっています。

その後も同じく心機一転を思わせる「ブランニュー・ソング」もホーンセッションが軽快に鳴り響くポップチューンになっていますし、祝祭を意味する「Jubilee」というタイトルがつけられたナンバーもスチールパンの音色が心地よい、とにかく明るいポップチューンに仕上がっています。

堀込泰行といえばキリンジの頃も、お堅い漢語調の歌詞が特徴的な兄高樹に比べて、やわらかい文体の歌詞が特徴的でした。今回のアルバムで感じられる明るさは、そんなキリンジ時代の彼を彷彿とさせるような部分もありました。

ただ今回のアルバムで感じられる明るさはキリンジ時代の堀込泰行楽曲とはまた異なるものを感じられます。キリンジの堀込泰行ではなく、ソロミュージシャン堀込泰行としての新たな方向性を模索した結果でしょうか。以前のソロプロジェクト、馬の骨は「キリンジの1/2」という印象を受けましたが、今回のソロアルバムはあきらかにキリンジとは異なるものを感じました。

また歌詞からソロとして第一歩を歩みだせるという明るさを感じることが出来たのも特徴的。彼自身、ソロ活動に対して不安よりも前向きな希望を抱いていることを感じます。そうなるとやはりキリンジでは自分のやりたいことが出来ない部分があったから脱退したのか・・・とも思ってしまうのですが・・・。もっともキリンジ脱退からソロでの新作までこれだけ時間がかかっていることから、ソロ活動に対して大きな不安を抱いており、それを払しょくするためにあえて明るい曲をリリースした・・・という見方もできないことはないのですが・・・。

そんな訳で非常に明るく楽しいポップソングに仕上がった今回のアルバム。ただひとつ、大きく気になったことがありました。それは彼のボーカル。ソロとしての前作「"CHOICE" BY 堀込泰行」でも非常にヘナヘナなボーカルが気にかかりました。今回のアルバムは"CHOICE"の時のような楽曲の良さを壊してしまうほどのヘナヘナさはありません。ただそれでもキリンジ時代に比べると、ちょっとヘナヘナな感じのするボーカルが正直マイナス要素に。これに関しては久しぶりなだけに声がよく出ていない、というでしょうか。それだけならよいのですが・・・。

ちょっと気になる部分もあるのですが、とりあえずはソロ活動の新たな一歩としてこれからが楽しみになるソロアルバムだと思います。堀込高樹・泰行兄弟が、それぞれ単純にキリンジの1/2となった訳ではなく、プラスアルファを付け加えて活動を続けているのが非常におもしろいところ。兄弟、それぞれの今後にも要注目です。

評価:★★★★★

堀込泰行 過去の作品
River(馬の骨)

"CHOICE" BY 堀込泰行

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2017年1月 6日 (金)

今年はじめてのチャート

今週のチャートはお正月休みにかかるチャートということでシングルアルバム共に初登場が極端に少ないチャートとなりました。そのため、シングルアルバム同時更新となります。ちなみに集計対象となるのは1月1日までですので、若干の紅白効果も?

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

2017年最初のチャートはやはりあの曲が1位でした。

今週1位を獲得したのは星野源「恋」。これで4週連続の1位獲得となりました。今週はラジオオンエア数、PCによるCD読取数、Twitterつぶやき数、You Tube再生回数で1位を獲得。一方、CD売上・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)では惜しくも2位となり、先週に続きパーフェクトとはなりませんでしたが、文句なしの1位獲得となりました。ちなみにオリコンチャートでも先週の10位から一気にランクアップして3位にランクイン。見事ベスト3入りを果たしました。

2位が今週唯一の初登場曲。NMB48「僕以外の誰か」がランクイン。実売数1位、PCによるCD読取数6位でしたが、Twitterつぶやき数は11位どまり。またラジオオンエア数は83位と厳しい結果となり、結果、2位にとどまりました。ちなみにオリコンではこちらが1位初登場。初動売上26万6千枚は前作「僕はいない」の30万4千枚(1位)からダウン。この楽曲タイトルはひょっとしたら前作からの続きという形なのか?

