よりメタリック色が強く
Title:第六作品集「無題」
Musician:downy
途中リミックスアルバムのリリースはあったものの、純然たるニューアルバムとしては3年ぶりとなるdownyの新作。前作「第五作品集『無題』」は途中活動休止時期を挟んだため実に9年ぶりとなる新作となりましたが、今後は再び継続的な活動を続けているようで、今後の活動も楽しみになってきます。
で、今回のアルバムに関してもしっかりと期待通りの傑作に仕上がっていました。まず1曲目「凍る花」からしてバリバリの変拍子を展開する複雑なリズム構成が耳を惹く作品に。この複雑なリズムが展開するという意味では「親切な球体」もその方向性でdownyらしい作品と言えるでしょう。もっといえばこの曲、途中からBPMが変わり、その構成のユニークさにさらに惹かれる楽曲になっています。
こういう複雑な構成を展開しつつも楽曲はどの曲も3分から長くて6分という「ポピュラーミュージック」の枠組みにおさまる短さ。全9曲入りでアルバムの長さも36分程度という内容もちょうどよい聴きやすさを持っています。「ポップ」といえば例えば終盤の「乱反射」。同じく変拍子のリズムを展開しつつも哀しさを感じるメロディーラインが耳をつきます。アルバムの最後を締めくくる「翳す、雲」も哀愁感あるメロディーラインが前面に押し出されており、ポップな曲として十分成り立つだけの歌を聴かせる曲に仕上がっています。複雑で個性的なリズムとサウンドを聴かせつつも、あくまでも「ポップ」であることに立脚している点がdownyの大きな魅力のひとつであることが実感できます。
また今回のアルバム、活動休止前から引き続き、エレクトロサウンドを取り入れたサウンド傾向がより強くなっています。サウンド的にはエッジの効いたメタリックなサウンドがメイン。轟音のギターを鳴り響かせノイズで埋めるというスタイルの曲は残念ながら今回は見受けられません。そういう意味で初期の彼らが好きだったという方には物足りなさを感じるかもしれませんが・・・それでも独特な彼らの音世界には徐々に惹きこまれていくこと間違いなしかと思います。
前作に引き続き文句なしの傑作アルバム。まだまだこれからも傑作を世に生み出してくれそう・・・そんな予感をますます感じる作品でした。
評価:★★★★★
downy 過去の作品
第五作品集「無題」
第五作品集「無題」Remix Album
ほかに聴いたアルバム
EXPLOSION/大西ユカリ
レコード会社移籍第1弾となるアルバムは、横山剣、甲本ヒロト、宮藤官九郎など豪華なゲスト陣が話題。ただ今回のアルバムは歌謡曲を意識してつくられたアルバムということもあり、かなり歌謡曲テイストが・・・というよりも演歌、ムード歌謡の色合いが濃い作品になっていてさすがにここまでムード歌謡曲寄りになると個人的に聴いていてちょっと好みからはずれる部分も。個人的にはもうちょっと「ソウル」のテイストが強い方が好みかなぁ。悪いアルバムではないと思うのですが。
評価:★★★★
大西ユカリ 過去のアルバム
HOU ON
やたら綺麗な満月
直撃!韓流婦人拳(韓国盤)
直撃!韓流婦人拳
ニガイナミダが100リットル
肉と肉と路線バス
奥田民生 生誕50周年伝説“となりのベートーベン" /奥田民生
昨年、生誕50年を迎えた奥田民生が、12月22日に東京国際フォーラムで行った記念ライブの模様をおさめたライブCD。Disc1はくるり岸田繁やスピッツ草野マサムネ、トータス松本、吉井和哉、和田唱など豪華ゲストによるカバー。それぞれのボーカルによって、岸田繁ならくるりらしく、吉井和哉ならイエモンらしくなっているのがおもしろいところ。Disc2は奥田民生ボーカルなのですが、大編成のスペシャルオーケストラ率いてのステージだとか。ニューオリンズ色の強い楽しいステージになっており、当日の盛り上がりも伝わってきます。奥田民生の魅力が伝わるとても楽しい2枚組のライブ盤でした。
評価:★★★★★
奥田民生 過去の作品
Fantastic OT9
BETTER SONGS OF THE YEAR
OTRL
Gray Ray&The Chain Gang Tour Live in Tokyo 2012
O.T.Come Home
秋コレ~MTR&Y Tour 2015~
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