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2016年12月23日 (金)

バンドの一体感がさらに深化

Title:麗しのフラスカ
Musician:MANNISH BOYS

前作「Mu? Mu? Mu? MANNISH BOYS!!!」がリリースされた時点でこのユニットが2作目をリリースするというのは意外だったのですが、そこから約2年、まさかの3枚目のアルバムリリースとなりました。ご存じの斉藤和義と中村達也によるユニット。どちらもそれぞれソロとしても大活躍している人気者同士のユニットだけに永続的な活動になりそうなのはちょっと意外でした。

さてそのバンドとして3枚目となる作品。1枚目「Ma!Ma!Ma!MANNISH BOYS!!!」はまだバンドとしてチグハグという印象があり、続く2枚目「Mu? Mu? Mu? MANNISH BOYS!!!」はグッとバンドとしての一体感が増したような作品になっていました。そして3枚目となる本作、MANNISH BOYSが「斉藤和義と中村達也の2人による」という修飾語が不要になるような、バンドとしての個性をしっかり出したアルバムになっていたと思います。

まず序盤「グッグッギャラッグッグ」「Honey」はへヴィーでグルーヴィーなガレージ風のサウンドが非常にカッコよく、バンドらしさが強く前に追い出したナンバー。どこかくすんだ雰囲気は中村達也がかつて所属していたBlankey Jet Cityを彷彿とさせます。特に「Honey」はギターとドラムスを中心としたシンプルなサウンドで、ギターとドラムスがお互いに絡み合い対決するような緊張感あるサウンドはMANNISH BOYSらしさを強く感じます。

ある意味非常にMANNISH BOYSらしさを感じるのが「レモネード」。非常に切ない雰囲気が出ているメロディアスな楽曲はいかにも斉藤和義らしいメロディーライン。一方、ここに中村達也の叩く複雑なリズムのソリッドなドラムスが重なってきています。ある意味、斉藤和義と中村達也の個性がそれぞれ強く出ていた楽曲なのですが、その個性がぶつかり合うことなく楽曲としてしっかりまとまっているあたり、MANNISH BOYSがバンドとして機能していることを感じます。

また今回の作品、楽曲のバラエティーが増えたのも大きな特徴。軽快なスカとロックを融合させた「曲がれない」やハワイアンな雰囲気の「真っ赤なバレリーナ」、スカのリズムにのえてへヴィーでグルーヴィーなロックサウンドを奏でる「Jungle Hurricane」は初期スカパラを彷彿とさせるようなナンバー。中村達也ボーカルの「ダンゴムシ」は昔のアンダーグラウンドなパンクロックといった雰囲気を醸し出しています。ここらへん、様々な作風に挑戦できるのもMANNISH BOYSとしてしっかりと個性を確立してきたという自信があるからのように感じました。

歌詞もユニーク。例えば

「漂流船が沈んでく キャプテン達は逃げ出した
海賊船がやってきて 大砲を撃ち込んでくる
戦争なんてなぜするの? 人殺しは罪なハズよ
子供になんて答えりゃいい? 愛の為って言うのかい?」

(「曲がれない」より 作詞 MANNISH BOYS)

なんていう歌詞は具体的に政治的な楽曲ではないものの、いろいろと深読みも可能なチクリと皮肉った社会派な歌詞に仕上がっていますし、「うんこメーカー」なんていうまるで小学生男子がつけたようなタイトルの曲は、このタイトルと裏腹な中年男性の悲哀を歌った、ある意味ちょっと悲しさすら感じられるパンクナンバーになっています。

いままでのMANNISH BOYSは斉藤和義、中村達也という大物同士のユニットの割には、1+1が2以上にならない物足りなさを感じていました。しかし3枚目にしてはじめて1+1が2以上、もっといえば10にも100にもなったアルバムのように思います。ようやくMANNISH BOYSの本領発揮の傑作といった感じでしょうか。大満足の1枚でした。

評価:★★★★★

MANNISH BOYS 過去の作品
Ma!Ma!Ma!MANNISH BOYS!!!
Mu? Mu? Mu? MANNISH BOYS!!!

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