3位はRADWIMPS「前前前世」。先週の8位からアップして10月17日付チャート以来12週ぶりのベスト3入りとなりました。実売数3位、ラジオオンエア数4位、Twitterつぶやき数8位、You Tube再生回数3位といずれも高位置を記録しており、ここに来て再び盛り上がりを見せています。まだまだこのロングヒットは続きそうです。

続いて4位以下ですが今週は初登場はなし。ただし、返り咲き組が目立ちました。

まずはSMAP。昨年いっぱいをもって残念ながら解散してしまった彼らですが、その有終の美を飾るべく、「ありがとう」が先週の15位から4位に、「世界に一つだけの花」が先週の18位から6位にランクアップ。「ありがとう」は昨年9月19日付チャート以来15週ぶり、「世界に一つだけの花」は12月19日付チャート以来3週ぶりのベスト10返り咲きとなります。ただ「世界に一つだけの花」は実売数10位、ラジオオンエア数6位、Twitterつぶやき数3位と文句なしのヒットなのですが、「ありがとう」はTwitterつぶやき数2位の他は実売数73位、ラジオオンエア数30位という結果。またTwitterつぶやき数が異常に重視された疑問の残る結果となっています。ちなみにオリコンでも「世界に一つだけの花」が先週の19位から6位にランクアップし、ベスト10返り咲きを果たしています。

7位にはback number「ハッピーエンド」が先週の11位からランクアップし2週ぶりのベスト10返り咲き。これはアルバムチャートでも上位にランクインしたベスト盤リリースの影響も大きそう。

また8位9位にはAKB48系欅坂46がベスト10返り咲き。8位に「サイレントマジョリティー」が先週の20位から、9位には「二人セゾン」が先週の14位からランクアップしベスト10返り咲きとなっています。「サイレントマジョリティー」は昨年5月23日付チャート以来33週ぶり、「二人セゾン」は2週ぶりのベスト10入り。「サイレントマジョリティー」は紅白の影響も大きいのでしょうか。ちなみに「二人セゾン」はオリコンも先週の13位から5位にランクアップしておりベスト10返り咲きを果たしています。

さらに10位には同じくAKB48系乃木坂46「サヨナラの意味」が先週の22位からランクアップ。こちらも2週ぶりにベスト10返り咲きとなりました。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

2017年最初のアルバムチャートはSMAPのオールタイムベストアルバム「SMAP 25 YEARS」が27万5千枚を売り上げて2週連続の1位を獲得。2016年いっぱいで解散してしまったSMAPですが、まだその余波が続いています。

続く2位はロックバンドback number「アンコール」が獲得。こちらはメジャーデビュー5年目にして初となるベストアルバムとなります。初動売上27万4千枚という結果で1位との差はわずか800枚という僅差!直近のオリジナルアルバム「シャンデリア」の17万3千枚(1位)からも初動売上は大きく増加しておりその人気のほどを感じさせます。特にオリジナルアルバムの売上よりもベスト盤の売上が大きく増加しているのはそれだけ浮動層のリスナーが興味を持っているということ。今後の大ヒットにつながりやすい傾向と言えるでしょう。

さらに3位には宇多田ヒカル「Fantome」が先週の11位から一気にランクアップしベスト10返り咲き。売上も先週の1万1千枚から1万2千枚に増加させています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず5位にBABYMETAL「『LIVE AT WEMBLEY』 BABYMETAL WORLD TOUR 2016 kicks off at THE SSE ARENA, WEMBLEY」がランクイン。イギリスのウェンブリンアリーナでのライブの模様をおさめたライブ盤。初動売上1万1千枚。直近のオリジナルアルバム「METAL RESISTANCE」の13万2千枚(2位)よりはさすがに大幅にダウン。ただしライブ盤としての前作「LIVE AT BUDOKAN ~RED NIGHT~」の2万3千枚(3位)よりもダウンしています。

