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2016年9月

2016年9月30日 (金)

あれから10年

Title:TIMELESS WORLD
Musician:コブクロ

約2年半ぶりとなるコブクロのニューアルバム。コブクロといえば約10年前にアルバム「NAMELESS WORLD」をリリースしミリオンセラーを記録。彼らのブレイクポイントのひとつとなりました。今回のアルバムタイトルは大ヒットしたそのアルバムから取られたもの。「音楽は時を超えていく」という意味があるそうで、この10年間を振り返りつつ作成されたアルバムだそうです。またジャケット写真も「NAMELESS WORLD」と対になる内容。初回盤に封入されている本作のジャケットフィルムを「NAMELESS WORLD」のジャケットにあわせると新たなデザインが楽しめる内容になっているとか。「NAMELESS WORLD」は真ん中に大きな丸の穴があいたようなジャケットでしたが、10年がたち、その「穴」を埋めたのが本作という意味もあるのでしょうか。

そんな訳で彼らにとっては一つの区切り。大きな意味を感じさせる今回のアルバムなのですが、本作の最大の特徴としてまず感じるのは楽曲のバリエーションの多さでした。例えば「Tearless」はエレクトロサウンドを基調にラテンのリズムやギターサウンドを入れてダイナミックにまとめあげている作品。イメージ的にはEXILEっぽさすら感じるナンバーになっています。「NO PAIN,NO GAIN」は布袋寅泰とのコラボ作。いままでも多くのミュージシャンとのコラボに挑んできた彼らだけにビックリはしませんでしたが、ギターが全面に押し出したロック色の強いナンバーに仕上がっており、このアルバムにバリエーションを加えていました。

ほかにもホーンやピアノが入って楽しく賑やかなレビュー風のナンバー「SNIFF OUT!」、タイトルそのまんま「42.195km」は大阪マラソンのテーマソング。マラソンを題材にしつつ大阪弁でつづった歌詞もユニークなのですが、楽曲もロックンロール風に挑戦と音楽の幅を感じます。

前作「One Song From Two Hearts」ではスケール感を出すための安直なストリングス導入が気になり、正直、本作に関してもその傾向はなきにしもあらずだったのですが、それ以上に音楽のバリエーションの広さを楽しめ、最後まで飽きさせない内容になっていました。10年間を振り返り、さらなる未来を志向するアルバムということでしたが、この幅広い音楽性というのは彼らがこの10年間で身に着け、成長してきた結果、というように感じました。

ただ一方ちょっと残念に感じたのはメロディーに関しては若干インパクトが薄く、これといったキラーチューンがなかったという点でした。もちろん15曲中11曲にタイアップがつくなど、もちろんいままで通り、コブクロらしいメロディアスなポップチューンが並んでいますし、「陽だまりの道」「未来」「奇跡」などといったシングル曲はもちろんそれなりにインパクトがあるのですが、「NAMELESS WORLD」に収録されていた「桜」や「ここにしか咲かない花」のような一度聴いたら忘れられないようなキラーフレーズには残念ながら出会えませんでした。

「音楽性の幅の広さ」というのは音楽活動を続け成長するにつれ身につけられるものですが、一方「メロディーのインパクト」というのはミュージシャン自身に勢いがないと産まれません。そういう意味で「NAMELESS WORLD」に比べると成長し続けいい意味で「ベテラン」になってきた一方、勢いは薄れてきた・・・彼らのこの10年を総括するとそういう風になってしまうのでしょうか?

ただベテランミュージシャンでも、いきなり再び勢いが出てきてインパクトあるメロディーラインを書いてくるケースも珍しくありません。その時、彼らが身につけた音楽性の幅広さがさらに生きてくるようにも思います。今後のコブクロの活動、この10年間で彼らが身につけてきたものがどのように生きてくるのか・・・注目したいところでしょう。

評価:★★★★

コブクロ 過去の作品
5296
CALLING
ALL COVERS BEST
ALL SINGLES BEST2
One Song From Two Hearts

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2016年9月29日 (木)

今週もRADWIMPSがらみが上位に?

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

「君の名は。」のヒットの影響でロングヒットを続けるRADWIMPSのアルバム「君の名は。」。今週は先週の2位からランクダウンしたものの、3位にランクインとベスト3をキープ。根強い人気を見せています。そしてRADWIMPSといえば今週2位初登場のAimer「daydream」にも微妙にからんでいます。これが4枚目のアルバムとなる女性シンガーの新作。アニメソング中心に活動を続けていましたが、本作ではロックバンドのミュージシャンたちが楽曲を提供。ONE OK ROCKのTakaにandropの内澤崇仁など、まあロケノン系が中心ですが豪華な作家陣が名前を並べています。そんな中、RADWIMPSの野田洋次郎もアルバムの中で1曲提供しており話題に。ちなみに2位はシングルアルバム通じて自己最高位。初動売上4万枚も前作「DAWN」の2万3千枚(4位)から大きくアップしており、サブカル系狙いの戦略は見事当たった模様です。

さてそんな中今週1位を獲得したのがKinki Kids「N album」。こちらもイエモンの吉井和哉、Base Ball Bearの小出祐介、THE BACK HORNの松田晋二など豪華なメンバーが参加。ただ個人的には堂島孝平が共同プロデューサーとして名前を連ねているなど活躍しているのがうれしいところ。初動売上13万枚は前作「M album」の13万3千枚(1位)から若干のダウン。

続いて4位以下の初登場盤。まず4位に森山直太朗「大傑作撰」がランクイン。そのままなタイトルですがデビュー15周年を記念してリリースされたベストアルバム。2005年にリリースしたベストアルバム「傑作撰2001~2005」以来のベスト盤となります。初動売上は2万1千枚。残念ながら2005年にリリースされた「傑作撰2001~2005」の10万7千枚(3位)からは大きくダウン。まあ10年前とはCDの売上状況がかなり異なりますが・・・。直近のオリジナルアルバム「嗚呼」の5千枚(13位)からは大きくアップ。アルバムのベスト10入りは、その前回のベスト盤以来、11年ぶりとなりました。

7位には女性シンガーソングライターMACO「love letter」がランクイン。初動売上は6千枚。前作「FIRST KISS」の1万2千枚(5位)から半減という厳しい結果となりました。

初登場最後の1枚は10位初登場女性アイドルグループベイビーレイズJAPAN「ニッポンChu!Chu!Chu!」。2枚目にしてアルバムとしては初のベスト10入り。ただし初動売上は5千枚で前作「自虎紹介」の6千枚(14位)よりダウンしています。

今週はもう1枚、ベスト10以下からの返り咲きが。8位にUP10TION「Summer go!」が先週のベスト50圏外から返り咲きを果たしています。これは今月17日から26日にかけて来日し、日本各地でイベントを実施した影響と思われます。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2016年9月28日 (水)

ついに・・・

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

「君の名は。」人気によりRADWIMPSの主題歌が上位にランクインし続けていますが、今週、ついに「前前前世」が1位を獲得しました。CD発売数・ダウンロード数・ストリーミング数(以下「実売数」)、Twitterつぶやき数、You Tube再生回数でいずれも1位獲得。ラジオオンエア数でも6位といずれも上位にランクインし、チャートイン13週目にして見事初の1位獲得となりました。

ちなみに「夢灯籠」は今週13位にダウンしてしまったのですが、「なんでもないや」は7位(先週5位)、「スパークル」は8位(先週7位)といずれもランクダウンはしているもののベスト10をキープ。特に実売数では前者は5位、後者は8位と好調をキープしており、映画を見た人がそのまま曲の購入につながっている、ある意味「ヒット曲」らしいヒットとなっています。

初登場最高位は2位初登場EXILE THE SECOND「WILD WILD WILD」。映画「スーサイド・スクワッド」日本版イメージ・ソング。タイトル通り、「ワイルド」な雰囲気を押し出したロッキンなエレクトロナンバー。実売数で2位、PCによるCD読取数7位、Twitterつぶやき数6位といずれも上位にランクイン。ラジオオンエア数のみ31位とちょっと低めになっています。ちなみにオリコンでは本作が今週1位獲得。初動売上3万3千枚で前作「Shut up!! Shut up!! Shut up!!」の3万2千枚(2位)から微増。

3位もBillboardチャートではロングヒットを続けています。元KARAのメンバーJY「好きな人がいること」が先週から引き続き3位をキープ。実売数4位、PCによるCD読取数及びYou Tube再生回数でも2位を記録。ちなみにオリコンでは30位にランクインしています。

続いて4位以下の初登場曲です。まず4位にaiko「恋をしたのは」がランクイン。アニメ映画「聲の形」主題歌。aikoらしい独特のグルーヴ感でねちっこく歌いあげるナンバー。実売数では12位だったのですが、ラジオオンエア数2位、PCによるCD読取数3位と上位にランクインしCD発売にあわせて先週の40位からランクアップし初のベスト10入り。昨今話題の「君の名は。」同様に話題のアニメ映画主題歌なだけにRADWIMPSのようなロングヒットに期待がかかるところなのですが、Twitterつぶやき数が12位とちょっと低めなのが気にかかるところです。オリコンでは初動売上2万7千枚で3位初登場。前作「もっと」の3万4千枚(3位)からはダウンしています。

6位初登場は松田聖子「薔薇のように咲いて 桜のように散って」。TBSテレビ系ドラマ「せいせいするほど、愛してる」主題歌。大人な雰囲気でピアノとストリングスバックに歌いあげるバラードナンバー。X JAPANのYOSHIKIが作詞作曲を手掛けたことでも話題になっています。ラジオオンエア数67位、PCによるCD読取数20位、Twitterつぶやき数57位と奮いませんでしたが、実売数では見事3位を記録してベスト10入り。PCによるCD読取数の順位は低めですが、iTunesチャートでも上位に入っているためダウンロードによる販売も多かった模様。オリコンでも初動売上1万5千枚で6位初登場。前作「永遠のもっと果てまで」の1万2千枚(11位)よりアップ。オリコンでのシングルのベスト10入りは、郷ひろみ・松田聖子名義で2000年にリリースした「True Love Story」以来、単独名義だと1997年の「私だけの天使~Angel~」以来という久々のチャートインとなりました。

9位には星野源「恋」が先週の13位からランクアップしベスト10入り。彼らしい暖かい雰囲気の軽快なポップチューン。本人も出演しているTBS系ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」主題歌。CDリリース予定は10月5日ですが、ラジオオンエア数3位、Twitterつぶやき数5位、You Tube再生回数3位を記録して、見事ベスト10入りを果たしています。

最後10位には宇多田ヒカル「道」がランクイン。先日リリースされたアルバム「Fantome」の1曲目に収録されているナンバー。サントリー天然水CDソング。実売数23位、Twitterつぶやき数29位ながらラジオオンエア数では見事1位を獲得して、先週の12位からランクアップし見事ベスト10入りを記録しています。

今週のHot100は以上。アルバムチャートは明日に!

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2016年9月27日 (火)

戦前の「インチキ」歌劇文化

まず今回は書籍の紹介から。

ここでも何度か取り上げた戦前のSP盤復刻を専門とするレーベル「ぐらもくらぶ」。今回紹介するのはその「ぐらもくらぶ」の音源と連動する形で発売されている書籍「ぐらもくらぶシリーズ」の最新刊「あゝ浅草オペラ 写真でたどる魅惑の『インチキ』歌劇」です。著者は小針侑起氏。若干29歳の若さながらも浅草オペラ研究の第一人者としてNHKや宝塚歌劇の時代考証も担当している新進気鋭の研究家だそうです。

本書で取り上げられている「浅草オペラ」とは大正時代に浅草を中心に熱狂的な支持を集めた和製オペレッタのムーブメントのことだそうです。「浅草オペラ」といってもオペラからは程遠く、副題として愛情込めてつけられた「インチキ」という肩書さながら、西洋文化を情報量が少ないながらも国内で懸命に模倣しつつも、大衆に受けいられれるように変容した独特の、良くも悪くも「泥臭い」、芸能文化が花開いた模様が描かれています。

「浅草オペラ」は「オペラ」と「ジゴロ」(あるいは「ごろつき」)の造語として誕生した、熱烈なファンを差す言葉としての「ペラゴロ」なる言葉まで生み出されるほどの人気を集めたものの、大正12年の関東大震災で浅草が事実上崩壊したことによりそのブームは終焉を迎えてしまいます。当時はある種の「際物」扱いされていたため語られる機会も少なかったようですが、今の芸能界にも確実にその影響を残している文化だそうです。

本作はそんな「浅草オペラ」を当時の写真をふんだんに用いて紹介した一冊。正統派な歴史本の中ではあまり語られることのないような大衆文化を、ある意味「裏」の部分まで赤裸々に紹介しており、その当時の庶民文化をあるがまま知れて非常に興味深いものがあります。戦争や思想統制、女性蔑視や芸能に対する賤視思想といった暗い影がありつつも西洋文化に対する積極的な取り込みや演劇に対する情熱、また「演劇」とは直接関係ないかもしれませんが、意外と自由な恋愛模様とそれに伴うスキャンダルなども描かれており当時の人々のたくましさ、明るさなども感じることが出来ました。

なにより写真を多用しているため当時の雰囲気も(白黒なのでわかりにくい部分がありつつも)感じされる部分が本書の大きなポイント。男性の立場としては、女優さんが、今の視点からしても意外とモダンでかわいらしいのが印象的でした(笑)。

また著者は「平成のペラゴロ」を名乗るほど熱狂的な浅草オペラのファンながらも、本書に関しては当時の情報を数多く収集し批判的に検討を加え非常に丁寧に浅草オペラ史を紡いでいっています。変な主観が混じることもなく、客観的な視点を保った冷静な論評も印象的。ネット社会で情報があふれかえっている時代に慣れた世代だからこその情報分析能力の高さを感じることも出来ました。

構成としては浅草オペラの概略を1章で紹介した後、2章以降で浅草オペラに絡む出来事の紹介を綴っています。登場する人物や当時の歌劇団の名前が複雑に入り組んでいて、正直ちょっとわかりにくい部分があったのは事実。もっともこれは著者の力量というよりは、それだけ当時の浅草オペラや歌劇界に様々な団体が乱立し、それらがくっついたり離れたり、紆余曲折があったためだと思われます。

