アルバムレビュー(邦楽)2016年

2016年12月27日 (火)

ファンによる選曲がユニーク

Title:ACIDMAN 20th Anniversary Fans'Best Selection Album "Your Song"
Musician:ACIDMAN

バンド結成20周年を記念してリリースされたACIDMANのベストアルバム。え?ACIDMANってもう20周年なの?と意外に感じたのですがあくまでも結成から20年。私がはじめて聴いた彼らのデビューアルバム「創」がリリースされたのは2002年ですので、さすがにここからは20年は経っていない・・・・・・・とはいってもメジャーデビューからもう14年も経つのか・・・・・・。

彼らは2012年にベストアルバムをリリースしたばかりでそこから4年しか経過していません。それだけにちょっとベスト盤をリリースする間隔としては早すぎるんじゃない?とも思ったのですが今回のベスト盤はファンからの人気投票の上位20曲をそのまま収録したベストアルバム。そのためシングル曲を中心に収録した先のベスト盤「ACIDMAN THE BEST 2002-2012」とは収録曲が大きく異なっています。

それもなかなか興味深いのがその収録曲がシングル曲や代表的なナンバーだけではなく、かなりマニアックな曲も収録されている点でした。最も顕著なのがDisc1の3曲目というから人気投票で3位だった「風、冴ゆる」でしょう。この曲、2004年にリリースされたシングル「水写」のカップリング曲。まさに知る人ぞ知る的な楽曲になっています。他にもアルバム曲やインディーズ時代のナンバーなどもあり、このような収録曲はファン投票をそのまま反映されたベスト盤ならでは。なにより彼らに多くのコアなファンがついていることを実感させられる収録曲になっています。

またもう1つユニークといえるのが今回のアルバム、人気投票の順位がそのまま曲順となっている点でした。そのため発売日はバラバラ。発売日順に並んだ先のベストアルバムとも対照的と言える内容になっています。

このような曲順になっていて非常に興味深かったのは本作を聴くことによってファンの趣向がとてもよくわかるということでした。ACIDMANというバンドは分厚いバンドサウンドによるダイナミックな演奏と大木伸夫によるエモーショナルなボーカルというイメージが強いのですが、1枚目=人気投票上位に並んでいる曲に関してはまさにそういうACIDMANのイメージそのままのような曲が多く収録されています。正直なところ収録曲に関しては意外性があったもののそこに収録されている曲の「雰囲気」としてはあまり意外性はありませんでした。

逆に2枚目に関しては比較的そういうACIDMANのイメージとは異なるタイプの曲もチラホラ。例えば「赤橙」などは歌い方も抑えめの比較的シンプルなギターロックになっていますし、「リピート」もアコギが入って優しく歌い上げる楽曲になっています。

ただ2枚目に関してもやはり彼ららしいダイナミックなサウンドとエモーショナルなボーカルの曲が多く収録されていました。これは先のベスト盤の感想でも書いたのですが、彼らの楽曲は1曲1曲に関しては非常にインパクトもあり胸をうつような楽曲が多いのですが、一方で少々ワンパターンさも感じてしまいます。正直なところダイナミックなサウンドは少々大味にも感じる部分も多く、最初は楽しめてもアルバム全体を聴くと少々胸やけ気味がしてしまう部分も否めませんでした。

彼らの楽曲をアコースティックアレンジでカバーした曲を集めた「Second line&Acoustic collection II」などは非常に良かっただけに、基本的にメロディーは悪くないし、サウンドセンスも悪くないはずなんですよね。そういう意味ではもうちょっとシンプルな楽曲も聴きたいかも、と思わなくもないのですが・・・ただファンの人気からするとやはりダイナミックな演奏+エモーショナルなボーカルが大きな魅力なんでしょうね。そういう意味ではファンの嗜好と私個人の嗜好の齟齬を感じてしまったベスト盤でもありました。

評価:★★★★

ACIDMAN 過去の作品
LIFE
A beautiful greed
ALMA
Second line&Acoustic collection
ACIDMAN THE BEST 2002-2012
新世界
有と無
Second line&Acoustic collection II

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2016年12月24日 (土)

パンクなジャケット写真だけども

Title:PUNKY
Musician:木村カエラ

約1年10ヶ月ぶりとなる木村カエラのニューアルバムのタイトルは「PUNKY」。彼女の顔に棘のはえたジャケット写真といい、書きなぐられたようなアルバムタイトルといい、いかにも「パンク」っぽさを意識したジャケットになっています。以前「ROCK」というタイトルのカバーアルバムをリリースしていますので、それとの対比を意識したのかもしれません。

ただパンクロックというイメージで聴くとこのアルバム、ちょっと意外な印象を受けるかもしれません。というのもあまりパンク色が強い訳でもロック色が強い訳でもないからです。アルバムタイトルにピッタリ来るパンキッシュな作品は「好き」くらい。「THE SIXTH SENSE」もハードなロック色の強い作品になっていますし、他にもロックな作品は少なくありませんが、アルバム全体としてはロックというイメージよりもむしろポップというイメージを強く受けます。

