ファンによる選曲がユニーク
Title:ACIDMAN 20th Anniversary Fans'Best Selection Album "Your Song"
Musician:ACIDMAN
バンド結成20周年を記念してリリースされたACIDMANのベストアルバム。え?ACIDMANってもう20周年なの?と意外に感じたのですがあくまでも結成から20年。私がはじめて聴いた彼らのデビューアルバム「創」がリリースされたのは2002年ですので、さすがにここからは20年は経っていない・・・・・・・とはいってもメジャーデビューからもう14年も経つのか・・・・・・。
彼らは2012年にベストアルバムをリリースしたばかりでそこから4年しか経過していません。それだけにちょっとベスト盤をリリースする間隔としては早すぎるんじゃない?とも思ったのですが今回のベスト盤はファンからの人気投票の上位20曲をそのまま収録したベストアルバム。そのためシングル曲を中心に収録した先のベスト盤「ACIDMAN THE BEST 2002-2012」とは収録曲が大きく異なっています。
それもなかなか興味深いのがその収録曲がシングル曲や代表的なナンバーだけではなく、かなりマニアックな曲も収録されている点でした。最も顕著なのがDisc1の3曲目というから人気投票で3位だった「風、冴ゆる」でしょう。この曲、2004年にリリースされたシングル「水写」のカップリング曲。まさに知る人ぞ知る的な楽曲になっています。他にもアルバム曲やインディーズ時代のナンバーなどもあり、このような収録曲はファン投票をそのまま反映されたベスト盤ならでは。なにより彼らに多くのコアなファンがついていることを実感させられる収録曲になっています。
またもう1つユニークといえるのが今回のアルバム、人気投票の順位がそのまま曲順となっている点でした。そのため発売日はバラバラ。発売日順に並んだ先のベストアルバムとも対照的と言える内容になっています。
このような曲順になっていて非常に興味深かったのは本作を聴くことによってファンの趣向がとてもよくわかるということでした。ACIDMANというバンドは分厚いバンドサウンドによるダイナミックな演奏と大木伸夫によるエモーショナルなボーカルというイメージが強いのですが、1枚目=人気投票上位に並んでいる曲に関してはまさにそういうACIDMANのイメージそのままのような曲が多く収録されています。正直なところ収録曲に関しては意外性があったもののそこに収録されている曲の「雰囲気」としてはあまり意外性はありませんでした。
逆に2枚目に関しては比較的そういうACIDMANのイメージとは異なるタイプの曲もチラホラ。例えば「赤橙」などは歌い方も抑えめの比較的シンプルなギターロックになっていますし、「リピート」もアコギが入って優しく歌い上げる楽曲になっています。
ただ2枚目に関してもやはり彼ららしいダイナミックなサウンドとエモーショナルなボーカルの曲が多く収録されていました。これは先のベスト盤の感想でも書いたのですが、彼らの楽曲は1曲1曲に関しては非常にインパクトもあり胸をうつような楽曲が多いのですが、一方で少々ワンパターンさも感じてしまいます。正直なところダイナミックなサウンドは少々大味にも感じる部分も多く、最初は楽しめてもアルバム全体を聴くと少々胸やけ気味がしてしまう部分も否めませんでした。
彼らの楽曲をアコースティックアレンジでカバーした曲を集めた「Second line&Acoustic collection II」などは非常に良かっただけに、基本的にメロディーは悪くないし、サウンドセンスも悪くないはずなんですよね。そういう意味ではもうちょっとシンプルな楽曲も聴きたいかも、と思わなくもないのですが・・・ただファンの人気からするとやはりダイナミックな演奏+エモーショナルなボーカルが大きな魅力なんでしょうね。そういう意味ではファンの嗜好と私個人の嗜好の齟齬を感じてしまったベスト盤でもありました。
評価:★★★★
ACIDMAN 過去の作品
LIFE
A beautiful greed
ALMA
Second line&Acoustic collection
ACIDMAN THE BEST 2002-2012
新世界
有と無
Second line&Acoustic collection II
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