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2016年11月

2016年11月30日 (水)

強い!

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

見事1位に返り咲きです。

星野源「恋」が10月31日付チャート以来、5週ぶりに見事1位に返り咲きました。その間も常にベスト3をキープ。安定した人気をキープしてきましたが、再び1位に戻ってきました。CD売上・ダウンロード・ストリーミング(以下「実売数」)2位、PCによるCD読取数、Twitterつぶやき数ともに1位、You Tube再生回数2位、ラジオオンエア数4位というどのチャートでも順位に食い込んでくるという高い人気を誇っています。間違いなく2016年を代表するヒット曲となりました。

初登場組でトップは2位。モーニング娘。'16「セクシーキャットの演説」が初登場でランクイン。実売数では1位でしたが、PCによるCD読取数18位、Twitterつぶやき数19位、ラジオオンエア数では41位というCDを購入するコアなファン層以外には全く普及しないパターンで2位という結果となりました。ちなみにオリコンでは初動売上9万7千枚で1位獲得。前作「泡沫サタデーナイト!」の11万3千枚(2位)よりダウン。

3位初登場は桑田佳祐「君への手紙」。CD発売にあわせて先週の14位からランクアップ。WOWOW「開局25周年」CMソング。桑田佳祐節ともいうべきちょっとネッチリとしたミディアムチューン。実売数3位、PCによるCD読取数5位に対してラジオオンエア数1位というのがらしい感じ。一方、Twitterつぶやき数は33位にとどまっているあたり、ファン層が高年齢だからか?と邪推してしまいます。オリコンでは2位初登場。初動売上7万枚は前作「ヨシ子」さんの8万1千枚(2位)からダウンしています。

続いて4位以下の初登場曲です。5位はアニメキャラによるアイドルプロジェクト「ラブライブ!サンシャイン!!」によるキャラクターユニットAquors「ジングルベルがとまらない」が入ってきました。実売数4位、PCによるCD読取数3位、Twitterつぶやき数4位と上位にランクインしている一方、ラジオオンエア数が圏外なあたりがいかにもアニメキャラソングといった感じ。オリコンでは初動売上4万3千枚で3位初登場。前作「想いよひとつになれ」の3万6千枚(3位)よりアップしています。

今週の初登場組は以上。一方、1曲、返り咲き組も。10位に安室奈美恵「Dear Diary」が先週の30位からランクアップ。11月7日付チャート以来4週ぶりにベスト10に返り咲きました。映画「デスノート Light up the NEW world」主題歌ですが、好調な映画に支えられてのヒットのようです。

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート。

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2016年11月29日 (火)

行きついたその先へ

Title:ハンドルを放す前に
Musician:OGRE YOU ASSHOLE

以前からOGRE YOU ASSHOLEの素晴らしさを声高に叫び続けていた私ですが、前作「ペーパークラフト」でようやく各種メディア等でも高い評価を得て一気に知名度をあげた彼ら。ただその一方、「ペーパークラフト」のあまりの完成度の高さに次の作品はどうなるんだろう?なんていう心配も出てきたのも事実。その後、ライブアルバム「WORKSHOP」のリリースを経て、ついにニューアルバムのリリースとなりました。

まず期待と不安が入り混じっていたその方向性ですが、基本的なベクトルは前作「ペーパークラフト」と同じ方向を向いた作品になっていました。1曲目にいきなりタイトルチューン「ハンドルを放す前に」を持ってきましたが、前作同様、音を絞って徹底的にシンプルにして空間を聴かせるようなナンバー。鳴り響くギターの音にちょっとファンキーさを感じるのも特徴的。ただそれ以上に歌詞が示唆的で

「思ってた事の違いを
楽しんだ方がいいか
こうなるなら
握りしめた
ものもみんな 放そうか
いっそ全部」

(「ハンドルを放す前に」より 作詞 出戸学)

という歌詞は彼らのこれからの方向性を示唆しているようにも感じますし、また徹底的に音を省いたここ最近の彼らの音楽性を示唆しているようにも感じます。

ムダをなくしたタイトなサウンドながらも「頭の体操」「寝つけない」のように浮遊感を覚えるようなリズム感も前作同様。「はじまりの感じ」のようなムーディーなAOR風のナンバーも目立つのも特徴的。歌詞も上に書いた「ハンドルを放す前に」と同様、こちらも言葉を出来る限り省略して何かを示唆するような歌詞が目立つのも大きな特徴で耳を惹きます。

そんな訳で基本的には「ペーパークラフト」の延長線上にあるアルバムといった感じなのですが、今回、ひとつ変わった点がありそれは前作までプロデュースを石原洋の手を離れセルフプロデュースとなったということ。この前作と同じ方向性の作品をセルフプロデュースで作りたかったというのが本作の大きな意義だったのでしょう。

ただ今回のアルバム、前作とはちょっと異なる点があり、それは音が前作に比べると少しだけ多かった点でした。例えば「寝つけない」の薄く入ったパーカッションや「なくした」で入っているシンセのサウンドなど以前より1音多いように感じました。もちろんこれからの「音」に関しても間違いなく曲の中で効果的に作用しており決して「無駄」ではありませんでした。前作まで削りに削った音に対して本作はセルフプロデュースとなりちょっと音を追加してきたような印象も受けました。

「ペーパークラフト」の次の作品ということで期待半分不安半分で聴いた新作でしたが、本作も聴いていて思わずゾクゾク来るような傑作になっていました。ただ、前作と本作、衝撃度はどちらが上だったかといわれると「ペーパークラフト」の方とは思ってしまうのですが・・・。とはいえ本作も間違いなく年間ベストクラスの大傑作。OGRE YOU ASSHOLE、唯一無二の本当にすごいバンドです。

評価:★★★★★

OGRE YOU ASSHOLE 過去の作品
しらないあいずしらせる子
フォグランプ
浮かれている人
homely
100年後
confidential
ペーパークラフト
WORKSHOP

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2016年11月28日 (月)

聴きやすさが増した新作

Title:KETSUNOPOLIS 10
Musician:ケツメイシ

メジャーデビュー15年目を迎えるケツメイシ(メジャーデビューは2002年なので15周年はどちらかというと来年なのでしょうが)の10枚目となるニューアルバム。タイトルがアルファベット表記になってから3作目となる作品。「ケツノポリス7」まではジャケット写真は首里城の前というお決まりがあり、それが「KETSUNOPOLIS 8」以降は首里城以外の場所となったのですが今回はジャケット写真に首里城が復活。10作目にして原点回帰といった感じになるのでしょうか?

前作「KETSUNOPOLIS 9」は奇をてらわないスタンダードなポップスアルバムでベテランとしての安定感が出ているアルバムになっていました。そしてそれに続く今回のアルバムに関してもベテランとしての安定感がある作品になっており、いい意味で安心して聴けるアルバムになっていたと思います。

まず1曲目「ヤシの木のように」は仲間との友情を歌ったナンバー。ケツメイシらしいレゲエアレンジも心地よい爽やかなポップチューンになっています。友情を歌ったといえば先行シングルでもある「友よ~この先もずっと・・・」もそうでしょう。軽快な打ちこみのリズムにちょっと切ないメロが印象的なナンバー。まあはっきりいってよくも悪くもJ-POP的ではあるのですが、インパクトあるナンバーになっています。

一方、タイトル通りのラテン風な「ボサノBAR」やこちらもタイトル通りディスコナンバーの「ディスコ☆部長」あたりはユーモラスさを感じさせるナンバー。聴かせる歌詞のナンバーの間にこのようなユーモアセンスあふれる楽曲が自然に入ってくるあたり、彼らのベテランとしての余裕や実力を感じます。

今回のアルバムに関しては「カラーバリエーション」「ほら行こう」のようないかにもJ-POP風の前向きソングも目立った感じがします。ここらへん、確かにインパクトという面では申し分ないのですが、ちょっとベタさが先立ってしまったような気がします。

またここ最近のアルバムではよく収録されていた、アラフォーである彼らならではの視点の曲がなかったのも残念。ウィットのきいたようなひねりのある歌詞もあまりなく、メロディーも含めて全体的にわかりやすくなったという印象の強いアルバムになりました。そういう意味でも安心して楽しめるアルバムだったと思います。もっとも個人的にはもうひとひねりがほしかったとは思うのですが。

そんな訳でいいアルバムとは思いますが個人的には「8」「9」は超えられなかったなかぁ、という印象。ケツメイシらしさが楽しめるアルバムではあることは間違いないと思うのですが。

評価:★★★★

ケツメイシ 過去の作品
ケツノポリス5
ケツノポリス6
ケツノポリス7
ケツの嵐~春BEST~
ケツの嵐~夏BEST~
ケツの嵐~秋BEST~
ケツの嵐~冬BEST~

KETSUNOPOLIS 8
KETSUNOPOLIS 9
KTMusic(KTMusic)


ほかに聴いたアルバム

増補改訂完全版「バンドBのベスト」/Base Ball Bear

Base Ball Bear2枚目のベスト盤。ただ彼ら、2013年にベスト盤「バンドBのベスト」をリリースしたばかり。本作はタイトルからもわかる通り、その「バンドBのベスト」に2013年以降の新曲を追加(一部楽曲を削除)した改訂版的なベスト盤。前作からわずか3年でのベスト盤リリースは早すぎると思うのですが、おそらく今年、ギターの湯浅将平の突然の脱退という出来事があり3人組となった彼らがバンドとしての活動にひとつの区切りをつけるためにリリースした、ということなのでしょう。そういう意味で感想は基本的に以前書いた「バンドBのベスト」と同様。内容的には文句はないのですが・・・ベスト盤のスパンが短すぎて前作を買った方には無理にこのアルバムを買う必要もないと思うので1つマイナスで・・・。

評価:★★★★

Base Ball Bear 過去の作品
十七歳
完全版「バンドBについて」
(WHAT IS THE)LOVE&POP?
1235
CYPRESS GIRLS
DETECTIVE BOYS

新呼吸
初恋
バンドBのベスト
THE CUT
二十九歳
C2

Requiem For Hell/MONO

日本のみならず海外でも積極的に活動を続けるギターインストのポストロックバンドによる2年ぶりの新作。ノイジーなギターサウンドに埋め尽くされたダイナミックなバンドサウンドに哀愁感あるメロディーラインが心地よい作品。そのサウンドに気持ちよくトリップできる内容なのですが、良くも悪くも似たパターンが多く、いつものMONOという印象も。

評価:★★★★

MONO 過去の作品
Hymn To The Immortal Wind
For My Parents
The Last Dawn
Rays of Darkness

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2016年11月27日 (日)

キュートなポップソングが話題

Title:ALL ABOUT POP
Musician:Shiggy Jr.

これがメジャーデビューアルバムとなる女性ボーカル+男性3人組のバンド、Shiggy Jr.。以前からそのキュートなポップソングが話題となりブレイク最右翼として注目を集めていたバンド。今回、メジャーデビュー作ということもありはじめてそのアルバムを聴いてみました。

個人的にはキュートなポップソングが売り、ということで期待半分不安半分といった感じで聴き始めたのですが・・・これは気持ちいい!一気にはまってしまいました。

彼女たちの楽曲を表現すればまさに「キュートなポップソング」そのまま。基本的にエレクトロアレンジの軽快な楽曲がメイン。ボーカル池田智子のかわいらしいルックスとそのボーカルも魅力のひとつですが、そのボーカルイメージにもピッタリあったキュートなメロディーラインのポップソングが実に魅力的です。

楽曲のタイプとしてはシティポップとなるのでしょうか。ちょっとラウンジの影響も感じるポップ路線で、イメージとしてはカーディガンズやあるいは日本でいえばCymbals、Round Tableあたりに近いイメージでしょうか。ただこれらのバンドに比べてメロディーラインはよりフックが効いており、ちょっと悪い表現になるかもしれませんが、よりベタ。インパクトあるメロディーラインはより万人受けしそうな印象もあります。

例えばアルバム1曲目「サマータイムラブ」はいきなりサビからスタートする展開。まさにヒット曲らしい楽曲構成になっていますし、メロディアスなポップスロック「スタート」あたりJ-POPらしいベタさを感じるメロディーラインとなっています。

「恋したらベイベー」「Beautiful Life」みたいなエレクトロサウンドを前面に出してきたダンスチューンはアイドルポップ風な雰囲気すらありますし、かと思えば「groove tonight」はメロウに聴かせるR&B風のポップチューンで単なるキュートなだけではないちょっと色っぽい側面も感じたり。また「dynamite」はバンドサウンドを前に押し出したへヴィーメタル風なナンバー。「バンド」としての側面を聴かせてくれるなど、アルバム1枚に彼女たちの様々な側面を見せてくれます。

ただそんなバリエーションがありつつもアルバム全体としてはとにかくキュートなポップにウキウキさせてくれるような内容。ポップスの楽しさをまさに体現化したようなアルバムになっています。個人的には最初の期待以上に楽しませてくれた傑作アルバムでした。いろいろな意味で売れる要素が多いバンドなだけに、その点でも今後に期待のバンド。これからの活躍が楽しみです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

life/plenty

3ピースバンドplentyによる約1年ぶりの新作。全体的に哀愁感あるメロが印象的。シティポップ風の爽やかなナンバーもチラホラあり、楽曲にバリエーションが増した感も。ただメロにしろ歌詞にしろもうひとつインパクトがほしいところなのですが・・・ここらへん、いまひとつブレイクしきれない大きな理由かなぁ。

評価:★★★★

plenty 過去の作品
拝啓。皆さま
理想的なボクの世界
plenty
this
re(construction)
空から降る一億の星
いのちのかたち

KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2015-2016“風の果てまで” Live at 日本武道館 2016.5.22/斉藤和義

スキマスイッチと並んで、ほぼすべてのライブツアー毎にライブアルバムをリリースしてくる斉藤和義。本作はタイトル通り、昨年から今年にかけて行われたライブツアー「風の果てまで」のうち、今年5月に行われた日本武道館ライブの模様をおさめたライブアルバム。基本的にはいつも通り。ライブの楽しさは伝わってくるアルバムになっています、が、個人的にはもうちょっとMCを入れてほしかったような。

評価:★★★★

斉藤和義 過去の作品
I (LOVE) ME
歌うたい15 SINGLES BEST 1993~2007
Collection "B" 1993~2007
月が昇れば
斉藤“弾き語り”和義 ライブツアー2009≫2010 十二月 in 大阪城ホール ~月が昇れば 弾き語る~
ARE YOU READY?
45 STONES
ONE NIGHT ACOUSTIC RECORDING SESSION at NHK CR-509 Studio
斉藤
和義

Kazuyoshi Saito 20th Anniversary Live 1993-2013 “20<21" ~これからもヨロチクビ~ at 神戸ワールド記念ホール2013.8.25
KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2014"RUMBLE HORSES"Live at ZEPP TOKYO 2014.12.12
風の果てまで

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2016年11月26日 (土)