特に今回のアルバムの特徴としてH ZETT Mことヒイズミマサユ機がバンドメンバーとして加わり全12曲中5曲に参加しているのもアルバムの方向性を大きく決定づけたような印象があります。本人が作曲にも参加した「僕たちのうた」「BOX」などはギターロックサウンドに軽快なピアノがのり、爽やかなポップナンバーに仕上がっているのが特徴的。ギターの音がしっかり鳴っている楽曲ながらも軽快なピアノの音とメロディーラインのためポップという印象を強く受ける楽曲になっています。

また今回のアルバム、ギターロックに留まらずバリエーションある楽曲が収録されています。特にインパクトがあるのは中盤の「オバケなんてないさ」。懐かしさを感じる人もいるでしょう、童謡が収録されています。またラストの「Happyな半被」もタイトルから想像できる通り、楽しいお祭り風の楽曲になっています。このようなバリエーションある楽曲がインパクトとなって、ポップ色が強いという印象を強めているのでしょう。

前作「MIETA」が爽やかなポップス色の強い作品だったのですが本作はその延長線上といったイメージも受けるポップなアルバムになっていました。もちろん「PUNKY」というタイトルからイメージできるような彼女らしい元気いっぱいの明るさも健在。そういう意味では間違いなく木村カエラらしい楽しいポップアルバムだったと思います。ポップソングの楽しさを素直に味わえる作品でした。

評価:★★★★★

木村カエラ 過去の作品
+1
HOCUS POCUS
5years
8EIGHT8
Sync
ROCK
10years
MIETA

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2016年12月23日 (金)

バンドの一体感がさらに深化

Title:麗しのフラスカ
Musician:MANNISH BOYS

前作「Mu? Mu? Mu? MANNISH BOYS!!!」がリリースされた時点でこのユニットが2作目をリリースするというのは意外だったのですが、そこから約2年、まさかの3枚目のアルバムリリースとなりました。ご存じの斉藤和義と中村達也によるユニット。どちらもそれぞれソロとしても大活躍している人気者同士のユニットだけに永続的な活動になりそうなのはちょっと意外でした。

さてそのバンドとして3枚目となる作品。1枚目「Ma!Ma!Ma!MANNISH BOYS!!!」はまだバンドとしてチグハグという印象があり、続く2枚目「Mu? Mu? Mu? MANNISH BOYS!!!」はグッとバンドとしての一体感が増したような作品になっていました。そして3枚目となる本作、MANNISH BOYSが「斉藤和義と中村達也の2人による」という修飾語が不要になるような、バンドとしての個性をしっかり出したアルバムになっていたと思います。

まず序盤「グッグッギャラッグッグ」「Honey」はへヴィーでグルーヴィーなガレージ風のサウンドが非常にカッコよく、バンドらしさが強く前に追い出したナンバー。どこかくすんだ雰囲気は中村達也がかつて所属していたBlankey Jet Cityを彷彿とさせます。特に「Honey」はギターとドラムスを中心としたシンプルなサウンドで、ギターとドラムスがお互いに絡み合い対決するような緊張感あるサウンドはMANNISH BOYSらしさを強く感じます。

ある意味非常にMANNISH BOYSらしさを感じるのが「レモネード」。非常に切ない雰囲気が出ているメロディアスな楽曲はいかにも斉藤和義らしいメロディーライン。一方、ここに中村達也の叩く複雑なリズムのソリッドなドラムスが重なってきています。ある意味、斉藤和義と中村達也の個性がそれぞれ強く出ていた楽曲なのですが、その個性がぶつかり合うことなく楽曲としてしっかりまとまっているあたり、MANNISH BOYSがバンドとして機能していることを感じます。

また今回の作品、楽曲のバラエティーが増えたのも大きな特徴。軽快なスカとロックを融合させた「曲がれない」やハワイアンな雰囲気の「真っ赤なバレリーナ」、スカのリズムにのえてへヴィーでグルーヴィーなロックサウンドを奏でる「Jungle Hurricane」は初期スカパラを彷彿とさせるようなナンバー。中村達也ボーカルの「ダンゴムシ」は昔のアンダーグラウンドなパンクロックといった雰囲気を醸し出しています。ここらへん、様々な作風に挑戦できるのもMANNISH BOYSとしてしっかりと個性を確立してきたという自信があるからのように感じました。

歌詞もユニーク。例えば

「漂流船が沈んでく キャプテン達は逃げ出した
海賊船がやってきて 大砲を撃ち込んでくる
戦争なんてなぜするの? 人殺しは罪なハズよ
子供になんて答えりゃいい? 愛の為って言うのかい?」

(「曲がれない」より 作詞 MANNISH BOYS)

なんていう歌詞は具体的に政治的な楽曲ではないものの、いろいろと深読みも可能なチクリと皮肉った社会派な歌詞に仕上がっていますし、「うんこメーカー」なんていうまるで小学生男子がつけたようなタイトルの曲は、このタイトルと裏腹な中年男性の悲哀を歌った、ある意味ちょっと悲しさすら感じられるパンクナンバーになっています。

いままでのMANNISH BOYSは斉藤和義、中村達也という大物同士のユニットの割には、1+1が2以上にならない物足りなさを感じていました。しかし3枚目にしてはじめて1+1が2以上、もっといえば10にも100にもなったアルバムのように思います。ようやくMANNISH BOYSの本領発揮の傑作といった感じでしょうか。大満足の1枚でした。

評価:★★★★★

MANNISH BOYS 過去の作品
Ma!Ma!Ma!MANNISH BOYS!!!
Mu? Mu? Mu? MANNISH BOYS!!!

