今後のBON JOVIの方向性を示唆
Title:This House Is Not For Sale
Musician:BON JOVI
BON JOVIというと個人的には高校時代を思い出します。当時、まだ日本のヒット曲ばかりを聴いていた高校時代の私。ちょっと背伸びして洋楽を聴いてみよう・・・と思った時にちょうど高校生の間でもヒットしていたのがBON JOVIでした。ハードロックのスタイルはいかにもロック然として洋楽を聴いた満足感を覚える一方、わかりやすいサビを持ったJ-POP的楽曲構造は邦楽しか聴いていない高校生にも非常に聴きやすいポップソングとして機能していました。
それから20年。いまだに第一線で活躍を続けるBON JOVI。2014年に残念ながらギターのリッチー・サンボラが脱退してしまいましたが、このアルバムでもビルボードチャートで1位を獲得。変わらぬ人気を続けています。このアルバムはリッチー・サンボラ不在でリリースされた前作「Burning Bridges」に続く新作。前作は彼らにしては比較的ハードロック色が薄めのおとなしいイメージの作品だっただけに、次の展開が注目されました。
さてそんな新作なのですが、基本的に前作よりはハードロック色が強くなったように感じます。いきなりタイトルチューン「This House Is Not For Sale」からスタートするのですが、こちらは彼ららしいメロディアスでかつダイナミックなハードロックチューン。この曲をアルバムタイトルにするあたり、ハードロック路線で突き進むという彼らの意思を感じることが出来ます。
ただし全体的には前作と同様、泥臭さと渋みの増した内容。またかつての彼らのようなハードロックバンドとしてのスケール感はあまり感じません。30年以上活動を続ける彼らに言う言葉ではないかもしれませんが、大人になったように感じる作品。フックの効いたわかりやすいサビはない代わりに、落ち着いたサウンドを聴かせてくれます。
楽曲的にもゴリゴリの昔ながらもハードロックというよりは「The Devil's In The Temple」や「God Bless This Mess」あたり、ギターサウンドにむしろオルタナ系ギターロックバンドっぽい爽やかさすら感じられる楽曲になっており、へヴィー志向のハードロックというよりもポップス志向のメロディアスなギターロックという印象を受ける楽曲もチラホラ見受けられました。
もちろん一方では上でも書いた通りBON JOVIらしさは本作でも健在。そういう意味では基本的にいままでのBON JOVIらしさを維持しつつも、ポップス志向の楽曲を取り入れつつ、落ち着いた大人のロックを指向する、それが彼らのこれからの方向性なのでしょうか。まだリッチー脱退後2作目ということでこれからも徐々にそのスタイルを変えていく可能性もあるかと思うのですが・・・これからのBON JOVIの活動も注目していきたいところです。
評価:★★★★
BON JOVI 過去の作品
Lost Highway
THE CIRCLE
GREATEST HITS-THE ULTIMATE COLLECTION
What About Now
Burning Bridges
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