初登場はもう1枚。7位にMOBB「THE MOBB」がランクイン。韓流男性アイドルグループWINNERのMINOとiKONのBOBBYによるユニット。これが日本でのデビューミニアルバムとなります。初動売上7千枚で見事ベスト10入りとなりました。

また今週は売上水準が低かった影響もありベスト10返り咲き組が2枚も。RADWIMPS「人間開花」「君の名は。」が揃って12位、14位から8位、9位に返り咲き。2作同時にベスト10入りとなりました。ただし売上的にはそれぞれ9千枚、8千枚から両者とも7千枚にダウンしています。

今週のチャート評は以上。また来週の水曜日に!

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2017年1月 5日 (木)

早くも新作!

Title:STARBOY
Musician:The Weeknd

前作「Beauty Behind the Madness」が大ヒットを記録。グラミー賞でも最優秀R&Bパフォーマンスと最優秀アーバン・コンテンポラリー・アルバムの2部門を受賞して一躍注目のミュージシャンとなったThe Weeknd。そんな話題の作品からわずか1年3ヶ月、早くもニューアルバムがリリースされました。

The Weekndといえば先日、某雑誌でMOBYのインタビュー記事を読んでいた時にMOBYがThe Weekndのことを「あの売れ線ね」みたいな感じで軽くディスってる記事を読みました。確かにこの「売れ線」というイメージは決して間違いではないように思います。彼の楽曲は今時のエレクトロサウンドを積極的に用いている反面、良くも悪くも広い層にアピールできるようなポップなメロディーを奏でている、それが前作「Beauty Behind the Madness」を聴いた時に強く感じた印象でした。

今回のアルバムに関してもその方向性は強く感じます。タイトルチューン「Starboy」にしてもダフトパンクをゲストに迎えたサウンドはピアノを効果的に用いたエレクトロチューンが耳を惹く反面、メロディーラインについては哀愁感たっぷりでポップでインパクトあるものに仕上げています。

ファンキーなリズムが印象的な「Rockin'」も、ちょっとチープな80年代風を感じるエレクトロサウンドはここ最近の流行と思われる反面、軽快でポップなメロディーはインパクト十分。広い層にアピールできるようなポップチューンに仕上がっています。

メロディーラインで秀逸なのは「True Colors」でしょうか。しんみりと聴かせるバラードでゆっくり歌い上げるボーカルが印象的。メロディーラインはどこか和風な雰囲気も感じられる郷愁感あるもの。私たち日本人にとっても壺に入りそうなメロディーラインとなっています。

あのKendrick Lamarをゲストに迎えた「Sidewalks」も秀逸。こちらも物悲し気なメロディーラインとトラックが耳をひくナンバー。ボーカルにエフェクトをかけているのもここ最近の流行といった感じでしょうか。

そんな訳で前作に引き続き、インパクトあるメロディアスなポップチューンと今時のサウンドを上手く取り入れているアレンジのバランスが秀逸なポップスアルバムになった本作。本作も全米チャート1位を獲得していますが、そんな大ヒットも納得感があります。

ただ一方、最初は非常に心地よく聴いていたものの後半に関してはちょっとダレてしまった感もありました。というのはミディアムテンポのナンバーが多く、特に後半は似たようなタイプの曲が並んでいたため、ちょっと飽きが来てしまったかも。そういう意味では前作の方がよかったかなぁ。前半に関しては文句なしの内容だっただけに惜しさを感じるアルバムでした。

評価:★★★★

The Weeknd 過去の作品
Kiss Land
Beauty Behind The Madness

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2017年1月 4日 (水)

