デビュー35年!
Title:香港的士-Hong Kong Taxi-
Musician:クレイジーケンバンド
デビュー以来、ほぼ1年に1枚のペースでアルバムリリースを続けるクレイジーケンバンド。今年もしっかりとアルバムをリリースしてきました。ただし今年リリースしたアルバムは純然たるニューアルバムではありません。今年は1981年に横山剣がクールスRCでデビューして35周年という記念すべき年。その35周年を記念して、彼が他のシンガーたちに提供したのセルフカバー作品が本作。タイトル「香港的士-Hong Kong Taxi-」からして94年に女性シンガー神崎まきに提供した楽曲だそうです。(余談だけど神崎まきって「GOOD DAY I・N・G」の人だよね。懐かしい~!ただ90年代ガールズポップシンガーのアイドル的な明るいイメージがあって横山剣のイメージとは合わないんですが・・・意外だ・・・)
他にもTUBEに提供した「タイムトンネル」、SMAPに提供した「退屈な日曜日」、和田アキ子に提供した「女ともだち」などもセルフカバー。さらにクレイジーケンバンドとしての新作が収録されているほか、終盤にはクレイジーケンバンドの前身、ダックテイルズ時代の曲や、さらにクールス時代の曲も収録されています。
さすがにこれだけ様々なシンガーへ提供した曲が並んでいるだけあってアルバムとしては非常にバラエティーに富んだ内容になっています。例えば野宮真貴とのデゥオになる「T字路」は軽快なレビュー風ですし、「オヤコのマーチ」は子ども向けのポップス。「アルゼンチン逃避行」はラテン調で哀愁たっぷりに聴かせますし、ダックテイルズ時代の楽曲「PLEASE」はドゥーワップを聴かせるオールドスタイルのアメリカンポップ。その内容は実にバラエティーに富んでいます。
ただ、これだけバリエーションあるが曲調があるにも関わらずその一方でアルバム全体にはちゃんと統一性が感じられます。もちろん横山剣がボーカルを取って、クレイジーケンバンドとして演奏しているからということもあるのでしょうが、なによりも個々の楽曲に横山剣の色がしっかりとついているから、というのが大きいのではないでしょうか。横山剣のライターとしての才能をあらためて感じさせます。
例えばその典型的な例が「欧陽菲菲」。あのグループ魂に提供した楽曲で、歌詞に人名を入れてくるあたり、完全なグループ魂の「ネタ」なのですが、クレイジーケンバンドとして歌うとしっかりクレイジーケンバンドの曲として聴かせてくれ、グループ魂的な「ネタ」な部分は聴いていてほとんど感じられません。
他の人に提供した楽曲だからということもあるのでしょうか、いつものクレイジーケンバンドの楽曲よりも、よりポップに感じられるアルバムになっていました。もっとも、楽曲全体にはいつもの彼ららしいエキゾチックなアジアンテイストも感じられ、しっかりとクレイジーケンバンドのアルバムとして成り立っているのは間違いありません。誰に提供したとしても横山剣の曲は横山剣の曲なんだな、という当たり前の事実を再認識させられる1枚でした。
評価:★★★★★
クレイジーケンバンド 過去の作品
ZERO
ガール!ガール!ガール!
CRAZY KEN BAND BEST 鶴
CRAZY KEN BAND BEST 亀
MINT CONDITION
Single Collection/P-VINE YEARS
ITALIAN GARDEN
FLYING SAUCER
フリー・ソウル・クレイジー・ケン・バンド
Spark Plug
もうすっかりあれなんだよね
ほかに聴いたアルバム
味の向こう側~入り口~/DJみそしるとMCごはん
毎回、「食」をテーマにユーモラスな脱力ラップを聴かせてくれるDJみそしるとMCごはん。今回は「あなたや私と味の関係」がテーマ。ユーモアセンスも感じられる軽い感じの脱力ラップが楽しめます。「食いモンドウ[苦手編]」では光浦靖子と森本レオという豪華ゲストが参加。ちょっとした対談形式になっていてなかなかユニーク。ラップが苦手でも間違いなく楽しめるユーモラスなポップチューンが並んでいました。
評価:★★★★
DJみそしるとMCごはん 過去の作品
ジャスタジスイ
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