様々な音楽性を取り混ぜた構成がユニーク
Title:THE BEAUTiFUL PEOPLE
Musician:SiM
SiMのアルバムを聴くのはフルアルバムではこれが2枚目、ミニアルバムを含めると3枚目。正直言ってしまうといままでの彼らの印象は「若者向けのよくありがちなへヴィーロックバンド」というイメージ。まあ積極的にポジティブな印象は持っていませんでした。
で、直近作であるミニアルバム「i AGAINST i」からは約1年7ヶ月ぶり、フルアルバムとしては約2年半ぶりの新作となる本作。さほど大きな期待はしていなかったのですが今回のアルバム、率直に言って予想していたよりもズッとカッコいいじゃん、という印象を受けました。
彼らに対しては「レゲエロックバンド」という称され方をよくしているようです。確かに楽曲のあちこちにレゲエの要素を多く取り入れているのが大きな特徴のひとつ。ただ楽曲全体としてはむしろハードコアの要素の方が強く、レゲエはそんな中に加えられたスパイス的な要素にすぎません。また、歌謡曲的な要素も感じられるポップなメロディーもひとつのインパクトになっていました。
今回のアルバムで私がカッコいいと思ったのは、この様々なジャンルを上手く取り入れて1つの曲の中で様々に展開していく構成のおもしろさ。例えば「THE KiNG」では最初、デス声も入れつつ、非常にへヴィーなバンドサウンドからスタートします。このハードコアな路線からBメロでは一転ポップなメロディーラインに変化。さらにレゲエ風のパートに展開していくなど1曲の中で様々な音楽性を展開していきます。
楽曲のバリエーションとしてもユニークで、ハードコアな曲が入ったかと思えば「Abei and Cain」はレゲエの横ノリを前に押し出したようなナンバーですし、「If I Die」はフックに効いたメロディーラインを聴かせる疾走感あるギターロック、「I DUB U」はタイトル通り、ダブの要素を入れてきていますし、「GUNSHOTS」はレゲエというよりもスカのリズムを取り入れつつ、どこか妖艶な雰囲気がユニークなナンバーになっています。
最後を締めくくる「EXiSTENCE」「Life is Beautiful」もハードコアとレゲエ、ポップなメロディーラインから構成した緩急いりまじるユニークな構成のナンバー。最後の最後まで耳が離せないユニークな構成の楽曲が続きました。
基本的に英語詞がメインな中、日本語の歌詞もチラホラ。得てしてこういう日本語英語詞が混合したバンドは英語詞の曲がカッコいい反面、日本語詞の曲はイマイチというケースが多いのですが、彼らの場合、日本語詞の曲もサウンドにうまくマッチしており違和感ありませんでした。もっともメロディーラインが歌謡曲テイストが強いだけにもともと日本語詞と相性がいいのかもしれませんが・・・。
いままでのアルバムはいまひとつピンと来ない部分があったのですが、今回のアルバムはフックの効いたメロディーの曲もありインパクトも増した印象も。へヴィネスなサウンドからポップなメロまで断然カッコよさを感じることができる傑作でした。
評価:★★★★★
SiM 過去の作品
PANDORA
i AGAINST i
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コメント
SiMは本当に好きなバンドなのでゆういちさんがこの新作を高く評価してくれているのは凄く嬉しいです!
投稿: ひかりびっと | 2016年8月24日 (水) 16時19分
>ひかりびっとさん
今回、アルバムを聴くのは3作目なのですが、非常に良い作品だったと思います。人気があるのも納得ですね!これからも彼らの作品はチェックしてきたいです。
投稿: ゆういち | 2016年9月 1日 (木) 01時31分