丁寧な仕事ぶりが好感触

本日の更新は先日読んだ音楽関連の書籍のご紹介です。

タイトルは「ロバート・ジョンソンより前にブルース・ギターを物にした9人のギタリスト」。例によってブルース関連の本です。タイトル通り、ロバート・ジョンソンが活躍した以前、1920年代から30年代に活躍した9人のブルースギタリストの活動を追った評伝。シルヴェスター・ウィーヴァー/パパ・チャーリー・ジャクソン/ブラインド・レモン・ジェファーソン/ブラインド・ブレイク/ブラインド・ウィリー・マクテル/ブラインド・ウィリー・ジョンソン/ロニー・ジョンソン/ミシシッピ・ジョン・ハート/タンパ・レッドという9人のギタリストが紹介されています。

著者はジャス・オブレヒトというアメリカでギター・プレイヤー誌を手掛けたこともある元編集長。アメリカのLiving Blues誌で「Blues Book Of The Year」を受賞するなど大きな話題にもなったそうです。

数多くのエピソードがころだっているロックスターたちと異なりブルースのミュージシャン、特に戦前ブルースのミュージシャンたちはその「生き様」というものがほとんど伝わってきません。ミュージシャンによっては写真すら1枚あるかないかという状況です。

そんな中、同書では知られざる戦前のブルースギタリストの生涯について丁寧に綴っています。様々な参考文献からミュージシャンたちの情報をピックアップしており、かつ出展元も記載。非常に誠実さを感じる仕事ぶりが特徴的でした。情報はあくまでも事実を淡々と記しているイメージで著者の感想的な部分はほとんど入っていません。

また音楽に関しても楽曲の特徴について下手に煽るような形ではなく具体的な描写が多く、ここらへんも著者の誠実性を感じるとともに、ギター・プレイヤー誌の元編集長ならではの記述のように感じます。

取り上げたミュージシャンの生涯を淡々とつづるスタイルのため基本的にはその時代背景や社会性などといった付加的な要素に深く突っ込むことはありません。ただその具体的に淡々と記された事実から、その当時のアメリカ黒人が置かれていた時代背景を読み取るのは比較的容易にも感じます。

さらにこの本で非常に魅力的なのはミュージシャンの写真、当時の広告、レコードのレーベルなどの写真が惜しげもなくつかわれていること。同時代のミュージシャンや関係者の証言も頻繁に使われており、淡々とした書きぶりながらも、登場するミュージシャンの人となりや生き様を知るには十分な魅力を感じる内容でした。

「音楽はあくまでも『曲』が勝負であり、ミュージシャンの人となりなどは関係ない」という意見、確かに正論であり事実だと思います。しかしこうやってミュージシャンの人となりを知ることによって、より曲が魅力的に感じられるのも事実。今回、この評伝を読んであらためて登場するミュージシャンたちの曲を聴きたくなりました。

ちなみに本作、ロバート・ジョンソンの名前が登場しますが原題は「Early Blues-The First Stars Of Blues Guitar」。登場する9人のギタリストはロバート・ジョンソンと直接関係ありませんし、また本書の中でロバート・ジョンションもほとんど登場してきません。おそらく日本で売れるためにあえてロバート・ジョンソンの名前を冠したと思うのですが・・・その点のみご注意を。

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2017年1月 3日 (火)

これで8枚目のライブアルバム

Title:スキマスイッチTOUR2016"POPMAN'S CARNIVAL"
Musician:スキマスイッチ

毎回、ライブツアーのたびになぜか必ずライブアルバムをリリースしてくるスキマスイッチ。本作は今年行われたライブツアー「スキマスイッチ TOUR2016“POPMAN’S CARNIVAL”」のツアーファイナルである東京公演の模様を収録したライブアルバム。ライブアルバムとしては約1年ぶりのリリースとなりすでに8枚目とオリジナルアルバムよりも多い状況になっています。

ライブということで原曲からライブアレンジが多くほどこされているのが特徴的。例えば「かけら ほのか」はアコースティックなアレンジながらトーキングドラムの音色を入れてちょっとエスニックな雰囲気になっていますし、「ソングライアー」は原曲に比べてより怪しげな雰囲気の仕上がりに。後半、ホーンとギターでセッションを繰り広げているのもライブならでは。またヒット曲「ボクノート」もアコースティックなサウンドでよりしんみりした雰囲気に仕上げています。

