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2016年8月 9日 (火)

アメリカで大ヒット中

Title:VIEWS
Musician:DRAKE

おそらく現在、アメリカでもっとも人気のあるHIP HOPミュージシャン、DRAKEの最新アルバム。ビルボードチャートでは初登場で1位を獲得。その後もなんとチャート1位を10週以上にわたって確保するなど驚異的な人気を見せています。

ただ今回の新作を聴いているとなんとなくその理由がわかるような気がします。まず本作、HIP HOPのアルバムでありながら、非常にメロディアスな作品に仕上げてきています。DRAKEの作品といえばいままでも非常に「歌心」のある楽曲が多かったのですが本作はさらにR&B色がより強まった作品に。その結果、HIP HOPの作品というよりも純粋にポップスのアルバムとして聴けてしまうような作品になっています。

例えば冒頭を飾る「Keep The Family Close」ではしんみりとした泣きのメロディーラインでメロディーを聴かせる曲になっていますし、そのスタイルはその後も「Redemption」「Controlla」などとアルバムの中に散見されます。一方で「Feel No Ways」やRihannaをフューチャーした「Too Good」などリズミカルな歌モノのポップチューンなどもあり、アルバム全体としてHIP HOPの色合いが非常に薄いものに感じます。

歌詞にしても「Keep The Family Close」では

「All of my "let's just be friends" are friends I don't have anymore」
(訳詞 「ただの友達でいましょう」って言った元カノは全員、もう友達じゃないんだよな)
(「Keep The Family Close」より Written by A.Graham,M.Bidaye 訳詞 押野素子)

なんていうなよなよっとした(ある意味「槇原敬之」ばりの)悲しい心境を綴った歌詞からスタートしており、ある意味、HIP HOPというよりもポップスのフィールドを狙った歌詞のようにも感じます。

一方トラックは、強いタイトなリズムに音数を絞ったシンプルなトラック。今風といえば今風。そういう意味では聴いていて、リスナーをちゃんと時流にのった最新のヒット曲を聴いている、という気分にさせられるような空気感を楽曲に詰め込んでいるように感じました。

もちろん「U With Me」みたいにちゃんとラップがメインとなっている曲も多く収録されています。「Grammys」みたいにちょっとハードな雰囲気を感じる楽曲なんかもあったりしてHIP HOP的な側面を求めるリスナー層にもきちんと満足させられるアルバムになっていたと思います。

そういう意味でちゃんと「今時」の空気を取り込みつつ、非常に広いリスナー層にアピールできるアルバムだったと思います。だからこそ、いかにも売れそうなアルバムと感じた1枚。もちろん、楽曲のクオリティーは十分すぎるほど高く、理想的なヒット作と言えるかもしれません。正直、DRAKEの作品としては目新しさもなく、いままでの作品と比べると物足りなさを感じる部分も否定はできないのですが、それを忘れさせてくれるくらい、十分すぎる良曲揃いの傑作アルバムだったと思います。おそらく今年を代表するヒット作になりそうですが、その大ヒットも納得の1枚です。

評価:★★★★★

DRAKE 過去の作品
Thank Me Later
TAKE CARE
Nothing Was The Same
If You're Reading This It's Too Late


ほかに聴いたアルバム

Drones/MUSE

そういえば最近、ドローンって聞かなくなりましたね。まあおそらくまだつかっている人はつかっているでしょうし、手軽な空中撮影の道具としてそれなりに重宝はされているんでしょうが・・・。で、そんなドローンをタイトルとしたMUSEの新作。ダブステップやエレクトロサウンドを取り入れた挑戦心を感じた前作と比べて今回のアルバムは良くも悪くもいかにもMUSEらしい作品。あえていえばへヴィーなギターサウンドを取り入れたりしてよりロック色が強くなった感じか?MUSEらしいダイナミックで複雑なロックサウンドが楽しめるアルバムでした。

評価:★★★★

MUSE 過去の作品
The Resistance
The 2nd Law(邦題 ザ・セカンド・ロウ~熱力学第二法則)
Live at the Rome Olympic Stadium

FFS/FFS

日本でも人気のスコットランドのロックバンド、Franz FerdinandとアメリカのポップユニットSparksによるコラボユニット。Franz Ferdinandらしいポップスさを保ちつつ、歌い上げるようなボーカルとスケール感あるアレンジ。どこかオペラやミュージカルの雰囲気を彷彿とさせる壮大な世界観が提示されています。ちょっと仰々しい感じもするのですが、これはこれでポップなメロが楽しめる作品になっています。

評価:★★★★

FRANZ FERDINAND 過去の作品
TONIGHT
Right Thoughts,Right Words,Right Action

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