大統領選に対する力強いメッセージだが・・・。

Title:THE PARTY'S OVER
Musician:Prophets Of Rage

日本でもテレビ局で選挙速報が組まれるなど大きな注目をもって迎えられ、その結果に衝撃と失望をもたらしたアメリカ大統領選挙。その選挙にあわせて結成され大きな話題となったバンドがありました。RAGE AGAINST THE MACHINEのトム・モレロを中心として結成されたバンド、Prophets Of Rage。この名前はPublic Enemyの曲から取られたのですが、そのPublic Enemyのチャック・Dも参加。他にもレイジからブラッド・ウィルク、ティム・コマーフォードが参加しているほか、サイプレス・ヒルのBリアルも参加しているというスーパーグループに。レイジのザック・デ・ラ・ロッチャが参加していないのが非常に残念なのですがその豪華なメンバーが大きな話題となりました。

今回彼らは、ドナルド・トランプが共和党代表として選出された共和党大会にあわせて新曲を発表。同じくその党大会が行われたクリーブランドでライブを行うなど積極的な活動が目立ちます。RAGE AGAINST THE MACHINEもニューヨーク証券取引所の前でゲリラライブを行い話題となるなど過激ともいえる政治パフォーマンスが話題となったバンドですが、彼らもそのスピリッツを引き継いだバンドと言えるでしょう。

そんなそれぞれキャリアがあるミュージシャンたちの集まりだけあって楽曲は文句なしにカッコいいです。RAGE AGAINST THE MACHINEを彷彿とさせるゴリゴリなギターリフ主導のへヴィーなバンドサウンドに、チャックDとBリアルの2MCもしっかりと息のあったラップを聴かせてくれます。RAGE好きなら文句なしにはまりそうな内容だと思います。

ただ期待通りではあったものの期待以上ではなかった点がちょっと残念。チャック・DやBリアルを迎えたことであらたなケミストリーが産まれたかといわれると若干疑問符がついてしまいます。また大統領選のあわせて急きょ結成、新曲リリースとなった影響か、本作も純然たる新曲はタイトルチューンの「The Party's Over」1曲のみなのもちょっと残念。もう1曲のスタジオ音源「Prophets Of Rage」はPublic Enemyの曲をバンドアレンジでカバーした曲ですし、残り3曲はレイジやPublic Enemyのカバーのライブ音源となっています。

またもうひとつ、今回のアルバムで気になったことがあります。それは唯一の新曲が「The Party's Over」ということ。ここでいうパーティーはこの曲が発表された段階では共和党の代表として選出されたトランプに対してお祭り騒ぎは終わったというメッセージがあったのと同時に、共和党時代に対して「政党中心の政治は終わった」というメッセージを発したというダブルミーニングがあったものと思われます。

しかし今回の大統領選挙、各種報道から考えるとあきらかに既存政党に対して失望していた人々がクリントンではなくトランプに投票したものと思われます。もちろんProphets Of Rageのメンバーがアンチ・トランプなのは明確なのですが、「政党中心の政治は終わった」というメッセージは見方によってはむしろトランプを支持した人たちに対するメッセージにも捉えられかねないものとなっています。ここにどこかProphets Of Rageをはじめリベラル勢の意識と現実とのギャップを感じざるを得ません。

今回トランプが予想外の活躍を見せ、まさかの大統領に選出されてしまったのはリベラル勢の意識やメッセージと、それを受け取ってほしいと思っている一般市民の問題意識や現実とのギャップが大きな要因のように思われてなりません。今回の「The Party's Over」というタイトルにはそんな「ギャップ」を強く感じてしまいました。

トム・モレロはじめ彼らの積極的な活動には敬意を表しますし、多くのミュージシャンが発したメッセージに反してドナルド・トランプが大統領になったのは私も非常に残念に思います。ただこのアルバムではリベラル勢がいま陥っているある種の落とし穴を感じてしまいます。そして翻って日本でも、リベラル勢が似たような落とし穴にはまってしまっており、ある意味、ドナルド・トランプが出てくる前のアメリカに非常に似たような状況を感じてしまいます・・・。このアルバムでProphets Of Rageのメンバーが発したいメッセージとはおそらく異なるとは思うのですが・・・ただそんなリベラル勢が今、全く人気を得られない理由のひとつをまじまじと感じてしまったアルバムでした。

評価:★★★★

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2016年11月25日 (金)

奇をてらわない良質なロックアルバム

Title:WALLS
Musician:KINGS OF LEON

アメリカ・ナッシュビル出身の4人組ロックバンド、KINGS OF LEONによる約4年ぶりとなるニューアルバム。アメリカのバンドですがイギリスから人気に火が付き、イギリスでは2007年の「Because of The Times」以来本作まで5作連続でチャート1位を獲得。一方アメリカでも逆輸入的に人気を獲得し、本作では見事初となるアメリカビルボードチャート1位を獲得しています。

以前聴いた「COME AROUND SUNDOWN」のレビューでは奇をてらうことのないシンプルなアメリカンロックが特徴的と書いたのですが、基本的にその路線は本作も同様。シンプル、というよりは奇をてらうことのないメロディアスなロックを展開。ちょっと泥臭い部分を感じる点、いかにもアメリカらしいロックバンドという印象も受けました。

ただ「COME AROUND SUNDOWN」では正直、良質なアルバムだと思うけど個人的にはちょっと壺にはまらないなぁ・・・という感想だったのに対して今回のアルバムはそんな私にとっても非常にはまってしまった作品になりました。今回のアルバムは全体的にサウンド的には軽く、よりポップになったのが特徴的。なによりも軽快なメロディーラインが心地よく、そのアルバムのポピュラリティーの点から非常に心地よい傑作に仕上がっていました。

1曲目の「Waste A Moment」「Find Me」あたりが本作の中でポップなメロディーラインを聴かせる曲の典型例でしょうか。疾走感ある軽快なリズムとインパクトあるメロディーラインが特徴的。またメロディーラインの良さという意味では「Conversation Piece」やタイトルチューンである「WALLS」のようなミディアムテンポで聴かせるナンバーについては、特に彼らの持つメロディーセンスの良さが光る楽曲になっています。

一方ロックバンドとしても、ゴリゴリとしたバンドサウンドを前面に押し出した、といった感じはないのですがしっかり彼らのメロディーを下支えする安定感あるバンドサウンドを聴くことが出来ます。サウンドにもバリエーションがあり、例えば「Around The World」は軽快でシンプルなギターサウンドはちょっとVampire Weekendあたりの方向性も彷彿とさせる今時のインディーバンドみたいな雰囲気も。「Muchacho」ではちょっとハワイアンの影響も感じさせるのもユニーク。また今回のアルバムの中で最もバンドサウンドが前に出ていたのが「Over」で、分厚いバンドサウンドでグルーヴィーなサウンドを展開しており、スケール感あるサウンドが耳に残ります。

そんな訳でサウンドが独特で個性がある・・・といった感じではないのですが、ポップなメロディーラインと心地よいバンドサウンドが実に魅力的な良質なロックバンドといった印象の傑作アルバム。全世界的に売れているみたいですが日本ではいまひとつなんだよなぁ。もっと日本でも売れてもいいバンドだと思うのですが。

評価:★★★★★

KINGS OF LEON 過去の作品
Only By The Night
COME AROUND SUNDOWN


ほかに聴いたアルバム

HARD II LOVE/Usher

約4年ぶりとなるUsherの新作。前作「Looking 4 Myself」は良くも悪くもヒットチャート王道系のR&Bチューンでしたが今回はエレクトロサウンドはシンプルにまとまっており、しんみりとメロディアスに聴かせるナンバーがメイン。良い意味で奇をてらわない王道な楽曲が並んでおり、大人なR&Bという印象を感じる良質なポップスが並んでいました。

評価:★★★★

Usher 過去の作品
HERE I STAND
RAYMOND V RAYMOND

Looking 4 Myself

The Serenity of Suffering/KORN

アメリカのへヴィーロックバンドKORNによる3年ぶりの新作。全編デジタルサウンドを取り入れた前作から一変、本作はゴリゴリのバンドサウンドが鳴り響くKORNらしいアルバムに。意外とポップでメロディーラインが端正でともすれば耽美的ですらあり日本のビジュアル系みたいな雰囲気すら感じてしまいました。ある意味、聴きやすさもある1枚です。

評価:★★★★

KORN 過去の作品
Untitled
KORNIII:REMEMBER WHO YOU ARE
THE PASS OF TOTALITY

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2016年11月24日 (木)

なにげに強い、中島みゆき

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

上位でまず目立つのが2位初登場中島みゆき「中島みゆき・21世紀ベストセレクション『前途』」でしょう。ベスト盤としては1996年の「大吟醸」以来20年ぶりのベスト盤。21世紀に発表された曲を・・・と言いたいところなのですが、本作に収録されている「地上の星」は2000年リリースなのでギリギリ21世紀ではありません。2位という高順位は、そのベスト盤としての前作「大吟醸」で記録した1位以来の記録。初動売上は4万5千枚。直近作「組曲(Suite)」の2万2千枚(6位)からはさすがに大きくアップ。ただ、その20年前にリリースしたベスト「大吟醸」の21万6千枚(1位)よりは大きくダウン・・・まあ、ここはCDの販売状況が全く異なりますからね・・・。

さて一方1位を獲得したのはジャニーズ系。Sexy Zoneの5周年を記念してリリースされたベストアルバム「Sexy Zone 5th Anniversary Best」。初動売上15万1千枚は前作「Welcome to Sexy Zone」の11万枚(1位)よりアップ。

3位には韓国の男性アイドルグループGOT7のミニアルバム「Hey Yah」が入ってきました。初動売上は3万8千枚。前作で日本では初のアルバムとなった「モリ↑ガッテヨ」の2万3千枚(3位)からアップしています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位に男性シンガーソングライター高橋優「来し方行く末」がランクイン。ベスト盤を挟んで2年3ヶ月ぶりとなるオリジナルアルバムです。初動売上は2万4千枚。直近のベストアルバム「高橋優 BEST 2009-2015『笑う約束』」(3位)から横バイ。ただオリジナルアルバムとしての前作「今、そこにある明滅と群生」の1万4千枚(6位)からは大きくアップする結果となっています。

5位6位には洋楽勢が並んでいます。まず5位。Metallica「Hardwired... to Self-Destruct」がランクイン。日本でも高い人気を誇るヘヴィメタルバンドによる新作。初動売上2万3千枚は前作「Death Magnetic」の4万7千枚(3位)よりダウン。発売日が金曜日になった影響・・・と言いたいところですが、残念ながら(?)前作も金曜日リリースなので純粋に売上減となってしまいました。

もう1枚洋楽勢。6位にアメリカの男性シンガーBruno Mars「24K Magic」がランクインしています。初動売上2万枚。前作「Unorthodox Jukebox」は発売以来徐々に順位をあげ、リリースから1か月以上を経た2013年2月11日付チャートで1万8千枚を売り上げ最高位5位を記録しています。

初登場はもう1枚。7位にEXILEの事務所、LDH所属のHIP HOPミュージシャンDOBERMAN INFINITYによるアルバム「TERMINAL」がランクインしています。初動売上1万6千枚は前作「THE LINE」の1万8千枚(5位)からは若干のダウンとなりました。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2016年11月23日 (水)

1位は圧倒的な強さだが・・・。

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週1位はAKB48のニューシングル「ハイテンション」が獲得です。

メンバーの島崎遥香卒業記念となるシングル。って毎回誰かが卒業しているような気がしますが。CD売上・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)で1位を獲得していますが、PCによるCD読取数は3位に終わっており、複数枚買いの影響も。一方今週も2位にランクインしている星野源「恋」は実売数は3位ながらPCによるCD読取数で1位、ラジオオンエア数4位、Twitterつぶやき数、You Tube再生回数ともに2位といずれも「ハイテンション」を上回っており、こちらの方が実質的にはヒットしているんじゃないか?とすら思ってしまいます。まあ実際は実売数の差が大きく、逆転は無理でしょうが・・・。

ちなみにオリコンチャートでも「ハイテンション」はもちろん1位を記録。初動売上118万枚は前作「LOVE TRIP」の117万7千枚から若干のアップとなっています。

3位にはGENERATIONS from EXILE TRIBE「PIERROT」がCD発売にあわせて先週の18位から3位にランクアップし初のベスト10入り。実売数2位、Twitterつぶやき数3位を記録している一方、ラジオオンエア数は16位、PCによるCD読取数は9位と低調気味。結果総合チャートは3位にとどまっています。オリコンでは初動売上6万1千枚で2位を記録。前作「涙」の9万3千枚(1位)よりダウンしています。

続いて4位以下の初登場曲です。まず4位にロックバンドback number「ハッピーエンド」がこちらもCDリリースにあわせて先週の73位からランクアップし初のベスト10入り。映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」主題歌。タイトルは明るいですが、内容は彼ららしいバラードナンバー。実売数4位、PCによるCD読取数2位、ラジオオンエア数及びTwitterつぶやき数はともに6位といずれもコンスタントに上位に食い込んできています。ちなみにオリコンでは初動売上4万枚で3位獲得。前作「僕の名前を」の2万5千枚(6位)からアップしています。

8位には女性シンガーAimer「茜さす」がランクイン。テレビ東京系アニメ「夏目友人帳 伍」エンディング・テーマ。ストリングスを入れてドラマチックさを強調したちょっとベタなバラードナンバー。実売数は6位だったもののラジオオンエア数80位、PCによるCD読取数19位、Twitterつぶやき数18位、You Tube再生回数91位と奮わない結果に。オリコンでは初動1万3千枚で8位初登場。前作「蝶々結び」(10位)から横バイという結果に。

最後10位には韓流の男性アイドルグループU-KISS「PaNiC!」がランクインしています。実売数7位、Twitterつぶやき数45位という結果以外、ラジオオンエア数、PCによるCD読取数いずれも圏外という結果で、いかにもコアなファン層以外に全く訴求していない韓流らしい結果に。オリコンでは初動2万8千枚で5位初登場。前作「Kissing to feel」の2万5千枚(4位)から若干アップしています。

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート。

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2016年11月22日 (火)

意味深なアルバムタイトルですが・・・。

Title:アトム 未来派 No.9
Musician:BUCK-TICK

約2年3ヶ月ぶりとなるBUCK-TICKのニューアルバム。20枚目となる本作はかつて所属していた古巣ビクターへの復帰第1弾となるアルバムだそうです。まずなかなか気になるのが「アトム 未来派 No.9」というタイトル。飛行機を見上げるスタイルのモノクロのジャケットも印象的ですし、このアルバムタイトルも昨今の情勢から考えると、原発や憲法第9条を彷彿させるようなタイトルとも取れます。

もっともインタビュー記事ではそのような深読みは否定。むしろちょっと不思議なタイトルの楽曲群を含めて「隙のあるアルバム」を意図したらしく、そのような「深読み」はまさに彼らの「罠」にはまってしまった感じもします。もっとも、そういう隙をあえてつくってくる彼らの遊び心にベテランらしい余裕を感じさせます。

