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2016年11月12日 (土)

垢抜けた新作

Title:Gameshow
Musician:TWO DOOR CINEMA CLUB

フランスのインディーレーベル、キツネからメジャーレーベルのパーロフォンに移籍。インディーバンドから一段の飛躍を求めた北アイルランドのロックバンド、TWO DOOR CINEMA CLUB。その4年ぶりとなるアルバムがようやくリリースされました。

そんなメジャーシーンへ活動をうつした彼らですが、その基本となる方向性は変わりません。心地よいエレクトロサウンドと哀愁感たっぷりのメロディーライン。80年代ニューウェーブを彷彿させるという楽曲の雰囲気も変わりません。久々となる新作ですがTWO DOOR CINEMA CLUBとしてのコアとしての部分には大きな変化はなかった、と言えるかもしれません。

ただ一方でその彼らのコアな部分をコーティングした「装飾」の部分については今回のアルバムで大きく変わったように思います。前作までの彼らはチープでスカスカなサウンドがいかにもインディーバンドっぽく、また同時にそんなサウンドが大きな魅力のひとつでした。しかし今回のアルバムに関してはサウンドからチープさは消え、また厚みもました結果、スカスカという印象は姿を消します。良くも悪くも垢抜けたアルバム、今回のアルバムのイメージはそういったものでした。

その垢抜けたサウンドというのは彼らにとってプラスの方向にももちろん働いています。例えば「Bad Decisions」「Je Viens De La」はまさに80年代的なディスコチューンになっておりダンサナブルなリズムが強いインパクトを持った作品。タイトルチューンである「Gameshow」もエレクトロサウンドにギター主導のバンドサウンドが重なった楽曲になっており、ダイナミズムを感じさせる内容が強いインパクトを産んでいます。

そんな訳でアルバム全体としてはサウンドの厚みも増し、間違いなくインパクトが増した印象を受けます。ただその反面、スカスカなサウンドだからこそ感じたTWO DOOR CINEMA CLUB独特のグルーヴ感は大きく減ってしまったように感じます。エレクトロサウンド特有のスクエアなリズムだったがゆえに、聴いていて最後の方はちょっと飽きが来てしまったのも事実。哀愁あるメロディーラインは相変わらず聴かせますし、1曲1曲の出来は決して悪くはないのですが、サウンドが垢抜けた結果、TWO DOOR CINEMACLUBの良さも減ってしまったようにも感じてしまいました。

メジャーに移籍しサウンドが垢抜けた結果、インディー時代の素人っぽさが消え、同時に良さも薄れてしまった・・・という話はよく聞く話ですが、残念ながら彼らに関してもその「法則」があてはまってしまったように感じます。ただ、アルバムの出来は決して悪くはないと思うし、そういう意味では次回作も期待したいところなのですが・・・ちょっと残念に感じた新作でした。

評価:★★★★

TWO DOOR CINEMA CLUB 過去の作品
Tourist History
Beacon

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