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2016年9月 5日 (月)

へヴィーなリリックをポップにコーティング

Title:グランドスラム
Musician:般若

昨年夏、敬愛する長渕剛のオールナイトライブに参加し話題となった般若。そんな彼の約2年ぶりとなる新作。般若がうさぎの着ぐるみをかぶっているジャケット写真もなかなかユーモラスなのですが今回のアルバムもそんな般若がうさぎのきぐるみをかぶっているかの如く、毒舌を吐きまくりながらもポップでコーティングされているアルバムになっていました。

その中でも一番ユニークだったのが「寝言」。PVも作成されており今回のアルバムのキーになるような曲なのですが、寝言にかこつけて般若が暴言を吐きまくる楽曲。その暴言の内容もユニークですし、なにより暴言を寝言という形でエクスキューズするスタイルもユニーク。歌詞の内容はへヴィーなナンバーながらもユーモラスにコーティングしておりポップな感覚で聴ける作品になっています。

同じように「DA MA RE」もタイトル通り暴言をはきつつユーモラスにまとめあげている楽曲。タイトルも昔のヒット曲「DA YO NE」にかけてますよね・・・。「たちがわるい」のエロ歌詞もユニーク。また「ビビりながら」も暖かい街の風景を描写しつつ、その対比として孤独を描く歌詞の展開が実に胸に迫るナンバーになっています。どの曲も聴きやすいポップなスタイルにまとめつつ、胸にグサッと突き刺さるようなリリックが心に残ります。

そんなへヴィーなリリックの曲が並びつつ、一方では「月の真ん中」のような感謝を歌った明るいナンバーや「夢を言おう」のような前向きなナンバーもあったりして。アルバム全体としては自分のことやあるいは身の回りをテーマとしたような楽曲が多いのですが、彼の本音を歌ったへヴィーなリリックから明るい前向きなリリックまで幅があり、そのバリエーションを楽しむことが出来ます。

バラエティーに富んでいるという意味ではサウンドもそう。ロック風な「自己紹介」「覚悟完了」やエレクトロなアレンジの「スゲートコ」、80年代ディスコ風の「たちがわるい」までバリエーションは実に豊か。一定の水準以上のクオリティーを保ちつつも必要以上に小難しさを感じないポップで聴きやすい作風に仕上げています。

個人的には彼の日本語を一語一語丁寧にラップするスタイルも好印象。その結果、きちんとリリックの内容が、歌詞カードなどを見ずに伝わってきます。全体にどこかポップな雰囲気を感じさせるリリックやサウンドといい、いい意味で聴きやすいラップが実に魅力的なアルバムだったと思います。

彼の本音を綴った、暴言というスタイルとへヴィネスさとポップスさのバランスさも見事。いい意味で広い層にアピールできる内容だったと思います。般若というラッパーの魅力をしっかり伝えてくれる傑作でした。

評価:★★★★★

般若 過去の作品
ドクタートーキョー
HANNYA

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