個人的には「音楽史」的なイメージで本書を読みだしたのですが、正直、内容的には音楽の描写は少な目で「演劇史」的な位置づけの強い本でした。とはいえ当時の大衆文化を知ることが出来、最後まで興味深く読むことが出来ました。

Title:和製オペレッタの黎明 浅草オペラからお伽歌劇まで

で、こちらはそんな「浅草オペラ」の音源を紹介したぐらもくらぶの企画盤。まあこの企画盤に付随する形で発売されたのが上記の書籍なのですが・・・。当時の和製オペレッタや浅草オペラでも積極的に取り上げられたという、当時のおとぎ話を歌劇にした「お伽歌劇」が収録されています。

歌劇については洋楽風のフレーズと、浪曲、浪花節など和風のフレーズがチャンポンになっており、「慣れ親しんだお伽話をオペレッタにする」というスタイルも含め、当時、どのようにして洋楽が受容されていったかが良くわかります。

また庶民の様子をコミカルに描いた脚本からは当時の庶民の文化がよく伝わってきます。例えば親子の浅草での1日を描いた「浅草遊覧」では当時の娯楽の模様がよくわかりますし、「茶目子の一年 クリスマスの巻」などでは、当時から既にクリスマスにサンタクロースという風習が根付いていたのがちょっと驚かされます。ここらへん、「歴史」の観点からも非常に興味深く聴くことが出来ます。

他にも「ボンボン大将」などは軍隊をユーモラスにおちょくっており、時代ながらではながら一般大衆の軍隊へのちょっとシニカルな視点も感じることが出来ます。さらに「天保より大正」などは江戸時代の人がいきなり大正時代にあらわれて文明に戸惑わされる「タイムスリップ」物。この手のネタは藤子不二雄の漫画あたりにもよく登場してくるネタですが、この時代からそういうアイディアがあったのはちょっとビックリ。もっとも、今の時代なら「でも近代化されて遠い昔の私たちが持っていた大切なものを忘れてしまったね」的な現代文明への批判的なネタも織り込みそうなものですが、この曲では無邪気に文明開化を賞賛して終わっています。

今から聴くと正直、いろいろな面で拙さを感じる部分もあるのですが、それを差し引いても当時の文化を興味深く垣間見れることが出来て、非常に楽しめた作品でした。戦前の大衆文化に興味がある方、なにより日本史が好きな方にも上の書籍を含めてお勧めした内容。どちらもお腹いっぱいに満足行く作品でした。

評価:★★★★★

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2016年9月26日 (月)

幅広いジャンルに挑戦するものの・・・

Title:On My One
Musician:Jake Bugg

音専誌、特に「rockin'on」で顕著にみられるのですが、デビューアルバムを大絶賛して積極的に取り上げるものの2枚目や3枚目となるとほぼ無視。少しのインタビュー記事やCDレビューでチラッと取り上げてお終い。いままであんなに推していたのに??と感じるケースが多々あります。

デビューアルバム「Jake Bugg」が大プッシュされたイギリスのシンガーソングライター、Jage Buggについてもそんな感じ。前作「Shangri La」までは比較的プッシュされていたのですが3枚目となる本作については「え?いつのまに発売されていたの??」なんて思うくらい。本国イギリスではデビューアルバム「Jake Bugg」が最高位1位に対して「Shangri La」は3位、本作は4位と徐々にダウンしているものの、しっかりベスト10上位には食い込んでおり決して人気がなくなった訳ではありません。

そこらへん、少々音専誌の無責任さというか気まぐれさを感じて残念に思うこともありますが、今回のアルバムに関しては確かに少々音専誌からのプッシュが弱まった理由も正直わかるようにも思います。残念ながら1枚目、2枚目に比べてJake Buggの魅力が薄まっているように感じました。

その理由は簡単で最大の原因は今回のアルバムでいろいろなジャンルに手を広げているから。例えば「Never Wanna Dance」などはフィリーソウルっぽいナンバーになっていますし、「Bitter Salt」ではへヴィーでダイナミックなバンドサウンドも聴かせてくれます。「Ain't No Rhyme」などはちょっとHIP HOPな味付けさえ感じますし、「Livin'up Country」などは(ある意味タイトル通り?)カントリー風なナンバーに仕上がっています。

ここらへんの新しいタイプの曲に関しても出来は決して悪いわけではありませんが、彼らしいフォーク寄りのギターロックなナンバーと比べると個性は薄く、音楽の幅を広げるために無理やり挑戦した感は否めません。もちろん現状に満足せずに新たなジャンルに挑戦するというのはミュージシャンとして決して間違った方向ではないのですが、現状、残念ながら彼にとってプラスに働いている感じはしませんでした。

もっとも、とはいうものの1曲目でありタイトルチューンでもある「On My One」は彼らしいアコギメインに聴かせるナンバーですし、「Put out the Fire」も彼らしいポップなメロを軽快に聴かせてくれます。最後の「Hold on You」もいかにもイギリスらしいギターロックのナンバーで個人的には好み(笑)。Jake Buggの良さもきちんとアルバムの要所要所で感じることが出来ました。

そういう意味では確かに1枚目2枚目に比べて物足りなさは否めないものの、もうちょっと取り上げられてもいいアルバムなのでは?とも思ってしまいます。今回、手広く挑戦したジャンルが次のアルバムではきちんと花開けばおもしろいアルバムが出来るような感じもするのですが・・・。そういう意味では本作の評価は次回作以降に定まるのかもしれません。次回作が要注目といった感じでしょう。

評価:★★★★

JAKE BUGG 過去の作品
JAKE BUGG
SHANGRI LA


ほかに聴いたアルバム

1955年5月14日。映画「暴力教室」の主題歌としてビル・ヘイリーと彼のコメッツの「ロック・アラウンド・ザ・クロック」がビルボードチャート1位を獲得。いわゆるロックの最初のヒット曲として語られるこの曲が全米1位を獲得して昨年で60年が経過しました。そのいわばロック誕生60年を記念して「LET IT ROCK!」と題する企画が実施されたのですが今回紹介するのは、その企画に参加したレコード会社よりリリースされたロックの原点ともいえる曲をまとめたオムニバスアルバムです。

レット・イット・ロック!~ロックン・ロール60周年-ソニー・ミュージック編

まずソニーミュージック編。Elvis Presleyの「That's All Right」からスタートしています。

レット・イット・ロック!~ロックン・ロール60周年-ユニバーサル・ミュージック編

で、こちらはユニバーサルミュージック編。前述のロックンロール最初のヒット曲とされるBill Haley&His Comets「Rock Around the Clock」も収録されています。

レット・イット・ロック!~ロックン・ロール60周年-ユニバーサル・ミュージック編

で、最後がワーナーミュージック編です。

いわゆるビートルズ誕生以前のロックンロールの名曲を収録したオムニバスなのですがユニークなのはロックンロールのみならず、そのルーツとなった曲も収録している点。ブルースやR&B、カントリーやガールズポップ、さらにはNeil Sedakaのようなポピュラーミュージックのシンガーまで収録。ただどの曲もロックンロールにつながるような音楽性を感じることが出来、ロックンロールという音楽が様々なジャンルから影響を受けて成立したことがわかる興味深い選曲になっていました。ロックの原点を知るという意味でもうってつけのオムニバスアルバム。かなりのボリュームの内容ですが、ロックンロールの歴史を網羅的に知るのはうってつけの企画盤だと思います。

評価:どれも★★★★★

そしてさらにもう1枚。

The Strypes presents Let It Rock~Rock 'n' Roll 60th Anniversary

上のレコード会社別オムニバスがビートルズ以前のロックンロールを収録していたのに対してこちらはエルヴィス・コステロやTHE JAM、THE WHOなどビートルズ以降のロックバンドも収録。ジャンル的にはガレージロックがメインでレコード会社別オムニバスほど曲の幅はありませんが、The Strypesの原点となった曲ばかりでThe Strypes好きには間違いなくお勧めできるし、ガレージロックが好きならば間違いなく気に入りそうな曲ばかり。The Strypesのルーツを知るという意味でも、またガレージロックの歴史を知るという意味でも非常におもしろい企画盤でした。

評価:★★★★★

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2016年9月25日 (日)

「夏」をテーマに

Title:DREAMS
Musician:Czecho No Republic

メジャー4枚目となるCzecho No Republicの新作。2014年にリリースされたシングル「Oh Yeah!!!!!!!」がフジテレビ系アニメ「ドラゴンボール改」のエンディングテーマとなりスマッシュヒットを記録しましたがそれに続き本作にも収録されている「Forever Dreaming」が「ドラゴンボール超」のエンディングテーマに起用されて話題となりました。

今回のアルバム、ふた昔前くらいのAORやムード音楽あたりに起用されているようなジャケット写真が印象的ですが、そのイメージからもピッタリきそうな「夏」をテーマとしたコンセプチャルなアルバム。もともとシンセや打ち込みの爽快なサウンドが特徴的な彼らですが、「夏」をテーマとした本作はそんな彼らの特徴をフルに生かしたような爽快な楽曲が並んでいます。

特にその「ドラゴンボール」のエンディングテーマともなった「Forever Dreaming」はトランシーなサウンドが爽快なポップチューン。シングアロング的なコーラスが夏フェス的な雰囲気を醸し出しており、野外ライブで盛り上がりそうないかにも「夏」なナンバー。一方、「Born Again」などは裏打ちのリズムが軽快で盆踊りのような雰囲気を感じさせるリズミカルなナンバー。爽快というよりも夏祭りをイメージするような楽曲に仕上がっています。

そんな「夏」というテーマに狙いを定めたのがよかったのでしょうか、Czecho No Republicというといままでのアルバム、シンセを主導とした爽快なサウンドが楽しいものの、サウンドが軽すぎてちょっとインパクト不足というマイナスイメージがあったものの、今回のアルバムに関してはポップなメロがインパクトを持ってちゃんと耳にひっかかってくるような楽曲が並んでいました。

妙にチープなシンセの音が耳に残る「Dreamer」などもちょっとコミカルさがあって楽しいポップになっていますし、タカハシマイがボーカルを取る「ゴッホとジョン」もシンプルなポップソングなだけにメロが耳に残ります。「ヘンリー・ジョーと海の城」も洋楽テイストの強い軽快なポップチューンが楽しいナンバーに仕上がっていますし、タカハシマイがはじめて作詞作曲を手掛けた「Shiny Girl」もちょっと懐かしいAORの色合いも感じられる軽快なエレクトロポップで初挑戦としては及第点以上の出来になっています。

肝心のシングル曲「Forever Dreaming」のインパクトがいまひとつという点、彼らがブレイクしきれない要因なのかもしれませんが(苦笑)、いままでのアルバムに比べて一皮むけたようにも感じられる傑作アルバムでした。これまでお勧めするにはいまひとつ煮え切らないような印象を持っていた彼らでしたが、今後は断然注目したくなるミュージシャンに。野外ライブでも盛り上がるそうな曲も多いし、これからの活躍が楽しみです。

評価:★★★★★

Czecho No Republic 過去の作品
MANTLE
Santa Fe

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2016年9月24日 (土)

ミュージシャンKANの神髄

KAN 芸能生活29周年 全国29都道府県ツアー
【弾き語りばったり #29 責任者はテクニシャン】

会場 名古屋市芸術創造センター 日時 2016年9月16日(金)18:30~

Kan29

いままで何度もライブに足を運んだことがあるKAN。ただ彼のツアーは2種類あります。ひとつはバンドをひきいての通常のツアー。そしてもうひとつが彼が1人のみのピアノの弾き語りの演奏による「弾き語りばったり」と呼ばれるツアー。私が何度も足を運んだことがあるのは通常のツアー。「弾き語りばったり」については日程の都合があわなかったりチケットが確保できなかったりでいままで一度も足を運んだことがありませんでした。

そんな訳でようやく日程とチケットを確保してはじめて足を運んだ「弾き語りばったり」ツアー。ちなみにタイトルにやたら「29」が目立つのは、29という数字が彼が好きな素数だから(笑)。会場には18時過ぎに到着したのですが・・・まだ照明も照らされていないステージの上では既にKANちゃんが登場していてピアノの最後の調節をしていました(笑)。ファンはみんな承知のこととして各々、開演までの暇つぶしをしています。これ、以前から話は聴いていたのですがやはり少々シュールな光景。ライブの中のMCで「一人だけのステージで1曲目から緊張しないためにはどうすればよいのか考えて突き詰めた結果、最初からステージにいる」ことにしたそうで、「予定通り30分からはじまります」なんてちょっとしたMCもあったりしました。

で、その事前のアナウンス通り18時半ピッタリからライブがスタート。といってもステージ上にいるKANちゃんがちょっとだけ舞台袖に引っ込んですぐ出てきただけなのですが(笑)。最初は「50年度も」からスタート。さらに「まゆみ」とまずはおなじみの弾き語りナンバーからスタートしました。

ステージにはまさにピアノ1台というセット。そしてステージの後ろには白いスクリーンがかかっており曲にあわせて歌詞が表示されるという趣向となっていました。なんでも馬場俊英のライブで同じような趣向があり、今回取り入れたんだとか。弾き語りなのでもともと歌詞はわかりやすいのですが、より歌詞がはっきりわかるという意味ではなかなか良い演出だったように感じます。

この日はほぼ1曲毎にMCを挟んでの進行だったのですが、このMCが長い(笑)。でもバンドツアーの時と同じく非常にユニークなMCで会場をわかしていました。ただその一方、1曲1曲、楽曲の持つ意味や作った時の心境、音楽的な聴きどころなども解説してくれており、非常に興味深いものがありました。

例えば続いての「だいじょうぶI'm All Right」は3枚目のアルバムからの曲なのですが、彼は最初、歌詞は人に任せていたのですが、自分の思っていないことを歌うということに違和感が生じたらしく、自分で歌詞を書きだした一番最初期の曲ということだそうです。