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2016年12月20日 (火)

初のフルアルバムがいきなりのヒット

Title:フレデリズム
Musician:フレデリック

これが初のフルアルバムとなる神戸出身の3ピースロックバンド、フレデリック。このアルバム、オリコンチャートで初登場7位を記録。これにはちょっとビックリ。フレデリックというバンド、名前は知っていたのですが、遅ればせながらはじめて彼らのアルバムを聴いてみました。

楽曲はテンポのよいリズミカルなものが多いのが目立ちます。「KITAKU BEATS」「オドループ」「オワラセナイト」といったダンスチューンが多く、基本的にはシンセを入れた軽快な四つ打ちチューンなのですが、「CYNICALTURE」のようなファンキーなディスコチューンもあり、耳をひきます。

またこのダンサナブルな楽曲にピッタリマッチするような形で、例えば「オンリーワンダー」「ほっとけほっとけ」「レプリカパプリカ」「ガタンゴトン」というリフレインする歌詞が妙に耳に残ります。こういった歌詞とリズムの結び付け方にはおもしろさも感じました。

メロディーラインについては哀愁感あり妙に歌謡曲色を強く感じます。特にこの歌謡曲風の楽曲は後半に多く「ナイトステップ」「ふしだらフラミンゴ」などが特に歌謡曲の色合いを強く感じました。一方で単純にベタな歌謡曲風というより「レプリカパプリカ」などのようにどこかメロディーラインにはひねくれた要素を感じます。そんなひねくれポップはどこかモノブライトに近いものも感じたのですが・・・この歌謡曲テイストの強いひねくれポップをダンスビートにのって聴かせるスタイルに彼らならではの独自性を感じました。

もうひとつ、このアルバムで耳を惹いたのが意外と豊富な楽曲のバリエーション。最初、ダンスチューンばかりか・・・と思って聴きすすめていくと、「スピカの住み処」はフォークソング、「バジルの宴」はロックンロール風とちょっと意外性ある楽曲も並んでいます。ダンスチューン主導の楽曲の中、ちょうどよいインパクトとなっていました。

そんないろいろとおもしろさを感じる一方でちょっと残念だったのが全68分というアルバムの長さ。メロディーにしろ歌詞にしろユニークなのですが、基本的に四つ打ちのダンスチューンが多いためさすがに後半の方は若干飽きてきたかも。もうちょっと曲数を絞って50分程度のアルバムだったらなおよかったのに、と思ってしまいました。

メロディーラインやサウンドに関してももう一歩、インパクトが欲しいかも、とも思いました。ダンスチューンにしてもひねくれポップにしてもユニークなのですが、もうちょっと振り切れたような曲が1、2曲あった方がおもしろかったかも?アルバムの長さでちょっとだれてしまった理由のひとつがそこだったように思います。

もっとも全体的にはおもしろいアルバムで、これからが楽しみな新人バンドだな、と思いました。これからの活躍が楽しみです。

評価:★★★★

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2016年12月17日 (土)

10年の区切りのセルフカバー

Title:VerSus
Musician:モノブライト

2007年でデビュー10周年を迎えるギターロックバンドモノブライト。今回、10年の区切りとしてリリースされたのがセルフカバーアルバム。この10年のライブ活動の中で育ててきた曲をあらためて音源として収録した6曲が収録されているミニアルバムとなっています。

思えばモノブライトというバンド、10年の間にいろいろありました。バンド名もmonobrightからMONOBRIGHT、さらにはカタカナのモノブライトに変更していきましたし、途中、まさかのヒダカトオルが正式加入。その後、(予想通り)ヒダカトオルが脱退。オリジナルメンバーによるバンドに戻ったかと思えば2015年にドラムスの瀧谷翼が脱退。3人組バンドとなり今に至っています。

今回10周年の区切りとしてセルフカバーアルバムをリリースしたのはメンバー3人にサポートメンバーを迎えて6人体制となった今、バンドの状況が非常によかったからだそうで、今の状態を音源として残しておきたかった、ということだそうです。メンバー脱退からわずか1年でバンドの状態がいいというのは・・・それって・・・と思ってしまうのですが・・・(^^;;

さてそんな彼らのセルフカバーアルバムですが、まずライブ活動を通じて変化してきた楽曲ということもあり全体的にライブ向けにダイナミックなアレンジとなっています。基本的に原曲から大きく変わったという曲はありません。ただやはりサポートメンバー含めて6人での演奏となった影響でしょうか、全体的には音数が追加され分厚いアレンジになっていました。

そのため原曲と比べるとどちらがいいか、といわれるとそこは好みの問題、といった感じ。分厚いサウンドになったため耳障りはいいですし、ライブではよく盛り上がりそうだな、と感じる反面、足し算ばかりのアレンジにちょっと食傷気味に感じる方もいるかもしれません。