ベテランらしいといえば彼らの前作「或るいはアナーキー」はベテランらしい安定感のある良作に仕上がっていました。結成から30年以上経つ、まさに大ベテランバンドの彼ら。良くも悪くもベテランらしい安定感のあるアルバムが続く、そんなイメージが彼らにはありました。

しかし今回のアルバム、そんなベテランらしい安定感がありつつも一方ではここに来てバンドとしての勢いを再び感じるようなアルバムになっていました。特に前半で展開されるエレクトロサウンドを積極的に取り入れた楽曲にそんな勢いを感じます。打ち込みにバンドサウンドをかさねてダイナミックで疾走感あふれる「PINOA ICCHI-躍るアトム-」にエレクトロなダンスチューン「美 NEO Universe」など、あまり流行を追いすぎない程度にほどよく今風のサウンドに仕上げており、ちょっと耽美的なメロディーラインとあわせてBUCK-TICKらしいエレクトロロックを展開しています。

後半はもうちょっと彼ららしい耽美的なメロディーが前に出てくるナンバーが続きます。「THE SEASIDE STORY」などはメロディーや歌詞はベタな歌謡曲路線なのにアレンジがエレクトロサウンドという微妙なバランス感覚がユニーク。「Cuba Libre」はラテンのリズムを取り入れて哀愁たっぷりなメロディーラインを聴かせます。後半はよりメロディーを前に押し出したような楽曲は続きますが、前半とは異なるBUCK-TICKの魅力を感じる展開になっていました。

アルバム全体、バラエティーに富みつつBUCK-TICKらしさはもちろん健在。ベテランバンドらしい安定感はもちろん本作でも感じます。ただ一方で再びバンドとしての勢いを感じさせるアルバム。BUCK-TICKのオリジナルアルバムは基本的に追っかけているのですが、個人的にはここ数年のアルバムではベストの内容だったと思います。BUCK-TICKの底力を再認識させられた傑作でした。

評価:★★★★★

BUCK-TICK 過去の作品
memento mori
RAZZLE DAZZLE
夢見る宇宙
或るいはアナーキー


ほかに聴いたアルバム

俺よ届け/忘れらんねえよ

昨年11月にドラムの酒田耕慈が脱退し2人組となった忘れらんねえよ。その後、ベスト盤がリリースされその活動に一区切りをつけた彼らがリリースした新作。2人組となってはじめてのアルバムなだけにその内容は・・・・・・全く変わりませんでした(^^;;相変わらず徹底的にもてない男の独善的な恋愛論が語られる内容は引いてしまう方も多いかもしれませんが、同じようにもてない男(例えば私のような(笑))にとってはどこか共感できてしまう部分も。良くも悪くもストレートなパンクロックは相変わらずですが、2人組となっても全く変わらない彼らにはちょっとほっとしました(笑)。

評価:★★★★

忘れらんねえよ 過去の作品
忘れらんねえよ
空を見上げても空しかねえよ
あの娘のメルアド予想する
犬にしてくれ
忘れらんねえよのこれまでと、これから。

ひろコーダー☆栗コーダー/谷山浩子と栗コーダーカルテット

今年(なんと)還暦を迎える女性シンガーソングライター谷山浩子が栗コーダーカルテットと組んで谷山浩子の曲をセルフカバーしたアルバム。このアルバムではじめて知ったのですが、私が子供の頃聴いて耳なじみあった「恋するニワトリ」って谷山浩子の曲だったんですね・・・。やさしくほんわかした雰囲気の楽曲は栗コーダーカルテットの演奏に見事なまでに一致しており、これ1枚とはいわず今後もこの組み合わせで聴いてみたくなるほど。「ピヨの恩返し」のようなちょっとファンタジックで心暖まる歌詞も大きな魅力。なにげに谷山浩子ってアルバム単位でははじめて聴いたのですが、独特な谷山ワールドの魅力に魅了された1枚でした。

評価:★★★★★

栗コーダーカルテット 過去の作品
15周年ベスト
夏から秋へ渡る橋
渋栗(川口義之with栗コーダーカルテット&渋さ知らズオーケストラ)

遠くの友達
生渋栗(川口義之with栗コーダーカルテット&渋さ知らズオーケストラ)
羊どろぼう
ウクレレ栗コーダー2~UNIVERSAL 100th Anniversary~
あの歌 この歌
20周年ベスト

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2016年11月21日 (月)

小説の世界観とリンク

Title:虚無病
Musician:amazarashi

その独特の世界観が高い人気を誇るロックバンド、amazarashiの新作は5曲入りのミニアルバム。「独特な世界観」・・・というのははっきりいってしまうと「中2病的」な世界観。自意識を拡大させ世の中をどこか斜めから見て現実に悲観するという、思春期独特の心の状態。それが彼らの音楽の大きな特徴でした。

今回のミニアルバムに関してはその方向性がさらに振り切れたように感じます。まず「虚無病」というタイトル。いかにも彼らが考えそうなタイトルですし、今回は初回版としてこのアルバムに沿った小説も発表され、初回盤に同封されています。またこの小説の登場キャラクターのビジュアルも紹介されており、ジャケット写真の不気味なキャラクターは小説の登場キャラの一人のようです。

そんな自意識が肥大した中、人とのつながりの中でもがいていく姿が今回のアルバムでは強く描いているように感じます。例えばタイトルチューンとなる「虚無病」では

「夢もない 希望もない 目的もない 味方もいない いない いない
人が嫌い 世界が嫌い 言葉が嫌い 過去 未来 怖い 怖い 怖い」

(「虚無病」より 作詞 秋田ひろむ)

とかなりこの世界でもがき苦しむ姿をストレートに描いています。

ただ一方でその先の生きる希望を同時に歌っており特にそれが印象的だったのが「僕が死のうと思ったのは」。もともと中島美嘉に提供した楽曲のセルフカバーだそうですが、タイトルそのまま自死をほのめかすように曲がはじまりながらも、最後は

「僕が死のうと思ったのは まだあなたに出会ってなかったから
あなたのような人が生まれた 世界を少し好きになったよ」

(僕が死のうと思ったのは」より 作詞 秋田ひろむ)

と逆説的に生きる希望について歌っています。

そんな全5曲のミニアルバムなのですが、どれもかなり情報量が詰め込まれた物語性もある歌詞が特徴的で、どっしりと重いボリューム感を覚える作品。楽曲はバンドサウンドにピアノやストリングスを取り込んで美しい音色で構成されたもの。目新しさはないもののピュアな雰囲気のするサウンドは秋田ひろむの書く世界観にもピッタリマッチしています。

さらに今回のアルバムでは「明日には大人になる君へ」「メーデーメーデー」ではラップの要素を取り入れた歌詞が心に残ります。ラップのスタイルや言葉の使い方など露骨にTHA BLUE HERBの影響を受けていますが、楽曲の中で物語をつむぎ自らの主張を伝える秋田ひろむのスタイルには最適な方法のように感じました。

そんな訳で5曲入りのミニアルバムながら、というよりも5曲のみのアルバムだからこそ、いままで以上に秋田ひろむの世界がさく裂したミニアルバムになっていたと思います。残念ながらまだ同封された小説は読んでいないのですが(公式サイトで一部公開された部分は読んだのですが)、このスタイルはまたいつかやりそうだなぁ。

評価:★★★★★

amazarashi 過去の作品
千年幸福論
ラブソング
ねえママ あなたの言うとおり
あんたへ
夕日信仰ヒガシズム
あまざらし 千分の一夜物語 スターライト
世界収束二一一六


ほかに聴いたアルバム

FANFARE/JUN SKY WALKER(S)

2012年の再結成後積極的な活動を続け、早くも再結成後4作目となる新作をリリースしたジュンスカ。メロディアスなポップスパンクはそれなりにインパクトもあるのですが、小さくまとまってしまった感は否めず。再結成直後のアルバムはそれなりに社会に対して中指をたてるような「パンク」をしていたのですが、ここ最近の作品はどうも平凡なポップスロックになってしまっているように感じます。演奏は安定感があり、ベテランらしい底力も感じるのですが。

評価:★★★

JUN SKY WALKER(S) 過去の作品
B(S)T
LOST&FOUND
FLAGSHIP
BACK BAD BEAT(S)

eureka/04 Limited Sazabys

今年4月に自らが主催するロックフェスを開催して話題となったロックバンドの新作。本作ではオリコンチャートで5位にもランクインし、今もっとも勢いのあるバンドの一組でしょう。メロコア的な要素の加わったポップでキュートなメロのインパクトは前作より増しており、強く印象に残ります。相変わらずJ-POP的なルーツレスのベタなメロディーラインとバリエーションの少なさは気になるところなのですが、今回はアルバム35分一切飽きることなく楽しむことが出来る作品になっていました。

評価:★★★★

04 Limited Sazabys 過去の作品
CAVU

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2016年11月20日 (日)

デビュー15年目のベスト盤

Title:大傑作撰
Musician:森山直太朗

2003年に「さくら(独唱)」のヒットで一躍人気を獲得した森山直太朗のデビュー15周年を記念してリリースされたオールタイムベスト。正直「さくら(独唱)」以降はこれといった大ヒット作もないのですが、チャート的には20位~30位圏内にはコンスタントにランクインしており根強い人気を獲得しています。本作は久々にベスト10ヒットを記録。彼の人気をあらためて世に知らしめました。

森山直太朗については、このブログでは一度もアルバムを取り上げていません。ただ「さくら(独唱)」のヒット以降、初期の作品については実はアルバムを毎回聴いており、2005年にリリースした前のベストアルバム「傑作撰2001~2005」もリアルタイムで聴きました。しかし2006年にリリースした「風待ち交差点」以降、彼のアルバムからは遠ざかっていました。

彼の曲を聴かなくなった理由は主に2つあります。まずひとつはバラード曲ばかりで楽曲のバリエーションが少なかった点、そして、こちらの方が理由としては大きいのですが、彼の書く歌詞がどうも大上段に構えている上から目線のものを感じた点でした。

さて今回久しぶりに聴いた彼のアルバム。以前私が森山直太朗から遠ざかった2つの理由が、今聴くとどう感じるんだろうか、そう思いながらアルバムを聴きました。まず1点目、バラード曲ばかりという理由ですが・・・これは正直、今回のベストでも印象としては変わりません。「夕暮れの代弁者」「よく虫が死んでいる」ようにアップテンポの曲もあるものの、基本的にはしんみりと歌いあげるバラードが主軸。ただ今回のベスト盤に関してはバラードばかりということはあまり気になりませんでした。既にバラードソングが彼の持ち味となっており、15年間、バラードを歌ってきたという自信を感じます。また一言でバラードといってもフォーキーな曲、和風で聴かせる曲、ジャジーな曲などバリエーションも増え、以前ほどのワンパターンさを感じなくなったというのも大きいのではないでしょうか。

ただ2つ目の点、歌詞についてはやはり今回のベスト盤でもどうも悪い意味で気になってしまいました。

森山直太朗の楽曲の歌詞については以前からよくニュースになることが少なくありません。例えば「生きていることが辛いなら」では出だしの歌詞がまるで自殺を教唆するようにも受け取れる歌詞にもなっており議論を呼びました。また「うんこ」なんていう身も蓋もないタイトルと歌詞の曲があったり、タイトルを連呼する不条理的な歌詞が話題の「どこもかしこも駐車場」なんていう曲もあります。

まあ「生きていることが辛いなら」は比較的伝えたい部分を含めてわかりやすい歌詞だと思うのですが、あえて意味深にしてリスナーの深読みを誘うような歌詞についてはどこかわざとらしさを感じました。

例えば「どこもかしこも駐車場」なんかは恋人との別れのシーンの中に駐車場を登場させ「どこもかしこも駐車場だね どこもかしこも駐車場だよ」と延々と歌っていく歌詞。はっきりいって意味不明な歌詞にネット上ではいろいろと文学的に意味付けして大絶賛している方も見受けられるのですが・・・これ、そんなに大したこと歌っている歌詞かぁ??ほかにも「よく虫が死んでいる」なんかもそうなんですが、いかにも「ほら文学的でしょ?」と作詞家がドヤ顔で主張しているような歌詞が目立ち、非常に違和感があります。一言でいえば「文学の押し売り」。「特に意味なんてない。なんとなく言葉の響きがおもしろかっただけ」って言われた方がよっぽど納得がいくんですが。

メロディーライン的には名曲が多い一方で歌詞的には正直鼻につく歌詞が多かった今回のアルバム。ベスト盤だけに内容はわるくはないと思うのですが・・・。はっきりいって周りが歌詞を持ちあげすぎじゃないかなぁ。歌詞に関しても風景が目に浮かぶような美しい歌詞もあり、これはというものも少なくないのですが・・・。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

THIS IS ME~絢香 10th anniversary BEST~/絢香

デビュー10周年を記念してリリースされたオールタイムベスト。2009年の活動休止前にベスト盤をリリースしていますし、活動再開後は2枚しかアルバムをリリースしていないだけにちょっと早すぎるんじゃない?という感じもするのですが・・・。楽曲はロックやソウルの要素が強いものの、具体的に影響を受けたようなジャンルや楽曲が想像しずらく、ルーツレスな感じが良くも悪くもいかにもJ-POPといった感じ。インパクトは間違いなくあるのですが・・・。

評価:★★★★

絢香 過去の作品
Sing to the Sky
ayaka's History 2006-2009
The Beginning
レインボーロード

世界観/クリープハイプ

ボーカリストの名前を冠した形でのリリースとなった1年10ヶ月ぶりの新作。ハイトーンボイスでテンション高く歌われるスタイルは相変わらず。ギターロックメインにジャズ風やHIP HOP風や歌謡曲風にまとめた曲もありバリエーションも豊富。ただ歌詞に関してインパクトあるキラーフレーズがなく、ちょっと薄味だったのが残念なところ。

評価:★★★★

クリープハイプ 過去の作品
吹き零れる程のI、哀、愛
クリープハイプ名作選
一つになれないなら、せめて二つだけでいよう

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2016年11月19日 (土)

シンプルなジャケットが逆にインパクト?