その後「世界でいちばん好きな人」とまた弾き語りでおなじみの曲が続いたかと思えば、続いては「弾き語りばったり」ではおなじみらしいカバー曲のコーナー。これはKANちゃんの曲とそれの元ネタとなった曲を続けて演奏しているそうですが、この日は最新アルバムから「ポカポカの日曜日がいちばん寂しい」。この曲はもともとギターで作り始めたそうですが、結局いかにもピアノで作ったようなアレンジのナンバーになってしまったそうで、同じようにいかにもピアノで作ったようなアレンジの曲としてThe Beatlesの「Lady Madonna」、さらに結果として途中のフレーズがほとんど同じになってしまったBilly Joelの「Why Judy Why」と3曲続けての披露となりました。

さらに続いては邦楽曲のカバー。こちらは「今こそ歌い継がなければいけない」ということでASKAの「はじまりはいつも雨」。なんでもいままで邦楽を全く聴かなかった彼がこの曲に衝撃を受け邦楽を聴き始めたという曲だそうで、この曲を目指してつくったという「Moon」と2曲続けての披露となりました。

その後はこれまた弾き語りばったりのライブではおなじみというピンクカードのコーナー。これは開演前に観客がピンクのカードに書いたコメントについてKANがそのコメントに基づいてファンと話をするという、ファンならかなりうれしいコーナー。この日も3人が選ばれ、KANちゃんとカードのコメントにあわせて軽いトークをしました。ちなみにそのうちの1人は翌日の結婚式でチャットモンチーの「バスロマンス」を歌うという話。チャットモンチーの名前が聞けるとは思わなかった(笑)。つーか、そこまで若いファンもちゃんとついているんだなぁ、とも感じました。

ライブは終盤戦へ。ミスチル桜井が作詞した「安息」からライブは再開。さらに「REGRETS」「よければ一緒に」「Listen to the Music」、さらにはおなじみ「愛は勝つ」へと続きます。「REGRETS」では、これも歌詞を書き始めたばかりのころの曲ということで「When the night was hard to sleep」「I was walking on the wind」なんていう文法的に「?」な歌詞が登場するなんてネタを披露したり、「Listen to the Music」は途中のサックスソロを彼の口三味線(?)でユニークに披露してくれました。

本編ラストは「永遠」へ。開始前のMCでは「私のライブのラストは2段階になっております」なんてことを言いつつ「最後の曲です」としてスタート。そしてしんみりと聴かせた後、お決まりのアンコール。彼が袖に消えた・・・かと思えば、あっさりと再登場し、アンコールスタートとなりました。

アンコールはこれまた最新アルバムから「寝てる間のLove Song」をしんみり聴かせて終了。全2時間半。MCの時間が長かったので長さの割には曲数は少な目なのですが、あっという間のステージでした。コンサート終了後はまたアナウンスでツアータイトルとは異なるタイトルをアナウンスというおなじみの「ネタ」で終了しました。

はじめて「弾き語りばったり」に参加したのですが予想以上に楽しいライブでしたピアノ弾き語りのみだとひょっとしたらちょっと淡白に感じてしまうのでは?なんていう危惧もあったのですが、合間合間のMCがちょうどよいインパクトになっていて、最初は真面目一本調子のステージなのかな、と思ったのですが、そんなことは全くない、バンドツアーと同じくエンタテイメント性あふれるライブでした。

もちろん、「弾き語りばったり」はバンドツアーよりも音楽をより「聴かせる」という点に力を入れています。ピアノ一本での弾き語りはKANちゃんの書く曲の歌詞やメロディーの良さをより際立って感じることが出来ます。そういう意味ではミュージシャンKANの神髄を感じることが出来る・・・といっても大げさではないでしょう。特に途中のMCでは曲に関するエピソードも満載で音楽的にも非常に興味深いステージでした。

この日のMCで、次は弦楽四重奏をバックとしたライブを企画しているそう・・・これも非常におもしろそうです。KANちゃんのライブ、また近いうちに足を運びたいです!あっという間の2時間半でした。

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2016年9月23日 (金)

ROVOと宇宙の旅

Title:ROVO selected 2008-2013
Musician:ROVO

ROVO結成20周年を記念してリリースされたベスト盤。今回は「NUOU」(2008年)、「RAVO」(2010年)、「PHASE」(2012年)の3枚のオリジナルアルバム、ROVO and System 7としてリリースされた「Phoenix Rising LP」(2013年)、さらにはライブアルバム「LIVE at MDT Festival 10th Anniversary 2012」の中から6曲がセレクトされています。

2009年には同じくベストアルバム「ROVO Selected 2001-2004」がリリースされていますのでそれ以来のベスト盤・・・とすると2005年から2007年は「抜け」ということになるのでしょうか。2006年にリリースされたアルバム「CONDOR」の曲は収録されていません。もっともこのアルバム、長尺曲3曲のみなのでベスト盤に収録しにくいという事情があるのかもしれませんが・・・。

ただこの時期のアルバムで区切ったというのはROVOとしても2008年から2013年で一つの区切りと感じているからかもしれません。今回のアルバムに収録された曲に関しては非常に雰囲気の似たものを感じました。それは一言で言うとスペーシーな雰囲気。もちろんそれ以前のROVOの作品もスペーシーな雰囲気は強く感じるのですが、まるでROVOと一緒に宇宙を旅しているような感覚に、より強く陥ることが出来る曲が並んでいるように感じます。

そう感じられる大きな要因として今回のアルバムに収録されている楽曲、ダイナミックなバンドサウンドの中、バイオリンが主軸となるメロディーを奏でるというスタイルで統一されているのですがそのバイオリンの音色が哀愁感を帯びてメロディアス。「ROVO Selected 2001-2004」の楽曲ではバイオリンの奏でるフレーズに歪みのようなものを感じてそれがおもしろさでもあったのですが、今回のアルバムに関してはともすればポップスさすら感じられるメロディーをストレートに奏でています。

特に特徴的なのが「BATIS」「MELODIA」。優雅さや哀愁感すら感じれるメロディーラインが印象的。もちろん同時に奏でられるドラムスやパーカッションのリズムを主軸としたダイナミックなバンドサウンドもリスナーに高揚感を与えていますが、これらの曲を含め、メロディーラインが素直だからこそ高揚感あるサウンドに素直に身を任せられる楽曲が並んでいました。

またこの手のベスト盤で珍しくライブアルバムからの曲も収録されているのが大きな特徴。それが最後に収録されている「SINO DUB」。2012年の日比谷野音でのライブの模様を収録しているのですが観客の歓声も比較的はっきりと収録されており会場の雰囲気も伝わってきます。こういうライブ音源をベスト盤の中に入れてくるあたり、ライブバンドとしての自信と誇りを持っているということなのでしょう。

ROVOの入門盤としてもピッタリの今回のベストアルバム。あらためてここ数年の彼らの活動を振り返るという意味でも最適なアルバムだと思います。彼らと一緒に音で宇宙の旅に出かけられるようなそんなアルバムでした。

評価:★★★★★

ROVO 過去の作品
NUOU
ROVO Selected 2001-2004
RAVO
PHOENIX RISING
(ROVO×SYSTEM7)
PHOENIX RISING LIVE in KYOTO(ROVO×SYSTEM7)
Phoenix Rising LP(ROVO and System7)
LIVE at MDT Festival 2015

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2016年9月22日 (木)

新譜ラッシュ

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週は初登場組が非常に目立つチャートとなりました。

まず1位を獲得したのはEXILE系でおなじみのLDH所属の女性アイドルグループFlowerのベスト盤「THIS IS Flower THIS IS BEST」が獲得。シングルアルバム通じて初となる1位獲得となりました。初動売上は8万7千枚。前作「花時計」の5万7千枚(2位)よりアップしています。

2位は先週から引き続きRADWIMPS「君の名は。」がランクイン。売上4万枚は先週の4万8千枚から若干のダウンにとどまっています。映画のヒットにあわせて本作の人気もまだまだ続きそう・・・。

3位初登場はナオト・インティライミ「Sixth Sense」。タイトル通り6枚目となるアルバムです。初動売上は2万9千枚。直近のベスト盤「THE BEST!」の5万7千枚(3位)からはダウンしていますが、オリジナルとしては前作となる「Viva The World!」の2万枚(2位)からはアップしています。

続いて4位以下の初登場です。まず4位にはGReeeeN「縁」がランクイン。今年、デビュー10周年を迎えた彼らの2年ぶりとなるニューアルバム。タイトルがいかにもGReeeeNらしいのですが(苦笑)、前作「今から親指が消える手品しまーす。」のように、「これ、面白いと思ってるの??」的なイタイタイトルのアルバムが多かっただけに、かなり「まとも」なタイトルという印象が・・・。初動売上は2万8千枚。直近作はベスト盤「C、Dですと!?」でこちらの3万8千枚(2位)からダウン。前述の前作の初動3万3千枚(2位)からもダウンしています。

5位にはロックバンド04 Limited Sazabys「eureka」が入ってきました。メジャー2作目でアルバムでのランクインはこれが2作目。またシングルアルバム通じて初のベスト5入りとなりました。初動売上1万9千枚も前作「CAVU」の7千枚(6位)から大幅アップしており、人気急上昇中の彼ららしい結果となりました。

6位7位にはBABYMETAL「BABYMETAL-来日記念盤-」「METAL RESISTANCE」がそれぞれランクイン。今月19日20日の東京ドームライブにあわせてリリースされた過去作のリメイク。「BABYMETAL」はオリジナルとは異なる映像特典が収録されたため、チャート上、オリジナルとは別作としてカウントされたたため、これが初登場。一方、「METAL RESISTANCE」は初回盤の再プレスということで「来日記念盤」という位置づけながらもチャート上、オリジナルと同一作としてカウントされているようで、先週の158位からランクアップしベスト10返り咲きという形式になるようです。

8位にはさだまさし「御乱心~オールタイム・ワースト~」が入ってきました。2013年にオールタイムベスト「天晴~オールタイム・ベスト~」をリリースした彼ですが、こちらはそれと対照となる「珍曲」のみをセレクトした「ワースト」アルバム。ベストとは異なるさだまさしの違う一面を感じられるアルバムだそうです。初動売上は1万2千枚。そのベスト盤「天晴」の初動3万7千枚(7位)からはさすがにダウン。直近のオリジナルアルバム「風の軌跡」の1万3千枚(8位)からも若干ダウンしているものの、ある種マニア向けのアルバムながらも大健闘の結果に。さすが根強いファンがついているといった印象を受けます。

9位はくるりのベスト盤「くるりの20回転」がランクインです。結成20周年を記念してリリースされた3枚組のオールタイムベスト。ただベスト盤としてはこれが3枚目となり、前のベスト盤「ベスト オブ くるり / TOWER OF MUSIC LOVER 2」から5年ぶりとはいえ、その間にリリースされたオリジナルアルバムは2枚のみということで初動売上1万枚と、先のベストアルバムの1万9千枚(8位)からダウン。直近のEP盤「琥珀色の街、上海蟹の朝」の1万1千枚(7位)よりもダウンしており、売上的には伸び悩みました。さすがにレア音源なども特に収録されていないし、私も買おうかどうか迷っただけに今回はスルーしたファンも多かったんでしょうね。とはいえ結局買ってしまいましたが・・・。

最後10位にはSuperfly「Good-bye」が初登場でランクインです。この作品、一応公式的には「シングル」ということですが、彼女が主題歌を手掛けた映画「闇金ウシジマくん」シリーズのタイアップ曲を収録。全7曲入りということからオリコン的にはアルバム扱いになったようです。初動売上は9千枚。シングルとして前作は「黒い雫 & Coupling Songs:'Side B'」で初動3万4千枚。こちらもやはりカップリング曲集がついてきた影響でアルバムチャート2位にランクインしています。ちなみに今週のオリコンシングルチャートにもしランクインしていたとしたら、シングルチャートでも売上は10位相当という結果となっています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2016年9月21日 (水)

引き続き「君の名は。」旋風吹き荒れる

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

相変わらず強いRADWIMPS・・・というよりも映画「君の名は。」の影響なのでしょうが今週も先週に引き続き4作同時ランクイン。「前前前世」が先週から変わらず2位でこれで3週連続の2位。「なんでもないや」も先週に引き続き5位。「スパークル」も先週から変わらず7位。「夢灯籠」が7位から9位にダウン。特に「前前前世」はTwitterつぶやき数、You Tube再生回数で共に1位を獲得しており、その人気は衰えるところを知りません。

一方今週1位を獲得したのは嵐「Power of the Paradise」が獲得。日テレ系のリオデジャネイロオリンピック中継のテーマ曲。ちょっとラテンのリズムが入っているあたりブラジルを意識した感じ。先週の56位からCD発売にあわせて一気に1位獲得。CD売上・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)で1位を獲得した他、PCによるCD読取数でも1位を獲得しています。オリコンでももちろん初登場1位。初動売上42万2千枚は前作「I seek」の73万7千枚(1位)から大きくダウンしていますが、これはCDのリリース形態が3種から2種に減った影響が大きい模様。ただし同じく2種類での発売だった前々作「復活LOVE」の48万5千枚(1位)よりダウンしています。

3位には元KARAのメンバー、JY「好きな人がいること」が先週の6位からランクアップで2週ぶりにベスト3返り咲き。実売数4位、PCによるCD読取数6位と好成績。またYou Tube再生回数2位というのもベスト3入りに大きく寄与しています。オリコンでは今週26位とベスト10から大きく下回っているものの、iTunesチャートでは上位にランクインしておりダウンロードでの売上が大きく影響している模様です。

続いて4位以下の初登場曲です。まず4位にONE OK ROCK「Taking Off」がランクイン。小倉旬主演の映画「ミュージアム」主題歌。配信限定でのリリースとなります。実売数で3位にランクインした他、Twitterつぶやき数で8位にランクイン。ただラジオオンエア数は圏外となっており、この手のバンドとしてはちょっと残念な結果に。先週の46位からランクアップし、ベスト10入りしました。

6位にはAqours「夢で夜空を照らしたい」が入ってきています。アニメキャラによるアイドルプロジェクト「ラブライブ!サンシャイン!!」に登場するアイドルユニット。本作はアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」挿入歌となっています。実売数5位、PCによりCD読取数2位となっておりCDでの発売が多かったことがわかります。一方ラジオオンエア数は圏外で一部のファンのみに訴求した売上ということが見て取れます。オリコンでは初動3万6千枚で2位初登場。前作「ユメ語るよりユメ歌おう」の4万枚(3位)よりダウン。

初登場最後は10位に山下達郎「CHEER UP! THE SUMMER」が入ってきました。フジテレビ系ドラマ「営業部長 吉良奈津子」主題歌。ヤマタツらしい爽やかなサマーポップ。先週の42位からCD発売にあわせてランクアップしベスト10入りしています。ただ実売数は19位とさほど奮わず。ラジオオンエア数が3位と上位に入って来たため順位を押し上げました。オリコンでは初動売上9千枚で8位初登場。直近のシングルは「クリスマス・イブ(30TH ANNIVERSARY EDITION)」でその初動1万9千枚(10位)よりダウン。ただし、純然たる新曲としてのシングルの前作「光と君へのレクイエム」の7千枚(10位)からはアップしています。

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート!

