聴きやすさが増した新作
Title:KETSUNOPOLIS 10
Musician:ケツメイシ
メジャーデビュー15年目を迎えるケツメイシ(メジャーデビューは2002年なので15周年はどちらかというと来年なのでしょうが)の10枚目となるニューアルバム。タイトルがアルファベット表記になってから3作目となる作品。「ケツノポリス7」まではジャケット写真は首里城の前というお決まりがあり、それが「KETSUNOPOLIS 8」以降は首里城以外の場所となったのですが今回はジャケット写真に首里城が復活。10作目にして原点回帰といった感じになるのでしょうか?
前作「KETSUNOPOLIS 9」は奇をてらわないスタンダードなポップスアルバムでベテランとしての安定感が出ているアルバムになっていました。そしてそれに続く今回のアルバムに関してもベテランとしての安定感がある作品になっており、いい意味で安心して聴けるアルバムになっていたと思います。
まず1曲目「ヤシの木のように」は仲間との友情を歌ったナンバー。ケツメイシらしいレゲエアレンジも心地よい爽やかなポップチューンになっています。友情を歌ったといえば先行シングルでもある「友よ~この先もずっと・・・」もそうでしょう。軽快な打ちこみのリズムにちょっと切ないメロが印象的なナンバー。まあはっきりいってよくも悪くもJ-POP的ではあるのですが、インパクトあるナンバーになっています。
一方、タイトル通りのラテン風な「ボサノBAR」やこちらもタイトル通りディスコナンバーの「ディスコ☆部長」あたりはユーモラスさを感じさせるナンバー。聴かせる歌詞のナンバーの間にこのようなユーモアセンスあふれる楽曲が自然に入ってくるあたり、彼らのベテランとしての余裕や実力を感じます。
今回のアルバムに関しては「カラーバリエーション」や「ほら行こう」のようないかにもJ-POP風の前向きソングも目立った感じがします。ここらへん、確かにインパクトという面では申し分ないのですが、ちょっとベタさが先立ってしまったような気がします。
またここ最近のアルバムではよく収録されていた、アラフォーである彼らならではの視点の曲がなかったのも残念。ウィットのきいたようなひねりのある歌詞もあまりなく、メロディーも含めて全体的にわかりやすくなったという印象の強いアルバムになりました。そういう意味でも安心して楽しめるアルバムだったと思います。もっとも個人的にはもうひとひねりがほしかったとは思うのですが。
そんな訳でいいアルバムとは思いますが個人的には「8」「9」は超えられなかったなかぁ、という印象。ケツメイシらしさが楽しめるアルバムではあることは間違いないと思うのですが。
評価:★★★★
ケツメイシ 過去の作品
ケツノポリス5
ケツノポリス6
ケツノポリス7
ケツの嵐~春BEST~
ケツの嵐~夏BEST~
ケツの嵐~秋BEST~
ケツの嵐~冬BEST~
KETSUNOPOLIS 8
KETSUNOPOLIS 9
KTMusic(KTMusic)
ほかに聴いたアルバム
増補改訂完全版「バンドBのベスト」/Base Ball Bear
Base Ball Bear2枚目のベスト盤。ただ彼ら、2013年にベスト盤「バンドBのベスト」をリリースしたばかり。本作はタイトルからもわかる通り、その「バンドBのベスト」に2013年以降の新曲を追加(一部楽曲を削除)した改訂版的なベスト盤。前作からわずか3年でのベスト盤リリースは早すぎると思うのですが、おそらく今年、ギターの湯浅将平の突然の脱退という出来事があり3人組となった彼らがバンドとしての活動にひとつの区切りをつけるためにリリースした、ということなのでしょう。そういう意味で感想は基本的に以前書いた「バンドBのベスト」と同様。内容的には文句はないのですが・・・ベスト盤のスパンが短すぎて前作を買った方には無理にこのアルバムを買う必要もないと思うので★1つマイナスで・・・。
評価:★★★★
Base Ball Bear 過去の作品
十七歳
完全版「バンドBについて」
(WHAT IS THE)LOVE&POP?
1235
CYPRESS GIRLS
DETECTIVE BOYS
新呼吸
初恋
バンドBのベスト
THE CUT
二十九歳
C2
Requiem For Hell/MONO
日本のみならず海外でも積極的に活動を続けるギターインストのポストロックバンドによる2年ぶりの新作。ノイジーなギターサウンドに埋め尽くされたダイナミックなバンドサウンドに哀愁感あるメロディーラインが心地よい作品。そのサウンドに気持ちよくトリップできる内容なのですが、良くも悪くも似たパターンが多く、いつものMONOという印象も。
評価:★★★★
MONO 過去の作品
Hymn To The Immortal Wind
For My Parents
The Last Dawn
Rays of Darkness
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