シンプルなジャケットが逆にインパクト?
Title:Joanna
Musician:Lady Gaga
前作「Cheek to Cheek」はアメリカポピュラーミュージック界の大御所中の大御所、トニーベネットとのデゥオというスタイルだったので単独名義のオリジナルアルバムとしては3年ぶりとなるLady Gagaの新作です。
Lady Gagaといえば(特に日本では)その奇抜なコスチュームが話題にのぼることが多いミュージシャン。いままでのアルバムも奇抜なジャケット写真に強いインパクトがありました。それを考えると今回のアルバムは逆の意味でそのジャケット写真に驚かされます。帽子をかぶった彼女の横顔という非常にシンプルな写真。今回のアルバムタイトル「Joanna」も彼女の本名「ステファニー・ジョアン・アンジェリーナ・ジャーマノッタ」から取られたもの。今回のアルバムは彼女のありのままの自分をさらけだしたアルバムというコンセプトがあるそうです。
それだけに今回のアルバムは比較的シンプルなアレンジが目立ちます。彼女の曲といえばエレクトロトラックを積極的に用いたインパクトあるポップスが多いのですがエレクトロトラックを前面に押し出したのは「Perfect Illusion」くらいでしょうか?冒頭を飾る「Diamond Heart」「A-YO」は比較的シンプルなポップスロックという印象を受けますし、続くタイトルチューンの「Joanne」に至ってはアコギでしんみりと聴かせるナンバー。後半もピアノをメインとしてシンプルに「歌」を聴かせる曲が多く、アルバム全体として非常にシンプルという印象を受ける作品となっています。
ただ、ここでのレビューでも以前から書いているのですが私のLady Gagaに対するイメージは表面的には奇抜なスタイルを装っているものの楽曲自体はとてもオーソドックスなポップスを歌っているという印象。いままでの作品もエレクトロアレンジやPVが派手だったりしたものの楽曲自体は非常にシンプルなポップスという印象を受けていました。
それだけに今回のアルバムに関しても確かに素のままに歌ったようないつも以上にシンプルなポップスが増えたかもしれませんが、基本的にはいつもと同じLady Gagaだな、という印象を受けました。アルバム全体としてのインパクトはちょっと薄れてしまった反面、しっかりと聴かせるポップソングが奇抜なコスチュームに頼らなくても勝負できるというGagaの自信を感じる作品になっていました。
最近は例のアメリカ大統領選挙でのクリントン陣営への応援やトランプ陣営への抗議でも話題となった彼女。このアルバム、売上的には残念ながら前作を大きく下回ってしまったものの、ポップアイコンとしての存在感はまだまだ大きそう。シンプルとなった本作の次はどんなアルバムをリリースしてくるのか・・・まだまだ目が離せないミュージシャンなのは間違いなさそうです。
評価:★★★★
LADY GAGA 過去の作品
The Fame
BORN THIS WAY
ARTPOP
Cheek to Cheek(Tony Bennett & Lady Gaga)
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