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2016年9月20日 (火)

今のシーンに対するくるりからの回答

Title:琥珀色の街、上海蟹の朝
Musician:くるり

くるりの新作は6曲入りのEP盤。このアルバムで話題となったのが表題曲である「琥珀色の街、上海蟹の朝」でしょう。HIP HOPの要素を取り入れて、かつシティポップ風に仕上げたトラックがいつものくるりのイメージと異なり大きな話題となりました。

これが驚きであるひとつの理由は、くるりはブラックミュージック的要素が少ないバンドであるから。実際、インタビューで岸田繁が「くるりはブラックミュージックを要素を(あえて)入れないバンド」と答えていますし、事実、ブルースやソウル、ファンクといった要素をくるりの音楽からほとんど感じることはできません。岸田繁自体、各種インタビューやコラムなどでブラックミュージックに対するコメントはあるものの、正直言ってどちらかというとポピュラーミュージックの「教養」的に聴いているイメージが強く、おそらくそれほど好きなジャンルではないんだろうなぁ、ということを漠然とですが感じていました。

そういう経緯もあるだけに今回の「琥珀色の街、上海蟹の朝」については少々唐突感もあります。実際、最近の状況として例えばceroが注目を集めたり、星野源がブラックミュージック的要素の強いアルバムをリリースしてきたりとシティポップがにわかに注目を集めてきたりしています。今回の楽曲についてはくるりとしてのそういったシーンに対する回答という意味もあるのでしょう。ただその上で思うのはHIP HOPというスタイルをふくめて「いまさら、くるりがこれ??」といった印象でした。

いや楽曲としては間違いなく非常によくできています。ほどよく入れられたエレピの音色が心地よく、HIP HOPテイストが強い一方、くるりらしいバンド感もしっかりと残しています。なによりも途中のストリングスの入りが絶妙な感じ。シティポップ風ながらもストリングスの使い方といい微妙に黒くなりすぎず、爽やかなテイストを残した感じに仕上げてきています。

ただもし半年くらい前のリリースながら文句なしに「すごいぞ、くるり」になっていたような感じもするのですが、ある程度シーン全体として盛り上がってきている今の段階になって、若干いまさら感があります。なによりブラックミュージックの要素を強く入れつつも、熱っぽさに欠ける一歩引いた雰囲気に、くるりらしいといえばくるりらしいのですが、ブラックミュージック的な視点から見た時にちょっと物足りなさも感じました。

それ以外の曲に関してはシティポップ的な要素はほとんどなく、「Hello Radio」はフォーク風、「Radio Wave Rock」はへヴィーなギターリフのハードロック風とくるりらしい楽曲になっており、ブラックミュージックの要素はありません。シティポップ的な楽曲が「琥珀色の街~」1曲で終わっているところも、「なんとなくやってみました」感を覚えて違和感がありました。

もちろん楽曲自体はくるりらしい高いクオリティーを保った楽曲が並んでおり、彼らの実力を感じるという点は間違いありません。そういう意味で純粋に楽曲的には傑作だったとは思います。ただ・・・どうも本作に関して感じる違和感はぬぐえず・・・ある意味、いままでのくるりからもちょっと感じる部分があった頭でっかちな部分が悪い意味で前に出てきちゃったのかなぁ。ちょっと残念な作品でした。

評価:★★★★

くるり 過去の作品
Philharmonic or die
魂のゆくえ
僕の住んでいた街
言葉にならない、笑顔を見せてくれよ
ベスト オブ くるり TOWER OF MUSIC LOVER 2
奇跡 オリジナルサウンドトラック
坩堝の電圧
くるりの一回転
THE PIER
くるりとチオビタ

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2016年9月19日 (月)

解散直前のアルバムか?(笑)

Title:ゅ13-14
Musician:UNICORN

前作のレビューでも書いたのですが、再結成後もコンスタントに活動を続け、また各自ソロ活動も並行して行うなど、ある意味理想的な活動を続けているUNICORN。そんな中リリースされた最新作は再結成直後のアルバム「シャンブル」以来のチャート1位を記録。人気の面でも理想的な状況が続いています。

そんな彼らの前作「イーガジャケジョロ」は意味のわからないアルバムタイトルもインパクトが大きかったのですが、「大人の遊び」という表現がピッタリ来るような、肩の力が抜けて自由度の高いアルバムになっていました。約2年5ヶ月ぶりとなる今回の新作は、その路線をさらに突き進めたようなアルバムになっています。

今回のアルバムもまた5人のメンバーがそれぞれ作曲を担当し、ボーカルもバラバラ。まあそのこと自体は別に昔からなので珍しくもないのですが、前作から引き続きバンドのメインライターである奥田民生の楽曲及び彼のボーカル曲が半数以下という内容に。前作「イーガジャケジョロ」同様、奥田民生やABEDONこと阿部義晴といったいままでのUNICORNでメインライターとして活躍していたメンバー以外の活躍が目立つアルバムになっていました。

さらにそれぞれのメンバーが好き勝手に楽曲を制作しています。奥田民生は彼らしいルーツ色の強いロックが多いのですが、ソロ作以上にユーモラスさを感じさせるナンバーに。ABEDONは楽曲の中にいきなりサンバが登場してくる「サンバ de トゥナイト」やスケール感あるハードロックながらも歌っている内容は単なるたい焼きという「TEPPAN KING」といったユーモラスなナンバー。手島いさむの「オーレオーレパラダイス」「僕達の旅路」はいずれも歌謡ロック。EBIは自らの端整なボーカルを生かしたメロディアスで聴かせるナンバーを歌い上げたかと思えば、川西幸一はニューオリンズ風の「マッシュルームキッシュ」、ブルースハープが軽快な「フラットでいたい」いずれもブルース調のスタイルを取り入れつつ軽快で楽しいナンバーに仕上げています。

メンバーそれぞれが好き勝手に楽曲を制作した結果、はっきりいってアルバム全体に統一感がほとんどありません。むしろアルバム全体がバラバラというのがこのアルバムの大きな魅力に感じられるほどです。このメンバーそれぞれが好き勝手に楽曲を持ち込んで統一感ないアルバムを作り上げるというスタイルは解散直前のバンドによくあるパターン。実際彼らも、93年の解散直前にはメンバー全員がソロシングルをリリースした上にメンバーそれぞれのソロ楽曲を収録したEBI奥田阿部西川手島名義の「UNICORN」なるアルバムもリリースしています。

そのため、彼らの活動について何も知らない人が聴いたらともすれば「これでUNICORNは解散か?」なんて誤解すら抱いてしまうそうなアルバム(笑)だったと思います。もっとも楽曲によっては作詞作曲を手掛けたメンバーとは別のメンバーがボーカルを手掛けていたり、バンドとしてしっかり一体感ある演奏が収録されている点、解散とは皆無。ある意味、解散、ソロ活動を経てメンバーそれぞれがキャリアを築き上げた今だからこそリリースできるUNICORNにしかリリースできないアルバムだったと思います。

前作同様「大人の遊び」で作り上げた傑作アルバム。多分彼らはこれからもソロでの活動を続けながら、こういう大人の余裕を感じるアルバムをリリースし続けるんだろうなぁ。UNICORNが今の日本の音楽シーンで唯一無二の存在であることを感じさせる作品でした。

評価:★★★★★

ユニコーン 過去の作品
シャンブル
I LOVE UNICORN~FAN BEST
URMX
Z
ZII
Quarter Century Single Best
Quarter Century Live Best

イーガジャケジョロ

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2016年9月18日 (日)

幅広い音楽性で楽しく

Title:Multimodal Sentiment
Musician:カーネーション

約4年ぶりとなるカーネーションの新作。毎回、いわゆる「通受け」しそうな非常にクオリティーの高いポップソングを歌っている彼ら。そんな中、前作「SWEET ROMANCE」は肩の力が抜けたような作風が楽しいアルバムに仕上がっていました。それに対して今回のアルバムは肩の力が抜けたというよりきちんと作り込まれた作品に仕上がっているのですが、その中でも非常に楽しさを感じさせるようなアルバムに仕上がっていました。

軽快なリズムが鳴り響く「まともになりたい」はどこかコミカルさを感じさせる歌詞が楽しいギターロック。「続・無修正ロマンティック ~泥仕合~」は大森靖子とのデゥオによるナンバー。恋愛模様を野球の試合に例えたような歌詞も楽しく、哀愁感あふれるメロディーも含めていかにも歌謡曲的な雰囲気も魅力的なナンバーに。ラストの「メテオ定食」もまずタイトルからして楽しいナンバー。楽曲の中で鳴り響くシンセのリフもスペーシーで楽しいポップになっています。

そんな楽しさがアルバム全編に流れている中、アルバム全体でもうひとつのポイントとなっているのが楽曲のバリエーションの多さ。もともと彼ら自身、多彩な音楽性を持っているバンドなのですが、とても振れ幅の大きいサウンドもまたアルバム全体の楽しさの要因になっていました。

上で紹介した3曲だけでもバラエティー富んだ音楽性を感じるのですが、他にもシティポップ風の「いつかここで会いましょう」やダイナミックなギターロックの「Pendulum Lab」、エレクトロサウンドを取り入れた「アダムスキー」「Autumn's End」、さらに「Blank and Margin」はノイジーなギターサウンドがシューゲイザー風な作品に仕上がっており非常にバリエーション富んだ音楽性が楽しめるアルバムになっています。

メロディーラインに関しては意外とどこか憂いを帯びたような和風というか歌謡曲風なメロになっているのも特徴的。今回、Disc2としてインストバージョンを収録されているのですが、どの曲もあくまでもメロディーと歌詞があって成立する「ポップス」。そのため確かにインストバージョンで彼らのアレンジのおもしろさがより良くわかるものの、全体的には少々マニア向けで、熱心なファンではないとちょっと聴いていて辛いものがありました。

もっともそんな楽しいアルバムだとは思うのですが、楽曲的には良く言えば落ち着いた凝った、悪く言えば地味さも感じるサウンドはやはりどこか音楽マニア向けという印象も否めない部分はあるのも事実。よく、ロッキンオンジャパンに取り上げられているミュージシャンを「ロケノン系」と呼ばれたりするのですが、彼らはいかにもミュージックマガジンが好みそうな「ミューマガ系」。その印象は今回のアルバムでも変わりませんでした。

そんな訳でよくも悪くも卒なさを感じる部分はありつつ、アルバムとして傑作なのは間違いないでしょう。バリエーション富んだ作風で最後まで楽しめた1枚でした。

評価:★★★★★

カーネーション 過去の作品
Velvet Velvet
UTOPIA
SWEET ROMANCE


ほかに聴いたアルバム

Tシャツと私たち/ウカスカジー

ミスチルの桜井和寿と、EAST ENDのGAKU-MCによるユニットの2枚目となるアルバム。さすがにそれぞれの活動が忙しいためか事実上6曲入りうち1曲がインストというミニアルバムになっています。そしてどの曲も前向きで、かつ肩の力の抜けたポップソングが並んでいます。楽曲的にはどちらかというと最近リリースされたGAKU-MCのアルバムに近い部分もあるのですが、桜井らしいメロディーラインも要所要所に。ミスチルとは異なる軽い感じのポップソングが楽しめます。良い意味で2人にとっての課外活動になっているポップソングが楽しめる1枚です。

評価:★★★★

ウカスカジー 過去の作品
AMIGO

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2016年9月17日 (土)

よりわかりやすく

Title:ダブル
Musician:空気公団

ジャケット写真を見ると、いきなり6人組の大所帯バンドとなった空気公団。いつぞやのくるりやKIRINJIのようにいきなり3人メンバーを加えて6人組になったのか・・・??とビックリしたのですが、よくよく見ると、3人のメンバーがそれぞれ2人ずつ写っています。なるほど、「ダブル」だからか・・・(^^;;

さて、前作から1年5ヶ月ぶりとなる彼女たちの新作ですが、相変わらず空気公団らしい、決して派手ではないもののどこか心に染み入ってくるポップなメロディーラインが魅力的な作品になっています。ただその上で今回のアルバム、わかりやすくポップな作品が目立っていたような印象を受けます。

例えば典型的なのが「つながっている」。ゲストボーカルとして中村一義が参加しているのですが、まず彼の独特の声がシンプルな空気公団の世界観の中で異色に感じられます。楽曲もエレクトロのアレンジでメロディーもフックの効いたメロディーラインを聴かせるポップ。歌詞も前向きな歌詞とよくも悪くもわかりやすい曲になっています。

さらに「マスターの珈琲」もストリングスを入れたアレンジといい哀愁たっぷりのメロといい歌詞の内容といいかなりベタな歌謡曲路線。「僕にとって君は」もサビにあわせてストリングスを入れてスケール感を出したアレンジに、ちょっとJ-POPっぽさを感じました。

さらに今回のアルバムでもうひとつ感じた特徴。それはシティポップっぽい楽曲が多いという点でした。

まあもともと空気公団自体も広い括りで「シティポップ」と称されることもあるバンドですが、今回のアルバムは「あなたのあさ」の出だしなんか、ちょっと山下達郎っぽさを感じたり、「失ってしまった何ものか」なんかもちょっとブラックミュージックの要素を感じたり、さらに「ペン」などはピアノにジャジーな雰囲気を感じたりと要所要所にブラックミュージック的な要素を感じます。

こちらに関しては明確にシティポップというよりはいつもの空気公団に隠し味的に入れている感じなのですが、微妙に異なった雰囲気を感じることが出来ます。

前作「こんにちは、はじまり。」もフックの効いたメロディーラインの目立ったアルバムだったのですが今回もそれ以上にインパクトのあるメロが目立った「ポップ」なアルバムになっていたと思います。ただ、安定感あって安心して楽しめるポップスのアルバムなのは間違いないのですが、メロディーにインパクトを加えた結果、ちょっと大味になってしまったというか、昔の空気公団にような繊細さがちょっと薄れた感じもします。その点はマイナスなのですが・・・ただその点を差し引いても彼女らしさはしっかりつまった傑作アルバムになっていました。

評価:★★★★★

空気公団 過去の作品
空気公団作品集
メロディ
ぼくらの空気公団
春愁秋思
LIVE春愁秋思
夜はそのまなざしの先に流れる
くうきにみつる(くうきにみつる)
音街巡旅I
こんにちは、はじまり。

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2016年9月16日 (金)

ANARCHYはセルアウトしたのか?

