唯一のライブ盤が初のCD化
Title:LIVE AT THE HOLLYWOOD BOWL
Musician:The Beatles
ここ最近、秋口になると何らかの形で新たなアイテムをリリースしているThe Beatles。今年はドキュメンタリー映画「ザ・ビートルズ~EIGHT DAYS A WEEK-The Touring Years」の公開もあったのですが、これにあわせる形でリリースされたのが本作。もともと1977年にリリースされたThe Beatles唯一の公式ライブ盤をCD化してもの。もともとから公式盤であったものの、なぜかいままでCD化されておらず、内容的にも非常に気になるものでしたが、当初のリリースから40年近くが経過してようやくCD化となりました。
本作は1964年8月23日と30日にロサンゼルスのハリウッド・ボウルで行われたライブの模様を収録したもの。もともとは録音状態があまりにも悪いためリリースを見合わせたようですが、リミックスなどをほどこして1977年にようやく発売に至ったそうです。
今回、CD化によりはじめてこのライブアルバムを聴いたのですが、まず目立つのはすさまじいまでの観客の悲鳴。楽曲がはじまっても全く衰えることはなく、このアルバム全編にわたって観客の悲鳴が流れ続けています。そりゃあ、これだけの悲鳴の中じゃあ、なかなか上手く録音できないよな。ただ本作に関しては悲鳴が流れる中でもしっかりThe Beatlesの演奏は収録されており、あの時代によくこれだけ録音ができたなぁ、と感心してしまいます。
The Beatlesといえばご存じの通り、その活動の後期にはライブをやめ、もっぱらレコーディングミュージシャンとなりましたが、その理由のひとつとして当時のPAでは音の出力がいまひとつでライブの最中、自らの音が観客の悲鳴にかきけされ、自分たちも演奏を聴くことができないほどだった、ということがあるそうです。実際にこのライブでも本人たちも自分たちの演奏がほとんど聴こえない状況の中で演奏していたとか・・・今では信じられないようなエピソードです。
ただ、そんな最悪な状況にも関わらずこのライブ盤では非常に迫力のある演奏を聴かせてくれます。今の耳で聴いても骨太さを感じる迫力のある演奏は、彼らが正真正銘のロックバンドであるという当たり前の事実をあらためて認識させられます。というよりも自分たちの演奏がほとんど聴こえない状況でありながらも、これほどしっかりと息のあった演奏を聴くことができるという時点で驚きです。
メンバー全員素晴らしい演奏を繰り広げているのですが、その中でも耳を惹いたのが「Dizzy Miss Lizzy」によるリンゴ・スターのドラミング。実に力強い演奏を聴かせてくれています。正直、後半に関してはさすがにこの環境の中だからでしょうか、若干だれている印象も否めないのですが、このライブ盤で、ライブミュージシャンとしてのThe Beatlesの実力がはっきりとわかる内容になっていました。
唯一の公式ライブ盤の初のCD化・・・なのに思ったほど騒がれず、チャート的にも3位にとどまったのはちょっと意外な感じもしたのですが・・・The Beatlesのアルバムとしては間違いなく聴くべき1枚だと思います。音楽的な側面で高い評価を受ける彼らですが、そのライブも一流だったということを実感できるアルバムです。
評価:★★★★★
The Beatles 過去の作品
LOVE
On Air~Live At The BBC Volume2
1+ (邦題 ザ・ビートルズ 1+)
ほかに聴いたアルバム
Burning Bridges/BON JOVI
ギタリスト、リッチー・サンボラが突然の脱退。3人組となったBON JOVIによる新作。楽曲としてはかなり泥臭い雰囲気。ハードロック色は強いのですが、いままでのBON JOVIのイメージであるスケール感はあまり感じない作品。わかりやすいフックの効いたメロは少な目ですが、その分、渋みの増したアルバムになっています。
評価:★★★★
BON JOVI 過去の作品
Lost Highway
THE CIRCLE
GREATEST HITS-THE ULTIMATE COLLECTION
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