ほかの曲もホーンセッションが入りサウンドが分厚くなり、いかにも「ライブ仕様」になった作品。そういう意味ではこのアレンジ含めてスキマスイッチのライブの雰囲気を感じられるアルバムになっており、ここらへんがライブアルバムならでは、といった感じでしょうか。

ただし、ライブアレンジは基本的に原曲の雰囲気を生かしたアレンジ。あくまでもポップバンドの彼らはメロディーと歌詞が楽曲の中心となっているため原曲のイメージから大きくはずれたようなアレンジはありません。あくまでもライブでよく盛り上がるためのアレンジ。そういう意味ではライブでは盛り上がるでしょうし、ライブの観客から「原曲と違ってた・・・」という不満はあまり起こらなさそう。ただ反面、ならばここまで毎回のようにライブアルバムをリリースする必要性があるのかな?と思わないことも・・・。

もっとも今回のアルバム、オリジナルアルバムリリース後のツアーではないため過去の彼らの代表曲やライブ向けの曲、ちょっとマニアックな曲まで選曲されている内容になっており、彼らの代表曲を知るにはうってつけのライブアルバムともいえるかもしれません。ライブの臨場感も味わえ、彼らのライブの楽しさも感じられるライブアルバム。ただ終盤のライブの盛り上げ方はちょっと一本調子かな・・・と思ってしまうのですが・・・ライブの会場にいれば、それほど気にならなかったのでしょうが・・・。

ちなみに初回限定盤にはDisc3としてMC集がついてくるのもユニーク。正直、さだまさしとかスタレビとかMCだけで「芸」となっているシンガーではないので、ちょっとファン向けかな?と思う部分もあるのですが、ライブの雰囲気がより伝わります。ただ個人的にはMCだけ別取りするのではなく、これらMCを含めて、ライブを通して楽しめるような構成の方が好みなのですが・・・。

評価:★★★★

スキマスイッチ 過去の作品
ARENA TOUR'07 "W-ARENA"
ナユタとフカシギ
TOUR2010 "LAGRANGIAN POINT"
musium
DOUBLES BEST
TOUR 2012 "musium"

POP MAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~
スキマスイッチ TOUR 2012-2013"DOUBLES ALL JAPAN"
スキマスイッチ 10th Anniversary Arena Tour 2013“POPMAN'S WORLD"
スキマスイッチ 10th Anniversary“Symphonic Sound of SukimaSwitch"
スキマスイッチ
TOUR 2015 "SUKIMASWITCH" SPECIAL
POPMAN'S ANOTHER WORLD

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2017年1月 2日 (月)

Def Jam契約後、初のアルバム

年末年始と1年をまとめるコラム的な更新が続いていましたが今回から通常更新となります。ただ今年1枚目となる作品ですが、特に1枚目としてあえて選んだ作品ではありません・・・。

Title:DAWN
Musician:AK-69

おそらく今、最も「売れている」ラッパーの1人、AK-69。今年4月、なんとHIP HOPの名門レーベルDef Jamと契約を結ぶなどその勢いは続いています。今回のアルバムはDef Jamとの契約後、初となるアルバムということでも話題となりました。

AK-69というとハードコアなHIP HOPをベースとしながらもポップで分かりやすいメロディーラインが流れている曲がメイン。聴きやすい内容に仕上がりながらもきちんとHIP HOPのマナーに沿ったような楽曲に、普段J-POPメインに聴いているリスナー層にも「HIP HOPを聴いたなぁ」という満足感を与えるミュージシャン・・・AK-69が売れている理由を私なりに解釈するとそんなところでした。