Title:BLKFLG
Musician:ANARCHY

前作「NEY YANKEE」でなんとメジャーデビュー。ANARCHYについてはそれだけでも驚かされるのですが、さらにEXILEのHIROが総合プロジェクトをつとめているドラマ「HiGH&LOW」に出演。アンダーグラウンド的なイメージが強かった彼が非常に「芸能界」的存在であるEXILEとからむということで、個人的にもかなり驚きました。

そのメジャーデビュー作「NEW YANKEE」はいままでの彼の作品と比べるとかなりポップに走った作品。駄作とまではいわないものの「凡作」というイメージが強い作品になってしまっていました。また、今回のEXILEドラマへの出演とあわせて、どうしても「セルアウト」というイメージも強くなってしまいます。

おそらくそのような批判は彼の耳にも入ったのではないでしょうか。今回のアルバムに関しては現在の自分の状況に対しての決意表明、反論のようなリリックが目立ちます。

「誰にもガタガタ言わせない ほら
いい音楽が流れる場所があるだけで
まずありがとう
クラブ 野外フェス 街角
だって楽しんだもん勝ちでしょ」

(「CRADLE TO THE GRAVE feat.MIGHTY CROWN」より 作詞 Mighty Crown(Masta Simon&Sami-T)/ANARCHY)

「なんて言われてもいい
好きな事ばっかやってる僕らは
なんて言われてもいい
笑われたって笑っていたい」

(「WHATEVER」より 作詞 ANARCHY)

「What What What What
So What What What What
全然聞こえない君のディス
俺は自分で選んだ道にキス」

(「SO WHAT?」より 作詞 ANARCHY)

もともと自分の生い立ちを綴ったリリックが多い彼ですが、今回のアルバムに関しては今の立場についての自信を感じさせるリリックが多かったような感じがします。

そしてそんな今回のアルバム、ポップ方面に大きく傾いた前作と比べると再びハードコア路線に戻って来たように感じるアルバムでした。エレクトロサウンドを用いつつ、音数を絞ったかなりタイトなトラックが耳を惹きます。雰囲気としてはインディーズ時代の匂いも感じるアルバムだったと思います。

ただ、全体的な雰囲気としてはポップで聴きやすいという印象も強く受けます。リリックにしろサウンドにしろアンダーグラウンド的な雰囲気をかもしつつも卒なくまとめているような感じがあり、「ヤバさ」みたいなものはあまり感じませんでした。

そういう意味ではアンダーグラウンド的な空気感とポピュラリティーを上手く両立させたアルバムと言えるのかもしれません。これを「セルアウト」と言ってしまえば否定はできないかもしれませんが、個人的にはANARCHYとしてのあるべき姿についていろいろな立場から求められる中、上手くバランスを取ったアルバムにまとめあげたように感じました。

もっとも一方で、既に今、必ずしもわかりやすいポップな音を出さなくてもメジャーシーンで活躍しているミュージシャンはたくさんいます。そういう意味ではANARCHYも、メジャーシーンの中でもっとインディーズ時代のような楽曲も追及できたのではないか、とも思ってしまいます。そういう意味ではまだまだ彼なりのやり方があるようにも感じました。今後の彼がどのように進むのかはわかりませんが・・・これからも彼の活動に注目していきたいのは間違いないでしょう。

評価:★★★★

Anarchy 過去の作品
Dream and Drama
Diggin' Anarchy
DGKA(DIRTY GHETTO KING ANARCHY)
NEW YANKEE


ほかに聴いたアルバム

まほう/ASA-CHANG&巡礼

新メンバーとなった後、初となる7年ぶりとなるオリジナルアルバム。毎回、実験的な作風に挑戦していますが今回も声をコラージュしたような作品や宗教音楽ような荘厳な作品、セリフのみの作品など多彩。いままでの作品は実験的すぎて聴いていて正直ちょっと辛い部分もありましたが今回は比較的ポップで聴きやすくまとめられていました。

評価:★★★★

ASA-CHANG&巡礼 過去の作品
影の無い人
ASA-CHANG&蒐集(ASA-CHANG)

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2016年9月15日 (木)

今週もアニメ系が目立つ

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

先週はアニメ系のアルバムが多くランクインしてきましたが、今週もまたアニメ系が目立つチャートとなっています。まず2位にRADWIMPS「君の名は。」がワンランクダウンながらこの位置をキープ。こちらは何度も紹介している通り、今話題のアニメ映画「君の名は。」のサントラ盤となっています。

さらに5位には橋本由香利「おそ松さん オリジナルサウンドトラック」が初登場でランクイン。ここでもすっかりおなじみの人気アニメ「おそ松さん」のサントラ盤。初動売上1万4千枚を記録してこの位置にランクインです。

そして人気女性声優のアルバムが2枚並んでランクイン。6位に三森すずこ「Toyful Basket」、7位に雨宮天「Various BLUE」が並んで入っていました。三森すずこはこれが3枚目となるアルバム。初動売上1万3千枚は前作「Fantasic Funfair」の1万8千枚(5位)からダウン。雨宮天はユニットTrySailのメンバーとして活動しており、TrySailとしてはベスト10入りも記録しているのですが、ソロ名義ではこれが初のアルバムでシングルアルバム通じて初のベスト10入り。初動売上は1万枚。ちなみに今年5月にリリースされたTrySailのアルバム「Sail Canvas」の1万5千枚(5位)からダウンしています。

さて、今週はこれらアニメ系以外にも多くのアルバムがランクインしてきています。

そんな中、1位を獲得したのはHIP HOPを主体に活動している韓国のアイドルグループ防弾少年団「YOUTH」でした。日本では2枚目となるアルバム。初動売上7万6千枚は日本盤での前作前作「WAKE UP」の2万1千枚(3位)からアップ。また直近作として韓国でリリースされたアルバム「花様年華 Young Forever」の6千枚(7位)からも大きくアップしています。

3位にはThe Beatles「LIVE AT THE HOLLYWOOD BOWL」がランクイン。ほぼ毎年、秋口になにかの企画が出てくるThe Beatlesですが、今年は1977年にリリースされた彼ら唯一の公式ライブアルバムがCD化。個人的にはやっとか・・・といった感じです。初動売上2万枚。昨年はベスト盤「1」にPV集をつけた「1+」がリリースされ、初動売上7万8千枚で見事初登場1位を獲得しています。本作は初動売上2万枚で初動売上は大きく下回ってしまいましたが、金曜日発売というチャート的に不利な状況の中、ベスト3入りを記録。相変わらずの根強い人気を見せつけました。

続いて4位以下の初登場盤は・・・まず4位にロックバンドクリープハイプ「世界観」がランクイン。クリープハイプといえばバンドのボーカルでメインライターの名前が尾崎世界観。本作はそこからアルバムタイトルを取られたもので、そういう意味ではセルフタイトルに近いタイトルかもしれません。初動売上1万6千枚は前作「一つになれないなら、せめて二つだけでいよう」の1万4千枚(9位)から若干アップ。

8位にはGLAY「BEAT out! Anthology」が入ってきました。1996年にリリースされ、自身初の1位獲得となったアルバム「BEAT out!」をマスタリングし、デモ音源集などを加えて再リリースしたもの。同じような「アンソロジー」シリーズとしてはこれが4作目。9月9日リリースとなりましたが、これははじめて日本武道館でライブをした日からちょうど20年目の日になるそうです。初動売上は6千枚。前作は同じ「アンソロジー」シリーズの前作「SPEED POP Anthology」で、こちらの初動7千枚(7位)からは若干ダウンとなっていますが、前作が水曜日リリース、本作は金曜日リリースだったことを考えると、実際はやはりこちらの方が若干売れているという印象でしょうか。

最後9位には「仮面ライダーゴースト TVサウンドトラック 2枚組」がランクイン。今年9月まで1年にわたり放送されていたテレビ朝日系特撮ドラマ「仮面ライダーゴースト」のサントラ盤。初動売上5千枚でこの位置にランクインしてきました。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2016年9月14日 (水)

RADWIMPS vs SMAP (?)

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は先週に引き続きRADWIMPSの曲が4曲ランクイン。さらにSMAPの曲も2曲ランクインし、RADWIMPSとSMAPでベスト10のうち6曲を占めるという事態になっています。

RADWIMPSはご存じ映画「君の名は。」のヒット効果。アルバムでも同タイトルのサントラ盤がヒットを記録していますが、「前前前世」が先週から変わらず2位、「なんでもないや」が6位から5位にアップ。「スパークル」が4位から7位に、「夢灯籠」が7位から8位にそれぞれダウンしています。

CD売上・ダウンロード数・スクリーミング数(以下「実売数」)では「前前前世」が2位、「なんでもないや」が5位、「スパークル」が7位、「夢灯籠」が9位とそれぞれベスト10入り。また目立つのはTwitterつぶやき数で、「前前前世」が3位、「なんでもないや」が4位、「スパークル」が5位、「夢灯籠」が6位と順位引き上げの要因となっており、ネット上での話題性の高さが感じられます。「前前前世」は他にもラジオオンエア数が3位、You Tube再生回数が1位といずれも上位へランクインしており、文句なしのヒットと言えるでしょう。

一方SMAPは解散発表以来、応援のためのファンの購買運動が続いています。特に今週は9月9日がデビュー記念日ということで売上を伸ばしており、「世界で一つだけの花」が先週の8位からランクアップし3位に、「ありがとう」が38位からランクアップし10位にランクイン。「ありがとう」は8月29日付チャート以来3週ぶりのベスト10返り咲きとなっています。

「世界で一つだけの花」はPCによるCD読取数は92位にとどまっており、新規リスナーによる購入ではなく、ファンによる2枚目3枚目の購入が多いことを物語っています。Twitterのつぶやき数は1位を記録していることも話題性の高さを物語っています。ちなみにオリコンチャートでも4万9千枚を売り上げ、先週の12位から3位にランクアップしベスト10返り咲きを果たしています。一方「ありがとう」は実売数は60位でしたがTwitterつぶやき数は2位を記録しベスト10入り。オリコンでも今週4千枚を売り上げ19位にランクインしています。

さてそんな中、1位を獲得したのがAKBグループHKT48「最高かよ」が初登場でランクイン。ベタベタアイドルポップなメロディーラインはいかにもAKB系らしい感じですし、ベタな口語のタイトルもいかにも秋元康といったセンス。実売数1位である一方、PCによるCD読取数は3位に終わっている点、複数枚買いが多かったことを物語っています。オリコンでも初登場1位。初動売上26万9千枚は前作「74億分の1の君へ」の23万8千枚(1位)からアップ。

今週は初登場はもう1枚のみ。4位にももいろクローバーZ「ザ・ゴールデン・ヒストリー」が先週の94位からランクアップし、CDリリースにあわせてベスト10入り。AKB系のHKT48に水をあけられ、ベスト3入りの逃す結果となりましたが、PCによるCD読取数では1位を獲得しており面目躍如といった感じでしょうか。楽曲はももクロとしては逆にビックリするほど平凡なアイドルポップなのですが、変にマニア受けしそうな凝った楽曲よりは好感が持てる印象。オリコンでは初動5万1千枚で2位初登場。前作「『Z』の誓い」の4万8千枚(4位)から若干増加という結果となっています。

今週のHot 100は以上。アルバムチャートはまた明日に!

