「Choo Choo TRAIN」でおなじみの・・・。
Title:All Time Best~KEIZO's 25th ANNIVERSARY
Musician:中西圭三
懐かしいなぁ~久しぶりに彼の曲を聴きました。1992年シングル「Woman」を大ヒットさせ話題となったシンガーソングライター中西圭三のデビュー25周年を記念してリリースされたオールタイムベストです。今の若い世代にとってはEXILEもカバーした「Choo Choo TRAIN」を作曲した人、と言った方がいいかもしれませんね。
シンガーソングライターとしての彼は残念ながら「Woman」を超えるヒットは出せませんでした(1993年にリリースした「眠れぬ想い」はそこそこヒットしましたが)。もっともアルバムとしては「Steps」「Starting Over」と2枚、チャート1位を記録していますし、また他のミュージシャンへ数多くの楽曲を提供しており、特に1998年、BLACK BISCUTSに提供した「Timing」は148万枚という大ヒットを記録しています。
そんな彼の代表曲を久しぶりに聴いてみたのですが、まず感じたのはとても懐かしさを感じるサウンドということでした。楽曲的には80年代のAORからの流れを感じるサウンドでいまから聴くと特に初期の作品については少々時代を感じてしまいます。
ただ一方で様々なタイプのポップな曲が展開しておりある種の器用さを感じます。例えば「You and I」やスマッシュヒットを記録した「眠れぬ想い」などは哀愁感あるメロディーで歌謡曲テイストの強いナンバーになっていますし、「A.C.E.」などかかなり爽やかなポップテイストの強い作品。「SO BAD」はファンキーな作品になっていますし、「Bloom! Bloom!~サクラ咲け~」ではラテンなテイストも感じます。
どの楽曲も十分なインパクトがあり、サビのフレーズも印象的。この器用さゆえに他のミュージシャンへ数多くの楽曲を提供し、「Choo Choo TRAIN」や「Timing」という大ヒット曲が産まれたのでしょう(ちなみにこの両曲のセルフカバーも収録されています)。「器用」といえば最近ではNHK「おかあさんといっしょ」にも楽曲を提供。残念ながら本作には収録されていないのですが「ぱわわぷたいそう」は楽曲提供のみならず本人も歌唱で参加。おとうさんおかあさんの中には耳なじみある方も少なくないかも。子供向けの歌まで歌えるという幅の広さを見せています。
同じく「おかあさんといっしょ」の歌といえば本作にも収録されているのが「ぼよよん行進曲」のセルフカバー。実は自分の子供用に買った「おかあさんといっしょ」のCDで既にこの曲は知っており、その時から「良い曲だな」と思っていたのですが、さすがに子供がいないと「おかあさんといっしょ」のCDを聴くのは厳しいでしょうから、これを機に多くの方にこの曲を聴いてもらえるというのはうれしい話。明るい前向きな曲なのですが、なぜか涙腺を刺激される不思議な名曲です。
正直、この器用さゆえに若干器用貧乏というか、「中西圭三にしか出せない個性」という面が薄くなっている部分も否定できない事実。ここらへん、シングルでは事実上「Woman」の一発屋的に終わってしまっている大きな理由なのかもしれません。とはいえベスト盤では「Woman」に負けずとも劣らぬ名曲も多く収録されています。「Woman」を懐かしく感じる人、「Choo Choo TRAIN」が好きな人、あるいは「ぱわわぷたいそう」や「ぼよよん行進曲」で知った方、要チェックなベスト盤だと思います。私は久しぶりに聴いたのですが、なにげに名曲が多いです。あらためて中西圭三の魅力を再認識させられたベスト盤でした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
鷹フェス~秘密結社 鷹の爪 10th Anniversary Best~
今年で10周年を迎えるアニメ「秘密結社 鷹の爪」の主題歌などをあつめたオムニバスアルバム。以前もチラッと書いたことあるんですが、実はファンなんですよ、このアニメ(笑)。収録曲はいかにもなアニメソングがある一方、山嵐やm-flo、RIP SLYME、GLIM SPANKYなど豪華ミュージシャンも参加。途中、ショートコント的なドラマトラックが挟まっていたりして、ファンにとってはかなりうれしいアルバムになっています。まあ、アニメを見ていないとわからないような部分も多いので「幅広くお勧め」というアルバムではないのですが・・・。
評価:★★★★
男と女~野宮真貴、フレンチ渋谷系を歌う。 /野宮真貴
「渋谷系スタンダード化計画」としてここ最近、「渋谷系」をテーマにライブを行っている野宮真貴。2015年は渋谷系のルーツとして「フレンチ」に焦点をあてた選曲でのライブだったようですが、そのライブの模様を収録したライブアルバムと、「フレンチ」をテーマに選曲した渋谷系を感じさせる楽曲をカバーしたスタジオアルバムの2枚組。渋谷系の中にある「フレンチ」に焦点をあててそのルーツといえる楽曲を選曲するスタイルはユニーク。ただ前作での感想でも書いたのですが、野宮真貴のステレオタイプそのままといったカバーアルバムなので、意外性は全くないのがちょっと残念な感じ。
評価:★★★★
野宮真貴 過去の作品
実況録音盤!「野宮真貴、渋谷系を歌う。~Miss Maki Nomiya Sings Shibuya-kei Standards~」
世界は愛を求めてる。-野宮真貴、渋谷系を歌う。-
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