中性的なフレンチテクノ
Title:Woman
Musician:JUSTICE
フランスのエレクトロデゥオによる5年ぶりの新作。2007年にリリースされたデビューアルバム「CROSS」が日本でも大きな話題に。フジロックやサマソニでもライブを披露してこちらも話題となりました。
フランス出身の彼らのサウンドは「フレンチテクノ」と称され、特にデビュー作「CROSS」ではその頃話題となったダフトパンクともよく比較されました。ダフトパンク同様、ビートの強くロック色が強いサウンドとポップなメロディーが特徴的。強いビートに反してそのサウンドはどこか丸みと暖かみがあるのが印象的で、ちょっとラウンジミュージックに通じそうなそのサウンドがフレンチポップ的と言えなくもありません。
個人的には前作「AUDIO,VIDEO,DISCO」が未聴のため彼らの作品を聴くのは話題となった「CROSS」以来。そのため比較としては「CROSS」との比較となってしまいますが、話題となったその作品と比べて大きく異なるのは「CROSS」がノイジーなサウンドで構成されておりソリッドな雰囲気を醸し出していたのに対して、今回の作品はノイジーさは薄れ、全体的にはもっと柔らかく、かつ洗練された雰囲気を感じます。
ただロッキンな強いビートのテクノポップといういわゆる「フレンチテクノ」の雰囲気は本作も健在。テンポのよいビートが特徴的な「Fire」や「Heavy Metal」もそのタイトル通り、硬質なサウンドで強いリズムを刻むエレクトロポップに仕上がっています。また、「CROSS」では女性ボーカルや子供の声を取り入れてチャイルディッシュな雰囲気を作り上げていましたが今回のアルバムに関してもハイトーンボイスのボーカルが耳に残ります。そんなハイトーンボイスのボーカルによるポップスのため、どこか中性的な雰囲気を感じさせます。「Woman」という今回のタイトルの通り、より女性的な雰囲気を作り出そうとしていたのでしょうか。
また今回のアルバムはボーカルメインのメロディアスな曲が多く、「CROSS」以上にポップで聴きやすい作品になっています。「Safe and Sound」みたいにどこか80年代風を感じさせるサウンドも心地よく、どこか懐かしさも感じさせます。「実験的」という印象も強かった「CROSS」に比べるとポップスさが大きく増した作品。広い層がポップとして楽しめるアルバムでした。
評価:★★★★★
JUSTICE 過去の作品
CROSS
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