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2016年9月13日 (火)

爽やかなポップアルバム

Title:夏.インストール
Musician:神聖かまってちゃん

約2年ぶりとなる神聖かまってちゃんの新譜は全8曲入りとなるミニアルバム。まず率直に言って、あまり良くない意味でちょっと意外性を感じさせるアルバムでした。その理由としてはまず1曲目「きっと良くなるさ」。タイトルからして神聖かまってちゃんらしからぬ感じがするんですが、の子らしくそういう前向きなタイトルとは言っても・・・という展開を予想していました。が、残念ながら(?)楽曲の内容はストレートな前向きポップ。ネガティブな意味でいかにもなJ-POPなナンバーで正直、かまってちゃんらしからぬポップチューンはがっかりしたスタートでした。

もっともその一方ではかまってちゃんらしい狂気を感じる曲も収録されています。例えば

「ヤルきは
ねぇ!
ヤルきは
ねぇ!
ヤルきは そんなもんは
ないぴょん」

(「drugs,ねー子」より 作詞 の子)

なんて歌詞を歌いまくる「drugs,ねー子」なんかはその代表的なナンバーでしょうか。もっともこの曲は既発表曲のリメイクなのですが・・・。他にも、こちらは新曲なのですが、ひたすら「ごめん」と歌う「ロマンス」などもかまってちゃんらしい狂気は感じることが出来ます。

ただそんな狂気を感じさせる曲がありつつ、全体的にはポップな曲が多かったのが今回のアルバム。「天文学的なその数から」などもストレートなラブソングに仕上がっていますし、アルバム全体としてはポップな印象を強く感じる作風になっています。

シンセやピアノの音色を多用しつつ、しっかりと個性を感じさせるかまってちゃんらしいサウンドといい、所々に間違いなく狂気を秘めたような歌詞といい、神聖かまってちゃんらしい個性は強く感じます。ただフェス向けの音を奏でるだけの昨今のロックバンドと比べると、間違いなく強い個性は感じることの出来るアルバムだと思います。

ただ、神聖かまってちゃんのアルバムと考えると、あまりに爽やかなポップにまとまりすぎている印象を受ける作品だったと思います。そこらへんの普通のロックバンドのアルバムと考えると十分な傑作だったと思うのですが、かまってちゃんの新作、それも2年もインターバルをあけての作品と考えると、率直に言って物足りなさを感じました。

確かに名盤「友だちを殺してまで。」はの子の感情をあまりにもストレートに出したアルバム。その勢いがその後続くとは考えていませんでした。そういう意味でここまでおとなしくなってしまったのは想定の範囲内ではあるのですが・・・。ただやはりかまってちゃんにはもうちょっと衝撃を感じるアルバムを作ってほしい、という期待があるんですよね・・・。そういう意味で悪いアルバムではないのですが、どうしても物足りなさを感じてしまうアルバム。もう一歩の奮起を期待しているのですが。

評価:★★★

神聖かまってちゃん 過去の作品
友だちを殺してまで。
つまんね
みんな死ね

8月32日へ
楽しいね
英雄syndrome
ベストかまってちゃん


ほかに聴いたアルバム

アドベンチャーでぶっとばせ!/少年ナイフ

少年ナイフ2年ぶりの新作は少年ナイフ流HR/HM。ジャケット写真もどこぞのへヴィメタバンドを彷彿とさせます。そのため今回のアルバムはいつもの彼女たちの作品に比べてギターサウンドがよりへヴィーで分厚くなった印象が。ハードロックテイストが強い作品が並びます。もっともとはいっても基本的には少年ナイフ流。軽快でポップな作品がメインとなっており、基本的にはいつもの少年ナイフ。ちょっとへヴィーに味付けされた彼女たちの作品が楽しめるアルバムになっていました。

評価:★★★★

少年ナイフ 過去の作品
スーパーグループ
フリータイム
大阪ラモーンズ
Pop Tune

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2016年9月12日 (月)

断捨離サウンド

Title:未知のアルバム
Musician:LITTLE CREATURES

ベスト盤やトリビュートアルバムなどのリリースもありましたが純粋なオリジナルアルバムとしては約5年8ヶ月ぶりとなる新作。その前作も前々作から5年5ヶ月ぶりのリリースだったため、この10年間にアルバムわずか2枚という超スローペースな彼ら(笑)。メンバー個々の音楽活動も目立っているだけに、やりたい時だけLITTLE CREATURESとしての活動を行っているといった感じなのでしょうか。

今回のアルバムに関しては「断捨離サウンド」(笑)だそうで、基本的にスリーピースバンドの彼らのみで作り出せるギターとベースとドラムスのみでの演奏となっています。もっと言えばそのバンドサウンドにしても非常にシンプルな演奏となっており、ギターにしても「絡みとられて」のようなノイジーなサウンドを聴かせる曲もあるのですが、ストロークでかき鳴らしているといった演奏ではなくエフェクトもシンプルにつま弾いているといった演奏ですし、ドラムスの演奏もシンプル。ダイナミックなドラミングで、といった感じではありません。

そんなアルバムではあるのですが、この断捨離をしたタイトなサウンドが非常に耳を惹く作品になっていました。例えば「未知の世界」にしても非常にシンプルな演奏だからこそ逆にギターとドラムスの音がクッキリと浮かび上がってくるような作品になっていますし、また「嘘の朝」のようにギターとドラムスに加えてベースラインが主張をしてシンプルながらも3つの音がしっかりと絡み合ったサウンドが魅力的な曲もありました。

メロディーに関してはどの曲に関してもしっかりとしたメロディーを聴かせてくれます。ただ正直、そのメロディーで聴かせるといった感じのインパクトあるものでもなければ、美メロといった感じではありません。そういう意味ではシンプルなサウンドを含めてパッと聴いた感じだと非常に地味なアルバムに感じるかもしれません。

しかしこのシンプルでタイトな3ピースの演奏が聴いているうちに徐々に響いてくるのが今回のアルバム。最初は地味さを感じさせる楽曲も聴いているうちに徐々に惹きこまれてくるような作品になっていました。「未知のアルバム」というタイトルですが、それはやはりこの「断捨離サウンド」を押し進めた結果あらわれてくる未知の音への挑戦といったことなのでしょうか?非常にシンプルなサウンドだからこそ、彼らの強い挑戦心を感じさせてくれるアルバムだったと思います。

次のアルバムはやはりまた5年後なのでしょうか?また新たな「未知の音」を聴かせてくれることを期待して、首を長くして待ちたいと思います。

評価:★★★★★

LITTLE CREATURES 過去の作品
LOVE TRIO
OMEGA HITS!!!


ほかに聴いたアルバム

Synchronicity/HY+BIGMAMA

HYとBIGMAMAによるコラボアルバム。全員で演奏する曲やお互いのカバー、さらにお互いの新曲にゲストで招く形の曲などを収録。良くも悪くも足して2で割った感じになってしまって、結果、平平凡凡なJ-POPといった感じにまとまってしまっています。コラボの効果があまりよい方向では作用しなかったような・・・。

評価:★★★

HY 過去の作品
Whistle
PARADE
Route29
HY SUPER BEST
GLOCAL

LOVER

BIGMAMA 過去の作品
Dowsing For The Future
君がまたブラウスのボタンを留めるまで
君想う、故に我在り

Love Story/岡本真夜

岡本真夜といえば「前向き応援歌」的な歌詞が大きな特徴のひとつ。それはそれで悪くはないのですが、正直陳腐な内容の歌詞が若干食傷気味な部分も否めません。ただ今回のアルバムはラブソングがメインとなるミニアルバムなのですが、やはりこの手のラブソングを歌わせたら彼女は天下一品ですね。女性の心情をわかりやすくきちんと織り込んだ大人のラブソングをきちんと聴かせてくれます。「応援歌」も悪くないけど、大人のラブソングを今後はメインで聴きたいところなのですが。

評価:★★★★

岡本真夜 過去の作品
seasons
Crystal Scenery II
My Favorites
Close To You
Tomorrow
岡本真夜 20th Anniversary ALL TIME BEST~みんなの頑張るを応援する~

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2016年9月11日 (日)

MONOEYESとの違いも鮮明に

Title:Hands Of Gravity
Musician:the HIATUS

最近、the HIATUSの細美武士はMONOEYESとしての活動をスタート。the HIATUSとしての活動はどうなるんだろう・・・と心配になっていましたがthe HIATUSとしても2年ぶりとなるアルバムをリリースしてきました。今後はどうもMONOEYESとしての活動とthe HIATUSとしての活動は並行して行っていくようですね。

そんなthe HIATUSのアルバム、聴いてまず感じたのは非常の美しいアルバムだということでした。本作でまず耳を惹くのが前作より加入した伊澤一葉のピアノ。1曲目「Geranium」でピアノの音色にギターとドラムスのダイナミックな演奏が重なる構成というのがある意味このアルバム全体を象徴しているように感じます。続く「Clone」も爽快で突き抜けるようなイントロのピアノの実に美しいこと・・・。「Bonfire」のジャズ風の複雑なピアノのメロディーとドラムスのリズムが対決するかのような構成も実にスリリング。アルバムの大きなインパクトとなっています。

後半も「Secret」でピアノの早弾きで疾走感を感じさせてくれるかと思いきや、続く「Tree Rings」はピアノのみのバラードナンバー。さらに最後「Sunburn」は分厚いバンドサウンドにピアノが絡む構成の楽曲になっており、1曲目「Geranium」同様、ピアノ+バンドサウンドというスタイルがこのアルバムを象徴するようなスタイルでアルバムを締めくくっています。

前作「Keeper Of The Flame」はバンドテイストが薄れてエレクトロサウンドが前に出てきたような作品になっていました。今回のアルバムに関しても「Let Me Fall」のようにエレクトロサウンドを取り入れた曲も散見されます。ただ全体的にはバンドサウンドに回帰したような作風になっています。

ただ「Drifting Story」のようにへヴィーでノイジーなギターを聴かせるような曲もあるのですが、全体的にはピアノの美しいサウンド、そしてなによりもちょっと悲しくも美しいメロディーラインが全体を覆っています。よりロック寄りのMONOEYESに対してポップ寄りの・・・という言い方が出来るかもしれません。ただわかりやすいポップを追及というよりはジャズなどの要素も入れた複雑な構成も目立ちます。実験的という感じでもないのですが、より美しいサウンドを作り上げようというスタンスをthe HIATUSからは感じることが出来ました。

デビュー以来、徐々にその音楽性を作り上げてきた彼ら。細美武士のロック志向の部分をMONOEYESとして表現することにより、the HIATUSとしての方向性がより定まったようにも感じられます。そういう意味でも本作、彼らのひとつの完成形といってもいいのではないでしょうか。個人的にはthe HIATUSのアルバムの中でも最高傑作だと思います。今後のさらなる飛躍も感じさせるアルバムでした。

評価:★★★★★

the HIATUS 過去の作品
Trash We'd Love
ANOMARY
A World Of Pandemonium
THE AFTERGLOW TOUR 2012
Keeper Of The Flame

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2016年9月10日 (土)

さらなる深化

Title:できれば愛を
Musician:坂本慎太郎

元ゆらゆら帝国のボーカリストによるソロ3枚目。ソロでのアルバムがいずれも非常に高い評価を得ており、約2年ぶりとなる新作ではゆらゆら帝国時代を含めてキャリア初のベスト10ヒットを記録しました。

そんな高い期待の元にリリースされた新作ですが、今回のアルバムもその期待を裏切らない傑作に仕上がっています。基本的にスタンスは前作からの延長といった印象。ロックというよりもムード音楽的な作風であえて「全員で盛り上がる」ことを拒否する音を奏でることにより全体主義へのアンチをとなえた前作。今回のアルバムに関してはさらにその方向性が深化しています。とことんそぎ落としたサウンドにスチールギターが鳴る、トロピカルさを感じさせるサウンド。ロックバンド的なみんなで盛り上がれるダイナミズムさを拒否。一見すると単なるムード音楽のような見せかけになっているのも基本的には前作と変わりません。

ただ一方、全体主義へのアンチというスタンスが歌詞を通じても明確にあらわれていた前作と比べると本作に関しては歌詞に関してもシニカルさと不気味さを感じつつも、人によっていろいろな解釈が出来そうな歌詞が並んでいます。例えば

「イヌが俺に声かけてきた
ねえ その車に乗せとくれ
キジが俺に声かけてきた
ねえ その車に入れとくれ
いいけどさ きついぞ
さあ中古の車で出かけるぞ」

(「鬼退治」より 作詞 坂本慎太郎)

という歌詞はポジティブな解釈もできそうな一方、今の日本の厳しい現状を描いた歌詞のようにも解釈できます。そもそも今回のアルバム、テーマが「顕微鏡でのぞいたLOVE」だそうで、そのテーマからしていまひとつわかりにくくなっています。

ただそんな中で唯一わかりやすいテーマ性を持っていたのが「ディスコって」

「ディスコは君を差別しない
ディスコは君を侮辱しない
ディスコは君を区別しない
ディスコは君を拒絶しない」

(「ディスコって」より 作詞 坂本慎太郎)

という非常にストレートな歌詞のサビが展開するほか、

「今 女が 男の方に触れた
今 男が 男と腕をくんだ
今 女が 女とキスをしてた
今 男が 男と外に消えた」

(「ディスコって」より 作詞 坂本慎太郎)

とLGBTをストレートに肯定する歌詞が印象的なナンバーになっており、全体的にテーマ性が不明確な楽曲が並ぶ中、彼のLGBTに対する強いメッセージ性を感じることが出来ました。

そんな訳で、新鮮味という観点では前作に比べてさほど目新しさは感じません。ただ前作からより深化したサウンド、どこかユーモラスさがありつつ、シニカルさも感じさせる歌詞は聴けば聴くほど心に響くものがあります。特にサウンドに関しては前作同様、Disc2としてインストバージョンが収録されていますが、一見、ムードサウンド的な曲調でありつつ、インストだけとっても十分音楽として成立していることに気が付かされます。

前作は2014年の私的年間ベストアルバムで2位としましたが今回のアルバムも引き続き、年間ベスト候補間違いなしの1枚。文句なしの傑作です。

評価:★★★★★

坂本慎太郎 過去の作品
幻とのつきあい方
ナマで踊ろう

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2016年9月 9日 (金)

まだまだ人気曲を多く収録

Title:DREAMS COME TRUE THE ウラBEST! 私だけのドリカム
Musician:DREAMS COME TRUE

昨年、3枚組のベスト盤をリリースし大ヒットを記録したDREAMS COME TRUE。それからちょうど1年。早くも次のベスト盤がリリースされました。・・・といっても今回のアルバムはタイトルからして「裏ベスト」と名付けられているようにアナザーベスト的アルバム。昨年リリースされたベスト盤に収録されなかった曲が収録されています。

3枚組となっている今回のアルバム、Disc1は前作に収録されなかった人気曲を収録した「WATASHI DISC」、Disc2は吉田美和選曲による「MIWA DISC」、Disc3は中村正人選曲による「MASA DISC」という色分けをしたアルバムとなっていました。

