爽やかなポップアルバム
Title:夏.インストール
Musician:神聖かまってちゃん
約2年ぶりとなる神聖かまってちゃんの新譜は全8曲入りとなるミニアルバム。まず率直に言って、あまり良くない意味でちょっと意外性を感じさせるアルバムでした。その理由としてはまず1曲目「きっと良くなるさ」。タイトルからして神聖かまってちゃんらしからぬ感じがするんですが、の子らしくそういう前向きなタイトルとは言っても・・・という展開を予想していました。が、残念ながら(?)楽曲の内容はストレートな前向きポップ。ネガティブな意味でいかにもなJ-POPなナンバーで正直、かまってちゃんらしからぬポップチューンはがっかりしたスタートでした。
もっともその一方ではかまってちゃんらしい狂気を感じる曲も収録されています。例えば
「ヤルきは
ねぇ!
ヤルきは
ねぇ!
ヤルきは そんなもんは
ないぴょん」
(「drugs,ねー子」より 作詞 の子)
なんて歌詞を歌いまくる「drugs,ねー子」なんかはその代表的なナンバーでしょうか。もっともこの曲は既発表曲のリメイクなのですが・・・。他にも、こちらは新曲なのですが、ひたすら「ごめん」と歌う「ロマンス」などもかまってちゃんらしい狂気は感じることが出来ます。
ただそんな狂気を感じさせる曲がありつつ、全体的にはポップな曲が多かったのが今回のアルバム。「天文学的なその数から」などもストレートなラブソングに仕上がっていますし、アルバム全体としてはポップな印象を強く感じる作風になっています。
シンセやピアノの音色を多用しつつ、しっかりと個性を感じさせるかまってちゃんらしいサウンドといい、所々に間違いなく狂気を秘めたような歌詞といい、神聖かまってちゃんらしい個性は強く感じます。ただフェス向けの音を奏でるだけの昨今のロックバンドと比べると、間違いなく強い個性は感じることの出来るアルバムだと思います。
ただ、神聖かまってちゃんのアルバムと考えると、あまりに爽やかなポップにまとまりすぎている印象を受ける作品だったと思います。そこらへんの普通のロックバンドのアルバムと考えると十分な傑作だったと思うのですが、かまってちゃんの新作、それも2年もインターバルをあけての作品と考えると、率直に言って物足りなさを感じました。
確かに名盤「友だちを殺してまで。」はの子の感情をあまりにもストレートに出したアルバム。その勢いがその後続くとは考えていませんでした。そういう意味でここまでおとなしくなってしまったのは想定の範囲内ではあるのですが・・・。ただやはりかまってちゃんにはもうちょっと衝撃を感じるアルバムを作ってほしい、という期待があるんですよね・・・。そういう意味で悪いアルバムではないのですが、どうしても物足りなさを感じてしまうアルバム。もう一歩の奮起を期待しているのですが。
評価:★★★
神聖かまってちゃん 過去の作品
友だちを殺してまで。
つまんね
みんな死ね
8月32日へ
楽しいね
英雄syndrome
ベストかまってちゃん
ほかに聴いたアルバム
アドベンチャーでぶっとばせ!/少年ナイフ
少年ナイフ2年ぶりの新作は少年ナイフ流HR/HM。ジャケット写真もどこぞのへヴィメタバンドを彷彿とさせます。そのため今回のアルバムはいつもの彼女たちの作品に比べてギターサウンドがよりへヴィーで分厚くなった印象が。ハードロックテイストが強い作品が並びます。もっともとはいっても基本的には少年ナイフ流。軽快でポップな作品がメインとなっており、基本的にはいつもの少年ナイフ。ちょっとへヴィーに味付けされた彼女たちの作品が楽しめるアルバムになっていました。
評価:★★★★
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