Title:Joanna
Musician:Lady Gaga

前作「Cheek to Cheek」はアメリカポピュラーミュージック界の大御所中の大御所、トニーベネットとのデゥオというスタイルだったので単独名義のオリジナルアルバムとしては3年ぶりとなるLady Gagaの新作です。

Lady Gagaといえば(特に日本では)その奇抜なコスチュームが話題にのぼることが多いミュージシャン。いままでのアルバムも奇抜なジャケット写真に強いインパクトがありました。それを考えると今回のアルバムは逆の意味でそのジャケット写真に驚かされます。帽子をかぶった彼女の横顔という非常にシンプルな写真。今回のアルバムタイトル「Joanna」も彼女の本名「ステファニー・ジョアン・アンジェリーナ・ジャーマノッタ」から取られたもの。今回のアルバムは彼女のありのままの自分をさらけだしたアルバムというコンセプトがあるそうです。

それだけに今回のアルバムは比較的シンプルなアレンジが目立ちます。彼女の曲といえばエレクトロトラックを積極的に用いたインパクトあるポップスが多いのですがエレクトロトラックを前面に押し出したのは「Perfect Illusion」くらいでしょうか?冒頭を飾る「Diamond Heart」「A-YO」は比較的シンプルなポップスロックという印象を受けますし、続くタイトルチューンの「Joanne」に至ってはアコギでしんみりと聴かせるナンバー。後半もピアノをメインとしてシンプルに「歌」を聴かせる曲が多く、アルバム全体として非常にシンプルという印象を受ける作品となっています。

ただ、ここでのレビューでも以前から書いているのですが私のLady Gagaに対するイメージは表面的には奇抜なスタイルを装っているものの楽曲自体はとてもオーソドックスなポップスを歌っているという印象。いままでの作品もエレクトロアレンジやPVが派手だったりしたものの楽曲自体は非常にシンプルなポップスという印象を受けていました。

それだけに今回のアルバムに関しても確かに素のままに歌ったようないつも以上にシンプルなポップスが増えたかもしれませんが、基本的にはいつもと同じLady Gagaだな、という印象を受けました。アルバム全体としてのインパクトはちょっと薄れてしまった反面、しっかりと聴かせるポップソングが奇抜なコスチュームに頼らなくても勝負できるというGagaの自信を感じる作品になっていました。

最近は例のアメリカ大統領選挙でのクリントン陣営への応援やトランプ陣営への抗議でも話題となった彼女。このアルバム、売上的には残念ながら前作を大きく下回ってしまったものの、ポップアイコンとしての存在感はまだまだ大きそう。シンプルとなった本作の次はどんなアルバムをリリースしてくるのか・・・まだまだ目が離せないミュージシャンなのは間違いなさそうです。

評価:★★★★

LADY GAGA 過去の作品
The Fame
BORN THIS WAY
ARTPOP
Cheek to Cheek(Tony Bennett & Lady Gaga)

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2016年11月18日 (金)

実験的な作風がグッと増えて

Title:22,A Million
Musician:Bon Iver

前作「Bon Iver」が大ヒットを記録。ピッチフォークはじめ各種メディアでも大絶賛。2012年のグラミー賞では最優秀新人賞を受賞するなど、まさに2011年を代表する1枚をリリースしたアメリカのフォークロックバンドBon Iver。そこから5年。久しぶりとなるニューアルバムがリリースされました。本作も売上では前作に引き続きアメリカビルボードでは2位を獲得。まさに待ちに待ったアルバムといった感じでしょう。

ただ今回のアルバムで目につくのは「22,A Million」というタイトルもちょっと奇妙なのですが、まるでパソコンで文字化けしたかのような奇妙な曲名たち。「10dEAThbREasT」(このあとに5の目のサイコロが2つ並びます)に「715-CRΣΣKS」「___45___」なんて曲もあったりして・・・・・・そもそもこれ、何て読むの??と思わざる得ないような曲が並んでいます。

まあ、こういう曲が並んでいるからある程度は予想できたのですが今回のアルバムに関しては実験的な曲が並んでいました。例えば「10dEAThbREasT」などは破裂音的なノイジーなビートからスタート。「21M◇◇NWATER」も途中、ストリングスや人の声などをサンプリングした奇妙なノイズが流れてきます。「___45___」もフリーキーなアレンジが耳を惹きます。

もちろん前作「Bon Iver」で聴かせてくれたくるおしいほど美しいメロディーラインは本作も健在。「33"GOD"」ではピアノとファルセットボイスで美しいメロディーを聴かせてくれますし(ただここも微妙に不条理風なサウンドが展開しています)「666 ʇ」もファルセットボイスと美しいハーモニーが印象的なナンバー。最後を締めくくる「00000 Million」もピアノと美しいコーラスのハーモニーで心に染み入るポップを聴かせてくれます。

ただ一方アルバム全体としては10曲34分という短さ。1曲あたり2、3分でめくるめく展開していく構成で、かつ1つの曲に様々なアイディアがつまっているため「美しいメロディーをじっくり聴く」というよりも彼らのアイディアを次から次へと聴かされるという印象を受けました。それはそれで十分楽しめたのですが・・・ただ実験的な作風が多く若干聴きにくかったのと、やはりもっとゆっくりと彼らの書くメロディーを聴きたかったなぁ、というのが本音です。

これはこれで非常に興味深いアルバムで、彼らの魅力もしっかりと感じることが出来るのですが、傑作アルバムだった前作に比べるとちょっと物足りなさというか、久々のアルバムにしては彼らに求めていたものがちょっとずれていたというか、そんなことを感じてしまいました。これはこれで良作だとは思いますし、彼らのやりたいことをやったアルバムだとは思うのですが。

評価:★★★★

Bon Iver 過去の作品
Bon Iver
iTunes Session


ほかに聴いたアルバム

Unbreakable/Janet Jackson

ジャネットの約7年ぶりとなる新作。楽曲的には今風のR&Bというよりも一昔前のスタイルというイメージはあるものの、古臭さは全く感じず、ある種の貫録を伴ってしっかりと聴かせてくれるという印象を受けました。楽曲もエレクトロチューンからポップなナンバー、聴かせるバラードからファンキーなナンバーなどバリエーション豊富。どの曲もメロディアスに聴かせるナンバーばかりで、それらの楽曲を易々と歌い切る彼女の実力も存分に感じることが出来ます。久々の新作ですが、女王健在を感じさせる作品でした。

評価:★★★★★

Janet Jackson 過去の作品
Number Ones(ベスト・オブ・ジャネット・ジャクソン)

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2016年11月17日 (木)

初の1位獲得

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

見事初の1位獲得となりました。

今週1位はロックバンド[Alexandros]のニューアルバム「EXIST!」が獲得。シングルアルバム通じて初の1位獲得となりました。[Alexandros]に関しては[Champagne]時代から基本的にアルバムはずっと聴いていたのですがここまでの人気になったというのは正直、若干ピンと来ない部分もあるのですが・・・。初動売上5万9千枚で、大物のリリースの隙間を縫った感じでの1位獲得という側面はあるのですが、ここまでの人気になるのは驚きです。前作「ALXD」の3万4千枚(3位)からも大幅にアップしています。

2位初登場は浜田省吾「"J.BOY"30th Anniversary」。「J.BOY」は1986年にリリースされて名盤の誉れ高い浜田省吾のアルバム。リリースから30周年を記念してリリースされた再発盤が見事ベスト3入りです。2万枚限定のボックスセット「"J.BOY"30th Anniversary Box」と生産限定盤の「"J.BOY"30th Anniversary Edition」の2種類がリリースされていますが、ボックスは23,000円、Anniversary Editionでも11,000円(いずれも税抜)という高価なアイテム。にもかかわらず初動売上2万8千枚で2位獲得というのは浜田省吾の根強い人気、と浜田省吾のファン層の経済的余裕を感じます。直近のオリジナルアルバム「Journey of a Songwriter ~旅するソングライター」の8万枚(1位)よりはさすがに大幅にダウンしています。

3位は先週2位の嵐「Are You Happy?」がワンランクダウンながらもベスト3をキープしています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず7位、「歌」に主軸を置いて活動している女性6人組ボーカルグループLittle Glee Monster「Little Glee Monster」がランクイン。こちらはデビュー前に約1,000枚限定でリリースされたインディーズ盤の再発盤。初動売上9千枚は前作「Colorful Monster」の2万4千枚(4位)からダウン。

8位初登場はSuara「『うたわれるもの 偽りの仮面&二人の白皇』歌集」。Suaraは主にゲームソングやアニメソングなどで活躍している女性シンガー。こちらはゲーム「うたわれるもの 偽りの仮面」と「うたわれるもの 二人の白皇」で使用されたSuaraの曲を集めた企画盤となっています。初動売上は8千枚。直近のアルバム「声」の初動2千枚(25位)から大きくアップ。アルバムシングル通じて初のベスト10ヒットとなりました。

最後、9位初登場はTUBEのギタリスト春畑道哉「Play the Life」がランクインです。2012年にミニアルバム「FIND MY PLACE」のリリースはありましたが、純然たるオリジナルフルアルバムとしては2000年の「RED BIRD」以来、実に16年ぶりとなるアルバムとなりました。初動売上は7千枚で直近のミニアルバム「FIND MY PLACE」の5千枚(27位)よりアップ。自身初となるベスト10ヒットとなりました。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2016年11月16日 (水)

PPAPは一段落

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

ここ最近話題のピコ太郎「ペンパイナッポーアッポーペン」は今週、先週の1位から4位にダウン。ただYou Tube再生回数では相変わらずの1位を獲得しています。

代わって1位を獲得したのが乃木坂46「サヨナラの意味」。10月31日付けチャートでベスト10入りしており、その後一度は22位にランクダウンしたものの、今週、CD発売にあわせて先週の7位から再びランクアップ。初の1位獲得となりました。

CD発売数・ダウンロード数・ストリーミング数(以下「実売数」)、PCによるCD読取回数及びTwitterつぶやき回数でも1位。アイドル系としては珍しくラジオオンエア数でも3位と好調な結果となっています。オリコンでも初動売上82万7千枚で1位獲得。前作「裸足でSummer」の72万8千枚(1位)よりアップ。メンバーの橋本奈々未がこれを最後に芸能界引退ということで話題になった影響が大きいと思われます。

2位は三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE「Welcome to TOKYO」が先週の9位よりCD発売に伴いランクアップ。ベスト10入り3週目にして最高位を更新しています。実売数2位、PCによるCD読取数及びTwitterつぶやき数3位、You Tube再生回数4位、ラジオオンエア回数10位と軒並み上位にランクイン。オリコンでも初動15万8千枚で2位初登場。前作「Unfair World」の17万9千枚(2位)よりダウンしています。

3位は相変わらず強い。星野源「恋」が6週連続でベスト3をキープ。実売数3位、ラジオオンエア数4位、PCによるCD読取数、Twitterつぶやき数、You Tube再生回数でいずれも2位を記録。文句なしのヒットを記録しています。ちなみにオリコンでは今週16位。ただ売上は8千枚と好調をキープしており、今後の動向次第ではベスト10返り咲きも狙えそう。

続いて4位以下の初登場曲です。まず5位にアニメ系。Aqours「想いよひとつになれ」がランクイン。アニメキャラによるアイドルプロジェクト「ラブライブ!サンシャイン!!」によるキャラクターソング。実売数及びPCによるCD読取数が4位である一方、ラジオオンエア数が圏外なのはこの手のキャラソンらしい感じ。オリコンでは初動売上3万6千枚で3位初登場。前作「夢で夜空を照らしたい」(2位)から横バイの結果に。

7位にはロックバンドSPYAIR「RAGE OF DUST」が先週の38位からランクアップしベスト10初登場。TBSテレビ系アニメ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」オープング・テーマ。実売数及びPCによるCD読取数で6位を記録。ラジオオンエア数は37位と奮いませんでしたが、オリコンの初登場10位を上回る結果に。iTunesチャートでも上位にランクインしていたので配信の影響も大きかったようです。ちなみにオリコンの初動売上は1万3千枚。前作「THIS IS HOW WE ROCK」の1万1千枚(8位)を若干上回りました。

9位初登場ポルノグラフィティ「LiAR」は逆にオリコン初登場6位を下回る結果に。実売数及びPCによるCD読取数9位、一方でラジオオンエア数26位と奮いませんでした。こちらはiTunesチャートで上位に見当たりませんでしたので配信の影響が逆に作用した印象。オリコンの初動売上2万1千枚は前作「THE DAY」の2万7千枚(4位)からダウン。楽曲は実にポルノらしいラテン調のナンバー。

最後10位には矢吹可奈(木戸衣吹),佐竹美奈子(大関英里),篠宮可憐(近藤唯),真壁瑞希(阿部里果),北上麗花(平山笑美) 「THE IDOLM@STER THE@TER ACTIVITIES 03(赤い世界が消える頃)」がランクイン。ゲーム「アイドルマスターミリオンライブ!」からのキャラソン。実売数5位、PCによるCD読取数19位以外はすべて圏外というこの手のキャラソンらしい動向を見せています。ちなみにオリコンでは初動3万6千枚で4位初登場。同シリーズの前作ジュリア(愛美),周防桃子(渡部恵子),大神環(稲川英里),木下ひなた(田村奈央),福田のり子(浜崎奈々) 「THE IDOLM@STER THE@TER ACTIVITIES 02(侠気乱舞)」は初動2万6千枚(4位)でしたのでそちらよりはアップしています。

さらに今週はベスト10返り咲き曲があと1曲。SMAP「世界で一つだけの花」が先週の23位からランクアップ。9月19日付チャート以来9週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。実売数7位のほか、Twitterつぶやき数4位。ただラジオオンエア数、PCによるCD読取数は圏外となっています。オリコンでも先週の20位から5位にランクイン。これは今月13日にメンバーの木村拓哉が誕生日を迎えており、そのためファンによる購買運動が盛んになったようです。ただ、ビルボードチャートを見てわかる通り、実売数のみ上位にランクインしており、PCによるCD読取数が圏外だったりと、あきらかに「多くの層があらためてこの曲を聴いた」訳ではなく、これを「ヒットしている」と言ってしまうのはかなり疑問。またビルボードの悪癖、Twitterつぶやき数を過度に重視した結果になっていますが・・・。この曲は今、「ヒットしている」とは言えないんじゃないかなぁ。

今週のHot100は以上。アルバムチャートは明日に!