具体的には「踊る脳」などは分厚いアレンジがマッチ。今回のセルフカバーでよりパワーアップしているように感じます。この曲以外にも基本的に原曲からしてダイナミックなサウンドを聴かせるタイプの曲に関しては概ね今回のセルフカバーの方がよく出来ていたように感じます。

一方で「DANCING BABE」のように比較的シンプルに抑えめのアレンジとなっている原曲に関しては今回のプラス方向のアレンジによって、原曲が持っていた引き算の良さが損なわれてしまったように感じました。今回のセルフカバーでももちろんライブでは盛り上がりそうですしこれはこれで魅力的なのですが、どちらかというと原曲の方がより魅力的に感じました。

ただ原曲との比較では良し悪しがあったのですが、アルバム全体としては非常に楽しめる作品になっていました。ライブ志向のアレンジによりアルバム全体として統一感があったという点も大きいのですが、モノブライトの代表曲をカバーしているためベスト盤的に楽しめる内容になっていました。

なにより収録曲がわずか6曲という点も気軽に聴けるためモノブライトの入門盤的に最適。どの曲もモノブライトらしいひねくれたメロディーラインがインパクトになっている楽しいポップチューンばかりでモノブライトの魅力を再認識できる内容になっていました。

昔からのファンにとって今のモノブライトを知れるという意味でも魅力的な作品ですがベスト盤的にもとても楽しめた作品。この10年の区切りを機にあらたな一歩を進める彼ら。これからの活動も楽しみです。

評価:★★★★★

モノブライト 過去の作品
monobright one
monobright two
adventure
淫ビテーションe.p.
ACME
新造ライヴレーションズ
MONOBRIGHT BEST ALBUM~Remain in MONOBRIGHT~
MONOBRIGHT three
Bright Ground Music

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2016年12月16日 (金)

アコギ1本のみで

Title:マホロボシヤ
Musician:青葉市子

青葉市子の作品で何が一番驚かされるかと言われれば、間違いなくそのアレンジでしょう。彼女の楽曲の特徴は、ほぼアコースティックギター一本というそのサウンド。それもストローク奏法などはあまり用いず、アルペジオで一音一音を静かにならすという方法。その奏法も自己流ということで、どこか不安定感があるのですがその不安定感が楽曲の揺らぎとなり独特な雰囲気を作り出しています。

アコギをメインというミュージシャンは他にもいます。ただアコースティックなサウンドがメインでもそこにピアノやストリングス、あるいはドラムなどを音を重ねてそれなりに分厚いサウンドを作り上げるというのが一般的な手法。しかし彼女の場合は徹底的にアコギ1本のみ。それも音数の少ないシンプルな音を作り上げています。本作でもアコギ以外は基本的に「コウノトリ」でピアノが登場するのみ。ただこちらもピアノのみで静かに聴かせるインストチューンとなっています。

そんな彼女の3年ぶりとなるニューアルバム。メジャーから2作目となるアルバムなのですが、メジャーになってもアコギ一本のみで歌い上げるという彼女のスタンスは全く変わりません。今回のアルバム「マホロボシヤ」というタイトルはどこか不思議な雰囲気がありますが、「幻を売る人」と「滅ぼしを売る人」が同居しているという意味を込められている造語だそうです。

そのタイトル通り、どこか幻想的な雰囲気を感じさせる歌詞が本作の特徴。また今回のアルバム、いろいろな生き物たちがよく登場している印象を受けます。タイトルチューンの「マホロボシヤ」「幻の鳥」「ゆめしぐれ」では「とりはうみへ さかなはそらへ」と歌われますし、「うみてんぐ」でも「チョウチョ」が登場してきます。

そんな生き物たちの登場によって歌詞の風景が浮かび上がってくる印象を受ける一方、その生き物たちは物語の中に生きているように登場します。そのため、どこか現実味がなく、幻想的な雰囲気を醸し出している大きな要素になっているように感じました。

また、同時に歌詞全体に寓話性を強く感じさせます。特に最後の「神様のたくらみ」「鬼ヶ島」はその寓話性を強く感じる歌詞が特徴的。この寓話性ゆえに歌詞の幻想的な雰囲気を強く感じます。ただ今回のアルバム、「マホロボシヤ」というタイトルに込められた「幻を売る人」と「滅ぼしを売る人」という側面、幻想的な雰囲気は「幻を売る人」につながり、また「神様のたくらみ」などでは「滅ぼし」という側面も感じるのですが、ただ滅びて終わりという歌詞ではなく、その向こうに再生の物語りも感じさせてくれます。

メロディーラインは決して売れ線といった感じのインパクトはありませんが、そのシンプルなサウンド、メロディー、そして独特な雰囲気の歌詞が非常に強く心に残るアルバム。まさに彼女しか生み出し得ない世界観を作り上げた傑作でした。

