奇をてらわない良質なロックアルバム
Title:WALLS
Musician:KINGS OF LEON
アメリカ・ナッシュビル出身の4人組ロックバンド、KINGS OF LEONによる約4年ぶりとなるニューアルバム。アメリカのバンドですがイギリスから人気に火が付き、イギリスでは2007年の「Because of The Times」以来本作まで5作連続でチャート1位を獲得。一方アメリカでも逆輸入的に人気を獲得し、本作では見事初となるアメリカビルボードチャート1位を獲得しています。
以前聴いた「COME AROUND SUNDOWN」のレビューでは奇をてらうことのないシンプルなアメリカンロックが特徴的と書いたのですが、基本的にその路線は本作も同様。シンプル、というよりは奇をてらうことのないメロディアスなロックを展開。ちょっと泥臭い部分を感じる点、いかにもアメリカらしいロックバンドという印象も受けました。
ただ「COME AROUND SUNDOWN」では正直、良質なアルバムだと思うけど個人的にはちょっと壺にはまらないなぁ・・・という感想だったのに対して今回のアルバムはそんな私にとっても非常にはまってしまった作品になりました。今回のアルバムは全体的にサウンド的には軽く、よりポップになったのが特徴的。なによりも軽快なメロディーラインが心地よく、そのアルバムのポピュラリティーの点から非常に心地よい傑作に仕上がっていました。
1曲目の「Waste A Moment」や「Find Me」あたりが本作の中でポップなメロディーラインを聴かせる曲の典型例でしょうか。疾走感ある軽快なリズムとインパクトあるメロディーラインが特徴的。またメロディーラインの良さという意味では「Conversation Piece」やタイトルチューンである「WALLS」のようなミディアムテンポで聴かせるナンバーについては、特に彼らの持つメロディーセンスの良さが光る楽曲になっています。
一方ロックバンドとしても、ゴリゴリとしたバンドサウンドを前面に押し出した、といった感じはないのですがしっかり彼らのメロディーを下支えする安定感あるバンドサウンドを聴くことが出来ます。サウンドにもバリエーションがあり、例えば「Around The World」は軽快でシンプルなギターサウンドはちょっとVampire Weekendあたりの方向性も彷彿とさせる今時のインディーバンドみたいな雰囲気も。「Muchacho」ではちょっとハワイアンの影響も感じさせるのもユニーク。また今回のアルバムの中で最もバンドサウンドが前に出ていたのが「Over」で、分厚いバンドサウンドでグルーヴィーなサウンドを展開しており、スケール感あるサウンドが耳に残ります。
そんな訳でサウンドが独特で個性がある・・・といった感じではないのですが、ポップなメロディーラインと心地よいバンドサウンドが実に魅力的な良質なロックバンドといった印象の傑作アルバム。全世界的に売れているみたいですが日本ではいまひとつなんだよなぁ。もっと日本でも売れてもいいバンドだと思うのですが。
評価:★★★★★
KINGS OF LEON 過去の作品
Only By The Night
COME AROUND SUNDOWN
ほかに聴いたアルバム
HARD II LOVE/Usher
約4年ぶりとなるUsherの新作。前作「Looking 4 Myself」は良くも悪くもヒットチャート王道系のR&Bチューンでしたが今回はエレクトロサウンドはシンプルにまとまっており、しんみりとメロディアスに聴かせるナンバーがメイン。良い意味で奇をてらわない王道な楽曲が並んでおり、大人なR&Bという印象を感じる良質なポップスが並んでいました。
評価:★★★★
Usher 過去の作品
HERE I STAND
RAYMOND V RAYMOND
Looking 4 Myself
The Serenity of Suffering/KORN
アメリカのへヴィーロックバンドKORNによる3年ぶりの新作。全編デジタルサウンドを取り入れた前作から一変、本作はゴリゴリのバンドサウンドが鳴り響くKORNらしいアルバムに。意外とポップでメロディーラインが端正でともすれば耽美的ですらあり日本のビジュアル系みたいな雰囲気すら感じてしまいました。ある意味、聴きやすさもある1枚です。
評価:★★★★
KORN 過去の作品
Untitled
KORNIII:REMEMBER WHO YOU ARE
THE PASS OF TOTALITY
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