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2016年11月15日 (火)

「Choo Choo TRAIN」でおなじみの・・・。

Title:All Time Best~KEIZO's 25th ANNIVERSARY
Musician:中西圭三

懐かしいなぁ~久しぶりに彼の曲を聴きました。1992年シングル「Woman」を大ヒットさせ話題となったシンガーソングライター中西圭三のデビュー25周年を記念してリリースされたオールタイムベストです。今の若い世代にとってはEXILEもカバーした「Choo Choo TRAIN」を作曲した人、と言った方がいいかもしれませんね。

シンガーソングライターとしての彼は残念ながら「Woman」を超えるヒットは出せませんでした(1993年にリリースした「眠れぬ想い」はそこそこヒットしましたが)。もっともアルバムとしては「Steps」「Starting Over」と2枚、チャート1位を記録していますし、また他のミュージシャンへ数多くの楽曲を提供しており、特に1998年、BLACK BISCUTSに提供した「Timing」は148万枚という大ヒットを記録しています。

そんな彼の代表曲を久しぶりに聴いてみたのですが、まず感じたのはとても懐かしさを感じるサウンドということでした。楽曲的には80年代のAORからの流れを感じるサウンドでいまから聴くと特に初期の作品については少々時代を感じてしまいます。

ただ一方で様々なタイプのポップな曲が展開しておりある種の器用さを感じます。例えば「You and I」やスマッシュヒットを記録した「眠れぬ想い」などは哀愁感あるメロディーで歌謡曲テイストの強いナンバーになっていますし、「A.C.E.」などかかなり爽やかなポップテイストの強い作品。「SO BAD」はファンキーな作品になっていますし、「Bloom! Bloom!~サクラ咲け~」ではラテンなテイストも感じます。

どの楽曲も十分なインパクトがあり、サビのフレーズも印象的。この器用さゆえに他のミュージシャンへ数多くの楽曲を提供し、「Choo Choo TRAIN」「Timing」という大ヒット曲が産まれたのでしょう(ちなみにこの両曲のセルフカバーも収録されています)。「器用」といえば最近ではNHK「おかあさんといっしょ」にも楽曲を提供。残念ながら本作には収録されていないのですが「ぱわわぷたいそう」は楽曲提供のみならず本人も歌唱で参加。おとうさんおかあさんの中には耳なじみある方も少なくないかも。子供向けの歌まで歌えるという幅の広さを見せています。

同じく「おかあさんといっしょ」の歌といえば本作にも収録されているのが「ぼよよん行進曲」のセルフカバー。実は自分の子供用に買った「おかあさんといっしょ」のCDで既にこの曲は知っており、その時から「良い曲だな」と思っていたのですが、さすがに子供がいないと「おかあさんといっしょ」のCDを聴くのは厳しいでしょうから、これを機に多くの方にこの曲を聴いてもらえるというのはうれしい話。明るい前向きな曲なのですが、なぜか涙腺を刺激される不思議な名曲です。

正直、この器用さゆえに若干器用貧乏というか、「中西圭三にしか出せない個性」という面が薄くなっている部分も否定できない事実。ここらへん、シングルでは事実上「Woman」の一発屋的に終わってしまっている大きな理由なのかもしれません。とはいえベスト盤では「Woman」に負けずとも劣らぬ名曲も多く収録されています。「Woman」を懐かしく感じる人、「Choo Choo TRAIN」が好きな人、あるいは「ぱわわぷたいそう」や「ぼよよん行進曲」で知った方、要チェックなベスト盤だと思います。私は久しぶりに聴いたのですが、なにげに名曲が多いです。あらためて中西圭三の魅力を再認識させられたベスト盤でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

鷹フェス~秘密結社 鷹の爪 10th Anniversary Best~

今年で10周年を迎えるアニメ「秘密結社 鷹の爪」の主題歌などをあつめたオムニバスアルバム。以前もチラッと書いたことあるんですが、実はファンなんですよ、このアニメ(笑)。収録曲はいかにもなアニメソングがある一方、山嵐やm-flo、RIP SLYME、GLIM SPANKYなど豪華ミュージシャンも参加。途中、ショートコント的なドラマトラックが挟まっていたりして、ファンにとってはかなりうれしいアルバムになっています。まあ、アニメを見ていないとわからないような部分も多いので「幅広くお勧め」というアルバムではないのですが・・・。

評価:★★★★

男と女~野宮真貴、フレンチ渋谷系を歌う。 /野宮真貴

「渋谷系スタンダード化計画」としてここ最近、「渋谷系」をテーマにライブを行っている野宮真貴。2015年は渋谷系のルーツとして「フレンチ」に焦点をあてた選曲でのライブだったようですが、そのライブの模様を収録したライブアルバムと、「フレンチ」をテーマに選曲した渋谷系を感じさせる楽曲をカバーしたスタジオアルバムの2枚組。渋谷系の中にある「フレンチ」に焦点をあててそのルーツといえる楽曲を選曲するスタイルはユニーク。ただ前作での感想でも書いたのですが、野宮真貴のステレオタイプそのままといったカバーアルバムなので、意外性は全くないのがちょっと残念な感じ。

評価:★★★★

野宮真貴 過去の作品
実況録音盤!「野宮真貴、渋谷系を歌う。~Miss Maki Nomiya Sings Shibuya-kei Standards~」
世界は愛を求めてる。-野宮真貴、渋谷系を歌う。-

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2016年11月14日 (月)

コミカルな曲から聴かせるナンバーまで

Title:借り物協奏
Musician:チャラン・ポ・ランタン

アコーディオンなど陽気なサウンドを取り入れつつ、サーカスで流れてくるような楽しいポップソングを繰り広げるチャラン・ポ・ランタン。その音楽はとにかくワクワクして楽しい!の一言につきるのですが、そんな彼女たちが初となるカバーアルバムをリリースしました。

楽曲は基本的に有名どころの曲ばかり。女性2人組のユニットということからか、PUFFYの「アジアの純真」や(先日、取り上げたばかり(!))ザ・ピーナッツの「恋のバカンス」などといった女性デゥオの作品からかなり意外性あるところでは電気グルーヴの「Shangri-La」まで。全体的にはチャラン・ポ・ランタンの音楽性にマッチするところから選曲したからでしょうか、比較的哀愁を帯びたようなメロディーラインの曲が多かったようにも感じます。

ただ、アルバム全体としてはエンタテイメント性あふれチャラン・ポ・ランタンらしいワクワクするようなカバーが並んでいたように感じます。特に序盤の「アジアの純真」やフリッパーズ・ギターの「恋のマシンガン」はアコーディオンが軽快に鳴り響く彼女たちらしいバルカン音楽風の愉快なナンバーからスタート。聴いていて非常に楽しくなってきます。

「Shangri-La」はちょっとウィスパーボイス気味で色っぽく聴かせるカバーに。ベースラインにドラムスのリズムがちょっとムーディーな雰囲気を醸し出しています。また「VIDEO KILLED THE RADIO STAR」はチェンバロやホーンなども入れて賑やかなカバーに。ちょっとファンタジックな雰囲気の楽しいカバーに仕上がっています。

また非常にユニークだったのは1994年にヒットしたShampooというイギリスの女性デゥオの一発ヒット「Trouble」のカバー。「入院トラブル」という替え歌でのカバーで失恋のショックで階段から落ちて怪我をした女の子の悲哀(?)を描いたユニークなナンバー。アレンジはほぼ原曲そのままにカバーしているだけにパッと聴いた感じでは(特にサビの部分は)替え歌と気が付かないかも?彼女たちらしいコミカルなカバーに仕上げています。

一方で聴かせる部分はきちんと聴かせるカバーに仕上げているのも特徴的。特に印象に残ったのは選曲としても意外性のあったポルノグラフィティの「サウダージ」。アコーディオン一本のアレンジでほぼ歌のみで勝負をかけたアレンジとなっており、この曲ってポルノグラフィティが歌っていたイメージ以上に名曲だったんだ・・・という事実に気が付かされます。また最後を締めくくる「BRIDGE OVER TROUBLED WATER」も同じくアコーディオン一本で歌い上げるカバー。このあたり、チャラン・ポ・ランタンの実力を再認識させられるカバーになっていましたし、またこのようなカバーに取り組むあたり、デビューから6年、チャラン・ポ・ランタン自身がその実力に自信を得てきた、ということなのでしょう。

そんな感じでエンタテイメント性あふれる部分から聴かせる部分まで取りそろえた、チャラン・ポ・ランタンの魅力と実力を1枚におさめたカバーアルバムに仕上がっていました。カバーだけどもチャラン・ポ・ランタンの最初の1枚としても最適な内容だったと思います。最初から最後まで非常に楽しめた傑作でした。

評価:★★★★★

チャラン・ポ・ランタン 過去の作品
テアトル・テアトル
女の46分
女たちの残像


ほかに聴いたアルバム

GOTTA-NI/二階堂和美 with Gentle Forest Jazz Band

ビッグバンドGentle Forest Jazz Bandと組み、二階堂和美の楽曲をビッグバンド風にアレンジした企画盤的ニューアルバム。ビッグバンドの軽快な演奏が二階堂和美の楽曲にもマッチしており、とても楽しいアルバムに仕上がっています。歌謡曲風な楽曲に関しては若干ミスマッチな感じもするのですが、それもそれで味になっていて楽しい感じに。

評価:★★★★★

二階堂和美 過去の作品
にじみ
ジブリと私とかぐや姫

FIRE BIRD/MIYAVI

1年4ヶ月ぶりとなるMIYAVIのアルバム。前々作「MIYAVI」ではEDMとギターサウンドの融合を目指したアルバムでしたが今回のアルバムもエレクトロサウンドを大胆に取り入れています。ただ今時のEDMというよりも80年代的なサウンドにファンクの要素も強く懐かしさを感じるサウンドも。中途半端に終わった前々作に比べて全体のまとまりやインパクトも強くなった感じもします。ただ個人的にはもうちょっとギターを含めたサウンドにもうちょっと迫力があった方がおもしろいかな、とも思ってしまったのですが・・・。

評価:★★★★

MIYAVI 過去の作品
WHAT'S MY NAME?(雅-MIYAVI-)
SAMURAI SESSIONS vol.1(雅-MIYAVI-)
MIYAVI
THE OTHERS

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2016年11月13日 (日)

かつて一世を風靡したガールスデゥオ

Title:ザ・ピーナッツ トリビュート・ソングス

1960年代から70年代にかけて数多くのヒット曲を世に送り出し、圧倒的な人気を得た女性デゥオ、ザ・ピーナッツ。双子姉妹である彼女たちの生誕75周年を記念して、彼女たちの曲を今のミュージシャンたちがカバーしたトリビュートアルバムがリリースされました。

個人的にお目当てだったのはこの作品と同時リリースだった「ザ・ピーナッツ オリジナル・ソングス」の方。ザ・ピーナッツの代表曲をお手軽にまとめて聴けるということもあって興味を持ったのですが、「オリジナル・ソングス」はこのトリビュートに派生して発売されたもの。それだけにじゃあ、トリビュートの方も聴いてみようか、と思って聴いてみました。

ただ正直、こちらに参加しているメンバーには最初、いまひとつ惹かれるものがなく、あまり期待はしていませんでした。あえて言えば、ドリカム吉田美和と浦嶋りんこのユニット、FUNK THE PEANUTSが参加したことが気になったことくらいでしょうか。

しかし、これが予想以上に素晴らしい出来でした。もちろん本作が良かった理由としてもともとのオリジナルの良さもあります。歌謡曲のスタンダードナンバーともいえる楽曲ばかりが並びもともと耳なじみがあったという点もありますし、彼女たちが活躍していた昭和30年代の歌謡曲は、まさに「昭和歌謡」絶頂期。のちの時代の様式化してしまった演歌やムード歌謡と異なり、洋楽からの影響も色濃く残っています。ほどよくあか抜けた楽曲は今聴いても非常に魅力的に感じます。

カバーは基本的に原曲に忠実で歌詞とメロディーとしっかりとなぞって聴かせる良心的なカバーばかり。目新しさみたいなものはありませんでしたが、原曲の良さをしっかりと伝えています。特によかったのは森口博子とマルシアが組んで歌った「大阪の女」。しんみりと大人の色気も感じさせるカバーで、なによりこの2人の高い歌唱力が光ります。またちょっと意外だったのが華原朋美とmisonoの「銀色の道」。両者ともに歌唱力は全く期待していなかったのですが、意外と上手い・・・。特に華原朋美は、彼女がよく歌っている高音部が多い楽曲よりも、こういう低音でしんみり聴かせる曲の方があってるんじゃないの?

中川翔子と平野綾が歌う「モスラの歌」も、いかにも声優とアニメ大好きなしょこたんが歌う曲らしく妙に感情過多なドラマじみた歌い方になっているのですが、この曲に関してはそんな歌い方が曲に見事にマッチ。「ふりむかないで」をカバーしたLittle Glee Monsterはさすが「ボーカルグループ」として売り出しているだけあって歌唱力はあります・・・が表現力がいまひとつな平坦な歌い方が惜しい感じ。ここらへんは今後の成長次第で楽しみな存在といった感じでしょうか?逆に「情熱の花」を歌った相田翔子と森高千里は昔は歌い方が平坦で表現力に乏しいように感じたのですが、さすが今となってはお姉さま歌手として大人の魅力たっぷりに歌い上げています。期待していたFUNK THE PEANUTSは個人的にもっとファンキーにぶっちゃけてもよかったような気もしたのですが・・・彼女たちのパワフルなボーカルを久しぶりに堪能できました。

ほとんど期待していなかったアルバムだったのですが、予想外に良い内容に満足。非常に楽しめた1枚でした。参加しているミュージシャンのファンは是非ともチェックしてみてほしいアルバムです。

評価:★★★★★

Title:ザ・ピーナッツ オリジナル・ソングス

で、こちらは今回トリビュートアルバムで選曲された13曲のオリジナル盤に1975年NHKホールで行われた彼女たちのラストライブの音源3曲が収録されたザ・ピーナッツのベスト盤。ザ・ピーナッツといえば個人的には私の親世代で流行った曲。ただここで収録されている曲は私にとっても耳なじみのある曲が多く、それだけ歌謡曲のスタンダードナンバーとして日本人に親しまれてきたことがわかります。

上にも書いた通り楽曲自体はまさに昭和歌謡曲全盛期の曲。様式化された演歌的な楽曲ではなく積極的に洋楽の要素も取り入れているのも大きな魅力。前述の通り、垢抜けた感じのする楽曲も多く、J-POPになじんだ耳で聴いてもすんなりなじむことが出来る楽曲が多いように思います(だからこそ今日でも、今回のトリビュートに限らずザ・ピーナッツの曲は多いのミュージシャンにカバーされているのでしょう)。

また2人のコーラスワークも実に絶妙。このピッタリと息の合ったコーラスはさすが双子の姉妹といった感じでしょうか。時には迫力たっぷりに、時には優しく歌い上げるボーカルは表現力の幅も広く、ボーカリストとしての卓越した実力を感じます。上のトリビュート盤のAmazonの紹介ではAKB48やももクロにつながるガールズグループの元祖として紹介していますが、ボーカリストとして格が違うような・・・。というよりも昨今の歌手って(アイドルを含めて)歌唱力が異様に軽視されていてザ・ピーナッツのようなガールズグループはもう二度と出てこないのではないか、と悲しくなります(そういう意味ではトリビュートアルバムに参加していたLittle Glee Monsterはおもしろそうな存在ではあるのですが)。

トリビュートアルバムに参加していたミュージシャンのファンでトリビュートアルバムを聴いたなら、次は是非、こちらのオリジナルソングスを聴いてほしいところ。おそらくどこかで聴いたことある曲も多いはずですので、思ったより聴きやすい内容かと思います。まさに歌謡曲の魅力がつまったアルバムともいえるかもしれません。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Request Hits/THE COLLECTORS