評価:★★★★★

青葉市子 過去の作品
うたびこ
ラヂヲ(青葉市子と妖精たち)
0


ほかに聴いたアルバム

せせらぎ/遊佐未森

途中、ベスト盤のリリースを挟んでいますがオリジナルアルバムとしては4年ぶりとなる遊佐未森の新作。アコースティックなサウンドが主体の透明感あるどこか幻想的なポップスはいつもの遊佐未森路線。目新しさはありませんが、いまだにどこか新鮮味を感じさせるのは楽曲の透明性ゆえんでしょうか。

評価:★★★★

遊佐未森 過去の作品
銀河手帖
Do-Re-Mimo~the singles collection~
淡雪
VIOLETTA THE BEST OF 25 YEARS

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2016年12月12日 (月)

ロックバンドらしいロックバンド

Title:BEST!BEST!BEST!
Musician:The Mirraz

結成から10周年を記念してリリースされた2枚組のベストアルバム。全40曲の彼らの代表曲が発売順に収録されています。

今回のアルバムであらためて彼らの代表曲をまとめて聴いてみたのですが、彼らは実にロックバンドらしいロックバンドだな、ということをあらためて感じます。彼らのスタイルは基本的にシンプルなギターロック。「TOP OF THE FUCK'N WORLD」で話題になったころは盛んにArctic Monkeysのパクリバンドと言われ、ROCKIN'ON JAPANなどでもそのことをエクスキューズとして記載していたほどでした。ただ、Arctic Monkeys同様、非常にシンプルで、そしてハイテンポな性急感あるギターロックが印象的。このどこか焦燥感あるサウンドがいかにも現状に不満を抱えているロックミュージシャンらしいスタイルを感じさせました。

またロックバンドらしさといったら歌詞もまた非常にロックバンドらしさを感じます。彼らの歌詞の特徴は妙に固有名詞が多いこと。「スタバ」やら「ガスト」やら「ロッキンオン」やらあまり歌詞に登場しないような歌詞が登場することがひとつのインパクトになっています。それ以上にユニークなのはこの歌詞が、どこか世間に対して反発しており妙に粋がったものを感じる点でしょう。ここ最近、どこか世間に対して醒めているというか、世間のありのままを受け入れているようなミュージシャンが多い中、彼らのようなスタイルは昔ながらのものも感じられるのですが、アラフォー世代の私にとってはいかにもロックバンドらしくうれしくなってきます。

でも彼らって今時の「若手バンド」だと思っていたのですが、でも作詞作曲を手掛けるボーカルの畠山承平ってもう35歳なんですね・・・ちょっと意外に感じる一方、確かにもう30代半ばの彼だからこそ、アラフォー世代がちょっと懐かしく思ってしまうような、ロックバンドらしいロックバンドの音、歌詞を奏でているんだろうなぁ・・・とも思ってしまいます。

そんなThe Mirrazですが、ただちょっと残念なのは全40曲、ほぼ全てハイテンポなギターロックばかりという点。リズムパターンはほとんど一緒でさすがに飽きてきます。さすがにこのワンパターンさは彼らも認識しているのか、ここ最近、「マジか。そう来たか、やっぱそう来ますよね。はいはい、ですよね、知ってます。」からEDM風のナンバーに仕上げているのですが、ちょっと付け焼刃的というか、打ち込みを取り入れたほかは相変わらずのハイテンポナンバー。楽曲的にはインパクト満点の曲が多いのですが、似たような曲が多いのはかなり大きな弱点だよなぁ。

評価:★★★★

で、そんな彼らがここ最近のリリースしたEP盤。

Title:そして、愛してるE.P.
Musician:The Mirraz

前作「しるぶぷれっ!!!」からEDM路線にシフトした彼らですが今回ではその方向性がかなりクリアに。バンド色が薄くなり、完全にエレクトロポップにシフト。かなりエレクトロのリズムトラックを前面に押し出した構成になっており、ロックバンドというよりも「クラブ系」の様相すら強くなってきています。

ただ基本的にハイテンポなリズムに畠山承平の言葉を詰め込んだような歌詞を歌うボーカルというスタイルは大きくは変わらず。良くも悪くもThe Mirrazらしさは相変わらずです。ただそんな中でも例えば「そんでそんでさぁ」などは歌詞も情報量を詰め込むというよりも同じ言葉を繰り返すことによりトランス感を増そうとしているスタイルに。そういう意味ではThe MirrazのスタイルをそのままEDMサウンドにのっけようとして無理が生じた前作に比べると、よりエレクトロサウンドという特質を生かそうとした作品になっていたと思います。

このスタイルがどのように次回作に生かされてくるのかわかりませんが・・・The Mirrazの次の一歩に注目したいところでしょう。

評価:★★★★

The Mirraz 過去の作品
We are the fuck'n World
言いたいことはなくなった
選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ
夏を好きになるための6の法則
OPPOTUNITY
しるぶぷれっ!!!


ほかに聴いたアルバム

BEST OF CHAMP YEARS 2007~2016/SCOOBIE DO

Scoobiedo

2007年に彼らが設立した自主レーベルCHAMP RECORDSからリリースされた曲を収録した配信限定のベスト盤。かなり黒さを押し出したようなファンキーなナンバーからポップ色の強い曲、ジャズっぽい曲、モータウンビートを入れた軽快なナンバーなど、全体的にファンクで統一しつつも幅広い音楽性が魅力的。そのリズムに気持ちよさを感じつつ、ただ一方楽曲にはもうちょっとインパクトが欲しいかな、とおもってしまう点も。

評価:★★★★

SCOOBIE DO 過去の作品
ROAD TO FUNK-A-LISMO!

