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2016年10月24日 (月)

ポップシンガー平井堅

Title:THE STILL LIFE
Musician:平井堅

シングルは比較的コンスタントにリリースしていたものの、そういえば最近、アルバムを出していないな・・・という印象だった平井堅。で、気がついたらオリジナルアルバムとしてはなんと5年ぶりとなる新譜。途中、カバーアルバムのリリースはあったものの、かなり間はあいてしまいました。

平井堅といえばブレイク時は「R&Bシンガー」というくくりで売り出されていました。彼が「楽園」でブレイクした2000年はちょうどMISIAが大ブレイクしていた頃で、女性R&Bがひとつのブームになっていました。平井堅もどちらかというとその流れに乗って売り出されたという印象を強く受けます。

ただその後の彼の活動を見ると、確かにR&B寄りな楽曲は多いものの、R&Bという枠組みにとらわれないポップシンガーを目指しているのは明確でした。彼のカバーアルバム「Ken's Bar」シリーズでもジャンルにとらわれない楽曲をカバーしていますし、アルバムにしても「FAKIN'POP」というタイトルだったり「JAPANESE SINGER」というタイトルだったり、「ポップ」であること、あるいは単なる「歌い手」であることを強調したアルバムタイトルが続いています。

そんなジャンルにとらわれないシンガーという彼の目指す方向性が今回のアルバムではある意味、これでもかというほど強調されたアルバムになっています。冒頭を飾る「Plus One」は彼らしい聴かせるラブソングなのですが、今風なエレクトロサウンドで味付けがされていますし、「告白」はアレンジもストリングスも入り歌詞を含めてベタでダイナミックな歌謡曲路線。PVをインドで撮影した「ソレデモシタイ」はどこかインド風なリズムも。「驚異の凡人」はエレクトロも入れたパンキッシュなナンバーになっていますし、「君の鼓動は君にしか鳴らせない」はストリングスやホーンセッションでスケール感のあるバラードナンバーに仕上げています。

特にカッコイイのが安室奈美恵とのコラボで話題になった「グロテスク」。どちらかというと安室奈美恵らしいEDMナンバーなのですが、やはりそのテンポのよいリズムがカッコイイ。平井堅、安室奈美恵ともに個性あるボーカリストなだけにしっかりそれぞれのキャラが立ったデュオを聴かせてくれます。

もっともバラバラな作風とはいってもいつもの彼らしいメロディーラインは全編に流れていますし、なによりその個性的なボーカルは健在。アルバム全体、バラバラという印象は受けるのですが、全体を貫く平井堅らしさがあるため、散漫という印象は受けません。またリリース期間が長かった影響もあり、シングル曲、タイアップ曲などインパクトある曲が多いこともこのアルバムの大きなプラス要素となっています。

また今回のアルバムに関しても歌詞もなかなかユニーク。例えば「魔法って言っていいかな?」では

「君を笑顔にする魔法はいくつか持ってるんだ
帰り道の 犬の鳴き真似 あの日の本音
君の寝言の話 そして大好きのキス」

(「魔法って言っていいかな?」より 作詞 平井堅)

と素朴ながらも恋人への愛情が伝わる素敵な歌詞が彼らしい感じ。

また不倫をテーマに歌った「ソレデモシタイ」もボディーソープを介した女性の心境を歌った歌詞がなかなかユニーク。サビ一発目にいきなり「チクショー!」というインパクトあるフレーズを持ってくるのもとても楽しい曲に仕上げています。

そんな感じで、様々な楽曲をアルバムの中で歌うことによって、平井堅はひとつのジャンルにとらわれることない、あくまでもポップシンガーだ、ということを強く主張しているようにも感じられたアルバムでした。久しぶりのアルバムなだけに名曲がたまっていたともいえるかもしれません。ともかく、はずれ曲なしの傑作アルバム。彼のシンガーとしての実力、またミュージシャンとしての実力も存分に感じられた1枚でした。

評価:★★★★★

平井堅 過去の作品
FAKIN' POP
Ken's Bar II
Ken Hirai 15th Anniversary c/w Collection '95-'10 ”裏 歌バカ”
JAPANESE SINGER
Ken's Bar III


ほかに聴いたアルバム

diverse journey/YEN TOWN BAND

正直言ってかなりビックリしました。YEN TOWN BAND、約20年半ぶりの新作。YEN TOWN BANDはもともと1996年公開の映画「スワロウテイル」の劇中バンドで、Charaと小林武史を中心に結成されたバンド。「Swallowtail Butterfly~あいのうた~」が大ヒットを記録し一躍話題となりました。その後、アルバム「MONTAGE」をリリースしましたが、もともと企画モノだっただけに活動はそれだけ。2003年に散発的に集まってライブをやったことがあったようですが、目立った活動はありませんでした。

それが昨年、突然復活ライブを実施。さらにはシングル2枚をリリースした後、ついにニューアルバムのリリースとなりました。この久々となるニューアルバム、ストリングスやシンセを用いた分厚いサウンドが良くも悪くも小林武史らしい楽曲。ただちょっとサイケな雰囲気もまじった楽曲が妙にCharaのボーカルとマッチしていました。またアルバム全体に漂う90年代っぽさもちょっと懐かしさを感じ、「Swallowtail Butterfly」をリアルタイムで聴いていた世代の心に響いてきそう。90年代のYEN TOWN BANDっぽさ・・・というかCharaっぽさがいい意味で残されたアルバムになっていました。

評価:★★★★★

Next One/GLIM SPANKY

男女2人組デゥオのフルアルバムとしてはメジャー2枚目となる新作。ルーツ志向の60年代70年代あたりのロックをJ-POP的なポピュラリティーを混ぜつつ聴かせるスタイル。ただこれは以前聴いたミニアルバムの時も感じたのですが、イメージ的には完全にSuperflyにかぶってしまいます。あえていえば松尾レミのボーカルがしゃがれ声でインパクトがあるかな、といった感じか。あと、Superflyに比べると若干グラムロックやガレージロックの色合いが強い点も特徴といえば特徴かも。ただそれでもどうしてもSuperflyの二番煎じという印象がぬぐえないのが残念なところ。もうちょっとなんとか彼女たちだけの個性を引き出してほしいところなのですが。

評価:★★★★

GLIM SPANKY 過去の作品
ワイルド・サイドを行け

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コメント

ポップ・シンガー、平井堅の本領が発揮された傑作ですね。

投稿: ひかりびっと | 2016年10月31日 (月) 10時07分

>ひかりぴっとさん
本当に、いいアルバムでした!

投稿: ゆういち | 2016年11月 1日 (火) 01時18分

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