デビュー30年を迎えたベテランバンドTHE COLLCTORSのベストアルバム。今回はファンによる人気投票に基づいた全30曲入りのベストアルバムになっています。THE COLLECTORSを聴くのは2005年にリリースされたベスト盤「THE GREATEST TRACKS」以来。ほどよくノイジーで心地よいビートロックが気持ちよく、以前リリースされたトリビュートアルバムにも参加しているthe pillowsあたりが好きなら間違いなく気に入りそうな音。ただ全体的にインパクトが薄く、後に印象が残るような曲が少なかったのが残念。このインパクトの薄さが、ミュージシャン人気が高くてもブレイクできない理由のような・・・。

評価:★★★★

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2016年11月12日 (土)

垢抜けた新作

Title:Gameshow
Musician:TWO DOOR CINEMA CLUB

フランスのインディーレーベル、キツネからメジャーレーベルのパーロフォンに移籍。インディーバンドから一段の飛躍を求めた北アイルランドのロックバンド、TWO DOOR CINEMA CLUB。その4年ぶりとなるアルバムがようやくリリースされました。

そんなメジャーシーンへ活動をうつした彼らですが、その基本となる方向性は変わりません。心地よいエレクトロサウンドと哀愁感たっぷりのメロディーライン。80年代ニューウェーブを彷彿させるという楽曲の雰囲気も変わりません。久々となる新作ですがTWO DOOR CINEMA CLUBとしてのコアとしての部分には大きな変化はなかった、と言えるかもしれません。

ただ一方でその彼らのコアな部分をコーティングした「装飾」の部分については今回のアルバムで大きく変わったように思います。前作までの彼らはチープでスカスカなサウンドがいかにもインディーバンドっぽく、また同時にそんなサウンドが大きな魅力のひとつでした。しかし今回のアルバムに関してはサウンドからチープさは消え、また厚みもました結果、スカスカという印象は姿を消します。良くも悪くも垢抜けたアルバム、今回のアルバムのイメージはそういったものでした。

その垢抜けたサウンドというのは彼らにとってプラスの方向にももちろん働いています。例えば「Bad Decisions」「Je Viens De La」はまさに80年代的なディスコチューンになっておりダンサナブルなリズムが強いインパクトを持った作品。タイトルチューンである「Gameshow」もエレクトロサウンドにギター主導のバンドサウンドが重なった楽曲になっており、ダイナミズムを感じさせる内容が強いインパクトを産んでいます。

そんな訳でアルバム全体としてはサウンドの厚みも増し、間違いなくインパクトが増した印象を受けます。ただその反面、スカスカなサウンドだからこそ感じたTWO DOOR CINEMA CLUB独特のグルーヴ感は大きく減ってしまったように感じます。エレクトロサウンド特有のスクエアなリズムだったがゆえに、聴いていて最後の方はちょっと飽きが来てしまったのも事実。哀愁あるメロディーラインは相変わらず聴かせますし、1曲1曲の出来は決して悪くはないのですが、サウンドが垢抜けた結果、TWO DOOR CINEMACLUBの良さも減ってしまったようにも感じてしまいました。

メジャーに移籍しサウンドが垢抜けた結果、インディー時代の素人っぽさが消え、同時に良さも薄れてしまった・・・という話はよく聞く話ですが、残念ながら彼らに関してもその「法則」があてはまってしまったように感じます。ただ、アルバムの出来は決して悪くはないと思うし、そういう意味では次回作も期待したいところなのですが・・・ちょっと残念に感じた新作でした。

評価:★★★★

TWO DOOR CINEMA CLUB 過去の作品
Tourist History
Beacon

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2016年11月11日 (金)

ポップなメロでGREEN DAYらしく

Title:Revolution Radio
Musician:GREEN DAY

2012年に「Uno!」「Dos!」「Tre!」という3枚のアルバムを続けざまにリリースしファンを驚かせたGREEN DAY。それから4年、待望となるニューアルバムがリリースされました。3枚続けてのリリースとなった前作ではチャート的には最高位2位、9位(米ビルボード)と下がり、ラストの「Tre!」では最高位13位にとどまりましたが本作はアメリカビルボードチャートで見事1位を獲得。根強い人気を見せつけています。

さて久しぶりとなった本作ですが楽曲的にはいつも通りのGREEN DAY。ポップなメロディーが耳に残るメロディアスなパンクロックの作品となっています。1曲目の「Somewhere Now」こそミディアムテンポでメロディアスに聴かせるナンバーになっていますが、続く「Bang Bang」は最初、このアルバムのタイトルにちなんだのかラジオから流れる曲のようにノイズまじりのエフェクトがかかってスタート。途中からはハイテンポなリズムにシャウト気味なボーカルと典型的なパンクロックのナンバーに仕上がっています。

タイトルチューンになっている「Revolution Radio」はまさにGREEN DAYといった感じのインパクトあるポップなメロディーラインが心地よいメロディアスパンクのナンバーに仕上がっていますし、中盤の「Still Breathing」なども非常に心地よいポップなメロディーが展開されるナンバーになっています。途中、「Outlaws」「Youngblood」など比較的ノイジーなギターサウンドが前に押し出されているナンバーもあるのですが、それらの曲を含めてメロディーラインはあくまでポップ。GREEN DAYらしい、いい意味でポップで聴きやすいナンバーがずらりと並んでおり、GREEN DAYが好きならば文句なしに気に入るアルバムになっていたと思います。

そして本作、歌詞に関しても「Revolution Radio」というタイトル通り、リスナーをかなりアジるような内容の歌詞が目立ちます。例えばそのタイトル曲「Revolution Radio」にしても

「Rise! of the slums to the obsolete
The dawn of the new airwaves for the antisocial media」
(復活だ!時代遅れのスラム街
反社会的メディアの新しい放送波の幕開けだ)

(「Revolution Radio」より)

なんていう刺激的な歌詞が飛び出してきます。ただ、国内盤のライナーツノートに記載されているビリーへのインタビューによると、「政治的な歌詞もラブソングを書くときと同じ場所から生まれてくる」と語っており、あえて政治的な内容にしたというよりもまさに彼らが今、歌いたい内容を歌詞にした結果と考えた方がよさそう。ただ、それだけアルバム全体的に刺激的な歌詞が並ぶ内容になっていました。

そんな訳で、非常にGREEN DAYらしさがつまったアルバムといった感じでファンの満足度も高いアルバムになっていたのではないでしょうか。聴いていてとてもストレートな内容で気持ちよさを感じさせるメロディアスパンクの傑作でした。

評価:★★★★★

GREEN DAY 過去の作品
STOP DROP AND FALL!!!(FOXBORO HOTTUBS)
21st Century Breakdown
AWESOME AS F**K(邦題:最強ライヴ!)
UNO!
DOS!

TRE!
爆発ライブ~渋谷編
DEMOLICIOUS

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2016年11月10日 (木)

19年ぶりの1位獲得

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

久々のオリジナルアルバムでの1位獲得となりました。

今週のアルバムチャートで見事1位を獲得したのは松任谷由実「宇宙図書館」。彼女の約3年ぶりとなるアルバムで1位を獲得。2012年にリリースしたベスト盤「日本の恋と、ユーミンと。」で1位を獲得していましたが、オリジナルアルバムでの1位は1997年にリリースした「Cowgirl Dreamin'」以来、実に19年ぶりの1位獲得になりました。また今回の現在、62歳10ヶ月となる彼女ですが、この年齢での1位は女性としては史上最高齢のアルバム1位獲得だそうです。

ただし初動売上5万7千枚は前作「POP CLASSICO」の6万枚(2位)からは若干ダウンという結果に。低水準のチャートに助けられての1位獲得となりました。とはいえ彼女がいまなお根強い人気を確保しているのは間違いありません。なんと還暦超え(!)となった彼女ですが、まだまだ現役ミュージシャンとしての活躍が続きそうです。

2位は嵐「Are You Happy?」がワンランクダウンでこの位置。また3位にはJUJU「スナックJUJU ~夜のRequest~」が先週5位からランクアップし、チャートイン2週目にしてベスト3入り。こちら売上は先週の3万4千枚から2万2千枚とアップしましたが、落ち幅を最小限に抑えてランクアップとなりました。ちなみにJUJU、同じカバーアルバム「RequestII」でも初登場から2週目にランクアップによりベスト3入りしています。本作もロングヒットになるか?

続いて4位以下の初登場盤です。まず5位にザ・クロマニヨンズ「BIMBOROLL」がランクインです。ご存じヒロト&マーシー率いる今年結成10周年を迎えたロックバンドの10枚目となるアルバム。初動売上1万6千枚は前作「JUNGLE9」(3位)から横バイ。これで3作連続初動売上1万6千枚となっており、良くも悪くも固定ファンに支えられていることがわかります。

6位にはアメリカのロックバンドBON JOVI「This House Is Not for Sale」がランクインです。初動売上1万2千枚は前作「Burning Bridges」の1万枚(3位)から若干アップしています。

7位初登場にちょっとビックリしてしまいました。ヤバイTシャツ屋さん「We love Tank-top」。奇妙な名前が強いインパクトの大阪出身の3人組メロコアバンド。本作はメジャーデビュー作かつ初のアルバムとなりますがいきなりベスト10入りとなりました。評判になっていたとは知っていましたがいきなりのベスト10入りはビックリ。ランキングの水準が全体的に低いだけにちょっと話題になると一気にベスト10入りしてくるんですね・・・。初動売上は1万1千枚を記録。

最後10位には元AKB48板野友美「Get Ready」がランクイン。ソロとして2作目の作品となります。初動売上は9千枚。前作「S×W×A×G」の1万9千枚(6位)から大幅減となりました。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2016年11月 9日 (水)

なんとあの曲がついに1位

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今、もっとも話題のあの曲がついに1位獲得です。

なんと、今週はついにはピコ太郎「ペンパイナッポーアッポーペン」が先週の3位からランクアップ。一気に1位獲得となりました。Twitterつぶやき数、You Tube再生回数ともに1位。CD販売・ダウンロード・スクリーミング数(以下「実売数」)でも19位と比較的好セールスを記録しています。特に「ミュージックステーション」出演に伴うTwitterつぶやき数増加の影響が大きそう。またいつも指摘しているようにTwitterつぶやき数の妙な比重の高さが気にかかりますが、見事な1位獲得となりました。

2位は星野源「恋」が先週から変わらず2位をキープ。実売数とYou Tube再生回数2位、ラジオオンエア回数3位、Twitterつぶやき数4位といずれも高順位を記録。さらにはPCによるCD読取数では見事1位を記録しています。この順位からするとCDも売れているように感じるのですが、オリコンでは今週13位にとどまっており、その「差」の理由が気になるところです。

そしてようやく3位が初登場曲。Kinki Kids「道は手ずから夢の花」がこの位置にランクイン。安藤裕子が作詞作曲を手掛けた和風なバラードナンバー。実売数1位、PCによるCD読取数2位の他、ラジオオンエア回数で7位とアイドル系の割には比較的高い順位を記録しています。オリコンではこちらが初登場1位。初動売上17万5千枚は前作「薔薇と太陽」の19万3千枚(1位)からダウン。

続いて4位以下の初登場曲です。まず4位にはハロプロ系女性アイドルグループ℃-ute「夢幻クライマックス」が初登場でランクイン。EDMにピアノを織り交ぜたかなりドラマチックなナンバー。実売数は3位を記録しましたが、PCによるCD読取数では33位。iTunesチャートでも上位に来ていないことから6種同時リリースの複数枚買いの影響は大きそう。ちなみにオリコンでは初動売上5万8千枚で2位初登場。前作「何故 人は争うんだろう?」の5万9千枚(2位)から微減。

5位はこちらも男性アイドルグループDa-iCE「恋ごころ」が初登場でこの位置。こちらも実売数4位に対してPCによるCD読取数が63位という結果に。9種同時リリースのため、複数枚買いの影響が大きそう。ただラジオオンエア数は18位とアイドル系としては比較的上位に入ってきています。オリコンでは初動2万9千枚で3位初登場。前作「パラダイブ」の4万7千枚(3位)からダウンしています。

そしてもう1枚初登場もアイドル系。でんぱ組.inc「最Ψ最好調!」が10位初登場。テレビ東京系アニメ「斉木楠雄のΨ難」オープニング・テーマ。情報量をつめるだけつめこんだよくも悪くも彼女たちらしい電波ソング。こちらも実売数7位に対してPCによるCD読取数26位と、5種同時リリースの複数枚買いの影響も大きそう。オリコンでは5位初登場。初動売上2万1千枚は前作「あした地球がこなごなになっても」の4万5千枚(2位)から大幅ダウンとなっています。

今週のHot100は以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2016年11月 8日 (火)

シンプルでフォーキーな内容だけども

Title:Schmilco
Musician:WILCO

前作「Star Wars」が当初、フリーダウンロードという形態で発売して話題となったWILCO。それから1年、早くもニューアルバムのリリースとなりました。まず目をひくのがジャケット。どこか日本の不条理漫画を彷彿とさせるユニークかつシュールな漫画が非常に印象に残ります。

さて今回のアルバム、ここ最近のWILCOの作品に共通する傾向なのですがアルバムの長さが比較的短く、聴きやすいというのが大きな傾向としてあります。本作も12作入りながらも36分という長さ。すべての曲が2から3分程度の長さで一番長い曲でも4分程度。シンプルなポップのアルバムとして非常に聴きやすい構成になっています。

またギターロックが主軸だった前作に比べると今回のアルバムはアコースティックなテイストが強くフォーキーな作風になっているというのも大きな特徴。特に冒頭、「Normal American Kids」「If I Ever Was a Child」からアコースティックテイストの強いサウンドにメロディアスなメロディーラインが特徴的。特に「If I Ever Was a Child」で聴かせてくれる切ないメロディーラインは彼らのメロディーメイカーとしての本領発揮を感じます。

ただそんなシンプルなポップスバンドとしてのWILCOに物足りなさを感じるかもしれません。その印象が異なってくるのが中盤から。「Common Sense」はアコギの音色でダークな雰囲気を醸し出してきていますし、さらに続く「Nope」では最初、ポップなメロディーラインを聴かせつつも、中盤から後半にかけてサイケなサウンドが展開してきます。

その後もメロディアスで聴きやすいメロディーラインを展開させておきながら、例えば「Quarters」の音の構成など、ところどころでおやっ?と思わせるようなサウンド、展開をくわえてきているのが非常にユニーク。WILCOらしい工夫が随所にみられる一癖あるアルバムになっていたと思います。

アルバム全体としてはフォーキーでポップな印象の強いアルバムなだけに、ちょっと地味に感じる方もいるかもしれません。ただそれでもやはりWILCOの魅力がしっかりとつまった傑作に仕上がっていたと思います。比較的短く聴きやすい作品なだけに手軽に楽しめる作品かと。ユニークなジャケットに興味を持った方も是非(笑)。

評価:★★★★★

WILCO 過去の作品
Wilco(This Album)
THE WHOLE LOVE
Star Wars

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2016年11月 7日 (月)

