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2016年10月31日 (月)

17歳現役女子高生シンガー

Title:はじめまして。17歳です。ハッピーエンド建設中。
Musician:にゃんぞぬデシ

「スイカを食べ歩くJK」として話題となった現役女子高生シンガーソングライターによるデビュー作。タイトルにも書いてある通り、アルバム作成当時17歳、現在でも若干18歳の彼女。あのヒャダインや綾小路翔も絶賛。タイトルからしてもいかにも17歳らしい今時さをかんじますし、「にゃんぞぬデシ」(にゃんぞうという飼い猫の弟子という意味らしい)という奇妙なミュージシャン名にも今風の言語感覚を感じます。

・・・・・・という彼女の紹介文に「ちょっと・・・」と思いあまり惹かれなかった方こそむしろお勧めしたのが本作です。

いかにも今時の女子高生シンガーソングライターというとイメージ的には例えばアイドル系だったりアニメソング系だったりとそんな方向のイメージ。またそんな今時のアイドル系、アニソン系にも重なるのですが情報過多のJ-POPというイメージ。彼女のアルバムを聴く前はそんな印象を持っていました。

しかし実際アルバムを聴いてみると彼女に対して持っていたイメージとは全く異なるタイプの曲が流れてきました。最初の「ハッピーエンド建設中」はホーンセッションも入れて若々しさのある明るいポップになっているのですが、そのルーツに流れるのはソウル。良く通る声の彼女のボーカルもこぶしが効いており力強さを感じます。既に高校生離れしたような表現力もあり今後の成長次第ではボーカリストとしてもおもしろい存在になっていきそうな予感もします。

また、昭和歌謡曲的な要素も強く、日本人の琴線に触れそうな哀愁感あるメロディーラインも魅力的。特にその魅力を強く感じたのは「ガール都営浅草線」。楽曲だけではなく歌詞も非常に魅力的な曲で

「まもなく終点 西馬込
寝過ごした訳じゃないんだよ ここが最寄り駅
なんだか切ない帰り道 
だんだんさめていく心 温かいとこから」

(「ガール都営浅草線」より 作詞 にゃんぞぬデシ)

という歌詞。西馬込という下町のイメージも相まって、聴いていて情景が浮かぶ歌詞が魅力的。この曲に限らず歌詞で歌われている情景や主人公の姿などがスッと心に入ってくるような曲が多く、作詞家としての実力も感じさせます。

一方ではこのようなある種の「老成」したような部分だけではなく、きちんと17歳の女子高生らしい部分もチラホラ。「BTB海岸」で「BTB溶液」なんて言葉が登場してくるあたり、いかにも現役高校生といった感じがしますし、「ナンパりんごマンゴー」「しろくま観覧車(しろくまin the 南極)」なんて言語感覚も若々しさを感じます。こういういかにも高校生らしい部分と高校生らしからぬ部分がちょうどよいバランスで同居している作品でした。

ただ、そんな「高校生」らしさが魅力となっている一方、その作詞能力といいメロディーセンスといい、「現役女子高生」という肩書がなくなっても十分に勝負できる才能を感じます。むしろ今後の彼女の経験の中で楽曲にさらなる深みが増してくることが予想でき、今後の彼女の成長も非常に楽しみになってきます。彼女を紹介する時に冠される変な「修飾語」なんて気にしないで、是非とも今聴いてほしい実力派シンガーソングライターのデビュー作です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

LOVELESS/ARTLESS /ハルカトミユキ

名前の通り、ハルカとミユキの2人組からなるロックユニットの新作。以前、偶然インストアライブで一度ライブを見たことがあるのですが、その時の感想は「まあ、悪くはないけど・・・」という程度。今回、結構メディア等でもプッシュされていたため、じゃあ聴いてみようかと思って聴いたのですが・・・感想としては一緒(笑)。まあ、悪くはないけど・・・。

基本的にギターロックを主体としつつ、エレクトロサウンドなどを入れてバリエーションも与えた楽曲。全体的にスケール感もあり、大物然とした雰囲気もあります。ただメロディーにしろ歌詞にしろインパクトはそこそこといった感じ。聴き終わった後、あまり印象に残らなかったというのが正直な感想。決して悪くはないのですが、もう一皮むけてほしい感じ。

評価:★★★★

DO MY BEST II/岡村孝子

岡村孝子ソロデビュー30周年を記念したオールタイムベスト・・・なのですが、おそらく20周年の時にリリースした「DO MY BEST」との重複を避けた選曲のためオールタイムベストとしては少々物足りなさを感じる選曲。あみん時代の曲もあるのですが、「待つわ」は入っていないし、「夢をあきらめないで」も2011verでの収録だし。

そういうこともあってか、全体的に楽曲はすべて似たり寄ったり。もともと大いなるマンネリ気味の彼女ですが、さらにその傾向が強まっている金太郎飴的な楽曲が並んでいます。安心して聴けるといえばその通りですが、正直、熱心なファンじゃないと辛いものがあるかも。次は本当の意味でのオールタイムベストを期待したいのですが。

評価:★★★

岡村孝子 過去の作品
勇気
After Tone IV

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