あれから10年
Title:TIMELESS WORLD
Musician:コブクロ
約2年半ぶりとなるコブクロのニューアルバム。コブクロといえば約10年前にアルバム「NAMELESS WORLD」をリリースしミリオンセラーを記録。彼らのブレイクポイントのひとつとなりました。今回のアルバムタイトルは大ヒットしたそのアルバムから取られたもの。「音楽は時を超えていく」という意味があるそうで、この10年間を振り返りつつ作成されたアルバムだそうです。またジャケット写真も「NAMELESS WORLD」と対になる内容。初回盤に封入されている本作のジャケットフィルムを「NAMELESS WORLD」のジャケットにあわせると新たなデザインが楽しめる内容になっているとか。「NAMELESS WORLD」は真ん中に大きな丸の穴があいたようなジャケットでしたが、10年がたち、その「穴」を埋めたのが本作という意味もあるのでしょうか。
そんな訳で彼らにとっては一つの区切り。大きな意味を感じさせる今回のアルバムなのですが、本作の最大の特徴としてまず感じるのは楽曲のバリエーションの多さでした。例えば「Tearless」はエレクトロサウンドを基調にラテンのリズムやギターサウンドを入れてダイナミックにまとめあげている作品。イメージ的にはEXILEっぽさすら感じるナンバーになっています。「NO PAIN,NO GAIN」は布袋寅泰とのコラボ作。いままでも多くのミュージシャンとのコラボに挑んできた彼らだけにビックリはしませんでしたが、ギターが全面に押し出したロック色の強いナンバーに仕上がっており、このアルバムにバリエーションを加えていました。
ほかにもホーンやピアノが入って楽しく賑やかなレビュー風のナンバー「SNIFF OUT!」、タイトルそのまんま「42.195km」は大阪マラソンのテーマソング。マラソンを題材にしつつ大阪弁でつづった歌詞もユニークなのですが、楽曲もロックンロール風に挑戦と音楽の幅を感じます。
前作「One Song From Two Hearts」ではスケール感を出すための安直なストリングス導入が気になり、正直、本作に関してもその傾向はなきにしもあらずだったのですが、それ以上に音楽のバリエーションの広さを楽しめ、最後まで飽きさせない内容になっていました。10年間を振り返り、さらなる未来を志向するアルバムということでしたが、この幅広い音楽性というのは彼らがこの10年間で身に着け、成長してきた結果、というように感じました。
ただ一方ちょっと残念に感じたのはメロディーに関しては若干インパクトが薄く、これといったキラーチューンがなかったという点でした。もちろん15曲中11曲にタイアップがつくなど、もちろんいままで通り、コブクロらしいメロディアスなポップチューンが並んでいますし、「陽だまりの道」「未来」「奇跡」などといったシングル曲はもちろんそれなりにインパクトがあるのですが、「NAMELESS WORLD」に収録されていた「桜」や「ここにしか咲かない花」のような一度聴いたら忘れられないようなキラーフレーズには残念ながら出会えませんでした。
「音楽性の幅の広さ」というのは音楽活動を続け成長するにつれ身につけられるものですが、一方「メロディーのインパクト」というのはミュージシャン自身に勢いがないと産まれません。そういう意味で「NAMELESS WORLD」に比べると成長し続けいい意味で「ベテラン」になってきた一方、勢いは薄れてきた・・・彼らのこの10年を総括するとそういう風になってしまうのでしょうか?
ただベテランミュージシャンでも、いきなり再び勢いが出てきてインパクトあるメロディーラインを書いてくるケースも珍しくありません。その時、彼らが身につけた音楽性の幅広さがさらに生きてくるようにも思います。今後のコブクロの活動、この10年間で彼らが身につけてきたものがどのように生きてくるのか・・・注目したいところでしょう。
評価:★★★★
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One Song From Two Hearts
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