よりメタリック色が強く

Title:第六作品集「無題」
Musician:downy

途中リミックスアルバムのリリースはあったものの、純然たるニューアルバムとしては3年ぶりとなるdownyの新作。前作「第五作品集『無題』」は途中活動休止時期を挟んだため実に9年ぶりとなる新作となりましたが、今後は再び継続的な活動を続けているようで、今後の活動も楽しみになってきます。

で、今回のアルバムに関してもしっかりと期待通りの傑作に仕上がっていました。まず1曲目「凍る花」からしてバリバリの変拍子を展開する複雑なリズム構成が耳を惹く作品に。この複雑なリズムが展開するという意味では「親切な球体」もその方向性でdownyらしい作品と言えるでしょう。もっといえばこの曲、途中からBPMが変わり、その構成のユニークさにさらに惹かれる楽曲になっています。

こういう複雑な構成を展開しつつも楽曲はどの曲も3分から長くて6分という「ポピュラーミュージック」の枠組みにおさまる短さ。全9曲入りでアルバムの長さも36分程度という内容もちょうどよい聴きやすさを持っています。「ポップ」といえば例えば終盤の「乱反射」。同じく変拍子のリズムを展開しつつも哀しさを感じるメロディーラインが耳をつきます。アルバムの最後を締めくくる「翳す、雲」も哀愁感あるメロディーラインが前面に押し出されており、ポップな曲として十分成り立つだけの歌を聴かせる曲に仕上がっています。複雑で個性的なリズムとサウンドを聴かせつつも、あくまでも「ポップ」であることに立脚している点がdownyの大きな魅力のひとつであることが実感できます。

また今回のアルバム、活動休止前から引き続き、エレクトロサウンドを取り入れたサウンド傾向がより強くなっています。サウンド的にはエッジの効いたメタリックなサウンドがメイン。轟音のギターを鳴り響かせノイズで埋めるというスタイルの曲は残念ながら今回は見受けられません。そういう意味で初期の彼らが好きだったという方には物足りなさを感じるかもしれませんが・・・それでも独特な彼らの音世界には徐々に惹きこまれていくこと間違いなしかと思います。

前作に引き続き文句なしの傑作アルバム。まだまだこれからも傑作を世に生み出してくれそう・・・そんな予感をますます感じる作品でした。

評価:★★★★★

downy 過去の作品
第五作品集「無題」
第五作品集「無題」Remix Album


ほかに聴いたアルバム

EXPLOSION/大西ユカリ

レコード会社移籍第1弾となるアルバムは、横山剣、甲本ヒロト、宮藤官九郎など豪華なゲスト陣が話題。ただ今回のアルバムは歌謡曲を意識してつくられたアルバムということもあり、かなり歌謡曲テイストが・・・というよりも演歌、ムード歌謡の色合いが濃い作品になっていてさすがにここまでムード歌謡曲寄りになると個人的に聴いていてちょっと好みからはずれる部分も。個人的にはもうちょっと「ソウル」のテイストが強い方が好みかなぁ。悪いアルバムではないと思うのですが。

評価:★★★★

大西ユカリ 過去のアルバム
HOU ON
やたら綺麗な満月
直撃!韓流婦人拳(韓国盤)
直撃!韓流婦人拳

ニガイナミダが100リットル
肉と肉と路線バス

奥田民生 生誕50周年伝説“となりのベートーベン" /奥田民生

昨年、生誕50年を迎えた奥田民生が、12月22日に東京国際フォーラムで行った記念ライブの模様をおさめたライブCD。Disc1はくるり岸田繁やスピッツ草野マサムネ、トータス松本、吉井和哉、和田唱など豪華ゲストによるカバー。それぞれのボーカルによって、岸田繁ならくるりらしく、吉井和哉ならイエモンらしくなっているのがおもしろいところ。Disc2は奥田民生ボーカルなのですが、大編成のスペシャルオーケストラ率いてのステージだとか。ニューオリンズ色の強い楽しいステージになっており、当日の盛り上がりも伝わってきます。奥田民生の魅力が伝わるとても楽しい2枚組のライブ盤でした。

評価:★★★★★

奥田民生 過去の作品
Fantastic OT9
BETTER SONGS OF THE YEAR
OTRL
Gray Ray&The Chain Gang Tour Live in Tokyo 2012
O.T.Come Home
秋コレ~MTR&Y Tour 2015~

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2016年11月 6日 (日)

シンプルに聴かせるメロディーが魅力的

Title:プリテンダー
Musician:荒井岳史

the band apartのボーカリスト荒井岳史によるソロ2枚目となるアルバム。今回のアルバムではプロデューサーに□□□の三浦康嗣を起用。前作に引き続き同じく□□□のベースの村田シゲやASPARAGUS、the HIATUS、さらにはMONOEYESとして活動しているドラムスの一瀬正和が参加という豪華な布陣でも話題となりました。

これは前作のレビューでも書いたのですがthe band apartというバンド、個人的に好きなバンドのひとつなのですが、正直ここ最近、マンネリ気味という印象もあり作品の出来はいまひとつ、という印象がありました。しかし荒井岳史のソロ前作「beside」は最近のthe band apartとはうってかわった素晴らしい傑作に仕上がっていました。

そしてソロ2枚目となるアルバム、今回も前作と同様、非常に素晴らしい出来の傑作アルバムに仕上がっていました。おそらくその理由は単純で、シンプルにメロディーと歌詞を主軸に据えたシンプルなポップスに仕上げていたからと思われます。前作は哀愁感あふれるメロディーラインと歌詞がとても魅力的なアルバムになっていましたが今回もその方向性が引き継がれた作品となっていました。

特に哀愁感が強いという意味では中盤の「花火」が聴かせます。切ないメロディーラインはインパクトもありいい意味でのヒットポテンシャルも感じる作品。情景が浮かぶような歌詞も大きな魅力に感じます。薄く重なってくるストリングスも哀愁感を強く醸し出しています。そしてインターリュードを挟み続く「あきらめの街を抜けて」も同じく郷愁を感じるメロと歌詞がインパクト。暖かいイメージのあった「花火」とは対照的にエッジの効いたドラマチックさも感じさせるサウンドも魅力的です。

そんなシンプルに歌詞とメロディーを聴かせる作品がメインとなる中でもバラエティーのある構成になっているのも魅力的。1曲目を飾る「あの夏のイリュージョン」は90年代初頭あたりのJ-POPを彷彿とさせる楽曲。今となっては若干チープさも感じさせるアレンジも、アラフォー世代からするとどこか懐かしさを感じさせてくれます。

「サヨナラを君に言う」はジャジーなアレンジが魅力的な作品。このジャジーな雰囲気はthe band apartにつながる部分があり、the band apartのファンなら気に入りそうな作風。「TMKN」はホーンセッションも入りつつファンキーなダンスチューンになっており中盤のインパクトに。ラストを締めくくる「ワンモアタイム」はゲストボーカルに岩崎愛を起用した男女デゥオ。ちょっと渋谷系っぽい雰囲気がアルバムの中では異色となっていますが、これもまたバラエティー富んだ本作の魅力のひとつと言えるでしょう。

基本的な路線は前作と同様なのですが、シンプルにメロディーの良さが前に出ているだけにマンネリといった印象はなく、素直に心に染みいってくる傑作に仕上がっていました。前作同様、the band apartファンなら間違いなく楽しめる楽曲である一方、the band apartよりも暖かさを感じるメロディーに心惹かれる内容になっています。またインパクトという面では前作よりもより強くなっていた印象も。バンドでの活動以上にソロとしての今後が楽しみになってくるアルバムでした。

評価:★★★★★

荒井岳史 過去の作品
beside


ほかに聴いたアルバム

Out Of Blue/GOING UNDER GROUND

河野丈洋脱退でついに3人組となったGOING UNDER GROUNDの約2年5カ月ぶりとなる新譜。GOING UNDER GROUNDらしい暖かさを感じさせるギターロックに、ノスタルジックでちょっと甘酸っぱさも感じされる歌詞が魅力的。ラストの「the band」も彼ら自身について歌った曲で、等身大の自分たちを描いている歌詞が実に魅力的。目新しさはないもののGOING UNDER GROUNDの魅力をしっかり伝えてくれたアルバムでした。

評価:★★★★★

GOING UNDER GROUND 過去の作品
おやすみモンスター
COMPLETE SINGLE COLLECTION 1998-2008
LUCKY STAR
稲川くん
Roots&Routes

SHAAA!!!/TOMOVSKY

猫が威嚇した時の声をつかったタイトルがユニークなTOMOVSKYの新譜。ジャケットもかわいらしいです。基本的にはいつものTOMOVSKYと同様、ギター、ピアノ、シンセなどを用いたがらくたのような楽しいポップソングが主軸。そしてTOMOVSKYといえば注目したい歌詞なのですが今回はそれなりにがんばっているものの、どこか怠惰な部分もぬぐえない人間の素直な気持ちを歌ったような歌詞が多く、誰もが共感できるような内容に。ただ「お、こんな視点もあるのか」といったような独自の視点の歌詞が今回は出会えなかったのがちょっと残念。

評価:★★★★

TOMOVSKY 過去の作品
幻想
秒針
いい星じゃんか!
終わらない映画
BEST3

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2016年11月 5日 (土)

4年ぶりの新作で原点回帰

Title:DAY BREAKS
Musician:NORAH JONES

ちょっと久しぶりとなるNorah Jones単独名義では4年ぶりのニューアルバム。日本でも積極的にテレビなどへの出演でプロモーションを行っていたようですが、正直久々のアルバムなので売上的にはちょっと厳しいかな、とも思ったのですが、チャート的には初動売上で前作「Little Broken Hearts」を上回るという好セールスを記録。海外でもビルボードチャートでは見事2位を記録するなど、根強い人気を感じさせる結果になっています。

今回の好調な売上のおそらく大きな要素となっているのが新作の作風。前作「LITTLE BROKEN HEARTS」がプロデューサーにDANGER MOUSEを起用し、今風なサウンドを取り入れた内容が話題となりましたが、一方ではNorahらしからぬサウンドメイキングに賛否両論が生じた作品でした。

それに対して本作は原点回帰といった作品。彼女のデビュー時の作風であるピアノで叙情感たっぷりに聴かせるジャジーな楽曲が復活しています。まず1曲目の「Burn」。ジャジーなピアノで静かにはじまりつつ、ウッドベースが静かに重なるインスト。そこにNorahのムーディーな歌がはじまる展開・・・うーん、そうそう、Norah Jonesってこうだよな!とうれしくなります。

続く「Tragedy」もまさにNorah Jonesらしい作品。ジャジーなピアノにメロディアスなメロディーラインと彼女の歌声はちょっとソウル風。なによりも歌をしっかり聴かてくれるボーカルでシンプルながらも心に染み入るナンバーに仕上がっています。

他にもピアノでしんみり聴かせてくれる「And Then There Was You」は優しいピアノの音色と彼女の歌声に心がやすらぐ名バラードに仕上がっていますし、「Peace」も途中にサックスの音色が響くジャジーなサウンドが耳を惹かれます。なによりもアルバム最後を締めくくる先行シングルにもなった「Carry On」が名曲。ピアノとエレピが印象的なソウルバラード。そのサウンドも彼女の歌声も私たちを優しく包んでくれるようで、とても心に染みいってくる作品に仕上がっています。

基本的にどの楽曲もジャズやソウル風の非常にシンプルなアレンジで、あくまでも歌とメロディーを聴かせることに主眼を置かれた作品になっています。そのため目新しさといったものは感じませんが、Norah Jonesというミュージシャンの魅力を再認識できる傑作に仕上がっていました。Norah Jonesのコアな部分をあらためて提示したアルバムともいえるかもしれません。歌というもののすばらしさを率直に感じられる傑作でした。

評価:★★★★★

NORAH JONES 過去の作品
THE FALL

...FEATURING NORAH JONES(ノラ・ジョーンズの自由時間)
LITTLE BROKEN HEARTS
COVERS(カヴァーズ~私のお気に入り)
foreverly(BILLIE JOE+NORAH)

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2016年11月 4日 (金)

思い入れもある3rd

Title:BE HERE NOW(Deluxe)
Musician:oasis

2014年にデビュー20周年を記念してデビュー作「オアシス」のデラックス・エディションが、同じ年に「(What's The Story)Morning Glory」の同じくデラックス・エディションがリリースされて話題となりました。本作はそれに続くアルバム。oasisが世界的な現象となる1993年から97年を振り返る「チェイシング・ザ・サン」プロジェクトの一環としてリリースされた作品で、これがその最後となる第3弾アルバムだそうです。

ファンならご存じかと思いますがこのアルバム、いろいろといわくつきの作品。世界的大ヒットを記録した「(What' The Story)Morning Glory」の次に発売されたアルバムということで注目を集めたアルバム。リリースから3日間で70万枚を売り上げ、当時のイギリス史上最速の売上を記録しました。しかしその後売上を伸ばすことが出来ず、結果として全世界で800万枚の売り上げにとどまりました。

800万枚なら十分じゃないかと思うのですが、前作「(What's The Story)Morning Glory」が2,000万枚を超える売上を記録しただけに、そこと比べられてしまい「失敗作」という烙印が押されてしまった本作。特にノエル・ギャラガーがこのアルバムを酷評しており、2006年にリリースされたベストアルバム「Stop the Clocks」ではこの曲から1曲も選ばれず、今でも決して評価の高いアルバムではありません。

ただ私にとってはこのアルバムも思い入れのあるアルバムで、本作は新作のアルバムを発売当初に買いに行った洋楽でははじめてのアルバム。前作「(What's The Story)Morning Glory」でoasisを一気に好きになった私が(ちなみに同作は最初レンタルで聴いた上で後日CDを買いました)、発売当初にはじめて買ったoasisのアルバム。最初聴いた時はその内容を素直に楽しめただけに、後日、このアルバムが不評だということを聴いてそんなに悪いアルバムかなぁ・・・と思った記憶があります。

今回、本作のリリースを聴いて久しぶりに本作を聴いてみました。で、思ったのはこのアルバム、例えていうならばこの世のものとは思えないとてもおいしいお茶を入れた後の出がらしだなということでした。楽曲のタイプとしてはデビューアルバム「Definitely Maybe」、2ndアルバム「(What's The Story)Morning Glory」の延長線上にある作品。ほどよくノイジーでパンキッシュでメロディアス。癖のないストレートなギターロックの作品に仕上がっています。

ただインパクトという点では前2作に大きく届きませんし、捨て曲なしどの曲も神がかったようなメロディーラインが特徴的だった1st、2ndに比べると今ひとつな捨て曲も中にはあり、確かに「Definitely Maybe」「(What's The Story)Morning Glory」に比べると評価が1枚2枚落ちてしまうのは仕方ないかなとも思います。またアルバムの長さとして長すぎるというのもマイナスポイント。70分超えの本作、正直いまひとつな曲もあるだけにそれを削ればもうちょっと良くなったのに・・・とも思ってしまいました。

とはいえども比較対象がともすればロック史に残るだけの名盤であるだけに分が悪くなってしまっているのも事実。今聴いても決して悪いアルバムではありません。本作に収録されている「Stand By Me」「All Around The World」は間違いなくoasisを代表しうる名曲だと思いますし、かつての栄光を目指し若干迷走気味だった4thアルバム以降の作品に比べると十分、傑作と言える出来だったと思います。

ちなみに今回のデラックスエディションではDisc2にはこの時期のシングルのカップリング曲を中心に収録。Disc3には1996年はじめにカリブ海のマスティク島で録音したデモ音源が収録。Disc2のカップリング曲集に関してもやはり「Definitely Maybe」「(What's The Story)Morning Glory」期の頃の曲に比べると若干見劣りがしてしまう点は否めません。またDisc3のデモ音源は完成版に比べるとかなり音が軽い感じに。ただその分、肩の力の抜けた演奏を楽しめるデモ音源になっていました。

そんな訳で、いろいろと思うところの多い作品ではあるものの出来としては十分「傑作」といっていい出来だったのではないでしょうか。1枚目2枚目に比べると・・・という部分は確かにあるのですが、1枚目2枚目を気に入って、もし本作をスルーしていたとしたらちょっともったいないかな、そう感じるアルバムです。

評価:★★★★★

oasis 過去の作品
DIG OUT YOUR SOUL
Time Flies 1994-2009
Original 1993 Demos
Definitely Maybe (Remastered) (Deluxe)
(WHAT'S THE STORY)MORNING GLORY?(Remasterd)(Deluxe)


ほかに聴いたアルバム

The Story of Sonny Boy Slim(邦題:サニー・ボーイ・スリムの物語)/Gary Clark Jr.