「WATASHI DISC」は人気曲というセレクトゆえでしょうか、全体的にポップである意味スタンダードな楽曲が多い印象。Disc2は今風なエレクトロサウンドの「NOCTURNE 001」やピアノやホーンセッションなどで分厚いサウンドに仕上げている「月光」など凝ったアレンジの曲が多く収録されていました。吉田美和選曲ということですが、ボーカル視点というよりもむしろアレンジャー視点でユニークさを感じる曲が多く、そういう意味でちょっとこの選曲には意外な印象もあります。そしてDisc3は「SWEET REVENGE」「IT'S SO DELICIOUS」のようなファンキーな楽曲や「週に一度の恋人」のようなAOR、「CARNAVAL~すべての戦う人へ~」はラテン、さらに最後の「PROUD OF YOU」はトライバルなリズムと様々なタイプの曲が収録されており、ドリカムの音楽性の幅を感じさせる1枚。自分たちはこれだけのことをやれるんだ、という中村正人の主張を感じます。

また昨年、ベスト盤で3枚組のアルバムをリリースしたにも関わらず、まだアナザーベストを3枚組のボリュームでリリースすることが出来るというのがドリカムの長いキャリアと人気曲の多さを感じさせます。さらに今回収録された曲の中には「え、まだこの曲、ベスト盤に収録されていなかったの?」と思う曲もチラホラ。例えば「うれしはずかし朝帰り」なんかは前作のベスト盤に収録されていなかったのが驚き。彼女たちの代表曲だと思っていたんですが・・・。さらに前作のベスト盤と今回のアルバム、いずれも7月7日にリリースされているのですが、そのきっかけとなった「7月7日、晴れ」も前作に収録されずこちらに収録されています。

またファンとしてうれしいのは「雪のクリスマス」が今回、アルバム初収録となっている点でしょう。シングル曲であるにも関わらず、あとにリリースされた英語詞の「WINTER SONG」の方がヒットしてしまった影響でいままでベスト盤などでは「WINTER SONG」が優先されてしまったある意味悲運の曲。楽曲としてはこちらがオリジナルですし、また日本語詞も文句なくいいのですが・・・。

もっともこれだけ人気曲を収録しつつも、おそらくファンにとっては「まだあの曲が収録されていない」と思う曲もあるのではないでしょうか。例えば私の場合、1991年にリリースされたシングル「Eyes to me」の同時A面曲だった「彼は友達」なんか大好きな曲なのですが、残念ながらいまだにどのベスト盤にも収録されず。おそらく、ベスト盤2作とは別に「私だけのドリカムベスト」を選曲するファンも少なくないかもしれませんね。

アルバム全体の感想としては前作ベスト盤と変わりないのですが、今回のベスト盤はアナザーベストということもあってドリカムのパブリックイメージとはちょっとずれるような曲もあったりして、全体的に音楽の幅の広さをより感じるアルバムになっていました。そういう意味でも昨年発売されたベスト盤以上に、ドリカムの魅力を深く感じることができるベスト盤と言えるかもしれません。デビューから27年が経過していまなお高い人気を誇る彼女たち。2作のベスト盤で全6枚というボリュームですが、彼女たちの魅力を感じるためにはどちらのベスト盤もあらためて聴いてみたいところでしょう。

評価:★★★★★

Dreams Come True 過去の作品
AND I LOVE YOU
DO YOU DREAMS COME TRUE?
LOVE CENTRAL
THE SOUL FOR THE PEOPLE~東日本大震災支援ベストアルバム~
ATTACK25
DREAMS COME TRUE THE BEST! 私のドリカム

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2016年9月 8日 (木)

こちらもRADWIMPSが・・・

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

なんと2週連続の1位獲得です。

Hot100では楽曲が大量にランクインさせてきたRADWIMPSですが、先週1位の「君の名は。」がなんと2週連続1位を獲得。売上は3万8千枚と1位としてはちょっと寂しい数値だったものの先週の5万7千枚という売上から考えるとかなり健闘した結果と言えるでしょう。

さて、この「君の名は。」はアニメ映画のサントラ盤で映画のヒットもこのアルバム売上に大きく貢献していますが、今週はこのアルバムを含めアニメ系の作品が目立つチャートとなっています。

初登場では2位にアニメ映画「KING OF PRISM」のキャラクターによるキャラソン集「KING OF PRISM Music Ready Sparking!」がランクイン。初動売上1万1千枚。同映画のサントラ「劇場版KING OF PRISM by PrettyRhythm Song&Soundtrack」の1万9千枚(4位)よりダウン。

4位にはアニメソングを中心に活動する男女2人組ユニットangela「LOVE&CARNIVAL」がランクイン。初動売上7千枚は前作「ONE WAY」の6千枚(10位)から微増。また9位にはアプリゲーム「SHOW BY ROCK!!」の楽曲を集めた「SHOW BY ROCK!!BEST Vol.1」が初動4千枚でランクイン。こちらはゲームソングですが、アニメキャラがメインとなっておりアニメ化もされています。

他にゲームのアニメキャラによるIDOLiSH7「アプリゲーム『アイドリッシュセブン』IDOLiSH7 1stフルアルバム『i7』」が先週の2位からランクダウンし5位にランクイン。アニメ「おそ松さん」のドラマCD松野おそ松&松野カラ松&松野チョロ松&松野一松&松野十四松&松野トド松(櫻井孝宏&中村悠一&神谷浩史&福山潤&小野大輔&入野自由)「おそ松 さん 6つ子のお仕事体験ドラ松CDシリーズ おそ松&カラ松&チョロ松&一松&十四松&トド松『お仕事アラカルト』 」も3位からランクダウンしつつ6位にランクイン。アニメがらみのアルバムがズラリと並びました。

今週は他に2枚の初登場盤がありますが、こちらはいずれも韓流。まず3位に男性アイドルグループINFINITE「BEST OF INFINITE」がランクイン。タイトル通り、初となるベストアルバム。初動売上1万1千枚は前作「For You」の2万2千枚(3位)から大幅ダウンとなっています。

さらに8位には男性アイドルグループUP10TION「Summer Go!」が先週の21位からランクアップしベスト10入り。9月にリリースイベントが予定されており、その参加特典としてCDが大量に購入された模様です。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2016年9月 7日 (水)

RADWIMPS祭り

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はなんとベスト10にRADWIMPSの曲が4曲もランクイン。ちょっとしたRADWIMPS祭りの様相を呈しています。いずれも今、話題となっている映画「君の名は。」の主題歌。iTunesチャートでも軒並み上位に入っており、ダウンロードでの売上が大きく影響を受けています。アルバムチャートでも今週もRADWIMPSのアルバムが上位に入ってきており、今週はまさにRADWIMPSと「君の名は。」のヒットが目立つ週となりました。

その4曲はまず2位に「前前前世」。先週の3位からランクアップで最高位を記録。CD売上・ダウンロード・ストリーミング数(以下「実売数」)で2位、ラジオオンエア数、Twitterつぶやき数、You Tube再生回数でも1位を獲得しており、文句なしのヒットとなっています。そして4位に「スパークル」がランクイン。これは先週の24位からランクアップし、ランクイン3週目にして初のベスト10入り。実売数で6位を記録、Twitterでのつぶやき数でも2位となっています。さらに6位に「なんでもないや」(実売数5位、Twitterつぶやき数4位)、7位「夢灯篭」(実売数8位、Twitterつぶやき数3位)と並んでおり、RADWIMPS人気と「君の名は。」人気が合致してのチャートインラッシュとなりました。

ただし、1位を獲得したのはAKB48「LOVE TRIP」。日テレ系ドラマ「時をかける少女」主題歌。実売数1位、ラジオオンエア数8位、PCによるCD読み取り数で1位を記録。先週の37位からCD発売にあわせての1位獲得となりました。オリコンでも初登場1位で、初動売上117万7千枚。前作「翼はいらない」は例の総選挙投票券付のCDであったため、初動144万枚(1位)よりダウン。ただし前々作「君はメロディー」の初動123万7千枚(1位)よりもダウンしています。

3位は元KARAのメンバーJYによる「好きな人がいること」が先週の10位からランクアップ。CD発売にあわせて自己最高位を記録しています。オリコンでも初動1万9千枚で6位初登場。前作「最後のサヨナラ」の1万3千枚(7位)よりアップしています。

続いて4位以下の初登場曲ですが、今週は前述のRADWIMPSをのぞくと1作のみ。5位にアイドルグループSUPER☆GiRLS「ラブサマ!!!」がランクインしています。実売数4位ながらもラジオオンエア数、PCによるCD読み取り数いずれも圏外。イベント会場等の限定版が15種発売されており、明らかに複数枚買いによる影響が大きい模様。ちなみにオリコンでは初動5万5千枚で2位初登場。前作「イッチャって♪ヤッチャって♪」の7万4千枚(5位)からダウン。

またベスト10返り咲き組として9位に乃木坂46「裸足でSummer」が先週の17位からランクアップ。実売数で11位にランクアップしてきた影響が大きい模様。オリコンでは9月4日付デイリーで1位を獲得しており、おそらく通販分の売上が一時に計上された影響が大きいと思われます。正直、こういう一定期間分の売上を一時に計上するやり方もビルボードではなんとか排除してほしいのですが・・・。

今週のHot100は以上。アルバムチャートはまた明日に。

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2016年9月 6日 (火)

伝説のバンドの全盛期のステージ

Title:LONG SEASON '96~7 96.12.26 赤坂BLITZ
Musician:Fishmans

レゲエやダブをベースとした独特なサウンドで90年代に音楽ファンを中心に高い評価と絶大な支持を得ていたミュージシャン、Fishmans。1999年にボーカルでほぼ全ての曲の作詞作曲を手掛けていた佐藤伸司が急逝し多くの音楽ファンに大きなショックを与えました。

その後、活動休止状態になるものの、残ったメンバーである茂木欣一を中心にゲストボーカルをまじえて活動を再開。現在はライブを中心にコンスタントな活動を続けています。そんなFishmansも今年はメジャーデビュー25周年。本作はそのデビュー25周年を記念してリリースされたライブ盤です。

Fishmansといえばもともとライブには高い定評がありました。ライブアルバムとしても佐藤伸司存命時のラストライブとなってしまったライブの模様を収録した「98.12.28 男達の別れ」は名盤として評価されています。そして今回リリースされたアルバムは1996年にリリースされた「LONG SEASON」リリース後に行われたライブの模様を収めた作品。この「LONG SEASON」はワントラック35分という異色の作品。このような挑戦的な作品をリリースしてくるあたり、まさに脂ののりまくっていた時期と言えるでしょう。そしてそんな彼らの最盛期とも言えるべき時期を捉えた貴重なライブアルバムとなっています。

そんな彼らのライブアルバムですが、原曲に比べてかなり大胆にライブ向けにアレンジがほどこされています。なにより全体的にロック志向、バンド色が強くなっているような印象を受けます。例えば「Go Go Round This World!」は最初、ギターとドラムのジャムセッションからスタート。終始、バンド色の強いアレンジになっていますし、「Sunny Blue」にしてもギターがかなりへヴィーでノイジーな音になっており、原曲に比べてよりロックテイストの強いダイナミックなアレンジに仕上げてきています。

またなによりこのアルバムの聴きどころは「LONG SEASON」でしょう。原曲よりさらに長い40分にも及ぶライブ音源をまるまる収録。ただ楽曲は40分の中で様々に展開。特に途中からはパーカッションの演奏を中心にかなりスリリングな演奏を聴かせてくれ、最後まで全くダレルことのない手に汗にぎるような演奏を聴かせてくれています。

もちろん、バンド色が強くなっているのですがFishmans独特の横ノリのサウンド、浮遊感は健在。なによりも20年前の音源ながらもこの彼ららしいリズム感を含めてサウンドに全く古さを感じないという点が驚くべき事実。それだけ彼らのサウンドに時代を超過した圧倒的な個性があったということを再認識しました。

いまさらながらFishmansというバンドの偉大さを再認識できるライブアルバム。なによりも原曲とも大きく異なるアレンジなだけに熱心なファンも要チェックのライブ盤だと思います。また彼らの音をいままで聴いたことない若いリスナーもこれを機に、是非。

評価:★★★★★

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2016年9月 5日 (月)

へヴィーなリリックをポップにコーティング

Title:グランドスラム
Musician:般若

昨年夏、敬愛する長渕剛のオールナイトライブに参加し話題となった般若。そんな彼の約2年ぶりとなる新作。般若がうさぎの着ぐるみをかぶっているジャケット写真もなかなかユーモラスなのですが今回のアルバムもそんな般若がうさぎのきぐるみをかぶっているかの如く、毒舌を吐きまくりながらもポップでコーティングされているアルバムになっていました。

その中でも一番ユニークだったのが「寝言」。PVも作成されており今回のアルバムのキーになるような曲なのですが、寝言にかこつけて般若が暴言を吐きまくる楽曲。その暴言の内容もユニークですし、なにより暴言を寝言という形でエクスキューズするスタイルもユニーク。歌詞の内容はへヴィーなナンバーながらもユーモラスにコーティングしておりポップな感覚で聴ける作品になっています。

同じように「DA MA RE」もタイトル通り暴言をはきつつユーモラスにまとめあげている楽曲。タイトルも昔のヒット曲「DA YO NE」にかけてますよね・・・。「たちがわるい」のエロ歌詞もユニーク。また「ビビりながら」も暖かい街の風景を描写しつつ、その対比として孤独を描く歌詞の展開が実に胸に迫るナンバーになっています。どの曲も聴きやすいポップなスタイルにまとめつつ、胸にグサッと突き刺さるようなリリックが心に残ります。

そんなへヴィーなリリックの曲が並びつつ、一方では「月の真ん中」のような感謝を歌った明るいナンバーや「夢を言おう」のような前向きなナンバーもあったりして。アルバム全体としては自分のことやあるいは身の回りをテーマとしたような楽曲が多いのですが、彼の本音を歌ったへヴィーなリリックから明るい前向きなリリックまで幅があり、そのバリエーションを楽しむことが出来ます。

バラエティーに富んでいるという意味ではサウンドもそう。ロック風な「自己紹介」「覚悟完了」やエレクトロなアレンジの「スゲートコ」、80年代ディスコ風の「たちがわるい」までバリエーションは実に豊か。一定の水準以上のクオリティーを保ちつつも必要以上に小難しさを感じないポップで聴きやすい作風に仕上げています。