そんなこともありAK-69というとポップという要素を強く感じるというイメージは以前からあったのですが・・・今回に関しては正直、かなりベタなJ-POP風のポップソングが多く収録されていました。例えばピアノをメインにしつつメロウな歌が流れるラブソングの「Flying Lady」や清木場俊介をゲストボーカルに迎えた「Rainy days」などは典型例でしょう。UVERworldとコラボを組んだ「Forever young」などもロックなサウンドを入れてダイナミックにまとめていますが、そのロックサウンドも含めて非常にベタなポップになってしまっています。

一番の典型例は「With You~10年、20年経っても~」。これも典型的な売れ線ポップなナンバー。タイトルを見れば歌詞の内容がほぼわかってしまうという薄っぺらいラブソングにもゲンナリ。この曲も含めて多くの曲が最近流行りの、EXILEやら三代目J Soul Brothersやらあたりを彷彿させそうなヤンキー系ラブソング。聴いていてかなり辛いものがありました。

ただ、終盤に関してはかなりカッコいい曲が並んでおり、「ポップ」という部分以外のAK-69の魅力を感じさせてくれます。「もう1ミリ」はゲストで参加している般若のラップがとにかくカッコいい楽曲となっていますし、「We Don't Stop」も力強い迫力あるラップが魅力的。最後を飾る「KINGPIN」もダイナミックなトラックが耳を惹きますし、この世界で生き抜く決意をつづったようなリリックもユーモアさを入れつつ、カッコよく仕上がっています。

最後の3曲がなければかなりうんざりしてしまうところだったのですが、なんとかラスト3曲に救われたような形になっていました。「The Independent King」もそんな傾向があるアルバムでしたが、時々、こういうベタなポップアルバムを作っちゃうんだよなぁ。AK-69のカッコよさを感じる部分もあったのですが、全体的にはちょっと残念なアルバムでした。

評価:★★★

AK-69 過去の作品
THE CARTEL FROM STREETS
THE RED MAGIC
The Independent King
Road to The Independent King
THE THRONE

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2017年1月 1日 (日)

謹賀新年

新年、あけましておめでとうございます。旧年中は当「ゆういちの音楽研究所」をご愛顧いただき、まことにありがとうございました。本年も引き続き、なにとぞよろしくお願いします。

1年最初の更新は毎年、軽いコラムからスタートしますが今年はいまさらながら2016年の振り返りを。2016年を振り返った時にまず感じるのは昨年は「ヒット曲」が多い1年だったなぁ、ということでした。

RADIO FISHの「PERFECT HUMAN」にはじまり、RADWIMPSの「前前前世」、ピコ太郎「ペンパイナッポーアッポーペン」に星野源「恋」まで。アルバム単位でもミュージシャンとしてでもなく、あくまでも「曲」として話題となった「ヒット曲」が多かったということを感じます。

一方、これらのヒット曲で共通するのはいずれもシングルCDとしてはほとんど売れていないということでしょう。唯一シングルCDとしてリリースされたのが星野源の「恋」ですが、こちらも売上の多くはダウンロード。そのためオリコンの年間チャートでは上位に入ってきていません。

もともとこの数年、シングルCDの売上がヒットの指針として機能しなくなってきていますが、今年に関してはその傾向がさらに顕著にあらわれたように感じます。そういう意味ではイベント開催などによってファンに複数枚買いを促し、いつまでもシングルCDの売上に固執するようでは、ますます音楽業界がリスナーが求めるものとは乖離し続けるように感じます。

一方で昨年の紅白歌合戦ではこれらの曲をすべて取り上げているあたりなんだかんだいっても頑張っているようにも感じます。紅白に関しては毎年、様々な批判がニュースになり否定的な報道も多いのですが、個人的には今の国民的ヒット不在の時代に最大限がんばっているよなぁ、という印象を受けているのですが・・・ただ今年は事情がありテレビでは見れず、一部をラジオで聴いていただけだったのですが・・・さすがにラジオで聴いていてもつまんなかった・・・(^^;;

それではみなさま、いいお正月を~!

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