前作「Black&Blue」が話題となった新進気鋭のブルースギタリストによる2枚目。今時のネオソウルの要素が強くなり、前作の持ち味であったギターサウンドがかなり薄味になってしまっているのが残念。そうやって取り入れたいまどきの要素も目新しさはなくおもしろみはない感じ。そんな訳でレビューサイトなどでも前作と変わって酷評の多いアルバムになってしまい、そのため最初聴くのに躊躇したのですが、ただ聴いてみると、確かに上記の通り、厳しいなぁと思うよな要素は多い反面、全体的にはポップに聴きやすいアルバムに仕上がっており、ロックンロールやファンクの要素を入れつつギターも聴かせる部分ではきちんと聴かせており、思ったよりは悪くはないかな、といった印象。とりあえず勝負は次の3作目か?

評価:★★★★

Gary Clark Jr. 過去の作品
Black&Blue

HITnRUN Phase One/Prince

今年4月、惜しまれつつこの世を去ったPrince。本作は、そのラストから2作目となるオリジナルアルバム。女性ボーカルも取り入れたファンキーなエレクトロビートが陽気に鳴り響く作品で、勢いと若々しさすら感じさせる作品。キャリア37年。本作が実に43作目となるオリジナルアルバムなのですが、いい意味でベテランとしてのキャリアを感じさせない現役感があります。それだけに、今年4月の急逝はあまりにもショックだったのですが・・・。最後の最後まで彼は第一線のミュージシャンだったんだな、と感じさせてくれるアルバムです。

評価:★★★★★

PRINCE 過去の作品
PLANET EARTH

ART OFFICIAL AGE
PLECTRUMELECTRUM

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2016年11月 3日 (木)

宇多田に代わる1位は・・・

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

先週まで4週連続1位だった宇多田ヒカル「Fantome」。今週は新譜ラッシュのためついに1位の座をあけわたし5位にランクダウンしてしまいました。

そして宇多田ヒカルにかわって1位を獲得したのは、やはり強い、のニューアルバム「Are You Happy?」が獲得。初動売上63万6千枚は前作「Japonism」の82万枚(1位)からダウン。ただこれは前作が、CDの販売形態が3種で複数枚買いを誘導していた影響が大きそう。本作も初回盤と通常盤で収録内容が微妙に異なっており複数枚買いを誘導するような戦略をとっていますが、それでも前作ほどの影響はなかった模様です。

2位初登場はケツメイシ「KETSUNOPOLIS 10」。初動売上5万5千枚は前作「KETSUNOPOLIS9」の5万枚からアップ。本作に収録されている「友よ~この先もずっと…」はビルボードのHot100に延べ5週にわたりベスト10入りするなどヒットを記録しましたが、今回の初動売上アップには根強い人気を感じさせます。

3位にはNMB48のメンバー、山本彩のソロデビュー作「Rainbow」がランクイン。初動売上5万枚を記録しています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位はスターダストプロモーション所属の男性アイドルグループ超特急の2枚目となるアルバム「Dramatic Seven」がランクイン。初動売上4万1千枚は前作「RING」の1万8千枚(7位)よりアップしています。

5位は女性シンガーJUJUによる「スナックJUJU ~夜のRequest~」がランクイン。JUJUといえば、2010年にリリースしたアルバム「Request」が大ヒットを記録し、その後コンスタントにカバーアルバムをリリースしていますが本作はその最新作。本作はタイトル通り、大人の歌謡曲をテーマとした選曲になっています。ただ正直・・・「スナック」だの「夜の~」だのあまりにベタすぎてセンスのないタイトルだなぁ(苦笑)。初動売上は3万4千枚。直近のカバーアルバムは洋楽カバーの「TIMELESS」でこちらの9千枚(5位)からは大幅アップ。邦楽カバーの前作「RequestII」の3万4千枚(4位⇒最高位は2週目の3位)からは横バイという結果に。邦楽のカバーの方が圧倒的に支持されているんですね・・・。

7位には韓流の男性アイドルグループBlock B「My Zone」がランクイン。これが日本でのデビューアルバム。初動売上1万7千枚を記録しています。

9位初登場は「機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096 COMPLETE BEST」が初動売上1万枚でこの位置。「機動戦士ガンダムユニコーン」のテレビ版や劇場版の主題歌を収録したベストアルバムです。今年6月に活動を休止し、10月にはメンバーの川島道行急逝という悲しい知らせが飛び込んできたばかりのBOOM BOOM SATELLITES「BROKEN MIRROR」も収録。またDisc2は今年8月に行われた「機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096」放送を記念して実施されたライブの音源が収録されていますが、TM NETWORKの「BEYOND THE TIME ~メビウスの宇宙を超えて~」や森口博子の「ETERNAL WIND~ほほえみは光る風の中~」なんていう懐かしいガンダム主題歌のカバーも収録されています。

10位には韓国の女性アイドルグループTWICE「TWICEcoaster:LANE1」がランクインしています。初動売上6千枚。韓国で発売されたアルバムの輸入盤の売上がランクイン。メンバーの中に日本人メンバーが3人いることでも話題になっています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2016年11月 2日 (水)

今週はジャニ系が1位

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週、先々週と星野源「恋」がジャニーズ系を下して1位を獲得しましたが今週は残念ながら2位にダウン。一方、今週はジャニーズ系が1位を獲得。Hey!Say!JUMP「Fantastic Time」が先週の38位からランクアップしCD発売にあわせて見事1位を獲得しています。CD販売・ダウンロード・スクリーミング数(以下「実売数」)及びPCによるCD読取数で1位を獲得。一方、ラジオオンエア数は39位にとどまっており、アイドル系らしいチャート傾向になっています。オリコンでも初登場1位を獲得。初動売上26万6千枚で前作「真剣SUNSHINE」(1位)から横バイとなっています。

3位にはピコ太郎「ペンパイナッポーアッポーペン」が先週の2位からワンランクダウンしてこの位置。実売数は41位と相変わらずですが、Twitterつぶやき数3位、You Tube再生回数は引き続き1位を獲得し、ベスト3ヒットを続けています。

続いて4位以下の初登場曲です。まず4位に韓国の男性アイドルグループ2PM「Promise(I'll be)」がランクインしています。実売数3位、Twitterつぶやき数11位の一方、PCによるCD読取数は21位にとどまっており、8種同時リリースという発売形態上、複数枚買いの影響が大きそう。ちなみにこの曲をもって活動休止となるそうです。オリコンでは初動9万9千枚で2位初登場。前作「HIGHER」の13万3千枚(2位)より大幅減となっています。

5位には西野カナ「Dear Bride」が先週13位からCD発売にあわせてランクアップしベスト10入り。結婚していく友達へ送るウェディングソングというテーマはいかにも西野カナらしい感じも。実売数5位に対してPCによるCD読取数24位でしたが、こちらはiTunesチャートでも上位にランクインしており配信による購入数が多かった影響と思われます。他にはラジオオンエア数も10位にランクインしています。オリコンでは初動売上2万枚で9位初登場。前作「あなたの好きなところ」の2万2千枚(5位)からダウンしています。

6位にはハロプロ系女性アイドルグループJuice=Juice「Dream Road~心が躍り出してる~」が初登場でランクイン。実売数が4位だった反面、PCによるCD読取数61位、Twitterつぶやき数71位で他は圏外という結果に。特に6種同時リリースでiTunesチャートでも上位に入ってきていないため、複数枚買いによる売上増の影響が大きそう。ちなみにオリコンでは初動3万2千枚で5位初登場。前作はNEXT YOU名義でリリースした「Next is you!」の初動4万1千枚(3位)でこちらよりはダウンしています。

7位には安室奈美恵「Dear Diary」が入ってきました。映画「デスノート Light up the NEW world」主題歌。スケール感あるバラードナンバー。ただ実売数は6位だった反面、ラジオオンエア数15位、Twitterつぶやき数42位、You Tube再生回数25位と話題の映画の主題歌の割にはいまひとつ伸び悩んでいる印象。特にPCによるCD読取数が12位にとどまっており、この曲に関しては配信が解禁されていないこと、かつ3種同時リリースということから複数枚買いの影響も少なくない模様。オリコンでは初動売上4万4千枚で3位初登場となっており、前作「Hero」の2万8千枚(6位)より大幅増となっていますが、Hot100で最高位3位、5週にわたってベスト10入りした前作「Hero」に比べると、本作のHot100の各種チャートを考慮すると残念ながら前作ほどはヒットしていないという印象があります。

最後10位には三代目J Soul Brothers「Welcome to TOKYO」がランクイン。11月9日リリース予定の曲ですが、Twitterつぶやき数で1位、You Tube再生回数で11位を記録してCD発売前にランクインです・・・って、前から何度も苦言を呈していますが、妙にTwitterつぶやき数の比重が大きすぎませんか?それに今、彼らに関するつぶやきってむしろ例のレコ大買収疑惑がらみじゃない?今週11位にランクインしているへし切長谷部(新垣樽助),宗三左文字(泰勇気),薬研藤四郎(山下誠一郎)「心魂の在処」はラジオオンエア数、Twitterつぶやき数、You Tube再生回数ともにランク外だけど実売数7位、PCによるCD読取数4位を記録しており、さすがにこちらの方が「ヒットしている」と言えるのでは??かなり疑問を感じてしまいます。

今週のHot100は以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2016年11月 1日 (火)

初期ZEPPET STOREを彷彿

Title:REVERB
Musician:ZEPPET STORE

今年、メジャーデビュー20周年を迎えたZEPPET STORE。2011年の再結成後は積極的な活動とコンスタントなアルバムリリースが続いていますが、その20周年の記念すべき年に2年8ヶ月ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。

再結成後は昔の勢いがよみがえったかのごとく傑作をリリースし続ける彼ら。特に前作「SPICE」は全盛期を彷彿とさせる充実作に仕上がっていましたが、それに続く本作もデビュー20周年にして今なお・・・というよりも今だからこその勢いを感じる作品に仕上がっていました。

楽曲は比較的シンプルなオルタナ系ギターロック。1曲目を飾る「Flower」も、続くタイトルチューン「Reverb」もギターのノイズが心地よいロックチューンなのですがサウンドの方は比較的シンプル。そのメロディアスなメロディーラインを聴かせる構成になっています。続く「J.A.S.S.」はよりギターのノイズが前面に、「Dig Up」ではバンドサウンドがダイナミックに構成されているものの、楽曲にしっかりと「歌」が流れているという事実は変わりません。

アルバムは基本的に全編、メロディアスなギターロックナンバー。「Raindrops Of Tear」のような打ち込みからスタートし、サイケにアレンジされたナンバーや、「In The Slumber」のような全編ホワイトノイズで埋め尽くされたシューゲイザー趣味全開の曲もありますが、比較的軽いギターサウンドの曲が多く、イメージ的には初期の彼らを彷彿とさせるものがありました。

この初期の彼らの彷彿させられるのはギターサウンドだけではありません。今回のアルバムの歌詞は全英語詞となっておりこれぞまさに最初期のZEPPET STOREのスタイル。アルバム全体の洋楽テイストも強め。デビュー20周年ということもあり、原点回帰をはかったアルバムと言えるかもしれません。

また2005年の解散直前は一度ブレイクした後、伸び悩んだ売上を意識してか、どこかアルバム毎に迷いを感じたのですが、再結成後の作品についてはどれものびのびとして、本当に彼らがやりたいことをやっているという印象を受けます。再結成後のアルバムがいずれも再び勢いを取り戻してきているのはそんな彼らがやりたいことをやっている、というところから来るのかもしれません。まだまだこれからも傑作が続きそう・・・これからの活躍もますます楽しみになってくるアルバムでした。

評価:★★★★★

ZEPPET STORE 過去の作品
SHAPE5
SPICE


ほかに聴いたアルバム

MUSIC/Polaris

ミニアルバムのリリースはあったものの、フルアルバムとしては実に9年ぶりとなるニューアルバム。久しぶりのアルバムなのですが、基本的には以前のPolarisと変わらない雰囲気。ほどよく幻想的なサウンドにポップなメロディーライン。このサウンドとメロディーラインのバランスが絶妙で非常に心地よいアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★★

ALL TIME BEST VOCALIST/徳永英明

大ヒットを記録した徳永英明の「VOCALIST」シリーズ。本作はその全シリーズから代表的なカバーを収録した「VOCALIST」のベストアルバム。基本的にはピアノやストリングスを用いたシンプルなアレンジの曲が多いのですが、それだけに楽曲そのものが持つ魅力と徳永英明のボーカルが映えるカバーになっています。あらためて聴くと、彼自身歌いなれてきたというのもあるかもしれませんが、彼の中性的でありながらもかすれた声色が独特の渋みを感じさせるボーカルが女性ボーカル曲にピッタリマッチしています。あらためて同シリーズが好企画だったなということを感じさせると共に、あれだけの大ヒットとなったのも納得できるベスト盤でした。

評価:★★★★★

徳永英明 過去の作品
SINGLES BEST
SINGLES B-Side BEST

WE ALL
VOCALIST4
VOCALIST&BALLADE BEST
VOCALIST VINTAGE
STATEMENT
VOCALIST 6
ALL TIME BEST Presence
Concert Tour 2015 VOCALIST&SONGS 3 FINAL at ORIX THEATER

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