様々なアイディアをコラージュ
Title:Freetown Sound
Musician:Blood Orange
ソランジュやスカイ・フェレイラ等、ミュージシャンへのプロデュースワークでも話題のBlood Orange。前作「Cupid Deluxe」も高い評価を得ましたが、この3年ぶりとなる新作も大きな話題となりメディア等でも高い評価を得ているようです。
私は前作「Cupid Deluxe」については聴きのがしていたので今回はじめて聴いたアルバムとなるのですが・・・まず聴いて感じたのはアルバム全体としてバラバラだな、といったことでした。様々なゲストボーカルが参加しているのはもちろんのこと、曲によっていろいろとバリエーションのある作風となっており、それがめまぐるしく展開していくような作品になっていました。
全体的には80年代風のフィリーなR&Bやそれに続くような今風のネオソウルがメインとなっています。ただ楽曲によってエレクトロサウンドの打ちこみが入ったり、ムーディーな曲があったりトライバルなリズムを聴かせたりと様々。楽曲ごとに彼の様々なアイディアがつまった作品になっています。
またこのバラバラといった印象を受ける大きなポイントとしては曲の長さが短いこと。長くても5分、平均2~4分程度の楽曲が次々と展開していく構成。ブラックミュージックというと比較的1曲あたりの曲長は長めという印象があるのですが、それだけに本作の1作あたりの短さが目立ちました。
さらにこの短い楽曲の中、様々なサウンドを入れてきたり、演説などのサンプリングしたり、Blood Orangeの様々なアイディアがつまったアルバムになっています。それだけに余計バラバラといった印象の強いアルバム。いわばBlood Orangeのアイディアが様々な形でコラージュされた作品とも言えるでしょう。
それだけに情報量の多い作品になっており、個人的にはもうちょっとすっくりまとめてそのメロディーをしっかり聴きたかったかな、といった感想も持ってしまいました。特に作品の中に流れるメロディーラインは実に美しく聴かせるものがあり、その世界をもっと長く味わいたかったなとも思ってしまいました。高い評価を受ける理由も十分わかるのですが、個人的にはそのメロディーをもっと味わっていたかったな、と思うアルバムでした。
評価:★★★★
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