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2016年10月22日 (土)

あの「アイドル」たちへ楽曲提供

Title:あかりの恩返し
Musician:町あかり

まるで昭和40年代か50年代からタイムスリップしたようなスタイルで昭和のアイドル歌謡を歌って話題のシンガーソングライター、町あかりのメジャー2枚目となるニューアルバム。今回は非常にユニークなコンセプトに貫かれた作品になっています。それは「町あかりが今まで影響を受けてきた歌手のみなさんに楽曲提供の依頼を受けたら」というコンセプトで曲を書き上げた全14曲。「まるでこんなヒット曲が本当にあったかのようなパラレルワールドへ貴方を誘います。」というコンセプトもなかなかユニークです。

そんなコンセプトに貫かれているため、アルバム全体の楽曲に統一感はありません。いかにもアイドル歌謡曲というナンバーも多い一方で、「あなた普通のサラリーマンでしょ?」はロックンロール風、「追いかけられる夢」はムード歌謡曲、「東京名物・人混み」は盆踊りとバラバラ。ただコンセプトがコンセプトなだけに、この楽曲のバラバラさが逆にアルバムの味になっているようにも思われました。

なお、どの曲が誰に向けて作られた曲なのかは公表されていないようなので(「誰に向けてつくられたのでしょうか」というクイズ企画が実施されているよう)、どの曲が誰向けなのか想像しながら聴くのもこのアルバムの楽しさ。私自身、昭和アイドル歌謡曲に全く詳しくないので、的外れの予想かもしれませんが、マイナーコードでアップテンポな「言ってもいいこと悪いこと」は中森明菜あたり?ちょっとメタ視点っぽい歌詞の「よくある質問Q&A」はキョンキョンといったところか?爽やかなお嬢様風の「ビビッドなおしゃべり」は岩崎宏美あたりを想像しましたし、最後を飾る「カラフルあげます」は松田聖子といった感じでしょうか。「あなた普通のサラリーマンでしょ?」はそのロックンロールな内容といい歌詞といい森高千里を想像したのですが、これはちょっと「昭和歌謡」の範囲外だから違いそう・・・。

そんな感じで最初から最後まで非常に聴いていて楽しいアルバムで、歌謡曲が光り輝いていた昭和のあの頃にタイプスリップした錯覚に陥るよう。なによりも彼女自身の昭和アイドル歌謡に対する愛情も感じるアルバムになっています。ただ一方で、前作同様、どうも気になるのがその歌詞。それなりにインパクトあるフレーズをもってきていてユニークではあるのですが、歌詞のインパクトばかりを重視していてちょっと上滑りしている感も否めません。

例えば「夜は早く寝て」はタイトルにもってくるのもなかなかインパクトあるフレーズなのですが、歌詞の内容としてはそれ以上何も言っておらず、正直、うーん、と思ってしまいます。「東京名物・人混み」あたりも忘れられないようなタイトルながらも、このタイトルをつかったサビと盆踊り風のメロディーラインがどうもチグハグ。いまひとつメロディーと歌詞が上手くリンクしていないように感じてしまいます。

聴いていて楽しいアルバムなのですが、この歌詞の部分がどうもひっかかってしまう点がマイナス。ちょっと残念に感じてしまいました。まあもっとも、それを差し引いても十分楽しいアルバムだとは思うのですが。

評価:★★★★

町あかり 過去の作品
ア、町あかり


ほかに聴いたアルバム

Quest/WHITE ASH

WHITE ASHがアプリゲームを題材としたアニメ「モンスターストライク」のタイアップ曲のみから構成した企画盤的要素が強いミニアルバム。前作「SPADE3」ではじめてきちんとWHITE ASHの曲を聴いて気に入ったですが、本作に関しては悪い意味で良くありがちな今時のギターロックバンドといったイメージを強く感じてしまって(特に1曲目の「Monster」)、「SPADE3」ほどははまれませんでした。とはいえ、「Mad T.Party (1865-2016) 」のような洋楽テイストの強いオルタナ系ギターロックはやはり魅力的。まあ、いかにもなタイアップ曲が並んだだめ、WHITE ASHの魅力を捉えきれていない、といったところなのでしょうか。

評価:★★★★

WHITE ASH 過去の作品
SPADE3

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