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2016年12月11日 (日)

豪華ゲストが参加

Title:Bagatelle
Musician:SUEMITSU&THE SUEMITH

ここ最近、数多くのシンガーへの楽曲提供で活躍。音楽教師としても最近は活動しているそうで積極的な活動が目立つ末光篤。ここ最近は本名での活動が続いていましたが、久々にバンド名義SUEMITSU&THE SUEMITHでのリリースとなりました。SUEMITSU~名義ではなんと8年ぶり!もっとも末光篤名義でも約3年ぶりのアルバムとなり、久々のリリースとなりました。

SUEMITSU&THE SUEMITHの楽曲といえば、非常に重厚なピアノに分厚いサウンドがのり、さらにはフックの効いたメロディアスなメロディーがのるというスタイル。個人的にピアノが入った楽曲は好みであり、彼の曲もはっきりいえば壺。そのためデビュー以来、個人的に応援してきて、彼の楽曲は一通り聴いています。

今回のアルバムに関してもまさにSUEMITSUらしい楽曲が並んでいます。例えば今回のアルバムでいえば「未完成」「Summertime'83」などはまさに彼らしい楽曲と言えるのではないでしょうか。ピアノ主導の分厚いサウンドにキュートともいえるメロディーラインがとても魅力的なナンバー。もちろん個人的にもおもいっきり壺にはまって聴き入ってしまいました。

ただこのサウンド、かなりこってり風味。かついずれもピアノ主導のバンドサウンドということでバリエーションが少々乏しいのがマイナスポイント。そのため1曲1曲はかなりの名曲揃いなものの、アルバムを通じて聴くと、こってり風味のサウンドに少々胸やけ気味になってしまうのが彼のアルバムの大きな短所でした。

おそらく彼もそれをわかっているのでしょう、かなり意識的に楽曲にバリエーションを持たせてきています。今回のアルバムもそれが顕著。そしてその結果として豪華なゲストがズラリと参加しているのが今回のアルバムの大きな特徴となりました。

まず「Invention」では彼と同じくピアノポップの雄、大橋トリオが参加。末光篤と大橋トリオが融合したようなサウンドになっており、いつものSUEMITSUとは一風変わったピアノポップを聴かせてくれます。さらに「Shooting Star We Are」は少女隊というアイドルグループが参加。完全にアイドルポップに仕上がっています。かと思えば続く「幻想ノ即興曲」はチャットモンチーの橋本絵莉子が参加。こちらも女性ボーカルで爽やかな雰囲気が残るバラードナンバーになっています。

さらにアレンジ面でも「Pinocchio」ではあのtofubeatsが参加。基本的にはSUEMITSUらしさが前に出ているもののスペーシーな四つ打ちサウンドはtofubeatsらしい感じも。ちなみにこの曲、作詞に大江千里も参加しています。さらにラストはショッキング・ブルーの「Venus」をKentaro Takizawaによってディスコ調にアレンジしたカバー。こちらはSUEMITSUからすると一風変わったタイプの曲に仕上がっています。

他にも細美武士や柏倉隆史、クラムボンのミトやUNISON SQUARE GARDENの田淵智也という豪華なメンバーがズラリと並んだ今回のアルバム。この多彩なゲストは彼の人脈の広さを物語っていますが、この豪華ゲストにより楽曲の幅を広げるという戦略はそれなりに成功したように思われます。今回のアルバム、楽曲的にはいつものSUEMITSUらしい曲が多かったのですが、この多彩なゲスト参加の結果、楽曲にバリエーションが生まれ、最後までダレずに聴くことが出来ました。

個人的には73分というアルバムの長さはちょっと長すぎる印象はあります。彼のようなこってりサウンドのアルバムはもうちょっとシンプルにまとめた方が良いと思うのですが。そのマイナス点はあったのですが、久々のアルバム、十分に楽しめる満足いく内容になっていました。とても心地よい良質なピアノロックが楽しめる作品です。

評価:★★★★★

末光篤(SUEMITSU&THE SUEMITH) 過去の作品
Shock On The Piano
Best Angel for the Pianist-SUEMITSU&THE SUEMITH 05-08-
Dear Grand Piano
For Your Pianist
色彩協奏曲 Colors Of Concerto


ほかに聴いたアルバム

あねこみあほい/馬喰町バンド

日本の民謡やわらべ唄を楽曲に取り入れた独特の音楽性が話題となっている馬喰町バンドの5枚目となるアルバム。以前、ライブは一度見たことがあったのですが音源を聴くのはこれがはじめて。楽曲はまさにわらべ唄や民謡をそのままバンドサウンドにのせたようなスタイルがユニーク。メロのバリエーションがちょっと少ないような印象を受けるのは残念ですが、一方ではどこかジャズ的な要素も感じられる独特のグルーヴ感がとてもおもしろさを感じます。独自性あるそのスタイルは今後も注目していきたいところでしょう。

