解散直前のアルバムか?(笑)
Title:ゅ13-14
Musician:UNICORN
前作のレビューでも書いたのですが、再結成後もコンスタントに活動を続け、また各自ソロ活動も並行して行うなど、ある意味理想的な活動を続けているUNICORN。そんな中リリースされた最新作は再結成直後のアルバム「シャンブル」以来のチャート1位を記録。人気の面でも理想的な状況が続いています。
そんな彼らの前作「イーガジャケジョロ」は意味のわからないアルバムタイトルもインパクトが大きかったのですが、「大人の遊び」という表現がピッタリ来るような、肩の力が抜けて自由度の高いアルバムになっていました。約2年5ヶ月ぶりとなる今回の新作は、その路線をさらに突き進めたようなアルバムになっています。
今回のアルバムもまた5人のメンバーがそれぞれ作曲を担当し、ボーカルもバラバラ。まあそのこと自体は別に昔からなので珍しくもないのですが、前作から引き続きバンドのメインライターである奥田民生の楽曲及び彼のボーカル曲が半数以下という内容に。前作「イーガジャケジョロ」同様、奥田民生やABEDONこと阿部義晴といったいままでのUNICORNでメインライターとして活躍していたメンバー以外の活躍が目立つアルバムになっていました。
さらにそれぞれのメンバーが好き勝手に楽曲を制作しています。奥田民生は彼らしいルーツ色の強いロックが多いのですが、ソロ作以上にユーモラスさを感じさせるナンバーに。ABEDONは楽曲の中にいきなりサンバが登場してくる「サンバ de トゥナイト」やスケール感あるハードロックながらも歌っている内容は単なるたい焼きという「TEPPAN KING」といったユーモラスなナンバー。手島いさむの「オーレオーレパラダイス」や「僕達の旅路」はいずれも歌謡ロック。EBIは自らの端整なボーカルを生かしたメロディアスで聴かせるナンバーを歌い上げたかと思えば、川西幸一はニューオリンズ風の「マッシュルームキッシュ」、ブルースハープが軽快な「フラットでいたい」いずれもブルース調のスタイルを取り入れつつ軽快で楽しいナンバーに仕上げています。
メンバーそれぞれが好き勝手に楽曲を制作した結果、はっきりいってアルバム全体に統一感がほとんどありません。むしろアルバム全体がバラバラというのがこのアルバムの大きな魅力に感じられるほどです。このメンバーそれぞれが好き勝手に楽曲を持ち込んで統一感ないアルバムを作り上げるというスタイルは解散直前のバンドによくあるパターン。実際彼らも、93年の解散直前にはメンバー全員がソロシングルをリリースした上にメンバーそれぞれのソロ楽曲を収録したEBI奥田阿部西川手島名義の「UNICORN」なるアルバムもリリースしています。
そのため、彼らの活動について何も知らない人が聴いたらともすれば「これでUNICORNは解散か?」なんて誤解すら抱いてしまうそうなアルバム(笑)だったと思います。もっとも楽曲によっては作詞作曲を手掛けたメンバーとは別のメンバーがボーカルを手掛けていたり、バンドとしてしっかり一体感ある演奏が収録されている点、解散とは皆無。ある意味、解散、ソロ活動を経てメンバーそれぞれがキャリアを築き上げた今だからこそリリースできるUNICORNにしかリリースできないアルバムだったと思います。
前作同様「大人の遊び」で作り上げた傑作アルバム。多分彼らはこれからもソロでの活動を続けながら、こういう大人の余裕を感じるアルバムをリリースし続けるんだろうなぁ。UNICORNが今の日本の音楽シーンで唯一無二の存在であることを感じさせる作品でした。
評価:★★★★★
ユニコーン 過去の作品
シャンブル
I LOVE UNICORN~FAN BEST
URMX
Z
ZII
Quarter Century Single Best
Quarter Century Live Best
イーガジャケジョロ
| 固定リンク
「アルバムレビュー(邦楽)2016年」カテゴリの記事
- ファンによる選曲がユニーク(2016.12.27)
- パンクなジャケット写真だけども(2016.12.24)
- バンドの一体感がさらに深化(2016.12.23)
- 初のフルアルバムがいきなりのヒット(2016.12.20)
- 10年の区切りのセルフカバー(2016.12.17)
コメント