個人的には彼の日本語を一語一語丁寧にラップするスタイルも好印象。その結果、きちんとリリックの内容が、歌詞カードなどを見ずに伝わってきます。全体にどこかポップな雰囲気を感じさせるリリックやサウンドといい、いい意味で聴きやすいラップが実に魅力的なアルバムだったと思います。

彼の本音を綴った、暴言というスタイルとへヴィネスさとポップスさのバランスさも見事。いい意味で広い層にアピールできる内容だったと思います。般若というラッパーの魅力をしっかり伝えてくれる傑作でした。

評価:★★★★★

般若 過去の作品
ドクタートーキョー
HANNYA

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2016年9月 4日 (日)

ブルースの名著が再翻訳

ブルースに関して、なかなか素敵な本の和訳が発売されました。さっそく手にとって読んでみましたので今日はその本のご紹介です。

Conversation_blues_2ポール・オリヴァーというイギリスのブルース研究家により1965年に発売された書籍「ブルースと話し込む」(原題 Conversation with the BLUES)。1996年に邦訳版が発売されましたが既に絶版。それがこのほど音楽評論家の日暮泰文氏の和訳により再発売されました。

この本はもともと1960年にオリヴァーが妻とともにアメリカにわたり3カ月間、アメリカはミシシッピ、テネシー、アーカンソーをはじめとして各地で収録したブルースミュージシャンのインタビューをまとめたもの。そのインタビューを通じてブルースという音楽とは何かということを浮き彫りにしようという試みがされています。

インタビューのテーマは多岐にわたっており、ブルースとは何か、といったテーマからスタートし、当時の黒人の暮らしぶりや(音楽以外の)仕事の話、飲み屋での出来事やレコーディングでのエピソード、ステージの話や他のブルースミュージシャンの話など様々。1960年といえば公民権法が成立する(1964年)直前。そういう時代のアメリカの黒人の生活ぶりも感じられる内容になっています。

インタビューはミュージシャン毎にまとめて掲載されている形ではなく、インタビューをぶつ切りにして、似たようなエピソードを並べて展開していくような構成。よく海外のドキュメンタリーなんかで複数の関係者にインタビューを取ったうえでそれをぶつ切りにして、ドキュメンタリーの流れにあわせてインタビューをつなぎあわせていく手法がありますが、まさにそれを紙上でやった感じ。読んでいてなんとなくブルースに関するドキュメンタリー映画を見ているようなそんな気分になりました。

さて私をはじめ多くの日本人がブルースという音楽に魅せられる理由、それは一種の異文化に対するあこがれ。国籍も人種も生活スタイルも違うアメリカの黒人の歌という異文化に対する憧憬が大きな理由・・・そう感じていました。

しかし今回この書籍を読み、ブルースミュージシャンたちの話を聴いているとむしろブルースに惹かれる大きな理由としては歌い手に対する共感が大きな要素ではないか、ということを感じました。ブルースで歌われているテーマはいわゆる日常生活で辛いことがあったり、好きな女性にふられたり、仕事が上手くいかなかったり・・・背景にある文化は私たち日本人とは大きくことなるものの、そこで歌われている根本的なテーマや心境は私たちにも共感する部分が多くあります。

この本の中にもこんな一節がありました。

「そんなレコードのある部分には、聴く人間にブルースをもたらす悲しいことがあったり、人生の傷に触れたり、友だちのことだったり、たった今起きていることを考えさせられたりする。その歌のようなことが起きてなくても、これは他人ゴトではないなと強く思わせもするわけだ。だからこれは気持ちをすごく揺り動かすことで、それがブルースに発展してゆくのさ。」
(ジョン・リー・フッカー 本書p208、209)

さらにこのインタビューの最後はこんな言葉で締めくくられています。

「つらい生き方をしてきたということ、これがあんたをブルーにする。すさんだライフ・スタイル、これがあんたをブルーにする。そこでブルースを歌いだすんだ、ブルースにやられた時にな。」
(エドウィン・バスター・ビケンズ 本書p217)

もちろん純粋な音楽的魅力もブルースに惹かれる大きな要因です。ただ50年以上前のアメリカの黒人であろうが現在の私たちであろうが、辛いこと悲しいことなどがあったりした時に感じる心境は同じ。それを歌にしたブルースに、私たち日本人も強く惹かれるのではないでしょうか。

そういった歌詞に対する共感は、いままでブルースを聴いてきた過程においてももちろん感じてきました。ただその漠然と感じていたことがこの本を読むことにより、より明確にブルースの魅力として気が付くことが出来たように思います。そんなブルースに対する再発見も出来た1冊でした。

ちなみに本書、装丁もまたそそられます。上の写真でわかるかどうかわかりませんが、洋書のペーパーバッグのような装丁。それもまたブルースの本としてピッタリな、なんともいえない雰囲気があったりします。ブルースが好きなら絶対読むべき1冊。読み進めていくうちにいろいろな発見がある実に興味深い1冊でした。

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2016年9月 3日 (土)

ゲイリーのパーソナリティーが前に

Title:PIRATES of Dr.PANTY
Musician:
モーモールルギャバン

前作「シャンゼリゼ」からほぼ1年ぶりとなるニューアルバム。今回のアルバムは録音方法に特徴があるそうで、ゲイリー・ビッチェの作ったデモ音源にユコ・カティが必要最小限の音だけ加えて、出来る限りデモ音源に忠実な音に仕上げたそうです。そのため、全体的には非常のラフな音像が出来上がっている印象。シンセの音はちょっとソウルテイストのファンキーな雰囲気になっているのですが、非常に粗々しさを感じさせる出来。まさに意図したことなのでしょうが、デモ音源のようなシンプルさを感じます。

また今回、もうひとつの特徴が全作詞作曲をいままでのモーモールルギャバン名義からゲイリー・ビッチェの個人名義へと変更になっている点。同じくゲイリー・ビッチェが作り出した音源をそのまま完成形として利用している点とあわせて考えると、ゲイリー個人のパーソナリティーを色濃く反映させることを意図したアルバムと言えるのではないでしょうか。

そう考えると今回の歌詞。情熱さを強く感じさせるラブソングが並んでいるのですが、ゲイリー個人の身の回りに最近起こった出来事ではないのか?と勘ぐってしまいます。例えば「美しい思い出だけじゃないけど」もある種の別れを想像させるようなタイトルですし、

「真夜中 君からの着信は拒否さ
もう何も言いたい事はない だから
さようなら 君らしくあるべき人よ
どうやら美しい涙は出ない」

(「イグノアの娘」より 作詞 ゲイリー・ビッチェ)

「イグノアの娘」ではストレートに別れを歌い上げています。さらに最後を飾る「なにもかも忘れたよ」

「だけどさよなら 求めあった日々は終わった
止めどない涙はいつか枯れますか
さりげない言葉で全てが終わった
止めどない涙はいつか枯れますか」

(「なにもかも忘れたよ」より 作詞 ゲイリー・ビッチェ)

も同じく別れを感じさせる歌詞が印象に残る内容に。楽曲は全体的にシンセのアグレッシブなサウンドが前面的に押し出されている曲が並んでいるのですが、歌詞に関してはとても悲しいラブソングが目立ちます。これをゲイリー個人名義の作詞作曲で発表するというのは・・・という勘繰りもしてみたくなるミニアルバムでした。

ただ聴いていて、このパーソナルな要素が表に出ている作品なだけにアレンジ的にはシンプルな反面、特徴的なアレンジは少ないですし、メロディーに関してもインパクトは薄い印象。全体的には彼らにしてはちょっと物足りなさも感じてしまいました。まずは楽曲として煮詰める前に、今、歌いたいことを早く曲にしたといった感じかなぁ。それだけにインパクトは薄いもののある種のパッションを感じる1枚でした。

評価:★★★★

モーモールルギャバン 過去の作品
クロなら結構です
BeVeci Calopueno
僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ
モーモールル・℃・ギャバーノ
シャンゼリゼ

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2016年9月 2日 (金)

ゲス同様に勢いを感じる

Title:藍色ミュージック
Musician:indigo la End

例の川谷絵音とベッキーの不倫騒動が話題になった時、川谷絵音について言及されるのはもっぱらゲスの極み乙女。ばかりでもうひとつのバンド、indigo la Endに関してはほぼスルーの状況だったのが不思議でした。確かに紅白出場バンドとしての話題性という意味ではゲスに軍配があがるかもしれませんが、indigoも売上的にはベスト10入りを果たしている十分な人気バンド。むしろ歌詞のストレートさから不倫騒動と重ね合わせて語られても不思議じゃないんですが・・・まあ、おそらく例の不倫騒動で騒いでいる連中なんて、ゲスにしろindigoにしろ、ろくに曲なんて聴いたことないんでしょうけどね。

そんな訳でindigo la Endの新作。凝ったサウンドに少々シニカル気味な歌詞のゲスの極み乙女。に比べてかなりストレートなラブソングと歌謡曲的なわかりやすいポップチューンを奏でる彼ら。個人的にはゲスの極み乙女。よりこちらの方が好きというのは以前書きましたが、今回のアルバムに関してもストレートな作風は、川谷絵音のミュージシャンとしての才能がむしろゲス以上に表れているようにすら感じました。

今回のアルバムにしても事実上、タイトルチューンになっている1曲目「藍色好きさ」の歌詞がまた非常にストレートでかつ情熱的。

「君が好きだってこと以外は
この際どうだっていい
藍色になった君が好きなんだ
君が好きだってこと以外は
もう何も考えないことにしよう
藍色になって迎えに行くよ」

(「藍色好きさ」より 作詞 川谷絵音)

なんて歌詞は、なりふり構わず盲目的に恋愛につきすすむ姿を感じます。この情熱さがベッキーを含む数多くの女性を虜にしてきたんでしょうか・・・なんて下世話なことも考えてしまいます(^^;;

さて、ゲスの極み乙女。としての直近作「両成敗」はバンドとしての勢いを感じるアルバムになっていましたが、indigo la Endの新作についてもバンドとしての勢いを非常に感じる作品になっていました。というよりも、むしろゲス以上にこちらの方が勢いがあるようにすら感じます。

特に今回耳を惹いたのはサウンドの方。いままで以上にブラックミュージックの要素が強くなり、シティポップの様相が強い作品に仕上がっていました。「藍色好きさ」や続く「雫に恋して」などもファンキーなギターが聴けますが、ブラックコンテンポラリー的なギターサウンドが楽しめる「ココロネ」やタイトル通りリズミカルなダンスチューン「ダンスが続けば」などはシティポップ的な色合いが非常に強い作風となっていました。

全体的に哀愁感があふれる歌謡曲テイストも強いメロが多いという点はいままでと一緒ですが、サウンド的にはよりスタイリッシュな感じが強くなり、垢抜けた印象を強く受けます。間違いなくバンドとして一皮むけたといっていいアルバムと言っていいでしょう。例のバッシングとは裏腹に、川谷絵音、そしてバンドとしては脂がのっているように感じる傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

Indigo la End 過去の作品
あの街レコード
幸せが溢れたら

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2016年9月 1日 (木)

アルバムでは初の1位

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

ちょっと意外なことにアルバムでは初の1位獲得となりました。

今週1位を獲得したのはRADWIMPS「君の名は。」。アニメ映画「君の名は。」のサントラ盤。通常のアルバムではなくサントラ盤ながらも見事1位獲得。特にアルバムでは「アルトコロニーの定理」から「×と○と罪と」まで3作連続2位という記録が続いていましたが、初の1位獲得となりました。また初動売上5万7千枚は直近のオリジナルアルバム「×と○と罪と」の7万6千枚(2位)からダウンしていますが、サントラ盤としては大健闘といった感じでしょうか。

2位はIDOLiSH7「アプリゲーム『アイドリッシュセブン』IDOLiSH7 1stフルアルバム『i7』」。タイトル通り、ゲーム「アイドリッシュセブン」登場キャラによるアルバム。いままでシングルでは何度かベスト10入りしていますが、アルバムもベスト10入り。初動売上は4万6千枚。シングルでの直近作「NATSU☆しようぜ!」の2万1千枚(3位)よりアップしています。

3位もアニメキャラによるアルバム。松野おそ松&松野カラ松&松野チョロ松&松野一松&松野十四松&松野トド松(櫻井孝宏&中村悠一&神谷浩史&福山潤&小野大輔&入野自由)「おそ松さん 6つ子のお仕事体験ドラ松CDシリーズ おそ松&カラ松&チョロ松&一松&十四松&トド松『お仕事アラカルト』 」。ここでも何度か登場しているアニメ「おそ松さん」のドラマCDの最終巻。初動売上2万4千枚は前作「松野カラ松&松野トド松with弱井トト子(中村悠一&入野自由&遠藤綾)で「おそ松さん 6つ子のお仕事体験ドラ松CDシリーズ カラ松&トド松withトト子『ホストクラブ』 」の2万6千枚(6位)からダウン。有終の美といった感じにはなりませんでした。

そんな訳で今週はベスト3にアニメ系がズラリと並びましたが、続く4位もアニメ系。人気声優神谷浩史のミニアルバム「Theater」がランクインしました。初動売上2万枚は前作「ハレロク」の2万1千枚(2位)から若干の減少。

今週はさらにアニメ系がもう1枚。10位に「TVアニメ『ジョーカー・ゲーム』ドラマCD それいけ!2年D組佐久間先生」がランクイン。タイトル通り、テレビアニメ「ジョーカー・ゲーム」の登場キャラクターによるパロディードラマを収録したドラマCD第3弾。初動売上5千枚。同第2弾「TVアニメ『ジョーカー・ゲーム』ドラマCD 警視庁D課捜査ファイル」の2千枚(32位)から大幅にアップしています。

今週はアニメ系が目立ちましたが、非アニメ系ももちろんランクインしています。まずは6位にCocco「アダンバレエ」がランクイン。約1年10ヶ月ぶりとなるニューアルバム。初動売上8千枚は前作「プランC」(5位)から横バイとなっています。

最後8位には福岡の女性ローカルアイドルグループパピマシェ「Papillon La Trace1」が初登場。初動売上7千枚を記録しています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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