評価:★★★★

アシンメトリe.p./ねごと

4曲入りのEP盤。ここ最近の彼女たちはシンセのサウンドをメインにそこにバンドサウンドが重なるというスタイルを確立してきましたが本作は完全にエレクトロサウンドのポップチューンに仕上がっています。ある意味、さらにふっきれた感じ。次のアルバムはこの方向性を突き進むのでしょうか。注目したいところです。

評価:★★★★

ねごと 過去の作品
Hello!"Z"
ex Negoto

"Z"OOM
VISION

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2016年12月 9日 (金)

名古屋発、期待のガレージロックバンド

Title:正しい夜明け
Musician:ビレッジマンズストア

名古屋を中心に活動を続ける5人組ガレージロックバンドによる全7曲入りのミニアルバム。一応名前だけは知っていた、という程度のバンド。名古屋のバンドということで気になり、ほとんど前情報なしで聴いてみました。

で、これが大正解!予想していた以上に非常にカッコいいアルバムに仕上がっていました。まずそのガレージロックのサウンドがカッコいい!シンプルながらもとてもタイトなギターサウンド。ファンキーなサウンドをゴリゴリと聴かせる「ビレッジマンズ」やどこかくすんだ雰囲気のへヴィーなサウンドを疾走感もって聴かせる「スパナ」あたりがまずは文句なしのカッコよさを聴かせてくれます。一方で「帰れないふたり」のようにモータウンビートで軽快に聴かせてくれるナンバーもあったりします。

このガレージサウンドのカッコよさもさることながら彼らのもうひとつ大きな魅力がメロディーライン。前述の「ビレッジマンズ」なんかもそうなのですが、どこか哀愁感あって懐かしい歌謡曲的なメロディーラインが大きな特徴になっています。特に「WENDY」「PINK」といったメジャーコード主体のアップテンポな曲に関してはどこか90年代初頭あたりのJ-POP的なメロディーラインを感じます。ここらへん、個人的には学生時代によく聞いていたポップスロックのミュージシャンを彷彿させられて非常に壺。オーバー30からアラフォー世代にとってはとても耳さわりのよい懐かしさを感じさせるメロディーになっているのではないでしょうか。

このエッジの効いたガレージサウンドとポップなメロディーラインのバランスの良さがとても見事。ゴリゴリのガレージバンドでありながらもポップなメロによって聴きやすい楽曲にまとめられています。一方では、ともすればJ-POP的でベタとも捉えられそうなメロにも関わらず、非常にカッコいいバンドサウンドがのってくることによってしっかりと聴かせるロックンロールナンバーに仕上げてきています。

また個人的には名古屋のバンドということで歌詞に地元ならではの地名などが登場してくるのがうれしいところ。具体的に言うと「WENDY」の中に「鶴舞線」という名古屋の地下鉄路線が登場してきます。若干唐突な登場で、なぜ鶴舞線?という感じもしなくはないのですが、やはり地元民としてはちょっとうれしくなってしまいます(笑)。

さほど大きな期待をせずに聴いたアルバムだったのですがこれが非常に素晴らしい傑作アルバムになっており、おもいがけないうれしい出会いとなりました。ビレッジマンズストア、この名前、ロックファンなら覚えておいて損はないと思います。今後、知名度もぐんぐん伸びてくるかも。これからの活躍も楽しみなバンドです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

white noise/TK from 凛として時雨

凛として時雨のボーカリストTKによるフルアルバムとしては3枚目となるソロアルバム。ダイナミックでドラマチックなバンドサウンドとメロ、歌い方も含めて焦燥感ある楽曲はある種必要以上のインパクトがある作品に仕上がっています。ソロ3作目なのですがTKとしての方法論は完全に確立されて大いなるマンネリ路線を感じさせるアルバム。期待通りの作品であり安心して楽しめるという意味では間違いないのですが、悪く言えば目新しさはありませんでした。

評価:★★★★

TK from 凛として時雨 過去の作品
flowering
contrast
Fantastic Magic
Secret Sensation

KTHEAT/FACT

昨年解散したロックバンドのラストアルバムとなってしまった8thアルバム。タイトルはメンバー全員の名前の頭文字を並べたものであり、そのタイトルからしていかにもラストアルバム的。内容的にもハードコア的な要素がより強く感じられるアルバムになっており、ライブ感もここ最近のアルバムに比べてより強くなっています。タイトルもそうなのですが、やはりラストアルバムということを意識したのでしょう、FACTとしてやれることをやり切った感のある傑作アルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★★

FACT 過去の作品
FACT
In the blink of an eye
burundanga
witness
best+ 2009-2015

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2016年12月 6日 (火)

がんばりすぎ その2

Title:P.L.Y
Musician:illion

今年を代表する大ヒット映画となった「君の名は。」。映画と共に大きな話題となったのはRADWIMPSの歌う映画主題歌でした。この映画主題歌により一気にRADWIMPSの知名度もアップ。今年の紅白歌合戦にも初出場を果たし、その名前はお茶の間レベルまで浸透しようとしています。

RADWIMPSとしても「君の名は。」のサントラ盤をリリースしたり、さらには待望のニューアルバムをリリースしたりと積極的な活動を見せていますが、そんな中、なんとボーカル野田洋次郎のソロプロジェクトillionが再始動しました。2013年にアルバム「UBU」をリリース。それもイギリスで先行リリースされた他、海外でもリリースするなど大きな話題となったのは記憶に新しいところでしょう。その後、illionとしての目立った活動はありませんでしたが、RADWIMPSとしての活動が活発になってきた最中、illionとしてもニューアルバムのリリースとなりました。

その前作「UBU」は実験的で個人的な要素の強いアルバムになっており、ある意味ソロアルバムらしいソロアルバムになっていました。そして2枚目となる本作、実験的で個人的な要素が強いという点では基本的に前作から引き継いだアルバムと言えるでしょう。そういう意味で前作に引き続き、ソロアルバムらしいソロアルバムだったと思います。

1曲目「Miracle」はピアノとストリングスの美しい音色に透き通ったボーカルの美しいメロディーラインがのる幻想的で美しいポップチューン。続く「Told U So」「Hilight」はエレクトロビートの実験的なナンバー。「Hilight」ではラッパーS.L.A.C.K.が5lack名義で参加しています。

アルバム全体としてはエレクトロサウンドを大胆に取り入れた楽曲が多い作風。前作より方向性としては統一されている印象がある一方、やはりエッジの効いたサウンドが多く収録されていました。

ただ前作「UBU」では「がんばりすぎ」ということを強く感じました。意欲的な作品である一方、肩肘貼ったような印象を受けたのが前作でした。で、今回のアルバムに関しても同様、「がんばりすぎ」という印象を強く受けてしまいました。

おそらく「がんばりすぎ」と感じた大きな理由としてアルバム全体としていろいろとやりたいことを詰め込んだアルバムになっているということもあるのですが、その結果として「じゃあ、illionとして本当にやりたいことは何か」ということがいまひとつ見えてこないアルバムになっていたことが大きな要因のように感じました。

エレクトロサウンドにしても決して目新しい訳ではありませんし、かといって「こういう音がやりたい」という意思も薄く、ただなんとなく実験的っぽい音をやりたかったというチグハグなものを感じます。今回のアルバム、ポップなメロディーラインを聴かせる曲も多く収録されていましたが、かといってRADWIMPSみたいなインパクトあるポップスに仕上がっていた訳でもありません。

結果として「ただ実験的な雰囲気の曲が並んだアルバム」になっていたような印象を受けてしまいました。ポップのアルバムとして決して悪い訳ではありませんし、ポップなメロディーラインが中心に流れていただけに十分楽しめたアルバムだったと思います。しかし前作同様、がんばりすぎかつ頭でっかちという印象を強く感じてしまうアルバムになっていました。もうちょっと肩の力を抜いたポップスでいいんじゃないかなぁ。

評価:★★★★

illion 過去の作品
UBU


ほかに聴いたアルバム

NANIMONO EP/何者(オリジナル・サウンドトラック)/中田ヤスタカ

Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅのプロデュース、あるいはcapsuleとしての活動で知られる中田ヤスタカ。そんな彼が自身の名前でリリースしたアルバムがリリースされました。2枚組となる本作は、どちらも映画「何者」で使われた曲をあつめたもの。「NANIMONO EP」は主題歌「NANIMONO」とそのリミックスを収録した5曲入りEP。そしてもう1枚は同映画のサントラとなっています。

この「NANIMONO」、あの米津玄師をフューチャーして話題となりました。楽曲自体は良質なポップソングなのですが・・・あまり中田ヤスタカらしさが出ておらず、若干聴いていて消化不良に陥るような内容。米津玄師もあまり生かされていません。サントラ盤の方もいまひとつ。まあ映画のサントラなので必要以上に自己主張は要求されないのですが、それにしても平凡なBGM的な内容で中田ヤスタカらしさはこちらもあまり感じられません。全体的に中田ヤスタカのイメージで聴くとガッカリするような内容かも。ちょっと残念でした。

評価:★★★

daydream/Aimer

ソロ女性シンガーAimerの4枚目となるソロアルバム。「機動戦士ガンダムUC」の主題歌を歌ったためイメージ的には「アニソン歌手」というイメージも強いのですが今回のアルバムではONE OK ROCKのTakaや凛として時雨のTK、RADWIMPSの野田洋次郎といった作家陣を起用し、むしろサブカル(というかロケノン系)寄りの方向性を感じさせるアルバムに。私もその「意図」にのっかかってはじめて彼女のアルバムを聴いてみました。

楽曲はバンドサウンドによるギターロックのダイナミックな演奏に感情込めて歌い上げるボーカルというスタイル。感情たっぷりの彼女のボーカルは魅力的ではありますが、サウンド的にはよくありがちなギターロックといった感じですし、全体的に感情過多な感じもします。Aimerだけが持っているような「これ」といった要素もあまり感じされず、作家陣の知名度にのっかかっている印象も。悪いシンガーではないと思うけど、もうちょっとプラスアルファが欲しいかな、と思うような作品でした。

評価:★★★

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